「東日本大震災追悼復興祈念式」における内閣総理大臣追悼の辞
本日ここに、「東日本大震災追悼復興祈念式」が執り行われるに当たり、政府を代表して、謹んで追悼の言葉を申し上げます。
東日本大震災の発生から、13年の歳月が流れました。
ここ福島県においても、かけがえのない多くの命が失われ、いまだ行方不明の方々もいらっしゃいます。巨大地震と大津波、そして、東京電力福島第一原子力発電所の事故は、多くの県民の皆様から、日々の暮らしを奪いました。
最愛の御家族や御親族、御友人を失われた方々のお気持ちを思うと、今なお哀惜の念に堪えません。ここに改めて、衷心より哀悼の誠を捧(ささ)げます。
また、原発事故の影響により、いまだ多くの方々が、避難生活を余儀なくされています。ふるさとに帰還することのできない方々を始め、被災された全ての皆様に、改めて心からお見舞いを申し上げます。
震災から13年がたち、地震・津波被災地域の復興は着実に進展しています。
福島の原子力災害被災地域においても、避難指示が解除された地域で生活環境の整備や産業・生業(なりわい)の再生に向けた取組が進められています。帰還困難区域においても、昨年11月までに全ての特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されました。また、今年度創設された「特定帰還居住区域」制度に基づき、本年2月までに、大熊町、双葉町、浪江町及び富岡町の「特定帰還居住区域復興再生計画」が認定されるなど、復興に向けた取組が着実に進んでいます。
それが、地元の皆様や、福島県及び各市町村を始めとする関係機関の皆様の、絶え間ない御努力・御尽力のたまものであることは、言うまでもありません。
原子力災害からの復興に向けては、中長期的な対応が必要です。引き続き、国が前面に立って、復興の前提となる東京電力福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉とともに、帰還に向けた生活環境の整備や産業・生業の再生支援に取り組んでまいります。昨年4月には、「創造的復興の中核拠点」を目指す福島国際研究教育機構(F-REI:エフレイ)が設立され、着実にその歩みを進めています。引き続き、福島の本格的な復興・再生、東北の復興に、全力を尽くしてまいります。
我が国は、幾度となく、国難と言えるような災害に見舞われてきましたが、その度に、力を合わせて乗り越えてきました。今年1月に発生した能登半島地震では、ここ福島の方々からも、東日本大震災の経験・知見を踏まえた、温かく、心強い支援を頂いています。
政府においても、震災の大きな犠牲の上に得られた教訓を風化させることなく、能登半島地震を始めとする自然災害への対応に活(い)かし、災害に強い国づくりを進めていくことを、改めて、ここに固くお誓いいたします。
御霊(みたま)の永遠(とわ)に安らかならんことを改めてお祈り申し上げるとともに、御遺族の皆様の御平安を心から祈念し、私の追悼の言葉といたします。
令和6年3月11日
内閣総理大臣 岸田 文雄