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23-D-0090
2023 年 4 月 27 日
株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。
株式会社コンコルディア・フィナンシャルグループ (証券コード:7186)
【据置】
長期発行体格付 AA
格付の見通し 安定的
債券格付(損失吸収条項付 Tier2) AA-
発行登録債予備格付 AA
株式会社横浜銀行 (証券コード:-)
【据置】
長期発行体格付 AA
格付の見通し 安定的
株式会社東日本銀行 (証券コード:-)
【据置】
長期発行体格付 AA
格付の見通し 安定的
しかく格付事由
(1) コンコルディア・フィナンシャルグループ(コンコルディア FG)は、持株会社の傘下に横浜銀行、東日本
銀行、神奈川銀行、浜銀 TT 証券などを擁する地域金融グループ。グループの資金量は 20 兆円と業界トッ
プクラスで、神奈川、東京を中心に 9 都府県に広域ネットワークを構築している。神奈川銀行については、
株式公開買付を通じて 23 年 4 月に横浜銀行の子会社となった(買付終了後の株券等所有割合は 84.63%)。今後は残りの全株式の取得により横浜銀行の完全子会社となる予定である。
(2) コンコルディア FG のグループ信用力は、
顧客基盤の厚みや多様なソリューション提供を背景とした良好な
収益力、規律ある与信運営に支えられた資産の健全性、リスク対比で余裕のある資本充実度などを踏まえ
「AA」相当とみている。連結の損益・財務に占める神奈川銀行の割合は極めて小さいため、子会社化による
グループ信用力への影響は限定的である。グループの中核である横浜銀行は高水準の利益を確保しており、
低迷していた東日本銀行の業績は改善に向かっている。グループ全体で資産の質や資本充実度を保ちつつ、
基礎的な収益力を維持・強化していけるかが格付上のポイントである。
(3) 横浜銀行と東日本銀行(以下 2 行)合算のコア業務純益は増加傾向にある。横浜銀行を中心に国内外の貸出
金残高や預かり資産残高を積み上げており、資金利益、役務利益とも堅調に推移している。店舗統廃合など
で継続的に経費を削減しながら、
スマホアプリや法人向けポータルサイトなど非対面チャネルの機能充実な
どを通じて顧客接点を強化している。
ビジネス領域を拡大するため、ベンチャー企業などへの戦略的投資や
他行との連携にも積極的に取り組んでいる。
(4) 2 行合算の金融再生法開示債権比率は 1%台半ばと低く、与信費用は抑制されている。原燃料価格上昇など
の与信先への影響に留意する必要はあるが、
与信の分散状況などを踏まえれば、
今後の与信費用もコア業務
純益の範囲内に十分に収まると JCR はみている。市場部門では有価証券の評価損が拡大しているものの、
その規模は資本対比でみれば小さく、資産の入替を通じてポートフォリオの改善を進めている。 2/4Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
(5) リスクアペタイト・フレームワークを活用したリスクガバナンスの下、
保有資産にかかる各種リスクは適切
に管理されている。グループ連結の調整後 Tier1 比率は 11%程度と高く、資本はリスク対比で十分な厚みを
有している。
発行体:株式会社コンコルディア・フィナンシャルグループ
コンコルディア FG の金融持株会社。発行体格付は、ダブルレバレッジ比率が 100%を下回る水準で推移し
ていることやグループの財務運営方針などを勘案し、グループ信用力と同等としている。
発行体:株式会社横浜銀行
(1) 横浜市に本店を置く資金量 18 兆円の地方銀行。法人・個人の顧客基盤が厚く、神奈川県のリーディングバ
ンクとして堅固な事業基盤を有している。
発行体格付は、
グループにおける中核的な位置づけなどを踏まえ、
グループ信用力と同等としている。
グループ機能の活用やアライアンス先である千葉銀行やきらぼし銀行と
の業務提携などを背景に顧客基盤は一段と厚みを増している。
子会社化した神奈川銀行は資金量 5,000 億円
の第二地方銀行で、
今後はグループ機能の活用などにより、
同行のソリューションビジネスの強化や経営効
率化などを進める方針である。
(2) コア業務純益(投信解約損益除く)は 23/3 期第 3 四半期累計 677 億円と前年同期比 76 億円増加し、ROA
(コア業務純益ベース)は 0.4%台と高水準にある。ソリューション営業の強化に加え、ストラクチャード
ファイナンスや海外案件への取り組みなどを通じ、
法人向けの貸出金利息と役務収益を伸ばしている。
個人
向けの貸出金利息と役務収益も、
対面・非対面のアプローチ強化とファンドラップ商品や保障性保険の取り
扱いなどの効果で底堅く推移している。足元では、事務部門から営業部門への人員シフトや IT・デジタル部
門の人員増強などに取り組んでいる。
引き続き店舗統廃合などによる経費削減も見込まれ、
良好な収益力は
維持されると JCR はみている。
(3) 貸出資産の健全性は高い。金融再生法開示債権比率は 1%台前半と低く、分類率や大口集中リスクが抑えら
れている。
不動産関連の構成比は高いものの、
その多くは資産背景のある富裕層向けである。LBO ローンや
資本性ローンについては、商品特性に配慮しつつ慎重に残高を積み上げている。23/3 期第 3 四半期累計の
与信費用は 47 億円と貸出金残高の 5bp 相当(年換算)
、コア業務純益の 7%相当にとどまる。健全な資産内
容と厳格な与信運営を踏まえれば、
与信費用は抑制された推移が続くとみられる。市場部門で過大なリスク
テイクはみられない。債券の評価損は、国内外の金利上昇を受け円貨・外貨とも膨らんでいるが、資本対比
で少額である。低利回りの債券を売却し変動債の購入を進めるなど金利上昇への耐性を高めている。
発行体:株式会社東日本銀行
(1) 東京都内に本店を置く資金量 1.8 兆円の第二地方銀行。
創業地の茨城県を含む店舗網の見直しと都区部へ経
営資源の集約を進めている。発行体格付は、グループによる支援の可能性を踏まえ、グループ信用力と同等
としている。ソリューション営業への転換、拠点と人員のスリム化などの取り組みが奏功し、コア業務純益
は 20/3 期をボトムに増加に転じた。信用リスク管理の強化を背景に利益を圧迫していた与信費用は落ち着
きを取り戻し、23/3 期は 2 期連続で最終黒字を確保する見通しである。
(2) コア業務純益
(投信解約損益除く)
は 23/3 期第 3 四半期累計 58 億円と前年同期比 14 億円増加し、ROA(コ
ア業務純益ベース)は 0.3%台半ばと A レンジ平均並で推移している。取引先の事業計画に沿ったファイナ
ンススキームの組成や不動産の価値に着目した資金ニーズへの対応などにより、
中小企業向けの貸出金残高
を積み上げ、利回り低下に伴う利息収入の減少を小幅にとどめつつ、役務収益を伸ばしている。足元では都
区部の営業人員増強や本部組織の見直しなどに取り組んでおり、コア業務純益は今後も堅調に推移すると
JCR はみている。
(3) グループ一体で審査態勢の見直しや融資先の支援体制を充実させるなど信用リスク管理を強化しており、
22/3 期以降の与信費用は抑制されている。
しかし、
金融再生法開示債権比率は 22 年 12 月末 4%台前半と高
い。要注意先債権が増加傾向にあり、総与信に占める割合も大きい。不動産業向け貸出が資本対比で多い点 3/4Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
なども考慮すると、与信費用の今後の動向には留意する必要がある。一方、預証率は低く投資スタンスも慎
重なため、市場部門で抱えるリスクは小さい。
(担当)坂井 英和・木谷 道哉
しかく格付対象
発行体:株式会社コンコルディア・フィナンシャルグループ
【据置】
対象 格付 見通し
長期発行体格付 AA 安定的
対象 発行額 発行日 償還期日 利率 格付
第 3 回期限前償還条項付無担保社債
(実質破綻時免除特約及び劣後特約付)100 億円 2019 年 3 月 13 日 2029 年 3 月 13 日 (注 1) AA-
第 4 回期限前償還条項付無担保社債
(実質破綻時免除特約及び劣後特約付)100 億円 2019 年 3 月 22 日 2029 年 3 月 22 日 (注 2) AA-
第 5 回期限前償還条項付無担保社債
(実質破綻時免除特約及び劣後特約付)100 億円 2019 年 9 月 4 日 2029 年 9 月 4 日 (注 3) AA-
第 6 回期限前償還条項付無担保社債
(実質破綻時免除特約及び劣後特約付)100 億円 2020 年 3 月 19 日 2030 年 3 月 19 日 (注 4) AA-
第 7 回期限前償還条項付無担保社債
(実質破綻時免除特約及び劣後特約付)200 億円 2020 年 9 月 3 日 2030 年 9 月 3 日 (注 5) AA-
(注 1) 2024 年 3 月 13 日まで 0.49%。その翌日以降は 6 ヶ月ユーロ円ライボーに 0.49%を加えた率。
(注 2) 2024 年 3 月 22 日まで 0.49%。その翌日以降は 5 年物円スワップのミッド・レートに 0.49%を加算し、小数点
以下第 3 位を切り上げた率。
(注 3) 2024 年 9 月 4 日まで 0.37%。その翌日以降は 6 ヶ月ユーロ円ライボーに 0.55%を加えた率。
(注 4) 2025 年 3 月 19 日まで 0.45%。その翌日以降は 5 年物円スワップのミッド・レートに 0.63%を加算し、小数点
以下第 3 位を切り上げた率。
(注 5) 2025 年 9 月 3 日まで 0.60%。その翌日以降は 6 ヶ月ユーロ円ライボーに 0.62%を加えた率。
対象 発行予定額 発行予定期間 予備格付
発行登録債 2,000 億円 2021 年 7 月 29 日から 2 年間 AA
発行体:株式会社横浜銀行
【据置】
対象 格付 見通し
長期発行体格付 AA 安定的
発行体:株式会社東日本銀行
【据置】
対象 格付 見通し
長期発行体格付 AA 安定的 4/4Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
格付提供方針等に基づくその他開示事項
信用格付を付与した年月日:2023 年 4 月 25 日
信用格付の付与について代表して責任を有する者:宮尾 知浩
主任格付アナリスト:坂井 英和
評価の前提・等級基準:
評価の前提および等級基準は、JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「格付関連情報」に「信用格付の種
類と記号の定義」
(2014 年 1 月 6 日)として掲載している。
信用格付の付与にかかる方法の概要:
本件信用格付の付与にかかる方法の概要は、JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「格付関連情報」に、
「コーポレート等の信用格付方法」
(2014 年 11 月 7 日)、「銀行等」
(2021 年 10 月 1 日)、「金融グループの持株会社お
よび傘下会社の格付方法」
(2022 年 9 月 1 日)、「金融機関等が発行する資本商品・TLAC 商品の格付方法」
(2017 年 4
月 27 日)として掲載している。
格付関係者:
(発行体・債務者等) 株式会社コンコルディア・フィナンシャルグループ
株式会社横浜銀行
株式会社東日本銀行
本件信用格付の前提・意義・限界:
本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。
なお、本件劣後債につき、約定により許容される利息の支払停止が生じた場合、当該支払停止は「債務不履行」に当
たらないが、JCR では債務不履行の場合と同じ「D」記号を付与することとしている。
本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性の
程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するものではな
い。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外の事項
は含まれない。
本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。また、
本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCR が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入手した
ものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。
本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者:
・ 格付関係者が提供した監査済財務諸表
・ 格付関係者が提供した業績、経営方針などに関する資料および説明
利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要:
JCR は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、独
立監査人による監査、発行体もしくは中立的な機関による対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、当
該方針が求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。
格付関係者による関与:
本件信用格付の付与にかかる手続には格付関係者が関与した。
JCR に対して直近 1 年以内に講じられた監督上の措置: なし
しかく留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、または
その他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的
確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当
該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭
的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいか
んを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、JCR の格付は意見の表明であって、事
実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもあり
ません。JCR の格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として発行体より手
数料をいただいて行っております。JCR の格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。JCR の格付データを含め、本文書
の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
予備格付:予備格付とは、格付対象の重要な発行条件が確定していない段階で予備的な評価として付与する格付です。発行条件が確定した場合には当
該条件を確認し改めて格付を付与しますが、発行条件の内容等によっては、当該格付の水準は予備格付の水準と異なることがあります。
しかくNRSRO 登録状況
JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラスに登
録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。米国証券取引委員会規則 17g-7(a)項に基づ
く開示の対象となる場合、当該開示は JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/en/)に掲載されるニュースリリースに添付しています。
しかく本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026

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