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24-D-0212
2024 年 5 月 22 日
株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。
株式会社八十二銀行 (証券コード:8359)
【据置】
長期発行体格付 AA
格付の見通し 安定的
株式会社長野銀行 (証券コード:-)
【据置】
長期発行体格付 AA
格付の見通し 安定的
しかく格付事由
(1) 八十二銀行は長野市に本店を置く地方銀行で、
長野銀行は松本市に本店を置く第二地方銀行。
八十二銀行は
23 年 6 月 1 日に長野銀行を完全子会社化し、両行は 26 年 1 月 1 日に合併する予定である。両行合算の資金
量は約 9.5 兆円にのぼり、県内預貸金シェア(ゆうちょ銀行除く)は約 5 割と強固な事業基盤を有する。関
東方面などにも幅広く店舗展開し、
大企業向け貸出を多く取り扱うほか、
シンガポール支店などにおいて取
引先の海外事業展開に伴う資金提供や販路開拓支援に対応している。
(2) 八十二銀行の格付は、広範な事業基盤などを背景とする良好な収益力、健全な資産の質、各種リスクに照ら
して十分に厚みのある資本などを反映し、
「AA」としている。長野銀行の格付は、八十二銀行による支配・
関与度の強さなどを踏まえ、八十二銀行と同格の「AA」としている。両行は、合併に向けたシナジー施策と
して、人的資源の活用やノウハウの共有、店舗統廃合やシステム共通化などへの取り組みを進めている。各
施策の効果で基礎的な収益力を高めていけるか、
また、
投融資リスクを適切にコントロールしつつ高い資本
水準を維持していけるかが格付上のポイントである。
(3) コア業務純益(投信解約損益除く。両行合算)は 19/3 期を直近のボトムに増益基調にある。24/3 期は貸出
金と有価証券の運用収益が拡大し、
外貨調達コストや経費の増加を吸収した。
今後は人件費の増加や合併に
伴うシステム関連投資が経費を押し上げるとみられるものの、
国内の市場金利が上昇局面にあり、
中期的に
は投融資業務にかかる利息収入の拡大を後押しすると考えられる。個人向け資産形成・運用・承継ニーズへ
の対応強化や法人向けコンサルティングメニューの充実にも取り組んでおり、
引き続き高水準の利益を維持
していけると JCR はみている。
(4) 貸出資産の健全性は保たれている。
金融再生法開示債権比率
(両行合算)
は 2%台と問題のない水準にある。
要注意先債権が少ないため分類率は低く、一部の業況不芳先には DCF 法や CF 控除法による保守的な引当
を採用している。与信費用(両行合算)は抑制された水準にある。24/3 期は、両行の会計処理や自己査定の
基準を統一化した影響で長野銀行での引当が膨らんだが、この影響を含めても 48 億円とコア業務純益の約
1 割、
貸出金残高の 10bp 以下に収まっている。
資産の健全性の高さや規律ある与信運営などを踏まえれば、
今後も多額の与信費用を計上する可能性は低い。
(5) 市場部門では、
両行合算で国内外の債券を中心としたポートフォリオを構築している。
逆ざやの外貨建債券
の処理が進み、超長期の円建債券の売却などにより国内金利上昇への耐性を強めている。プライベート・エ
クイティ・ファンドや私募 REIT などの低流動性資産については、厳格な運用基準に基づき一定の投資枠の
もとで投資対象を選別している。長野銀行においては、八十二銀行との運用方針統一化の影響で、多額の売
却損を計上しながら有価証券ポートフォリオを大幅に見直している。
今後も、
市況変化に対応した分散投資 2/3Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
の継続と保有株式の潤沢な評価益の活用などにより、
市場部門における各種のリスクは適切な範囲で管理さ
れていくと JCR はみている。
(6) 連結 Tier1 比率は 24/3 期末で 20.7%と業界トップレベルの水準にあり、有価証券の評価益を含むその他の
包括利益累計額を除いたベースでも AA レンジに見合う水準を確保している。連結ベースでは、毎期 200 億
円を超える最終利益を安定的に確保しており、24/3 期は査定基準や運用方針の統一化の影響で長野銀行は
赤字となったが、負ののれん発生益などの計上により、370 億円と前期比 129 億円の増益となっている。資
産の健全性などを考慮すれば、
安定した内部留保の蓄積を見通しやすく、
今後も優位性のある資本水準が保
たれる可能性は高い。
(担当)坂井 英和・木谷 道哉
しかく格付対象
発行体:株式会社八十二銀行
【据置】
対象 格付 見通し
長期発行体格付 AA 安定的
発行体:株式会社長野銀行
【据置】
対象 格付 見通し
長期発行体格付 AA 安定的 3/3Copyright © Japan Credit Rating Agency, Ltd. All Rights Reserved.
格付提供方針等に基づくその他開示事項
信用格付を付与した年月日:2024 年 5 月 20 日
信用格付の付与について代表して責任を有する者:宮尾 知浩
主任格付アナリスト:坂井 英和
評価の前提・等級基準:
評価の前提および等級基準は、JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「格付関連情報」に「信用格付の種
類と記号の定義」
(2014 年 1 月 6 日)として掲載している。
信用格付の付与にかかる方法の概要:
本件信用格付の付与にかかる方法の概要は、JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「格付関連情報」に、
「コーポレート等の信用格付方法」
(2024 年 2 月 1 日)、「銀行等」
(2021 年 10 月 1 日)、「金融グループの持株会社お
よび傘下会社の格付方法」
(2022 年 9 月 1 日)として掲載している。
格付関係者:
(発行体・債務者等) 株式会社八十二銀行
株式会社長野銀行
本件信用格付の前提・意義・限界:
本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。
本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性の
程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するものではな
い。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外の事項
は含まれない。
本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。また、
本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCR が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入手した
ものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。
本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者:
・ 格付関係者が提供した監査済財務諸表
・ 格付関係者が提供した業績、経営方針などに関する資料および説明
利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要:
JCR は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、独
立監査人による監査、発行体もしくは中立的な機関による対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、当
該方針が求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。
格付関係者による関与:
本件信用格付の付与にかかる手続には格付関係者が関与した。
JCR に対して直近 1 年以内に講じられた監督上の措置: なし
しかく留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、または
その他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的
確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当
該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭
的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいか
んを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、JCR の格付は意見の表明であって、事
実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもあり
ません。JCR の格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として発行体より手
数料をいただいて行っております。JCR の格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。JCR の格付データを含め、本文書
の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
しかくNRSRO 登録状況
JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラスに登
録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。米国証券取引委員会規則 17g-7(a)項に基づ
く開示の対象となる場合、当該開示は JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/en/)に掲載されるニュースリリースに添付しています。
しかく本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026

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