第583回番組審議会は、2024年1月17日にテレビ長崎本社で開催され、下記の番組について審議を行った。
審議議題番組 ドキュメント九州「小さな入り江の小さな蒸溜所 〜オヤジたちの第二の青春記〜」
2023年10月29日(日) 27時05分〜27時35分放送
出席委員(順不同・敬称略)
菊森 淳文
田崎 智博
近久 宏志
内田 輝美
前田 徹
藤岡 良規
河村 有教
北村 由香
以上 8名
欠席委員(順不同・敬称略)
なし
審議の概要
- とても明るく、ポップな感じに出来上がっていて、純粋にテレビ番組として結構面白かった。取材対象の3人のいい笑顔、いい表情が撮れていた。
- ディレクターが、自身が知りたいこと、疑問点を整理して、要領よくまとめた構成の番組だと思い視聴した。具体的には、ジンの造り手、ジンそのもの、そのジンに関わる人が、多角的視点からよくまとめられていて、なぜ五島で起業したのか、ジンの味わいがどうなのか、さらには、ジンの蒸留機器や蒸留方法も取材している。豊かな内容の構成番組で、非常にオーディエンスが知りたいことを要領よくまとめた番組だった。
- 番組構成としては、GOTOGIN(ゴトジン)の紹介、3人の紹介、そして、地域との交流みたいなところが大きかったが、彼らの今後の戦略とか、もっと掘り下げても面白いのではないかと思った。
また、ぶち当たった壁とか、そういった話がもしあったら欲しい気がした。
脱サラして何か新しいことを始める意義とか難しさとか、逆に、思いがあればできるよね、みたいな話とか、そういった言葉を3人から聞けたら、もっと深みと迫力が出たかもしれない。
- 映像のポップさ、美しさ、BGMもロック系の曲が入っていたり、お酒のところでは、ジャズっぽい曲が流れていたり、いつもと違う音楽もあり、見やすさにつながったと思った。
本当にすっと見てしまい、正直言うと、終わった後に残るもの、引っかかるものも逆になかった。
番組としては、若干薄味だったかなという気がした。
どうして彼らが早期退職をしてまでこの道を始めたのか、最初のきっかけとか思いをもう少し聞きたかった。都会から長崎県の五島に来て、不便さとか、不満というのもあるはずだろう。そこも少し織り交ぜるほうが、リアリティがあるのではないか。
- 大変興味深く視聴した。造っているジンにも魅力を感じたが、それ以上に3人の生き方に番組を通して魅せられた。視聴した後、本当に爽やかな気持ちとか心地良い気持ちになれる番組だった。
- サブタイトルに「オヤジたちの第二の青春記」とあるように、3人が新たな活力や情熱を見いだし、新たな挑戦や趣味、人生の楽しみを見つけだしている最中なのだと感じた。年齢にとらわれず、新たな夢や目標を見つけ、それに向けてエネルギッシュに生きることへの素晴らしさを表現した番組だった。
- 島の映像が非常にきれいだったというのが、最初の印象。五島で酒造りをすることの良さとか、地方の可能性みたいなものも非常に素直に感じられる番組だった。
30分の番組でできるかどうかは別として、動機が語られきっていたのかという気がしている。退職した大手企業ではできなかった酒造りとは何だろうか、3人は同じタイミングで会社を辞めたのか、といったことも知らせてもらえるとよかった。
- 大企業の中にいて、本当にやりたいことが全てできたかというと、そうではないのだろうと思う。自分たちで事業を起こせば、責任もあるが、新しいことができる。しかも、理想的なジン造りができるのではないかと思われたと思う。3人の男性が意を決し、満足のある人生を過ごそうと思った場合にこういう決断ができるのだと、驚き、清々しさを感じた。
1点だけ、辞めることに対するためらいとか、マイナス面についての言及がもう少しあればと思う。逡巡したとか、ためらったとかというところがもしあれば、すっと腑に落ちる内容になったのではないか。実際にそういうことがなかったのであれば、それはそれで素晴らしいと思う。
風景のイメージと、彼らの人生の真っすぐさと、それをある程度満足して過ごしているという、葛藤のない社会が描けているということで、非常に感心した。