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23-D-1573
2024 年 2 月 22 日
株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。
株式会社商工組合中央金庫 (証券コード:-)
【新規】
債券格付(損失吸収条項付 Tier1) A+
しかく格付事由
(1) 商工組合中央金庫(商工中金)は、発行済株式の 47%を政府、53%を中小企業等協同組合などが保有する特
殊会社。民営化に向けた 23 年 6 月の商工中金法の改正により、政府保有株式は 2 年以内に全部売却される
こととなっており、財政制度等審議会の答申書では「24 年度早期の入札実施を目指す」とされている。政府
保有株式の売却後においては、
危機対応業務に対する政府の関与が残る一方、
ガバナンス面での政府の関与
の度合いは弱まることとなるため、
JCR は通常業務におけるストレス発生時に政府が適時適切な支援を行う
可能性はこれまでより低くみる必要があると考えている。発行体格付は、単独信用力「AA-」相当に政府に
よる特別な支援の可能性を加味しているが、政府保有株式売却後に政府支援による格付の引き上げ幅を 1
ノッチに引き下げる方針である。格付の見通しについては、政府保有株式の売却後に「AA」に変更する可能
性を勘案し「ネガティブ」としている。
(2) 本件劣後債は、劣後特約のほかに債務免除特約が付されているバーゼルIII適格 Tier1 商品である。債務免除
特約により、商工中金は、1連結普通株式等 Tier1 比率が 5.125%を下回った場合、2実質破綻時、すなわ
ち内閣総理大臣が預金保険法の第二号措置もしくは第三号措置、
または特定第二号措置を講ずる必要がある
と認定した場合、
または3倒産手続が開始された場合、原則として本件劣後債につき元利金の全部または一
部の支払義務を免除される。
また、
分配可能額が不足した際に本件劣後債の利払いは強制的に停止されるほ
か、商工中金はその裁量により本件劣後債の利払いを停止することが可能とされている。
(3) 本件劣後債のノッチングの基点は、長期発行体格付「AA+」である。商工中金の格付は、単独信用力「AA-」
相当から 2 ノッチ引き上げられているが、
これは危機対応業務に対する政府の関与、
つまり同業務の円滑な
実施のための危機対応準備金の措置を前提とした政策的な支援を主に反映している。
本件劣後債の債務免除
や利払停止の場合にかかる政府支援の可能性は織り込んでいない。一方、
損失発生までのノッチングについ
ては、劣後性と利払停止のリスクを考慮し 3 ノッチとした。利払停止のリスクは、資本バッファー規制の対
象となる発行体において、バッファーの積立不足が生じる場合に、
当局の意向を含むその時々の情勢を受け
て利払停止となるリスクを勘案している。商工中金は、自己資本比率規制の対象にはなっていないが、商工
中金法に基づく経営の健全性を判断するための基準において、
「連結資本バッファー比率は最低水準以上を
目標とし自己資本の充実に努める」旨が規定されている。JCR は、商工中金が民間銀行と同様の資本規制を
順守すべく、規律をもった資本政策のもとで自己資本の充実を重視していくと想定している。
(担当)宮尾 知浩・南澤 輝
しかく格付対象
発行体:株式会社商工組合中央金庫
【新規】
対象 発行額 発行日 償還期日 利率 格付
第 2 回任意償還条項付無担保永久社
債(債務免除特約及び劣後特約付)
200 億円 2024 年 2 月 29 日 定めなし (注) A+
(注) 2029 年 5 月 9 日まで 2.162%。その翌日以降は 6 ヶ月日本円タイボーに 1.492%を加えた率。
【参考】
長期発行体格付:AA+ 見通し:ネガティブ 2/2Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
格付提供方針等に基づくその他開示事項
信用格付を付与した年月日:2024 年 2 月 22 日
信用格付の付与について代表して責任を有する者:宮尾 知浩
主任格付アナリスト:宮尾 知浩
評価の前提・等級基準:
評価の前提および等級基準は、JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「格付関連情報」に「信用格付の種
類と記号の定義」
(2014 年 1 月 6 日)として掲載している。
信用格付の付与にかかる方法の概要:
本件信用格付の付与にかかる方法の概要は、JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「格付関連情報」に、
「コーポレート等の信用格付方法」
(2024 年 2 月 1 日)、「財投機関等の格付方法」
(2020 年 5 月 29 日)、「銀行等」
(2021
年 10 月 1 日)、「金融機関等が発行する資本商品・TLAC 商品の格付方法」
(2017 年 4 月 27 日)として掲載している。
格付関係者:
(発行体・債務者等) 株式会社商工組合中央金庫
本件信用格付の前提・意義・限界:
本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。
なお、本件損失吸収条項付商品につき、約定により許容される利息の支払停止または元利金支払義務の免除が生じ
た場合、当該支払停止や免除は「債務不履行」に当たらないが、JCR では債務不履行の場合と同じ「D」記号を付与す
ることとしている。
本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性の
程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するものではな
い。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外の事項
は含まれない。
本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。また、
本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCR が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入手した
ものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。
本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者:
・ 格付関係者が提供した監査済財務諸表
・ 格付関係者が提供した業績、経営方針などに関する資料および説明
・ 格付関係者が提供した格付対象の商品内容に関する書類
利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要:
JCR は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、独
立監査人による監査、発行体もしくは中立的な機関による対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、当
該方針が求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。
格付関係者による関与:
本件信用格付の付与にかかる手続には格付関係者が関与した。
JCR に対して直近 1 年以内に講じられた監督上の措置: なし
しかく留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、または
その他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的
確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当
該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭
的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいか
んを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、JCR の格付は意見の表明であって、事
実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもあり
ません。JCR の格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として発行体より手
数料をいただいて行っております。JCR の格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。JCR の格付データを含め、本文書
の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
しかくNRSRO 登録状況
JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラスに登
録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。米国証券取引委員会規則 17g-7(a)項に基づ
く開示の対象となる場合、当該開示は JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/en/)に掲載されるニュースリリースに添付しています。
しかく本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026

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