福島県訪問等についての会見

(本日の視察の狙いと感想について、日本産水産物の禁輸をしている中国への対応など、今後どのように政策に反映していくのかについて)

本日、ALPS(多核種除去設備)処理水の放出開始から、ちょうど1年を迎えました。漁業を取り巻く現状について、福島県漁連の野﨑会長さんを始め、関係者の皆様方から、直接、お話を聞かせていただくとともに、ここで採れた旬の海産物も頂きまして、風評被害にも負けない「常磐もの」の質の高さ、そしておいしさ、こういったものも実感させていただいた次第です。
そして、政府としては、ALPS処理水の海洋放出開始を決定する際、我が国の水産業の生業(なりわい)事業を、活力ある形で子や孫の世代まで持続的に引き継いでいけるよう、政府として万全を尽くす。さらには、必要な対策を取り続けることは、たとえ今後、長期になろうとも、全責任を持って対応する、こうしたことを申し上げました。この思いはいささかも変わるものではなく、必要な措置をこれからも続けていくことは当然のことであると考えています。
そして、ALPS処理水の海洋放出については、IAEA(国際原子力機関)の評価を含め、引き続き、安全に実施されています。今後とも国内外に向けて、科学的知見に基づいて、透明性高く、そして分かりやすく情報発信をしていきたいと考えています。他方、一部の国による輸入停止が継続していること、これは科学的根拠に基づかず、極めて遺憾なことです。引き続き、あらゆる機会を捉えて、即時撤廃を強く求めていく、これは当然のことでありますが、あわせて、科学に基づく専門家同士の対話もしっかりと進めることによっても、正しい理解につなげていく、こうした取組も行っていきたいと考えています。
なお、国内の応援消費の拡大により、ホタテの国内消費額は1.5倍となるなどの効果が出ています。また、輸入停止により影響を受けている水産業を応援しようという国民の皆様の温かい気持ちが、結果として出ている、こういったことについては、私からも心より御礼を申し上げたいと思っておりますし、同時に、昨年9月の対策パッケージにより、従来の対中国輸出量の約半分について、代替販路を開拓するなど、その効果は着実に出ているということです。一方で、中国への輸出量は、完全に置き換えることには至っていないわけでありますから、引き続き、対策に万全を期す必要があると認識しています。
このため、来週、廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議とALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議の合同会議を開催して、秋の経済対策も見据えて、対策の方向性を示したいと思っています。また、福島の漁業の復興については、水揚げの回復を支援する「がんばる漁業復興支援事業」の継続について、野﨑会長さんからも御要望がありました。政府としては、引き続きしっかり支援していきたいと考えています。
また、本日は、我が国漁業全体の課題についても御意見を承りました。頂いた意見を踏まえて、漁獲対象魚種の複合化に向け、漁船・養殖施設の導入支援の拡充、また、漁業共済制度の拡充のための法改正に取り組んでいきたいと考えています。さらに、漁村の活性化に向けて、海業の取組について、新たな支援制度を創設したいと思っています。これらを含め、我が国農林水産政策の今後の展開方向について、来週、食料安定供給・農林水産業基盤強化本部、この本部会合を開催して、しっかりとこの方向性を打ち出していきたいと考えています。
ALPS処理水の放出は、福島第一原子力発電所の着実な廃炉の前提でありました。これに関し、2号機において、燃料デブリの試験的取り出しに向けた準備作業を開始しましたが、作業の初日に中断したことは重く受け止めています。今後、具体的な取り出し作業に着手したあかつきには、中長期ロードマップにおける廃止措置終了までの期間に当たる第3期に移行いたします。廃炉の根幹となる最も困難な作業段階に入っていくこととなります。昨日、齋藤経産大臣から東京電力小早川社長に対して、今般の作業中断の要因を確認するとともに、改めて、東京電力自身が責任を持って、緊張感を持って、必要な対策を講ずることを、大臣から社長に対して強く求めたところであります。引き続き、国が前面に立って、福島復興の前提となる東京電力福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉とともに、帰還困難区域の避難指示解除に向けた取組、また、帰還に向けた生活環境の整備、産業・生業の再生支援といったものにも、国が前面に立って取り組んでまいります。引き続き、第2期復興再生期間の後も、福島の本格的な復興再生に、政府を挙げて全力を尽くしてまいりたいと考えています。以上です。

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