福島県訪問等についての会見

(東日本大震災からの復興及び原子力発電所の再稼働について)

まず、本日、福島県主催の東日本大震災追悼復興祈念式に参加し、震災により犠牲になられた方々に思いを馳(は)せ、そして復興に向けた決意を新たにしたところです。震災から12年を迎える中、これまでの関係者の絶え間ない努力によって、復興は着実に進展している一方で、いまだ避難生活を送られている方を始め、地域によってこの状況は様々であると認識しています。心のケア等、残された課題への対応、そしてここ福島においては、原子力災害からの復興再生に向けての中長期的な対応、こうしたものはいずれも重要な課題であると考えています。今後も被災地の方々の声をしっかりと受け止め、「東北の復興なくして日本の再生なし」との強い決意の下、政府一丸となって復興に取り組んでいきたいと考えます。
そしてもう一つのエネルギー政策についての御質問ですが、昨年の2月以降のロシアによるウクライナ侵略をきっかけに、世界のエネルギー情勢、これが一変いたしました。こうした中で、エネルギーの安定供給と脱炭素の両立、これは我が国にとりましても、重要な国家課題となっています。その中で、一昨年決定した第6次エネルギー基本計画どおり、原発依存度を可能な限り低減しつつ、必要な規模を持続的に活用していく、この方針は変わってはおりません。先月閣議決定したGX(グリーン・トランスフォーメーション)基本計画においても、原子力政策について、安全神話に陥った東京電力福島第一原子力発電所事故の反省を明記し、いかなる場合もゼロリスクはないとの認識に立ち、安全性の確保を最優先として取り組んでいく決意を新たにしています。原子力の利用に当たっては、高い独立性を有する原子力規制委員会が、厳格な安全審査を行い、規制基準への適合性が確認できなければ運転は一切認められず、安全性と地元の理解が最優先であること、これは大前提であると考えています。こうした政府の方針について、被災3県の皆様を含め、今後も丁寧な説明を続けていきたいと考えています。

(ALPS処理水の処分に向けた理解醸成について)

ALPS処理水の処分、これは決して先送りができない課題であると考えます。政府としては、一昨年の4月に、安全性の確保と風評対策の徹底を前提に、海洋放出する方針、これを決定いたしました。そして本年1月に、関係閣僚等会議において、具体的な海洋放出時期は「本年春から夏と見込む」とお示ししています。また、経済産業省から福島県漁連に対して回答した「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」との方針、これは遵守いたします。特定の人を関係者と考えるわけではなく、また、理解の度合いについて、特定の指標や数値によって一律に判断することは困難であると考えておりますが、漁業者を始め、地元の方々の懸念に耳を傾け、政府を挙げて丁寧な説明と意見交換を重ねてまいります。またこれまで、全国や地元でのテレビCM、ウェブ広告、新聞広告での情報発信を行ってきておりますが、今後もIAEA(国際原子力機関)と連携して、科学的根拠に基づく情報発信を行い、理解醸成に取り組んでまいりたいと考えています。

(こども政策対話について)

本日は福島県相馬市で子育てをしている方々、あるいは震災復興支援をしている方々から、様々な意見をお聞かせいただきました。相馬市は、地域全体で子育て支援や子供の心のケアなどに努めておられます。本日、相馬市において頂いた御意見も踏まえて、小倉大臣の下で、こども・子育て政策の具体案づくりを進めていくわけですが、その際に今日も申し上げましたが、やはり、こども・子育ての当事者の方々、正に今日意見を聞かせていただいたような方々の声、これを最も大事にしていかなければならないと考えております。よって、引き続き子育て当事者の方々から直接話を伺う、こうした取組は、全国で続けていきたいと考えております。

(イランとサウジアラビアの国交正常化について)

まず、中国の仲介によってイランとサウジアラビアの国交正常化が発表されたこと、承知しております。日本政府としては、状況を注視しておりますが、これは第三国間のやり取りであることからして、詳細についてコメントすることは控えたいと思っています。いずれにせよ、我が国のエネルギー安全保障の観点からも、中東地域の平和と安定、これは欠かすことができません。日本としても、中東地域の緊張緩和と情勢の安定化、さらには中東諸国との良好な関係の維持強化、こうしたことに向けて外交努力、これを継続していかなければならないと感じています。

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