東海第二発電所 屋内開閉所における作業員の死亡事故について
(再発防止対策等の取りまとめ)
東海第二発電所(沸騰水型軽水炉、定格電気出力110万キロワット)は、第25回
定期検査中(全燃料取出中)のところ、12月18日15時26分頃、屋内開閉所(注記)で作業中の作業員が感電により倒れたと思われるため、
15時29分、
公設消防へ連絡し、
15時43分に救急車と消防車が発電所到着、15時59分に近隣の病院に搬送しまし
た。救命措置を行いましたが、17時09分、死亡が確認されました。
(注記):送電線から発電所へ電気を取り込んだり、発電所から送電線へ電気を送ったりする際に、電気のオン(閉)、オフ(開)操作を行う施設。
(平成30年12月18日 お知らせ済み)
この度、本事象の原因調査の結果及び再発防止対策を取りまとめましたので、お知ら
せいたします。
お亡くなりになった方のご冥福を心からお祈り申しあげますとともに、ご遺族の方々
に対しましては、心からお悔やみを申しあげます。
当社といたしましては、今回のような事故を二度と繰り返さないという強い決意の下、
全社一丸となってハード・ソフトの両面から対策を講じてまいります。
添付資料
・東海第二発電所 屋内開閉所における作業員の死亡事故に係る再発防止対策等の
取りまとめ結果(概要)
以 上
平成30年12月27日
日本原子力発電株式会社
しかく事象の概要
東海第二発電所は、第25回定期検査中の平成30年12月18日15時20分頃、屋内開閉所(注記)1
(非管理区域)に付属する屋外ブッシングエリア(注記)2
において、275kV屋内開閉所機器他点検に従
事していた作業員1名(以下、
「被災者」という)が倒れたことを同じ屋外ブッシングエリアにいた監
視人が発見し、そばにいた作業員が所属事務所へ連絡した。
連絡を受けた協力会社社員は、15時26分頃、中央制御室へその状況を報告した。
報告を受けた発電長は速やかに公設消防へ連絡し、15時43分に公設消防(救急車と消防車)が
発電所に到着した。
その後、救急車は15時59分にひたちなか市の病院へ出発し、16時15分に病院に到着した後
も救命措置を継続したが、17時09分に被災者の死亡が確認された。
(注記)1:送電線から発電所へ電気を取り込んだり、発電所から送電線へ電気を送ったりする際に、電気のオン(閉)、オフ(開)操作を行う施設。
(注記)2:送電線から屋内開閉所に電線を引き込む際、屋内開閉所の壁を電気が流れないようにするために設置する
絶縁体。
東海第二発電所 屋内開閉所における作業員の死亡事故に係る再発防止対策等の取りまとめ結果(概要)
添付資料
しかく原因調査結果
作業にあたっては、予め東海原子力線2号を停電させるとともに、隣接している東海原子力線1号(受電中)
からの誘導電圧(注記)3
を考慮し、屋内開閉所内に本接地を行い、地面に電気が流れるようにしていた。
当日は、屋内開閉所内の機器を点検する際に干渉する本接地を外すため、作業場所から離れた屋外に代替接
地を行い、屋内開閉所内で点検作業を続けていた。
他の作業員への聞き取り調査の結果から、被災者は、屋内開閉所での点検作業中に何らかの理由で屋外の代
替接地箇所に移動し、当該接地を外したことで誘導電圧が加わり感電したものと推定される。
また、被災者は、点検作業前の確認(注記)4
において、他の作業員に対し「屋外の代替接地には触れないこと、外
さないこと」等を周知していることから、接地についての知識や理解が十分あったものと推定される。
このため、被災者が代替接地を外した理由を究明することができなかった。
(注記)3:東海原子力線2号は停電中であるが、
隣接している東海原子力線1号
(受電中)
の影響により電圧が同線2号に誘導する現象。
(注記)4:当日の作業開始前に作業内容・段取り・問題点・危険のポイントについて話し合い、指示伝達を行う作業。
しかく再発防止対策
代替接地は不具合があった場合、重大事故につながるおそれがあることから、人命を必ず守るという強い決意
の下、個人のいかなる振る舞いがあった場合でも、接地線を外すことを防止する対策を検討した。
1.ハード面の対策 : 代替接地を伴う作業中は、簡単に当該接地を外せない対策を講じる。
(1)代替接地(接地極側)を先に外すことができない構造を持つ器具の採用
(2)代替接地が不用意に外れないカバーの設置2.ソフト面の対策 :特別高圧の作業に従事する者に対して、
代替接地の重要性を繰り返し認知させる対策を講じる。
(1)社内規程への反映
代替接地を実施する場合は、代替接地を外してはいけないという注意表記を行うことや、すべての
代替接地接続箇所に「操作禁止」表示を行う旨、社内規程に明記する。
(2)作業請負会社への要求事項の明確化と当社による確認
1作業請負会社への要求事項として、作業前の確認において、代替接地を外さないこと、誘導電圧
に関する安全配慮を情報共有する旨明記するとともに、当社はこれらの要求事項が確実に実行さ
れていることを日報等により確認するとともに、適宜立会い当社からも注意事項を伝える。
2作業請負会社への要求事項として、許可なく代替接地に接近させないため、専従の監視人を配置
する旨明記するとともに、当社が適宜現場を確認する。
3作業請負会社への要求事項として、特別高圧の作業に従事する者に対して、誘導電圧が発生する
仕組みや災害事例及び接地取扱手順等を教育する旨明記するとともに、当社がその教育内容及び
教育実績を確認する。
さらに、今回の事故を教訓として安全文化醸成の観点から、所長を含めた管理職、所員が現場に出向
き会話することで、
「予定から外れた場合には必ず立ち止まること」
「安全に関し言い合える職場風土を
醸成すること」の重要性を発電所で働く者全員に対して浸透させていく。
以 上

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