勤労時間免除の上限時間決まる
―労組専従者への賃金支給禁止
企業の労働組合専従者への賃金支給禁止が7月1日から実施される。その例外規定としての「勤労時間免除」(タイムオフ)の上限時間が5月15日に決まった。
「労働組合及び労働関係調整法」の改正法が今年1月1日に成立した。企業レベルの複数労組を解禁し、企業の労組専従者への賃金支給を禁止する―がその内容。複数労組の解禁は1年先の来年7月から実施するが、専従者への賃金支払い禁止は今年7月1日からスタートする。
実施にあたって、例外規定が設けられた。「勤労時間免除」(タイムオフ)と呼ばれ、ある一定の勤労時間を免除される仕組みで、その上限時間について、労働部傘下に公労使各5人で構成する「勤労時間免除審議委員会」を設けて検討を続けていた。労使の折り合いがつかず、最終的に公益委員案を国会に諮り、5月15日に正式決定した。なお、この上限時間は3年ごとに決める。
上限時間は組合員規模で違う(表参照)。例えば、300人〜499人だと5000時間。韓国の労働者の平均年間実労働時間は約2300時間なので、2.5人に相当すると読むことができる。つまり、この規模だと、2.5人分の専従者の賃金を企業が支給しても違反とならない。韓国のマスコミはこのように時間を人数に換算して報道している。以下、1000人〜2999人規模は1000時間で5人分、3000人〜4999人は1400時間で7人分となる。1500人以上の「2012年7月1日以後:最大3600時間以内」は18人分と計算でき、この人数で頭打ちとなる。
例えば、韓国の代表的自動車企業の「現代自動車」は組合員規模4万人で、企業から賃金の支給を受ける専従者は労働協約上だけでも90人にのぼるという。そのため、大手企業の労組がとくに痛手を受けることになりそうだ。
韓国の2つのナショナルセンターのうち、民主労総はこの上限時間の内容に反対しており、6月23日にゼネストを配置している。
組合人規模 | 上限 | 使用可能人員 |
---|---|---|
50名未満 | 最大1000時間以内 | ○しろまる組合員数300名未満:パートタイマーとして使用する場合その人数はフルタイマーとして使用する人数の3倍を超える事ができない。 ○しろまる組合員数300名以上:パートタイマーとして使用する場合その人数はフルタイマーとして使用する人数の2倍を超える事ができない。 |
50名〜99名 | 最大2000時間以内 | |
100名〜199名 | 最大3000時間以内 | |
200名〜299名 | 最大4000時間以内 | |
300名〜399名 | 最大5000時間以内 | |
400名〜499名 | 最大6000時間以内 | |
500名〜999名 | 最大10000時間以内 | |
1000名〜2999名 | 最大14000時間以内 | |
3000名〜4999名 | 最大22000時間以内 | |
5000名〜9999名 | 最大28000時間以内 | |
10000名〜14999名 | 2012年6月30日まで28000時間 +3000名ごとに2000時間を追加した場合以内 |
|
15000名以上 | 2012年7月1日以後 :最大36000時間以内 |
※(注記)規模は、事業または事業所全体の組合員数をいう。
2010年6月 韓国の記事一覧
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