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22-D-1184
2022 年 12 月 28 日
株式会社北洋銀行が実施する
平和不動産株式会社に対する
サステナビリティ・リンク・ローンに係る第三者意見
株式会社日本格付研究所(JCR)は、株式会社北洋銀行(貸付人)が平和不動産株式会社(借入人)に実
施するサステナビリティ・リンク・ローンに対し、第三者意見書を提出しました。
<要約>
本第三者意見書は、株式会社北洋銀行(貸付人)が平和不動産株式会社(借入人)に実施するサステ
ナビリティ・リンク・ローン(SLL)(本ローン)に対して、サステナビリティ・リンク・ローン原則
(SLLP) および環境省によるサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン
(環境省ガイドライン)
(SLLP および環境省ガイドラインを総称して「SLLP 等」)への適合性を確認したものである。株式会
社日本格付研究所(JCR)は、SLLP 等で推奨されている評価の透明性および客観性確保のため、独立
した第三者機関として、(1)平和不動産のサステナビリティ戦略とキー・パフォーマンス・インディケ
ーター(KPI)およびサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPT)の設定、(2)融資条件と
期中のモニタリング体制について第三者評価を行った。
(1) 借入人のサステナビリティ戦略と KPI・SPT の設定について
借入人は、本ローンにおいて、以下のKPI・SPTを設定することで貸付人と合意した。
平和不動産は、1947 年に日本証券取引所(全国 11 ヵ所の株式取引所を統合して 1943 年に設立され
た半官半民の営団組織の取引所)が解散されるにあたり、同所が東京、大阪、名古屋その他に所有する
証券取引所等の施設を賃貸することを目的として設立された不動産会社である。2022 年 3 月期事業セ
グメント別売上構成比は、ビルディング事業 94.1%、アセットマネジメント事業 5.9%である。なお、
2011 年 2 月に、三菱地所株式会社と資本業務提携契約を締結し、第三者割当増資を実施した。2022 年
3 月期末の所有株数割合は 11.67%である。
平和不動産は、2020 年度から 2023 年度までを計画期間とする中期経営計画において、平和不動産
が目指す姿として株主価値の向上を追求する「株主価値の向上」のみならず、
街づくりに貢献する会社
としてサステナブルな社会の実現への貢献を目指す「社会価値の向上」を掲げており、環境・社会課題
の解決や各ステークホルダーとの双方向のコミュニケーションを通じて満足度を高めることにより、
サステナブルな社会の実現に貢献するとともに企業価値の向上を図るとしている。
本ローンにおいて、平和不動産は GHG 排出量削減を KPI として設定している。平和不動産は、サス
テナビリティ上の重要課題として気候変動への対策を特定し、中期経営計画において気候変動を含め
た 2030 年度目標を設定の上、単年度の目標を設定し、取り組みを推進している。また、気候変動分野
の中長期目標については 2021 年 10 月に上方修正を行ったものであり、本中長期目標で掲げる GHG
排出量削減を本ローンの KPI として選定していることから、平和不動産のサステナビリティ戦略に係
る目標と整合的であり、本取り組みは同社の企業価値向上において有意義な KPI であると JCR は評価
している。
KPI:温室効果ガス(GHG)排出量(総量ベース、スコープ 1, 2)の削減
SPT:2030 年度までに GHG 排出量(総量ベース、スコープ 1, 2)を 2018 年度比 50%削減 2/2Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
また、本ローンにて測定される SPT に関し、平和不動産は 2030 年度までに 2018 年度比 50%削減と
設定している。本目標は、日本政府の温室効果ガス排出量削減目標である 2013 年度比 46%削減の目標
と比較した場合、基準年度が新しく、削減割合の数値も上回っている。同業他社と比較した場合につい
ても、ほとんどの同業他社が設定している中長期目標を上回っていることを JCR は確認している。ま
た、
パリ協定にて求められる 1.5°C目標の水準を満たす SBT 認証を取得していることからも、国際的な
目標設定の水準を満たしていると言える。平和不動産の設定した KPI について、同社の Web サイトに
おいて過去の実績を公開しており、本ローンにおいて測定する SPT については、基準年の 2018 年度に
おける GHG 排出量実績の 30,230t-CO2 に対して、2030 年度までに 50%を削減する目標を設定してい
る。これまでの GHG 排出量(スコープ 1,2)の実績値と比較した場合、直近年である 2021 年度は累積
で目標対比約 22%減少させているが、依然として今後大きく削減を進める必要がある。
以上より、本ローンで選定した KPI および SPT はいずれも有意義性があり、野心的であると JCR は
評価している。
(2) 融資条件と期中のモニタリング体制について
JCRは、融資条件におけるインセンティブ内容について、借入人と貸付人の双方が納得のいく形で
設定されていること、返済期限到来までSPTの進捗の確認および金利見直しのタイミングを複数回設
け、当該タイミング時のSPTの進捗状況と貸出条件等が連動されていること、返済期限到来時に最終
的なサステナビリティ達成度について確認を行うことを確認した。また、借入人は、KPIのパフォー
マンスについて、毎会計年度終了後、貸付人に開示の予定であり、SPTの実績に関し、外部認証機関
により第三者検証を取得する予定である。仮に期中においてSPTにかかる重大な変更が発生した場合
には、JCRがレビューを行い、引き続きSLLP等への準拠状況と当初想定していた野心度や有意義性が
維持されるか否かを確認する。なお、返済期限到来年に借入人、貸付人およびJCRの3者で本ローンに
係る振り返りを行い、SPTの達成状況に加え、借入人および社会に対するインパクトの発現状況を評
価することとしている。
以上の考察から、JCRは、今回の第三者意見提供対象である借入人に対する本ローンが、SLLP等に
適合していることを確認した。
*詳細な意見書の内容は次ページ以降をご参照ください。
JapanCreditRatingAgency,Ltd.
- 1 -
第三者意見
評価対象:サステナビリティ・リンク・ローン
借入人:平和不動産株式会社
貸付人:株式会社北洋銀行
2022 年 12 月 28 日
株式会社 日本格付研究所
JapanCreditRatingAgency,Ltd.
- 2 -
目次
<要約>...................................................................................................................................................- 3 -
I. 第三者意見の位置づけと目的...........................................................................................................- 5 -
II. 第三者意見対象の概要......................................................................................................................- 5 -
III. 本ローンの SLL 原則等との適合性確認...........................................................................................- 6 -
1. 本ローンのサステナビリティとの関係性.....................................................................................- 6 -
2. KPI 選定の妥当性..........................................................................................................................- 6 -
2-1. 評価の視点................................................................................................................................- 6 -
2-2. 評価対象の現状と JCR の評価 .................................................................................................- 6 -
i. 平和不動産のサステナビリティ戦略.........................................................................................- 6 -
ii. KPI のサステナビリティ戦略における位置づけと有意義性.....................................................- 9 -
3. SPT の測定..................................................................................................................................- 10 -
3-1. 評価の視点..............................................................................................................................- 10 -
3-2. 評価対象の現状と JCR の評価 ...............................................................................................- 10 -
i. SPT の野心度(他社比較・その他指標との比較).................................................................- 10 -
ii. SPT の野心度(自社比較).....................................................................................................- 11 -
iii. SPT の野心度(目標達成に向けた具体的施策)...................................................................- 12 -
3-3. JCR によるインパクト評価.....................................................................................................- 13 -
4. ローンの特性...............................................................................................................................- 15 -
4-1. 評価の視点..............................................................................................................................- 15 -
4-2. 評価対象の現状と JCR の評価 ...............................................................................................- 15 -
5. レポーティングと検証 ................................................................................................................- 16 -
5-1. 評価の視点..............................................................................................................................- 16 -
i. 開示予定項目 ...........................................................................................................................- 16 -
ii. 検証.........................................................................................................................................- 16 -
5-2. 評価対象の現状と JCR の評価 ...............................................................................................- 16 -
6. SLLP 等との適合性に係る結論...................................................................................................- 17 -
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- 3 -
<要約>
本第三者意見書は、株式会社北洋銀行(貸付人)が平和不動産株式会社(借入人)に実施するサステナ
ビリティ・リンク・ローン
(SLL)
(本ローン)
に対して、
サステナビリティ・リンク・ローン原則
(SLLP)
1および環境省によるサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン(環境省ガイドライン)
(SLLP お
よび環境省ガイドラインを総称して「SLLP 等」
)への適合性を確認したものである。株式会社日本格付
研究所(JCR)は、SLLP 等で推奨されている評価の透明性および客観性確保のため、独立した第三者機
関として、(1)平和不動産のサステナビリティ戦略とキー・パフォーマンス・インディケーター(KPI)お
よびサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPT)の設定、(2)融資条件と期中のモニタリング
体制について第三者評価を行った。
(1) 借入人のサステナビリティ戦略と KPI・SPT の設定について
借入人は、本ローンにおいて、以下のKPI・SPTを設定することで貸付人と合意した。
平和不動産は、1947 年に日本証券取引所(全国 11 ヵ所の株式取引所を統合して 1943 年に設立された
半官半民の営団組織の取引所)が解散されるにあたり、同所が東京、大阪、名古屋その他に所有する証券
取引所等の施設を賃貸することを目的として設立された不動産会社である。2022 年 3 月期事業セグメン
ト別売上構成比は、ビルディング事業 94.1%、アセットマネジメント事業 5.9%である。なお、2011 年
2 月に、三菱地所株式会社と資本業務提携契約を締結し、第三者割当増資を実施した。2022 年 3 月期末
の所有株数割合は 11.67%である。
平和不動産は、2020 年度から 2023 年度までを計画期間とする中期経営計画において、平和不動産が
目指す姿として株主価値の向上を追求する「株主価値の向上」のみならず、街づくりに貢献する会社とし
てサステナブルな社会の実現への貢献を目指す「社会価値の向上」を掲げており、環境・社会課題の解決
や各ステークホルダーとの双方向のコミュニケーションを通じて満足度を高めることにより、サステナ
ブルな社会の実現に貢献するとともに企業価値の向上を図るとしている。
本ローンにおいて、平和不動産は GHG 排出量削減を KPI として設定している。平和不動産は、サス
テナビリティ上の重要課題として気候変動への対策を特定し、中期経営計画において気候変動を含めた
2030 年度目標を設定の上、単年度の目標を設定し、取り組みを推進している。また、気候変動分野の中
長期目標については 2021 年 10 月に上方修正を行ったものであり、
本中長期目標で掲げる GHG 排出量
削減を本ローンの KPI として選定していることから、平和不動産のサステナビリティ戦略に係る目標と
整合的であり、本取り組みは同社の企業価値向上において有意義な KPI であると JCR は評価している。
また、本ローンにて測定される SPT に関し、平和不動産は 2030 年度までに 2018 年度比 50%削減と
設定している。
本目標は、
日本政府の温室効果ガス排出量削減目標である 2013 年度比 46%削減の目標と
比較した場合、基準年度が新しく、削減割合の数値も上回っている。同業他社と比較した場合について
1 Loan Market Association(LMA)
、Asia Pacific Loan Market Association(APLMA)および Loan Syndication and
Trading Association(LSTA)制定。2022 年 3 月改訂版。
KPI:温室効果ガス(GHG)排出量(総量ベース、スコープ1, 2)の削減
SPT:2030 年度までに GHG 排出量(総量ベース、スコープ 1, 2)を 2018 年度比 50%削減
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- 4 -
も、ほとんどの同業他社が設定している中長期目標を上回っていることを JCR は確認している。また、
パリ協定にて求められる 1.5°C目標の水準を満たす SBT 認証を取得していることからも、国際的な目標
設定の水準を満たしていると言える。
平和不動産の設定した KPI について、同社の Web サイトにおいて
過去の実績を公開しており、本ローンにおいて測定する SPT については、基準年の 2018 年度における
GHG 排出量実績の 30,230t-CO2 に対して、2030 年度までに 50%を削減する目標を設定している。これ
までの GHG 排出量(スコープ 1,2)の実績値と比較した場合、直近年である 2021 年度は累積で目標対
比約 22%減少させているが、依然として今後大きく削減を進める必要がある。
以上より、本ローンで選定した KPI および SPT はいずれも有意義性があり、野心的であると JCR は
評価している。
(2) 融資条件と期中のモニタリング体制について
JCRは、融資条件におけるインセンティブ内容について、借入人と貸付人の双方が納得のいく形で設
定されていること、返済期限到来までSPTの進捗の確認および金利見直しのタイミングを複数回設け、
当該タイミング時のSPTの進捗状況と貸出条件等が連動されていること、返済期限到来時に最終的なサ
ステナビリティ達成度について確認を行うことを確認した。また、借入人は、KPIのパフォーマンスに
ついて、毎会計年度終了後、貸付人に開示の予定であり、SPTの実績に関し、外部認証機関により第三
者検証を取得する予定である。仮に期中においてSPTにかかる重大な変更が発生した場合には、JCRが
レビューを行い、引き続きSLLP等への準拠状況と当初想定していた野心度や有意義性が維持されるか
否かを確認する。なお、返済期限到来年に借入人、貸付人およびJCRの3者で本ローンに係る振り返り
を行い、SPTの達成状況に加え、借入人および社会に対するインパクトの発現状況を評価することとし
ている。
以上の考察から、JCR は、今回の第三者意見提供対象である借入人に対する本ローンが、SLLP 等に
適合していることを確認した。
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- 5 -
I. 第三者意見の位置づけと目的
JCR は、本ローンに対して SLLP 等に即した第三者評価を行った。SLL とは、借入人が予め設定した
意欲的な SPT の達成にインセンティブ付けを行うことで、借入人および貸付人が持続可能な社会の実現
に貢献することを狙いとした、ローン商品およびコミットメントライン等融資枠のことを言う。
SLLP は、5 つの原則からなる。第 1 原則は KPI の選定、第 2 原則は SPT の測定、第 3 原則はローン
の特性、第 4 原則はレポーティング、第 5 原則は検証である。
本第三者意見の目的は、SLLP で推奨されている評価の透明性および客観性確保のため、JCR が独立
した第三者機関として、本ローンの SLLP 第 1 原則〜第 5 原則および環境省ガイドラインへの適合性に
関するレビューを行うことである。
II. 第三者意見対象の概要
今回の評価対象は、
借入人が貸付人に対し 2022 年 12 月 28 日に実行する予定の SLL である。
以下は、
本第三者意見に含まれる評価項目である。
1. 本ローンのサステナビリティとの関係性
2. KPI 選定の妥当性
3. SPT の測定(野心度)
4. ローンの特性
5. レポーティングと検証
6. SLLP 等との適合性に係る結論
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III. 本ローンの SLL 原則等との適合性確認
1. 本ローンのサステナビリティとの関係性
借入人は、本ローンの組成に際し、同社の経営戦略において重視している取り組みに関連した KPI お
よび SPT を以下の通り設定した。
2. KPI 選定の妥当性
2-1. 評価の視点
本項では、借入人の選定した KPI について、SLLP 等で例示されている以下の要素を含んでい
るかを中心として、その有意義性を評価する。
1) 借入人のビジネス全体に関連性があり、中核的で重要であり、かつ、借入人の現在および/または
将来的なビジネスにおいて戦略的に大きな意義のあるものか。
2) 一貫した方法に基づき測定可能、または定量的なもので、外部からの検証が可能なものか。
3) ベンチマーク化(例えば、SPT の野心度合を評価するために、外部指標・定義を活用する等)が
可能か。
2-2. 評価対象の現状と JCR の評価
(評価結果)
本ローンで定めた KPI は、SLLP 等で求められている要素を全て含んでおり、借入人の持続可能
な成長および SDGs の目標に資する有意義な KPI が選定されている。
i. 平和不動産のサステナビリティ戦略
<事業概要>
平和不動産は、1947 年に日本証券取引所(全国 11 ヵ所の株式取引所を統合して 1943 年に設立され
た半官半民の営団組織の取引所)が解散されるにあたり、同所が東京、大阪、名古屋その他に所有する
証券取引所等の施設を賃貸することを目的として設立された不動産会社である。
1949 年に東京
(市場館)、大阪
(市場館)、名古屋の証券ビルを各証券取引所に賃貸を開始した。1965年に宅地分譲、1977 年に戸建分譲、1980 年にはマンション分譲事業に参入した。さらに、1987 年に
不動産流通事業、2009 年にはクレッシェンド投資法人(現平和不動産リート投資法人)の運用会社で
あるカナル投信
(現平和不動産アセットマネジメント)
を子会社化しアセットマネジメント事業も強化
している。
2022 年 3 月期事業セグメント別売上構成比は、ビルディング事業 94.1%、アセットマネジメント事
業 5.9%である。なお、2011 年 2 月に、三菱地所と資本業務提携契約を締結し、第三者割当増資を実
施した。2022 年 3 月期末の所有株数割合は 11.67%である。
KPI:GHG排出量(総量ベース、スコープ1, 2)の削減
SPT:2030 年度までに GHG 排出量(総量ベース、スコープ 1, 2)を 2018 年度比 50%削減
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<中期経営計画 Challenge & Progress>
平和不動産は、2020 年度から 2023 年度までを計画期間とする中期経営計画において、平和不動産
が目指す姿として株主価値の向上を追求する「株主価値の向上」のみならず、街づくりに貢献する会社
としてサステナブルな社会の実現への貢献を目指す「社会価値の向上」を掲げており、環境・社会課題
の解決や各ステークホルダーとの双方向のコミュニケーションを通じて満足度を高めることにより、
サステナブルな社会の実現に貢献するとともに企業価値の向上を図るとしている。
平和不動産は、
中長
期経営計画の重点施策として、
ビルディング事業において環境性能・防災能力の向上を目的としたサス
テナブルなビル運営等の推進を行い、設備投資等を実施することにより GHG 排出量削減に取り組む
としている。また、コーポレートにおいては、サステナビリティ経営の実践を掲げ、サステナビリティ
委員会の設置等による体制構築を行い、経営陣および幹部社員が PDCA をモニタリングすることによ
り実効性を向上するとしている。
<サステナビリティビジョン>
平和不動産は、
サステナブルな社会および成長を実現することを目指し、
企業活動を通じて社会課題
の解決や SDGs 達成に向けた貢献に取り組むことを目的として、サステナビリティビジョンを策定し
た。サステナビリティビジョンにおいては、
「街づくりに貢献する会社」としての活動により、環境・
社会課題の解決や各ステークホルダーとの双方向のコミュニケーションを通じて満足度を高めること
によって、サステナブルな社会の実現に貢献するとしている。平和不動産は、サステナビリティビジョ
ンに基づき、ESG の各領域において、環境基本方針、健康経営宣言、コンプライアンス基本方針等の
各種方針を定め、サステナビリティに係る取り組みを推進している。
<マテリアリティ(重要課題)>
平和不動産は、経営計画、GRI ガイドライン、ISO26000 や SDGs などを参考として社会課題を洗
い出し、同社とステークホルダーのそれぞれにとっての重要度の 2 軸からマテリアリティを特定して
いる。
ESG の各領域において、
同社が目指す社会価値とマテリアリティ、
達成に向けて貢献する SDGs
のゴールを整理した上で、各領域における単年度の KPI を策定し取り組みを推進している。
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- 8 -
(出所 平和不動産統合報告書 2022)
<気候変動対策に係る中長期目標>
平和不動産は、気候変動を重要な課題として認識し、一層の気候変動緩和への貢献を目指すため、
2021 年 10 月に環境領域における新しい中長期目標を策定した。本目標は、前述の中長期経営計画策
定時に設定した 2030 年度目標を更新し、グループ全体の GHG 排出量を 2018 年度比で 2030 年度ま
でに 50%削減を目指すものである。また、本中長期目標については、SBTi2より、SBT 認定(1.5°C水
準)を取得している。
(出所 平和不動産 Web サイト)
2 SBT(Science Based Target)イニシアティブ
CDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)
、WWF(世界自然保護基金)によって 2015 年に設立され
た国際的な共同イニシアティブ。パリ協定の目標(気候変動による世界の平均気温の上昇を、産業革命時期比で最大でも
2°C未満にする)の達成に向けて民間企業が設定する温室効果ガス削減量の目標が科学的根拠に基づいているかの検証・
認定を推進している。
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- 9 -
<サステナビリティ推進体制>
平和不動産は、
サステナビリティ経営の実践に向けた施策の円滑な推進を目的に、
委員長を執行役社
長、委員を執行役、執行役員及び所属長で構成するサステナビリティ委員会を設置している。サステナ
ビリティ委員会は年に 4 回以上開催し、サステナビリティ年度計画の策定および進捗の報告、サステ
ナビリティ KPI の推進分析報告、外部評価機関の分析報告、その他関連方針の策定や社外のイニチア
チブへの加盟等について議論を行っている。
(出所 平和不動産統合報告書 2022)
ii. KPI のサステナビリティ戦略における位置づけと有意義性
本ローンにおいて、平和不動産は GHG 排出量削減を KPI として設定している。平和不動産は、サ
ステナビリティ上の重要課題として気候変動への対策を特定し、中期経営計画において気候変動を含
めた 2030 年度目標を設定の上、単年度の目標を設定し、取り組みを推進している。また、気候変動分
野の中長期目標については 2021 年 10 月に上方修正を行ったものであり、本中長期目標で掲げる
GHG 排出量削減を本ローンの KPI として選定していることから、平和不動産のサステナビリティ戦
略に係る目標と整合的であり、
本取り組みは同社の企業価値向上において有意義な KPI であると JCR
は評価している。
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- 10 -
3. SPT の測定
3-1. 評価の視点
本項では、借入人の設定した SPT について、SLLP 等で例示されている以下の要素を含んでいる
かを中心として、その野心度および有意義性を評価する。
1) 各 KPI 値の大幅な改善に結びつけられており、
「従来通りの事業(Business as Usual)
」シナ
リオを超えているか。
2) (可能であれば)ベンチマークまたは参照可能な外部指標と比較できるか。
3) 事前に設定された借入人の全体的なサステナビリティ/ESG 戦略と整合しているか。
4) 融資実行前(または融資開始と同時)に設定された時間軸に基づき決定されているか。
次に、借入人の SPT 設定時に考慮されたベンチマーク等を確認する。SLLP では以下の要素が例示さ
れている。
借入人自身の直近のパフォーマンスの水準(可能な限り、最低過去 3 年分のトラックレコー
ドを有する KPI を選定)に基づき、定量的なものを設定し、また KPI の将来の予測情報も可
能な限り開示する。
同業他社と比較した場合における、設定した SPT の相対的な位置付けについて(例:平均的
なパフォーマンス水準なのか、業界トップクラスの水準なのか等)
科学的根拠に基づくシナリオ分析や絶対値(炭素予算等)
、国・地域単位または国際的な目標
(パリ協定、CO2 の排出ゼロ目標、SDGs 等)
、認定された BAT(利用可能な最良の技術)お
よび ESG のテーマ全体で関連する目標を決定するその他の指標
3-2. 評価対象の現状と JCR の評価
(評価結果)
借入人の設定した SPT は、同社の過去の実績および他社や国際的な水準と比較して、野心的な設定で
ある。また、同社の全体的なサステナビリティ戦略と整合的である。
i. SPT の野心度(他社比較・その他指標との比較)
本ローンにて測定される SPT に関し、
平和不動産は 2030 年度までに 2018 年度比 50%削減と設
定している。本目標は、日本政府の GHG 排出量削減目標である 2013 年度比 46%削減の目標と比
較した場合、基準年度が新しく、また削減割合の数値も上回っている。同業他社と比較した場合に
ついても、ほとんどの同業他社が設定している中長期目標を上回っていることを JCR は確認して
いる。また、前述の通り、パリ協定にて求められる 1.5°C目標の水準を満たす SBT 認証を取得して
いることからも、国際的な目標設定の水準に相当していると言える。
以上より、
他社比較およびその他の国や国際的な目標を決定するその他指標との比較の観点にお
いて、本 SPT は野心的であると JCR は評価している。
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ii. SPT の野心度(自社比較)
平和不動産の設定した KPI について、同社の Web サイトにおいて過去の実績を公開しており、
本ローンにおいて測定する SPT については、基準年の 2018 年度における GHG 排出量実績の
30,230t-CO2 に対して、2030 年度までに 50%を削減する目標を設定している。これまでの GHG
排出量
(スコープ 1,2)
の実績値と比較した場合、
直近年である 2021 年度は累積で目標対比約 22%
減少させているが、依然として今後大きく削減を進める必要がある。
GHG 排出量のスコープ 1 と 2 の割合の内訳は、電力由来のスコープ 2 における排出量が約 9 割
を占める。平和不動産は、2021 年度に再生可能エネルギー由来の電力を導入し、電力由来の GHG
排出量を大きく削減しているが、
設定した目標を達成後も再生可能エネルギー由来の電力の購入を
継続する必要がある。現在の気候変動対策の意識の高まりに伴い、今後再生可能エネルギー由来の
電力の需要が増加し、限られた再生可能エネルギー由来の電力の高騰が想定されることから、電力
源の切り替えによる GHG 排出量削減施策は、維持するためのコストを考慮すると難易度が高まっ
ていくと考えられる。
以上より、同社の GHG 排出量実績と比した場合にも、2018 年度比 50%削減を目指すという同
社の目標設定は野心的であると JCR は評価している。
(出所:平和不動産 Web サイト)
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- 12 -
iii. SPT の野心度(目標達成に向けた具体的施策)
平和不動産は、SPT の目標達成に向け、以下の取り組みを開始・準備している。
1再生可能エネルギー由来の電力の導入
2保有する物件の省エネルギー化
3テナントへの啓発活動
<1再生可能エネルギー由来の電力の導入>
再生可能エネルギー由来の電力の導入に係る具体的な取り組みとして、2021 年 5 月より順次、
平和不動産本店が所在する日証館(東京都中央区日本橋兜町)を含む東京・横浜エリア 25 物件の
使用電力を、再生可能エネルギー由来の電力に切り替えを行っている。本取り組みにより、年間約
15GWh に相当する再生可能エネルギーを利用し、
年間約 7,000 t-CO23に相当する CO2 削減量を見
込んでいる。また、対象の物件の他、再生可能エネルギー活用の対象物件を順次追加する予定であ
るとしている。
<2保有する物件の省エネルギー化>
保有物件の省エネルギー化に係る具体的な取り組みとして、
オフィスビルで使用するエネルギー
の大部分を占める電力使用量を削減するために、高効率な空調機器への更新、LED 照明への切替
え等を順次実施している。平和不動産は、不動産における省エネルギーの取り組みは、地球環境保
全および気候変動緩和への貢献につながるとともに、各種運用コストの削減、規制リスクの低下、
中長期的な不動産価値向上など、
財務的なメリットを期待することが可能なビジネス上の機会であ
ると考え、今後も省エネルギーの取り組みを推進するとしている。
なお、平和不動産では既存物件、新築物件両方において CASBEE 不動産をはじめとする環境認
証の付与に努めている。これらの取り組みにより物件の省エネルギー性能がより明確になること、
更なる省エネルギー化に向けた取り組みの手掛かりになることが期待される。
<3テナントへの啓発活動>
テナントへの入居者に対する具体的な取り組みとして、平和不動産は「テナント様向け環境配慮
のためのガイドライン」を制定し、テナントに対しても環境配慮および省エネを呼びかける取り組
みを実施している。このような啓発活動を通じて、利用者の意識の高まりによりビル全体のエネル
ギー使用量の削減が期待されるため、今後も継続的に呼びかけを実施する予定であるとしている。
本ローンの KPI は、借入人のサステナビリティ戦略と整合的であることは前述の通りであり、上記
より、SPT も平和不動産が中期経営計画で目指している方向性と合致している。加えて、本ローンの
SPT は、借入人自身の直近のパフォーマンス水準に基づく定量的なものが設定されている。またベン
チマークは競合他社の目標設定と比しても上回るものであり、国および国際的な水準に相当する目標
が設定されている。
よって、
他社比較、
自社のトラックレコードに比しても野心的な目標であると JCR
は評価している。また、SPT 達成のために多面的な施策が検討されていることを確認した。
3 平和不動産統合報告書 2022 より
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3-3. JCR によるインパクト評価
JCR は、本ローンで定められた KPI および SPT が有意義かつ野心的なものであり、借入人の持続
可能な成長および社会価値の向上に資すること、並びにポジティブなインパクトの最大化およびネガ
ティブなインパクトの回避・管理・低減の度合いを確認するため、国連環境計画が策定したポジティ
ブ・インパクト・ファイナンス(PIF)原則の第 4 原則で例示されているインパクト評価基準の 5 要
素(多様性、有効性、効率性、倍率性、追加性)に沿って、SPT の影響度(インパクトの度合い)を
検討した。
多様性:多様なポジティブ・インパクトがもたらされているか
(バリューチェーン全体におけるインパクト、事業セグメント別インパクト、
地域別インパクト等)
本ローンのGHG削減目標は、インパクト領域については気候変動への緩和に限られるものの、以
下の多様な側面において広い対象範囲を有している。
SPT設定対象はScope1および2
借入人が保有する不動産ポートフォリオ全体(共同所有による持分が物件全体の25%に満たな
い物件およびたな卸資産は除く)が対象
国内全国における物件が対象
有効性:大きなインパクトがもたらされているか。
(SPTが対象とする売上高、事業活動、対象となる地域、SPT測定を行う事業活動
の国内外におけるマーケットシェア等)
平和不動産は、2021年度の売上高は約578億円と、不動産業界においては中堅に位置する会社で
あるが、業界において多くの同業他社を上回る総量ベースでのGHG排出量削減目標や、気候関連
財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同表明並び取り組みの公表、SBT認証を申請
していることから、目標の実現やサステナビリティに係る積極的な取り組みに係る同業他社への
波及によりインパクトをもたらすことが想定される。
効率性:投下資本に対し相対的に規模の大きいインパクトが得られているか
本ローンは、以下の観点から投下資本に対して効率性の高い投資計画を後押ししている。
平和不動産は2030年度までにGHG排出量を50%削減するために、再生可能エネルギー由来の電
力の導入、保有物件の省エネ化、テナントへの啓発活動を進めるとしている。再生可能エネルギ
ー由来の電力の導入については、大幅なGHG排出量が期待され、省エネ化によりGHG排出原単
位の観点からも低減すべく取り組んでいる。また、テナントへの啓発活動によりビル全体のエネ
ルギー使用量の削減も期待される。今後、不動産業界において更なるGHG削減の取り組みが求め
られることが予想されることから、業界における競争力強化の観点からも、GHG削減計画を中長
期の視点で実行していくことが重要である。以上から、投下資本に対して大きなインパクトが期
待される。
倍率性:公的資金又は寄付に対する民間資金活用の度合い
本項目は本ローンについて対象外である。
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追加性:追加的なインパクトがもたらされているか
SDGsが未達あるいは対応不足の領域への対処を促しているか
SDGs実現のための大きな前進となっているか
借入人のSPTの取り組みは、以下のSDGsに貢献することが期待される。
目標 7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
ターゲット 7.3 2030 年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
目標 13:気候変動に具体的な対策を
ターゲット 13.1 全ての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レ
ジリエンス)および適応の能力を強化する。
ターゲット 13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減および早期警戒に関する教育、啓
発、人的能力および制度機能を改善する。
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4. ローンの特性
4-1. 評価の視点
本項では、以下の内容を確認する。
(1) 選定された KPI が事前に設定された SPT を達成するか否かに応じて、ローンの財務的・構造
的特性が変化する取り決めとなっているか。
(2) KPI の定義と SPT、サステナビリティ・リンク・ローンの財務的・構造的特性の変動可能性
は、ローンの契約書類に含まれているか。
(3) KPI の測定方法、SPT の設定、前提条件や KPI の対象範囲に重大な影響を与える可能性のあ
る想定外の事象が発生した場合の対応(重要な M&A 活動、規制等の制度面の大幅な変更、ま
たは異常事象の発生等)について、ローンの契約書類の中で言及の予定はあるか。
4-2. 評価対象の現状と JCR の評価
(評価結果)
本ローンは、選定された KPI に関し事前に設定された SPT を達成するか否かに応じて、財務的特性
が変化する取り決めとなっている。
当該変動可能性は、
ローンの契約書類に含まれている。
KPI の測
定方法、SPT の設定、前提条件について、ローンの契約書類の中で言及されている。
JCR は、本ローンの契約書類において、SPT を達成した場合、財務的特性を変化させる取り決めと
なっていることを確認した。また、KPI の定義、SPT の設定、前提条件についても、同契約書類に記
載される。なお、本ローンの実行時点で予見し得ない状況により、KPI の定義や SPT の設定、前提条
件が変更となった場合には、変更報告書を通じて、変更内容の説明について借入人から貸付人に報告
する予定としている。
以上より、ローンの契約条件等との連動について必要な取り決めがなされ、契約書類における記載事
項も適切であることを JCR は確認した。
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5. レポーティングと検証
5-1. 評価の視点
本項では、融資実行後に予定しているレポーティング内容として以下の項目が含まれる予定か、開
示方法および第三者検証の予定の有無について確認する。
i. 開示予定項目
年に 1 回以上、以下の事項が開示される予定となっているか。
選定 KPI のパフォーマンスに関する最新情報(ベースラインの前提条件を含む)
貸付人が SPT の野心度合いを測るために有用な情報
(借入人の最新のサステナビリティ戦略
や関連する KPI/ESG ガバナンスに関する情報、また KPI と SPT の分析に関する情報等)
可能な範囲で以下の情報について開示:
パフォーマンス/KPI の改善に寄与した主な要因(M&A 活動等も含む)についての定性的・
定量的な説明
パフォーマンスの改善が借入人のサステナビリティにどのような影響を与えるかについての
説明
KPI の再評価有無、設定した SPT の修正有無、ベースラインの前提条件や KPI の対象範囲
の変更有無
ii. 検証
検証内容(SPT の達成状況、財務的・構造的特性の変更に対する影響、そのタイミング等)につ
いて情報を開示予定か。
5-2. 評価対象の現状と JCR の評価
(評価結果)
借入人は、融資実行後のレポーティングにおける開示内容、頻度、方法について適切に計画してお
り、SPT の進捗状況等、原則で必要とされる内容について、第三者検証を受ける予定である。
借入人は、KPIのパフォーマンスについて、毎会計年度終了後、当該年度の実績を貸付人に開示
する予定である。本ローンで設定したSPTの実績ついて、外部認証機関により第三者検証を取得する
予定である。また、予期せぬ事情により進捗に遅れがみられている場合等に関しては、その原因分析
と今後の対応策等についても貸付人に開示を検討する予定である。仮に期中においてSPTにかかる重
大な変更が発生した場合には、JCRがレビューを行い、引き続きSLLP等への準拠状況と当初想定し
ていた野心度や有意義性が維持されるか否かを確認する。なお、返済期限到来年に借入人、貸付人お
よびJCRの3者で本ローンに係る振り返りを行い、SPTの達成状況に加え、平和不動産および社会に
対するインパクトの発現状況を評価することとしている。
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6. SLLP 等との適合性に係る結論
以上の考察から、JCR は本第三者意見の提供対象である本ローンが、SLLP 等に適合しているこ
とを確認した。
(担当)菊池 理恵子・任田 卓人
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本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所
(JCR)
が付与し提供する第三者意見は、
評価対象の、
Loan MarketAssociation
(LMA)、Asia Pacific Loan
Market Association(APLMA)および Loan Syndication and TradingAssociation(LSTA)が策定し、2022 年 3 月に改定され
たサステナビリティ・リンク・ローン原則(SLLP)および環境省が 2022 年 7 月に策定したサステナビリティ・リンク・
ローンガイドラインへの適合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該評価対象がもたらすポジ
ティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者から供与された情報および JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況を評
価するものであり、将来における状況への評価を保証するものではありません。また、本第三者意見は、サステナビリ
ティ・リンク・ローンによるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うもので
はありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は借入人又は借
入人の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定する
ことはありません。
2. 本評価を実施するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本評価を実施するうえで JCR は、LMA、APLMA、LSTA および UNEP FI が策定した以下の原則およびガイドを参照
しています。
・サステナビリティ・リンク・ローン原則
・環境省 サステナビリティ・リンク・ローンガイドライン
・ポジティブ・インパクト金融原則
・資金使途を限定しないポジティブ・インパクト・ファイナンス モデルフレームワーク
3. 信用格付業に係る行為との関係
本第三者意見書を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業に係る行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、又は閲覧に供することを約束する
ものではありません。
5.JCR の第三者性
本評価対象者と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
しかく留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、又はその
他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、
適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、又は当該情報を使
用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含む
あらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、ま
た、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるサステナビリティ・リンク・
ローンに係る各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者
意見書は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保
有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、又は撤回され
ることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部又は全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすること
は禁じられています。
しかく用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・公平な立場から、貸付人が借入人に対して実施するサステナビリティ・リンク・ローン
について、LMA、APLMA、LSTA の作成したサステナビリティ・リンク・ローン原則への適合性に対する第三者意見を述べたものです。
しかくサステナブルファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候債イニシアティブ 認定検証機関)
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則、Climate Transition Finance 作業部会メンバー
しかくその他、信用格付業者としての登録状況等
・信用格付業者 金融庁長官(格付)第 1 号
・EU Certified Credit Rating Agency
・NRSRO:JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4
クラスに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。米国証券取引委員会規則 17g-
7(a)項に基づく開示の対象となる場合、当該開示は JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/en/)に掲載されるニュースリリースに添付しています。
しかく本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026

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