ハイスペックな設備、豪華なスタジオ。
先進国に引けを取らないベトナム国営のテレビ局に派遣され1年10ヵ月。
日本でのアナウンス経験を生かし、番組の質向上に励む。
私の配属先はVTV4の中の日本語チーム。担当番組は日越外交関係樹立40周年を機に、ベトナム初の日本語番組として産声をあげた「ジャパンリンク」。週1回、毎週日曜日の30分間、ベトナム人キャスターが日本語で放送しています。
元々私に課せられた主なミッションは、正しい日本語発声の定着。視聴者に伝わりやすい表現ができるように、ベトナム人スタッフへ日本語のアナウンス技術を指導することと、日本語原稿の添削、魅力的な番組作りへのアドバイスでした。
第一印象として、ここのチームはチームプレーができていないなと感じました。以前勤めていた日本のテレビ局では必ず全員で話し合いをして、お互い指摘し合って研鑽していくという環境でした。しかし、ここでは個人プレーが普通で...。
その上、そもそもアナウンサーとしての基本ができていませんでした。ナレーションを録音するときに原稿が真っ白。アクセントやブレスの箇所など何も書き込まず、下読みもせずに録音室に入る人もいたんです。それでいて私に向かって「まず、あなたが読んでちょうだい。私はそれを真似するから」って...。そんな方法では、日本人が毎回教えないとできないし、いつまでたっても日本語のアナウンス能力は向上しないのに...。
そこで毎週1回、同僚を全員集めてグループ練習会を開き、アナウンスの基礎から教えることにしました。練習会の教材はベトナム語と日本語を併記して作った私のお手製です。
初めは「個人レッスンで!」と言われたのですが、各自の得意な点・上手な点を共有してもらって、互いに助け合う状況を生み出したかったのでグループ練習にこだわりました。それが功を奏したのか、チームワークや自主・自立の気持ちが根付いてきました。
今では自分で事前チェックを行い、原稿を真っ赤にして録音室にやってきます。最終的には私が録音室に同席しなくても、1人で正しいナレーションができるようにもなりました。「日本人がベトナムを体験するコーナーを作りたい」という発案が同僚からあったのもうれしいことです。まずは手始めということで私が、その体験リポーターとなり、その後一緒に番組のコーナーを制作しています。
今はこのチームの一員として、同じ目線で相手とじっくり向き合い、彼らの良さを発見し、それを生かすことにやりがいを感じています。協力隊としてのここでの経験から、人の行動を変えるには、通り一遍のやり方ではなく、相手の置かれた環境を把握し、それに応じたアクションが必要だと痛感しました。
帰国後については、これからも人やモノの魅力を発掘し、それを発信する仕事に就きたいと考えています。例えば地方のテレビ局などで地域の文化・産業を活性化する仕事や、ベトナムや海外と連携した仕事もしたいですね。
07:00
07:00
起床・ラジオを聞きながら支度
08:00
08:00
テレビ局へ徒歩で出勤
09:00
09:00
スタジオ収録
(ニュース番組『ジャパンリンク』)
10:00
10:00
日本語原稿添削・ナレーション録音の指導
12:00
12:00
同僚と一緒に昼食(近所の屋台等)
13:00
13:00
昼寝(ベトナムの習慣)
14:00
14:00
日本語原稿添削・ナレーション確認
15:00
15:00
企画打ち合わせ
(ベトナム文化を体験する番組等)
16:00
16:00
ネットで情報検索・アナウンス練習会の資料作成
18:30
18:30
退社。帰りがけに夕飯
(ベトナムの街中に多いカフェ等で
友人ととることが多い)
21:30
21:30
帰宅(シャワー・インターネット)
24:00
24:00
就寝