経済同友会通常総会

挨拶する岸田総理
挨拶する岸田総理

令和4年4月27日、岸田総理は、都内で開催された経済同友会通常総会に出席しました。

総理は、挨拶で次のように述べました。

「内閣総理大臣の岸田文雄です。本日は、経済同友会の通常総会にお招きにあずかりまして、誠にありがとうございます。多くの皆様方御参加の下、盛大に総会が開催されますことを心よりお喜び申し上げます。
また、櫻田代表幹事を始め、経済同友会の皆様方には、日頃から、新型コロナ対応、あるいはウクライナ支援、新しい資本主義など様々な政策課題に大変な御協力を頂いておりますことを心から感謝を申し上げる次第です。
昨年10月に内閣総理大臣に就任して以来、新型コロナ対応を最優先として政策に取り組んでまいりました。
産業界の皆様方にも多大な御協力を頂き、一時全国36の都道府県において発出しておりましたまん延防止等重点措置を全て解除することができました。3年ぶりにまん延防止等重点措置あるいは緊急事態宣言等のないゴールデンウィークを迎えられそうです。
しかしながら、足下で、病床使用率は引き続き低下しているものの、一方で、感染者数は下げ止まっており、油断は禁物であると考えております。今は、平時への移行期間であり、昨年お示ししました『全体像』に基づいて、医療提供体制、ワクチン接種、また検査、経口薬、こうした体制を維持、更には強化しつつ、警戒を緩めず対応してまいります。
国民の皆さんの意識が変わりつつある中で、感染拡大防止と、社会経済活動を動かすこと、この2つのバランスを取ることに腐心してまいりたいと思っています。
ウクライナ情勢ですが、ロシアによるウクライナ侵略は、主権と領土の一体性を侵害する明白な国際法違反であり、ブチャ等では、極めて非人道的な民間人への攻撃という戦争犯罪が行われたことも明らかになっています。断じて許容できず、最も強い言葉で非難いたします。
我が国は、ロシアが暴挙に及んだ直後から、G7各国と連携しながら、厳しい経済制裁、そして人道支援に全力を挙げてまいりました。
この問題は、ヨーロッパだけの問題ではなく、アジアを含む国際秩序への挑戦であると捉えなければなりません。誤ったメッセージが伝わり、万が一にも、力による現状変更が繰り返されることがないよう、我が事と捉え、国際社会と連携しながら、毅然(きぜん)と対応してまいります。
ウクライナ情勢は、原油価格や物価高騰によって、国民生活や経済活動にも重大な影響を与えています。原油価格や物価の高騰が、コロナ禍からの社会経済活動再開の妨げになることは、何としても避けなければなりません。
こうした影響に緊急かつ機動的に対応していくため、昨日、原油価格・物価高騰等総合緊急対策を取りまとめました。
燃油価格の激変緩和措置を強化するとともに、ロシア、ウクライナに輸入の多くを頼ってきた半導体原料、パラジウムなどの産業用原材料の調達を多様化してまいります。
また、産油国への原油増産の働き掛け、エネルギーの調達の多角化に加え、エネルギー源の多様化に向けて、再エネの最大限の導入と、原子力の活用を進めてまいります。
中小企業支援や、コロナ禍において物価高騰等に直面する生活困窮者への支援も含め、まずは、これらの対策について、今月中に一般予備費・コロナ予備費の使用を閣議決定し、速やかに実施に移し、皆様のお手元に各種支援策をお届けしてまいりたいと思っています。
その上で、これから特に力を入れていかなければならないのが、日本経済の再生です。そのために、かねてより、私が掲げている、新しい資本主義の実現を進めてまいります。
新しい資本主義のポイントは、官と民が、今後の経済社会の変革の全体像を共有しながら、共に役割を果たすことで、気候変動や、デジタルなど、様々な社会課題を成長のエンジンへと転換し、力強く成長を続ける持続的な経済を作るということです。
そのために、人への投資、科学技術・イノベーションへの投資、スタートアップへの投資、グリーン、デジタルへの投資などに取り組んでまいります。
中長期的視点での企業経営の重要性、イノベーション推進、スタートアップ支援など、経済同友会の皆さんの御意見も伺いながら、6月までに、新しい資本主義のビジョンと実行計画、骨太方針2022を取りまとめます。
そして、この夏の参議院選挙後に、これらを前に進めるための総合的な方策を具体化し、エネルギー分野を含め、経済社会の構造変化を日本がリードしてまいりたいと考えます。
今、日本、そして世界は、大きな時代の転換期を迎えています。新型コロナの世界的流行、ロシアによるウクライナ侵略といった、歴史を画するような出来事が続いています。
本年1月に、経済同友会が公表されました第18回企業白書において、VUCA(Volatility(変動制)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))時代における企業経営の在り方について議論を行ったことは、大変難しい時代を迎える中で、誠に時宜を捉えた取組であったと思います。
私は、不確実で、何が起こるか分からない時代だからこそ、これまで以上に、官と民が、それぞれの立場を超えて、知恵を持ち寄り、様々な課題を乗り越えていくことが求められていると思います。
共に、新しい時代を切り拓き(ひらき)、先人が創り上げてきたこの国を、そして世界を次世代に引き継いでいくために全力を尽くそうではありませんか。
最後になりましたが、経済同友会の益々の御発展と、櫻田代表幹事を始め、本日お集まりの皆様の益々の御健勝、御活躍を祈念し、私の挨拶とさせていただきます。本日は誠におめでとうございます。」

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