令和6年能登半島地震に関する非常災害対策本部会議(第10回)
令和6年1月12日、岸田総理は、総理大臣官邸で第10回令和6年能登半島地震に関する非常災害対策本部会議を開催しました。
総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「地震発生から11日が経過しました。長引く避難生活等により、被災者の皆様方の心身の疲労は蓄積しています。今一度、個々の被災者の状況・ニーズに応じた、きめ細かな対応をお願いいたします。
昨日開催された石川県の会議において、馳(はせ)知事から、要配慮者や高齢者の方を中心に、二次避難の積極的な呼びかけがありました。私も、避難者の命と健康を守るため、二次避難の呼びかけを行いました。しかしながら、一括(くく)りに二次避難が必要な方といっても、様々な御事情があること、忘れてはなりません。
例えば、二次避難先でも施設による介護サービスや障害福祉サービスを必要とする方がいます。安心して乳児・幼児を育てるための環境が必要な方がいます。これまで支えあってきた御家族や御近所の方と共に避難することを希望される方もいます。
政府としても、多様なニーズにきめ細かに対応すべく、旅館、ホテルのほか、医療機関、高齢者施設、福祉避難所を含め、必要十分な数の二次避難先を確保しているところです。また、高齢者が乗り降りしやすいタクシーや、車いす・ストレッチャーを積載できるタクシーを含め、様々な移動手段も用意しているところです。
関係省庁にあっては、こうした準備の状況や二次避難の仕組みが各被災者に伝わり、各々の希望や条件を踏まえた最適な二次避難先が選定できるよう、近隣県や関係団体、各施設の協力確保を含め、被災自治体を全力でバックアップしてください。
二次避難の促進とともに、応急的な住まいの確保も重要です。すぐに入居可能な公営住宅や公務員住宅を、石川県内で約300戸、他の北陸3県で約900戸確保いたしました。民間賃貸住宅は、石川県内で約5,500戸、他の北陸3県で約17,000戸が提供可能です。また、仮設住宅については、本日から輪島市と珠洲市で、週明けから穴水町と能登町で建設に着手いたします。
希望者に1日でも早く移っていただけるよう、取組を進めてください。
二次避難した方などが、慣れない環境で孤独・孤立状態となり、支援に関する情報が行き届かなくなるといったことがないよう、関係機関・団体等による連携確保にも十分に配意をお願いいたします。
二次避難の取組を強力に進める必要がある一方で、被災地で避難を続ける方のためにも、その環境改善が急務であること、これは変わりはありません。
新型コロナやノロウイルスなどの感染症が多く見られます。車中泊の方もおられる中で、足に血栓の出来るエコノミークラス症候群にも注意が必要です。
災害関連死の発生を防ぐため、保健所などの支援を行うDHEAT(災害時健康危機管理支援チーム)を始め、現地に派遣されている専門家等の協力を得ながら、避難所の衛生管理、避難者の健康管理に万全を期してください。
また、避難所・被災地の廃棄物処理も急務です。関係省庁が連携して、まずは、避難所等のし尿や、生活ごみの回収・処理、処理施設の早期復旧を進めるとともに、災害廃棄物の仮置場の早期設置や家屋解体に向けた体制整備、広域的な処理体制の確保等に速やかに取り組んでください。
被災地における犯罪の防止や避難生活の安全・安心の確保も重要です。二次避難後の留守宅を守るためにも、パトカー等によるパトロールをよろしくお願いいたします。また、避難所で相談対応に当たる女性警察官等の視点も活用しつつ、被災者のプライバシー保護や、トイレの利用方法といった観点を含めて、女性被災者も不安を感じない避難所運営となっているか、今一度確認をお願いいたします。
被災地の課題は山積していますが、避難所の環境改善や二次避難などの差し迫った課題にまずは全力を挙げつつも、被災者の生活・生業(なりわい)の支援にも政府一丸となって全力で取り組んでいきたいと考えておりますので、各大臣におかれましても、よろしくお願い申し上げます。」