平 成 2 2 年 7 月 9 日
日本原子力発電株式会社
東海発電所 廃止措置計画認可申請等における
放射能評価計算の入力データの一部誤りについて
(中間報告)
1.経緯
東海発電所廃止措置計画認可申請書の放射化放射性物質の評価、
東海発電所に
お い て 用 い ら れ た 資 材 等 に 含 ま れ る 放 射 性 物 質 の 放 射 能 濃 度 の 測 定
及び評価方法の認可申請書(
「クリアランス認可申請書」
)の放射性物質組成の評
価において使用されている原子炉廻りの中性子フルエンス率((注記)1)
計算の入力デー
タの一部に誤りがあることが、平成22年2月22日に判明しました。
その後、
本入力データの一部誤りが東海発電所廃止措置に与える影響について
確認を実施した結果、現時点においては、廃止措置工事の安全性への直接的な影
響、
並びにクリアランス認可申請書及びクリアランス判断への影響はなく、
また、
廃止措置計画認可申請書への影響の程度は少ないとの見通しを得ました。
本日、その概要(速報)を原子力安全・保安院に報告したところ、同院から速
やかに以下の対応を行うよう指示文書を受領しました。
1)計算入力の誤りの影響を明らかにし、正しい入力データを用いた計算結果
と、その反映の方法を報告すること。
2) 今回の計算入力の誤りについて、原因を詳細に調査し、その再発防止策を
示すこと。
当社としては、このたびの指示を真摯に受け止め、今後更に詳細調査を行い、
同院からの指示に基づき、当該計算入力の一部誤りの影響を明らかにし、原因及
び再発防止策について取りまとめの上、原子力安全・保安院に報告いたします。
(注記)1:単位時間内に単位面積を通過する中性子量を表す物理量。
(3月9日お知らせ済み)
これまでの点検調査によって、
クリアランス認可申請書に係る点検が全て終了
し、正しい計算を行うとともに、原因と再発防止対策がまとまりましたので、廃
止措置計画認可申請書に関する点検状況と併せて、本日、原子力安全・保安院に
報告しました。
2.対応方法
廃止措置計画認可申請書及びクリアランス認可申請書に係る中性子フルエン
ス率の計算などの全ての解析計算及び表計算ソフト等を用いた数値計算につい
て、適切な入力データが使用されているか総点検を実施することとしました。そ
の上で、総点検で判明した誤りを直した正しいデータを用いた計算を実施し、同
計算結果をもとに詳細な影響評価を行うとともに、誤りの原因を調査して、その
再発防止対策を立案することとしました。
3.点検調査状況 (添付図1及び2参照)
クリアランス認可申請書における全ての解析計算と廃止措置計画認可申請書
に係る中性子フルエンス率計算及び放射化量計算の解析計算の点検を行ったと
ころ、最初に判明した原子炉廻りの中性子フルエンス率計算の誤りを含め、合計
9項目の入力誤りがあることが判明しました。うち、クリアランス認可申請書で
は、5項目が関連していました。
また、クリアランス認可申請書における全ての数値計算の点検を行った結果、
2項目の誤りがあることが判明しました。
なお、
廃止措置計画認可申請書における残りの解析計算及び数値計算について
は点検調査を継続中です。
4.影響
クリアランス認可申請書について、
誤りを正した計算結果との比較を行ったと
ころ、
クリアランス認可申請書添付書類の評価対象核種選定のプロセスの表の一
部に誤りがあるものの、結果として、評価対象核種の選定及び放射能濃度の決定
方法については影響しないことを確認しました。このため、これまで確認を受け
たクリアランス金属約 400t の判断には影響ありません。
また、
測定済みの約 340t
についても既認可の方法が適用できることを確認しました。
廃止措置計画認可申請書については、
これまでの調査で新たに判明したものも
含め誤入力等の影響程度は小さく、廃止措置工事の安全性への影響はなく、申請
書記載への影響程度は小さいと評価しています。
5.原因と対策
クリアランス認可申請書に関する解析計算及び数値計算の誤り等は、
チェック
が不十分であったためであり、計算当時、許認可申請に係る解析計算に対する品
質保証関係のルールがない状況で許認可申請したことが原因と考えられます。
再発防止対策として、審査・承認者及び解析担当者に対して、事例教育を実施
し、チェック機能の強化を図っていくこととします。また、当社は既に品質保証
システムを定めて品質保証活動を展開し、
これにより解析計算等において入力値
の検証等がチェックされることになっていますが、
クリアランス認可申請及び廃
止措置計画認可申請に係る解析計算業務等に対して、
より厳格に管理を徹底する
ため、確認要領を新たに品質保証プロセスに規定することとしました。
6.今後の予定等
廃止措置計画認可申請書につきましては、引き続き点検・影響評価を行った
上、原因と対策等をまとめて報告いたします。
今後のクリアランス測定評価方法につきましては、既認可の方法を使用して
も問題ないと考えられますが、クリアランス認可申請書添付書類の記載を適正
化するという観点から、正しい申請書添付書類を提出いたします。
添付図 1 東海発電所クリアランス認可申請書に係る計算フローと点検結果
添付図 2 東海発電所廃止措置計画認可申請書に係る計算フローと点検状況
以 上
添付図1 東海発電所クリアランス認可申請書に係る
計算フローと点検結果
【クリアランス認可申請書に係る誤りの概要】
放射化量計算
放射化量計算
核種組成計算
放射能実測データ
平均放射能濃度法
燃料燃焼計算
燃料燃焼計算
評価に用いる放射性物質の選定
(H-3)
C-14/Co-60、 Sr-90/Cs-137、全α/ Cs-137
放射性核種組成比法
(C-14、 Sr-90、全α )
全γ線グループ測定法( γ線)
放射性核種組成比法( α線)
(Mn-54,Co-60,Cs-134,Cs-137,
Eu-152,Eu‐154)
<放射能濃度決定方法>
<評価に用いる放射性物質の選定>
原子炉領域中性子フルエンス率計算
原子炉領域中性子フルエンス率計算
:計算コード等による解析計算
:計算コード等による解析計算
:表計算ソフト等による数値計算
:表計算ソフト等による数値計算
:誤り箇所
:誤り箇所
:点検終了範囲
:点検終了範囲
1.原子炉領域中性子フルエンス率計算 (注記)
・原子炉領域(上部)のスタンドパイプ領域の断面積元素
指定の誤り(炭素を窒素に誤入力)
・原子炉領域(上部)の炉心ガス領域の断面積元素指定の
誤り(炭素を窒素に誤入力)
2.放射化量計算 (注記)
・運転履歴:運転期間(約33年,11,619日)の運転履歴を
入力する際に,ある1つの期間の積算運転日数を,
384.67日とすべきところを424.67日とした
・元素組成:ステンレスの不純物元素であるSmの濃度
を7.0E-8(重量比)とすべきところを2.0E-8(重量比)とした
・Ag108mの半減期が平成8年に改定され(4.180E+02年)て
いたが,燃料及び燃料構成材についてはそれが反映
されず,改定前の値(1.271E+02年)を使用していた
3.申請書記載事項(評価対象核種の選定部分)
・放射性物質組成に関して実施した151核種の放射化量計算
から33核種の評価対象核種を評価する際に,Ta-182の値
を選択するところTa-180の値を選択した
・放射線量への寄与割合を算出し11核種の評価対象核種
を選定する際に,Ba-133,Tb-160,Ta-182の核種データ
の参照セルを誤り,計算途中過程のデータを参照した
(注記)廃止措置計画認可申請書と共通の誤り項目
誤り(圧力容器(鉄)を反射体(炭素)に誤入力) (3月9日公表済)
【廃止措置計画認可申請書に係る誤りの概要】
原子数密度の入力誤り(3.788E-3個/cm3を3.797E-3個/cm3で
・原子炉領域(下部)の下部炉心領域のU-238の原子数密度の
・運転履歴:運転期間(約33年,11,619日)の運転履歴を入力
・Ag108mの半減期が平成8年に改定され(4.180E+02年)て
する際に,ある1つの期間の積算運転日数を,384.67日と
・原子炉領域(下部)の圧力容器領域の断面積材質指定の
・原子炉領域(上部)の炉心ガス領域の断面積元素指定の
7.0E-8(重量比)とすべきところを2.0E-8(重量比)とした
・元素組成:ステンレスの不純物元素であるSmの濃度を
・原子炉領域(上部)のスタンドパイプ領域の断面積元素
入力誤り(6.455E-4個/cm3を4.655E-4個/cm3で入力)
いたが,燃料及び燃料構成材についてはそれが反映
・原子炉領域(下部)の圧力容器保温材領域の酸素の
・原子炉周辺部のコンクリートの断面積指定において
されず,改定前の値(1.271E+02年)を使用していた
添付図2 東海発電所廃止措置計画認可申請書に係る
(注記)クリアランス認可申請書と共通の誤り項目
2.原子炉周辺部中性子フルエンス率計算
指定の誤り(炭素を窒素に誤入力) (注記)
散乱断面積ファイル番号の入力誤り
1.原子炉領域中性子フルエンス率計算
誤り(炭素を窒素に誤入力) (注記)
すべきところを424.67日とした
3.放射化量計算 (注記)
入力)
計算フローと点検状況
原子炉領域中性子フルエンス率計算
原子炉領域中性子フルエンス率計算
放射化量計算
放射化量計算
放射化レベル別物量評価
平常時液体
放出量評価
平常時液体
被ばく線量評価
平常時気体
放出量評価
平常時気体
被ばく線量評価
作業線量評価
従事者
被ばく線量評価
燃料燃焼計算
燃料燃焼計算
事故時
ソースターム評価
事故時
被ばく線量評価
線 源
線 源
直接線スカイシャイン
線量評価
直接線スカイシャイン
線量評価
原子炉周辺部中性子フルエンス率計算
原子炉周辺部中性子フルエンス率計算
:誤り箇所
:誤り箇所
放射化放射性物質濃度及び量の評価
:点検終了範囲
:点検終了範囲
:計算コード等による解析計算
:計算コード等による解析計算 :表計算ソフト等による数値計算
:表計算ソフト等による数値計算
:数値データ
:数値データ
実測汚染データ

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