平成30年8月21日
日本原子力発電株式会社
東海第二発電所 燃料有効長頂部位置データの不整合に係る
根本原因分析の実施結果について
当社は、本年1月、東海第二発電所の新規制基準への適合性確認審査と運転期間延長
認可審査において、一部の審査資料に混在する燃料有効長頂部位置のデータ(注記)1
を使用して
いたこと(以下、
「本事象」という。
)を確認しました。
調査の結果、
本事象が事故時に用いる原子炉水位計
(燃料域)
の校正に影響しており、
関連する保安規定に抵触していたと考え、
同年2月5日、
原子力規制庁に報告しました。
また、原子力規制庁の保安検査において、本事象の保安規定上の扱いについて確認を受
け、原子力規制委員会から保安規定違反のうち「違反3」(注記)2
の判定を受けました。
(平成30年1月22日、2月5日、5月16日お知らせ済み)
本事象に係る根本原因分析(注記)3
を実施するため、
社内で専任チームを編成の上、
関係者
へのインタビュー、社内規程、記録などから事実関係を再度詳細に調査・分析し、その
結果(根本原因と再発防止対策)を取りまとめました。
今後、根本原因に対する再発防止対策について、具体的な対策実施計画を策定し、確実
に実施するとともに、その有効性を評価していきます。
(注記)1:燃料集合体は燃料棒を束ねた構造をしており、燃料被覆管に燃料ペレットの入っている部分の長
さを「燃料有効長」という。このうち、炉心に燃料集合体が装荷された状態で、燃料有効長の垂直
方向の頂点の高さ(原子炉圧力容器の底部から燃料の上端までの高さ)を「燃料有効長頂部」とい
う。
(注記)2:保安規定違反には「違反1」
「違反2」
「違反3」
「監視」があり、
「違反3」は担保するべき安全
機能の健全性を担保できなかった場合や品質保証に係る保安規定の不履行等により原子力安全に
影響を及ぼすと判断される場合に該当する。
今回、以下の観点から判定を受けた。
・本件は、事故時に用いる原子炉水位計(燃料域)が適正な値で設定されていなかったことか
ら、保安規定第27条第2項第1号(計測及び制御設備)及び第107条(保守管理計画)
で求めている同水位計が所定の機能を発揮するために必要な判定基準の設定、それに基づ
く校正や検査が行われておらず、これらの条文の要求を満足していなかった。
・また、本来の燃料有効長頂部位置のデータが業務の計画段階で適切に把握されていなかっ
たことから、保安規定第3条(品質保証計画)を満足しておらず、長期に渡り不適切な状態
が放置されており、品質管理システムの一部に問題があった。
・本件に起因して実際に生じた原子力安全上問題となる事案は確認されておらず、原子力安
全への有意な影響は認められないことから「違反3」とする。
(注記)3:直接的な原因にとどまらず、組織的要因も含めた全ての原因を抽出し、発生事象の原因を明らか
にする分析手法。
添付資料:根本原因と再発防止対策
以 上
添付資料
根本原因と再発防止対策
(注記)1:発電所の運転・保守管理上重要な図面であり、原図は当社が管理する。
(注記)2:第一種図面以外の図面であり、主にメーカから提出され担当部署にて確認した図書類。
(注記)3:設計基準図書、設備図書、現場機器の3つが整合した状態において、設備改造や運用変更等に
おいても常に整合を維持すること。
以 上
問題点 根本原因 再発防止対策炉心領域の超音波探傷検査(UT)
・第一種図面(注記)1を使用せず、第二
種図面(注記)2
のREF.(参考値)と
記載のある燃料
有効長頂部位置
の値を使用した。・当社が原図を管理し、各部署間で共有すべき重
要な情報を記載してい
る第一種図面の取扱い
が不適切であった。
・業務計画の立案にあたっ
ては、
「第一種図面を使用
すること」を規定化する。・「第一種図面に記載のない
情報を第二種図面から引
用する場合(特にREF.
と記載のある数値)
につい
ては、
複数図書によるチェ
ック、
メーカへの再確認等
ができなければ、
使用しな
い。
・業務の計画にあたって、
「要求事項とその根拠の
確認を個々に責任をもっ
て確認し、
業務計画を策定
すること」を規定化する。
・レビューに関する各会議
体の実施要領に
「過去から
使用していた数値等の検
証や妥当性を確認するこ
と」を規定化する。
・今後導入を計画している
新検査制度におけるコン
フィグレーションマネー
ジメント(注記)3
において、
更に
体系的に管理していく。
・業務の計画及び業務の
レビューにおいて、
過去
から使用していた数値、
もしくは設備変更のな
い範囲の数値に対する
設計検証・妥当性確認が
ぜい弱であった。
・本来の値ではな
い数値が記載さ
れている第二種
図面の使用を継
続した。
・UT実施メーカ
から正しい数値
が提示されたに
も関わらず、数
値の見直しが行
われなかった。事故時に用いる原子炉水位計(燃料域)
・設計メーカが例
示した計算式の
妥当性に気づか
ずに使用を継続
した。

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