平成29年4月26日
日本原子力発電株式会社
敦賀発電所 防災訓練実施結果の原子力規制委員会への報告について
当社は、原子力災害対策特別措置法(注記)
に基づき、敦賀発電所で実施した防災訓練につ
いて、その実施結果をとりまとめ、本日、原子力規制委員会に報告しました。
また、同法に基づきその要旨を添付のとおり公表します。
(注記):平成11年9月30日に発生したJCOウラン加工施設での臨界事故を契機として、同年
12月、原子力防災対策を強化するために原子力災害対策特別措置法が制定された。
平成24年6月、東日本大震災の教訓を踏まえ、防災訓練の結果報告を義務付ける等の改
正が行われた。
添付資料:
「敦賀発電所 防災訓練実施結果報告書」の要旨
以 上 1添付資料
「敦賀発電所 防災訓練実施結果報告書」の要旨
1.報告内容
敦賀発電所 防災訓練実施結果
2.報告年月日
平成29年4月26日
3.防災訓練実施結果の主な内容
敦賀発電所原子力事業者防災業務計画に基づく訓練
報告項目 内 容
防災訓練実施年月日 平成29年2月27日
想定した
原子力災害の概要
敦賀発電所1号機は、定期検査中において、敦賀市震度6強の地震に
よる影響を受け、使用済燃料プールゲートの外れによるプール水位の低
下が発生することにより、原子力災害対策特別措置法(以下「原災法」
という。
)第10条に該当する事象に至る原子力災害を想定する。さら
に、外部電源喪失及び非常用ディーゼル発電機の自動起動失敗により、
全交流電源喪失となり、原災法第15条に該当する事象に至る原子力災
害を想定した。
敦賀発電所2号機は、定格熱出力一定運転中において、敦賀市震度6
強及び余震の震度6弱の地震による影響を受け、外部電源喪失及び非常
用ディーゼル発電機の自動トリップにより全交流電源喪失となり、さら
に、1次冷却材配管からの漏えいによる炉心損傷、発電所敷地境界の放
射線量の上昇により、原災法第15条に該当する事象に至る原子力災害
を想定する。
また、災害の長期化に伴う対応として、24時間後のプラント状況を
想定した。
参加人数
合計260名
(社員219名、関係会社・協力会社員41名)
防災訓練の内容
シナリオ非提示で実施。発電所及び本店が連携して実施した。
訓練参加者以外から評価者を選任し、第三者の観点から評価した。
【発電所における訓練】
(1)要員参集訓練
(2)通報連絡訓練
(3)緊急時環境モニタリング訓練
(4)発電所退避者誘導訓練
(5)緊急時被ばく医療訓練
(6)全交流電源喪失対応訓練
1電源車による代替電源確保訓練
2ハイドロサブシステムによる水源確保訓練
(7)シビアアクシデント対策訓練
(8)原子力緊急事態支援組織対応訓練
(9)本店総合災害対策本部との連携訓練 2防災訓練の内容
【本店における訓練】
(1)発電所災害対策活動支援対応訓練
(2)本店原子力施設事態即応センター設置・運営訓練
(3)原子力事業所災害対策支援拠点の設置検討及び適地選定訓練
(4)原子力事業者間協力協定に基づく支援連携訓練
(5)広報対応訓練
(6)原子力緊急事態支援組織への出動要請訓練
(7)ヘリコプター搭乗訓練
防災訓練結果の概要
今回の訓練の主たる目的を以下のとおりとし、評価を行った。
1.昨年度訓練の改善状況の確認
(1)通報連絡の迅速化
通報連絡様式の事象件名、EAL番号等を選択して入力ができる
ように改善を行った結果、昨年度より作成時間を短縮することがで
きたため、課題をクリアしたと評価する。今後も改修した通報連絡
様式を継続して使用していく。
(2)情報共有化システムの有効活用による情報伝達の確実性の向上
発電所本部要員に情報共有化システムの活用を再周知し、利用促
進を図った結果、情報共有化システムが活用され、事故収束に必要
な設備の状況を発電所本部内で情報共有することができたため、課
題をクリアしたと評価する。今後も教育を定期的に行い、情報共有
化システムを活用していく。
(3)情報伝達における復唱の定着化
要素訓練で復唱を繰り返し実施することにより、発電所本部内で
正確に情報が共有され、本部長の意見等が各機能班で共有されてい
たことから、情報伝達に対する課題をクリアしたと評価する。今後
も復唱の意識づけのため、要素訓練で復唱を繰り返し実施してい
く。
(4)本店総合災害対策本部におけるブリーフィングの開催
緊急時対応能力の更なる向上を図る上で、今後の本店本部の訓練
において、ブリーフィングを開催し、発電所への支援に係る情報共
有の強化を図る。
2.緊急時対応能力向上に向けた中長期達成目標に対する検証
(1)プラント状況の変化に柔軟に対応する緊急時対応能力の向上
1プラントパラメータから炉心損傷等のプラント情報を読み取り、
事故収束に即した対応が実施できたため、目標を達成できたと評
価する。今後もプラントパラメータの変化に伴う事象の進展に即
した対応を実施していく。
2今回のシナリオ非提示型の訓練において、予め定められた役割、
手順に従いシビアアクシデント対応ができた。これは、要素訓練
において各機能班における対応の習熟が図られている結果であ
り、目標を達成できたと評価する。今後も継続してシナリオ提示
型及びシナリオ非提示型を組み合わせて習熟を図る。
(2)緊急時対応組織の強靭化と重大事故対処・指揮能力の向上
1災害の長期化を踏まえた発電所本部の体制変更を実施した場合で
も、情報共有化システム及び通信機器を用いることでオフサイト
との情報連携が図れていたため、目標を達成できたと評価する。
2所員退避について、発電所本部内でのプラント状況を踏まえ、ブ
リーフィングを実施し、発電所本部要員以外の退避を判断するこ 3とができたため、目標が達成できたと評価する。今後も中長期計
画に基づき、災害の長期化を踏まえた対応を取り入れた訓練を継
続して実施していく。
3情報共有化システムを使用し、電源及び水源の状況把握及び各機
能班の現状の対応状況を把握して事故対応を実施できたため、目
標が達成できたと評価する。今後も情報共有化システムを使用し
たプラント状況把握、事故対応を継続して実施していく。
4ノンテクニカルスキルを取り入れることにより、例えば緊急情報
を発電所本部内に連絡する場合に「緊急、緊急」と発言すること
で、緊急情報が速やかに発電所本部内で情報共有できた。今後も
継続してノンテクニカルスキルを取り入れた要素訓練を実施して
いく。
(3)発電所内外との適切な情報共有・運用の確立
1情報共有化システムを活用したことで、発電所本部内で共有して
いるプラント情報が本店本部やオフサイトセンター等にも正しく
伝わっていたことから目標は達成できたと評価する。今後も情報
共有化システムを発電所本部と本店本部の情報共有に活用してい
く。
2電子化した通報連絡様式を使用することにより作成時間を短縮す
ることができたため、目標が達成できたと評価する。今後は、電
子化した通報方式での運用を行っていく。
(4)外部支援機関との連携による災害対処総合力の向上
1現状のプラント状況及びロボット操作の現場状況について、支援
センター員へ説明し、階段昇降、障害物回避及び現場の偵察活動
などのロボット操作を実施できたため、目標が達成できたと評価
する。今後も支援センター員との情報連携訓練、ロボット等の無
線遠隔操作訓練について継続して実施していく。
2メーカ及び関係会社に支援要請を実施し、発電所本部内で事故収
束に伴う助言等が実施できていたため、目標が達成できたと評価
する。今後もメーカ及び関係会社と支援連携を継続して実施して
いく。
3原災法第10条事象の発生に伴い、原子力事業所災害対策支援本
部及び若狭連携支援本部の支援要請を本店本部に依頼することが
できたため、目標が達成できたと評価する。今後も原子力事業所
災害対策支援本部及び若狭連携支援本部との支援連携を継続して
実施していく。
4.今後の原子力災害対策に向けた改善点
訓練の評価結果に基づき、本訓練において抽出された改善点は以下のとおり。
(1)通報連絡文の発信における確実性の向上
通報連絡文に、時刻記入漏れがあり、ファクシミリを再送信する際に、修正箇所を明
記できなかった。これは、通報連絡文の修正方法が明確に定まっていなかったことが原
因である。今後の対応として、通報連絡文の修正方法を定め、通報連絡を行う情報班員
に周知を行い、通報連絡文の発信における確実性を向上していく。 4(2)原子力施設事態即応センター班におけるブリーフィング内容の共有について
原子力施設事態即応センター班は、本店本部で実施されているブリーフィングが直接
聴取出来ない配置となっているため、本店本部のブリーフィングにて示される活動方針
等が原子力施設事態即応センター班に伝達されるまでに時間差があった。
今後の対応として、直接ブリーフィングを聴取することが可能な情報共有手段を整備
する。
(3)原子力施設事態即応センター班におけるプラント情報収集体制と原子力規制庁E
RCへの情報提供について
原子力施設事態即応センター班における、本店本部要員を介した間接的な情報収集方
法では、発電所本部から本店本部へ情報班を経由して提供される情報が速やかに原子力
施設事態即応センター班へ伝達されないことがあった。
今後の対応として、原子力施設事態即応センター班が、情報班により本店本部内で発
信される情報を直接収集できるよう、本店本部と原子力施設事態即応センターとの連絡
手段の整備を行い、当該情報を聴取する専属要員を原子力施設事態即応センターに配置
する。
また、収集した情報やチャットシステムの情報について、情報を整理し、優先度を付
けてERCプラント班へ発信できるよう体制の見直しなどを検討する。
以 上

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /