1

別添
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の
令和4年度の業務運営に関する計画
(年度計画)
(令和4年4月1日〜令和5年3月 31 日)
令和4年3月 31 日制定
令和4年 12 月 27 日変更
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 2目次
序文 ................................................................ 5
I.安全を最優先とした業務運営に関する目標を達成するためとるべき措置 5
1.安全確保に関する事項 ............................................. 5
2.核セキュリティ等に関する事項 ..................................... 7
II.研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する目標を達成する
ためとるべき措置 ................................................. 8
1.安全性向上等の革新的技術開発によるカーボンニュートラルへの貢献 ... 8
(1)一層の安全性・経済優位性を追求した原子力システムの研究 ......... 8
(2)高温ガス炉に係る研究開発 ....................................... 9
(3)高速炉・核燃料サイクルに係る研究開発 .......................... 10
2.原子力科学技術に係る多様な研究開発の推進によるイノベーションの創出
................................................................ 16
(1)原子力基礎基盤研究、先端原子力科学研究、中性子等利用研究及び原子力
計算科学研究の推進 .............................................. 16
(2)特定先端大型研究施設の共用促進・高度化並びに供用施設の利用促進 19
(3)産学官の共創によるイノベーション創出への取組の強化 ............ 21
3.我が国全体の研究開発や人材育成に貢献するプラットフォーム機能の充実
................................................................ 23
(1)大学や産業界等との連携強化による人材育成 ...................... 23
(2)核不拡散・核セキュリティの強化に向けた貢献 .................... 24
(3)国際連携の推進 ................................................ 26
4.東京電力福島第一原子力発電所事故の対処に係る研究開発の推進 ...... 27
(1)廃止措置等に向けた研究開発 .................................... 27
(2)環境回復に係る研究開発 ........................................ 28
(3)研究開発基盤の構築・強化 ...................................... 29
5.高レベル放射性廃棄物の処理処分に関する技術開発の着実な実施 ...... 30
(1)高レベル放射性廃棄物の処理に関する研究開発 .................... 30
(2)高レベル放射性廃棄物等の地層処分研究開発 ...................... 31 36.安全を最優先とした持続的なバックエンド対策の着実な推進 .......... 33
(1)廃止措置・放射性廃棄物処理処分の計画的遂行と技術開発 .......... 34
(2)敦賀地区の原子力施設の廃止措置実証のための活動 ................ 37
(3)東海再処理施設の廃止措置実証のための活動 ...................... 38
7.原子力安全規制行政及び原子力防災に対する支援とそのための安全研究の推
進 .............................................................. 39
(1)原子力安全規制行政に対する技術的支援とそのための安全研究 ...... 39
(2)原子力防災等に対する技術的支援 ................................ 41
III.業務運営の改善及び効率化に関する目標を達成するためとるべき措置 . 42
1. 効果的・効率的なマネジメント体制の確立 .......................... 42
(1)効果的・効率的な組織運営 ...................................... 42
(2)内部統制の強化 ................................................ 43
(3)研究組織間の連携、研究開発評価等による研究開発成果の最大化 .... 45
2.業務の改善・合理化・効率化 ...................................... 46
(1)経費の合理化・効率化 .......................................... 46
(2)契約の適正化 .................................................. 47
IV.財務内容の改善に関する目標を達成するためとるべき措置 ........... 48
1.予算、収支計画及び資金計画 ...................................... 48
(1)予算 .......................................................... 48
(2)収支計画 ...................................................... 50
(3)資金計画 ...................................................... 52
2.自己収入増加の促進 .............................................. 53
3.短期借入金の限度額 .............................................. 54
4.不要財産又は不要財産となることが見込まれる財産がある場合には、当該財
産の処分に関する計画 ............................................ 54
5.前号に規定する財産以外の重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとする
ときは、その計画 ................................................ 54
6.剰余金の使途 .................................................... 54
7.中長期目標の期間を超える債務負担 ................................ 54 48.積立金の使途 .................................................... 55
V.その他業務運営に関する重要事項 ................................. 55
1.施設・設備に関する事項 .......................................... 55
2.人事に関する事項 ................................................ 55
3.業務・研究環境のデジタル化及び情報セキュリティ対策の推進 ........ 56
(1)業務・研究環境のデジタル化 .................................... 56
(2)情報セキュリティ対策の推進 .................................... 57
4.広聴広報機能及び双方向コミュニケーション活動の強化 .............. 57
(1)受け手のニーズを意識した広聴・広報及び双方的・対話的なコミュニケー
ション活動の推進による理解増進 .................................. 57
(2)適時的確な報道機関への対応、正確かつ分かりやすい情報発信と透明性の
確保 ............................................................ 58
(3)デジタル技術の積極的活用の取組とそれによる効果的な成果の普及促進
................................................................ 58
(4)日本全体の原子力に係る取組に関する情報発信 .................... 59 5序文
独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)
(以下「通則法」という。)第三十五条の八において準用する同法第三十一条第一項の規定に基づき、国立研
究開発法人日本原子力研究開発機構(以下「機構」という。
)の令和4年度の業務
運営に関する計画を次のとおり定める。
I.安全を最優先とした業務運営に関する目標を達成するためとるべき措置
いかなる事情よりも安全を最優先として、安全・核セキュリティ・保障措置に
係る法令及び国際約束事項を遵守し、施設及び事業に関わる安全確保並びに核
物質等の適切な管理を徹底する。
1.安全確保に関する事項
安全確保を業務運営の最優先事項とし、自ら保有する原子力施設が潜在的に
危険な物質を取り扱うとの認識に立ち、安全管理に関する基本事項を定めると
ともに、自主保安活動を積極的に推進し、廃止措置中の高速増殖原型炉「もんじ
ゅ」
(以下「もんじゅ」という。)、新型転換炉原型炉「ふげん」
(以下「ふげん」
という。
)及び東海再処理施設を含む施設及び事業に関わる安全確保を徹底する。
上記方針にのっとり、以下の取組を実施する。
1 理事長が定める原子力安全に係る品質方針(安全文化の育成・維持及び法令
等の遵守に係る活動を含む。)、
安全衛生管理基本方針及び環境基本方針に基
づき、
各拠点において安全確保に関する活動計画を定めて活動するとともに、
理事長によるマネジメントレビュー等を通じて、継続的な改善を進める。
2 理事長が承認した監査プログラムに従い、原子力安全監査を適切に実施し、
品質マネジメントシステムの確実な運用と継続的な改善を図る。
3 基本動作、基本ルールの徹底はもとより、安全主任者等制度、作業責任者認
定制度等を活用し、現場での安全確保を図る。
4 首席安全管理者を中心に拠点に赴き、
拠点と一体となって安全活動を確認し、
本部・拠点間の連携、拠点横断的な取組を強化することにより、機構全体に
おける安全確保の向上を図る。
5 以上の安全活動を通じて、
新たに取り組む事項は直ちにマニュアル等を整備
するとともに、
より効果的で合理的なものとなるよう有効性評価により継続 6的な改善に努める。
また、
IT 技術等の最新知見の導入による高度化やアウト
ソース等の検討を進める。
6 機構内外の事故・トラブル情報や安全性向上に資する情報を、迅速かつ組織
的に情報共有し、
未然防止や改善につなげる水平展開の取組を積極的に進め
るとともに、水平展開の仕組みを不断に見直し、改善する。
7 事故・トラブル時の緊急時対応を的確に行うため、緊急時における機構内の
情報共有及び機構外への情報提供に関する対応システム、
遠隔機材等を運用
整備し、必要に応じた改善を行う。防災訓練等により、事故・トラブル対応
能力の向上を図るとともに、
情報共有・情報提供の実効性を検証する。
また、
事故・トラブル情報(原因分析、対応状況等)について、関係機関への通報
基準や公表基準を継続的に見直し、迅速かつ分かりやすい情報提供を行う。
8 施設の高経年化を踏まえた効果的な保守管理活動を展開するとともに、施設・
設備の改修・更新等の計画を策定し優先度を踏まえつつ対応する。
また、
機構横断的な観点から、安全対策に係る機動的な資源配分を行う。
9 安全文化の取組に当たっては、
職員一人一人が機構のミッションとしての研
究開発の重要性とリスクについて改めて認識し、安全について常に学ぶ心、
改善する心、問いかける心を持って、安全文化の育成・維持に取り組み、職
員の安全意識向上を図る活動を不断に継続し、安全文化の定着を目指す。そ
の際、
それぞれの業務を管理する責任者である役員が責任を持ってその取組
を先導する。また、原子力に関する研究開発機関としての特徴を踏まえた安
全文化育成・維持活動に努めるとともに、各拠点において、令和 3 年度に実
施した安全文化に係るアンケート結果を踏まえた取組を実施する。
10 高速実験炉「常陽」
(以下「常陽」という。
)等の新規制基準対応を計画的か
つ適切に進めるとともに、その他原子力施設の許認可対応についても、機構
内で情報を共有し、拠点間での整合を図りつつ、計画的に進める。
11 原子力規制検査に適切に対応する。また、原子力規制庁との意見交換等によ
り、
原子力施設のリスクに応じたグレーデッドアプローチの考え方を踏まえ
た安全重要度の評価方法等、合理的な検査の在り方について検討する。
12 上記の取組を効果的かつ確実に実施するため、
機構内の安全を統括する各部
署の機能を継続的に確認し適正化を図る。 72.核セキュリティ等に関する事項
多くの核物質・放射性核種を扱う機関として、
核セキュリティや保障措置等に
関する基本事項を定めるとともに、これらの活動に積極的に取り組む。
上記方針にのっとり、以下の取組を実施する。
1 核セキュリティに関する国際条約、二国間協定及び関連国内法を遵守し、原
子力施設の安全確保のため、必要な核セキュリティ対策を推進する。法令改
正等に基づく核セキュリティの強化
(物理的防護及び情報システムセキュリ
ティ等)を継続的に実施し、リスクを低減するとともに、実効性の観点で自
らの防護措置の評価・改善を推進する他、水平展開やアセスメント等を通じ
て、機構の原子力施設における核セキュリティを確保する。
2 核セキュリティ事案(不法侵入等)に確実に対処できるよう核物質防護訓練
等においてその実効性を確保する。
3 理事長が定める核セキュリティ関係法令等の遵守に係る活動方針及び核セ
キュリティ文化醸成に係る活動方針に基づき、
各拠点において活動するとと
もに、継続的改善を進める。法令等の遵守に関しては、原子力規制検査に適
切に対応するとともに、
原子力施設の情報システムセキュリティ対策及び内
部脅威対策の実効性を高め、潜在的なリスク低減につなげる。また、核セキ
ュリティ文化醸成に関しては、
職員一人一人の意識と役割についての教育を
充実・強化し、意識調査を通じて核セキュリティの重要性について定着状況
を把握し必要な対策を講ずる。
4 保障措置・計量管理に関する国際条約、保障措置協定等の国際約束及び関連
国内法を遵守し、
適正な核物質管理を継続するとともに、
国際原子力機関(以下「IAEA」という。
)等への適時適切な情報提供及びコミュニケーションを
通じて機構業務の透明性を確保する。保障措置・計量管理の適切な実施にお
いては、
アセスメント等を通じて、
業務の水準及び品質の維持・向上を図る。
また、内部統制機能の段階的な充実・強化及び IAEA 等国際的に活躍できる
人材の育成に取り組む。
5 原子力規制検査(核物質防護)
、保障措置検査(査察)等に適切に対応する
とともに、各種課題(例:規制からの要求事項、廃止措置への対応等)につ
いて、規制当局と調整を図る。
6 上記の取組を効果的かつ確実に実施するため、
核セキュリティ等に係る業務 8の合理化を進めるとともに、
内部統制機能や現場に対する支援機能を継続的
に確認し適正化を図る。
7 原子力委員会のプルトニウム利用の考え方を踏まえ、
その利用又は処分等の
在り方について検討に資するため、
諸外国との協力関係を深化するとともに、
プルトニウムの平和利用に係る透明性を高めるため、
プルトニウムの利用計
画を公表する。
8 試験研究炉用燃料の調達及び使用済燃料の米国への輸送について、
米国エネ
ルギー省(DOE)等との調整を行う。許認可等、核物質の輸送に係る業務を
適切に実施する。
II.研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する目標を達成する
ためとるべき措置
民間、大学、学協会等との連携の下で、以下の1〜7に示す取組を行う。その
際、総合科学技術・イノベーション会議での「総合知」の推進方策の検討におけ
る議論や検討用資料を分析するなどしつつ、
機構の実施する業務については、エネルギー問題や環境問題への対処が有効であることから、研究成果の社会実装
に人文社会科学的な知見も生かす
「総合知」
の観点を適切に取り入れていくこと
に留意する。なお、実施に当たっては、外部資金等の獲得、活用にも努める。
1.安全性向上等の革新的技術開発によるカーボンニュートラルへの貢献
「エネルギー基本計画」
等を踏まえ、
軽水炉の更なる安全性の向上や利用率向
上等に寄与できる研究開発、国際連携を活用した高速炉開発の着実な推進、SMR
に必要な技術の国際連携による実証、高温ガス炉における水素製造に係る要素
技術の確立等を進める。令和4年度は、産業界や関係省庁との連携を強化し、役
割分担を明確にした上で高速炉や高温ガス炉等の新型炉に関する研究開発及び
その炉型に適合する核燃料サイクルに関する技術開発を進める。
また、
カーボン
ニュートラルへの貢献、
安全性向上、
経済性向上等の社会的要請に応えるため、
SMR 等に必要な革新原子炉技術の研究を進める。
(1)一層の安全性・経済優位性を追求した原子力システムの研究
軽水炉を含めた原子力施設の継続的な安全性・信頼性の向上に資するため、前年度に新設した一元的な連携窓口(軽水炉研究推進室)を通じて電力事業者・メ 9ーカー・関連行政機関等との意見交換を進め、ニーズ・シーズのマッチングを行
う。
事故耐性燃料被覆管候補材料については、
冷却材損失事故時のコーティング
剥がれ挙動等の評価モデル構築に向けた試験装置の性能確認を行う。
(2)高温ガス炉に係る研究開発
「エネルギー基本計画」、「2050 年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長
戦略」等の政策文書を受けて、発電、水素製造等多様な産業利用が見込まれ、固
有の安全性を有する高温ガス炉の実用化に資する研究開発を通じて社会に貢献
するため、
国の方針を踏まえ、
開発目標や期間を明確にして高温ガス炉の技術開
発、国際協力等を実施する。令和4年度は、以下に示す HTTR を利用する安全性
試験に関する解析、耐酸化燃料技術開発並びに使用済燃料の再処理技術及び核
燃料サイクルへの適合性の検討を実施する。また、HTTR に水蒸気改質法を用い
た水素製造施設を接続した HTTR-熱利用試験施設の概念設計、
熱化学水素製造法
IS プロセス連続水素製造プラントの自動運転制御技術確立に必要な試験・検証
を行う。さらに、人材育成により技術の伝承を図りつつ、産業界と連携し高温ガ
ス炉技術の海外展開に向けた活動を行う。
1)高温ガス炉技術研究開発
HTTR を利用する安全性試験については、
熱負荷変動試験の予備解析を実施し、
放射性ヨウ素定量評価試験における冷却設備に沈着するヨウ素量の検討を行い、
これをもとに手順案を作成する。また、炉心設計コードの高度化に向け、核計算
結果と燃料温度計算結果を連成するコードシステムを作成する。
耐酸化燃料技術開発として、SiC 母材燃料要素の核特性評価等を行い、焼結助
剤添加量等の製造パラメータを決定する。
また、
使用済燃料の再処理技術及び核
燃料サイクルへの適合性の検討に必要な高温ガス炉使用済燃料の組成計算のた
めに、高温ガス炉用の燃焼計算用ライブラリを作成する。
2)熱利用技術研究開発
高温ガス炉へ熱利用系を接続するための技術確立に向けて、HTTR に水蒸気改
質法を用いた水素製造施設を接続した HTTR-熱利用試験施設の概念設計を行い、
設備構成や熱物質収支を定める。
また、
原子炉に化学プラントを接続する際の原
子炉安全規制の適用範囲及び事項や試験炉設置許可基準規則への適合のための 10設計方針を検討し、安全設計方針を定める。
IS プロセスの産業界への技術移転に向けた要素技術開発として、連続水素製
造プラントの自動運転制御技術確立に必要な自動起動手順を構築し、連続水素
製造試験等により検証する。また、個別要素技術の技術移転方針作成に向け、こ
れまでの開発技術を検証し、移転技術及び適用産業分野の候補を抽出する。
3)人材育成及び産業界との連携
HTTR を人材育成の場として活用し、
若手職員への技術の継承を図るとともに、
学生、研究者等を受け入れ、講義、実習等を通して高温ガス炉に関する知識を習
得させる。
高温ガス炉の実用化に向けて、
自然循環型残留熱除去システム設計等
の高度化研究を実施するとともに、
国や産業界との協議を継続しつつ、
ポーラン
ドの高温ガス炉実験炉の安全設計や炉心設計等の実施並びに英国高温ガス炉計
画に関する協力体制等の協議を行う。また、産学官と協力して、国内における高
温ガス炉実証炉計画の検討を開始する。
さらに、
既存の二国間協力及び多国間協
力を通して、研究開発の効果的な遂行や成果発信に努める。
(3)高速炉・核燃料サイクルに係る研究開発
「エネルギー基本計画」並びに「高速炉開発の方針」
(平成 28 年 12 月 原子力
関係閣僚会議決定)及び当該方針に基づく「戦略ロードマップ」
(平成 30 年 12
月 原子力関係閣僚会議決定)等において、高速炉には、従来のウラン資源の有
効利用のみならず、
放射性廃棄物の減容化・有害度低減や核不拡散関連技術等の
新たな役割が求められており、将来の政策環境によっては、例えば、21 世紀半
ば頃の適切なタイミングにおいて、技術成熟度、ファイナンス、運転経験等の観
点から現実的なスケールの高速炉が運転開始されることが期待される。
このような政策の方向性の下、機構においては、社会環境の変化に応じて、こ
れまで蓄積してきた高速炉開発を中心とする知見について広く民間との共有を
図り、民間が取り組む多様な技術開発に対応できるニーズ対応型の研究基盤を
維持していくことが必要である。このため、令和4年度は、産業界や関係省庁と
の連携を強化し、役割分担を明確にした上で、令和6年(2024 年)以降に採用
する可能性のある技術の絞り込みに対応するための準備を進めるほか、必要な
研究開発を進める。
具体的には、高速炉の実証技術の確立に向けて、安全最優先の下、重要な研究 11基盤の一翼を担う
「常陽」
の運転再開に向けた準備を進めるとともに冷却系機器
開発試験施設(AtheNa)の整備を行う。また、高速炉の実用化に係る民間ニーズ
に応える技術基盤の確立に向けて、
人工知能(AI)等の最新技術を用いた
「AI 支
援型革新炉ライフサイクル最適化手法(ARKADIA)
」の開発、安全研究、規格基準
整備支援等を実施する。
これらの研究開発等を推進することにより、
我が国にお
ける諸課題の解決、社会的要請に応える原子力イノベーションへの挑戦及び我
が国のエネルギー政策策定への支援と実現に貢献する。
新たな研究として、カーボンニュートラルへの貢献、安全性向上、経済性向上
等の社会的要請に応える原子力システムとして、
SMR 等の革新原子炉技術の研究
を進める。
1)高速炉の実証技術の確立に向けた研究開発
令和4年度は、
「エネルギー基本計画」に示された、高速炉、SMR 等の革新的
技術の研究開発の推進のため、高速炉サイクルの研究基盤、安全性、経済性の更
なる向上を図る革新炉技術を、
民間を含む日米、
日仏等の国際連携を活用しつつ
開発を進め、今後開発すべき高速炉の設計概念の絞り込みと具体化に貢献する。
これらの技術開発の成果は民間が進める開発の取組を推進するよう技術提供・
移転を図る。
「常陽」については、プロジェクトマネジメント体制の構築を進め、運転再開
に向けた取組を行う。具体的には設計基準事故を超える事故等に係る新規制基
準への適合性確認対応として、試験炉設置許可基準規則の適用条文への適合性
に係る審査へ着実に対応する。
また、
プラントの安全確保を最優先として年間保
守計画に基づく保全活動を実施するとともに、
定期事業者検査を行う。
さらに、
運転再開に向けて新規制基準に適合するために必要な機器・配管・設備の耐震補
強、火災対策、溢水対策等の設計・評価等を行う。
冷却系機器開発試験施設(AtheNa)については、高速炉の実証技術の確立等に
向けて、国内における採用技術の絞り込みや国際協力の進捗状況を勘案しつつ、
既往知見、試験データ等を参照して、日仏協力等、国際協力の枠組みの活用及び
国内の開発動向を考慮したナトリウム試験を検討し、設計着手のための要件整
理を行うとともに、施設を活用した試験に不可欠となるナトリウム加熱器の整
備の一環として加熱器付帯設備整備、LPG 供給系基礎工事等を行う。
日米、日仏協力を基軸に IAEA、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)、 12
GIF(第4世代原子力システムに関する国際フォーラム)等への対外的な働きか
けを行いつつ、
国際協力を通じて実用化のための技術基盤の整備を進め、
国内高
速炉プラントの設計に反映するとともに、国際協力を利用した開発計画を策定
する。日仏協力では、
「ナトリウム高速炉開発計画の協力に関する実施取決め」
(令和元年 12 月締結)に従い、高速炉技術についての日仏共同研究開発として
シビアアクシデント、燃料技術等を含む 11 分野において SIMMER コードにおけ
る燃料ピンモデルの開発等の技術開発及び試験計画検討等を実施する。
また、本技術開発の成果も踏まえつつ実用化のための技術基盤のうち残された課題を整
理する。米国との民生用原子力エネルギーに関する研究開発協力(CNWG)では、
高速炉材料、
先進材料の規格化に向けた技術、
シミュレーション技術、
先進燃料、
高速炉燃料と炉心の開発に向けた技術、
金属燃料安全評価技術、
乾式再処理技術
等の研究開発を継続する。
また、
米国テラパワ-社との技術協力については令和
4年1月に締結した覚書に従い具体的な協力内容の検討を開始する。
高速炉の安全技術の向上に資するため、シビアアクシデント時の除熱特性評
価について、複数の炉心冷却システム運転時を含むシステム起動時特性に関す
る炉心冷却性能評価試験データを取得する。
また、
熱流動評価技術の整備に関す
る試験データを取得し、
試験解析を継続する。
これらの取得した試験データの知
識ベース化に取り組む。
シビアアクシデントの影響緩和方策の妥当性評価に資するため、損傷炉心の
再配置・冷却挙動に関するデータを取得し、
評価手法検証のためのデータベース
として整備する。
高速炉のソースターム評価手法の高度化に資するため、ヨウ素に係る熱分析
や熱力学計算を継続し、ガス状ヨウ素の生成挙動解明に必要なデータを取得す
る。
これまでに「もんじゅ」から得られた設計・建設・運転・保守等に係る知見・
経験については、今後の利活用に向けた成果の集約を完了する。さらに、民間が
実施するイノベーションをサポートする研究開発基盤を整備し、高速炉技術開
発の DX を実現するため、これまでの研究開発で得られた経験や成果等を集約し
た知識ベース及び解析システムを、AI 等の最新技術を用いて統合・制御するこ
とにより高速炉の安全評価、炉心・構造設計、保守・保全に係る主要目の最適化
支援機能を具備する「AI 支援型革新炉ライフサイクル最適化手法(ARKADIA)」の開発を継続し、高速炉プラントの設計分野では炉心設計や炉構造設計の最適 13化に向けたシミュレーション技術の整備、
また、
安全評価分野では炉内冷却材質
点系モデルの組込み等によるシビアアクシデント統合シミュレーション機能の
拡張及び最適化機能の整備を行う。
さらに、
これらの機能及び知識管理システム
を統合的に制御するとともに、ユーザーインターフェースの役割を担うプラッ
トフォームの仕様を絞り込む。知識管理システムについては、技術情報の集約・
電子化を進め、基盤情報システムの運用を開始する。
高速炉の規格基準整備に関しては、リスク情報活用に係る方法論の検討を継
続し、
関連する学協会に対して技術的検討資料を提示するとともに、
構造設計、
材料強度、保全等に係る規格基準類整備に必要な高温長時間クリープを始めと
する試験データを取得・評価し、
構造設計規格等の学協会規格の整備を支援する。
また、米国機械学会に対し、国内規格基準と整合する制定・改定の提案等を実施
し、国際標準化を推進する。高速炉の安全評価及び安全設計に関わる基準・指針
については、安全設計クライテリア及び安全設計ガイドラインの他炉型への適
用性に係る検討を行うとともに、炉型等の技術に依存しないリスク情報活用ア
プローチ構築への対応を進めるため、同アプローチの我が国の高速炉への適用
性を例とした検討を行う。これらの活動を通じて IAEA 等更なる多国間での共通
理解促進を図る。
米国 TREAT での照射済 MOX 燃料の過渡照射試験を計画どおり実施し、燃料破
損限界に係るデータや照射後試験結果等をまとめる。また、
「常陽」での燃料照
射試験の実施に向けて、機構論的物性モデルの適用性等に係る燃料設計手法の
検討を行う。
X 線 CT 装置を用いた非破壊で照射燃料の組織変化を把握するための解析技術
の整備を行うため、
非破壊での照射燃料の組織変化挙動データを取得する。
また、
照射燃料の組織変化挙動及び燃料ピン-バンドルの変形挙動を統合的にシミュ
レーションするための解析コード
(統合解析コードシステム)
開発を実施するこ
とを目的として、解析精度を向上させるための各解析コードのモデルを改良す
る。さらに、ARKADIA においてこの統合解析コードシステムを運用できるように
解析コード間の入出力機能を整備する。
長寿命炉心材料の候補である ODS 鋼被覆管及び PNC-FMS ラッパ管について、
材料強度基準の策定に向けた炉外での内圧クリープ破断試験等による高温・長
時間強度データ等の取得を継続する。
ODS 鋼被覆管照射材・非照射材の 1000°C近
傍までの強度データを取得し、
組織との相関を解析することで、
照射後の ODS 鋼 14組織解析に基づき照射特性を評価する新たな手法を提案する。また、ODS 鋼被覆
管の量産技術開発の一環として、
大型アトライターによる試作・評価試験を実施
する。
これらを通じて維持・強化した研究開発施設、開発・整備した解析システム、
規格基準類を高速炉サイクルの実現に向けた研究基盤として、
国が進める NEXIP
等を通じた民間での革新炉や SMR を含む技術開発の取組への提供を継続する。
今後開発すべき高速炉の設計概念の絞り込みと具体化に貢献するために、高速
炉の実用化のための技術基盤の現状と今後の開発計画等を検討・整理し、
関係省
庁等のステークホルダーに提示する。
2)原子力イノベーション技術の研究と脱炭素社会達成への貢献
国が進める NEXIP 事業を中心とした技術開発支援の枠組み、国際協力及び産
業界との連携を活用し、より簡素で信頼性の高い原子炉冷却と安全性の向上等、
SMR 等に必要な革新原子炉技術の研究を進める。
持続的な燃料供給が可能な高速
炉と水素製造や調整電源用の高温ガス炉が共存する革新的原子力システム概念
を中心に研究を進め、
カーボンニュートラル、
エネルギーセキュリティ等に貢献
可能な概念として、革新的な原子力システム概念を検討する。
前項の原子力システム概念に必要な技術として、革新的プラント技術及び燃
料技術に関する研究開発を実施する。
革新的プラント技術に関する開発では、炉型横断的な免震安全技術の評価のため、大型加振試験に向けた試験計画を策定
し、再生可能エネルギーと調和するための技術として、熱貯蔵・熱利用を含む原
子炉システムの安全性や機動性等の試験・評価技術に関する試験装置や解析ツ
ールを開発する。
また、
人工知能を適用したプラント安全技術などの研究を進め
る。革新的燃料技術の開発では、様々な燃料仕様に対応可能な3D プリント燃料
製造の評価に必要とするスラリー挙動等のシミュレーション基盤技術の構築、
量子ビーム及び計算科学を用いた MOX 燃料材料評価技術などの研究を進める。
原子力イノベーション創出のためのプラットフォームとして、機構の内外との
研究連携を推進・コーディネートし、革新技術を開発し、社会のニーズと結びつ
け、社会実装を目標とした活動を行う。
3)資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の核燃料サ
イクルに係る研究開発 15使用済 MOX 燃料の再処理技術の実用性評価に必要な知見を整備するため、MOX
燃料の硝酸溶解挙動に係る基礎データを取得するとともに、
ウラン・プルトニウ
ムの共抽出技術であるコプロセッシング法に係るプロセス研究として、Np や FP
元素の抽出挙動を評価する。また、乾式再処理法を対象に MOX 燃料の電解還元
挙動に関するデータを取得する。
さらに、
前年度まで実施した諸量解析結果をも
とに将来の再処理施設の基本設備について検討するとともに、今後の再処理技
術開発に必要な試験設備等の検討を実施する。
プルトニウムマネジメントに係る研究・技術開発として、
高プルトニウム含有
MOX 燃料製造に必要な焼結特性等の基礎データの取得・評価を通して、製造上の
課題について検討する。
また、
乾式リサイクル技術に関する新型ジェットミルに
関する要素技術開発を実施し、工程導入に向けた量産規模での粉砕性能につい
て評価する。
抽出クロマトグラフィを利用した MA の分離フローシートを対象に、処理廃液
組成の変動が分離性能に及ぼす影響を把握する。
また、
同フローシートで使用す
る吸着材について放射線等による劣化メカニズムを検討する。
さらに、
工学的成
立性確保に向けてクロマトグラフィ用制御システムの適用性を評価する。溶媒
抽出法に関しては、開発した抽出系及び新規抽出剤を用いた系における分離特
性データや抽出溶媒の劣化に係るデータを拡充し、SELECT プロセスの改良を進
める。
MA 含有 MOX 燃料に関する不純物元素等が与える影響等の物性データを取得す
るとともに、
燃焼効果を取り入れた熱伝導率等の機構論的物性・挙動モデルの開
発に着手する。
また、
革新技術の燃料製造プロセスへの適用に向けた突沸防止策
等の要素技術開発・基礎基盤研究を実施する。燃料技術の DX に関して、燃料製
造工程の各ステップにおける、原料特性から製品特性を予測する手法の検討及
び予測に必要な情報の選定に向けた検討を行う。
プルトニウムマネジメントや放射性廃棄物の減容化・有害度低減、
安全性強化
等を目的として、高速炉のポテンシャルを活かした炉心概念の設計研究を実施
する。また、国際協力による炉心設計手法の検証・妥当性評価のための実験デー
タベース拡充の一環として、実験の解析評価を行い、結果を公表する。
MA 含有 MOX 燃料の照射試験の実施に向けて、試験燃料の遠隔製造設備の機能
確認を継続する。照射燃料から分離した MA を用いて試験燃料を試作し、物性測
定を行う。また、核変換率評価のための化学分析手法の改良を行う。 164)人材育成
「常陽」、AtheNa 等のインフラ整備及び ARKADIA の開発をメーカー及び大学等
と連携して実施し、
得られた成果を外部に発信することで、
人材育成の場として
活用し、高速炉の運転開始に備えて人材を育成し、技術の継承を図る。
ARKADIA の開発では、
連成解析手法の整備や最適化プロセスの構築、
SA 統合評
価解析コードに組み込むモデルや AI 最適化ツールの構築、
AI を活用した知識ベ
ースの構築を通じ、技術開発を主体的に推進できる人材を育成する。
日仏高速炉協力、日米 CNWG 協力、GIF 等の国際協力では、共同ベンチマーク
解析の取りまとめ、
継続課題に係る今後の展開整理・合意形成を行う活動を通じ、
国際交渉力のある人材を確保・育成し、国外への情報発信力の強化を図る。
2.原子力科学技術に係る多様な研究開発の推進によるイノベーションの創出
機構の有する多様な原子力科学技術の研究リソースや基盤施設を活用し、幅
広い基礎基盤研究を進めるとともに、その成果の社会実装や原子力以外の分野
を含む産学官との共創によるイノベーションの創出に取り組む。同時に研究開
発環境の DX を進めることで、革新的な原子力イノベーションの持続的創出につ
なげていく。このため、令和4年度は、以下に示す、(1)原子力基礎基盤研究、
先端原子力科学研究、中性子等利用研究及び原子力計算科学の推進、(2)特定先
端大型研究施設の共用促進・高度化並びに供用施設の利用促進及び(3)産学官の
共創によるイノベーション創出への取組の強化に取り組む。
(1)原子力基礎基盤研究、先端原子力科学研究、中性子等利用研究及び原子力
計算科学研究の推進
1)原子力基礎基盤研究
核工学・炉工学研究では、
原子力技術の基盤となる評価済核データライブラリ
について、鉄やクロムなどの軽水炉構造材に対する断面積の不確かさデータ整
備のために核反応理論モデルの改良を行う。
革新的原子力システム研究開発(デジタルツイン+)として、核熱カップリング・シミュレーションのために MVP コ
ードの機能改良、模擬集合体形状に対する二相流データの取得と熱流動コード
の検証を行うとともに、核熱マルチフィジックス・シミュレーション・プラット 17フォームの開発に着手する。
核セキュリティの高度化・東京電力福島第一原子力
発電所廃炉への貢献として非破壊核物質測定技術開発のうち高速中性子直接問
いかけ法の高度化に必要な高計数率中性子検出器の開発に着手する。
燃料・材料工学研究では、
原子力システムの材料腐食データを取得するために、
代替照射技術やすき間センサー等のスマート測定技術の開発を進め、放射線下
における腐食データを取得する。材料の照射脆化要因である脆性相の析出挙動
解明に向けて、
照射、
応力及びそれらの重畳効果の影響を評価するための代替照
射技術開発に着手し、合金組成、照射、熱時効それぞれの影響に係るデータを取
得する。
事故時の核分裂生成物の性状予測シミュレーションに活用するため、構造材に化学吸着したセシウムの溶出挙動データ等を取得し、データベースを拡
充する。
化学・環境・放射線科学研究では、核種分析をスマート化するため、放射性廃
棄物の処分環境における化学モデルを検証する基盤データを拡充し、前処理分
離工程の自動化デバイス開発を進める。現実環境を模擬し原子力事故時や通常
運転時における放射性物質の移行予測が可能な環境シミュレーションシステム
(環境動態デジタルツイン)
を構築するために、
マルチスケール結合手法の開発
を進める。産業界ニーズとのマッチングを進め PHITS を放射線影響解析統合パ
ッケージへと進化させるための開発モデルの方針を決定する。
2)先端原子力科学研究
原子力先端材料科学研究分野では、新規に立ち上げる耐環境性機能材料研究
の環境整備を行い、高機能・新機能材料に関する基礎研究に取り組む。具体的に
は、カーボンニュートラル実現に資する、スパッタリング装置等、高機能・新機
能材料の創製・評価設備の整備を進める。また、スピン-エネルギー材料の開発
に向けて、
理論と実験の協力のもと、
物質におけるスピンの高効率利用に資する
基礎研究に取り組む。表面・界面研究では、新しい2次元物質・表面・水素機能
の探索を目指し、物質創成・制御及び水素同位体科学を推進するとともに、超低
速ミュオン、
テラヘルツ分光、
イオン・電子/陽電子を含む解析手法により表面・
界面研究に取り組む。
原子力先端核科学研究の分野では、アクチノイド化合物の新奇物性機能の探
索を目指して、
JRR-3 における中性子利用も含めてウラン系材料の物性研究に取
り組む。重原子核科学研究では重元素アクチノイド原子核の核分裂メカニズム 18に関する研究を発展させる。併せて J-PARC を利用した核力の斥力起源に関する
研究を実施する。そして分野横断的な先端理論物理研究を推進する。
黎明研究制度を活用し、先端原子力科学研究の国際協力を推進するとともに、
研究者間の交流を促し、新規な先端的テーマを発掘する。
3)中性子等利用研究
J-PARC の中性子実験装置群の性能向上に資するために中性子偏極素子の導入
等を進める。ディープラーニング等のデータ駆動的な研究手法の中性子実験へ
の適用を進めるとともに、
中性子実験装置を有効に活用し、
マグネシウム合金、
ハイエントロピー合金などの機能性先端構造材料開発につながる機能の解明や
ソフトマター等に関して多彩な外部環境下等での新しい物性に関わる先導的研
究を実施する。
JRR-3 の特徴を活かした特殊試料環境の開発整備や、
リモート化スマート化を
見据えた中性子ビーム実験装置の高度化など、
中性子利用技術開発を進める。パルス中性子や放射光との相補的・相乗的利用も推進し、
強相関電子系物質の特異
な磁性の起源解明や、大型構造材料、電池材料、溶媒分離抽出剤等の機能性材料
の階層的機構解明など、開発した中性子利用技術も活用した研究開発を進める。
放射光利用研究では、アクチノイド基礎科学として抽出分離技術開発や電子状
態研究を推進するとともに、エネルギー変換効率の向上等を目指したエネルギ
ー材料研究に着手する。また、廃炉・廃棄物処理における安全性向上への貢献と
して、燃料デブリの経年劣化に関する研究やガラス固化技術高度化支援研究等
を進める。
モビリティイノベーションによるカーボンニュートラルへの貢献を目指した
J-PARC と JRR-3 の協奏や、ガラス固化技術の高度化支援に係る放射光と中性子
の連携利用など、施設横断的な研究課題を促進する。また、社会的要請の高い課
題解決のためのコンソーシアム形成など産学官の連携も積極的に推進する。さ
らに、国内の大学や研究機関等と連携し、マテリアル DX の活用を進める。
「常陽」及び集合体試験施設(FMF)を用いたアクチニウム 225 製造における基
礎的プロセスを確認し、最適化する。製造量については、その不確かさ評価も含
めて検討し、照射後ラジウム 226 からのアクチニウム 225 抽出やラジウム 226
の再利用の化学処理方法を検討する。
また、
「常陽」の幅広い材料照射場としての利活用拡大のため、核融合炉や軽 19水炉等の照射条件を模擬した照射試験の概念検討を行う。
さらに、
社会からのニ
ーズに的確に応えるため、海外炉を用いた予備照射試験の準備を開始し JMTR で
蓄積した照射技術の継承を着実に進める。
4)原子力計算科学研究
高性能計算技術の研究開発では、
GPU 向けにデータ構造を最適化した行列解法
を試作する。可視化技術の研究開発では、粒子ベース可視化技術の VR 機能拡張
を行う。
シミュレーション技術の研究開発では、
ランダムな磁性状態の高精度第
一原理計算手法の開発を行うとともに、気液二相流解析の高精度化に向けた界
面モデルを開発する。
データ同化技術の研究開発では、
観測と連携した流体解析
に向けたデータ同化手法を試作する。
機械学習技術の研究開発では、
原子構造情
報の効率的な抽出による機械学習分子動力学の高速化技術や、合金の原子配置
を自動的に学習する手法を開発する。
また、DX を進める機構内外の組織との連携を開始し、ニーズ・シーズを集約
してイノベーション創出に向けた方針を検討する。5)「もんじゅ」サイト試験研究炉
「もんじゅ」サイト試験研究炉の設計及び運営の在り方の検討をコンソーシ
アム委員会で得られる意見を踏まえて進める。
試験研究炉の炉心構成、
利用設備
の仕様について、
中性子利用ニーズを踏まえて概念設計にて明らかにし、
施設の
全体像を決定する。運営の在り方の検討では試験研究炉の利用運営や地元関係
機関との連携構築のための仕組み等の検討を行い取りまとめる。
また、
建設候補地の地質調査を進め、
試験研究炉設置に対する適性を評価する
とともに、
その結果を踏まえて土木工事規模を調査し、
試験研究炉の設置可能性
を確認する。
(2)特定先端大型研究施設の共用促進・高度化並びに供用施設の利用促進
1)特定先端大型研究施設の共用促進・高度化
90%以上の稼働率を目指し、安定したビーム供給を最優先に考え、適切なビー
ムパワーを選択し、加速器、中性子源施設を安全に運転する。また、1MW 相当
のビームパワーでの運転により施設性能確認のためのデータを取得する。施設 20が長期にわたり安定して最大限の性能を発揮するために、加速器では稼働率の
更なる向上に向けてリニアックのビームロス低減に関する研究開発に着手する
などビーム品質向上に取り組むとともに、
運転における省電力化、
自動化に向け
た機器の設計・開発を開始する。中性子源では、中性子標的の耐久性の向上を図
りつつ、
発生廃棄物の減容化が可能な新たな標的容器の設計を進める。
さらに、
安全管理マネジメントの強化を継続する。
自動化、
遠隔化に対応した機器で実験課題を実施するなど、
中性子実験に関わ
る省力化を進める。利用方法に関する利便性の向上について JRR-3 等との連携
に向けた取組を推進する。
研究会等の開催により、
研究者や研究機関等の相互交
流を促進し、新たな先導的研究の萌芽となる幅広い研究開発の実施に活用する。
また、登録利用促進機関、高エネルギー加速器研究機構等と連携し、スクールや
講習会等において人材育成に貢献する。
2)供用施設の利用促進
特定先端大型研究施設には指定されていない、機構が保有する産業界や大学
等では整備が困難な試験研究炉や放射性物質の取扱い施設については、機構に
おいて施設の安定的な運転及び性能の維持・強化を図り、
原子力の研究開発の基
盤を支える。
オープンファシリティプラットフォームによるワンストップ窓口機能を運用
することにより、利用者のニーズに応じた適切な施設・設備・分析機器及び施設
利用を支援する研究者等を紹介し、
異分野の研究者との融合による
「共創の場」
を構築し、イノベーション創出に寄与する。適切な対価を得て、国内外の産学官
の幅広い外部利用者の利用に供する。また、供用する施設・設備・分析機器の拡
充に向け機構内の検討を進める。
外部の利用に幅広く対応するため、
外部利用者向けサービスの充実、
トライア
ルユース等の利用制度の運用を継続するとともに、制度の充実に向けて随時内
容を見直す。さらに、ホームページ等を通じた情報発信を行うとともに、外部で
の説明会等アウトリーチ活動を実施する。利用者に対しては、安全・保安に関す
る教育や相談対応等の支援を行う。
なお、
産業界や大学等が利用する基盤施設の供用については、
外部の学識経験
者を交えた施設利用協議会及び各専門部会を開催し、
利用ニーズを把握する。供用施設の利用時間の配分、利用課題の選定・採択等に際しては、施設利用協議会 21等の意見・助言を反映することで、
施設利用に係る透明性と公平性を確保する。
(3)産学官の共創によるイノベーション創出への取組の強化
「イノベーション創出戦略」
に基づき、
機構の研究開発においては自前主義か
ら脱却して国内外の産学官と戦略的に連携するとともに、創出された研究成果
の速やかな社会実装を進める。前年度、本部に設置した新組織「JAEA イノベー
ションハブ」
を中心に、
各部門等に配置したイノベーションコーディネータが研
究者・技術者を伴走支援し、
機構の技術シーズと社会ニーズとのマッチング及び
産学官連携を積極的に推進する。
オープンファシリティプラットフォームの運用を通じて機構の施設・設備・分
析機器の外部利用促進を図り、
「共創の場」を創出してオープンイノベーション
を推進する。
併せて産学官の緊密な連携を図るため、
中性子ビーム分野における
機構の多様な施設を活用した連携重点研究制度
(機構、
東京大学及び国立研究開
発法人量子科学技術研究開発機構が中核となり、産業界や大学等の参加を募っ
て連携を図る仕組み)等を活用した研究協力を推進する。
機構の研究開発成果の社会実装に向けた産業界や大学等との橋渡しにおいて
は、
まず、
汎用性の高い原子力に関する基本技術や一般産業で活用する可能性の
高い技術を中心に、
知的財産としての権利化を図り、
利活用の状況を勘案した特
許技術の精選化を引き続き実施する。
知的財産の権利化においては、
知的財産審
査会の外部委員から知的財産の利活用の観点で意見を伺い、権利範囲の広い特
許技術の取得を目指す。
特許技術、
ノウハウ及びプログラム等著作物を取りまと
め、これらの技術を活用した実用化事例とともに「技術シーズ集」として刊行・
発信する。
これに加え、科学技術振興機構(以下「JST」という。
)等外部機関及び地元自
治体等が主催するマッチングイベントや展示会等の場を活用するとともに、機
構自らが産業界や大学等に保有技術を紹介する「JAEA 技術サロン」を企画・開
催し、異分野・異種融合活動を通じて機構技術の利活用を促進する。
これらの取組を実施する際は、各部門等に配置したイノベーションコーディ
ネータが積極的に関与して機構の技術シーズと社会ニーズとのマッチング等の
活動を促進するとともに、研究者・技術者を伴走支援し、成果の社会実装、産業
界への橋渡しを推進する。
機構発ベンチャーの創出による機構の研究開発成果の社会実装への取組にお 22いては、
シニアアドバイザー等の外部有識者の知見を活用し、
研究開発成果の事
業化に係るマインドの醸成を引き続き実施する。
また、
ベンチャー企業への出資
並びに人的及び技術的援助に係る支援については、これまでの制度運用を踏ま
え、
ベンチャー審査委員会の外部委員からも意見を伺い、
より適切な支援内容と
すべく、制度の見直しと充実化を図る。
機構が発表した学術論文、
保有特許等の知的財産、
研究施設等の情報を一体的
に発信する「研究開発成果検索・閲覧システム」
(JOPSS)の運用、機構の研究開
発成果を取りまとめた「研究開発報告書類」及び「成果普及情報誌」の刊行、産
業界で応用可能な知的財産を紹介する「技術シーズ集」の刊行を通じて、成果情
報を国内外に積極的に発信していく。
また、
「日本原子力研究開発機構研究データの取扱いに関する基本方針」に基
づき、
各部門等が定めた研究データ管理計画を運用し、
学術論文等に付随する研
究データ等を管理・公開して機構内外の研究開発や産業利用への利活用を促進
する。国立情報学研究所が提供する GakuNin RDM(研究データや関連の資料を管
理するための研究データ管理基盤)を導入し、研究データ管理に取り組む。
原子力科学技術に関する学術情報を収集・整理し所蔵資料目録データベース
として発信し、
これらを提供して国内外の研究開発活動を支援するとともに、マイクロフィッシュ等劣化が進む原子力研究黎明期の所蔵資料のデジタル化の作
業に着手する。
購読する外国雑誌の選定方法を見直し、
利用実績に応じた効果的・効率的な学
術情報の収集に努める。
東京電力福島第一原子力発電所事故に関する研究成果やインターネット情報
等を関係機関との連携により効率的に収集・拡充を図り、
「福島原子力事故関連
情報アーカイブ」
(FNAA)として国内外に発信するとともに、
国内外関係機関が運
営するアーカイブ等との連携を進め、発信力拡大に取り組む。
原子力情報の国際的共有化と海外への成果普及を図る観点から、国際原子力
情報システム計画(INIS 計画)に協力し、国内の原子力に関する研究開発成果
等の情報を、IAEA 等の国際機関を含め幅広く国内外に提供する。
日本原燃からの要請に応じ、
MOX 燃料加工に係る技術支援として技術者及び研
修生の受入れや、プルトニウム燃料第一開発室等の試験設備を活用した試験等
を行う。
加えて、
再処理施設の廃止措置に関する取組を始めとした技術情報等の
提供や、高放射性廃液のガラス固化技術に係る技術支援としてモックアップ設 23備を用いた試験に協力するほか、トラブルシュート等の協力を行う。
土岐地球年代学研究所において、超小型 AMS の実用化に向けて原理実証試験
に着手する。
JRR-3 の照射設備を用いて、核医学検査薬(テクネチウム製剤)の原料となる
モリブデン 99 の照射製造試験を通じて製造に必要となる照射条件
(時間・位置)
の確認を行うとともに、社会実装に向けた製造量の増量を可能とする照射技術
の検討を進める。
「常陽」及び集合体試験施設(FMF)を用いたアクチニウム 225 製造について、
照射システム(照射用キャプセル、照射後移送法、試料解体等)及び照射後試料
の化学処理用設備の設計等の検討を行う。
また、
照射用ターゲットとしてのラジ
ウム 226 の調達方法を含むアクチニウム 225 のサプライチェーン構築について、
関係機関等とも連携し、調査を行う。
3.我が国全体の研究開発や人材育成に貢献するプラットフォーム機能の充実
(1)大学や産業界等との連携強化による人材育成
国内研修では、原子力エネルギー技術者養成、RI・放射線技術者養成、国家試
験受験準備等のための定期研修を実施するとともに、外部からのニーズに応じ
て、随時研修を実施する。
原子力人材育成ネットワーク活動では、日本原子力産業協会及び原子力国際
協力センターと連携して事務局活動を実施し、ネットワーク参加機関、IAEA 等
の国際機関と連携協力し、
情報共有や研修等を行うなどして、
我が国一体となっ
た人材育成活動を推進し、国内外で活躍できる人材育成に貢献する。
国際研修では、
文部科学省からの要請等に応じて、
アジア諸国等を対象とした
国際研修事業を実施する。
高等教育機関への教育支援では、大学連携ネットワーク活動として遠隔教育
システム等を活用した連携教育カリキュラムを実施するとともに、東京大学大
学院原子力専攻、
連携協定締結大学等に対する客員教員等の派遣を実施する。また、学生受入制度を運営し、大学等からの学生の受入れを実施する。
イノベーション人材の育成については、イノベーション創出講演会や研究成
果発表会、産学官連携に詳しい外部有識者による「JAEA 技術サロン」及び JST
「新技術説明会」
の登壇者に対するメンタリング等を通じて、
イノベーションマ 24インドを持った研究者・技術者や、
研究成果の社会実装を支援する人材の育成に
取り組む。
また、
連携重点研究制度を通じて学生や産業界や大学等からの参加を
募り、
保有する人的資源や施設・設備等の物的資源を効果的に活用する場を提供
する。
これらを実施するために必要な人材の確保のため、機構外からの人材の登用、
関係機関との人材交流を行う。
オープンファシリティプラットフォームを通じて機構の施設・設備・分析機器
を供用し、
産学官の利用者との共同研究に結び付け、
原子力研究分野と他分野が
交流・融合する「共創の場」を提供することによりイノベーション人材の育成に
つなげる。
(2)核不拡散・核セキュリティの強化に向けた貢献
1)基盤技術開発
米国及び欧州の関係研究機関との協力のもと、核鑑識に係る革新的な技術の
開発及び核セキュリティ事象発生後の核鑑識技術開発を実施する。
国内や欧州・米国の研究機関と連携し、
外部中性子源を利用したアクティブ中
性子非破壊測定技術等核物質の測定・検知技術に関する技術開発、
大規模イベン
ト等における広域かつ迅速な核・放射性物質検知技術開発を実施する。
これらの成果は国内外の会議や学会で報告する。
機構と DOE、欧州委員会/共同研究センター等海外機関との協力を継続する。
米国と共同で実施する核セキュリティに係る核物質魅力度評価に関する研究
を継続して実施する。
2)核不拡散・核セキュリティ分野の人材育成の更なる推進
アジア等の原子力新興国及び国内を対象に、
核不拡散・核セキュリティに係る
能力構築のため、参加者や共同主催者のニーズやフィードバックを適切に得て
オンラインを含むトレーニングカリキュラムの開発を継続し、トレーニングの
効果向上を図る。
核物質防護実習フィールド及びバーチャルリアリティシステムの経年劣化対
応に取り組みながら施設充実化を実施する。
セミナー、ワークショップ等を通じた大学連携の強化、核不拡散・核セキュリ 25ティ確保の重要性を啓蒙するとともに核セキュリティ文化醸成を支援する。
事業実施に当たっては機構内及び国内関係機関との連携を密にするとともに、
IAEA 等の国際機関、アジア、米国、欧州等との国際的な協力を積極的に推進す
る。
3)政策的研究
国際動向等を踏まえ、
技術的知見に基づき、
非核化達成のための技術的プロセ
ス等に関する政策研究を継続する。
なお、
実施内容については外部有識者から構
成される委員会等で議論しつつ進める。
国内外の核不拡散・核セキュリティに関する情報、
特に米国の政策に係る情報
を収集及び整理するとともに、情報集「核不拡散動向」を半期ごとに更新し、関
係行政機関へ情報提供を継続する。
4)CTBT に係る国際検証体制への貢献
CTBT 国際監視制度施設(高崎、沖縄、東海)の暫定運用を着実に実施すると
ともに、CTBT 機関(CTBTO)に運用報告を行い、レビューを受ける。また、放射性
核種に係る検証技術開発では、国内データセンター(NDC)の暫定運用を通して
得られる科学的知見に基づき、核実験監視解析プログラムの改良及び高度化を
継続し、成果を報告書にまとめる。
核実験の実施あるいは疑わしい事象の検知に際しては、
NDC の解析評価結果を
国等へ適時に報告する。また、CTBTO との共同希ガス観測を北海道幌延町及び青
森県むつ市で継続するとともに、他地点での同様の観測を支援する。
これらの成果について国内外の会議や学会で報告する。
5)理解増進・国際貢献のための取組
核不拡散・核セキュリティ分野の国内外への情報発信を促進するため、
機構ホ
ームページやメールマガジン等による情報発信を継続するとともに、国際フォ
ーラムを開催し、
その結果を機構ホームページ等で発信する。
開催に当たっては、
オンラインの利点を活かした効果的な開催を検討する。
また、
有識者からなる核
不拡散科学技術フォーラム(会議)を開催し助言を得て活動に反映する。
核不拡散・核セキュリティに係る国際的議論(
「日米核セキュリティ作業グル
ープ(NSWG)」、
「核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアティブ 26(GICNT)」、
「核軍縮検証国際パートナーシップ(IPNDV)」、「欧州保障措置研究開
発協会(ESARDA)」、
「日本における IAEA 保障措置技術支援(JASPAS)
」等)への
参画や、IAEA 専門家会合への参加、IAEA 協働センターとしての研究協力等を実
施する。また、国からの要請に基づき、核不拡散・核セキュリティに関わる我が
国の取組に技術的な支援を行う。
核不拡散機微技術の管理について必要な情報を共有の上、管理状況を確認し、
職員の教育を行い、核不拡散機微技術の管理に努める。
(3)国際連携の推進
平成 29 年3月に策定した国際戦略を、原子力の国際動向や我が国の政策等の
進展を踏まえて改定し、中長期計画期間中の各国の原子力関係機関や国際機関
との連携及び海外研究者の受入れや施設利用の促進等を通じた機構の国際化に
ついての方針を示す。
研究開発の成果の最大化及び廃止措置・廃棄物管理の安全かつ効率的な推進、
各国共通の課題への対応のための国際貢献、機構における研究開発成果の国際
展開を図るため、国外の研究機関や国際機関との間で適切な枠組みや取決めを
締結し、二国間、多国間の多様な国際連携を推進する。
国際連携推進の一環として、
海外の研究開発機関等との協力のアピール、
当該
国における人的ネットワークの構築・拡大、
新たな協力の可能性の模索等を目的
として、海外事務所が所在する国において原子力研究開発に関するシンポジウ
ム等を開催する。
研究開発協力の推進、
先行国の知見の活用、
海外からの資金の獲得等の観点か
ら、米国、仏国、英国等、機構と協力関係にある主要国の原子力政策、原子力関
連国際機関の動向等をタイムリーに収集し、機構業務に与える影響等について
分析する。また、重要な国際動向については、それぞれのニーズに応じて関係行
政機関、民間の原子力関係機関等に提供する。
関係行政機関の要請に基づき国際的な基準作り等に参加するため原子力関連
国際機関の委員会に専門家を派遣するとともに、これらの国際機関のポストへ
の職員の応募を促進する。
新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、海外の研究者等の受入れを積極的
に行う。
令和4年5月から導入される「みなし輸出」管理の明確化への対応も含め、輸 27出管理を確実に行うため、
各研究拠点等からの相談に応じるとともに、
該非判定
を行った全拠点等に対し内部監査を行う。また、教育研修や e-ラーニングを通
して啓蒙活動を継続するとともに、的確な該非判定を励行する。
4.東京電力福島第一原子力発電所事故の対処に係る研究開発の推進
機構は、
燃料デブリ取出し等の技術的に難易度の高い廃炉工程を安全、
確実、
迅速に推進していくことに加え、住民が安全に安心して生活する環境の整備に
向けた、環境回復のための調査及び研究開発を行う。
これらの取組については、機構が有する人的資源や研究施設を最大限活用し
ながら、
「エネルギー基本計画」等の国の方針や社会のニーズ等を踏まえ、機構
でなければ実施することができないものに重点化を図る。
また、機構の総合力を最大限発揮すべく、機構内の関係部門が連携・協働し、
これまでに培った技術や知見、経験を活用する。さらに、機構が保有する施設の
バックエンド対策等にも活用するとともに、
世界とも共有し、
各国の原子力施設
における安全性の向上等に貢献していく。
このため、令和4年度は、以下に示す、燃料デブリの取出しや放射性廃棄物の
取扱い等の廃止措置等に向けた研究開発、放射性物質の環境動態や被ばく評価
手法等の環境回復に係る研究開発、研究開発を行う上で必要な共通基盤技術の
開発、
放射性物質の分析・研究施設等の整備や人材育成に至る研究開発基盤の構
築・強化を進める。
(1)廃止措置等に向けた研究開発
燃料デブリの取出しに関する研究では、
燃料デブリの取出しに向け、
非破壊測
定を含む分析手法の検討を進め、シミュレーションと核燃料物質を用いた非破
壊測定要素技術確認試験に着手する。原子炉格納容器(PCV)/原子炉圧力容器
(RPV)内の線源・線量率分布の高精度化、燃料デブリの放射線特性評価、計量
管理に係る評価を行えるデータ及び手法の開発に取り組む。
また、
燃料デブリ性
状に関する研究として、
経年変化、
取出し作業に伴って生じる放射性微粒子の挙
動に関する知見の収集に取り組む。
事故事象の解析・評価については精緻化に向
けた知見を提供するために、熱・構造・材料連成解析・検証試験に取り組む。炉
内状況把握については、最新の現場情報(内部調査・実デブリデータ)と上記の
燃料デブリに関する知見、事故事象の解析・評価の成果を照らし合わせ、炉内状 28況推定図の精緻化を進める。燃料デブリの保管、管理に関しては、放射線効果の
評価方法の合理化・実用化、放射線効果(リスク源)の抑制・低減化に向けた研
究を進める。さらに、水素等の燃焼等や拡散・分布の挙動解析とともに、施設等
での換気や雰囲気制御の研究を進める。これらの燃料デブリに関する研究につ
いて相互の連携を図ることにより、燃料デブリの安全な取出し及び取扱いに資
するよう、適時に効果的な成果を得るよう進める。
放射性廃棄物の取扱い及びその管理等に関する研究のうち、性状把握につい
ては、
分析施設での分析を継続し、
得られたデータをデータベースに蓄積すると
ともに、これを利用した廃棄物の含有放射能量(インベントリ)の推定手法や分
析計画法の検討を進める。処理・処分方策については、廃棄物が含有する放射性
核種や化学物質の特徴(高濃度、低濃度など)を踏まえ、セメントなど常温付近
での処理方法を中心に、所期の固化体性能を確保できる処理条件を求める方法
を検討するとともに、
放射性廃棄物の性状評価の不確実性を考慮し、
安全に処分
し得る概念を合理的に検討する手法の構築に取り組む。
これらの研究開発は、要素技術ごと(性状の把握、処理、処分)に並行して取り組みつつ、相互の連携を
図ることにより、
放射性廃棄物管理全体の合理化に資するよう、
適時に効果的な
成果を得るよう進める。
得られた成果を機構内の施設の廃止措置等に活かすため、バックエンドを始
めとした他の部門と連携・協働し、
成果を相互に展開・応用する仕組みを構築し、
連携プロジェクトに着手する。
また、
得られた成果は廃炉基盤データベースに結
集し、既存の原子力施設の廃止措置や放射性廃棄物管理など原子力施設の安全
性向上にも寄与することを目指す。
(2)環境回復に係る研究開発
福島県が定めた「環境創造センター中長期取組方針(フェーズ3)」(福島県環
境創造センター運営戦略会議)
を踏まえ、
福島県及び国立研究開発法人国立環境
研究所との3機関で緊密な連携・協力を行いながら研究開発に取り組む。
森林、河川域等の広いフィールドを対象とした放射性物質の環境動態に関わ
る研究とそれに基づく将来予測が可能なシステムの提供については、様々な分
析手法を組み合わせて環境中における放射性物質の存在形態を明らかにし、生
態系への放射性物質移行メカニズムを明らかにするとともに、シミュレーショ
ンを用いた生態系内の将来濃度の推定手法を整備し、
将来にわたる影響評価・予 29測を社会に分かりやすく提示する。
また、放射線量の可視化については、モニタリングデータ分析技術・被ばく評
価手法の高度化により、帰還困難区域の空間線量率の分布状況を高い精度で推
定する手法を検討するとともに、
線量・生活行動パターンに基づく被ばく評価モ
デルを組み合わせた被ばく評価手法を検討し、避難指示解除の検討に有用な知
見を提供する。
得られた環境動態・モニタリングに関する知見は、
福島県総合環境情報サイト
FaCE!S に取りまとめ、成果の普及のための情報提供を継続する。
(3)研究開発基盤の構築・強化
関係機関と連携し、東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置等に係る研究
開発を行う上で必要な共通基盤技術の開発や研究開発基盤の整備・強化に取り
組む。
放射性物質の可視化・分析については、放射線計測技術・3次元可視化システ
ム、ダスト計測技術及び燃料デブリ・廃棄物等への適用のための遠隔・その場・
迅速簡易分析技術の開発に取り組む。
また、
デジタル技術を用いた作業環境の放
射線量・放射性物質濃度の推定・評価及び遠隔機器操作支援に向け、実空間で取
得した放射線分布及び環境情報を仮想空間に効率よく再現する手法の検討を進
める。
放射線等による構造物や保管容器等の腐食機構と、
腐食進展予測に基づく
長期的な健全性評価手法の開発に取り組むとともに、作業者の被ばく低減方策
を効率的に検討するために必要な線源・線量率推定システムに係る技術開発を
進める。
放射性物質の分析・研究施設については、施設管理棟において第1棟、第2棟
の許認可・工事等に係る管理と第1棟の試験的運用から本格運転に向けての管
理を行い、
また茨城地区の経験を踏まえて第1棟における分析準備、
試験的分析
等の計画を立案し、その実施における管理を行う。また第1棟について、建設工
事を進め竣工し、コールド試験、ホット試験を経て廃棄物試料、ALPS 処理水の
分析に着手する。第2棟について、認可取得へ向けた対応を実施の上、準備工事
に着手する。
第1棟における施設の試験的運用、
分析準備及び試験的分析を通じ
て、
これまでに開発を進めてきた分析技術の適用性の確認を進めるとともに、運転・分析等に係る技術者の育成を図る。
楢葉遠隔技術開発センターにおいては、
遠隔操作機器・装置の開発実証施設等の利用拡大を進めるため、
関係機関等を通 30じたニーズの把握、
施設利用者の作業支援の充実、
展示会等における施設紹介活
動等を実施する。
また、
施設利用の高度化に資するため、
東京電力福島第一原子力発電所の原子
炉建屋内等のデータを整備する。
さらに廃炉環境国際共同研究センターでは、国際協力を通じて海外の英知を
結集し、
研究開発を加速・向上して東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置や
地域復興に貢献する。また、原子力安全や基礎基盤技術の観点で、国際的にも貢
献していく。
英知事業等を活用した仕組みの確立・発展、
研究成果の社会実装に資すること
を目標として、
基礎・基盤研究の成果を東京電力福島第一原子力発電所廃止措置
の現場への橋渡し、
機構内施設を含む廃止措置への応用、
他分野への適用を図る
とともに、研究人材育成により、研究の人的基盤を構築・強化する。
5.高レベル放射性廃棄物の処理処分に関する技術開発の着実な実施
「特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針」
(平成 27 年5月 22 日 閣
議決定)や「エネルギー基本計画」を踏まえて、産業界、国及び関係機関との連
携の下で、
役割分担を明確にし、
高レベル放射性廃棄物の処理処分に関する研究
開発を着実に実施する。
高レベル放射性廃棄物等の地層処分研究開発では、
「総合知」の発現を通じた
社会的価値の創出につなげていくため、社会的な側面やその方法論をより重視
した研究成果の発信などについて取り組む。
その方策として、
社会に科学技術を
理解してもらう上で有効な手段であるデジタル化技術や AI 技術の知見の活用を
図っていく。
令和4年度は、
深地層の研究施設計画等で得られた大規模データを
用いた研究成果の可視化技術、さらにはそれを活用した国民との相互理解促進
への応用に関する検討を行う。
(1)高レベル放射性廃棄物の処理に関する研究開発
1)MA 分離のための共通基盤技術の研究開発
抽出クロマトグラフィを利用した MA の分離フローシートを対象に、処理廃液
組成の変動が分離性能に及ぼす影響を把握する。
また、
同フローシートで使用す
る吸着材について放射線等による劣化メカニズムを検討する。
さらに、
工学的成 31立性確保に向けてクロマトグラフィ用制御システムの適用性を評価する。溶媒
抽出法に関しては、開発した抽出系及び新規抽出剤を用いた系における分離特
性データや抽出溶媒の劣化に係るデータを拡充し、SELECT プロセスの改良を進
める。
2)加速器駆動システム(ADS)を用いた核変換技術の研究開発
ADS 概念設計の高度化のために、
ビーム窓構造に対する高温クリープの影響を
評価するとともに、熱伝達モデル決定のための実験データを取得する。また、運
転条件を想定した材料腐食データの取得とホット環境整備を行うとともに、国
際協力による照射後試験準備を進める。
J-PARC 核変換実験施設計画については、
実験施設への多様なニーズの調査を行う。MA 含有窒化物燃料について、外部ゲ
ル化法による粒子作製装置を用いた製造技術を習得する。また、
「常陽」を想定
した照射試験用窒化物燃料の仕様検討を開始する。さらに、MA 含有窒化物燃料
の乾式処理技術について、模擬物質を用いた小規模試験によって溶融塩への溶
解に関する技術開発を進める。
また、
多様なシナリオに対して減容化・有害度低減の効果を評価するために、
地層処分温度データベースの整備に着手する。
(2)高レベル放射性廃棄物等の地層処分研究開発
1)深地層の研究施設計画
幌延深地層研究計画における実際の地質環境における人工バリアの適用性確
認については、
廃棄体埋設後において廃棄体周辺で起こる現象の理解を深め、安全評価において前提としている環境条件が達成されることを確認し、予測技術
を確立する。そのため、令和4年度は、廃棄体周辺で起こる熱、水、応力、化学
連成現象を理解するため、人工バリア性能確認試験において発熱がおさまった
状態を模擬した条件でのデータ取得を継続する。
また、
岩盤における物質移行特
性を把握するため、有機物・微生物・コロイドがそれらに与える影響を評価する
ための物質移行試験を実施する。
処分概念オプションの実証については、処分場の操業(廃棄体の搬送定置・回
収、処分場の閉鎖を含む。
)に関わる工学技術を実証するとともに、廃棄体の設
置方法等の実証試験を通じた、坑道スケール〜ピットスケールでの調査・設計・ 32評価技術の体系化を図る。そのため、令和4年度は、処分場の閉鎖に関わる埋め
戻し材や止水プラグ材の品質確認、
ボーリング孔の閉塞技術開発等を行う。
また、
回収技術の実証の一環として、回収可能性の維持に伴う影響評価技術を整備す
る。
地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証については、地殻変動が地層の透
水性に与える影響を推定するための手法を整備するとともに、地下水の流れが
非常に遅いと考えられる化石海水が分布する領域を把握するための調査技術を
実証する。そのため、令和4年度は、これまでに実施した水圧擾乱試験結果の評
価を行うとともに、
化石海水が分布するような長期的に安定な水理場・化学環境
を評価するために必要なボーリング調査や解析を行う。
「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」
を実施するに当たって、
令和5年度
から PFI 事業により稚内層深部(深度 500m)に坑道を展開するため、その掘削
準備として仮設備の補修等を進める。
また、
国内外の関係機関との連携を進め、
研究開発成果の最大化を図るため、国際共同プロジェクトを立ち上げる。
超深地層研究所計画については、
「令和2年度以降の超深地層研究所計画」に
基づき、坑道の埋め戻し後の地下水の環境モニタリング調査を実施するととも
に、観測の終了したボーリング孔の埋め戻し、閉塞を着実に進める。また、河川
水等の水質分析及び騒音・振動測定等の環境影響調査を継続する。
2)地質環境の長期安定性に関する研究
地層処分に適した地質環境の選定に係る自然現象の影響把握及びモデル化を
目指して、令和4年度は、大学等との共同研究等を通じながら、隆起・侵食や断
層運動、熱水活動、気候・海水準変動等の自然現象に関する過去から現在までの
履歴を把握するための熱年代学的手法や地球物理学的手法等を活用した個別技
術について、地質環境の大きく異なる各サイトへの適用を考慮しつつその整備
を進める。
また、
これまで行ってきた南九州を対象とした活構造解析について、
将来の自然現象の影響評価に反映することを視野に、地殻変動等のモデル化の
一例として取りまとめを行う。
その際は、
これらの成果が地盤変状等の災害要因
となる断層運動等の自然現象の理解等に貢献できる科学的・技術的知見となる
ことも留意して取りまとめていく。
さらに、
自然現象の理解と予測等に係る研究
開発で重要な放射年代測定技術等の微量の試料に対応可能な測定手法や前処理
手法の改良等を図る。 333)高レベル放射性廃棄物等の地層処分システムに関する研究開発
地層処分に係る処分システムの構築及び構築したシステムの評価を行うため
の解析技術の先端化・体系化を図るための検討の一環として、令和4年度は、多
重バリアの構成要素間の相互作用等がもたらす場の状態の長期的な変遷及びこ
れを反映した核種移行に関するデータ取得・データベース整備、
モデル開発とそ
の検証や適用性の確認を行う。
その際は、
地層処分基盤研究施設及び地層処分放
射化学研究施設を活用し、
また、
深地層の研究施設計画や地質環境の長期安定性
に関する研究の成果も用いて、関係機関と一層の連携を図りながら進める。
4)代替処分オプションの研究開発
使用済燃料の直接処分に特徴的な現象を把握するため、
令和4年度は、
処分容
器の有力な候補材料である銅の止水機能に影響を及ぼす可能性が指摘されてい
る、
硫化物が存在する環境下での銅の腐食挙動や、
地下水中の炭酸が使用済燃料
の長期的な溶解挙動に及ぼす影響に関するデータの取得等を進める。
また、
海外
における最新の技術動向の調査の一環として、直接処分以外のその他代替処分
オプションのひとつである超深孔処分を対象として、諸外国での事例検討の調
査、成立性の検討に係る諸条件や技術の調査を実施する。
5)研究開発の進捗状況の確認と情報発信
研究開発の進捗状況等について、
外部専門家による評価等により確認する。また、研究開発の進捗等に関する情報発信をウェブサイトも活用して進めるとと
もに、深地層の研究施設等への見学受入れやサイエンスカフェの開催等を通じ
て、地層処分に関する国民との相互理解の促進に努める。
6.安全を最優先とした持続的なバックエンド対策の着実な推進
原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理処分の計画的遂行と技術開発
の取組を進める。このため、令和4年度は、以下に示す、固化技術や除染技術等
の廃止措置・放射性廃棄物の処理処分に係る技術開発、
「もんじゅ」における炉
心から燃料池(水プール)までの燃料取出し作業、
「ふげん」における原子炉周
辺設備(大型機器を除く。
)の解体撤去といった敦賀地区の原子力施設の廃止措
置実証のための活動、高放射性廃液のガラス固化処理等といった東海再処理施 34設の廃止措置実証のための活動を実施する。
(1)廃止措置・放射性廃棄物処理処分の計画的遂行と技術開発
1)廃止措置・放射性廃棄物の処理処分に係る技術開発と成果の実装
東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置及び機構の原子力施設の廃止措置
の推進や低コスト化等につながる技術開発、機構内のデコミッショニング改革
のためのイノベーションの創出や現場への実装を目指し、技術開発の戦略ロー
ドマップを作成する。
技術開発については、
圧縮体等の非破壊内容物評価技術の開発として、
基本技
術の開発を完了し、実用化に向けた計画を策定する。また、廃棄物処理の加速の
ために中長期的に開発を進める予定の放射能濃度評価方法等の技術については、
技術調査・検討の結果をまとめる。
核燃料サイクル工学研究所においては、放射性廃棄物の廃棄体化処理に係る
固化技術の高度化開発について、地層処分基盤研究施設で複数の固化材料を用
いた固化試験及び固化体の浸出試験を行う。
また、
処理が困難な多様な放射性廃
液を固化、
安定化するための技術開発については、
実規模開発試験室で種々の有
機相廃液を分解するための技術開発を行う。
人形峠環境技術センターにおいては、
ウラン廃棄物について、
環境研究として
埋設試験の安全性評価に係る地下水流動調査を行う。
また、
ウラン廃棄物工学研
究として非破壊測定によるウラン廃棄物の定量技術開発及び機能水を用いた除
染技術開発を行う。
2)放射性廃棄物の処理処分
低レベル放射性廃棄物については、
発生量低減に努めるとともに、
契約によっ
て外部事業者から受け入れるものの処理も含め、
安全を確保しつつ、
廃棄物の保
管管理、減容及び安定化に係る処理を行う。
原子力科学研究所においては、
放射性廃棄物処理場の各施設、
設備について、
新規制基準への対応を進める。また、保管廃棄施設・L については、令和5年度
の健全性確認の完了に向けて廃棄物の点検を進める。高減容処理施設において
は、大型廃棄物の解体分別を含めた前処理及び高圧圧縮による減容化並びに廃
棄体化準備を継続する。 35大洗研究所においては、固体廃棄物減容処理施設(OWTF)については、令和5
年8月の本格運転開始を目指し、内装設備(焼却溶融設備等)の遠隔保守試験を
継続し、機器の操作性及び視認性の確認を完了させる。
核燃料サイクル工学研究所においては、プルトニウム廃棄物処理開発施設の
第2難燃焼却設備における、プルトニウム系廃棄物の焼却実証試験を再開する。
また、アルファ系統合焼却炉は、令和6年度の建設工事開始を目指し、令和4年
度は建家の実施設計及び内装設備の詳細設計を実施する。
青森研究開発センターにおいては、
今後の処理、
処分に向けた分別作業等の対
応を継続する。
廃棄物の種類ごとに発生から埋設処分までの一連の処理、保管等の流れを定
める廃棄物ストリームを統括的に管理するツールとして、各ストリームの実現
に必要な基準類、
廃棄物確認手法、
設備等を管理する廃棄体製作管理システムの
第4期中長期目標期間内の構築を進めるのに先立ち、令和4年度は機構から発
生するすべての廃棄物に対して廃棄物ストリームを作成する。
また、
廃棄物管理
システムへの廃棄物データの蓄積を継続し、前年度に発生した全廃棄物のデー
タをシステムに追加する。
施設中長期計画に従い、原子炉系廃棄物の廃棄体作製に必要な基準類の整備
や品質保証体系の構築を第4期中長期目標期間中頃までに完了するため、優先
度の高い分別及び混練固化に関する基準類の作成及び品質保証マニュアルの見
直しを行い、外部有識者の意見をもらう。また、埋設に向けた原子炉系廃棄物の
廃棄体確認手法の確立及びこれに必要な根拠データの取得については、各拠点
の廃棄体化設備の運転開始に間に合うよう、
放射能濃度評価方法、
充填方法等の
検討を進め、
これまでの検討結果をまとめるとともに、
運転開始までに必要なデ
ータの量と期限を明確化する。
埋設事業については、
国と一体となった立地対策に係る検討と併せ、
放射性廃
棄物の埋設処分に向けた理解促進のため、
WEB を活用した情報発信の強化及び関
係機関等と協力した広報活動を行う。
廃棄体受入基準整備として、
砂充填方法及
び角形容器の受入基準の技術検討を行い、受入基準に反映する。また、埋設施設
の基本設計に向けて、トレンチ埋設施設の適合性審査の先行事例の調査に基づ
く課題の抽出及び課題の対応方針を取りまとめる。
利用実態のない機構外の核燃料物質の集約管理に関しては、関係行政機関の
取組の進捗を踏まえて必要に応じて協力・貢献を進める。 363)原子力施設の廃止措置
「もんじゅ」、「ふげん」
及び東海再処理施設以外の廃止を決定した施設につい
ては、施設中長期計画に基づき、廃止措置を進める。また、廃止措置を進める上
で必要な核燃料物質の集約化対応を進める。
廃止措置を進めるに当たっては、施設のリスク低減効果、維持費及び職員人件費の削減効果等を考慮した優先順位
の基準を定める。
廃止措置の計画立案から放射性廃棄物処理処分までを一気通貫で安全かつ効
率的・効果的に廃止措置を進めるため、令和4年度は原子力科学研究所の 2 施
設をモデルとなる廃止措置に指定し、計画策定、契約、プロジェクトマネジメン
ト手法、
組織体制等の面で先駆的取組を試行し良好事例の蓄積を図る。
モデル事
業では、必要な資金、人員を優先的に充当するとともに、特に、民間のプロジェ
クトマネジメント体制・手法及び廃止措置業務に係る人材育成モデルの試行的
導入を行う。
施設の解体等から発生する解体物のクリアランスについては、クリアランス
作業に関する知見や評価手法等を整備する。
また、
クリアランス物の再利用を関
係する機関と協力しつつ着実に進め、クリアランス制度の社会的定着に貢献す
る。放射性廃棄物は発生段階から分類・分別を行い、減容あるいは安定化処理、
廃棄体化を進める。
原子力科学研究所においては、
プルトニウム研究1棟について、
廃止措置に向
けた設備撤去のための許可変更の手続を行い、
廃止措置を進める。
プルトニウム
研究1棟及び再処理特別研究棟はモデル事業対象施設として廃止措置活動にプ
ロジェクトマネジメント体制・手法と人材育成モデルを令和4年度に導入し、発生する放射性廃棄物の保管廃棄量を調整しつつ廃止措置を進める。
大洗研究所においては、廃止措置計画に基づき廃止措置を継続している重水
臨界実験装置(DCA)の廃止措置工程の第3段階(原子炉本体等の解体撤去)を
令和 10 年度以降に完了させるため、令和4年度は炉心タンク等の解体撤去を完
了させる。材料試験炉(JMTR)は、廃止措置計画に基づき、管理区域外設備の解
体撤去として2次冷却系統及びプールカナル系統の熱交換器2次側の閉止措置
並びに令和5年度に行う使用済燃料の米国輸送等の準備を進める。燃料研究棟
の廃止措置準備として、核燃料物質の搬出準備等を行う。
核燃料サイクル工学研究所においては、廃止措置に着手している廃水処理室 37は内装設備の撤去を完了させる。プルトニウム燃料第二開発室では、令和 10 年
度末の廃止措置完了を目指し、グローブボックス5基の解体撤去を完了させる。
また、
核燃料物質の集約化として、
プルトニウム燃料第三開発室及びプルトニウ
ム燃料第二開発室における核燃料物質の保管体化を継続するとともに、プルト
ニウム燃料第二開発室からプルトニウム燃料第三開発室への核燃料物質の運搬
等に取り組む。
人形峠環境技術センターにおいては、ウラン濃縮原型プラントの DOP-1UF6 処
理設備及び均質設備の解体撤去を行う。濃縮工学施設では実用規模カスケード
試験装置の一部設備の解体撤去を行う。また、六フッ化ウランの譲渡に向け、詰
替・洗浄設備の設計等を行う。
ウラン廃棄物発生量の最小化のために遠心機部品
のクリアランス確認を継続する。鉱山施設の安全対策として麻畑2号坑捨石た
い積場安全対策工事等を完了する。
東濃地科学センター及び人形峠環境技術センターにおいて保管されているウ
ラン含有物等の措置を進める。
(2)敦賀地区の原子力施設の廃止措置実証のための活動
廃止措置作業を安全かつ計画的に遂行するため、プロジェクトマネジメント
体制の下に、
必要な資源を投入し、
廃止措置を進める上で必要となる技術開発を
行いつつ、廃止措置計画に従い、安全かつ着実に進める。具体的には、以下の事
項を実施する。1)「もんじゅ」の廃止措置
燃料の炉心から燃料池(水プール)までの取出し作業を完了する。ナトリウム
機器解体準備である第2段階の廃止措置の手順等の具体的事項の検討を行い、
その結果を反映して廃止措置計画の変更認可を受ける。
ナトリウムの搬出に向け、ナトリウム処理・処分方針に基づき、処理に係る技
術的検討やナトリウム輸送に係る検討を進め、
ナトリウム処理・処分計画を具体
化するとともに、
ナトリウムの抜き取り方法の検討を行い、
ナトリウム搬出設備
の検討及び設計等を進める。
また、
ナトリウム保有によるリスクの早期低減のた
め、
1次主冷却系3ループのナトリウムを全てドレンする。
ナトリウム機器解体
に向け、解体前処理の方法、解体撤去手順等の検討を進める。また、施設内にお
ける核燃料物質による汚染の分布に関する評価を進める。
廃棄物の処理・処分に 38向けた検討を継続するとともに、廃棄物処理装置等の整備を進める。
使用済燃料の搬出計画について、
使用済燃料の処理・処分方法等に係る技術的
検討を継続する。
燃料体取出し作業で得られたデータ・知見及び評価について、
将来の高速炉開
発に効果的に活用できるよう取りまとめを進める。2)「ふげん」の廃止措置
原子炉周辺設備(大型機器を除く。
)の解体撤去を完了するともに、供用が終
了した各建屋内の設備の解体撤去を計画的に進める。
また、
解体撤去物について
は、
クリアランスによる運用を継続し、
放射性廃棄物の発生量の低減に努める。
原子炉本体解体に向けて、原子炉から構造材試料を採取する技術の実証を継続
する。また、原子炉遠隔解体モックアップ等を活用し、原子炉解体技術の実証を
継続する。
使用済燃料の搬出に向けて、輸送キャスクの製造、必要な施設・設備の整備等
を進める。
廃棄物の処理・処分に向けた検討を継続するとともに、
廃棄物処理装置等の整
備を進める。
廃止措置の進捗に応じた設備の維持管理の合理化検討を進める。解体撤去で得られるデータ及び技術開発成果等について、原子力施設の廃止措置
において効果的に活用できるよう取りまとめを進める。
(3)東海再処理施設の廃止措置実証のための活動
東海再処理施設については、
プロジェクトマネジメント体制により、
施設の廃
止に向けた以下の取組を、廃止措置計画に基づき進める。
高放射性廃液の貯蔵等に係るリスク低減を図るため、新規制基準を踏まえた
安全性向上対策として、高放射性廃液貯蔵場(HAW)及びガラス固化技術開発施設(TVF)
に係る地震・津波対策等の安全対策工事を継続する。
TVF においては、
炉底部などに残留したガラスの除去作業を進め、高放射性廃液のガラス固化処
理を再開する。
高放射性廃液のガラス固化処理については、
安全の確保を最優先
とした上で、ガラス固化の早期完了に向け、目標数を定め、固化体製造を行う。
また、
3号溶融炉の製作を進めるとともに、
ガラス固化体の保管能力増強に係る
取組を継続する。
高放射性固体廃棄物については、
貯蔵管理の改善に向けた取組
として、水中 ROV 等について機能確認を含むモックアップ試験に着手し、操作 39性に係るデータの取得を進める。低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)につ
いては、
セメント固化・硝酸根分解設備に係る試験データ拡充に向けた対応とし
て、セメント固化に係る実規模混錬試験を行う。また、LWTF の施設整備の一環
として、津波対策の詳細設計を進める。
分離精製工場(MP)等においては、工程洗浄を進める。
上記の取組を通じて得られた知見を取りまとめ、再処理施設の廃止措置技術
体系の確立に向けた取組を継続する。
7.原子力安全規制行政及び原子力防災に対する支援とそのための安全研究の推進原子力安全規制行政及び原子力防災等を技術的に支援するため、原子力施設
の事故や緊急時対応に関する研究を総合的に実施するとともに、安全上重要な
分野において国際的に通用する研究者を育成するなど、継続的な技術的能力の
向上に努める。このため、令和4年度は、以下に示す、リスク評価や緊急時対応
等の安全研究及び国や地方公共団体等が実施する原子力防災訓練への支援等の
原子力防災等に対する技術的支援を実施する。また、当該業務の実効性、中立性
及び透明性を確保するための方策の妥当性やその実施状況に関する規制支援審
議会の意見を尊重して業務を実施する。
(1)原子力安全規制行政に対する技術的支援とそのための安全研究
原子力安全規制行政への技術的支援のため、
「今後推進すべき安全研究の分野
及びその実施方針」
(令和3年7月原子力規制委員会)を踏まえ、同委員会から
の技術的課題の提示又は技術支援の要請等を受けて、原子力安全の確保に関す
る事項(国際約束に基づく保障措置の実施のための規制その他の原子力の平和
利用の確保のための規制に関する事項も含む。
)について、最新の状況や将来を
見据えた安全研究を行う。
原子炉施設のシビアアクシデント(SA)時のソースターム及び格納容器内溶融
炉心冷却性に係る実験データを取得し、不確かさを含めて SA 対策の効果を評価
する手法及び動的リスク評価手法を開発する。
また、
炉心冷却性を評価する上で
重要な冷却材喪失条件下での燃料の細片化や放出等のデータを燃料試験施設
(RFEF)及び原子炉安全性研究炉(NSRR)を用いて取得し、燃料挙動解析コード
等の整備を進める。さらに、事故時の炉内熱水力挙動に関する実験を継続し、炉 40心熱伝達等のモデル開発の知見を取りまとめるとともに数値解析手法の高度化
を進め、
加圧熱衝撃や不確かさ評価等の課題に着手する。
これらの実験に用いる
先進的な二相流計測技術の開発を継続する。
実機材料等を用いる試験の準備及び照射材の破壊靭性データ等の取得を進め
る。
確率論的破壊力学解析コードの適用範囲の拡大及び活用方策を検討する。また、地震フラジリティ評価に必要な建屋及び配管の現実的応答解析手法並びに
飛翔体衝突影響評価に必要な建屋及び内包機器を対象とした解析手法の整備を
継続する。さらに、地震に関する確率論的リスク評価手法の整備に着手する。
核燃料サイクル施設の高レベル濃縮廃液蒸発乾固事故に関して、高レベル廃
液の放射線分解生成物の影響等を踏まえた揮発性ルテニウムの放出・移行挙動
に係るデータを取得し、事象進展段階ごとの特徴を踏まえた事故事象進展解析
コードの整備に着手する。
火災事故に関して、
高性能空気フィルタの急激な差圧
上昇現象に対するリン酸トリブチル分解生成物の付着の影響を評価する。また、
グローブボックスパネル材から放出される熱分解ガスの燃焼条件に係るデータ
を取得する。
燃料デブリの臨界特性に関する実験データ取得のための実験炉心の検討を行
うとともに、モンテカルロ法に基づく臨界計算コード Solomon の機能拡張を進
める。
使用済燃料の臨界性を含む特性評価のため、
最新の核データに基づく一点
炉燃焼計算コードの整備に着手する。
中深度処分等の廃棄物埋設地において想定される環境条件に対応した地形変
化評価手法を整備するとともに、施工条件等に対応した埋戻し材の透水性等の
データ取得を進める。放射性核種の環境動態に関する移行データの取得を進め、
放射性廃棄物処分における生活環境中での核種移行現象のモデル改良に着手す
る。原子炉施設の廃止措置段階において想定される事故の進展に応じた被ばく
線量とその発生確率を評価する手法の整備を進める。
原子力規制委員会の要請を受け、保障措置に必要な微量環境試料の粒子分析
等の技術に関する研究を実施する。
また、
顕微ラマン分光分析法を用いた6価ウ
ラン化合物の化学状態を判別する技術を開発する。
これらの分野の研究成果を統合した安全評価や原子力施設のリスク評価を実
施し、合理的な原子炉施設の安全確保や原子力防災の実効性向上に向けたリス
ク情報の活用を推進する。
科学的・合理的な規制基準類の整備に資するため、
これらの研究成果の積極的 41な発信や技術的な提案を行う。また、研究の実施に当たっては、原子力規制庁等
との共同研究及び OECD/NEA や二国間協力の枠組みを利用して、最新の技術的知
見を反映させるとともに、外部専門家による評価や原子力規制委員会の意見等
も踏まえて、研究内容を継続的に改善する。
原子力施設等の事故・故障の原因究明のための調査等に関して、
規制行政機関
等からの具体的な要請に応じ、人的・技術的支援を行うとともに、安全規制に関
する国内外の情報の収集分析を行う。
原子力の安全を担う人材の育成に貢献するため、
機構内外の人員・施設の効果
的・効率的な活用、原子力規制庁等との人材交流、専門家としての規制基準類等
の策定への関与、国際協力及び事業者等との共同研究を行う。
(2)原子力防災等に対する技術的支援
災害対策基本法等に基づく指定公共機関として、
原子力災害時等
(武力攻撃事
態等を含む。
)には緊急時モニタリング等の人的・技術的支援を行い、国及び地
方公共団体による住民防護活動に貢献する。海外で発生した原子力災害につい
ては、IAEA 主催の緊急時対応援助ネットワーク(RANET)を通じ、国や国内関係
機関と一体となって技術的支援を行う。
国及び地方公共団体が実施する原子力防災訓練への支援や地域防災計画等へ
の助言を行うことにより、原子力防災体制の整備を支援する。また、緊急時に道
府県に設置される緊急時モニタリングセンター要員を対象とした研修、放射線
防護に関する実習を伴う現地活動要員等を対象とした研修、原子力災害対策本
部で防護措置に関する意思決定を担う要員を対象とした研修など多様な研修、
訓練プログラムを準備して国内全域にわたる原子力防災関係要員の育成を図る。
動的リスク評価手法の結果を反映して公衆の被ばく線量を時系列で評価でき
るように確率論的事故影響評価コード(OSCAAR)を改良する。また、放射線被ば
く線量評価及び健康影響評価モデルに係る最新知見を調査するとともに、東京
電力福島第一原子力発電所事故後の経験を整理して非放射線影響に関する基礎
データの収集に着手する。
さらに、
避難及び屋内退避モデルの改良を行い OSCAAR
への実装とそれらを用いた解析に着手する。
加えて、
原子力防災を最適化するた
め、
大学と連携しながら原子力災害時の住民行動に関する調査・分析を実施する。
航空機モニタリングを含む放射線データの測定及び評価並びにモニタリング
データの統合化に関する研究開発を進める。また、モニタリング情報共有・公開 42システムの訓練等での活用及び同システムと連携させたオフサイト作業従事者
の被ばく線量予測ツールの道府県への導入を進めるとともに改善点を抽出する。
緊急時における放射性ヨウ素による甲状腺被ばく線量評価に関する研究及び原
子力災害時の住民避難の実効性を確保するために避難退域時検査資機材の相互
融通に関する調査、研究に着手する。原子力災害に際して、特に防護措置の判断
に必要となるモニタリング結果の評価及び被ばく線量評価を技術的に支援する
ための体制についての検討並びに技術的支援に対する指導的な役割を担える中
核人材の確保を国と連携して進める。
III.業務運営の改善及び効率化に関する目標を達成するためとるべき措置
1.効果的・効率的なマネジメント体制の確立
(1)効果的・効率的な組織運営
多様な研究開発活動を総合的に実施する原子力研究開発機関として、理事長
の強いリーダーシップの下、
経営戦略の企画・立案や安全確保活動等の統括等の
経営支援機能を強化する。また、機動的・弾力的な経営資源配分を行うことで、
安全を最優先としながら、研究開発成果の最大化を図る。さらに、研究の質の向
上に向け、
斬新で挑戦的な研究・開発の芽出しを支援する
「萌芽研究開発制度」、顕著な業績又は社会的に高く評価された実績をあげた職員等を評価する「理事
長表彰制度」
等について、
特に若手研究者に対する活動支援等を積極的に展開す
る。併せて、構造改革活動を推進し、機構の抱える経営課題の解決を目指す。こ
れらの活動に当たっては、
マネジメントの効率化と質の向上を図るため、
予算執
行状況を定常的に管理するシステムを構築し、試行的に運用すること等を通じ
て中長期計画等と連動した研究開発課題の管理のためのシステムについて最適
な管理単位の在り方等の検討を進める。
研究開発活動とバックエンド対策を両立して推進していくためには、
効果的・
効率的な組織運営が必要となる。
このため、
迅速かつ的確な意思決定を可能とす
る機動性・弾力性のある組織への改編、
人材の流動化に係る不断の検討を行う。
また、
長期間かつ複数組織に跨がる廃止措置業務を着実に行うため、
「もんじゅ」、「ふげん」
及び東海再処理施設の廃止措置については、
組織横断型プロジェクト
マネジメント体制の下で廃止措置計画に基づき着実に進めるとともに、
「もんじ 43ゅ」、「ふげん」及び東海再処理施設以外の施設については、廃止措置を効率的・
効果的に進めるため、
モデル事業の選定に着手し、
プロジェクトマネジメント体
制・手法の導入と人材育成モデルの検討を行う。
業務遂行に当たっては、機構、部門・拠点の各レベルで、適切な経営管理サイ
クルを構築・実施することにより、業務の質を継続的に改善する。また、外部か
らの助言及び提言に基づいて健全かつ効果的、効率的な事業運営を図るととも
に、事業運営の透明性を確保する。併せて、研究開発業務の在り方に関する海外
の有識者からの助言を得る体制を構築するため、有識者の専門分野、人数、招へ
い方法等の検討を進める。
原子力安全規制行政、
原子力防災等への技術的支援に係る業務については、機構内に設置した外部有識者から成る規制支援審議会の意見を尊重して、当該業
務の実効性、中立性及び透明性を確保する。
外部からの情報収集、
政策・規制の立案支援等のシンクタンク機能を強化する
ため、ステークホルダーからの多様なニーズをワンストップで受け止め事業に
反映する仕組みを確立するとともに、機構のホームページや SNS 等を活用し、
政策・規制の立案に資する情報を含む国内外の原子力に関する情報を、
タイムリ
ーに関係行政機関を含め広く提供する。
組織・業務運営に関する様々な自己改革への取組については、
経営管理サイク
ルにおいて継続的な検証を実施する。
以上の取組を実施していくに当たっては、理事長、副理事長及び理事は、現場
職員との直接対話等を実施することで経営方針を職員に周知するとともに、現
場の課題に対して適時、的確な把握と適切な対処を実施する。また、部門におい
ては、部門内のガバナンス及び連携強化による機動的な業務運営を実施すると
ともに、
部門長に相応の責任と権限を付与することにより、
理事長の経営方針の
徹底と合理的な統治を強化する。
(2)内部統制の強化
社会からの信頼を得た事業活動の適法性・健全性・透明性を担保し、正当な資
産保全を図るため、
経営の合理的な意思決定による適切な内部統制環境を整備・
運用する。このため、企業的視点を加えた、機構全体のミッション、ビジョン、
ストラテジー(MVS)を導入することで理事長の経営理念・業務における行動基
準を機構内に周知徹底し、理事長のマネジメント遂行を円滑化する。また、事業 44活動の遂行に際しては、
リスクマネジメント推進方針の下、
経営層の抽出したリ
スクと各組織が抽出したリスクを一体的に管理し対策を講じるリスクマネジメ
ント活動を理事長の下一元的に実施し、各階層での PDCA サイクルを基本としつ
つ、
リスクの顕在化を回避する。
理事長が定期的に実施する安全確保の取組や業
務の進捗状況のヒアリングとも連携したリスクマネジメント活動の評価を通じ
て、
活動の見直しを適宜行いながら実効性を向上させ、
リスク顕在化にも迅速か
つ適切に対応する体制を整備・運用する。さらに、研究開発業務、安全・保安管
理や核セキュリティの担保、財務会計管理、契約事務手続等、各々の所掌業務に
おける牽制機能を働かせつつ組織統制を図る。
加えて、
コンプライアンスの徹底
を図るため、
利益相反マネジメント制度を用いて、
機構の研究開発業務及び運営
について、透明性の確保に努めるとともに、全職員等に対して、e-ラーニングや
研修等を実施し、規範意識醸成の取組を継続する。
内部監査については、機構業務全体におけるリスクの顕在化をさせないため
の統制機能が有効に機能していることや、
個人情報保護の実施状況、
競争的資金
の執行状況等について、
内部監査等により随時及び定期のモニタリング・検証を
継続して行う。内部監査の結果については、監事及び理事長に対して、期中での
中間報告及び年度末での最終報告を行い、担当部署に必要な改善を行わせると
ともに、リスクマネジメント活動にも反映する。また、規程等に基づき他部署の
実施する監査とも連携して内部監査体制を強化し、リスクマネジメント委員会
事務局とも連携して機構全体の活動を一元的に内部監査する体制の構築を進め
る。
また、
監事監査の実効性確保に向けた体制の整備を進めるとともに、
内部監査
と監事監査が連携して各組織が行う業務に対する効果的なモニタリング及び適
切な評価を行い、理事長による業務の是正・改善に貢献する。
研究開発成果のねつ造、改ざん及び盗用並びに研究費の不正使用の防止に向
けた取組としては、
e-ラーニング及び研修において具体的な事例を取り入れ、各人の規範意識を維持・向上させるよう教育・啓蒙活動を実施するとともに、整備
している責任体制を適切に運用する。
研究不正発生時には、
経営層による指揮の
下、調査委員会による調査、是正措置等適切に対応する。このため、不正発生時
の対応が適切に行えるよう、事案発生を仮定した机上訓練等を実施する。 45(3)研究組織間の連携、研究開発評価等による研究開発成果の最大化
1)研究組織間の連携等による研究開発成果の最大化
組織の壁を越えて運営すべき分野横断的、組織横断的な取組が必要な機構内
外の研究開発ニーズや課題等に対して、研究開発成果の最大化及び資源の効率
的活用を行うため、
組織横断型プロジェクト制度による取組を、
プロジェクトマ
ネージャーの一元的な管理の下で実施する。
また、機構内におけるニーズとシーズを結びつける Who’s Who システムを運
用し、
研究開発活動に係る研究者・技術者への確実な情報共有手段等への活用を
検討する等、研究者・技術者の視点に立った分野横断的、組織横断的な連携強化
を図ることで、研究開発成果の最大化につなげる。
さらに、
若手の研究者・技術者への継承・能力向上等に資するため、
課題解決、
技術革新等につながる研究開発の推進に係る取組として、理事長の裁量による
機構内の競争的資金制度の活用を進める。
加えて、
研究開発成果の創出に資するため、
国立研究開発法人量子科学技術研
究開発機構を始めとする他の国立研究開発法人との密接な相互連携協力を推進
する。
2)評価による業務の効果的、効率的推進
研究開発に関する外部評価委員会を主要な事業ごとに設け、
「独立行政法人の
評価に関する指針」に基づき、各年度の評価を受けるとともに、事前、中間、見
込及び事後の各段階で、
国の施策との整合性、
社会的ニーズ、
研究マネジメント、
アウトカム等の視点から各事業の計画・進捗・成果等の妥当性を評価する。廃止
措置に関する業務については、
主に外部の専門家・有識者による外部評価を受け
る。
これらの評価結果を業務運営にフィードバックすることで PDCA サイクルを循
環させ、業務運営の改善に反映させるよう努めるとともに、予算・人材等の資源
配分に適切に反映させることにより研究成果の最大化を推進するほか、独立行
政法人通則法に基づく自己評価に適切に活用する。
自己評価及び主務省による評価結果についても、
同様に、
業務運営の改善に反
映させ、研究成果の最大化を図る。また、自己評価の評価業務のスケジュールを
適切に管理して効率的に自己評価書を作成する。 46適正かつ厳格な評価に資するために、機構の研究開発機関としての客観的な
業績データを整備するとともに、
評価結果は、
機構ホームページ等を通じて分か
りやすく公表する。
2.業務の改善・合理化・効率化
(1)経費の合理化・効率化
機構の行う業務について既存事業の徹底した見直し、
効率化を進め、
運営費交
付金を充当して行う事業は、新規に追加されるもの及び拡充されるもの並びに
法人運営を行う上で各種法令等の定めにより発生する義務的経費等の特殊要因
経費を除き、一般管理費(公租公課を除く。
)については、令和3年度(2021 年
度)に比べ、その3%以上を削減するほか、その他の事業費(各種法令の定め等
により発生する義務的経費、
外部資金で実施する事業費等を除く。)については、
令和3年度(2021 年度)に比べ、その1%以上を削減する。ただし、新規に追加
されるものや拡充されるものは翌年度から効率化を図るものとする。
機構職員の給与水準については、
国家公務員の給与水準等を考慮しつつ、
業務
の特殊性を踏まえた適正な水準を維持することとし、その適正性等について検
証を行った上で毎年結果を公表する。
経費の合理化・効率化に際しては、
具体的な方策を示したアクションプランを
作成し、
同プランに基づいて戦略的かつ計画的な推進を図る。
具体的な方策とし
ては、ロボティックプロセスオートメーションの導入、業務の IT 化、ノンコア
業務のアウトソーシング化等による業務の効率化を推進することにより経費削
減を図る。
また、
職員一人一人が業務遂行に際して常に経費削減を念頭におくよ
うな啓蒙活動を展開することにより機構全体でのコスト意識の向上を図り、経
費削減の推進力とする。事務管理部門においては、業務の廃止、合理化等による
スリム化を強力に推進して研究者・技術者の事務管理業務に係る負担を軽減し、
研究者・技術者が研究開発業務に専念できる環境の醸成を図る。
超深地層研究所計画に係る埋め戻し後の地下水のモニタリング等について、
令和2年度に契約した PFI 事業を継続して実施する。また、幌延深地層研究計
画に係る研究坑道の整備等について、PFI 事業の契約に向けた準備を進める。 47(2)契約の適正化
「独立行政法人における調達等合理化の取組の推進について」
(平成 27 年5
月 25 日総務大臣決定)にのっとり、事務・事業の特性を踏まえつつ、
「契約方法
等の改善に関する中間とりまとめ」
以降の自己評価
(第 56 回契約監視委員会(令和3年9月 22 日)にて了承)で示した対応方針に基づき、品質の確保、コスト
削減及び契約手続における公正性・透明性を確保することを目指し、
自律的かつ
継続的に契約の適正化に取り組む。
毎年度策定する調達等合理化計画に基づき、一般競争入札等を原則としつつ
も、研究開発業務の特殊性を考慮した随意契約を併せた合理的な方式による契
約手続を行う。また、契約手続に関する機構の内部統制機能を強化するため、予
算部門、研究開発部門、契約部門等が一体となり、予算編成との整合性確認、契
約ヒアリングによる契約手続の適正性・発注の妥当性・コスト最適化の確認等を
実施する「勘定奉行機能」と連携した取組も進める。また、契約審査の透明性・
公平性の観点から、これまでの外部委員2名と機構職員で構成する契約審査体
制及び審査方法の在り方について、外部委員を増員するなど第三者の視点によ
る審査機能の強化に向けた検討を行うほか、契約監視委員会との連携を強化す
る。
一般競争入札等の契約による場合においては、新規参入を増やす取組として、
専門性を有しない一般的な業務と専門性や特殊性のある業務を切り分ける発注
の検証、
競争性が阻害されることのない仕様書の作成、
公告期間の十分な確保、
入札不参加者を対象とした一者応札の改善に向けたアンケート調査等の取組を
工夫して継続する。また、複数者が応札している契約案件のうち、落札率が 100
パーセントなど、
落札率が高い契約案件については、
実質的な競争性が確保され
ているかの検証を行い、契約の更なる適正化を図る。
随意契約による場合は、特命クライテリアを確実に運用するため契約案件の
審査において、研究開発業務の特性を考慮した合理的な契約方式の選定を行う
ほか、
原子力の特殊性等から、
連続して一者応札が継続し新規参入が見込めない
と判断された契約については、契約審査時の厳正な審査を経て契約方式を競争
性のある契約(確認公募)に移行し、価格交渉を厳正に行い、より一層のコスト
削減を目指す。
上記の取組においては、
「契約方法等の改善に関する中間とりまとめ」
(平成 28
年7月5日契約監視委員会 契約方法等の改善に関する分科会)での提言及び 48「契約方法等の改善に関する中間とりまとめ」以降の自己評価の対応方針を踏
まえることとし、調達等合理化計画の実施状況を含む入札及び契約の適正な実
施については、
契約監視委員会の点検等を受け、
その結果を機構ホームページに
て公表する。
IV.財務内容の改善に関する目標を達成するためとるべき措置
共同研究・受託研究・施設利用等の各件数の増大や競争的研究資金への申請数
の増加に戦略的に取り組むことにより、共同研究収入、競争的研究資金、受託収
入、施設利用料収入等の自己収入の増加等に努めるとともに、機構の有する施
設・設備・分析機器の供用を促進し施設利用料収入の増加を図り、より健全な財
務内容の実現を図る。
「イノベーション創出戦略」
に基づく異分野・異種融合の活動を通じて機構技
術の利活用を促進し、
共同研究収入等の獲得につなげていく。
競争的研究資金の
獲得については、
公募情報を収集し戦略的な応募を促すとともに、
採択実績豊富
な研究者でチームを組織し研究計画立案や応募書類作成を支援する。関係行政
機関からの受託研究による事業推進にも取り組むほか、産業界からの受託研究
収入の獲得を目指す。
受託研究・共同研究の実施に際しては、
これらの研究に必要な機構の施設の運
転等に必要な経費についても契約相手先等から確保する。
さらに、オープンファシリティプラットフォームにより、機構の施設・設備・
分析機器の供用を促進し「共創の場」を提供していくことで、施設利用収入の増
加に努める。
また、運営費交付金の債務残高についても勘案しつつ予算を計画的に執行す
る。さらに、予算執行状況を定常的に管理するシステムの構築、試行的な運用を
活用し、効率的な予算の執行に資する。
1.予算、収支計画及び資金計画
(1)予算 49令和4年度予算
(単位:百万円)
安全性向上等
の革新的技術
開発による
カーボンニュー
トラルへの貢献原子力科学技
術に係る多様
な研究開発の
推進によるイ
ノベーションの
創出
我が国全体の
研究開発や人
材育成に貢献
するプラット
フォーム機能
の充実
東京電力福島
第一原子力発
電所事故の対
処に係る研究
開発の推進
高レベル放射
性廃棄物の処
理処分に関す
る技術開発の
着実な実施
安全を最優先
とした持続的
なバックエンド
対策の着実な
推進
原子力安全規
制行政及び原
子力防災に対
する支援とそ
のための安全
研究の推進
法人共通 計
収入
運営費交付金 2,171 17,269 1,152 6,578 880 5,590 2,529 2,613 38,782
施設整備費補助金 393 393
設備整備費補助金 242 242
特定先端大型研究施設整備費補助金 1,410 1,410
特定先端大型研究施設運営費等補助金 12,047 12,047
核セキュリティ強化等推進事業費補助金 907 907
核変換技術研究開発費補助金 61 61
廃炉研究等推進事業費補助金 1,320 1,320
放射性物質研究拠点施設等運営事業費補助金 2,910 2,910
受託等収入 0 21 16 126 0 3 2,426 2,592
その他の収入 9 323 20 37 4 81 15 55 545
前年度よりの繰越金(廃棄物処理事業経費繰越) 708 708
前年度からの繰越金(放射性物質研究拠点施設等整備事業経費繰越) 41,108 41,108
計 2,180 31,312 2,095 52,080 945 6,775 4,970 2,668 103,025
支出
一般管理費 2,668 2,668
事業費 2,180 17,592 1,172 28,080 884 5,892 2,544 58,344
うち、埋設処分業務勘定へ繰入 614 614
施設整備費補助金経費 393 393
設備整備費補助金経費 242 242
特定先端大型研究施設整備費補助金経費 1,410 1,410
特定先端大型研究施設運営費等補助金経費 12,047 12,047
核セキュリティ強化等推進事業費補助金経費 907 907
核変換技術研究開発費補助金経費 61 61
廃炉研究等推進事業費補助金経費 1,320 1,320
放射性物質研究拠点施設等運営事業費補助金経費 2,910 2,910
受託等経費 0 21 16 126 0 3 2,426 2,592
廃棄物処理事業経費繰越 487 487
放射性物質研究拠点施設等整備事業経費繰越 19,643 19,643
計 2,180 31,312 2,095 52,080 945 6,775 4,970 2,668 103,025
区別
一般勘定
(単位:百万円)
安全性向上等
の革新的技術
開発による
カーボンニュー
トラルへの貢献原子力科学技
術に係る多様
な研究開発の
推進によるイ
ノベーションの
創出
我が国全体の
研究開発や人
材育成に貢献
するプラット
フォーム機能
の充実
東京電力福島
第一原子力発
電所事故の対
処に係る研究
開発の推進
高レベル放射
性廃棄物の処
理処分に関す
る技術開発の
着実な実施
安全を最優先
とした持続的
なバックエンド
対策の着実な
推進
原子力安全規
制行政及び原
子力防災に対
する支援とそ
のための安全
研究の推進
法人共通 計
収入
運営費交付金 17,016 1,220 2,426 5,798 7,188 56,662 1,952 2,699 94,961
施設整備費補助金 7,291 6,203 13,494
受託等収入 462 34 3 8 148 6 55 717
その他の収入 17 2 1 14 12 2,029 0 19 2,096
前年度よりの繰越金(廃棄物処理処分負担金繰越) 66,660 66,660
前年度よりの繰越金(廃棄物処理事業経費繰越) 165 165
計 24,787 1,256 2,430 5,820 7,348 131,726 2,008 2,718 178,093
支出
一般管理費 2,718 2,718
事業費 17,034 1,222 2,427 5,812 7,200 63,163 1,953 98,811
うち、埋設処分業務勘定へ繰入 1,677 1,677
施設整備費補助金経費 7,291 6,203 13,494
受託等経費 462 34 3 8 148 6 55 717
廃棄物処理処分負担金繰越 62,167 62,167
廃棄物処理事業経費繰越 186 186
計 24,787 1,256 2,430 5,820 7,348 131,726 2,008 2,718 178,093
区別
電源利用勘定
(単位:百万円)
安全性向上等
の革新的技術
開発による
カーボンニュー
トラルへの貢献原子力科学技
術に係る多様
な研究開発の
推進によるイ
ノベーションの
創出
我が国全体の
研究開発や人
材育成に貢献
するプラット
フォーム機能
の充実
東京電力福島
第一原子力発
電所事故の対
処に係る研究
開発の推進
高レベル放射
性廃棄物の処
理処分に関す
る技術開発の
着実な実施
安全を最優先
とした持続的
なバックエンド
対策の着実な
推進
原子力安全規
制行政及び原
子力防災に対
する支援とそ
のための安全
研究の推進
法人共通 計
収入
他勘定からの受入れ 2,292 2,292
受託等収入 3 3
その他の収入 30 30
前年度よりの繰越金(埋設処分積立金) 36,477 36,477
計 38,802 38,802
支出
事業費 645 645
埋設処分積立繰越 38,157 38,157
計 38,802 38,802
埋設処分業務勘定
区別 50〔注1〕各欄積算と合計欄の数字は四捨五入の関係で一致しないことがある。
〔注2〕受託等経費には国からの受託経費を含む。
〔注3〕
1 「廃棄物処理処分負担金」の使途の種類は、電気事業者との再処理
役務契約
(昭和 52 年契約から平成 6 年契約)
に係る低レベル廃棄物
の処理、保管管理、輸送、処分に関する業務に限る。
2 令和4年度における使用計画は、以下のとおりとする。
使用予定額:全体業務総費用 9,560 百万円のうち、4,493 百万円
・廃棄物処理費:
使用予定額: 合計 451 百万円
・廃棄物保管管理費
使用予定額: 合計 1,472 百万円
・廃棄物処分費
使用予定額: 合計 2,570 百万円
3 廃棄物処理処分負担金は次期中長期目標期間に繰り越す。
〔注4〕
1 一般勘定及び電源利用勘定の「その他の収入」には、国立研究開発
法人日本原子力研究開発機構法(平成十六年法律第百五十五号。以
下「機構法」という。
)第十七条第一項に基づく受託研究、共同研究
等契約で発生した放射性廃棄物の処理、貯蔵及び処分のための費用
が含まれる。
2 当該費用のうち処理及び貯蔵のための費用の一部は、令和5年度以
降に使用するため、翌年度以降に繰り越す。
(2)収支計画
令和4年度収支計画
(単位:百万円)
安全性向上等
の革新的技術
開発による
カーボンニュー
トラルへの貢献原子力科学技
術に係る多様
な研究開発の
推進によるイ
ノベーションの
創出
我が国全体の
研究開発や人
材育成に貢献
するプラット
フォーム機能
の充実
東京電力福島
第一原子力発
電所事故の対
処に係る研究
開発の推進
高レベル放射
性廃棄物の処
理処分に関す
る技術開発の
着実な実施
安全を最優先
とした持続的
なバックエンド
対策の着実な
推進
原子力安全規
制行政及び原
子力防災に対
する支援とそ
のための安全
研究の推進
法人共通 計
2,020 32,340 2,234 11,734 1,061 5,650 5,011 2,505 62,555
経常費用 2,020 32,340 2,234 11,734 1,061 5,650 5,011 2,505 62,555
事業費 1,941 28,681 2,000 10,342 883 5,321 2,390 51,558
うち埋設処分業務勘定へ繰入 614 614
一般管理費 2,453 2,453
受託等経費 0 21 16 126 0 3 2,426 2,592
減価償却費 79 3,638 219 1,265 179 326 195 52 5,952
2,020 32,340 2,234 11,734 1,061 5,650 5,011 2,505 62,555
運営費交付金収益 1,878 14,938 997 5,690 761 4,835 2,187 2,260 33,547
補助金収益 12,289 907 4,230 61 17,488
受託等収入 0 21 16 126 0 3 2,426 2,592
その他の収入 9 323 20 37 4 302 15 55 766
資産見返負債戻入 79 3,638 219 1,265 179 326 195 52 5,952
引当金見返収益 54 1,131 75 385 56 184 187 138 2,211
収益の部
費用の部
区別
一般勘定 51〔注1〕各欄積算と合計欄の数字は四捨五入の関係で一致しないことがある。
〔注2〕
1 「廃棄物処理処分負担金」の使途の種類は、電気事業者との再処理
役務契約
(昭和 52 年契約から平成6年契約)
に係る低レベル廃棄物
の処理、保管管理、輸送、処分に関する業務に限る。
2 令和4年度における使用計画は、以下のとおりとする。
使用予定額:全体業務総費用 9,560 百万円のうち、4,493 百万円
・廃棄物処理費:
使用予定額: 合計 451 百万円
・廃棄物保管管理費
使用予定額: 合計 1,472 百万円
・廃棄物処分費
使用予定額: 合計 2,570 百万円
3 廃棄物処理処分負担金は次期中長期目標期間に繰り越す。
(単位:百万円)
安全性向上等
の革新的技術
開発による
カーボンニュー
トラルへの貢献原子力科学技
術に係る多様
な研究開発の
推進によるイ
ノベーションの
創出
我が国全体の
研究開発や人
材育成に貢献
するプラット
フォーム機能
の充実
東京電力福島
第一原子力発
電所事故の対
処に係る研究
開発の推進
高レベル放射
性廃棄物の処
理処分に関す
る技術開発の
着実な実施
安全を最優先
とした持続的
なバックエンド
対策の着実な
推進
原子力安全規
制行政及び原
子力防災に対
する支援とそ
のための安全
研究の推進
法人共通 計
17,042 1,205 2,181 5,777 7,622 55,119 1,810 2,606 93,363
経常費用 17,042 1,205 2,181 5,777 7,622 55,119 1,810 2,606 93,363
事業費 14,973 1,079 2,143 5,221 6,349 52,846 1,693 84,305
うち埋設処分業務勘定へ繰入 1,677 1,677
一般管理費 2,536 2,536
受託等経費 462 34 3 8 148 6 55 717
減価償却費 1,607 91 35 548 1,126 2,267 62 70 5,806
17,042 1,205 2,181 5,777 7,622 55,119 1,810 2,606 93,363
運営費交付金収益 14,124 1,012 2,013 4,812 5,966 47,029 1,620 2,240 78,817
受託等収入 462 34 3 8 148 6 55 717
廃棄物処理処分負担金収益 2,172 2,172
その他の収入 17 2 1 14 12 2,008 0 19 2,075
資産見返負債戻入 1,607 91 35 548 1,126 2,267 62 70 5,806
引当金見返収益 832 65 128 394 370 1,636 72 276 3,776
収益の部
費用の部
区別
電源利用勘定
(単位:百万円)
安全性向上等
の革新的技術
開発による
カーボンニュー
トラルへの貢献原子力科学技
術に係る多様
な研究開発の
推進によるイ
ノベーションの
創出
我が国全体の
研究開発や人
材育成に貢献
するプラット
フォーム機能
の充実
東京電力福島
第一原子力発
電所事故の対
処に係る研究
開発の推進
高レベル放射
性廃棄物の処
理処分に関す
る技術開発の
着実な実施
安全を最優先
とした持続的
なバックエンド
対策の着実な
推進
原子力安全規
制行政及び原
子力防災に対
する支援とそ
のための安全
研究の推進
法人共通 計
644 644
経常費用 644 644
事業費 644 644
減価償却費 1 1
2,325 2,325
他勘定より受入れ 2,286 2,286
研究施設等廃棄物処分収入 3 3
その他の収入 30 30
資産見返負債戻入 1 1
引当金見返収益 5 5
1,681 1,681
1,681 1,681
収益の部
総利益
純利益
費用の部
埋設処分業務勘定
区別 52〔注3〕
1 一般勘定及び電源利用勘定の「その他の収入」には、機構法第十七
条第一項に基づく受託研究、共同研究等契約で発生した放射性廃棄
物の処理、貯蔵及び処分のための費用が含まれる。
2 当該費用のうち処理及び貯蔵のための費用の一部は、令和5年度以
降に使用するため、翌年度以降に繰り越す。
(3)資金計画
令和4年度資金計画
(単位:百万円)
安全性向上等
の革新的技術
開発による
カーボンニュー
トラルへの貢献原子力科学技
術に係る多様
な研究開発の
推進によるイ
ノベーションの
創出
我が国全体の
研究開発や人
材育成に貢献
するプラット
フォーム機能
の充実
東京電力福島
第一原子力発
電所事故の対
処に係る研究
開発の推進
高レベル放射
性廃棄物の処
理処分に関す
る技術開発の
着実な実施
安全を最優先
とした持続的
なバックエンド
対策の着実な
推進
原子力安全規
制行政及び原
子力防災に対
する支援とそ
のための安全
研究の推進
法人共通 計
資金支出 2,180 31,312 2,095 52,080 945 6,775 4,970 2,668 103,025
業務活動による支出 1,962 29,119 2,043 10,612 904 5,393 4,885 2,580 57,497
うち埋設処分業務勘定へ繰入 614 614
投資活動による支出 219 2,193 52 21,825 41 895 85 88 25,397
次年度への繰越金 19,643 487 20,131
資金収入 2,180 31,312 2,095 52,080 945 6,775 4,970 2,668 103,025
業務活動による収入 2,180 29,902 2,095 10,972 945 5,674 4,970 2,668 59,407
運営費交付金による収入 2,171 17,269 1,152 6,578 880 5,590 2,529 2,613 38,782
補助金収入 12,289 907 4,230 61 17,488
受託等収入 0 21 16 126 0 3 2,426 2,592
その他の収入 9 323 20 37 4 81 15 55 545
投資活動による収入 1,410 393 1,802
施設整備費による収入 1,410 393 1,802
前年度よりの繰越金 41,108 708 41,816
区別
一般勘定
(単位:百万円)
安全性向上等
の革新的技術
開発による
カーボンニュー
トラルへの貢献原子力科学技
術に係る多様
な研究開発の
推進によるイ
ノベーションの
創出
我が国全体の
研究開発や人
材育成に貢献
するプラット
フォーム機能
の充実
東京電力福島
第一原子力発
電所事故の対
処に係る研究
開発の推進
高レベル放射
性廃棄物の処
理処分に関す
る技術開発の
着実な実施
安全を最優先
とした持続的
なバックエンド
対策の着実な
推進
原子力安全規
制行政及び原
子力防災に対
する支援とそ
のための安全
研究の推進
法人共通 計
資金支出 24,787 1,256 2,430 5,820 7,348 131,726 2,008 2,718 178,093
業務活動による支出 15,541 1,122 2,162 5,279 6,543 59,386 1,758 2,538 94,328
うち埋設処分業務勘定へ繰入 1,677 1,677
投資活動による支出 9,246 134 268 541 805 9,986 250 181 21,412
次年度への繰越金 62,353 62,353
資金収入 24,787 1,256 2,430 5,820 7,348 131,726 2,008 2,718 178,093
業務活動による収入 17,496 1,256 2,430 5,820 7,348 58,697 2,008 2,718 97,774
運営費交付金による収入 17,016 1,220 2,426 5,798 7,188 56,662 1,952 2,699 94,961
受託等収入 462 34 3 8 148 6 55 717
その他の収入 17 2 1 14 12 2,029 0 19 2,096
投資活動による収入 7,291 6,203 13,494
施設整備費による収入 7,291 6,203 13,494
前年度よりの繰越金 66,825 66,825
区別
電源利用勘定
(単位:百万円)
安全性向上等
の革新的技術
開発による
カーボンニュー
トラルへの貢献原子力科学技
術に係る多様
な研究開発の
推進によるイ
ノベーションの
創出
我が国全体の
研究開発や人
材育成に貢献
するプラット
フォーム機能
の充実
東京電力福島
第一原子力発
電所事故の対
処に係る研究
開発の推進
高レベル放射
性廃棄物の処
理処分に関す
る技術開発の
着実な実施
安全を最優先
とした持続的
なバックエンド
対策の着実な
推進
原子力安全規
制行政及び原
子力防災に対
する支援とそ
のための安全
研究の推進
法人共通 計
資金支出 38,802 38,802
業務活動による支出 645 645
次年度への繰越金 38,157 38,157
資金収入 38,802 38,802
業務活動による収入 2,326 2,326
他勘定より受入れ 2,292 2,292
研究施設等廃棄物処分収入 3 3
その他の収入 30 30
前年度よりの繰越金 36,477 36,477
埋設処分業務勘定
区別 53〔注1〕各欄積算と合計欄の数字は四捨五入の関係で一致しないことがある。
〔注2〕
1 「廃棄物処理処分負担金」の使途の種類は、電気事業者との再処理
役務契約
(昭和 52 年契約から平成6年契約)
に係る低レベル廃棄物
の処理、保管管理、輸送、処分に関する業務に限る。
2 令和4年度における使用計画は、以下のとおりとする。
使用予定額:全体業務総費用 9,560 百万円のうち、4,493 百万円
・廃棄物処理費:
使用予定額: 合計 451 百万円
・廃棄物保管管理費
使用予定額: 合計 1,472 百万円
・廃棄物処分費
使用予定額: 合計 2,570 百万円
3 廃棄物処理処分負担金は次期中長期目標期間に繰り越す。
〔注3〕
1 一般勘定及び電源利用勘定の「その他の収入」には、機構法第十七
条第一項に基づく受託研究、共同研究等契約で発生した放射性廃棄
物の処理、貯蔵及び処分のための費用が含まれる。
2 当該費用のうち処理及び貯蔵のための費用の一部は、令和5年度以
降に使用するため、翌年度以降に繰り越す。
2.自己収入増加の促進
「JAEA 技術サロン」や JST「新技術説明会」等の異分野・異種融合活動を通じ
た機構技術の利活用促進による知財利用収入及び共同研究、
国・民間からの受託
研究による収入の獲得を計画的に進める。
競争的研究資金は、
機構内で公募情報
を共有して積極的・戦略的な応募を促進し、
目標を定めて外部資金の獲得につな
げる。
競争的研究資金の応募に当たっては、
採択実績豊富な研究者の協力を得て
応募書類作成を支援する。
さらに、オープンファシリティプラットフォームを通じて施設・設備・分析機
器の供用・利用を促進し、施設利用料収入の増加に努める。
これらの自己収入増加に向けては、各部門等の代表者からなる会合を定期的
に開催することにより連携をさらに密にし、機構横断的に取り組む。
また、外部の有識者の意見を反映した資金運用計画に基づき保有資金の運用 54を適切に行う。
3.短期借入金の限度額
短期借入金の限度額は、293 億円とする。短期借入金が想定される事態として
は、運営費交付金の受入れに遅延等が生じた場合である。
4.不要財産又は不要財産となることが見込まれる財産がある場合には、当該財
産の処分に関する計画
不要財産の譲渡収入による国庫納付について主務大臣の認可を受け、政府出
資等に係る不要財産の譲渡に相当するものとして定められたもののうち、譲渡
に至っていない物件について、引き続き譲渡に向けた手続を進める。
保有財産の保全については、デジタル技術も活用して保有財産の保全を適切
に行う。また、保有する資産の適正かつ効率的な運用を図るため、不要財産に係
る調査を実施し、
不動産の処分及び利活用については、
不動産利活用検討会議を
開催し機構内で統一的に検討を図る。
なお、将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がなくなったと認められ
た資産については、
独立行政法人通則法にのっとり、
当該資産の処分に向けた手
続を進める。
5.前号に規定する財産以外の重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとする
ときは、その計画
該当なし
6.剰余金の使途
機構の決算において剰余金が発生したときは、
・以下の業務への充当
1 原子力施設の安全確保対策
2 原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理に必要な費用
・研究開発業務の推進の中で追加的に必要となる設備等の調達の使途に充てる。
7.中長期目標の期間を超える債務負担
中長期目標期間を超える債務負担については、
研究開発を行う施設・設備の整 55備等が中長期目標期間を超える場合で、当該債務負担行為の必要性及び資金計
画への影響を勘案し合理的と判断されるものについて行う。
8.積立金の使途
前中長期目標の期間の最終事業年度における積立金残高のうち、主務大臣の
承認を受けた金額については、機構法に定める業務の財源に充てる。
V.その他業務運営に関する重要事項
1.施設・設備に関する事項
施設マネジメント推進会議において、施設中長期計画の進捗確認を定期的に
行うとともに、安全研究ニーズ、改修・維持管理コスト等を総合的に考慮し、業
務効率化の観点から、
維持施設と廃止措置対象施設の見直し等を行い、
次年度の
施設中長期計画に反映させる。
また、
廃棄体化に必要な廃棄物処理に係る施設の
検討、
設計等として、
アルファ系統合焼却炉の建家の実施設計及び内装設備の詳
細設計等を進める。
業務の遂行に必要な施設・設備については新規制基準対応・耐震化対応、高経
年化対策を計画的かつ着実に実施する。なお、
「もんじゅ」サイトに設置するこ
ととされている試験研究炉に関しては、国から提示された出力条件等に基づき、
外部資金にて設計に係る検討等を進め、
基本的な仕様や、
より詳細な設計を行う
上で必要となる事項について明らかにする。
また、
核燃料サイクル工学研究所に
おいて、第3ウラン貯蔵庫の整備を進める。
2.人事に関する事項
安全を最優先とした業務運営を基本とし、研究開発成果の最大化と効率的な
業務遂行を図るため、
「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」
(平成二十年法律第六十三号)
第二十四条に基づき策定した
「人材活用等に関す
る方針」
に基づく人事に関する計画を策定し、
特に以下の諸点に留意しつつ戦略
的に人材マネジメントに取り組む。
1 イノベーションの創出に資するため、研究開発の進展や年齢構成に加え、女
性管理職登用も含めたダイバーシティー推進を踏まえた上で、
国内外の卓越 56した能力を有する研究者・技術者を確保する取組を推進する。
2 クロスアポイントメント制度等の活用による、大学・研究機関等との人材交
流を通じた人材基盤の強化を図るとともに、
業務の効率的かつ効果的な見直
しや進展を踏まえた適正な人材配置の実施を図る。
3 役職員の能力と業績を適切に評価し、
その結果を処遇に反映させることによ
り、モチベーション及び資質の向上と責任の明確化を図るとともに、職員一
人一人の多様かつ生産性の高い働き方を推進するため、
男女共同参画の推進
やワークライフバランスの充実に継続的に取り組む。
4 原子力科学技術を駆使し、
研究開発能力を最大限に発揮できる人材を育成す
るため、個々人のキャリアパスを考慮しつつ、組織横断的で弾力的な人材配
置を行うとともに、
原子力施設の保安や放射線管理等を担う専門人材を組織
横断的に育成や配置を図る。
5 個人別育成計画に基づく適時適切な知識・技能習得やマネジメント能力向上
を図るために、
職員の教育研修制度の充実とともにシニアクラスを効果的に
配置・活用した世代間の技術伝承に継続的に取り組む。
6 国際的に活躍できる人材を育成するため、若手職員を海外の大学・研究機関
及び国際機関へ派遣する。
3.業務・研究環境のデジタル化及び情報セキュリティ対策の推進
(1)業務・研究環境のデジタル化
業務・研究環境のデジタル化については、運営管理部門、DX 推進部門とシス
テム計算科学センターが三位一体となった DX 推進体制を構築し、
DX を推進する
ための戦略や人材確保・育成方針を検討する。また、外部クラウドを安全かつ効
率的に利用するための基盤環境を整備し、一般情報を格納した情報システムの
クラウド化や、
多様な働き方・緊急時の業務遂行を支援するテレワーク環境とし
て、クラウドストレージやコミュニケーションツールの利用を開始する。
「日本原子力研究開発機構研究データの取扱いに関する基本方針」に基づき、
各部門等が定めた研究データ管理計画を運用し、学術論文等に付随する研究デ
ータ等を管理・公開して機構内外の研究開発や産業利用への利活用を促進する。
国立情報学研究所が提供する GakuNin RDM を導入し、研究データ管理に取り組
む。 57また、
原子力科学技術に関する学術情報を収集・整理し所蔵資料目録データベ
ースとして発信し、これらを提供して国内外の研究開発活動を支援するととも
に、マイクロフィッシュ等劣化が進む原子力研究黎明期の所蔵資料のデジタル
化の作業に着手する。
(2)情報セキュリティ対策の推進
ゼロトラストセキュリティに基づく認証基盤の整備を進めるとともに、エン
ドポイントの強化(検知・監視・分析)を推進する。
4.広聴広報機能及び双方向コミュニケーション活動の強化
機構広報戦略(令和3年6月)に基づき、令和4年度の広報における重点事項
を策定し、
機構全体として一体的かつ一貫性を持った広報・アウトリーチ活動を
展開して、国内外における機構の信頼度向上やイメージアップを図る。また、事
故・トラブル時においても、正確な情報を迅速かつタイムリーに提供・公表し、
機構の活動の透明性を確保することにより原子力に携わる組織としての説明責
任を果たす。情報の発信に当たっては、受け手側の広報ニーズに留意し、他機関
とも連携し、機構の研究開発の取組や国民の関心の高い原子力に関する情報に
ついて国内外に積極的に発信し、社会からの原子力利用への理解向上を目指す。
また、立地地域を始めとする国民との双方向のコミュニケーションによる相互
理解への取組を図る。
これらの活動に際しては、
人文社会科学的な知見も活かし
た「総合知」の活用に留意し、より効果的な広報活動に資するため、外部の専門
家による委員会の定期的な開催等により、
第三者からの助言を反映して、
取り組
んでいくものとする。
(1)受け手のニーズを意識した広聴・広報及び双方的・対話的なコミュニケー
ション活動の推進による理解増進
受け手である国民のニーズを意識した上で、リスクコミュニケーションの観
点を考慮した双方向の対話を積極的に取り入れつつ、研究開発成果の社会還元
や、社会との信頼構築を目指した広聴・広報及び対話活動を展開する。
また、
研究開発機関としてのポテンシャルを活かし、
研究施設等の一般公開や
見学会、報告会の開催や外部展示への出展等の理解促進活動を立地地域に限ら
ず、効率的かつ効果的に実施する。特に、サイエンスカフェや理数科教育支援活 58動である出張授業や実験教室等、研究者等の顔が見えるアウトリーチ活動を広
報誌や広報動画等の広報素材も活用しながら積極的に行う。
これらは、
新型コロ
ナウイルスの国内外の感染状況に留意しつつオンラインも活用する等柔軟に対
応していく。
さらに、
教育委員会や外部有識者等外部機関と連携し、
原子力が有するリスク
とその技術的、
社会的な課題を整理し、
機構ホームページ等で発信することによ
り、次世代の若者の原子力への理解を深めることに努める。
これらの取組に当たり、
広報媒体効果測定、
アンケート及びレビュー等を通じ
て受け手の反応を把握し、
その結果を今後の広聴・広報及び対話活動に反映して
いくとともに、
多様なステークホルダー及び国民目線を念頭に、
職員の情報発信
能力の向上を図る。
(2)適時的確な報道機関への対応、正確かつ分かりやすい情報発信と透明性の
確保
報道機関への情報発信に当たっては、科学的知見やデータ等に基づいた正確
かつ客観的な情報を分かりやすく発信し、報道機関を通じて国民がその情報を
正しく理解できるよう努める。
このため、
報道機関のニーズに応える勉強会等の
開催や研究成果の情報提供等積極的なアプローチを行う。
一方で、
職員等に対し
ては、報道発表の資料作成に係る手法や知識の習得を目的とした講座を開催し、
正確かつ分かりやすい情報発信に資するための技術力の向上を図る。
事故・トラブル時においては、正確な情報を迅速かつタイムリーに提供・公表
し、事業の透明性を確保する。このため、平時より情報共有体制を確立するとと
もに、職員等の発表技術力を研修等により向上させる。
また、
機構の保有する情報については、
法令に基づき透明性及び統一性をもっ
た適切な開示を行うとともに、機構の情報公開制度の運用に関して外部有識者
による確認を受ける。
(3)デジタル技術の積極的活用の取組とそれによる効果的な成果の普及促進
国民が容易にアクセスし、
内容を理解し活用することができるよう、
機構ホー
ムページや SNS を通じて機構事業の進捗や施設の状況、研究開発の成果、安全
確保への取組、
事故・トラブルの対策等に関して分かりやすく情報を発信する。
特に SNS は速報性や拡張性に優れているため、将来の研究者、技術者の担い 59手となる若手層を含めた国民全体へのアピールに効果的であるほか、海外に研
究開発成果を発信する際も低コストで効果的であることから積極的に活用する。
機構ホームページについては、利用者のアンケート結果や教育委員会等外部の
意見も踏まえ、
更なる改善を図る。
これらのデジタル技術の活用により情報への
アクセス性を向上させるほか、
オンラインを活用した報告会、
施設公開の開催、
報道機関への情報発信等を積極的に実施し、より一層の理解増進及び成果の普
及促進を図る。
(4)日本全体の原子力に係る取組に関する情報発信
機構の成果等に限定することなく、
社会的に関心の高い話題について、
客観的
な立場からタイムリーに機構ホームページや SNS 等を積極的に活用し、情報発
信に努める。また、海外に向けて、国際協力の推進等も視野に入れ、SNS を利用
した英文による情報発信や英語版の機構ホームページでの情報発信を行う。

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /