政労使による年金交渉始まる
トレド協定(注1)をめぐる政府と労組・使用者との交渉は、議会での審議と平行して行われる予定である。交渉のテーマとなるのは、社会保障制度の長期的な維持を目的とした政策、および年金最低額の消費者物価指数を上回る引き上げで、後者は2001年予算に組み込まれることになる。
2000年7月4日、労働省・労組・スペイン経団連(CEOE)は、すでに第1回会合を持っている。CEOEは、1996年にトレド協定不支持を表明したが、今回再び交渉の場に戻った。
この会合では、2001年予算に含まれるべき点を優先課題として扱うことで合意が見られた。CEOE側は、社会保障制度への企業負担金の減額などを例としてあげた。
また、労働者委員会(CC. OO.)と CEOEは、ともに年金の最低額引き上げも短期的課題の一つであるとした。最低額年金の一つは寡婦・寡夫年金で、月額5万5000ペセタ(100ペセタ=55.4円)、約100万人が受給している。中長期的には寡婦・寡夫年金の改正、公的年金制度の評価がテーマとしてとりあげられる。
現在の年金改革をめぐる局面は、5年前とは大きく変化している。人口構造だけを見ても、当時は出生率が低下の一途をたどり、高齢化が急速に進み、その結果、公的年金制度が危うくなることさえ予想されていた。しかし、ここへきて事態は好転し、年金受給者数に対する社会保障制度への負担金支払者数が増えている。これは労働市場の全般的な好調に加え、特に、移民労働者の増加によるところが大きい。
こうした事態の変化を踏まえて、労組は、年金の条件を改善するよう圧力をかけている。一方、議会過半数を掌握している政府は、すでにトレド協定の改正の意向を示しているが、その内容は労組の要求とは反対のものとなっている。
注
- トレド協定は、公的年金制度の維持を目的として5年前に政府と労組によって結ばれた。トレド協定の改正は、2000年〜2001年の最大の政治課題である。(本文へ)
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