第7回 電磁界情報センター運営委員会 議事録(案)


資料 運営 17-21第 16 回 電磁界情報センター運営委員会 議事録(案)
1.日時:平成 27 年 10 月 8 日(木) 13 時〜15 時
2.場所:全日電工連会館 3 階会議室
3.出席者:木下委員長、日和佐副委員長、衞藤委員、小島委員、原委員、飛田委員、
山根委員
(事務局)一般財団法人電気安全環境研究所 薦田理事長
電磁界情報センター 大久保センター所長
4.議事次第:
(1)定足数の確認報告
(2)理事長挨拶
(3)委員長の選任(4)【審議】第 15 回電磁界情報センター運営委員会 議事録の承認について(5)【報告】平成 26 年度予算執行状況について(6)【審議】平成 27 年度業務計画について(7)【審議】平成 27 年度予算について
5.配付資料:
・運営 16-1 運営委員会 委員名簿
・運営 16-2 第 15 回電磁界情報センター運営委員会 議事録(案)
・運営 16-3 平成 26 年度予算執行状況
・運営 16-4 平成 27 年度業務計画(案)
・運営 16-5 平成 27 年度予算(案)
6.議事内容:
(1) 定足数の確認報告
電磁界情報センター運営委員会規程第 5 条第 2 項に基づき運営委員 7 名中、
出席委員 7 名であることから第 16 回運営委員会は成立した。
(2) 理事長挨拶
本日は大変ご多忙のところ運営委員会にご参集賜り感謝申し上げる。また、委
員の皆様方におかれましては、
常日頃より電磁界情報センター
(以下、
「センター」)の運営に関しご協力頂いていることに対し改めて御礼申し上げる。本日はたくさ
んの議題があるが、御忌憚のない御意見を賜るよう、よろしく御審議の程お願い
したい。
(3)第 15 回電磁界情報センター運営委員会 議事録の承認ついて
第 15 回運営委員会議事録(案)について、特段の異議はなく了承された。
資料 運営 17-22(4)平成 26 年度予算執行状況について
【報告】事務局より資料運営 16-3 について説明があった。
【質疑】特に質疑事項は無かった。
【審議結果】平成 26 年度予算執行状況が承認された。
(5)平成 27 年度業務計画について
【報告】事務局より資料運営 16-4 について説明を行った。
【質疑】委員の主な発言は以下のとおり。
<業務全般>
(委 員)全体的な年度計画、業務計画は大変前向きで、いろいろ工夫をさ
れており重点的な取り組み等、
是非、
積極的に進めいただきたい。
(事務局)了解した。
(委 員)最近、電磁波に関する大きな新聞報道等はあるのか。
(事務局)全国紙規模ではない。地方紙単位では携帯電話の基地局新設に関
する係争関連の報道はある。
<情報収集調査関連>
(委 員)
「市民団体の機関紙等の情報を収集する」とは、いわゆる電磁界に
関する市民団体なのか、それ以外も含まれているのか。
(事務局)電磁界に関する市民団体の他に、暮らしや食品に関する団体等も
情報収集対象としている。
(委 員)
「リスクコミュニケーション事例調査手法検討」の海外調査の検討
状況を教えてほしい。
(事務局)今年度は、ドイツ等におけるリスクコミュニケーション事例等の
調査を予定しており、
先方と調査日程を詰めているところである。
<EMF-PORTAL 関連>
(委 員)EMF-PORTAL へは、直接アクセスするのか、それとも、センターの
ホームページ経由で行うのか。日本語翻訳に時間を要すのであれ
ば、英語の原文にアクセスすることも可能か。
(事務局)両方からアクセスが可能である。なお、日本語翻訳の登録のタイ
ムラグは長くて 2 週間程度である。なお、原著論文そのものへの
アクセスは版権の問題があるので不可能な場合が多い。
<磁界測定関連>
資料 運営 17-23(委 員)磁界測定器の貸出は非常に重要な活動一つと認識しているが、一
般の消費者は、自ら測定しても数値の意味するところがなかなか
理解できないと思う。センターが各地で測定し、結果をできる限
りわかりやすい形で公表することは、理解を助けることになる。
是非、頑張っていただきたい。
(委 員)
「身のまわりの磁界発生源の測定」については、公表されていたデ
ータが古かったので大変期待している。測定対象については、ど
のくらいの品目をどの程度の種類を考えているのか。
(事務局)具体的な検討はこれからとなるが、一般生活で必需となる家電製
品を対象に各製品に対して 3 品目程度を想定している。
(委 員)電力自由化の進展に伴い、今後、再生可能エネルギーを利用した
いろいろな発電設備が増加してくると思うが、そこから発生する
電磁界レベルのニーズも増えてくるのではないか。
(事務局)センターでは、既に太陽光発電からの磁界を測定している。今後
も予算には限りがある中で、問合せが多い発生源等、優先付けを
行いながら、可能な限り磁界測定を継続していく。
<磁界測定器貸出関連>
(委 員)貸出後のアンケートについて、回答者の年代層別の分析は行って
いるのか。もし、わかれば年代層別の特徴等を教えてほしい。
(事務局)性別、年代層のデータがわかるものの未整理である。主な特徴と
しては、30 歳代で、マイホームの購入検討にあたり、近傍にある
電力設備から発生する磁界の大きさが心配になり、問合せされる
傾向が多いことはわかっている。今後、分析し次回説明する。
(委 員)磁界測定器貸出後のアンケート結果で心配度の変化が「軽減した
47%」
「変化なし 36%」となり、
「変化なし」も結構多いように見え
るが、どのように分析しているのか。
(事務局)磁界測定器の貸出希望者は、そもそも、既に心配している人であ
り、
偏っている母集団と思う。
電話での問合せにおいても、
既に、
電磁波を危ないものと認識している人の考えを変えることは難し
いと感じており、このような対象者へのアンケート結果が「変化
なし 36%」と現れていると考えている。
(委員長)事務局が話された問題は電磁界だけではなく、他の分野でもよく
見られる傾向である。というのは、市民が情報を求めるのは正し
い情報に基づいて客観的に判断するためだけではなく、自分の考
えに合うような方向性の情報を集め、自分自身の考えを補強する
習性があるからである。心理学ではこれを「自己正当化」
「選択的
知覚」などと呼ぶ。従って、あらかじめ電磁波が危ないという認
識を持つ人は危ない情報に出会えばすぐ飛びつき、逆に安全だと
思っている人は安全材料だけを選択的に取り入れ自分の考えを補
強する。これは人間の自己防衛本能の現れみたいなものである。
資料 運営 17-24このアンケートでも、その傾向が顕著に出ているように思う。つ
まり、電磁波を安全と感じている人も危険と感じている人も、自
分に都合の良い情報だけを選択的に取り入れるから、結果として
認知の変動は少ない。ということは、変動が最も顕著に表れるの
は「よくわからない」
「どちらとも言えない」という、もともと自
分自身の意見を持たない人であることを意味する。リスクコミュ
ニケーションが一番効果的なのはこうした人たちであろう。
<対象層特化活動>
(委 員)国民の理解促進の基盤になるのは教育である。現在、小学校、中
学校および高等学校で使っている教科書のもとになる学習指導要
領の検討は約 10 年前に遡るが、
次期バージョンの検討が昨年の 11
月にスタートが切られ、平成 28 年度末くらいには、ある程度の大
枠が決まるスケジュールで進んでいる。今後、電磁界の基礎教育
に対して発言する機会があるかもしれないので、検討状況等につ
いて目配りしておいた方がよい。
(委員長)学校教育に電磁界の科目を入れることは良い方法と思うが、現場
の状況を考えると非常に難しい側面がある。というのは、他のリ
スクを抱える分野でも同様の事を考えているからである。例えば
電離放射線の分野でも、原子力発電所の事故を追い風に学校教育
の現場に食い込みを図ろうと多くの副読本等を作って配布してい
る。それ以外にも、食育、環境、情報、それに国際教育等の分野
でも、それぞれのグループが一生懸命になって公教育の重要性を
訴えている。ところが受け手である学校現場では、このような外
部からの働きかけを迷惑がっている。というのは、主要 5 教科を
教えるだけでも手一杯なのに、余計なものがどんどん割り込んで
くるからである。結果として持ち込まれた教材は授業で使われな
いまま片隅に積まれ、埃を被っているのが実情である。学校現場
における科目の重要度は、それが入学試験に出るか否かで決まる
ことを認識して欲しい。試験に出る科目は教えるが、出ないもの
は教える暇がないのである。電磁界の問題は残念ながら入試に出
ることは少ないのではないか。このような状況を打破するには、
個人的な伝手を頼りに、関心を持ってくれそうな理科や養護の先
生に情報を持込むことである。そして彼らが関心を持ってくれる
と、その周囲に存在する学校の枠を越えたネットワークに広がる
可能性が出てくる。そういう過去経験からすると、既に、センタ
ーで取組んでおられる市民と専門家の方たちを繋ぐ学校保健や衛
生関係者を対象とした啓発活動は非常に良い取組みである。これ
以外には、医師へのアプローチも有効と思う。特に、医師は電磁
界に関する専門的な知識は持っていない人が多い中で、その発言
力は大きいことから、彼らが誤った認識に基づいた対応をされる
前に、センターからの正しい情報に基づく対応をして貰うことが
資料 運営 17-25大切になる。またそこまでいかないまでも、センターの存在を知
ってもらい、センターに問合せて頂くことも大切と思う。
(事務局)臨床関係へのアプローチとしては、妊婦への知識啓発検討会のメ
ンバーを通して、今後、助産師、産科医、小児がん専門医等の関
係者にアプローチしていく予定である。
(委 員)自然災害の多発を受けて、今後は防災や安全教育といった視点も
大事と思う。
(委 員)最近、マスコミが電磁波の話題を取り上げないことが原因かもし
れないが、日頃、小児がん患者の母親と話す中で、電磁波という
言葉を聞くことはなく、実際には、電磁波の事を知らない人の方
が多いように感じる。
(委員長)センターへの問合せは減っておらず、むしろ増加傾向にあるので
はないのか。
(委 員)その理由としては、先ずは電磁波に関心を持つ一定の中心層がい
て、それに加え知的レベルの高い人が新たに入ってくるという、
流れなのかもしれない。
(事務局)電磁波については、普段は気にしていないが電力設備や携帯基地
局の近くに引っ越す等、身近な存在になった時に過去に見聞きし
た危険情報を想い起こし不安になる等が考えられ、最近では、携
帯電話、無線 LAN、電気自動車、太陽光発電等から発生する電磁波
への問合せも増えている。発生源は多種多様であり、心配の火種
はあちこちで燻っている状況と思う。また、2011 年の無線周波電
磁界の国際がん研究機関の 2B 評価公表時にもセンターの HP への
アクセス件数も倍増したように、
来年予定の、
WHO が携帯電話の電
波に関するリスク評価が公表されれば、その時に、問合せが急増
することは十分考えられる。
(委員長)その検討時と現在では、携帯電話の電磁界ばく露の状況が異なる
のではないのか。
(事務局)
技術革新により、
現在、
我々が使っている第 3 世代の携帯端末は、
第 2 世代と比べ出力が約 100 分 1 と小さくなっている。つまり、
疫学調査の結果は、一世代前のデータに基づいたものということ
になり技術革新の方がどんどん進み、健康影響のフォローアップ
が追い付かない状況にある。
(委員長)実際には古いデータを使った評価であるのに、報道のされ方いか
んによっては誤解を与えることになり心配である。
(事務局)その区別が非常に大切である。
(委 員)発がんリスクが上がるような話であれば、その影響が出てくるの
は後年であるため携帯電話使用者のフォローアップが必要になっ
てくるのではないのか。
(事務局)全国規模で脳腫瘍の罹患率調査を実施している欧米のデータを見
る限り、携帯電話使用と脳腫瘍の発症リスクの相関関係の傾向は
見当たらない。それによって、携帯電話の脳腫瘍への寄与リスク
資料 運営 17-26は無いとは言えないが、仮にあったとしてもそれ程、大きくない
と言える。
(委 員)発がん性評価分類がグループ 2B から 2A になるかかもしれないと
いうことか。
(事務局)グループ 2B の評価は IARC が行う評価であり、既に 2011 年に終了
済みのため変わらない。現在、検討中の健康リスク評価は、WHO
のジュネーブ本部で実施するものである。
<リスク認知関連>
(委員長)リスク認知に関して悩ましいデータがある。それはリスクが減る
ことが良いことなのかという逆説的な問いかけである。常識的に
いえば、リスクが減ることは喜ばしいことであろう。私もそうだ
し皆さんもそうだと思う。ところがその一方で、リスクが下がれ
ば下がるほど、人のリスク認知はもっと厳しくなり、
「もっと下げ
ろ」と言い出す傾向にあることが分かってきた。これは、マズロ
ーの欲求階段という理論で言われているものであり、人の欲求は
低階層の欲求が充たされると、より高次の階層の欲求を欲すると
いうものである。
このようなデータを見ると、
科学者が一生懸命、
安全性を追求すればするほど、自らの首を絞めているような気に
もなり、どこまでやったら折り合いが付くのか悩ましく感じる。
(事務局)京都大学の内山先生がリスクのアクセプタブルはどの程度が妥当
かについて述べている。
それによると、
100 万分の 1 程度の発がん
性リスクでは、概ね安全で、実際の行政が行う判断指標として、
10 のマイナス 5 乗の 10 万の1が現実的と言っている。
(委 員)マスコミにいると、今のような、リスクの大小は重要な問題では
ない。あるリスクを受け入れるかどうかは、その時々の、市民団
体、マスコミ、政府や行政といった利害関係者間の力関係で決ま
る。BSE 問題にしても、その当時、
『日本人の BSE 感染のリスク試
算は、1 億人に 1 人程度で 10 の 6 乗より小さいので安全』という
ような冷静な議論は、無かった。市民団体やメディアが騒ぎ、そ
れに政治も同調していくと、リスクがいくら小さいからと言って
も、リスクの大小の判断とは無関係な時もある。今現在も、マス
コミでは「弱い人の声を記事にしなさい」と教えられ、リスクの
大小とは必ずしも一致しない。弱い人の立場になって記事を書く
ということは、例え 1 人でも、怖いという人がいれば、何とかし
なければいけないという使命感にかられる。
(事務局)海外での携帯電話基地局に対する受入れ許容範囲の議論の中で、
一般の人の多くは「遠く離れていればよい」という判断に対し、
過度な不安層は、
『距離よりも視覚的なインパクトが重要』という
ことで、設備の存在感だけで嫌悪感が増長され、視覚に設備が入
るだけでダメということになると、EU の議論の中でも、ばく露低
減をしても意味がないのではないか、といったディスカションが
資料 運営 17-27あった。
(委員長)客観的にいえば、電磁界の安全性は曝露レベルが低いことが前提
である。その努力は大切である。しかし主観的にはそれだけで安
全と思って貰えないことがある。事務局のいわれる視覚的なイン
パクトもその一例であろう。これは人間が理性的存在ではなく、
感情的な存在であるからである。以前、報道関係者に「マスコミ
で考えるリスクの定義」について質問したら「市民が怖がるもの」
という回答が返ってきた。その定義で食品の感染リスクを考えた
場合には、工場内に「怖い」ゴキブリが一匹存在するだけで、10
のマイナス 3 乗くらいのリスクになるかもしれない。このような
リスク認知のギャップをどうやって埋めるのか、学校教育や社会
教育の充実が有効なのか、それともマスコミの力を借りるべきな
のか、といった戦略を考えなければいけないという気がする。
【審議結果】平成 27 年度業務計画について、了承された。
(6)平成 27 年度予算について
【報告】事務局より資料運営 16-5 について説明があった。
【質疑】委員の主な発言は以下のとおり。
質疑は特になし。
【審議結果】平成 27 年度予算について、了承された。
(7)その他
次回開催の日程は以下のとおり。
・平成 28 年 3 月 10 日(木) 13 時〜15 時
以 上

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