2024年3月29日
日本原子力発電株式会社
2024年度「経営の基本計画」の概要について
当社の2024年度「経営の基本計画」の概要についてお知らせいたします。
添付資料:2024年度「経営の基本計画」の概要
以 上
2024 年度
「経営の基本計画」の概要
2024 年 3 月
日本原子力発電株式会社
目 次
I.2024 年度事業運営方針 1
II.2024 年度個別事業運営 3
II.-(1)既設発電所の稼働に向けた取組み及び運営の強化 4
II.-(2)敦賀発電所3,4号機具体化への取組み 5
II.-(3)福島第一原子力発電所への協力 6
II.-(4)廃止措置の安全かつ効率的な実施と事業推進 7
(1)東海発電所
(2)敦賀発電所1号機
(3)廃止措置事業
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2011 年 5 月以降、既設発電所がすべて停止しているため原子力専業の電気事業者
である当社の経営環境は依然として厳しい状況にあります。このような中、当社は中
期経営方針に基づき、事業基盤や経営基盤の充実・強化等、経営改革の取組みを進め
てきているところです。
2024 年度は原子力発電事業を取り巻く環境変化を見極めつつ、将来の発展に向け
た準備を着実に進めるとともに、
自ら将来を切り拓く心構えを持って足元の課題を一
つひとつ解決することにより事業基盤を固めていきます。また、地域企業として地域
の皆様から安心され信頼いただけるように努めるとともに、労働安全、火災防止、品
質管理及びプロジェクト管理を徹底・強化し、東海第二発電所の安全性向上対策工事
や敦賀発電所 2 号機の安全審査対応、
東海発電所及び敦賀発電所 1 号機の廃止措置推
進等に引き続き全力で取り組んでいきます。
GX の実現に向けた状況変化や高速炉開発等に係る国際連携、原子力を活用した水
素製造等、今後進展・具体化していく原子力技術の活用に係る動向も踏まえた上で、
原子力の諸課題の解決に向けた取組みや原子力分野のイノベーションに先進的かつ
積極的に挑戦していきます。
以上を踏まえ、2024 年度経営の基本計画を以下のとおりとします。
I.2024 年度事業運営方針
1.安全第一に徹した事業運営
コンプライアンスは事業運営の基本であり、一人ひとりが規律ある行動を心掛
け、公正かつ誠実に業務を遂行していきます。
原子力安全に対する一義的責任は事業者にあることを自覚し、原子力安全の確
保と業務の品質向上に取り組みます。
また、
業務に潜む危険やリスクに対する感受
性を高めリスクマネジメントを徹底することにより、足元の安全を確保するとと
もに安全文化の継続的改善に努め安全性の向上を図っていきます。
(1) 法令及びルール遵守の徹底
(2) 基本動作及び基本確認の徹底
(3) 「縦・横・斜めのコミュニケーションの活性化」、「目的や目標の達成に向けた
意思統一」、「各層における主体的かつ迅速な行動の実践」による風通しの良い
企業風土の醸成
(4) 自主的かつ継続的な安全性向上
- パフォーマンス重視の品質保証活動の着実な実施(ヒューマンエラーゼロ
を目指した取組みや、リスクマネジメント及びリーダーシップの充実・強
化 等)
- これまでの人身災害や火災を教訓とした労働安全衛生管理及び火災防止活
動の強化、安全文化育成・維持活動の充実
- 敦賀発電所2号機のボーリング柱状図記事欄の記載変更事案に伴い構築し
た品質管理プロセスの確実な遂行と継続的改善
- 2 -
(5) 核セキュリティ文化醸成活動の着実な展開を通じた核物質防護対策の更なる
強靭化
(6) 情報セキュリティ及びサイバーセキュリティ対策の徹底・強化
2.経営改革の着実な実行(中期経営方針の遂行)
原子力発電の総合的な価値が再評価される中において、事業を継続し発展させ
ていくため、
経営改革を原電グループ一体で進め、
競争力の強化を図るとともに関
係者の皆様の要請にも確実に対応していきます。
経営改革にあたっては、一人ひとりのアイディアを積極的に取り入れることで、
誰もが最大限に能力を発揮し、
成長・活躍できる職場環境づくりを進めていきます。
(1) 事業基盤の強化
- 発電所の稼働に向けた対応の着実な実施
- 新規事業の具体化
- 原子力分野のイノベーションへの挑戦
・次世代革新炉の調査
・最新のIT技術の活用による業務変革
・原子力を通じた脱炭素社会への貢献方策の検討
・他企業との連携拡大の取組み 等
(2) 経営基盤の充実・強化
- 地域に根差した事業運営の推進
・地域活動への積極的な参画
・地域防災への貢献
・防災対策の継続的改善 等
- 安全第一を大前提とした経営効率化の徹底と働きがいのある職場環境づく
りの推進
・既成概念にとらわれない徹底的なコスト効率化
・最新のIT技術を最大限活用した業務効率化、業務品質の向上
・働く環境の向上(各種勤務制度等の活用促進と働きがい向上に資する施
策の検討)
- 経営課題対応を踏まえた要員の確保と配置、効果的な人材育成の更なる充実・事業展開を踏まえた技術伝承と教育訓練強化の取組み
・課題解決に向け先取的に取り組むリーダーの育成
- 事業別区分会計による収支・財務管理の徹底
- 新たな事業展開を見据えた組織形態及び財務基盤の最適化の取組み
- 原電グループ全体での経営改革の推進
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II.2024 年度個別事業運営
事業展開の具体化に向けた主な取組み
(1) 既設発電所の稼働に向けた取組み及び運営の強化
- 発電所内の設備に対する安全管理の徹底
- 東海第二発電所の安全性向上対策工事の着実な実施
- 東海第二発電所の特定重大事故等対処施設に係る設計及び工事計画認可の
早期取得に向けた安全審査への適切な対応
- 敦賀発電所2号機の早期許認可取得に向けた安全審査への適切かつ着実な
対応
- 安全を確保した上での設備投資、修繕工事、委託費等の効率化
- 経年化対応の着実な実施と稼働率向上対策の検討
- 防災体制の強化や安全性向上に資する他事業者との連携の実効性を高める
取組み
- 地域の広域避難計画の実効性向上に寄与する積極的な取組み
- 地域にお住まいの皆様への丁寧な情報発信と対話活動の継続
(2) 敦賀発電所3,4号機具体化への取組み
- 革新軽水炉の開発・建設に向けた国の方針や技術要件に係る検討状況等を
踏まえた取組み
(3) 福島第一原子力発電所への協力
- 原電グループ一体での福島第一原子力発電所廃炉への協力
- 福島復興支援の継続
(4) 廃止措置の安全かつ効率的な実施と事業推進
- 東海発電所及び敦賀発電所1号機の廃止措置完遂に向けた取組み
- 安全かつ合理的な東海低レベル放射性廃棄物(L3)埋設及び敦賀発電所
1 号機クリアランスに係る早期許認可取得と事業の推進
- 福井県の嶺南Eコースト計画における原子力リサイクルビジネス等への積
極的な協力
- 他社プラントの廃止措置に向けた技術支援と米国エナジーソリューション
ズ社との連携も視野に入れた廃止措置事業化の推進
(5) 原子燃料サイクルの推進
- 高速炉開発に対する協力
- 使用済燃料中間貯蔵事業の推進
- 放射性廃棄物の最終処分対策への支援
(6) 美浜原子力緊急事態支援センターの運用を通じた電力各社の災害対応への支
援と支援機能の高度化
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II.-(1)既設発電所の稼働に向けた取組み及び運営の強化
東海第二発電所の安全性向上対策工事を着実に進めるとともに、
敦賀発電所2号機
の新規制基準への適合に係る審査に真摯に対応していきます。
[運転計画の概要]
現時点において運転再開の目処が立たないため 2024 年度以降の運転計画は未定と
し、計画変更の内容が確定し次第、計画変更を行っていきます。
名称 型式
出力 発電電力量(百万 kWh)
(万 kW) 2024 年度 2025 年度 2026 年度
東海第二発電所 沸騰水型 110.0 0 0 0
敦賀発電所2号機 加圧水型 116.0 0 0 0
2024 年度以降の運転計画が未定であるため「0」と記載。
 東海第二発電所
・2018 年 09 月 原子炉設置変更許可を取得。
・2018 年 10 月 工事計画認可を取得。
・2018 年 11 月 運転期間延長認可を取得。
・2021 年 12 月 特定重大事故等対処施設に係る原子炉設置変更許可を取得。
・2022 年 02 月 特定重大事故等対処施設に係る設計及び工事計画認可
(第1回)申請書を提出、2022 年 11 月認可を取得。
・2022 年 04 月 特定重大事故等対処施設に係る設計及び工事計画認可
(第2回)申請書を提出、2023 年 5 月認可を取得。
・2022 年 10 月 特定重大事故等対処施設に係る設計及び工事計画認可
(第3回)申請書を提出、2023 年 10 月認可を取得。
・2023 年 05 月 特定重大事故等対処施設に係る設計及び工事計画認可
(第4回)申請書を提出。
 敦賀発電所2号機
・2015 年 11 月 原子炉設置変更許可申請書等を提出。
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II.-(2)敦賀発電所3,4号機具体化への取組み
「GX実現に向けた基本方針」
(2023 年 2 月 10 日閣議決定)を踏まえ、本計画の早
期具体化に向けて取り組んでいきます。
<計画の概要>
改良型PWR:PWRの運転経験や最新技術を取り入れ、
一層の改良を加えた原子炉。
<建設予定地の状況>
2009 年度末までに敷地造成は完了。震災後、実施していた追加の準備工事を
一時中断し、現在、現場の維持管理を継続中。
今後の工程については国におけるエネルギー政策、安全規制に係る状況等を踏
まえ、見通しが立った時点で明らかにしていきます。
3,4号機(改良型PWR)
電気出力 153.8 万 k×ばつ2 基
原子炉熱出力 446.6 万 k×ばつ2 基
燃料集合体 257 ×ばつ2 基
予定地全景
3,4 号機
予定地点
敦賀発電所
1 号機、2 号機敦賀湾敦賀市美浜町若狭湾
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II.-(3)福島第一原子力発電所への協力
我が国が原子力発電を今後も利用していくためには福島第一原子力発電所の安定
化が重要であり、原電グループの人と技術による貢献への期待に応えられるよう、長
年にわたる原子力発電事業から得られた知見等を十二分に活用することで東京電力
ホールディングス株式会社と連携しつつ、
福島第一原子力発電所の廃炉業務等に積極
的に協力していきます。
なお、
協力にあたっては当社の既設発電所の運営に影響が出ない範囲とするととも
に、
福島第一原子力発電所への協力の固有リスクが当社の事業運営に与える影響に留
意し、適切なリスク遮断の措置を講じていきます。
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II.-(4)廃止措置の安全かつ効率的な実施と事業推進
当社廃止措置プラントについては、現在、原子炉領域の安全貯蔵を行うとともに、
原子炉領域以外の解体撤去工事を継続しています。
(1)東海発電所
・〜2021 年度 タービン他周辺機器撤去工事
燃料取替機撤去工事
熱交換器周辺機器及び熱交換器本体1,2号の撤去工事 等
を完了。
・2022 年度 排気筒短尺化工事、冷却水スクリーン室建屋撤去工事を完了。
・2023 年度 各建屋附帯設備等解体撤去工事のうち、屋外機器撤去工事を
完了。
東海発電所の廃止措置等で発生する低レベル放射性廃棄物のうち、放射能レベ
ルの極めて低いもの(L3)の埋設に係る事業許可については、引き続き審査に
真摯に対応するとともに関連規則の改正(注記)
を踏まえた埋設施設の設計変更を行い、
早期の許認可取得を目指します。
・2015 年 07 月 第二種廃棄物埋設事業許可を申請。
・2016 年 12 月 第二種廃棄物埋設事業許可申請の補正書を提出。
(注記)第二種廃棄物埋設施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(2019 年 12 月及び 2021 年
10 月改正)
(2)敦賀発電所1号機
・2017 年 05 月 廃止措置工事に着手。
・2018 年 04 月 敦賀発電所1号機廃止措置の総合的管理を実施する敦賀廃止措
置プロジェクト推進センターを設置。
・〜2021 年度 制御棒駆動水圧ユニット解体工事
タービン・発電機解体工事
タービン補機冷却系熱交換器他解体工事
水素・酸素発生装置解体工事 等
を完了。
・2022 年度 薬液注入ポンプ他解体工事、取水口エリア解体工事を完了。
・2023 年度 液体毒物注入系解体工事を完了。
・2024,2025 年度原子炉建屋機器解体工事、タービン建屋機器解体工事を予定。
至近の主要な廃止措置工事の実施状況
東海発電所
排気筒短尺化工事
敦賀発電所1号機
取水口エリア解体工事
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(3)廃止措置事業
東海発電所及び敦賀発電所1号機の廃止措置において培ってきた経験を活かし、
他社プラントの廃止措置に向けた技術支援を実施していくとともに、福井県の嶺
南Eコースト計画における原子力リサイクルビジネス等に積極的に協力していき
ます。
2016 年 4 月に米国エナジーソリューションズ社との間で敦賀発電所1号機廃止
措置の効率的な遂行に向け、同社の有する廃止措置ノウハウを取得し、活用する
ことで合意しました。その後、同社が進めている米国ザイオン原子力発電所の廃
止措置プロジェクトへの当社社員の派遣や同社社員の当社への受け入れ等によっ
てノウハウの取得を行ってきました。
これまでの成果を踏まえ、同社との連携も視野に入れ、引き続き廃止措置の事
業化を推進していきます。

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