民法改正(債権関係)に伴う一般契約条項の見直しについて 1.改正の理由と経緯 明治29年の民法制定以来、約120年間ほとんど改正がなかったところ、 ・民法制定以来蓄積してきた判例や解釈論など基本的なルールの明文化 ・「社会・経済の変化への対応」を図るための見直し を行うため、平成29年(2017年)改正民法が成立、公布され、令和2年(2020年)4月1日施行予定。 2.民法改正に伴う一般契約条項の見直し作業 以下の手順で、法務監査部とも連携し実施 1 民法の改正内容を踏まえ、一般契約条項(全18条項)中で関連すると思われる箇所の洗い出しを実施。 2 洗い出しを行った箇所について検討を行った結果、改正を行う必要がある箇所を特定し、改正素案を作成。 3 改正素案の弁護士確認を実施(12/3)。必要に応じて修正を行い、改正案を作成。 3.見直しに当たっての考え方 1 民法(債権関係)は全て「強行規定」ではなく「任意規定」であるため、政策的に民法と異なる規定(機構に有利な規定)を契約条項に定めることが可能。 2 上記を前提に、民法改正の方向性を踏まえたうえで、業者の参入意欲への配慮や機構利益の保護のバランスを見極めつつ、改正案を策定。


しろまる新旧対照表(業務請負契約条項からの抜粋)
<旧> <新>
(第三者等損害負担)
第16条 乙は、この契約の履行に関して第三者に身体的又は財産的損害を与えた場合は、これにより生じた
損害賠償の責めを負う。
2 乙は、この契約の履行に関して甲に損害を与えた場合であって、他の条項の規定により損害が補填されな
い時は、その損害を賠償しなければならない。ただし、その損害が、甲の責めに帰すべき事由に基づく場合
は、この限りでない。
(損害賠償責任)
第17条 乙は、この契約の履行に関して甲に損害を与えた場合であって、他の条項の規定により損害が補填
されない時は、その損害を賠償しなければならない。ただし、その損害が、乙の責めに帰することができない
事由によるものであるときは、この限りでない。
2 乙は、この契約の履行に関して第三者に身体的又は財産的損害を与えた場合は、これにより生じた損害
賠償の責めを負わなければならない。
(削る)
(新設)
(契約不適合責任)
第21条 乙が第18条第2項に規定する検査において合格した作業につき、種類、品質又は数量に関して契約
の内容に対する不適合(以下「契約不適合」という。)が認められる場合において、甲が、検査合格の日から1
年以内にその旨を乙に通知したときは、甲は契約不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の
請求、損害賠償の請求又は契約の全部若しくは一部を解除することができる。
2 前項の場合において、甲が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がない
ときは、甲は、乙に対し、契約不適合の程度に応じて代金の減額を請求し、又は契約を解除することができる。
ただし、次の各号に掲げる場合は、甲は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求し、又は契約
を解除することができる。この場合において、甲の乙に対する損害賠償の請求はこれを妨げない。
(1)履行の追完が不能であるとき。
(2)乙が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
(3)契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をし
た目的を達することができない場合において、乙が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
(4)前三号に掲げる場合のほか、甲が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかで
あるとき。
第3項及び第4項(省略)
(甲の契約解除権)
第23条 甲は、次の各号の一に該当するときは、この契約の全部又は一部を解除することができる。
(1)正当な事由がなく、乙が作業等を実施すべき時期を過ぎても実施しないとき。
(2)乙の責めに帰すべき事由により、毎月の期日又はそれに相当する期日までに業務を完了する見込みが
ないと甲が認めたとき。
第1項各号(省略)、第2項〜第6項(省略)
(甲の契約解除権)
第25条 甲は、第21条第1項から第3項まで、第32条第7項及び第8項並びに第33条第1項及び第2項に定め
る場合のほか、次の各号の一に該当するときは、この契約の全部又は一部を解除することができる。
(1)正当な事由がなく、乙が作業等を実施すべき時期を過ぎても実施しないとき。
(2)毎月の期日又はそれに相当する期日までに業務を完了する見込みがないと甲が認めたとき。ただし、甲
の責めに帰すべき事由に基づく場合は、この限りでない。
第1項各号(省略)、第2項〜第6項(省略)
【下線部分は民法改正に伴う主な改正部分】

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