全社としての改善の取り組みの強化

1資料 4
(2018 年 4 月 6 日改定)
全社としての改善の取り組みの強化
1.はじめに
今回の「雨水浸入問題」、「ダクト損傷問題」および「大洗事故の水平展開に係る問題」
は、報告徴収命令に基づく品質保証活動の改善が、いまだ途上にあることを示している。
当社は、
一連の問題を保安に係る問題と認識し、
安全性を高める改善活動に全社を挙げて
取り組む。
本資料は、
早期に必要な対策を進める観点から、
現時点において上記問題に共通する原
因と考えられる事項について事業者としての対応方針を示したものである。
今後、
それぞ
れの根本原因分析の結果を踏まえ、
上記問題に共通する背景要因について検討し必要な対
策を行う。
2.今回の問題に共通する事項
今回の一連の問題は、平成 29 年度第 2 回保安検査またはその期間中に発生しており、
これらは、
原子力規制庁による検査等の指摘により顕在化している。
それぞれの問題の形
態は異なるものの、何れも、計画段階、実施段階、検証段階において、当社自ら十分なセ
ルフチェックができ、また、問題を認識した時点で速やかな対応を実施できれば、発生を
防止できたものである。このことは、
「自らが気づき速やかな対策に繋ぐことができなか
った」
という共通課題があり、
会社全体として本課題に対する取り組みの推進が不足して
いた点にある。
また、保安検査等において、
「自らが実施したこと、実施できなかったことの事実を正
確に説明できず」
、問題の所在を明確に示せなかったことも共通の課題としてあげられ、
事業部全体の取り組みの推進が不足していた。
これら 2 つを、早急に対処すべき課題と認識し、その原因分析と対策を検討した。
3.原因分析
上記課題に関する原因を究明するために、4M(人、設備、管理、環境)に基づく特性要
因分析を実施した。結果は以下のとおり。(1)「自らが気づき、速やかな対策に繋ぐことができない」ことに関する事業部に対する
原因分析
a. 気づきの意識・感度が低い。
【人(意識・力量)】→決められたことだけを実施すればよいと考える。
b. 気づいても報告しない。
【人(意識・力量)】→気づいた事象の重要性が理解できていない。報告する習慣がない。
c. あるべき姿と現状のギャップが認識できていない。
【人(意識・力量)】→設備・管理のあるべき姿が明確になっていない。現状が正しく認識できていない。 2d. 計画の検討が不足しており、実施状況のチェックもできていない。
【管理】
→業務が管理できていない。
e. 他の業務があり、着手できない、しない。
【環境(業務実施)】→業務の優先順位が指示されない、リソースが配分されない。
(2)「事実を正確に把握し、説明できない」ことの事業部に対する原因分析
a. できたこと、できていないことを整理して説明できない。
【人、管理(業務管理・意識)】→事前の準備ができていない。日ごろの現場状況の把握が弱い。
→できていないことについて積極的に説明したくない。
b. 質問の主旨を理解できない。
【人(コミュニケーション)】→質問の主旨を確認しない、できていない。
c. 理解できるような説明ができない。
【人(コミュニケーション)】→(検査官の)視点を理解できない。現状が正しく認識できていない。
4.対策
上記の原因分析に対して、次の対策を実施する。
(1)「自らが気づき、速やかな対策に繋ぐことができない」ことの対策
a. セルフチェックの強化((1) d. e.)
(a)重要な保安業務の計画、実施状況を、実施者と異なる視点でチェックする「チェ
ック責任者」を各事業部に配置する。
(9/15 各事業部長が選任済み)
(b)「チェック責任者」は、以下の業務について、検討・調査の深さ、範囲等が当該
業務の目的に対し適切であるか、計画通り進捗しているかの視点から確認を行い、
業務の実施者に対し必要な指示を行う。
「保安上重要な業務の計画とその履行状況」
「対外的に重要な約束事項・指摘事項等に対する管理状況」
「規制当局への重要な説明資料の内容」(c)「チェック責任者」は、チェックの結果を事業部長、安全・品質本部長(後述の
全社監視チームの主査)に報告する。事業部長は必要な業務の優先順位付けを行
い、必要に応じリソースを配分する。安全・品質本部長は、全社としての取り組
みが必要と判断した事項を、安全・品質改革委員会に報告、付議する。
b. 保安上重要な約束事項、指摘事項等の管理強化
(a)保安規定違反への対応、不適合管理、保守管理の整備状況等、保安上重要な事項
の実施状況について、見える化し管理された状態とする(各事業部)。((1) d.)
上記 a、b については、安全・品質本部にて全体計画書を定めるとともに(9 月 29
日制定済み)
、各事業部にて実施計画書(実施責任部署、スケジュールを含む:以下同
様)を定め(10 月 20 日制定済み)
、実施する。なお、計画書の策定前であっても、各々
の重要度に鑑み可能なものから順次運用を開始する。 3c. CAP の運用の改善((1) b.)
(a)現場の気づきを組織に伝えやすくするために、不適合情報だけではなく、気づき
レベルの情報も取り扱うように、CAP の運用を改善する(各事業部、安全・品質
本部)
(9 月 27 日社長指示文書により周知)。d. 自ら気づき、改善していく体質改善
(a)幹部が職場や現場に行き、トラブル等の具体的事例をもとに現場と議論する。ま
た、
現場でのグループディスカッションを実施する。
(各事業部、
安全・品質本部)。((1) a. b. c.)
(b)最も身近な第三者である協力企業への訪問・アンケートにより、現場の課題、気
づきを拾い出す活動を実施する(安全・品質本部)。((1) b.)
(c)業務の期待事項(あるべき姿)を明確にし、展開するため、現場管理層による現
場のマネジメントオブザーベーション(MO:現場観察)を実施する(各事業部)。((1) c.)
(d)社外機関等の知見を活用した、MO 教育(気づき教育を含む)を実施する(安全・
品質本部)。((1) a.)
上記dについては、
それぞれの責任箇所で実施計画書を定める
(10月20日制定済み)。(2)「事実を正確に把握し、説明できない」ことの対策
a. 現場状況の把握((2) a. c.)
(a)現場管理職は、
現場の状況を把握するため、
マネジメントオブザーベーション(現場観察)
を行うとともに、
実施事項の計画と結果についてチェックを実施する(各事業部)。b. あるべき姿、ギャップの理解
(a)設備・管理のあるべき姿を理解するために、設計の考え方(新規制基準における
安全設計方針等)に関する教育を実施する(各事業部)。((2) a. c.)
(b)現場管理職とチェック責任者が定期的に意見交換を行う(各事業部)。((2) a.)
上記 a、b については、それぞれの責任箇所で実施計画書を定める(10 月 20 日制定
済み)。c. 説明責任
(a) 保安検査等において、適切な回答が実施できるように、安全・品質本部は保安検
査等の対外対応を実施するに当たっての心得を策定する(9 月 29 日策定済み)。各事業部は心得の内容を事業部内に周知徹底する。
(10 月上旬周知)
((2) b.)
(b)設備を管理下におく活動、北陸電力(株)志賀原子力発電所での雨水流入事象水
平展開(以下、
「志賀水平展開」という。)、ダクトの点検結果など不適合の発生、
是正措置の状況等を含めて、
社外へ発信する
(10 月 11 日から実施中)
(各事業部、
安全・品質本部)。((2) a.)
5.全社におけるチェック機能の強化等について
今般の一連の問題においては、
配管ピットへの雨水再浸入など全社として事業部の活動
に対するチェックが不足し、また、安全・品質本部としても同事象を全社の保安上の重要 4事項の審議を全社で行う品質・保安会議で扱わなかったなどの問題があった。
これらの問
題に対し、上記の対策に加え、以下の対策を実施する。
(1)「全社監視チーム」の設置
今回の一連の問題の対策に係る計画策定から実施結果検証に至るまでの各事業部の
活動を全社でチェックするために、安全・品質本部に安全・品質本部長を主査とする
社内横断的なチーム(全社監視チーム)を設置する(9 月 29 日設置済み)。全社監視チームは以下の視点から、事業部が実施する雨水浸入問題、設備を管理下
におく活動など保安上重要な活動の検討・実施状況を監視する。
(例:社内会議への出
席、現地の確認、チェック責任者・管理者へのヒアリング)
a. 保安上重要な約束事項・指摘事項に対して、各事業部が確実に実施しているか。
b. 上記に対し、事業部の検討が不足している場合には修正を指示する。
全社監視チームは、チェック結果を実施部門にフィードバックするとともに、必要
な対応を適宜、安全・品質改革委員会に提言・報告する。安全・品質改革委員会は、
上記チーム、事業部チェック責任者からの報告等を踏まえ、優先業務、リソースの配
分など経営として必要な指示を行う。
(2)保安上重要な事象に対する社内検討体制の強化
大洗事故、志賀事象の水平展開など保安上重要な事象については、その計画、実施結
果について事業部で行う安全委員会、全社で行う品質・保安会議での審議事項とする。
また、迅速性、実効性を高めるため、これら委員会の下に専門家を含む特別に定める体
制を設置し検討を実施できるようルールを見直す(各事業部、安全・品質本部)。(10 月
16 日〜11 月 22 日関連要領書改正)
当社は、今回の一連の問題(設備を管理下におく活動、志賀水平展開、ダクトの点検結
果など)を踏まえ、不適合の発生、是正措置の状況等を含めて、ホームページに掲載する
など、社外へ発信していく。
(10 月 11 日から実施中)
6.全社としての対応
上記の取組み等を、
経営の課題として安全・品質改革委員会の中で積極的に議論すると
ともに、
経営層を含めた幹部が、
自らの気づきを改善につなげる等の意識の向上を図るこ
とにより、全社として各自が責任をもって課題に取り組んでいけるよう推進していく。
7.おわりに
当社は原子力規制委員会において厳しい指摘を受けた、
保安管理上の問題に対し全社と
して対応すべき事項として、
「自ら気づき改善できる体質への活動」
「事実を正確に把握し、
説明できる活動」を抽出し、その改善方針を検討した。
上記については、必要に応じて実施計画を作成し、具体的な活動に取り組むとともに、
継続的に改善を進める。
以 上

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