平成13年3月16日
日本原子力発電株式会社
当社は、本年1月16日に福井県知事、敦賀市長、美浜町長に送付し、併せて経済産
業大臣に届出ました「敦賀発電所3,4号機増設計画環境影響評価準備書」について、
1月17日から2月16日まで縦覧し、縦覧中の1月25日には準備書説明会を行うと
ともに、3月2日まで環境保全の見地から一般の方々の意見を募集してまいりました。
本日、環境影響評価法、電気事業法に基づき、お寄せいただいた意見の概要とそれに対
する当社の見解等を別添のとおり取りまとめ、福井県知事、敦賀市長、美浜町長に送付
するとともに、経済産業大臣に届出ましたので、お知らせいたします。
以上
別紙 敦賀発電所3,4号機増設計画に係る環境影響評価準備書についての意見の概
要等について
敦賀発電所3,4号機増設計画に係る環境影響評価準備書についての
意見の概要等について
目次
第1章 環境影響評価準備書の公告及び縦覧
1.環境影響評価準備書の公告及び縦覧
(1) 公告の日
(2) 公告の方法
(3) 縦覧期間
(4) 縦覧場所及び縦覧者数
2.環境影響評価準備書への意見の把握
(1) 意見書の提出期間
(2) 意見書の提出方法
(3) 意見書の提出状況
第2章 環境の保全の見地から提出された意見の概要及び当社の見解
1.水環境
2.付着生物防止剤
3.自然環境
4.温室効果ガス等
5.その他
第1章 環境影響評価準備書の公告及び縦覧
1.環境影響評価準備書の公告及び縦覧
【1】公告の日
平成13年1月17日(水)
【2】公告の方法
(1)平成13年1月17日(水)付の次の日刊新聞紙に「公告」を掲載した。
・ 福井新聞(朝刊)
・ 日刊県民福井新聞(朝刊)
・ 中日新聞(福井版、朝刊)
・ 朝日新聞(福井版、朝刊)
・ 毎日新聞(福井版、朝刊)
・ 読売新聞(福井版、朝刊)
・ 産経新聞(福井版、朝刊)
・ 日本経済新聞(北陸版、朝刊)
(2)上記の公告に加え、次の「お知らせ」を実施した。
・平成 13年1月17日(水)〜 平成13年3月2日(金)まで当社ホームページに
「準備書に係るお知らせ」を掲載した。
(資料2参照)
【3】縦覧期間
平成13年1月17日(水)〜 平成13年2月16日(金)
【4】縦覧場所及び縦覧者数
(1)縦覧場所 : 6個所
a.関係市町の庁舎 2個所
・ 敦賀市役所
・ 美浜町役場
b.事業者の事務所等 3個所
・ 敦賀地区本部
・ 敦賀原子力館
・ 福井事務所
c.事業者が利用できる適切な施設 1個所
・ 福井原子力センター
(2)縦覧者名簿記名者数 : 99名
2.環境影響評価準備書への意見の把握
(1)意見書の提出期間
平成13年1月17日(水)〜平成13年3月2日(金)までの間(縦覧期間及びその
後2週間)
(2)意見書の提出方法
当社本店「準備書ご意見係」宛て書面で提出
(3)意見書の提出状況
提出された意見書は、8通
日刊新聞紙に掲載した公告内容
当社ホームページに掲載したお知らせの内容
第2章 環境の保全の見地から提出された意見の概要及び当社の見解
「環境影響評価法」第18条第1項の規定に基づき、環境影響評価準備書について環境
の保全の見地から提出された意見は、14件であった。
「環境影響評価法」第19条の規定に基づく、環境影響評価準備書についての意見の概
要及び当社の見解は、以下のとおりである。
1.水環境
意見の概要 当社の見解
(1)水温の鉛直断面分布図によれば、
放水口の沖合40m付近で3°C上昇と
なっているが、沿岸部での温度上昇は
ないのか。 (同主旨の意見として計2件)(1)水温の鉛直断面分布図(準備書第8.4.3-11 図参照)は、放
水口からの水深方向の温度分布を示しており、放水口のごく
近傍の表層付近では2°C台となっています。なお、表層におけ
る水温の平面分布は準備書の第9.1-16 図に示すとおりです。
(2)周辺の流れを考慮した水理模型実
験を行い水平分布図を示した方がよ
い。
(2)温排水の拡散予測手法としては、放水口近傍の混合希釈
現象については水理模型実験手法を採用し、放水口から離れ
た海流による拡散が支配的となる海域の拡散現象について
は、数理モデルによるシミュレーション解析を実施していま
す。この数理モデルによるシミュレーション解析手法について
は、信頼性の高い手法であることが確認されており、従来から
多くの発電所の温排水拡散予測に用いられています。
(3)温排水により敦賀半島の沿岸の水
温が上昇すれば、そこに生息する生
物に重大な影響を与えるので、美浜発
電所の温排水の拡散も考慮して予測
すべきである。 (同主旨の意見として
計2件)
(3)温排水による海生生物への影響については、「温排水問
題に関する中間報告」(中央公害対策審議会水質部会、昭和
50 年12 月)において、「常時2〜3°C以上昇温している水域の
範囲で生物相が変化したり、その種類数が減少したりする現
象がみられることもあるもののこの水域を外れると生物相の
顕著な変化は知られていない。ただし、のり等については、
1°Cの昇温により影響が見られることもある。」とされており、
これを踏まえ温排水による海生生物への影響の予測・評価
は、1°Cの温排水拡散予測範囲を基に実施しています。
シミュレーション解析は、流況調査結果の解析をもとに、海域
の流れとして北東流(10cm/s)の場合、南西流(10cm/s)の場
合及び流れがない場合の3ケースの流れ条件を再現し、隣接
発電所として2号機、もんじゅ、美浜発電所の温排水を考慮し
て実施しています。解析結果では、3,4号機の温排水は2号機
及びもんじゅとは重なり合いますが、美浜発電所の1°C拡散範
囲と2〜4号機及びもんじゅの1°C拡散範囲は、重なり合わな
いことを確認しており、このことから美浜発電所の温排水の拡
散範囲を除いて影響の予測評価を行っています。なお、海生
生物への影響については、準備書に記載しているとおりであ
り、放水口近傍では多少の影響が考えられますが、調査海域
全体からみれば影響は少ないものと考えています。
(4)3,4号機の放水は水中放水となっ
ているが、表層放水に比べ、拡散範囲
はどうか。
(4)水中放水の場合は、温排水が放水口出口から浮上する過
程で周囲水を巻き込みながら、水温が低下するため、表層放
水に比べ表層の温排水拡散範囲は小さくなります。
(5)2〜4号機ともんじゅが同時運転し
た場合における敦賀湾内の各種漁業
や水産生物に及ぼす影響、及び3,4号
機を含めた全原子力発電所が運転し
た場合における若狭湾への環境影響
について予測すべきである。
(5)敦賀湾内の海生生物に及ぼす影響については、シミュレ
ーション解析結果によれば準備書の第8.4.3-13 図(1)に示すと
おり、1°Cの拡散範囲が敦賀湾内に及ばないことから影響は
ないものと考えています。また、若狭湾への環境影響につい
ては、各原子力発電所においてそれぞれ環境影響評価やモ
ニタリング調査が行われています。
2.付着生物防止剤
意見の概要 当社の見解
(1)復水器への貝類付着防止のため、次亜塩
素酸ソーダを注入することになっているが、残
留塩素による生物への影響が懸念される。放
水口で 0.01mg/l 以下であっても、大量の海水
(214m3/s)で希釈しているに過ぎず、放出後
の生体への影響の評価及び生物濃縮によるヒ
トへの影響の評価が必要である。
(1)次亜塩素酸ソーダによる復水器冷却水系の通過
影響については、準備書の 8.4.4-6 頁に記載している
とおり影響は少ないものと考えています。「水産用水
基準(魚類その他の水産動植物の正常な生息および
繁殖を維持するための水生生物保護の水質基準)」
((社)日本水産資源保護協会、平成7年12 月)によれ
ば、残留塩素は、「検出されないこと」とされており、
3,4号機の放水口においては検出限界値(0.01?/l)未
満となるように管理することから、放水後の海生生物
への影響はないものと考えています。 また、「水道
法」によれば「給水栓出口における遊離残留塩素を
0.1?/l以上を保持するように塩素消毒をすること」とさ
れており、ヒトへの影響はないものと考えています。
3.自然環境
意見の概要 当社の見解(1)福井県内の原子力発電所では森の
中の発電所となるよう緑化努力が行わ
れている。
3,4号機の建設においても、
事前調査データに基づき緑化がなされ、
自然環境の保全が進められるものと期
待する。(1)敦賀発電所は、
「森の中の発電所」
として周辺の自
然環境と調和した緑化を行うとともに、
猪ヶ池を野鳥の生
息場所として保全する等の環境保全に取り組んで来まし
た。3,4号機の建設においても、土地造成跡地には既設
の緑化実績及び環境調査の結果を踏まえ、
郷土種を中心と
した緑化を行うことにより、
自然環境の保全に努めること
としています。
4.温室効果ガス等
意見の概要 当社の見解
(1)3,4号機の増
設による日本の
CO2排出量の削
減効果を説明して
欲しい。
(1)3,4号機の運転に際しては CO2の排出はありません。原料の採掘、建設、輸
送、精製、運転等の全ての段階を考慮しても、3,4号機の1年間の発電電力量(稼
働率を 80%とした場合)を、LNG 火力で賄おうとすると、約1,410 万tの CO2を排出
することになりますが、3,4号機では約24〜48 万tと格段に少なくなります。
5.その他
意見の概要 当社の見解(1)評価書は、
敦賀市において策定中
の環境基本計画の目的や基本理念及び
各項目内容を十分に考慮した内容であ
って欲しい。
(1)評価書の作成に当たっては、
「環境影響評価法」及
び「電気事業法」に基づき、準備書に対する住民意見、知
事意見及び経済産業大臣の勧告を踏まえ、
準備書の記載内
容について検討を加えることとしています。
なお、
準備書
は、「福井県環境基本条例」及び「敦賀市環境基本条例」
の基本理念を考慮しており、
評価書の作成においても同様
といたします。(2)準備書は、
専門的で理解が難しい。
誰もが理解できる準備書が欲しい。(2)準備書及び要約書は、
図表を多く使用するなどでき
るだけご理解いただきやすい内容となるよう努めました。
また、
広く周知するため図表を主体とした
「環境影響評価
のあらまし」
のパンフレットを作成し、
説明会等に活用い
たしました。(3)「環境影響評価法」
に基づき準備
書説明会が開催されたが、
今後とも環境
影響評価の内容について説明して欲し
い。
(3)環境影響評価の内容については、今後さまざまな機会
を捉まえて説明したいと考えています。
(4)増設予定地は、都市計画区域外であ
るが、3,4号機が増設されることによっ
て、この地域は「都市計画法」上における
用途地域の工業専用地域となることも考
えられる。この地域の未来的な環境保全
を考慮する必要性があると思われる。
(4)当該地域が都市計画上の工業専用地域となるかどうか
については、都市計画の決定権者(知事又は市長)の判断
となります。環境影響評価においては、この地域が国定公
園に指定されていることから地形改変の抑制等の自然環境
保全に努めること等、土地利用規制に留意して調査、予測
及び評価を行っています。
環境影響評価準備書に対して提出いただくご意見は、
「環境影響評価法」
第18条第1項
の規定に基づき、
「環境の保全の見地からの意見」
に限られていますが、
それ以外に以下
のご意見をいただきました。
1. 3,4号機の増設により、
敦賀市及び地元の企業が発展できるように共存共栄に努め
て欲しい。
2. 増設工事に伴い大型車両が増加し危険である。児童及び生徒が安全に通学できるよ
うに配慮して欲しい。
3. 1号機は30年も運転しており、廃炉にできないのか。
4. 福井県の嶺南地方に原子力発電所の立地が集中するのは何故か。
5. 災害事故について、市民にもれなく連絡・報道して貰いたい。
6. 3,4号機の増設に賛成である。
(同主旨の意見として計2件)
7. 原子力発電所の設備(配管、容器類等)の設計上、材質上の不安はないのか。それ
に対して、どのような検査方法を用いているのか。
8. チェルノブイリ原発事故級の事故が日本の原子力発電所で発生した場合、どの位の
被害がでるのか。
9. 気体、液体の放出放射能はどれ位なのか。その放射能による影響について評価すべ
きである。
これらの意見に対しては、以下のように考えています。
3,4号機の増設により電源三法交付金の制度に基づき各種交付金、
補助金が交付される
とともに、租税収入の増加が見込まれ、地域の発展にお役に立つものと考えています。
また、建設工事及び営業運転に伴い、地域との共存共栄の見地から地元企業への工事発
注、地元雇用の拡大、物品・資機材の購買、宿泊施設の利用等を促進することにより地
域への経済効果が考えられます。
建設工事中の県道の通行に伴う交通安全対策については、これまでも住民の方々にご迷
惑をおかけしないよう交通ルールの徹底等の指導を行ってまいりましたが、交通監視員
の配備等の更なる交通安全対策を講じることとし、協力会社と一体となって交通安全に
万全を期すこととします。
1号機については、
平成11年5月に今後10年程度運転継続を行う旨公表しています。
なお、運転停止時期については、今後、エネルギーセキュリティ、地球温暖化対策など
に果たす原子力の役割や地元経済への影響等について検討し、関係箇所と十分な協議の
もと総合的な経営判断を行っていくこととしています。
原子力発電所の立地につきましては、立地条件などを勘案し、地域の皆様のご了解とご
協力を得て立地することになります。
原子力災害が発生した場合は、
「原子力災害特別措置法」
により事業者から国、
自治体に
報告し、自治体から住民の皆様にお知らせすることになっています。また、原子力災害
に至らないような事故・故障の連絡報道については、速やかに国、自治体にご報告する
とともに、迅速で的確に報道されるよう情報公開に努めています。
増設計画に当たっては、安全の確保を大前提とし、環境保全に万全を期すとともに、地
域との調和に配慮した発電所を目指して、住民の皆様のご理解を得、さらにご安心して
いただくよう一層努めてまいります。
原子力発電所の設備の設計においては、運転経験に基づく知見、不具合事例に対する対
策や最新の技術動向等も踏まえ、適切な材料の選定等を行い十分な余裕をもって設計す
ることとしています。
また、
設備については、
定期検査により健全性を確認しています。
我が国の原子力発電所は、原子炉自体に自己制御性があるため、チェルノブイリのよう
な事故が発生することはありせん。また、原子炉格納容器が設置されていることから、
周辺環境への放射性物質の放出を抑止できます。
原子力発電所からの放出放射能については、施設周辺の公衆の受ける被ばく線量の線量
目標値(0.05ミリシーベルト/年)を超えないようにすることになっています。3,
4号機における放出放射能とその影響については、今後提出する原子炉設置変更許可申
請書に記載し、それに基づき審査されることになっています。

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