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2025年の最低賃金は時給1万30ウォン
 ―1.7%増で初の1万ウォン超え

カテゴリー:労働法・働くルール労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2024年7月

韓国の最低賃金委員会は7月12日、2025年度(1〜12月)の最低賃金を時給1万30ウォンに引き上げることを決定した。2024年度の9,860ウォンから170ウォン(1.7%)の引き上げとなり、1988年の最低賃金制度の導入以来、初めて1万ウォンを超えた。ただし、引き上げ率1.7%は過去2番目の低さとなった。月額(月209時間労働基準)換算では209万6,270ウォンとなる。雇用労働部が8月に正式決定する。

第1回会議から53日で投票により決着

最低賃金委員会は、公益委員、使用者側委員、労働者側委員各9人の、計27人で構成される。具体的な最低賃金額について議論を重ね、7月11日の第10回会議において、使用者側委員、労働者側委員がそれぞれ4回の修正案を提示した(図表1)。

図表1:2025年度韓国最低賃金案 (単位:ウォン)
画像:図表1
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注:()内は現行比引き上げ率

出所:韓国最低賃金委員会資料等より作成

しかし、労使間の隔たりが大きいことから、審議を円滑に進めるため、労使双方の求めに応じ、公益委員が上下幅(下限1万ウォン、上限1万290ウォン)を提示した。これに基づき、使用者側委員が「1万30ウォン」、労働者側委員が「1万120ウォン」を提案し、委員による投票を実施した。

投票の結果、使用者側委員の案に14票、労働者側委員の案に9票が集まり、使用者側委員の案が採択された。なお、労働者側委員のうち4人は、公益委員が提示した上下幅の水準が低すぎるという理由で投票を棄権した。

今年は、5月21日に第1回会議を開始し、53日で協議終了となった。これは、過去最長となった昨年(110日)の約半分だった。

引き上げ率は過去2番目の低さ

最低賃金額は時給1万ウォンの大台を突破したものの、引き上げ率1.7%は、2021年(文在寅政権時)の1.5%に次いで2番目に低い(図表2)。OECDがこのほど発表した韓国の2024年の経済成長率(2.6%)、消費者物価上昇率(2.5%)の予測率を下回っている(注1)

図表2:韓国の最低賃金の推移
[画像:図表2]

出所:最低賃金委員会資料等より作成

業種ごとの最賃設定は反対多数で否決

韓国の最低賃金については、外食やタクシー、コンビニエンスチェーンなどの業界関係者を中心に、利益率の低い業種の賃金支払い能力を考慮する必要があるとして、業種ごとの最低賃金を設定するよう主張していた。一方、労働組合の全国組織である民主労総(韓国全国民主労働組合総連盟)の委員らは、業種による区分は差別になると反対していた。

7月2日に行われた第7回委員会では、最低賃金を業種ごとに設定する案について採決を実施したが、賛成11票、反対15票、無効1票で否決。2025年度も業種別の区分なく一律の設定となった。現行の最低賃金法では、業種ごとの区分が可能とされているが、実際に区分が適用されたのは、最低賃金制度が導入された初年度の1988年のみである。

最低賃金額は、雇用労働部が8月に正式決定し、2025年1月1日から1年間適用される。最低賃金の影響を受ける労働者は、経済活動人口調査によると301万1,000人で、影響率は13.7%に及ぶと推定している。

労組団体「低い賃上げ率に憤慨」、経営者団体「業種別適用見送りは遺憾」

このたびの決定について、労組団体、経営者団体とも7月12日に声明を発表した。

民主労総は「高インフレ時代に低賃金労働者はあと1年耐えなければならない。最低賃金決定の構造を根本的に変える必要がある」、韓国労働組合総連盟(韓国労総)は「過去2番目の低い引き上げ率に憤慨している」などと批判した。

一方、韓国経営者総協会は、「最低賃金の適用が著しく困難と判断された一部の業種にも、業種別適用が見送られた決定に、深い遺憾の意を表す」としている。

参考資料

参考レート

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