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112回ILO総会を開催
 ―「労働環境における生物学的リスク」や「ケア労働」をテーマに議論

カテゴリ−:労働法・働くルール労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2024年6月

国際労働機関(ILO)は2024年6月3日から14日にかけて、スイス・ジュネーブのILO本部で、第112回総会を開催した。加盟187カ国の政労使からなる代表団約4,900人が出席。労働環境における生物学的な危険への労働者の保護や、ケア労働のディーセント・ワークなどをテーマに幅広く議論を行った。

ウイルスや細菌など生物学的な危険から労働者を守る枠組みを検討

開会挨拶でウングボ事務局長は、経済活動がパンデミック以前の水準に戻り、失業率がわずかながら低下していることを歓迎しつつも、中東やウクライナをはじめ世界で起こっている衝撃的な紛争は、人類にとって、特に多国間主義にとって大きな問題であると指摘。「社会正義を恒久的な平和、繁栄の共有、機会均等、公正な移行の基盤にすることが必要だ」と述べた。

今回の総会では、「生物学的な危険に対する保護に関する討議(Protection against biological hazards)」を基準設定討議のテーマに取り上げた。ウイルスや細菌、微生物、アレルゲンなど、労働環境における生物学的なリスクから労働者を保護する枠組みについて議論を行い、新たな国際規制の策定に向けて第一歩を踏み出した。本テーマは、2025年の第113回総会でも継続して議論される予定。

また、一般討議では「ディーセント・ワークとケアエコノミー(Decent work and the care economy)」を議題に、ケア労働におけるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現に向けた課題や、ILO及び各国の取組みについて報告し議論を行い、決議案を採択した。決議案は、今回の委員会の結論を支持するディーセント・ワークとケアエコノミーに関する行動計画を作成すること、将来のILOのプログラムと予算案に今回の結論を考慮することなどを盛り込んだ。

特定のテーマを数年ごとに議論する周期的討議では、「労働における基本的原則と権利」について、各国の取組みの進展と今後の課題を討議した。そして、政策行動の重点分野として、1労働市場のガバナンスの強化、2結社の自由と団体交渉を含む社会的対話、3フォーマル化と持続可能な企業、4平等と包摂――の4点を掲げた。

「社会正義のためのグローバル連合」が初会合

ウングボ事務局長のリーダーシップのもと設立された「社会正義のためのグローバル連合(Global Coalition for Social Justice)」は、会期中の6月13日に初会合を開催し、1,200人以上の政労使等代表者がテーマ別議論を行った。会合では、ブラジルとネパールの大統領がスピーチを行い、世界平和のため、より大きな社会正義が決定的に必要だと強調した。同連合には現在、日本を含む68カ国の政府や使用者団体、労働者団体、国際機関、NGO、学術団体など290以上のパートナーが参加している。

総会の閉会式で、ウングボ事務局長は、世界中で根強い不安と不平等、そしてインフォーマル性に直面していることを指摘。「今回の議論を通して、我々は行動しなければいけない、それ以外の選択肢はないと確認した」と締めくくった。

参考資料

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