平成25年3月11日
日本原子力発電株式会社
敦賀発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合第3回評価会合
に対する当社要請文書の原子力規制委員会への提出について
当社は本日、原子力規制委員会に対し、別添の要請文書を提出しましたので
お知らせいたします。
・添付資料:敦賀発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合第3回評価
会合の審議の問題点について
以 上
平成25年3月11日
原子力規制委員会
委員長 田中 俊一 殿
日本原子力発電株式会社
取締役社長 濱田 康男
敦賀発電所敷地内破砕帯の調査に関する
有識者会合第 3 回評価会合の審議の問題点について
標記会合の審議については、当社は、当日「そのとりまとめ方は、一方的かつ公平・公
正さを欠いたものであり、容認できない」旨のコメントを発表しましたが(注1)
、その進め
方及び内容の両面に亘って大きな問題があると考えております。
そもそも現在行われている評価会合の審議は、原子炉等規制法に基づき原子力規制委員
会が有する規制権限の行使の一環として行われているものであります。したがって、その
行使に当たっては、行政手続法の目的に定める「公正の確保と透明性の向上」
(注2)に最大
限配慮して行われなければならないものと考えますが、標記会合の運営に当たっては、以
下に示すとおり、そのような配慮がなされていたとは到底思われません。このような審議
のあり方は、公平・公正さを欠くものであると言わざるをえず、原子力規制委員会に対し
ては、その運用を改めて頂くよう、強く要請いたします。
1. 審議の進め方に関する問題点
(1) 客観的な事実やデータによる立証を無視する姿勢
当社は、評価会合において、
1 D-1破砕帯の年代判定に関連し、上載地層下部での「美浜テフラの検出」によ
り、約 12〜13 万年前以降は活動していないことを立証しました。また、
2 D-1破砕帯周辺データ(変位センス)の追加により、G断層とD-1破砕帯と
が連続していることを立証しました。さらに、
3 K断層(せん断面)につき、変位センスの相異及び走向の屈曲の観察により、K
断層とD-1破砕帯等は関連がないことを立証しました。
このように、当社は、客観的事実とデータに基づき、重要な評価結果を説明しまし
た。それに対し、評価会合では特段の異論は出されませんでした。それにも拘わら
ず、それらを真正面から取り上げようとしない姿勢は、およそ科学的かつ合理的な
評価とは言えず、公正な態度とは言えないと考えます。
(2) 評価書案の結論に至る論拠及びその裏付けを説明しようとしない姿勢
当社は、
昨年 12 月 10 日の第 1 回評価会合での結論付けに対し、
12 月 11 日付
「公
開質問状」
(注3)により様々な疑問を提起して以来、
本年 1 月 22 日付
「当社の考え方」
及び 2 月 5 日付「当社の見解」
(注4)により、評価会合における立論や評価書案の論
拠等に対し意見を申し述べてきました。しかしながら、標記会合においては、それ
らの疑問や意見に答えることなく、また当社が求めてきた評価書案の論拠の合理的
説明やそれを裏づける根拠は何ら示されませんでした。これでは原子力規制委員会
が原則としておられる「科学的議論」や「客観的データに裏付けられた判断」とは
およそ程遠いものであり、公正な判断とは言えないと考えます。
(3) 評価書案により直接的不利益を被る可能性のある当社に、反論の機会を与えよう
としない姿勢
上記のとおり、当社は再三に亘り評価会合の立論及び評価書案の論拠に対し疑問
を提起し、また客観的な事実・データに基づき意見を申し上げました。それにも拘
らず、標記会合においては、出席していた当社が退席した後に評価書案の審議が行
われ、当社には反論する機会が与えられませんでした。これでは、原子力規制委員
会が常々表明しておられる「事業者の意見はよく聴く、議論をしたい」という方針
に反しているものであり、公平・公正な審議とは言えないと考えます。
2. 評価書案の論拠に関する問題点
評価書案で「D-1破砕帯は、安全側の判断として、耐震設計上考慮する活断層
である可能性が高く、また至近距離にある浦底断層と同時に活動し、直上の重要な
施設に影響を与えるおそれがある」とする論拠については、客観的な事実・データ
に照らして見ると極めて疑問が多く、問題があると考えます。(1)「K断層のずれは、基盤及び上位の地層に及び、後期更新世以降の活動を否定でき
ない」について
評価会合は、
当社が客観的データに基づき約 12〜13 万年以前と立証した地層につ
いて、その根拠(火山灰が側方へ連続的に分布し、かつ上下の地層の年代と逆転し
ていないこと)を十分吟味することなく、火山灰の産出量が少ないことのみを以っ
て、
約 12〜13 万年以前とする当社の主張を否定した上でK断層を活断層であると判
断しています。しかしながら、評価会合においてはK断層が後期更新世以降に活動
したことの立証は何らなされておらず、
「否定できない」との指摘は、科学的観点か
ら見て適切ではないと考えます。(2)「K断層は、断層の形状(走向傾斜)の類似性、及びその位置から、D-1破砕帯
と一連の構造である可能性が高い」について
評価会合は、K断層につき、南北方向、西傾斜でD-1破砕帯と類似していると
しています。しかしながら、標記会合において当社が示した直接の観察結果から、
K断層はトレンチ内で屈曲し、走向が変化していることから、K断層は2号機原子
炉建屋の方向に向かっていないことが示唆されました。また、当社は従前から、K
断層は逆断層センスであり、他方、D-1破砕帯及び 2 号機原子炉建屋近くの破砕
帯は、評価会合が指摘する作成方法に基づく薄片観察の結果も含め、いずれも正断
層センスであることから、この両者の変位センスの違いにより、両者の間に関連は
ないことも明らかにしています。
一方、評価会合は、K断層が 2 号機原子炉建屋の方向に向かっていると主張して
いますが、それを裏付ける根拠は何ら示しておらず、その「可能性が高い」との指
摘は、科学的観点から見て適切ではないと考えます。(3)「K断層は、浦底断層と極めて近接することから、浦底断層と同時に活動し、直上
の重要な施設に影響を与えるおそれがある」について
K断層は、上記(1)及び(2)に示したとおり、D-1破砕帯とは関連のない
ものであり、また耐震設計上考慮する活断層ではないことから、K断層が2号機原
子炉建屋などの安全上重要な施設に影響を与えることはありません。
なお、浦底断層自体の活動の可能性によるD-1破砕帯の 2 号機原子炉建屋への
影響については、既に数値解析により、影響を与える可能性がないことを確認して
います。
(注5)
なお、当社は、先の標記会合で出された指摘も踏まえ、引き続き調査を継続していると
ころであり、原子力規制委員会に対しては、こうした調査結果も踏まえ、改めて議論を行
う機会を与えられるよう、強く要請いたします。
以上
(注1) 3月8日「本日の敦賀発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合 第3回評価会合における審
議について(当社コメント)」
(注2) 行政手続法第 1 条第 1 項(目的)
「この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等で定める手続きに関し、共通
する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定にお
いて、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。
)の向上を図り、もって国民
の権利利益の保護に資することを目的とする。」(注3)12 月 11 日
「敦賀発電所敷地内の破砕帯調査に関する原子力規制委員会への質問状の提出について」
(注4)
・1 月 22 日「敦賀発電所敷地内破砕帯に関する当社の考え方について」
・2 月 5 日
「敦賀発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合の報告書案に対する当社見解等の原
子力規制委員会への提出について」
(注5) 「鉛直 2 次元 FEM モデルによる解析結果(破砕帯の局所安全係数:2 号機断面)」(平成 24 年 4 月
24 日旧原子力安全・保安院現地調査資料)

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