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労働政策研究報告書No.122
女性の働き方と出産・育児期の就業継続
―就業継続プロセスの支援と就業継続意欲を高める職場づくりの課題―

平成22年6月15日

概要

研究の目的と方法

1992年に育児休業法が施行されてから今日に至るまで、女性の育児休業取得者は増えている。にもかかわらず、多くの女性が出産・育児期に退職する状況は変わっていない。その要因を明らかにするため、当機構では平成19年度から平成23年度のプロジェクト研究「多様な働き方への対応、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現に向けた就業環境の整備の在り方に関する調査研究」のサブテーマとして「就業継続の政策効果に関する研究」を実施している。本報告書はその中間とりまとめである。本報告書では企業10社と育児期の女性19人および関係諸団体3団体を対象にヒアリング調査を行い、出産・育児期の就業継続支援の課題を検討した。

主な事実発見

  1. 就業継続の可否にかかわらず、多くの女性が就業継続の見通しが不透明な状況で出産・育児期を迎えている。パート・アルバイト・契約社員・派遣社員などの非正規労働者には、育児休業制度はもとより産前産後休業制度も「ない」という労働者が少なくない。一方、正社員は復職後の勤務時間が保育時間に対応していないなど、育児休業以外の要因で退職している。
  2. 復職後の育児期の支援として短時間勤務のニーズは高く、特に子どもの保育時間が短い労働者はその必要性は高い。しかしながら、長時間労働を前提とした業務を短時間勤務で担うことは難しい。また、短時間勤務が可能な業務であっても長時間労働の職場では早く退勤しにくい雰囲気が生じている。
  3. 就業継続意欲を高めるために職域拡大は基本となる施策である。だが、女性の就業意識は多様であり、ある女性の就業継続意欲を喚起する働き方が別の女性の就業継続意欲も喚起するとは必ずしもいえず、やりがいのあった仕事が出産を機に負担に感じることもある。
  4. 両立支援に積極的でなかった企業も、能力のある女性を有効に活用していなかったことを認識したことを機に、企業の競争力強化の観点から女性の長期的活用方針をもち、両立支援に取り組むようになっている。

政策的含意

  1. 実効性のある就業継続支援を行うためには、育児休業を始めとする個別の制度利用に終始することなく、妊娠→出産→育児のプロセスをトータルに支援する観点から両立支援制度を体系的に整備し、制度の情報と手続きを整理して労働者に提供することが重要。
  2. 短時間勤務は復職後の支援の柱であるが、この支援が実効性をもつためには勤務時間が保育時間に対応していることが重要。短時間勤務制度を円滑に運用するためには、早く退勤しやすい雰囲気づくりや業務の効率化により、長時間労働を是正することが重要。
  3. 出産・育児期に就業継続意欲をもつ女性が増えるためには職場のコミュニケーションを活発にし、女性の意見・要望を反映した職場づくりに取り組むとともに、両立のロールモデルやメンターをつくり、労働者が就業継続意欲を高め合う職場環境をつくることが重要。
  4. 上記1.〜3.の課題に積極的に取り組む企業が増えるためには、企業の競争力強化にとって女性の長期的活用がメリットであることを企業が認識する契機となる、労使のコミュニケーションや外部からの助言・情報提供を推進することが重要。

本文

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研究期間

平成21年度

執筆担当者

池田心豪
労働政策研究・研修機構 研究員
高見具広
労働政策研究・研修機構 臨時研究協力者

入手方法等

入手方法

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成果普及課 03(5903)6263

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