1(お 知 ら せ)
平成20年10月 3日
日本原子力発電株式会社
敦賀発電所の近況について
敦賀発電所の近況について、以下のとおりお知らせします。
1.運転状況について(10月3日現在)
( )内は定格電気出力
1 号 機
沸騰水型(35万7千 kW) 運 転 中
2 号 機
加圧水型(116万 kW)
第16回定期検査中
定期検査の工程表は別紙1のとおり
8月 3日 原子炉起動
8月 8日 調整運転開始
9月16日 原子炉手動停止
2.故障等の状況について(平成20年9月3日〜平成20年10月2日)
(1)法律に基づく報告事象
しろまる敦賀発電所2号機の定期検査の状況について
(高圧タービン主蒸気入口配管付け根部付近の蒸気漏れの調査状況)
敦賀発電所2号機は、第16回定期検査中で調整運転中の平成20年9月16
日に、電気出力を約95%としてタービン弁の定期試験(1回/月)を実施後、
現場状況を確認していたところ、高圧タービン蒸気入口配管付近を覆う保温材か
ら、僅かに蒸気が出ていることを確認し、当該箇所の点検を行うため、同日12
時30分から出力降下を開始し、23時39分に原子炉を手動停止しました。
原子炉手動停止後、高圧タービン上部車室にある主蒸気入口配管付近の保温材
を取り外し、目視点検したところ、蒸気の流れにより静翼が回転するのを防ぐた
めタービン車室上部に設置されているピン(回り止めピン:1本)の頭部やその
周辺の保温材で、蒸気漏れによる変色が確認されました。
当該ピンのカバーを取り外して詳細に点検した結果、ピンを高圧タービン車室
に取り付けているスミ肉溶接部に2箇所の傷(長さ約 55 mmと約 60 mm)が認めら
れ、当該部からタービン車室内(真空状態)に向かって空気の吸い込みが確認さ 2れたことから貫通しているものと判断されました。
本件は、原子炉等規制法に基づく報告対象に該当するものと判断し、9月19
日、原子力安全・保安院へ報告いたしました。
なお、本事象による周辺環境への放射能の影響はありませんでした。
(平成20年9月16日、9月19日発表済)
1 これまでの調査状況
I.現場調査
・高圧タービン上部車室の回り止めピン1本のスミ肉溶接部で、貫通傷が確認
されたため、
下部車室についても保温材を取り外し目視点検したところ、
新た
に回り止めピン2本のピン頭部と周辺保温材で蒸気漏れによる変色が確認さ
れました。
・これら蒸気漏れ跡が認められた3本のピンのスミ肉溶接部について、浸透探
傷試験(PT)を実施したところ、上部車室のピンでは、長さ約 65 mmと約 70
mmの2箇所の指示が、また、下部車室では、1本で1箇所約 73mm の、もう1
本で2箇所約 28 mmと約 20mm の指示が確認されました。
・高圧タービンは、今定期検査で新しいものに取り替えていることから、高圧
タービンの車室で溶接している箇所(蒸気漏れにつながる箇所)について、順
次、浸透探傷試験を行っており、これまでのところ、上部車室の空気抜き穴の
閉止栓(注記)1(1本)のスミ肉溶接部で、長さ約 8 mmと約 2 mmの指示2箇所が確
認されました。
(注記) 1 タービン車室完成後、製作工場で水圧による耐圧試験を実施している。そのとき車室に水を満た
すために必要な"空気抜き穴"で、試験後は、穴に閉止栓をねじ込みタービン車室にスミ肉溶接し
ている。
II.試験研究機関での調査
・傷が確認されたタービン上部車室の回り止めピンについて、傷部を含めてス
ミ肉溶接部の一部を切り取り、
メーカーの試験研究機関で詳細な調査を実施し
ており、
これまでに行った破面の目視観察の結果、
傷の形状は溶接部表面に比
べ内部で広がっていることが確認されました。
2 今後の予定
・引き続き、高圧タービン溶接部について浸透探傷試験を行うとともに、傷が
認められたピンについて試験研究機関での詳細な調査を行います。
(平成20年9月30日発表済) 3(2)安全協定に基づく異常時報告事象
しろまる敦賀発電所1号機の出力降下について
(原子炉給水ポンプの点検結果と対策)
敦賀敦賀発電所1号機は定格熱出力一定運転中のところ、平成20年8月中旬
から、原子炉給水ポンプ(注記)1(全3台中2台運転)のうち、運転中のA号機のメカ
ニカルシール部付近から通常値(10cc/分未満)を上回る漏れが認められまし
た。このため、監視を強化していましたが、増加傾向が続いているため、同ポン
プを停止して当該部の点検を行うこととし、9月4日13時31分に待機状態に
あったC号機を起動した後、14時07分にA号機を停止しました。
このポンプ切替操作に伴う現場点検において、今回起動したC号機の補助油ポ
ンプ(注記)2のメカニカルシール部から、潤滑油の漏えい(約40cc/分)が確認され
ました。
今回の潤滑油の漏えいは、C号機の運転に直ちに影響を与えるものではありま
せんが、同油ポンプの点検・修理を行うためには、C号機を停止する必要がある
ことから、同日18時より出力降下を開始し、出力約15万kW(42%)の状
態とした上で同油ポンプの点検・修理を行うこととしました。
なお、本事象による環境への放射能の影響はありません。
(注記)1 原子炉給水ポンプ
原子炉への冷却水を供給するポンプで、3台(A,B,C)ある。運転中は2台が運転、1台が
待機している。
(注記)2 補助油ポンプ
原子炉給水ポンプが待機中に軸受けに潤滑油を供給するために運転しているポンプで、
原子炉給
水ポンプ運転中は停止している。
(平成20年9月4日発表済)
1)原子炉給水ポンプC号機補助油ポンプのメカニカルシール部
1 調査結果
・摺動面の摩耗に関する調査の結果、リング背面にあるゴムシールに硬化が認
められていることから、
摺動面で硬化を生じさせるような発熱があったものと
推定されました。
また、
メカニカルシール部の構造を調査したところ、
メカニカルシール室内上
部に空気が滞留する可能性があると判断されました。
2 原因
・補助油ポンプは毎定期検査で点検後、油を注入しますが、その際メカニカル
シール室内の空気が抜け切れず室内に滞留した可能性があり、
その後、
当該補
助油ポンプを運転継続するのに伴い、
滞留した空気が摺動面に入り込み、
潤滑
不良を起こし摩耗が進行しました。
・ポンプ運転時は回転リングが主軸とともに回転していることから、固定リン
グとの接触が保持されていましたが、
ポンプ停止により回転リングと固定リン 4グとの接触面にわずかなズレが生じ、
今回の潤滑油漏れに至ったものと推定さ
れました。
3 対策
・当該補助油ポンプについて、
メカニカルシールを新品に取り替えるとともに、
メカニカルシール室内の空気を確実に取り除くため、
メカニカルシール室上部
に空気抜き用の穴を設けました。
・次回定期検査で、補助油ポンプ全3台について、メカニカルシール室の空気
抜き構造を持った新品のポンプに取り替えます。
2)原子炉給水ポンプA号機のメカニカルシール部
・メカニカルシール部を分解点検したところ、回転リングの接触面に通常見ら
れる摺動跡が確認されましたが、
遊動リングの摺動面には面荒れが確認されま
した。
その他に異常はなく、
摺動面の焼き付きや異物の混入等も認められませ
んでした。
・これらのことから、ポンプ運転中に軸封部に注入している水(シール水)に
含まれる小さな鉄さびが回転リングと遊動リングの接触面に入り込んだこと
により、面荒れが発生するとともに、摩耗が進展したことにより、接触面の密
封性が低下し、漏えいが発生したものと推定されました。
・対策として、当該軸封部を新品と交換しました。
原子炉給水ポンプA号機とC号機について、試運転により健全性を確認した後、
9月18日に出力上昇を開始し、
9月19日に定格熱出力一定運転に復帰しました。
(平成20年9月12日発表済、18日,19日お知らせ済)
(3)保全品質情報等
な し
3.敦賀発電所2号機第16回定期検査の状況について(10月3日現在)
敦賀発電所2号機は、平成19年8月26日から第16回定期検査を実施し、平
成20年8月3日に原子炉を起動、8月8日から調整運転を行っていましたが、前
述のとおり、平成20年9月16日に原子炉を手動停止し、現在、高圧タービンの
点検・調査を行っています。
このため、9月中旬以降に予定していた経済産業省の最終検査と、その後の営業
運転再開の日時は未定です。 54.敦賀発電所3,4号機準備工事について(10月3日現在)
(1)防波堤・護岸等の構築
越波排水路の構築作業を実施しています。
(2)敷地造成工事
背後山地の切取工事を実施するとともに切取土による埋立工事を実施しています。
また、現在付替水路(西側)の構築作業を実施しています。
5.耐震裕度向上工事(地震随伴事象対策工事)の着手について
当社は、耐震設計審査指針の改訂を契機として、既設発電所設備等の耐震裕度向
上工事に取り組んでいますが、このたび、耐震裕度向上工事のうち地震随伴事象に
係る対策(周辺斜面対応工事、津波対応工事)の準備が整ったことから、順次、現
地での本格工事に着手してまいります。
(平成 20 年 4 月 17 日お知らせ済み)
<参考図参照>
6.その他
(1)げんでんふれあいギャラリー
<個人・グループでの芸術活動、趣味の発表の場としてご利用頂いております。>
1)癒しの空間 トールペイント
〔「ペイントサークル ペールミントグリーン」(代表:本田 ひろみ様)
、「S.P.C(ス
ウィーティー.ペイント.サークル)」、
「S.P.C Jr(スウィーティー.ペイント.
サークルジュニア)」(代表:竹仲 ひさみ様)の皆様による、トールペイント作品展です。
当ギャラリーでの展示は、はじめてとなります。月に2回程度開催されている教室で制作
した作品243点を展示中です。 (9/30〜10/5)
2)押し花・グラスアート・ミセスの街着&ホームウエア展
〔花遊(代表:石井 蓮好様)の皆様による押し花・グラスアートと、戸倉 節子様によるミセスの
街着&ホームウエアの作品展です。四季折々の草花の押し花作品や、敦賀で初めての展示となる
グラスアート、またコンテストに出品しいろいろな賞を受賞された手作りの洋服を約80点展示予定
です。〕*グラスアート:グラスアートフィルムとリード線を使い、ステンドグラスのようなデザインをガラスに行なう作品
(10/7〜10/19) 63)
しゅうかかい
萩華会 仮名小作品展
〔萩華会(代表:戸田 千津子様・北畑 真紀子様)の皆様による仮名書道の作品展です。
萩華会は「明るく・楽しく・暖かく」をモットーに、主に「仮名」を学んでこられたグル
ープです。当ギャラリーでの展示は3回目となります。仮名書道の小作品を27点展示予
定です。
〕 (10/21〜10/26)
4)布花展
〔敦賀市在住の田中 清美様による、布花の作品展です。田中様は 1980 年より布花制作に
取り組んでおられ、現在布花グループ「ラベンダー」の一員として活動中です。ブーケ
やリース、コサージュ等を50点展示予定です。
〕 (10/28〜11/2)
5)第5回 写団・ウエーブ21 例会展
〔写真愛好家グループ「写団・ウエーブ21」
(代表:松永 節夫様)の皆様による写真展
です。当ギャラリーでの展示は5回目となります。課題作品「道」と自由作品を約30
点展示予定です。
〕 (11/4〜11/16)
(2)げんでんふれあい福井財団イベント
<福井県内の芸術・文化振興活動として以下の事業を実施します。>
1福祉演芸会 <マジック&歌謡ショー>
出 演:ゼンジー一億(マジシャン)
林田麻友子(演歌歌手)
日時/場所:10/7 10:00〜11:00 敦賀市「第2渓山荘ぽっぽ」
14:00〜15:00 若狭町「松寿苑」
10/8 10:00〜11:00 大野市「大野和光園」
14:20〜15:20 福井市「山翠苑」
10/9 10:00〜11:00 福井市「九頭竜長生苑」
14:00〜15:00 福井市「愛全園」
(3)次世代層への教育支援活動関連イベント
<次世代層への環境・エネルギー等に関する教育支援活動として、以下の事業を実施します。>1)"げん丸塾"科学実験講座
「世界最強磁石のふしぎな世界」対象:げん丸塾生(会員制)
於:敦賀原子力館
(10/25)
(4)地域交流イベント
<地域との共生・交流活動として、以下の事業を実施します。>
1)げんでんふれあいデー
〔科学実験ショーや人力発電などの体験を通じて、楽しみながらエネルギーの大切さをご
理解いただく内容。
〕 於:ショッピングモール ヴィオ(大野市) (10/11) 7(5)その他のイベント
<原電ファミリー社員一人一人が、地域の方々に直接、発電所運転状況のご説明などをさせて
頂く訪問対話活動を行っています。>
1) げんでんふれあいキャンペーン「こんにちは"げんでん"です」
期 間:平成20年9月13日(土)〜平成20年10月5日(日)
活動日は原則として期間中の土日祝日
訪 問 先:敦賀市全地区及び周辺町の区長 約27,500戸
訪問要員:約500名
以 上 ▼別紙-1
平成20年5月平成19年8月平成19年9月平成19年
10月
平成19年
11月
平成19年
12月
平成20年1月平成20年2月平成20年
10月
敦賀発電所2号機第16回定期検査の作業工程
平成20年6月平成20年3月平成20年4月平成20年7月平成20年8月平成20年9月解列
(8/26)
1次冷却材
系統降温
燃料取出
タービン取替
原子炉容器開放主要工程
原子炉容器上部ふた取替1次系設備点検
:予定
工程
:実績
工程
凡例
蒸気発生器管台傷
原因調査・対策検討
蒸気発生器管台傷
補修準備作業
蒸気発生器管台傷
補修
タービン組立・復旧
一次系復旧
起動試験
燃料装荷
原子炉容器復旧
格納容器
漏洩率検査
一次冷
却系漏
洩検査
起動試験
並列準備
調整運転 (8/8〜9/16)
さんかく
原子炉起動
(8/3)8(注記)1:タービン動補助給水ポンプ起動用入口
弁の動作不良の原因調査・補修 (注記)1
さんかく
原子炉手動停止
(9/16)
高圧タービン主蒸気入口配管付け
根部付近の蒸気漏れの点検・調査
(1,2号機)耐震裕度向上工事
(周辺斜面対応工事)
1号機
2号機
1号機補強箇所 補機海水取水トンネル 2 号機補強箇所
(南側斜面) (西側斜面)
地震時における原子炉建屋背後斜面の安定性を向上させるため、1号機南側斜面と2号機西側斜面
についてアンカー工法等により補強します。
概 要
概 要 図
1号機南側斜面補強イメージ図
・斜面の安定性(滑り抑制)のため、切取りと
アンカー工等により補強する。
・切取り工事開始予定:12月下旬
2号機西側斜面補強イメージ図
・斜面の安定性(滑り抑制)のため、法面
についてはアンカー工で、鉄塔背面につ
いては切取りとアンカー工等により補
強する。
・鉄塔背面掘削開始予定:10月上旬
アンカー工開始予定 :10月下旬
アンカー
アンカー
原子炉建屋
原子炉建屋
切り取り
切り取り
参考図-19 (1,2号機)耐震裕度向上工事
(津波対応工事)
既設設備の津波対策として、1号機、2号機の海水取水機能を維持するため、取水系構造物に
海水貯水槽を設置します。
概 要
2 号機海水貯水槽
1号機
2号機
1号機海水貯水槽
補機海水取水トンネル
概 要 図
補機冷却系海水ポンプ 循環水ポンプ
格納容器冷却系海水ポンプ
海水ポンプ室
取水路
取水口
貯水堰(新設)
1 号機海水貯水槽イメージ図
・格納容器冷却海水ポンプの取水機能を維
持するために、コンクリート製の貯水堰
を設け、引き波時においても海水ポンプ
室内に一定量の海水を貯水する。
・工事開始予定:次回定期検査期間中
(検討中)
2号機海水貯水槽イメージ図
鋼管杭・鋼管矢板(新設)
・補機冷却海水ポンプの取水機能を維持す
るために、取水口前面を鋼管矢板等で囲い
貯水槽を設け、引き波時においても、貯水
槽と海水ポンプ室内に一定量の海水を貯
水する。
・工事開始予定:11月下旬
カーテンウオール
:深部の冷たい海水を取水するため
に設ける。
貯水槽(新設)
カーテンウオール
桟橋
補機海水取水トンネルを経由して海水ポンプ室へ
取水塔(既設)
参考図-2
2 号機海水ポンプ室
引波時に貯留される部分10

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