平成15年12月30日
日本原子力発電株式会社
敦賀発電所1号機の原子炉手動停止の原因と対策について
(原子炉再循環ポンプメカニカルシールの機能低下)
当社、敦賀発電所1号機(沸騰水型軽水炉:定格電気出力 35万7千kW)は、定格
熱出力一定で運転中のところ、3台ある原子炉再循環ポンプのうち1台(B号機)のメ
カニカルシール
(軸封部)*1でシール機能の低下傾向
(シールリーク流量の増加傾向等)
が認められました。本事象は原子炉再循環ポンプの運転に支障を来すものではないが、
予防保全の観点から、平成15年12月28日に原子炉を手動停止し、当該軸封部を予
備品に取り替えることとしました。また、C号機のメカニカルシールについても極僅か
なシールリークがみられたことから念のため取り替えることとしました。
なお、本事象による周辺環境への放射能の影響はありません。
(平成15年12月26日記者発表済)
点検調査の結果、原子炉再循環ポンプB号機のメカニカルシールのうち、第1段及び
第2段固定リングシール面に小さな傷が確認されました。なお、第2段の固定リングシ
ール面の傷(1箇所)は、U溝部からリング内周にかけて、シール面を横断していまし
た。
このことから、原因は、微細な異物がシール面に混入し、シール面を傷つけたことによ
り、メカニカルシールの機能が低下したものと推定されました。
本事象の対策として、原子炉再循環ポンプB号機のメカニカルシールを予備品に取り替
えます。また、C号機、及び原子炉再循環ポンプ停止後にシールリークが認められたA
号機のメカニカルシールについても調査を実施し、異常がないことを確認しましたが、
念のため、第1段及び第2段メカニカルシールの固定リング及び回転リングについて予
備品に取り替えます。
今後、原子炉再循環ポンプの試運転を実施した後、平成16年1月2日頃に原子炉を起
動し、翌3日頃に発電を再開する予定です。
*1:メカニカルシール(軸封部)とは、ポンプ内の冷却水がポンプ主軸に沿ってポン
プ外部に出ないようにするために設けられているものである。
(経済産業省によるINESの暫定評価)
基準1 基準2 基準3 評価レベル
- - 0- 0-
以 上
参考資料 原子炉再循環ポンプメカニカルシール部状況説明図
原子炉再循環ポンプメカニカルシール部状況説明図
約 180mm
約 180mm
約 140mm
固定リング(カーボン)
回転リング
(タングステンカーバイド)
約 30mm
約 20mm
原子炉再循環ポンプ断面図
入口側
主軸
メカニカルシール
出口側
メカニカルシール
モータ
ポンプ
入口側
出口側
原子炉再循環ポンプ
原子炉格納容器FT
格納容器機器ドレンサンプ
コントロールリーク及び
シールリーク排出ライン
FT:流量発信器 系 統 概 略 図
B号機
B系統
他にA・Cの
2系統あり
メカニカルシール概念図
シールリーク
コントロール
リーク
第1段シール
キャビティ
シールパージ
(一定供給)
(ポンプ側)
(モーター側)
主 軸
B号機
カーボン軸受
原子炉へ
第2段シール
平成 15年8 月中旬より
シールリーク流量増加
通常約 0.2 リットル/分以下

約 1.2 リットル/分
≪シール機能低下≫
第2段シール
キャビティ12
循環羽根 傷(シール面横断)
第1段シール
平成 15 年 12 月下旬より
第 2 段シールキャビティ圧力増加
通常約 3.5MPa 以下↓約 3.6MPa
≪シール機能低下≫
1第2段固定リングシール部
4箇所
(内1箇所シール面を横断)
2第1段固定リングシール部
9箇所
(シール面を横断する傷無し)
傷の数 傷シール面点検結果(概念図)
U溝
(16箇所)

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /