第546回番組審議会は、2020年4月8日 テレビ長崎で開催され、下記番組について審議した。
『KTN開局50周年特番 伝えたいナガサキ〜浦上は語る〜』
(テレビ長崎制作)
放送日時 2020年3月1日(日)14時00分〜14時55分
出席委員(順不同・敬称略)
菊森 淳文
田崎 智博
柴田 守
石川 由香里
近久 宏志
大川 綾
山﨑 健
以上 7名
欠席委員(順不同・敬称略)
内田 輝美
以上 1名
放送事業者側の出席は 9名
審議番組『伝えたいナガサキ〜浦上は語る〜』は、長崎市のカトリック浦上教会で原爆犠牲者に祈りを捧げ続ける信徒の被爆者を中心に、2019年11月のローマ教皇訪問前後の様子を描いた。番組ディレクターの佐藤有華は「なぜ祈るか、に向き合いたいとおよそ半年をかけて取材した。しかし、原爆被害の中心であり、迫害の地としてカトリック信者にとっても重要な意味を持つ『浦上』の描き方にとても悩んだ」と番組制作上の難しさを語った。
審議の概要(委員からの主な意見)
「伝えたいナガサキ〜浦上は語る〜」(2020年3月1日(日)放送)について
・1時間番組のメーンはローマ教皇に見え、番組タイトルと番組内容にズレがあるように感じた。
・KTNですでに放送したローマ教皇長崎訪問に関する他の番組で見たことがある映像、シーンが多かった。既視感があり、視聴意欲がそがれた。もっと新しく取材した映像を使って制作して欲しかった。
・ローマ教皇は去年、訪問されていて、なぜ、このタイミング(翌年の3月放送)の番組か、疑問に思った。
・構成力が高く、ナレーションの言葉もとても良かった。
・永井隆博士が被爆後、原爆を「神の摂理」と唱え、その後「燔祭説(はんさい・せつ)」と呼ばれていることは初めて知った。もっと深く知りたかった。
・ローマ教皇の独占取材だけでなく、多くの主要なカトリック関係者や被爆者の取材をした上に、過去の映像も使用しており、50周年番組にふさわしい登場人物であった。
・被爆者について、カトリック信者や浦上居住者は全体の被害者の一部に過ぎず、番組では「被爆者」を限定して描いているように見えた。原爆は、信者を狙ったわけではないのにという感じが残った。
・祈りを通じて記憶をつないでいく使命を見事に描き出せていた。
・原爆もキリシタン迫害も、どの立場から見るのかで描き方は変わる。被害者側の意識が強かったが、迫害した側などタブーにしてきた事象にも踏み込めればよかった。
また、新型コロナウイルスの感染拡大に関して、KTNの番組に限らずどのような放送・報道を必要とするのかについても議論された。
主な意見
・視聴者は迅速で正確な情報を求めている。
・東日本大震災など、これまでの災害や事件などの経験を生かして、報道のあり方を考えて欲しい。
・子どもたちもストレスを抱えているので、子ども向けの番組はありがたい。
・ニュースのほとんどがコロナ関連で、それ以外のニュース、希望が持てるようなものも取り上げて欲しい。
・関連情報をテレビで放送するだけでなく、自社のホームページにも情報を掲載しているのは良い。
・感染者の情報が詳細になることで、誹謗中傷も生まれるのでは。それがいかに卑劣かも伝えて、感染者を守るようにして欲しい。
・行政の対応に問題がないのかを取材した報道、身近な生活情報などとあわせ、「行動を変えましょう」という周知徹底も必要だ。
などの意見が出た。
KTN番組審議会事務局 095-827-8183