「東日本大震災追悼復興祈念式」における内閣総理大臣追悼の辞

本日ここに、「東日本大震災追悼復興祈念式」が執り行われるにあたり、政府を代表して、謹んで哀悼の言葉を申し上げます。
東北地方を中心に未曾有(みぞう)の災害をもたらした東日本大震災の発生から、11年の歳月が流れました。
ここ福島県においても、かけがえのない多くの命が失われ、いまだ行方不明の方々もいらっしゃいます。巨大地震と大津波、そして、東京電力福島第一原子力発電所の事故は、多くの県民の皆様から、日々の暮らしを奪いました。
最愛の御家族や御親族、御友人を失われた方々のお気持ちを思うと、今なお哀惜の念に堪えません。ここに改めて、衷心より哀悼の誠を捧(ささ)げます。
また、原発事故の影響により、多くの方々が、いまだ避難先での生活を強いられています。ふるさとに帰還することのできない方々を始め、被災された全ての皆様に、改めて心からお見舞いを申し上げます。
震災から11年がたち、被災地の復興は着実に進展し、地震・津波被災地域においては、住まいや道路など、まちづくりの基盤となるインフラが整ってきました。
福島の原子力災害被災地域においても、避難指示が解除された地域において生活環境の整備が進み、本年春以降に、特定復興再生拠点区域の避難指示解除が見込まれるなど、復興・再生に向けた動きが進んでいます。
それが、地元の皆様や、福島県及び各市町村を始めとする関係機関の皆様の御努力、御尽力の賜物であることは、言うまでもありません。
原子力災害からの復興に向けては、中長期的な対応が必要です。引き続き、国が前面に立って、帰還に向けた生活環境の整備や産業・生業(なりわい)の再生支援を進めます。さらに、新たな復興の担い手確保に向けた移住、定住の促進や、創造的復興の中核拠点としての福島国際研究教育機構の実現に向け、その具体化を図る基本構想を今月中に決定するとともに、今国会における関連法案の成立を目指すなど、福島の本格的な復興・再生、東北の復興に、全力を尽くしてまいります。
震災による大きな犠牲の下に得られた貴重な教訓を決して風化させることなく、防災対策に役立てていくことは、我々の責務です。国民の命を守る防災・減災を不断に見直し、あらゆる分野において国土強靱(じん)化に取り組み、災害に強い国づくりを進めてまいります。
我が国は、幾度となく、国難と言えるような災害に見舞われてきましたが、その度に、勇気と希望を持って乗り越えてきました。
今を生きる私たちも、先人たちに倣い、手を携えて、前を向いて歩んでまいります。
御霊(みたま)の永遠(とわ)に安らかならんことを改めてお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様の御平安を心から祈念し、私の哀悼の言葉といたします。

令和4年3月11日
内閣総理大臣 岸田 文雄

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