Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.

1/14Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
NEWS RELEASE
24-D-0870
2024 年 9 月 20 日
株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおりグリーンファイナンス・フレームワーク評価の
レビュー結果を公表します。
大和証券グループ本社
グリーンファイナンス・フレームワーク 据 置
発行体/借入人 株式会社大和証券グループ本社 (証券コード:8601)
評価対象
株式会社大和証券グループ本社
グリーンファイナンス・フレームワーク
概 要
株式会社大和証券グループ本社は、
国内第 2 位の業容を有する証券グループであり、
同業界大手
の一角を占める。株式会社クレディセゾンとの資本業務提携など外部ネットワークの拡大にも積極
的であるが、特定の金融グループとの提携、資本関係は持たず、独立した経営を行っている。当グ
ループの業務運営は、
主にウェルスマネジメント部門、
グローバルマーケッツ&インベストメント・
バンキング部門、アセット・マネジメント部門から構成される。伝統的な証券ビジネスに加えて、
資産管理型ビジネスにも注力し、ストック関連資産を着実に増加させている。また、近時は、外部
提携も活用しながら、不動産アセット・マネジメントや再生可能エネルギー事業等への投資にも注
力しており、安定した収益基盤の拡大に向けた取り組みを推進している。
今般の評価対象は、大和証券グループ本社がグリーンボンド及びグリーンローン(グリーンファ
イナンス)により調達する資金の使途を、環境改善効果を有するものに限定するために定めたグリ
ーンファイナンス・フレームワーク(本フレームワーク)である。JCR は、本フレームワークが「グ
総合評価
Green 1(F)
グリーン性評価
(資金使途)
g1 (F)
管理・運営
透明性評価
m1 (F)
2/14
Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
リーンボンド原則1」、
「グリーンローン原則2」、
「グリーンボンドガイドライン3
」及び「グリーンロ
ーンガイドライン4
」に適合しているか否かの評価を行う。これらの原則等は、国際資本市場協会
(ICMA)
、ローン・マーケット・アソシエーション(LMA)
、アジア太平洋ローン・マーケット・ア
ソシエーション(APLMA)
、ローン・シンジケーション・アンド・トレーディング・アソシエーショ
ン(LSTA)及び環境省が、それぞれ自主的に公表している原則又はガイドラインであって規制では
ないため、いかなる拘束力を持つものでもないが、JCR は現時点における国内外の統一された基準
として当該原則及びガイドラインを参照する。
JCR は、2024 年 1 月 31 日に大和証券グループ本社の本フレームワークに対してグリーンファイ
ナンス・フレームワーク評価結果として総合評価"Green1(F)"を付与している。今回のレビューは、
2024 年 4 月に施行された建築物の省エネ性能表示制度の改正及び BELS 新基準導入等を受けて、大和証券グループ本社が本フレームワークを改訂したことに伴い実施するものである。
大和証券グループ本社は、
2024 年 1 月時点の本フレームワークにおいて、
一定以上の認証水準を
有するグリーンビルディングの取得資金、又は一定以上の水準の認証取得に資する改修のための支
出又は投資を資金使途としている。
グリーンビルディングに関する適格クライテリアは、
DBJ Green
Building 認証 3 つ星以上、CASBEE 認証の B+ランク以上、又は BELS 評価 3 つ星以上のいずれかを
取得済もしくは今後取得予定の物件としている。JCR では、大和証券グループ本社の定めた適格ク
ライテリアは、環境改善効果を有するプロジェクトであると評価している。
その上で、大和証券グループ本社では、上記のグリーンビルディングの基準につき、CASBEE 認
証の範囲の明確化及び BELS 評価の適格ランクの変更を 2024 年 9 月に実施している。いずれを踏
まえても、変更後のグリーンビルディングの基準について、引き続き環境改善効果を有するもので
あると JCR は評価している。
大和証券グループ本社は、前回評価時と同様に、環境に関する明確な目標のもと、グリーンファ
イナンスの調達を企図している。プロジェクトへの投資の意思決定に際して、環境に対する負の影
響を引き続き適切に特定・管理し、必要に応じて適切な対応をとる方針である。プロジェクトの選
定に際して、フレームワークに記載のプロセスに従って企画・検証等が実施された後、最高財務責
任者(CFO)による承認を行う仕組みも引き続き確保されている。グリーンファイナンスによる調
達資金の管理は引き続き適切に定められている。レポーティング内容について、これまで開示され
た内容はいずれも適切であり、今後についても、本フレームワークに基づく情報開示が引き続き予
定されており、開示内容の適切性、透明性ともに確保されている。以上より、大和証券グループ本
社のグリーンファイナンスに係る管理・運営体制について、前回評価時と同様に適切であり透明性
が高いことを、JCR は確認した。
——————————————1International Capital Market Association (ICMA) "Green Bond Principles 2021"
https://www.icmagroup.org/green-social-and-sustainability-bonds/green-bond-principles-gbp/2Loan Market Association (LMA)、Asia Pacific Loan Market Association(APLMA)、Loan Syndications and Trading Association
(LSTA) "Green Loan Principles 2023"
https://www.lsta.org/content/guidance-on-green-loan-principles-glp/3環境省 「グリーンボンドガイドライン 2022 年版」
https://www.env.go.jp/content/000062495.pdf4環境省 「グリーンローンガイドライン 2022 年版」
https://www.env.go.jp/content/000062495.pdf
3/14
Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
この結果、本フレームワークについて、JCR グリーンファイナンス評価手法に基づき、
「グリーン
性評価(資金使途)
」を"g1(F)"、
「管理・運営・透明性評価」を"m1(F)"とし、
「JCR グリーンファイナ
ンス・フレームワーク評価(総合評価)
」を"Green 1(F)"とした。
本フレームワークは「グリーンボンド原則」、「グリーンローン原則」
、環境省の「グリーンボンド
ガイドライン」及び「グリーンローンガイドライン」において求められる項目について基準を満た
していると JCR は評価している。
4/14
Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
目 次
しかくレビュー事項
しかくレビュー内容
1. 調達資金の使途
2. 資金使途の選定基準とプロセス
3. 調達資金の管理
4. レポーティング
5. 組織のサステナビリティへの取り組み
しかくレビュー結果(結論)
5/14
Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
レビュー事 項
本項では、フレームワークのレビューにおいて確認すべき項目を記載する。レビューでは前回評
価時点と比較して、内容が変化している項目について重点的に確認を行う。
1. 調達資金の使途
グリーンファイナンスの適格クライテリアの分類や資金使途について、変更後も引き続きグリー
ン性を有しているか。
2. 資金使途の選定基準とプロセス
グリーンファイナンスを通じて実現しようとする目標、グリーンプロジェクトの選定基準とその
プロセスについて引き続き適切であるか。
3. 調達資金の管理
グリーンファイナンスによって調達された資金が、確実にグリーンプロジェクトに充当され、そ
の充当状況が容易に追跡管理できるような仕組みと内部体制が引き続き適切に整備されているか。
4. レポーティング
グリーンファイナンスに係るレポーティング体制につき、引き続き適切に整備され、運用されて
いるか
5. 組織のサステナビリティへの取り組み
発行体の経営陣がサステナビリティにつき、引き続き経営上優先度の高い重要課題と位置付けて
いるか。
6/14
Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
レビュー内 容
1. 調達資金の使途
大和証券グループ本社では、本フレームワークにおいて、調達資金の使途を以下の通り定めてい
る(太字を施している部分が今般の変更点)。資金使途に係る本フレームワーク
[調達資金の使途]
グリーンファイナンスで調達された資金は、以下の新規又は既存の適格グリーンプロジェクト
に係る資金に充当される予定です。
適格グリーンプロジェクト 適格クライテリア
再生可能エネルギー
以下の再生可能エネルギー発電の開発、建設、運営保守、取得のための支
出又は投資
・太陽光発電
・風力発電
・地熱発電(直接排出量が 100g-CO2/kWh を下回るもの)
・水力発電(発電容量が 20MW を超える大型のものを除く)
・バイオマス発電(燃料の調達先が同県もしくは隣県であるもの)
グリーンビルディング
以下のいずれかの認証を取得済又は取得予定の高い環境性能を有する建築
物の建設、取得、ならびに以下のいずれかの水準を満たす認証取得に資す
る改修のための支出又は投資
・DBJ Green Building 認証の 3 つ星、4 つ星、5 つ星
・CASBEE-建築、CASBEE-不動産の B+ランク、A ランク、S ランク
・自治体版 CASBEE の B+ランク、A ランク、S ランク(工事完了日から
3 年以内のものに限る)
・2024 年 3 月末日以前に取得した BELS(平成 28 年度基準)3 つ星、4 つ
星、5 つ星かつ新省エネ基準における既存不適格ではないこと(物流施
設・工場等において 3 つ星は BEI=0.75 以下とする)
・2024 年 4 月 1 日以降に取得した BELS(令和 6 年度基準)におけるレ
ベル 4、5、6(非住宅)
【本フレームワークに対する JCR の評価】
(1)資金使途 1:再生可能エネルギー
本フレームワークのうち、再生可能エネルギーに係る資金使途に関して、今般の改訂において、大
和証券グループ本社では、内容面で特段の変更は実施していない。
大和証券グループ本社では、前回評価時と同様、本フレームワークに基づくグリーンファイナンス
により調達した資金の使途を、大和エナジー・インフラ株式会社を通じて実施する再生可能エネルギ
ープロジェクトとすることを想定している。また、プロジェクトへの投資に際しては、必要に応じて
外部事業者との協業も活用し、外部環境への影響を勘案して今後も事業を展開していく想定である。
なお、バイオマス発電に関しては、従来から、固定価格買取制度上の新規燃料に係る要件(食料競合
7/14
Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
への懸念の有無・ライフサイクル GHG を含めた持続可能性基準の充足の是非)を考慮したプロジェ
クトを資金使途の対象としており、今後も、当該事業の運営方針に引き続き変化がないことを JCR
は確認している。
(2)資金使途 2:グリーンビルディング
本フレームワークのうち、グリーンビルディングに係る資金使途に関して、今般の改訂では、適格
クライテリアに定める建物の環境認証のうち、CASBEE 認証の明確化及び BELS 評価の適格ランクの
変更を行っている。
以下においては、本フレームワークの内容に影響する変更をおこなった CASBEE 認証及び BELS 評
価につき概要を示すが、今般の改訂後の適格クライテリアの内容は、引き続き高い環境改善効果が期
待できる物件等への支出、投資を対象としていると JCR は評価している。
CASBEE(建築環境総合性能評価システム)
CASBEE とは、建築環境総合性能評価システムの英語名称(Comprehensive Assessment System for
Built Environment Efficiency)の頭文字をとったものであり、建築物の環境性能を評価し格付けする手
法である。2001 年 4 月に国土交通省住宅局の支援のもと、産官学共同プロジェクトとして建築物の
総合的環境評価研究委員会が設立され、以降継続的に開発とメンテナンスが行われている。評価ツー
ルには、CASBEE-建築、CASBEE-街区のほか、不動産マーケット向けに環境性能を分かりやすく示す
ことを目的に開発された CASBEE-不動産等がある。
CASBEE-建築(新築)の評価は、エネルギー消費、資源循環、地域環境、室内環境の 4 分野におけ
る評価項目について、建築物の「環境品質(Q=Quality)
」と建築物の「環境負荷(L=Load)
」の観点
から再構成のうえ、L を分母、Q を分子とする BEE(建築物の環境効率)の値によって行われる。評
価結果は、S ランク(素晴らしい)
、A ランク(大変良い)
、B+ランク(良い)
、B-ランク(やや劣る)、C ランク(劣る)
、の 5 段階(CASBEE-不動産は S ランク(素晴らしい)
、A ランク(大変良い)
、B+
ランク(良い)
、B ランク(必須項目を満足)の 4 段階)に分かれている。高評価をとるためには、
省エネルギーや環境負荷の少ない資機材を使用する等の環境への配慮に加え、
室内の快適性や景観へ
の配慮等も必要であり、総合的な建物の品質の高さが求められる。
CASBEE-不動産は、CASBEE における建物の環境評価の結果が、不動産評価の際に活用されるこ
とを目的として開発されたものであり、不動産評価に関連が強い項目に絞って評価基準が策定され
ている。CASBEE-不動産の評価項目は、1.エネルギー/温暖化ガス、2.水、3.資源利用/安全、4.生
物多様性/敷地、5 屋内環境の 5 つである。評価手法は、1主要な世界の評価ツールの重み付けの
整合性を取る、2加点方式とする、3必須項目 5 項目、加点項目 16 項目とし、満点時に 100 点と
する、4必須項目を満たさなければ、評価の対象外とする等である。
自治体版 CASBEE は、
建築物に対して、
地域特性に応じた環境配慮を実現すべきとの考えのもとに
開発されたものであり、政令指定都市を中心に、
「建築物環境配慮制度」の届出制度などに活用され
ている。その中で、自治体の考え方や地域特性に応じて、CASBEE-建築で使用される評価ソフトの計
算結果に従って評価が行われる。また、本フレームワークではルックバック期間を工事完了日より 3
年としており、CASBEE-建築(新築)の有効期間と一致している。以上より、自治体版 CASBEE も
CASBEE-建築と同等の環境改善効果があると判断できる。
8/14
Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
今般、大和証券グループ本社が適格クライテリアに定めた認証水準を有する建物は、CASBEE-建
築(新築)に関しては BEE1.0 以上に相当し、
「環境負荷」に対して「環境品質」が明確に上回る物
件と言える。
また、
CASBEE-不動産に関しては、
計測の基準は BEE ではないものの、
従来の CASBEE-
建築等における B+相当の性能を有する物件と考えられる。
自治体版 CASBEE についても、
CASBEE-
建築と同等の環境改善効果があると判断できる。これらを踏まえ、当該クライテリアに定める認証
水準は、総じて十分な環境改善効果を有し、資金使途として適切であると JCR は評価している。
BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)
BELS とは、建築物省エネルギー性能表示制度の英語名称(Building-Housing Energy-efficiency
Labeling System)の頭文字をとったものであり、新築・既存の建築物において、省エネ性能を第三者
評価機関が評価し認定する制度である。外皮性能及び一次エネルギー消費量が評価対象となり、高評
価のためには優れた省エネ性能を有していることが求められる。
評価結果はBEI
(Building Energy Index)
によってレベル分けされる。BEI は、設計一次エネルギー消費量を分子、基準一次エネルギー消費量
を分母とする、基準値に比した省エネ性能を測る尺度である。従来の基準(平成 28 年度基準)では
1つ星から5つ星の5段階で評価されており、2つ星は省エネ基準を満たしている。
改正建築物省エネ法の 2024 年 4 月 1 日施行により、2,000m2
以上の非住宅大規模建築物を対象の
省エネ基準が厳格化された。施行後の省エネ基準は建物用途によって異なり、物流施設を含む工場等
では 25%以上削減、事務所・学校・ホテル・百貨店等では 20%以上となっている。同改正に基づき、
建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度が 2024 年 4 月に強化され、BELS に新基準(令和 6 年
度基準)が導入された。新基準においては、再生可能エネルギー設備がある住宅及び非住宅に対して
は、レベル 6(消費エネルギー削減率が 50%以上)〜レベル 0(消費エネルギー削減率が 0%未満)の
7 段階で評価され、再生可能エネルギー設備がない住宅に対しては、レベル 4(消費エネルギー削減
率が 30%以上)〜レベル 0(消費エネルギー削減率が 0%未満)の 5 段階で評価される仕組みとなっ
ている。新基準における BELS のレベル 4(消費エネルギー削減率が 30%以上 40%未満)以上は、全
ての非住宅建築物の省エネ基準を満たす建築物を対象として付与されており、
一部の用途については
誘導基準になっている。住宅については従来の基準と変わらず、消費エネルギー削減率 0%以上が省
エネ基準、20%以上が誘導基準となっている。
大和証券グループ本社が適用した BELS におけるクライテリアは、
省エネ性能
(住宅:BEI 値 0.8 以
下、非住宅:BEI 値 0.75 以下)を有することとなり、資金使途として適切であると JCR は考えてい
る。
9/14
Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
2. 資金使途の選定基準とプロセス
大和証券グループ本社が本フレームワークで定める資金使途の選定基準とプロセスは以下の通
りである(前回評価時からの変更点は特段なし)。プロセスに係る本フレームワーク(抜粋)
[プロジェクトの評価及び選定のプロセス]
適格グリーンプロジェクトは、当社資金部が、必要に応じて当社及び当社の関係会社の専門
的知見を有する関係部署と連携し、候補プロジェクトを適格クライテリアに従って評価・選定
します。
最終決定は、
選定された適格グリーンプロジェクトをもとに最高財務責任者(CFO)が行
います。
【本フレームワークに対する JCR の評価】
JCR では、本フレームワークに記載された選定基準及びそのプロセスに係る妥当性について、前
回評価時点において適切と評価している。
JCR では、
本フレームワークに係る今般の改訂を受けて、
これらの論点につき、一部軽微なものを除き特段の変更がないことを確認しており、引き続き適切
であると評価している。
10/14
Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
3. 調達資金の管理
大和証券グループ本社が本フレームワークで定める調達資金の管理については以下の通りであ
る(前回評価時からの変更点は特段なし)。資金管理に係る本フレームワーク(抜粋)
[調達資金の管理]
調達資金の管理と充当は、当社資金部が行います。グリーンファイナンスによる調達資金の
充当状況については、
独立した台帳を用いて継続的に追跡・管理を行います。
適格グリーンプロ
ジェクトに充当予定の未充当資金については、その資金残高と同額を、現金又は現金同等物に
一時的に投資し、実務上可能な限り速やかに適格グリーンプロジェクトに充当します。
【本フレームワークに対する JCR の評価】
JCR では本フレームワークに記載された資金管理について、前回評価時点において妥当と評価し
ている。JCR では、本フレームワークに係る今般の改訂を受けて、これらの論点につき、組織名等
の一部軽微なものを除き特段の変更がないことを確認しており、引き続き適切であると評価してい
る。
11/14
Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
4. レポーティング
大和証券グループ本社が本フレームワークで定めるレポーティングについては以下の通りであ
る(前回評価時から変更点は特段なし)。レポーティングに係る本フレームワーク(抜粋)
<資金充当状況レポーティング>
当社は資金の充当状況について、グリーンファイナンスの残存期間中、調達資金の全額が適格
グリーンプロジェクトに充当されるまでの間、ウェブサイトで年1回、また重要な変更があった
場合必要に応じて、レポーティングを行います。この情報には以下の内容を掲載します。
・資金を充当した適格グリーンプロジェクトの概要
・資金充当額
・ファイナンスとリファイナンスの別
・未充当分がある場合はその金額
<インパクト・レポーティング(開示方法・開示頻度)>
当社は資金を充当した適格グリーンプロジェクトの環境改善効果について、グリーンファイナ
ンスの残存期間中、ウェブサイトで年1回レポーティングを行います。この情報には実務上可能
な範囲で以下の指標を掲載します。
再生可能エネルギー
・CO2 排出削減量
・発電量
グリーンビルディング
・認証の種類
・レベル
【本フレームワークに対する JCR の評価】
JCR では本フレームワークに記載されたレポーティングについて、前回評価時点において適切と
評価している。JCR では、本フレームワークに係る今般の改訂を受けて、レポーティング内容等に
特段の変更がないことを確認しており、引き続き適切であると評価している。
なお、
これまでのレポーティング実績について、
大和証券グループ本社のウェブサイトにおいて、
本フレームワークに基づき適切に実施されている5
ことを JCR は確認している。
——————————————5大和証券グループ本社 ウェブサイト(https://www.daiwa-grp.jp/sustainability/environment/green̲finance.html)を参照
12/14
Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
5. 組織のサステナビリティに係る取り組み
大和証券グループは、国内第 2 位の業容を有する大手証券グループである。持株会社である大和証券
グループ本社と中核子会社である大和証券の他、大和アセットマネジメント、大和総研、大和エナジー・
インフラ、大和リアル・エステート・アセットマネジメントなどの国内外のグループ会社から構成され
る。以下では、当グループのサステナビリティ及び環境への取り組みについて検討する。
大和証券グループは、企業理念として「信頼の構築」
「人材の重視」
「社会への貢献」
「健全な利益の確
保」の 4 点を掲げ、これらの理念を基礎として「金融・資本市場を通じて社会及び経済の発展に資する」
というミッションを達成すべく、事業を展開している。
当該ミッションの実現に向けて、大和証券グループは、2030 年に目指す姿を示すべく、2021 年に策定
した経営ビジョン「2030Vision」6
を、2024 年に改定している。同ビジョンでは、SDGs のゴールである
2030 年の先の未来も見据えて取り組みを展開すべきとの考えのもと、コアコンセプトを「金融・資本市
場を通じ、豊かな未来を創造する」に改めている。また、当該コアコンセプトを実現する上でのマテリア
リティとしては、
「イノベーション」
「グリーン&ソーシャル」
「ダイバーシティ&インクルージョン」
「人
生 100 年時代」
「サステナブル経営の基盤」の 5 点が引き続き掲げられている。
また、
「大和証券グループ カーボンニュートラル宣言」に定める目標の実現に向けた 2050 年までの具
体的な方向性を示したロードマップでは、
「金融ビジネスを通じた取組み」の一環として、
「グリーンファ
イナンス/トランジション・ファイナンスの促進」・「再生可能エネルギー分野における事業投資の拡大」
が具体的な指針として示されており、
本フレームワークに基づくグリーンファイナンスは、
当該指針に合
致したものである。
このように、
本フレームワークに基づくグリーンファイナンスは、
その使途対象である各プロジェクト
への投融資の実施を通じて、大和証券グループ本社が掲げる環境面での重点課題の解決を推進する取り
組みと位置付けることができる。
大和証券グループのサステナビリティ推進体制としては、グループ方針の議論の場として、2018 年よ
り CEO を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置している。同委員会では、サステナビリ
ティの取り組みに関して議論を実施する他、
当該議論内容を取締役会や執行役会へ適宜報告する。
また、
同委員会には社外有識者も常時参加しており、外部識者の経験・知見も取り入れられている。その上で、
事務局であるサステナビリティ推進部より、グループ全体への展開が図られている。
以上より、
JCR では、
大和証券グループ本社が環境問題を始めとするサステナビリティに関する問題を
経営の重要課題と位置づけているほか、
専門的知見を有する部署や外部専門家との連携を通じて、
サステ
ナビリティ課題への取り組み体制を引き続き適切に整備していると評価している。
——————————————6大和証券グループ本社 ウェブサイト(https://www.daiwa-
grp.jp/sustainability/group̲sustainability/sustainability̲management.html)を参照
13/14
Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
レビュー結 果 (結 論 ) Green 1(F)
本フレームワークの内容は、変更点を含めて、資金使途であるグリーンプロジェクトにおいて高
い環境改善効果が期待できるものであることを JCR は確認した。また、本フレームワークは、
「グ
リーンボンド原則」、「グリーンローン原則」、「グリーンボンドガイドライン」及び「グリーンロー
ンガイドライン」において求められる項目について基準を満たしていると考えられる。
管理・運営・透明性評価
m1(F) m2(F) m3(F) m4(F) m5(F)グリーン性評価g1(F) Green 1(F) Green 2(F) Green 3(F) Green 4(F) Green 5(F)
g2(F) Green 2(F) Green 2(F) Green 3(F) Green 4(F) Green 5(F)
g3(F) Green 3(F) Green 3(F) Green 4(F) Green 5(F) 評価対象外
g4(F) Green 4(F) Green 4(F) Green 5(F) 評価対象外 評価対象外
g5(F) Green 5(F) Green 5(F) 評価対象外 評価対象外 評価対象外
(担当)玉川 冬紀・永安 佑己
14/14
Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
本評価に関する重要な説明
1. JCR グリーンファイナンス・フレームワーク評価の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が付与し提供する JCR グリーンファイナンス・フレームワーク評価は、グリーンファイナ
ンス・フレームワークで定められた方針を評価対象として、JCR の定義するグリーンプロジェクトへの適合性ならび
に資金使途等にかかる管理、運営及び透明性確保の取り組みの程度に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明
です。したがって、当該方針に基づき実施される個別債券または借入等の資金使途の具体的な環境改善効果及び管
理・運営体制・透明性評価等を行うものではなく、当該フレームワークに基づく個別債券または個別借入につきグリ
ーンファイナンス評価を付与する場合は、別途評価を行う必要があります。また、JCR グリーンファイナンス・フレ
ームワーク評価は、当該フレームワークに基づき実施された個別債券または借入等が環境に及ぼす改善効果を証明
するものではなく、環境改善効果について責任を負うものではありません。グリーンファイナンス・フレームワーク
により調達される資金の環境改善効果について、JCR は発行体及び/または借入人(以下、発行体と借入人を総称し
て「資金調達者」という)または資金調達者の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定される事項を確認しま
すが、原則としてこれを直接測定することはありません。なお、投資法人等で資産がすべてグリーンプロジェクトに
該当する場合に限り、グリーンエクイティについても評価対象に含むことがあります。
2. 本評価を実施するうえで使用した手法
本評価を実施するうえで使用した手法は、JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「サステナブルファイナ
ンス・ESG」に、
「JCR グリーンファイナンス評価手法」として掲載しています。
3. 信用格付業にかかる行為との関係
JCR グリーンファイナンス・フレームワーク評価を付与し提供する行為は、
JCR が関連業務として行うものであり、
信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束
するものではありません。
5. JCR グリーンファイナンス・フレームワーク評価上の第三者性
本評価対象者と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
しかく留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、資金調達者及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また
はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、
的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または
当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金
銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のい
かんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。JCR グリーンファイナンス評価は、評価の
対象であるグリーンファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するもので
はありません。また、JCR グリーンファイナンス評価は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の
債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。JCR グリーンファイナンス評価は、情
報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。JCR グリーンファイナンス評価のデータを含め、本文書に
かかる一切の権利は、JCR が保有しています。JCR グリーンファイナンス評価のデータを含め、本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、
翻案、改変等をすることは禁じられています。
しかく用語解説
JCR グリーンファイナンス・フレームワーク評価:グリーンファイナンス・フレームワークに基づき調達される資金が JCR の定義するグリーンプロジ
ェクトに充当される程度ならびに当該グリーンファイナンスの資金使途等にかかる管理、運営及び透明性確保の取り組みの程度を評価したものです。
評価は 5 段階で、上位のものから順に、Green1(F)、Green2(F)、Green3(F)、Green4(F)、Green5(F)の評価記号を用いて表示されます。
しかくサステナビリティファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・ 環境省 グリーンファイナンス外部レビュー者登録
・ ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録)
・UNEP FI ポジティブインパクト金融原則 作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候債イニシアティブ認定検証機関)
しかくその他、信用格付業者としての登録状況等
・ 信用格付業者 金融庁長官(格付)第 1 号
・ EU Certified Credit Rating Agency
・ NRSRO:JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、
以下の 4 クラスに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。米国証券取引委員会
規則 17g-7(a)項に基づく開示の対象となる場合、当該開示は JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/en/)に掲載されるニュースリリースに添付し
ています。
しかく本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /