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21-D-0850
2021 年 10 月 29 日
株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。
株式会社じもとホールディングス (証券コード:7161)
【変更】
長期発行体格付 BBB- → BBB
格付の見通し 安定的
株式会社きらやか銀行 (証券コード:-)
【据置】
長期発行体格付 BBB-
格付の見通し 安定的
株式会社仙台銀行 (証券コード:-)
【変更】
長期発行体格付 BBB- → BBB
格付の見通し 安定的
しかく格付事由
(1) じもとグループは、きらやか銀行(山形県)と仙台銀行(宮城県)を中核とする金融グループ。2 行合算
の資金量は 2.5 兆円と東北地銀のなかでは中位の規模。グループでは、きらやか銀行における、有価証券
ポートフォリオの再構築に伴う評価損の処理、およびコロナ禍での与信費用の増加などを主因として、
21/3 期に 31 億円の連結当期純損失を計上した。経営管理体制を強化するため、じもとホールディングス
(当社)と SBI ホールディングスは 20 年 11 月に資本業務提携し、21 年 3 月の SBI 地銀ホールディング
ス(同社)による 35 億円の普通株増資引受に伴い、同社は当社の筆頭株主(21 年 3 月末の議決権比率は
約 17%)となった。21 年 4 月から取り組む中期経営計画では、SBI グループからのノウハウ導入や同グ
ループへの人材派遣などを通じて、ビジネスマッチングなどの本業支援の深化、店舗戦略や業務プロセス
の見直しなどの業務変革、ガバナンス態勢の実効性向上など経営管理の高度化への取り組みを加速してい
る。
(2) 2 行合算ベースで、コア業務純益(投信解約益と債権売却益を除く。以下、同じ)は 21/3 期 51 億円と、
仙台銀行における利益拡大の貢献が大きく、前期比約 1.9 倍の大幅な増益となった。与信費用などの損失
吸収力は BBB レンジの地域銀行のなかで良好な水準まで改善し、今後も基礎的な収益力は高まる方向に
ある。開示債権比率は 21 年 6 月末で 2%台前半と問題の無い水準にあり、SBI グループとの連携で有価証
券ポートフォリオを見直すと共に市場部門におけるリスク管理も強化している。持株会社連結のコア資本
比率は 21 年 6 月末 8.2%で公的資金がコア資本の約 5 割を占める。JCR では 21 年 10 月 1 日に「銀行等」
の業種別格付方法を見直し、公的資金の資本性評価の限定的な取り扱いを緩和した。これに伴い公的資金
の資本性を加味した調整後のコア資本比率は 3%台半ばから 6%台後半まで上昇した。総じて、グループ
全体の信用力と仙台銀行単独でみた信用力は「BBB」相当まで高まっていることから、当社と仙台銀行の
格付を 1 ノッチ引き上げた。当社の格付には、ダブルレバレッジ比率などに問題がないとみられるため、
構造劣後性を反映していない。きらやか銀行の格付は、資産内容などを勘案すると、単独での信用力が
「BBB-」相当とみられるため、据え置きとした。
(3) きらやか銀行は資金量 1.3 兆円の第二地方銀行。山形県内の預貸金シェアは 2 割弱。地元 3 行間の貸出金
シェアは 2 番手にあるものの、法人顧客への本業支援の取り組みが充実しており、中小企業向け貸出残高 2/3https://www.jcr.co.jp/
はトップ水準にある。コア業務純益は 21/3 期 20 億円(前期 20 億円)と横這いで推移したが、22/3 期第
1 四半期は 12 億円と前年同期比 8 億円の増益。21/3 期下期に実行したエクイティ系を中心とする投信の
ロスカットとほぼ同時期に導入した海外債券ファンドなどにかかる利息収入が資金利益を押し上げている。
保険商品の販売などで役務収益が拡大し、職員数のスリム化などで経費も削減している。一方、貸出資産
に関しては、収益対比、未保全額が大きい業況不芳先が散見される。個別融資先の業績次第で与信費用が
膨らみ、損益が圧迫される可能性に注意が必要である。有価証券投資においては、投信がポートフォリオ
全体の 7 割弱を占め、投信を介して外貨の金利リスクを内包する債券へ主に投資している。SBI グループ
との緊密な協議を通じて、海外のイールドカーブの形状変化などへの対応力を高めているが、投信全体で
は評価損を抱えており、その解消が課題である。連結コア資本比率は 21 年 6 月末で 8.1%。公的資金の
資本性を加味した調整後のベースで 6%台前半を確保しているが、資本の質の向上が引き続き課題である。
じもと HD を通じて注入された公的資金の一部を 24 年 9 月に返済する方針であり、新たな資本調達を含
む、返済原資の確保に向けた進捗に注目していく。
(4) 仙台銀行は資金量 1.2 兆円の第二地方銀行。宮城県内の預貸金シェアは 1 割弱と小さいが、東北地方最大
の経済規模を有する恵まれた地盤に営業拠点を集約し、融資案件に迅速に対応できる態勢を整備している。
コア業務純益は 21/3 期 30 億円と前期比 24 億円の大幅な増益となり、22/3 期第 1 四半期も 9 億円と前年
同期比 7 億円の増益。中小企業向け貸出と住宅ローン残高の高い伸びに加え、20/3 期下期以降導入した
海外債券ファンドを中心とする有価証券の利息収入が資金利益を押し上げている。22/3 期に入り営業店
端末の更改などで経費は若干増えたが、投信や保険商品の販売が堅調で役務収益が拡大している。貸出資
産に関しては、開示債権に対する保全率が高く、総与信に占める分類債権の割合がかなり低い。不動産業
向け与信への集中がみられるが、貸出の小口分散も効いており、与信費用が多額となるリスクは抑えられ
ている。有価証券投資においては、投信がポートフォリオ全体の 8 割弱を占めており、投信を介して外貨
の金利リスクを内包する債券へ主に投資している。投信全体で評価益を抱えており、21/3 期は市場環境
の変化に応じて投資対象を機動的に入れ替えるなど SBI グループとの連携を通じて運用力を高めている。
連結コア資本比率は 21 年 6 月末で 8.4%。公的資金の資本性を加味した調整後のベースで 7%台後半と格
付 BBB に見合う水準を確保している。
(担当)大山 肇・木谷 道哉
しかく格付対象
発行体:株式会社じもとホールディングス
【変更】
対象 格付 見通し
長期発行体格付 BBB 安定的
発行体:株式会社きらやか銀行
【据置】
対象 格付 見通し
長期発行体格付 BBB- 安定的
発行体:株式会社仙台銀行
【変更】
対象 格付 見通し
長期発行体格付 BBB 安定的
格付提供方針に基づくその他開示事項
1. 信用格付を付与した年月日:2021 年 10 月 27 日
2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者:松村 省三
主任格付アナリスト:大山 肇
3. 評価の前提・等級基準:
評価の前提および等級基準は、JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「格付関連情報」に「信用格付の 3/3https://www.jcr.co.jp/
種類と記号の定義」
(2014 年 1 月 6 日)として掲載している。
4. 信用格付の付与にかかる方法の概要:
本件信用格付の付与にかかる方法の概要は、JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「格付関連情報」に、
「コーポレート等の信用格付方法」
(2014 年 11 月 7 日)、「銀行等」
(2021 年 10 月 1 日)、「金融グループの持株会社
および傘下会社の格付方法」
(2019 年 3 月 29 日)として掲載している。
5. 格付関係者:
(発行体・債務者等) 株式会社じもとホールディングス
株式会社きらやか銀行
株式会社仙台銀行
6. 本件信用格付の前提・意義・限界:
本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。
本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性
の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので
はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外
の事項は含まれない。
本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま
た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCR が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入
手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。
7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者:
・ 格付関係者が提供した監査済財務諸表
・ 格付関係者が提供した業績、経営方針などに関する資料および説明
8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要:
JCR は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、
独立監査人による監査、発行体もしくは中立的な機関による対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、
当該方針が求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。
9. JCR に対して直近 1 年以内に講じられた監督上の措置:なし
しかく留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また
はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、
的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、また
は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、
金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因
のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、JCR の格付は意見の表明であ
って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも
のでもありません。JCR の格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として
発行体より手数料をいただいて行っております。JCR の格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。JCR の格付データ
を含め、本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
しかくNRSRO 登録状況
JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラス
に登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。米国証券取引委員会規則 17g-7(a)
項に基づく開示の対象となる場合、当該開示は JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/en/)に掲載されるニュースリリースに添付しています。
しかく本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026

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