2023 年度事業報告について
2023年4月1日から
2024 年3月 31 日まで
公益財団法人
九 電 み ら い 財 団 12023 年度は、環境事業として「環境保全活動」、「植林活動」、「環境教育活動」、「次世代
向け環境活動支援」
、奨学金事業として「奨学金の給与」を行ったほか、活動の情報発信
を実施した。
I 環境事業
1 坊ガツル湿原での環境保全活動
o 坊ガツル湿原(大分県竹田市、約 53ha)の保全のため、当財団と環境省および地元自
治体・団体・企業等で構成する「坊ガツル野焼き実行委員会(事務局:当財団)
」を中心
に、
九州電力(株)大分支店や地元の方々と連携し、
野焼きや希少植物保護および平治岳ミヤ
マキリシマの植生保護等の活動を実施
о 野焼き
(本焼き)
にて、
立中山山頂で本焼き活動を見ながら坊ガツル湿原の歴史や保全
活動の取組み等を学ぶ勉強会を新たに実施
o 各活動とも概ね計画どおりに実施。参加者は 721 名(前年度比 57 名増)
o 活動の成果を見える化し、
参加者の満足度向上や情報発信につなげるため、
湿原の生態
系へ被害を及ぼす恐れのある植物調査及び平治岳のミヤマキリシマ植生範囲調査を実施
(1) 坊ガツル湿原 野焼き活動
活 動 内 容 実施日 参加者
輪地切り 野焼きの際の延焼を防ぐ防火帯をつくる作業 8/26 132
輪地焼き
防火帯部分に新芽が出ないよう、刈った草を集
め焼き払う作業
9/30 112
本焼き
防火帯の内側に火入れし、湿原一帯を焼く作業3/9140
立中山山頂における野焼き勉強会 31
計 415
(2) 坊ガツル湿原 希少植物保護活動
内 容 実施日 参加者
湿原の希少植物保護のため、外来植物を除去する作業 7/22 137
計 137
(3) 平治岳ミヤマキリシマ植生保護活動および登山道整備
内 容 実施日 参加者
平治岳
(大分県竹田市、
約 20ha)
に自生する希少植物ミヤマ
キリシマの植生を保護するため、生育の支障となる樹木(ノリ
ウツギ等)を伐採するとともに、老朽化している登山道を整備
4/8 75
11/3 94
計 169
(名)
(名)
(名) 2(4) その他の活動
o ラムサール条約が求める「保全」と「活用」の観点から、平治岳のミヤマキリシマの
観光資源化を目指し、
植生保護活動の範囲をやまなみハイウェイから眺望できる北側斜
面の拡大に向け、支障木(ノリウツギ等)を伐採(1ha伐採完了)
(5) 活動の評価
o 野焼き(本焼き)参加者の裾野拡大を目的とした野焼き勉強会を新設したことも
あり、前年度から参加者数は増加。(前年度比 57 名増)
なお、野焼き勉強会は「坊がつるの歴史、野焼きの必要性、一年かけての野焼き
の準備など知らなかったことが多く、学びの多い一日でした」等、参加者から高評
価であったことから、来年度も継続実施
о 一方で、野焼き活動の後継者不足が課題であるため、後継者育成に向けたリーダ
ー養成(研修や実技指導)が必要
2 九電みらいの森プロジェクト
o 「いさはや九電みらいの森」
(長崎県諫早市)に次ぐ本プロジェクトの第二弾として、
環境教育や市民交流の九州南部の拠点として
「きりしま九電みらいの森」
(鹿児島県
霧島市)での森づくりを開始
(1) 「いさはや九電みらいの森」での活動
o 長崎県の森づくり制度に基づき長崎県、諫早市、当財団の3者で締結した協定
(2022 年 1 月)における森林整備活動計画に則したボランティア活動及び学校
向け環境教育等により植林・育林活動(約 1,100 本を植林し、植林完了)やフ
ィールド整備を実施
[ボランティア]
実施回 実施日 対 象 参加者
1 10/29
地域の方々や地元自治体・団体、九電グループ
の従業員とその家族72計 72
[フィールド整備]
内 容 時期 備考
安全に歩行するための階段、環境教育にて講話を実施する
広場等の整備および環境教育以外のフィールドの除草
10〜11 月 委託
(2) 「きりしま九電みらいの森」での活動
o 霧島市、鹿児島県、九州電力(株)鹿児島支店、当財団の4者で、土地利用・期間
等に関する森づくり協定を締結(2024 年 1 月 24 日)
o 森づくりの計画に基づき、広場や園路等のフィールド整備(霧島市が伐採)に
着手するとともに、地元の小学生を対象に初回の環境教育を実施
(名) 3(3) その他のエリアでの活動
九州北部エリアでの活動に向け、福岡県内の自治体から候補地に関する情報を
収集し、適性を検討
(4) 活動の評価
o 「いさはや九電みらいの森」では、地域と協働したボランティア活動や環境教育委
託を通じた周辺施設との連携により活動が着実に定着・拡大し、「きりしま九電みら
いの森」では、森づくりパートナーの霧島市や鹿児島県、九州電力(株)鹿児島支
店、周辺施設等関係先の理解・協力を得ながら、円滑に取り組みを開始できた
ため、それぞれの拠点で引き続き着実な実施が必要
o 九州北部については、引き続き候補地に関する情報収集・調査が必要
3 環境教育活動
o 環境保全意識の向上のため、
「くじゅう九電の森」
「いさはや九電みらいの森」、新たに整備を始めた「きりしま九電みらいの森」において、次世代や保護者を対
象に「講話」と「体験」から成る環境教育を実施
(1) 学校向け環境教育 [計 851 名]
1 くじゅう九電の森
o 計5回実施、356 名(小学校9校)が参加 [前年度比 45 名増]
実施回 実施日 対 象 子ども 大人 計
地域
1 9/22 八女市立八幡小学校 福岡 30 4 34
2 10/24
別府市立緑ヶ丘小学校 大分 57 3 60
佐伯市立東雲小学校 大分 13 5 18
3 10/26
大分市立八幡小学校 大分 16 2 18
別府市立上人小学校 大分 54 3 57
4 10/30
中津市立今津小学校 大分 33 3 36
別府市立別府中央小学校 大分 33 5 38
5 10/31
別府市立大平山小学校 大分 47 3 50
杵築市立東小学校 大分 42 3 45
計 325 31 356
(名) 42 いさはや九電みらいの森
o 長崎・佐賀県の学校に募集を行い、計7回実施、464 名(小学校5校)が参加
[前年度比 241 名増]
実施回 実施日 対 象 子ども 大人 計
地域
1 5/23 諫早市立長田小学校 長崎 42 3 45
2 5/30 東彼杵町立千綿小学校 長崎 34 5 39
3、4 6/5、6 諫早市立真津山小学校 長崎 138 6 144
5 10/20 鹿島市立明倫小学校 佐賀 69 4 73
6 10/25 諫早市立真津山小学校 長崎 130 8 138
7 11/22 諫早市立森山西小学校 長崎 23 2 25
計 436 28 464
3 きりしま九電みらいの森
o きりしま九電みらいの森の近隣の小学校を対象に初回の環境教育を実施
実施回 実施日 対 象 子ども 大人 計
地域
1 3/12
霧島市立高千穂小学校 鹿児島 21 2 23
霧島市立三体小学校 鹿児島 7 1 8
計 28 3 31
(2) 親子向け環境教育[計 113 名]
1 くじゅう九電の森
o エネIKU2023in 九重(九電産業(株)実施)
」にあわせ、2回実施、30 名参加。ま
た、夏休みに1回実施、62 名参加 [前年度比計8名減]
実施回 実施日 対 象 子ども 大人 計
1 4/22 エネIKUin 九重参加者1 2 2 4
2 4/23 エネIKUin 九重参加者2 14 12 26
3 8/5 九州全域の親子 34 28 62
計 50 42 92
2 いさはや九電みらいの森
o 家族で体験フェスティバル(国立諫早青少年自然の家主催)にブース出展
実施回 実施日 内 容 (連携先) 子ども 大人 計
1 10/29
家族で体験フェスティバル
(国立諫早青少年自然の家)
10 11 21
計 10 11 21
(名)
(名)
(名)
(名) 5(3) デジタル技術を活用した環境教育[計 1,654 名]
o VRやCG等のデジタル技術を活用した環境教育について、北部九州エリアを中心
に、計 40 回実施、1,153 名(小学校 18 校)が参加 [前年度比 514 名増]
実施回 実施日 対 象 地域 子ども 大人 計
1 5/30 東彼杵町立千綿小学校 佐賀 34 5 39
2〜4 9/4、5 下山門小学校 福岡 83 5 88
5、6 9/8 明倫小学校 佐賀 69 2 71
7、8 10/18 北九州市黒畑小学校 北九州 59 2 61
9 11/2 大牟田市立明治小学校 福岡 33 3 36
10〜12 11/7、8 諫早市立小栗小学校 長崎 80 3 83
13 11/29 福津市立上西郷小学校 福岡 23 2 25
14〜17 12/4、5 鳥栖市立鳥栖小学校 佐賀 109 5 114
18、19 12/7 唐津市立外町小学校 佐賀 53 4 57
20〜23 12/15、20 北九州市立あやめが丘小学校 北九州 114 4 118
24 1/31 大川市立川口小学校 福岡 33 1 34
25〜27 2/9、16 唐津市立大志小学校 佐賀 68 3 71
28 2/13 柳川市柳河小学校 福岡 29 1 30
29〜31 2/21、22 北九州市吉田小学校 北九州 76 3 79
32、33 2/26 福岡市立愛宕浜小学校 福岡 58 2 60
34〜36 3/4、6、7 佐賀市立新栄小学校 佐賀 74 3 77
37、38 3/7 春日立日の出小学校 福岡 39 3 42
39、40 3/11、13 小城市牛津小学校 佐賀 66 2 68
計 1,100 53 1,153
o 九電グループや、
国立諫早青少年自然の家と連携し、
各種イベント等にてVRを活用し
た環境教育を7回実施、501 名が参加 [前年度比 484 名増]
実施回 実施日 内 容 (連携先) 子ども 大人 計
1、2 8/19、20
エコテラス夏祭り
(九州電力)
269 0 269
3 8/22
九州電力親子参観デー
(九州電力)
6 5 11
4 10/29
家族で体験フェスティバル
(国立諫早青少年自然の家)
100 0 100
5 11/5
第 18 回環境フォーラム 2023 in ふくつ
(福津市、九州電力)
22 21 43
6 11/12
エネIKU2023 in 玄海唐津
(九電産業)
53 0 53
7 12/22
子ども食堂
(九州電力、九電ネクスト)
25 0 25
計 475 26 501
(名)
(名) 6(4) 活動の評価
o 九州南部の鹿児島県霧島市に環境教育の拠点「きりしま九電みらいの森」を整
備したことや、デジタル環境教育の委託開始及び各種イベント等への出展によ
り、環境教育のエリア及び機会の拡大を図ることができた。また、環境保全意識
啓発率は 90%以上を達成した
o 九州全域に教育機会を拡大するため、デジタル環境教育の委託エリア拡大や、
各所と連携したイベントへの出展等の教育機会拡大に取り組むことが必要
4 次世代向け環境活動支援
(1) 2023 年度助成事業
1 助成結果
o 「子どもたちの自然を大切にする心を育む活動」を募集テーマに設定し、小
規模な活動を行う団体からの応募数増加を目的として、新たに応募資料を簡素
化した申請額上限 20 万円の助成枠を新設
o 九州各地から 49 件の応募があり、18 件(約 630 万円)の団体に助成
o 活動分野と助成件数は以下のとおり
活動分野 助成件数
山や海などの保全活動 6
自然の大切さを学ぶ活動 11
資源の大切さを学ぶエコ活動 1
o 地区別の応募件数・選考件数は以下のとおり
地区 北九州 福岡 佐賀 長崎 大分 熊本 宮崎 鹿児島 合計
応募件数 8 6 3 6 11 9 3 3 49
選考件数 2 2 2 2 4 2 2 2 18
上限 100 万円 1 1 0 1 1 0 1 2 7
上限 20 万円 1 1 2 1 3 2 1 0 11
2 活動紹介
o 団体の活動を財団ホームページやフェイスブックで紹介(団体の活動時には
財団の助成活動である旨を明示)
(2)2024 年度助成事業
1 募 集
o 「子どもたちの自然を大切にする心を育む活動」をテーマに、2023 年度新た
に設けた上限 20 万円の助成枠も継続して実施
o 募集にあたっては、当財団のホームページやフェイスブックでの紹介をはじ
(件)
(件) 7め、九州各県の自治体の環境関係部署及び中間支援NPO、社会福祉協議会、
森林組合連合会等へ幅広く周知
2 選考結果
o 九州各地から 32 件の応募があり、有識者の意見を踏まえ審査を行い、18 件
(約 730 万円)の団体を選考
o 活動分野と選考件数は以下のとおり
活動分野 選考件数
山・川・海などの保全活動 4
自然の大切さを学ぶ活動 10
資源の大切さを学ぶエコ活動 4
o 地区別の応募件数・選考件数は以下のとおり
地区 北九州 福岡 佐賀 長崎 大分 熊本 宮崎 鹿児島 合計
応募件数 5 5 6 1 3 3 4 5 32
選考件数 3 3 4 1 1 1 2 3 18
上限 100 万円 2 1 1 0 0 0 0 3 7
上限 20 万円 1 2 3 1 1 1 2 0 11
(3) 活動の評価
o 2023 年度活動参加者の環境意識醸成割合は約9割であり、
助成した活動を通し
て子どもたちの自然を大切にする心を育むことができた
o また、
2023 年度募集から開始した 20 万円以下枠については、
応募が増加し(前年度比+24 件)
、助成団体から「応募のハードルが低かった」
「小規模団体でも活
動が行えた」という声もあり、新しい取り組みとして評価
o 団体の更なる活動機会拡大と財団活動の認知向上や、更に多くの団体の一助と
なることを目的に、当財団が整備した森の活用枠新設や募集方法の工夫を検討
II 奨学金事業
1 奨学金の給与
(1) 給与対象
1 学 生
・九州大学、九州電力及び九州電力送配電社員の子弟
2 私費留学生
・福岡大学、西南学院大学、九州工業大学
(件)
(件) 8(2) 給与額
月額2万円/人、年額22万円(8月は支給なし)
(3) 給与人員
o 2023年度は、16人に給与(2023年4月1日時点17人)
(注記)2023年4月に1名辞退
(4) 当年度給与総額
3,520千円(注:うち九電子弟分 1,540千円)
(5) 活動の評価
o 各大学の学生課等を通じて募集・選考した一般学生、留学生に年間を通じて奨
学金支給を行い、9名が卒業
o 2022 年度以降の新規募集を停止しており、
全奨学生が卒業するまで
(2026 年度
まで)着実に給与する
III 活動の情報発信
o ホームページやSNS(フェイスブック、インスタグラム)等の多様な媒体の活
用や機会を捉えた情報発信を実施
・ YouTubeチャンネルを新たに開設(2024 年1月)し、当財団のPR動画等
を投稿
・ 九州電力株式会社と連携し、
「きりしま九電みらいの森」のマスメディアを通し
たプロモーションや関係施設におけるPRなど情報発信を実施
・ 長崎県が主催する「長崎県気候変動適応セミナー」
(オンライン)において、
「九電みらいの森プロジェクト」について事例発表
・ 環境保全意識の啓発及び財団の認知向上を目的に、Instagram フォトコンテスト
を開催
テーマ 応募作品数
第 10 回
みらいへつなげたい九州の自然風景
〜山・海・川・空・花・生き物〜
2,910
第 11 回 〃 1,932
〔2023 年度の報道実績〕 ( )内は前年度の実績
内 容 TV 新聞 合計
坊ガツル湿原一帯での環境保全活動 5 16 21(14)
九電みらいの森プロジェクト 4 2 6(8)
環境教育活動 4 7 11(8)
次世代向け環境活動支援 7 11 18(23)
その他 0 1 1(3)
計 20 37 57(56) 9〔SNSフォロワー数・投稿数〕
SNS 2024 年3月末 年度増減 投稿数
フェイスブック (2016.8〜) 1,382 + 58 110
インスタグラム (2017.11〜) 5,476 + 912 140
ユーチューブ (2024.1〜) 42 + 42 3
計 6,900 + 1,012 253
(1) 活動の評価
o 2023 年度の報道実績は昨年程度であったが、
日々の情報発信やフォトコンテス
トの実施及びYouTubeチャンネルの新規開設により、SNSのフォロワー
数は 1,012 件増加(前年度比+82 件)し、当財団の認知拡大に寄与
o 今後は、財団と協働先からの積極的な取材依頼及び、きりしま九電みらいの森
づくりではパートナーの九州電力が進めるマスメディアを通したプロモーショ
ン等により、情報発信の機会を拡大させることが必要
また、情報発信ツールの特性やターゲットに合わせ、財団の認知や親しみに繋
がるような内容を発信するとともに、活動との親和性が高い企業や団体と連携し
てPRに取り組むことで新たな層へのアプローチを図ることが必要
IV その他
1 賛助会
o 九州電力グループ会社 33 社(新規2社)
、個人 15 名 賛助会費:約 720 万円
2 寄付金
o 法人2社、個人1名 寄付額:約 12 万円
o 九州電力(株)の「みらいの森を育てようプラン」加入者 寄付額:約 130 万円
3 事業報告の附属明細書
o 2023 年度事業報告には、
「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則」
第 64 条において準用する第 34 条第3項に規定する附属明細書に記載すべき事業
報告の内容を補足する重要な事項はありません。
以 上

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