平成23年 1月24日
日本原子力発電株式会社
敦賀発電所1号機 保安規定違反に係わる指示文書の受領について
敦賀発電所1号機は、定格熱出力一定運転中の、平成23年1月12日14時07分、高圧
注水系(注記)1
のディーゼル駆動ポンプ手動起動試験のために起動操作を行ったところ、
ディーゼル機
関(以下「当該機関」という。)の回転数が上がらず自動停止したため、保安規定の運転上
の制限(注記)2
を満足していないと判断しました。
当該機関が自動停止した原因は、通常「閉」状態であるシリンダー排気手動弁16個(以
下「当該弁」という。)が全て「開」状態となっていたことにより、シリンダー内で燃焼に
必要な混合ガスの圧縮がされず、当該機関の回転速度を上昇させるのに必要な燃焼ができな
かったためと推定しました。
当該機関等の外観点検を実施し、当該弁以外に異常のないことの確認を行った後、高圧注
水系ディーゼル駆動ポンプを起動し、当該機関が動作可能な状態であることを確認したため、
同日22時37分に運転上の制限逸脱から復帰しました。
今回の事象において、プラントの運転状態および周辺環境への影響はありません。
(1月12日、13日ホームページお知らせ済み)
本日、経済産業省原子力安全・保安院より、本事象が保安規定第38条(非常炉心冷却系
その1)第 1 項に違反していると判断され、厳重注意を受けるとともに指示文書を受領しま
した。
保安規定第38条第1項には、原子炉が運転状態において、高圧注水系が作動可能である
ことが要求されていますが、今回の事象においては、平成22年12月13日(前回の手動
起動試験日)から平成23年1月12日の間、運転員の錯誤により当該弁が「開」となって
おり、この間、高圧注水系が動作可能でなかったことから、保安規定違反と判断されたもの
です。
高圧注水系が動作可能ではなかった期間においても、保安規定に基づき自動減圧系(注記)3
およ
び非常用復水器(注記)4
が動作可能であることを確認していることから、原子炉の安全に直ちに影
響を与えるものではありませんでした。
当社としては、原子力安全・保安院からの厳重注意を真摯に受け止め、この指示に基づき、
根本原因究明および再発防止対策を策定し、平成23年4月25日までに同院に報告いたし
ます。
(注記)1:高 圧 注 水 系 :原子炉水位低下時、原子炉に冷却水を注入する非常用炉心冷却設備の1つであり、原子炉が通
常運転中は待機状態にある。
(注記)2:保安規定の運転上の制限:多重の安全機能を確保するため、予備も含めて動作可能な機器(ポンプ等)の必要台数が定め
られているもの。
一時的にこれを満足しない状態が発生すると、
運転上の制限からの逸脱を宣
言し、予め定められた時間内に修理等を行うことが求められる。
(注記)3:自動減圧系 :非常用炉心冷却系の一つで、原子炉水位が異常に低下した場合に、原子炉の圧力を強制的に下
げ、低圧の非常用炉心冷却系による原子炉への注水を促進するための設備。
(注記)4:非常用復水器 :原子炉で発生した蒸気を主復水器で冷却できない場合、蒸気を熱交換器で冷却し、復水とした
水を原子炉に戻す設備で冷却用に純水を使用している。
以 上

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