平成25年7月25日
日本原子力発電株式会社
原子力規制委員会への質問状の提出について
(執行停止の申立てに対する決定について)
当社は、昨日の原子力規制委員会において、当社が行った報告徴収命令の執
行停止の申立てを却下する決定が下されたことについて、法律的疑義があるこ
とから、本日、添付の質問状を原子力規制委員会に提出しましたので、お知ら
せいたします。
しろまる添付資料
・質問状
以 上
平 成 2 5 年 7 月 2 5 日
原子力規制委員会
委員長 田中 俊一 殿
日本原子力発電株式会社
取締役社長 濱田 康男
質 問 状
(執行停止の申立てに対する決定について)
当社は、昨夜、当社が去る7月16日付で行った行政不服審査法に基づく当社への
報告徴収命令の執行停止の申立てに対する原子力規制委員会による申立てを却下する
との決定を受領した。当社は先の異議申立てにおいて、当該命令の前提となる原子力
規制委員会の判断がその内容及び手続きについて重大かつ明白な瑕疵があり、違法で
あることの理由から当該命令の取り消しを求めていたが、それにも拘らず、以下に述
べるとおり法律的な検討を十分に行うことなく、当該命令の執行を停止しないとの結
論に到ったということは異議申立ての当事者として理解できない。
そもそも行政不服審査法は行政庁の違法又は不当な処分に対して、
「国民の権利利益
の救済」と「行政の適正な運営の確保」を図ることを目的とするものである。本件に
ついては、当事者たる当社から当該命令の適法性、妥当性につき重大な疑義が呈され
ているのであるから、行政不服審査法第34条第2項の規定に基づき、一旦執行を停
止し、立ち止まって当該命令の違法性・不当性の有無について十分検討を加える必要
があるというのが、まさに当該規定に定める「必要があると認める」か否かの検討で
あり、それこそが、原子力規制委員会が行政不服審査法により求められている法律的
対応であると考える。しかるに、原子力規制委員会が昨日下した決定は、そうした行
政不服審査法の目的や関連規定の趣旨を十分考慮せず、しかも当該規定の解釈、運用
が適切ではないと考える。ついては、下記の事項について質問するので、速やかに文
書にて回答されるようお願いしたい。 記1.本件決定の理由の法律的疑義について
7月24日の原子力規制委員会の定例会合においては、
「本報告徴収に従って報告
する行為自体に重大な損害が伴うとまでは考え難い。
」という理由で、
「従って、...
本報告徴収に対する執行停止の申立てを却下する。
」との決定がなされた。しかし
ながら、本来原子力規制委員会が行政不服審査法に則って先ずすべきことは、当社
の申立ての依って立つ行政不服審査法第34条第2項の規定に基づき、執行停止の
「必要があると認める」か否かの検討でなければならない。しかるに、先の定例会
合においては、その点については何ら検討がなされることなく、上記の理由から執
行停止の申立てを却下するとの判断をしている。これは行政不服審査法第34条第
2項及び第4項の規定の解釈に疑義のある運用であると考える。当該両項の解釈及
び両項の関係について、どう考えるのか明らかにされたい。
2.本件決定(主文)の法律的疑義について
本件決定の文書において引用する行政不服審査法第48条によって準用される同
法第34条第7項の規定では
「執行停止をするかどうかを決定しなければならない」
旨定めている。しかしながら、本件決定の文書においては、前文で「当該第34条
第7項の規定により」と記載しているにも拘らず、本件決定の主文では、
「執行停止
をするかどうか」
の点については何ら言及することなく、
「本件申立てを却下する。」とのみ記載している。しかるに、上記規定は申立ての適否についての判断は何ら求
めておらず、執行停止の適否又は可否の判断を求めているのである。したがって、
本件決定は、行政不服審査法の当該規定の求める内容の決定とはなっておらず、適
切ではないと考えるが、この点についてどう考えるのか明らかにされたい。
以 上
【参 考】
(目的)
第1条 第 1 項
この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、
国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによつて、簡易迅速な
手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保すること
を目的とする。
(執行停止)
第34条 第2項
処分庁の上級行政庁である審査庁は、必要があると認めるときは、審査請求人の申
立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停
止その他の措置(以下「執行停止」という。
)をすることができる。
第34条 第4項
前二項の規定による審査請求人の申立てがあつた場合において、処分、処分の執行
又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があると認めると
きは、審査庁は、執行停止をしなければならない。ただし、公共の福祉に重大な影響
を及ぼすおそれがあるとき、処分の執行若しくは手続の続行ができなくなるおそれが
あるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。
第34条 第7項
執行停止の申立てがあつたときは、審査庁は、すみやかに、執行停止をするかどう
かを決定しなければならない。

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