時事通信社 新年互礼会

挨拶する岸田総理
挨拶する岸田総理

令和6年1月5日、岸田総理は、都内で開催された時事通信社の新年互礼会に出席しました。

総理は、挨拶で次のように述べました。

「御紹介にあずかりました、内閣総理大臣の岸田文雄です。本日、時事通信グループ新年互礼会に当たりまして、一言御挨拶申し上げさせていただきます。
まず、1月1日に最大震度7の令和6年能登半島地震が発生いたしました。お亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。
まずは震災対応に万全を期すため、政府の総力を挙げて取り組んでまいります。多数の避難者がおられ、避難の長期化も懸念される中、被災者の生活と生業(なりわい)をしっかり支えていく息の長い取組を続けてまいります。
そして、日本経済に目を向けても、この令和6年は極めて重要な1年になると感じています。我が国経済は、30年余り続いたコストカット型経済から、所得増と成長の好循環による新たな経済へと移行する大きなチャンスを迎えています。
昨年、30年ぶりの水準となった賃上げ、投資、株価、政府としてはこの流れを決して後戻りさせることなく、確かなものにしていくためにあらゆる手立てを講じてまいります。令和6年をこれまでの様々な取組の成果を形にしていく年として、さらには国民の皆さんに実感していただく年とするよう、政府を総動員して取り組んでまいります。
成長と、そして所得の好循環が本格的に動く新しい経済ステージに向けて、まずは何といっても物価上昇を上回る所得増を実現していかなければなりません。力強い賃上げを実現していただくよう、様々な機会に経済界の皆様方にお願いしております。同時に、政府としてもデフレで停滞した30年を脱却するため、思い切った対応に取り組んでまいります。
例えば、昨年末の医療、介護、障害福祉のトリプル改定では、公的賃上げが確実に全就労者の14パーセントを占める医療福祉の現場に行き渡るような仕組み、これを初めて導入いたしました。賃上げの鍵を握る中小企業では、賃上げ税制を赤字法人が使えるよう拡大強化いたします。
公正取引委員会による労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針、これは強力なツールになると考えています。夏には、春闘の賃上げと一人4万円の所得減税を組み合わせることで、可処分所得の伸びが物価上昇を上回る状態を確実に作ってまいります。日本人と日本企業に長年染みついたデフレマインドや縮み志向の払拭に、万全を期してまいります。
賃上げの原資となる、企業の稼ぐ力の強化も重要です。10年間の需要リスクを視野に入れた新しい投資減税、また、中小企業の省力化・省エネ投資の強力な支援などにも踏み込んでまいります。
あわせて、今年から始まった新NISA(少額投資非課税制度)によって、2,000兆円を超える日本の金融資産を国民所得の伸びと稼ぐ力にフルに役立ててまいります。観光、投資、またビジネス等、様々なインバウンドも拡大してまいります。そして、この経済の世界においては、人材という面においても新しい力強い動きを感じることができます。
経済の世界においても、野球の大谷翔平選手のように、最初から世界レベルの志を持って活躍するグローバル経営者、あるいはスタートアップ企業の経営者、若い人材の活躍が目に見えて増えてきています。日本が新しいステージに飛躍するための大きな力になる、こうしたものも感じております。
このような経済の動きのみならず、外交、防衛、少子化、あるいは人口減少対策、こうした様々な分野において取組を進め形にしていく、こうした取組を進めてまいります。さらにはサイバー、クリアランス制度など経済安保の強化、これも重要な取組です。
そして、最後に政治の信頼回復についても一言申し上げます。昨日の年頭会見で申し上げましたように、自民党において政治刷新本部を来週には発足させます。国民の信頼なくして、政治の安定はない、政治の安定なくして、この政策の推進はあり得ない。
こうしたことを肝に銘じて、私自身が先頭に立って信頼回復に向けて努力をしてまいります。今年は先ほど申し上げたように重要な1年となります。是非、御列席の経済界の皆様方、そして御列席の多くのこの皆様方に御理解いただき、新たな経済の循環を動かしてまいります。
そして、その上で新年に当たってこう皆様方にとりまして、1年が充実した実りあるものでありますことを心から御祈念申し上げて新年互礼会御挨拶をさせていただきます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。」

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