独立行政法人日本原子力研究開発機構 2/2


項目別-69
【(中項目)I.5.】 5. 原子力の研究、開発及び利用の安全の確保と核不拡散に関する政策に貢献するための活動
【(小項目)I.5.(3)】 (3) 核不拡散政策に関する支援活動 【評定】A【法人の達成すべき目標(計画)の概要】
・関係行政機関の要請を受け、自らの技術的知見に基づき、政策的な研究を行い、その成果を発信することにより、我が国の核不拡
散政策の立案を支援する。
・関係行政機関の要請を受け、核物質管理技術開発、計量管理等の保障措置技術開発を行い、国際原子力機関(IAEA)等を支援す
る。
・包括的核実験禁止条約(CTBT)の検証技術の開発等を行う。
・関係行政機関の要請を受け、放射性核種に関する CTBT 国際監視観測所、公認実験施設及び国内データセンターの整備、運用を
継続する。
H22 H23 H25 H26A A実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.140〜148
【インプット指標】
(中期目標期間) H22 H23 H24 H25 H26
決算額(百万円) セ グ メ ン ト
「 エ ネ ル ギ
ー利用に係
る高度化と
共通的科学
技術基盤及
び安全の確
保と核不拡
散 」 の 決 算
額 17,438
の内数
21,648 の内数17,338 の内数従事人員数(人) 46 49 43
評価基準 実績 分析・評価
しろまる我が国の核物質管理技術向上及び核不
拡散政策支援のため、年度計画に基づ
き、核不拡散にかかわる政策的研究、技
術開発、CTBT・非核化支援を実施すると
ともに、理解促進や国際的な核不拡散体
(核不拡散政策研究)
・過去の米国の政策が日本の核燃料サイクル計画に与えてきた影響の分
析を基に、現行協定改定時と現在における米国の核不拡散政策、政府
及び産業界における日米の原子力協力関係等について比較分析を実施
した。また、その分析結果を踏まえ、現行協定が期限を迎える 2018 年時
・年度計画は達成したと評価できる。この分野の技術開発の
リーダーたる立場をキープすることを期待する。政策研究
の一つ 2018 年日米協定改定に向けての検討結果は、可
能な範囲で産業界がアクセスできるようにすることを期待す
る。
項目別-70
制の強化に貢献するなど、中期計画達成
に向けて当該年度に実施すべきことを
行ったか。(中期目標、中期計画及び年
度計画)
点での協定の取扱いについて検討を行い、取り得る 3 つのオプション(自
動延長、一定期間の延長及び改定)における課題を整理し、その対応策
等の考え方について検討した。
・原子力供給国及び受領国間の新たな二国間原子力協力協定に共通的
に盛り込まれるべき原子力資機材の管轄外移転や濃縮、再処理に対す
る規制等の要素について検討を行い、受領国における原子力利用の進
展度及び核不拡散の国際枠組みへの参画度に応じて、協定の関連規定
で要求すべきレベルを定めていくことが実効的な核不拡散確保につなが
ることを明らかにした。
・核不拡散に関する最新の動向を踏まえ、機構の核不拡散に関するデー
タベースを更新するとともに、核不拡散政策研究委員会を開催し(平成 24
年 7 月、11 月、平成 25 年 1 月)、同委員会の場を通じて資料提供を行う
など関係行政機関との情報共有に努めた。
(技術開発)
・核拡散抵抗性評価手法の技術開発として、核物質管理科学技術推進部
と次世代原子力システム研究開発部門が連携し、日米核セキュリティ作
業部会(NSWG)の下で、核拡散抵抗性評価の指標の一つである物質魅
力度(核兵器への転用のしやすさ)を核セキュリティの観点から、様々な
形態の核物質について評価するとともに、その結果を踏まえ、潜在的な
脅威の低減化策を抽出・分類した。核拡散抵抗性・保障措置適用性につ
いて、革新的原子炉及び燃料サイクルに関する国際プロジェクト
(INPRO)や第 4 世代原子力システム国際フォーラム(GIF)の場での活動
(全体会合:10 月、電話会議:毎月)に継続して参加し、コンセンサスの醸
成に向けて検討を継続した。核不拡散技術開発として透明性向上技術開
発に関する共同研究を米国サンディア国立研究所(SNL)と実施し、平成
24 年 12 月には、情報共有枠組み構築に係る透明性ワークショップを、
SNL、韓国核不拡散核物質管理院(KINAC)等と韓国で共催した。
・機構-米国エネルギー省(DOE)の核不拡散協力取決めに基づく年次技術
調整会合(PCG 会合)を平成 25 年 2 月に開催し、保障措置・計量管理等
の高度化に向けた共同研究のレビュー(26 件)、新規プロジェクトの承認(7
件)、終了(10 件)、新たな協力テーマの検討(4 件)を行うことにより、核不
拡散・核セキュリティ分野での DOE との協力を拡充した。その他、欧州原
子力共同体(EURATOM)と研究協力の拡大に向けた協議を実施した。
・核物質等の不法取引や核テロ行為の際に、押収又は採取されることが
想定される核物質の起源等を特定するための核鑑識技術開発に係る米
・燃料デブリ中の核物質測定技術については、実用化に至
ることを期待する。
項目別-71
国ロスアラモス国立研究所(LANL)等との研究協力を継続した。また、同
位体比測定、ウラン年代測定及び不純物分析等の核鑑識技術開発を進
めるとともに、核鑑識国内ライブラリの開発に着手した。また、粒子分析
技術開発のための透過型電子顕微鏡を整備した。
・核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアティブ(GICNT)実
施・評価グループ(IAG)会合、IAEA の核鑑識に係る技術会合等、国際会
議に出席し、機構の取組を紹介するとともに、最新の情報を収集し、機構
の技術開発に反映した。
・核物質防護については、警備員配置の最適化評価に係る DOE/SNL との
研究協力において、評価に使用したシミュレーションファイルの機構施設
への適用の見通しが得られたことから、当該評価プログラムの操作トレー
ニングを米国側と実施した。
・核物質の測定及び検知に関する技術開発を以下のとおり実施した。
1使用済燃料中 Pu-NDA(非破壊分析)実証試験(DOE との共同研究)
では、モックアップ NDA 装置とダミー燃料を使用した測定のリハーサル
を行い、実際の測定が支障なくできることを確認した。また、LANL での
Pu-NDA 装置の製作に立ち合い、取合い確認・測定試験計画案の詳細
検討を実施した。
2レーザー・コンプトン散乱 NDA 技術開発では、高エネルギー加速器研
究機構(KEK)のコンパクト ERL(エネルギー回収型リニアック)装置をベ
ースに、基礎実証試験装置の整備を進めるとともに、レーザー蓄積装
置に入射させる高出力レーザーの開発を進めた。また、東京電力福島
第一原子力発電所事故で発生した溶融核燃料中の核物質のNDA の候
補技術としての基礎実証のため、積分透過吸収法による模擬実証実験
を米国デューク大学にて実施した。
3He-3 代替中性子検出器開発に関しては、試作した改良型セラミックシ
ンチレータで平成 23 年度を上回る性能を確認した。また、その結果を反
映させた実証 NDA 装置用セラミックシンチレータ検出器の製作及び実
証 NDA 装置の製作を進めた。さらに、この NDA 装置を用いて再処理技
術開発センターで実施する、実 MOX 粉末容器の測定実証試験作業計
画を作成した。それらの成果及び計画をもとに、IAEA に対し日本政府
の IAEA 支援プログラムのテーマとして提案を行い、IAEA からはその方
向で準備したいとの反応を得た。
4溶融燃料中核物質測定技術の開発では、粒子状溶融燃料中の核物
質測定 NDA 技術の開発を平成 24 年度より開始した。これは、パルス中
項目別-72
性子源を利用し、TOF(Time of Flight;飛行時間測定)法により計数した
透過中性子エネルギー分布から核物質の各同位体量を定量する技術
であり、そのデモ装置の設計・検討作業を進めた。また本技術開発に関
し、欧州委員会/共同研究センター(EC/JRC)標準物質測定研究所
(IRMM)との間で、当該測定法の精度評価等を行う共同研究を開始し
た。
(包括的核実験禁止条約(CTBT)・非核化支援)
・包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)からの受託事業「CTBT 放射性核
種観測所運用」及び「東海公認実験施設の認証後運用」により、CTBT 国
際監視制度施設(茨城県東海村、沖縄県恩納村及び群馬県高崎市)を暫
定運用し、国際データセンターを通じて世界にデータ発信するとともに、
CTBTO に運用実績を報告し承認を得た。公益財団法人日本国際問題研
究所からの受託事業「CTBT 国内運用体制の確立・運用(放射性核種デ
ータの評価)」として、データベースへのデータ蓄積、統合運用試験の実
施(3 回)等、国内データセンター(NDC)の暫定運用を実施し、CTBT 国内
運用体制に参画及び貢献した。
・核実験監視プログラムに関しては、データベースの改良により観測所デ
ータ量の増加に対応するとともに、CTBT 国際検証システムの一つである
国際監視ネットワーク(粒子 62 か所、希ガス 18 か所)から送付される、放
射性核種データの解析・評価を実施した。統合運用試験で明らかとなっ
た粒子スペクトルデータ解析処理の問題点を改良するとともに、高度化
の一環として放出源推定解析手法の新しい大気輸送モデルの適用可能
性について評価を実施した。また、CTBTO が主催する公認実験施設の
分析能力を評価する国際比較試験に参加した。なお、2011 年の同試験
の評価結果として、最高ランク(A)の評価を得た。さらに、平成25 年2 月の
北朝鮮による3回目の核実験では、国際的に最も注目を集めた高崎放射
性核種観測所等の観測データを世界に向けて発信した。また、東アジア
を中心とする CTBT 放射性核種監視施設から収集したデータを独自の技
術により解析・評価し、数週間にわたり、CTBT 国内運用体制の事務局で
ある公益財団法人日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センターへの
報告を適時に行うとともに、CTBT 国際検証体制や監視技術等に関する
外部からの取材に積極的に応じた。
・機構/公益財団法人日本分析センター(JCAC)/DOE/CTBTO による希ガ
ス共同観測プロジェクトとして、機構青森研究開発センターむつ事務所大
湊施設内に設置した可搬型希ガス観測装置により、平成 24 年 4 月から
項目別-73
10 月の半年間共同観測を実施し、むつ地域固有の希ガスバックグラウン
ド挙動を明らかにした。さらに、CTBTO と共催で「国際希ガス実験(INGE)
ワークショップ」を平成 24 年 11 月に水戸市で開催し、核実験の国際的な
監視体制に果たす希ガスの検知の役割に関する国際的議論の促進に貢
献した。
・ロシア解体核兵器からの余剰兵器級プルトニウム処分への協力につい
ては、将来、協力が可能になる事態に備えて米露両国の解体プルトニウ
ム処分に関する政策動向を調査した。
(理解増進・国際貢献)
・最新の核不拡散に係る事項について分析し解説したメールマガジン「核
不拡散ニュース」を機構内外の関係者約500 名に宛てて18 回発信するな
ど、インターネットを利用した情報発信を継続した。また、平成 24 年度か
ら海外向けの「JAEA Nuclear Non-proliferation Policy Letter」の配信を開
始し、本分野のシンクタンクとしての機構の活動の国際的アピールに努
めた。
・平成24 年12 月に公益財団法人日本国際問題研究所及び東京大学の共
催により開催した「原子力と核不拡散、核セキュリティに係る国際フォーラ
ム」において、核燃料サイクルのバックエンドにおける核不拡散及び核セ
キュリティ上のリスクやリスクを低減する方策の一つとしてのアジアにお
ける多国間枠組みの可能性を議論し、バックエンドにおける核不拡散及
び核セキュリティ確保の重要性について国内外の理解増進に努めた。ま
た、発表資料及び議論をまとめた報告書についてはウェブサイト等を通じ
て公開し国内外の関係者との情報共有を図った。
・米国ワシントン DC において、DOE、NTI(核脅威イニシアティブ)と連携し
て、核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)の活動状況の報
告、国際協力の進め方等に関する公開のセミナーを開催した(米国政府
関係者、議会関係者、原子力事業者、シンクタンク、マスコミ等 65 名が参
加)。
・国民に対する機構の核不拡散、核セキュリティ活動の広報に資するた
め、プレス発表(3 回)、取材対応(6 回)を行うとともに、ホームページ(日
本語、英語)を通じた情報発信を行い、また、PR 用のビデオ(日本語、英
語)を制作した。
・我が国の原子力平和利用における知見・経験を活かし、アジア諸国を中
心とした原子力新興国等における核不拡散・核セキュリティ強化及び人
材育成に貢献することを目的とし、IAEA、米国等と協力・連携しつつ以下
項目別-74
の事業等を実施した。
・トレーニング、教育による人材育成等を通じたキャパシティ・ビルディン
グ機能の強化のため、国内外に対し、核セキュリティ、保障措置・国内
計量管理制度及び核不拡散に係る国際枠組みの 3 つのコースを提供
する事業を実施し、人的ネットワークの構築に寄与した。
・国際協力・連携においては、DOE/NNSA(国家核安全保障局)、SNL
及び LANL と、核セキュリティ分野における人材育成、技術開発等の
協力・連携を積極的に推進した。
・大学等と連携した中長期的な核セキュリティ教育への貢献では、東京
大学大学院工学系研究科原子力専攻との協力で大学連携型核安全
セキュリティコースを 2 回開催した。また、特別講義等で東京工業大
学、国際基督教大学(ICU)等に協力した。
また、これら事業実施のため、引き続き、核物質防護実習フィールド及び
バーチャル・リアリティ施設の整備を行った。
・IAEA の CRP 会合(平成 24 年 4 月)に参画し、3 年間進めてきた当該プロ
ジェクトの最終報告書の確認作業を行った。
項目別-75
【(小項目)I.6.】 6.自らの原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理処分に係る技術開発 【評定】A【法人の達成すべき目標(計画)の概要】
・保有する原子力施設の廃止及び放射性廃棄物の処理処分を、安全かつ効率的に行うために必要とされる技術開発を行い、廃止措
置及び放射性廃棄物処理処分について将来負担するコストの低減を技術的に可能とする。
H22 H23 H25 H26A A実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.149〜154
【インプット指標】
(中期目標期間) H22 H23 H24 H25 H26
決算額(百万円) セ グ メ ン ト
「 自 ら の 原
子力施設の
廃止措置及
び放射性廃
棄物の処理
処分に関わ
る 技 術 開
発 」 の 決 算
額 15,535
15,627 15,628
従事人員数(人) 357 350 334
評価基準 実績 分析・評価
しろまる安全かつ効率的な廃止措置・処理処分の
ため、年度計画に基づき、廃止措置技術
開発、放射性廃棄物処理処分・確認等技
術開発を実施するなど、中期計画達成に
向けて当該年度に実施すべきことを行
ったか。(中期目標、中期計画及び年度
計画)
(廃止措置技術開発)
・廃止措置エンジニアリングシステムについては、「ふげん」の実績データ
を分析し、タービン系機器等の撤去に係る評価モデルの作成を進めると
ともに、作成した評価モデルを用いて、「ふげん」の A 系復水器等の解体
作業の解体手順を検討し、解体作業の階層構造を作成し、解体作業に
係る人工数の事前評価を行い、その結果を「ふげん」に報告し A 系復水
器等の解体計画の立案に役立てた。また、評価モデル作成の基礎データ
として人形峠環境技術センター製錬転換施設等の解体実績データを収
集・分析した。
・クリアランスレベル検認評価システムについては、JRR-3 コンクリートのク
リアランス測定にシステムの適用を継続するとともに、「ふげん」、DCA の
・着実な成果が上がっており、年度計画は達成したと評価で
きる。今後予想される通常運転後の軽水炉の廃炉に係るコ
スト低減に資する研究成果を期待する。
・自らの原子力施設の廃止措置のみならず、福島第一原子
力発電所の廃止措置の加速に資する技術開発にさらなる
期待をしたい。この成果が目に見えることにより、国民への
理解促進に直結すると思われる。
・クリアランス化措置についてJRR-3、ふげん、人形峠と実績
を積んでいることは評価できる。今後も着実な進展を期待
する。放射線障害防止法のクリアランス化措置についても
JT-60 解体を対象として、具体的に進めていくことを期待す
項目別-76
解体物(金属)の事前の評価等にシステムを適用した。また、「ふげん」の
クリアランス測定への本格運用に備えシステムの改良を進めた。
・「ふげん」における原子炉本体解体技術開発については、原子炉本体解
体に係るモックアップ試験のために、モックアップ試験用装置及び試験建
屋の検討を行うとともに、モックアップ試験までに実施すべき事項につい
て検討を行っている。また、原子炉本体の切断工法については、平成 23
年度に部材の厚みなどを考慮し、アブレイシブウォータージェット切断、プ
ラズマアーク切断及びレーザー切断の 3 工法を選定しており、工期短縮
及び二次廃棄物発生量の低減の観点から技術開発要素があるレーザー
切断工法について、狭隘で稠密な「ふげん」の炉内に適用できる小型ヘッ
ドの試作及び切断試験を行った。この結果、レーザー切断工法の優位性
が確認できたことから、レーザー切断工法を基幹工法として確定すること
とした。
・プルトニウム燃料第二開発室のロボットアームを用いたグローブボックス
遠隔解体技術開発については、平成 23 年度まで実施してきた油圧式ロ
ボットアームに比べ位置決め精度が高い電気式ロボットによる試験を実
施している。また、二次廃棄物発生量低減化の技術開発としてダイレクト
インドラムシステムについては、解体用グリーンハウスとの取合いに係る
コールド試験を実施し、平成 25 年 1 月からホット試験を開始した。
(放射性廃棄物処理処分・確認等技術開発)
・廃棄物管理システム開発については、大洗研究開発センターへ拡張した
システムについて、平成25 年度以降の実運用に向けて拡張したシステム
の確認、及び今後の改修の必要性の判断を行う目的で、実際の廃棄物
データの入力による試験運用を行うとともに、人形峠環境技術センター向
けにシステムの拡張を開始した。
・高線量廃棄物を対象とした放射能評価技術開発については、キャピラリ
ー電気泳動法及びレーザー共鳴電離質量分析法を用いた分析法開発を
継続して実施した。まず、キャピラリー電気泳動法については、Pu 及び
Cm の電気泳動データを取得し、それぞれの分析に適用可能な分離用試
薬を選定するとともに、埼玉大学との共同研究において開発したキャピラ
リー電気泳動法による分離濃縮技術を応用した分離用試薬の精製法に
ついて特許出願を行った。レーザー共鳴電離質量分離法については、固
体試料を直接、質量分析装置に導入するため平成 23 年度に整備を行っ
た試料導入部を設置し、長半減期核種分析のため、共鳴波長とイオン化
量に関するデータ取得を継続した。
る。
・放射性廃棄物関連で3つのセグメントがあるが、整理統合
できる部分は効率化を促すべき。費用対効果と必要性につ
いて、より厳しいレビューは必要。優先度を踏まえて、研究
テーマと組織の改編をスピーディーに行っていくことを期待
する。
項目別-77
・機構で発生した廃棄物の放射能評価方法の構築については、JPDR 施
設の解体に伴って発生し、原子力科学研究所内に保管・管理されている
放射性廃棄物(JPDR 保管廃棄物)に対して、これまでに収集・整理され
た放射能データ(7 核種、262 データ)の解析を行い、統計的手法を用いる
放射能評価方法(スケーリングファクタ法、平均放射能濃度法)の適用性
を検討し、評価対象核種である 16 核種中 4 核種については、適用できる
評価方法の見通しを得た。
・JPDR 保管廃棄物の分析を進め、新たに放射能データ(6 核種、35 データ)
を収集・整理するとともに、これらの核種に対する放射能評価方法の検討
に着手した。アスファルト固化体については、放射能データ(3 核種、36 デ
ータ)の収集を継続した。
・廃棄体化処理技術の開発については、焼却灰のセメント固化試験とし
て、混練物の流動性を上げるための減水剤の適用性試験、及び固化体
の膨張を抑制するための膨張抑制剤の適用性試験を実施し、ポリカルボ
ン酸系の減水剤が焼却灰の流動性向上に効果があること、混練水に亜
硝酸リチウムを添加することによって固化体の膨張を抑制できることなど
を確認した。また、放射線分解による固化体からの水素ガスの発生量を
評価するため、γ線照射線量率等をパラメータとした照射試験を実施し
た。また、脱硝技術開発については、再処理低レベル廃液中の硝酸塩濃
度を低減する設備の設計等に資するため、高性能触媒の開発や脱硝条
件の検討を進めてきた。平成24 年度は、脱硝技術開発を終了するととも
に、これまでの成果を取りまとめ、脱硝実施部署への技術移転を完了し
た。
・TWTF 不燃物処理設備概念設計に向けて、梱包廃棄物の開梱作業の合
理化等を図る目的で高周波誘導加熱方式の試験装置を用いて、梱包材
の異なる種々の模擬廃棄物のか焼試験を行い、処理条件とか焼性との
関係に関するデータを取得するとともに技術評価を実施した。
・澱物等の処理プロセスの設定検討として、基本プロセス(塩酸溶解→過
酸化ウラン沈澱→ろ液の微量ウラン回収→処理残渣セメント固化)の基
礎情報に関する試験を実施した。固化特性の確認試験では、特定の成
分を含んだ廃棄物のセメント固化において、固化体が膨張・分離する可
能性があり、特定成分を含む廃棄物のセメント固化は避ける必要がある
ことが確認できた。また、有害物であるフッ素を含む澱物等のフッ素溶出
量によっては、廃棄体として処分できなくなる可能性がある。そのため、
模擬中和澱物(フッ化カルシウム)を使用した溶出試験を実施した結果、
項目別-78
しろまる自らの原子力施設の廃止措置や放射性
廃棄物の処理処分に係る技術開発につ
いては、今後の原子力発電に伴う社会コ
ストの削減につながると期待されるこ
とから、コスト削減効果についても明ら
かにしながら研究を進めたか。(H23年
度独法評価結果関連)
フッ素の溶出を抑制できる可能性があることが確認できた。その他、回収
したウランの不純物量、微量ウラン回収樹脂の吸着挙動及び熱分解挙
動を把握し、プロセスの成立性及びマテリアルバランスの検討に必要な
追加データを取得した。
・余裕深度処分の被ばく線量評価については、"第二種廃棄物埋設の事
業に関する安全審査の基本的考え方(平成 22 年、原子力安全委員会決
定)"に示された安全評価シナリオのうち、基本地下水シナリオにおける
支配核種に対し、整備した評価ツールを用いて、機構廃棄物由来の硝酸
塩によるバリア性能劣化を考慮した感度解析を実施した。この解析結果
から、硝酸塩によってベントナイト層等のバリアが影響を受けたときに、被
ばく線量の変動に有意に作用するパラメータを特定するとともに、変動の
度合いを確認した。
・TRU 廃棄物の地層処分研究開発については、TRU 廃棄物地層処分の評
価基盤技術の拡充、適用性確認に向け、資源エネルギー庁の競争的な
外部資金(平成 24 年度地層処分技術調査等事業(TRU 廃棄物処分技
術:セメント材料影響評価技術高度化開発)及び平成 24 年度地層処分技
術調査等事業(TRU 廃棄物処分技術:硝酸塩処理・処分技術高度化開
発))を獲得し、セメント系材料の変質やセメント由来のアルカリ性溶液と
岩石・鉱物との反応に係る個別評価モデル・データベースの検討を実施
するとともに、硝酸塩影響を含めた核種移行解析システムを構築して、硝
酸塩が核種移行挙動に及ぼす影響を評価した。
・施設の廃止措置及び廃棄物の処理処分に係るコストのうち、それぞれ大
きなウェイトを占める事項は、廃止措置:解体費(設備費、人工数)、二次
廃棄物発生量、廃棄物処理処分:処理費用と処分廃棄体量のバランス、
放射能濃度確認と認識している。これら事項に該当する個別技術、マネ
ジメント手法について、効率的なものを提案することが、原子力施設の廃
止措置や放射性廃棄物の処理処分の合理化、コスト削減につながるもの
であるとの認識の下、上記の研究開発課題を抽出し、優先的かつ集中的
に実施しているところである。
これまでに、澱物の処理プロセスの検討により、従来計画していた固化
方法から廃棄体量を約 60%削減できることを確認するなど、コスト削減に
係る指標の評価も、開発の進捗に併せて実施している。
・机上での検討による成果ではあるが、計画どおりに概ね進
んでいる。今後は、実際の個々の施設について総合的に見
た処分コストの推計が必要になる。
項目別-79
しろまる研究プロジェクトについて、優先度を踏
まえた上で整理統合を行い重点化し、よ
り一層の効率的・効果的な実施に努めた
か。(事務・事業見直し)
・平成 23 年度に、廃棄物対策の現状などを踏まえ取組むべき課題とその
対策について策定した「原子力施設の廃止措置、放射性廃棄物の処理
処分に関する中長期計画」に基づく、各拠点における進捗についてフォロ
ー及び調整を行っている。また外部情勢等によらず、バックエンド対策を
着実に推進可能とするため、現状課題の整理及び要因分析を行うととも
に、取り組むべき課題の優先順位、役割分担等を明確化し、具体的なア
クションプランの検討を開始した。
・具体的なアクションプランの検討を開始したとあるが、より
加速されるべき。
【(小項目)I.7.】 7.放射性廃棄物の埋設処分 【評定】A【法人の達成すべき目標(計画)の概要】
・「独立行政法人日本原子力研究開発機構法」(平成 16 年法律第 155 号)第 17 条第 1 項第 5 号に規定する業務を、同法第 19 条
に規定する「埋設処分業務の実施に関する計画」に基づき、機構以外の発生者を含めた関係者の協力を得て実施する。
H22 H23 H25 H26A A実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.155〜158
【インプット指標】
(中期目標期間) H22 H23 H24 H25 H26
決算額(百万円) セ グ メ ン ト
「 放 射 性 廃
棄物の埋設
処 分 」 の 決
算額 588
316 319
従事人員数(人) 15 13 14
評価基準 実績 分析・評価
しろまる埋設事業を実施するため、「埋設処分業
務の実施に関する計画」に従って、年度
計画に基づき、関係者の協力を得つつ、
立地基準・立地手順の策定、輸送・処理
に関する計画調整、理解増進に向けた活
動を実施するなど、中期計画達成に向け
て当該年度に実施すべきことを行った
か。
(中期目標、中期計画及び年度計画)
(立地規準及び立地手順の作成)
・埋設施設設置に関する技術専門委員会を平成 24 年度においては計 3 回
開催し、平成 24 年 7 月の第 4 回会合までに、年度当初に審議・検討の前
提としていた迅速かつ合理的な立地選定を重視した立地基準及び立地
手順に係る技術的事項についての審議・検討がほぼ終了した。
(地域との共生策に係る検討)
・機構の研究開発機関としての特徴を活かした共生策を検討するために、
地域企業との産学連携といった視点での事例調査を行った。調査の対象
は、全国の地域イノベーションの事例と機構の技術を活用した地域連携
・所定の実施項目を着実に実施し、中期計画達成に向けて、
当該年度計画どおりに履行したと認められる。
・今後は、処分地点の選定と処分費用を明確にし、それらを
実施していくロードマップの作成が必要になる。
項目別-80
事例それぞれ 3 件とした。地域共生策の実現に向け、機構の担うべき役
割、地域の持続的活性化に向けた仕組み等について検討するための題
材を収集するため、技術を提供する側・受ける側の課題と成功要件を調
査し取りまとめた。
(受託契約に係る規程類の整備)
・受託契約の制度整備に向けて、機構の類似事例を参考に、受託規程、
契約規程、料金通達等から成る埋設処分受託規程類の体系について検
討を重ね、これらに記載すべき事項・内容について整理し、案として取り
まとめた。
(輸送・処理に関する関係機関との協力)
・研究施設等廃棄物連絡協議会の下に公益法人日本アイソトープ協会、
公益財団法人原子力バックエンド推進センター及び機構それぞれの実務
担当者から成る廃棄体検討ワーキンググループを新たに設置した。これ
により、研究施設等廃棄物の埋設処分及び処理、輸送に係る課題の検
討等を、三者の実務担当者により継続して行うための体制ができた。
平成 24 年度は廃棄体検討ワーキンググループ(準備会:7 月 24 日、第
1 回:8 月 21 日、第 2 回:12 月 21 日開催)において、各者から放射能イン
ベントリについて現在整理されている情報の提供を受けるとともに、環境
影響物質について情報の収集方法と対応について検討を開始した。
(埋設事業に係る技術的検討)
・機構が埋設を計画している廃棄体については、核原料物質、核燃料物質
及び原子炉の規制に関する法律、放射性同位元素等による放射線障害
の防止に関する法律及び医療法等の多重規制を受け、その一部には廃
棄物の処理及び清掃に関する法律等で規定される環境影響物質を含む
廃棄体を対象としている。これら法令又は事業許可の異なる施設から発
生する廃棄体を同一の埋設施設(コンクリートピット及びトレンチ)に埋設す
る場合の許認可申請における重要核種の評価について、概念設計の結
果に基づき法令等の異なる施設ごとのケーススタディを実施し合理的と
考えられる評価方法の検討を進めた。一部の環境影響物質(硝酸塩及び
ホウ素)について、河川水等での濃度が環境基準を満足するよう浅地中
埋設処分施設全体及び廃棄体 1 本当たりの許容含有量を評価・計算し、
その成果の一部を成果報告書に取りまとめた。また、埋設施設の基本設
計に備え、国内の先行施設や海外の類似施設の技術的知見等の調査・
収集を行い、その成果を概念設計の結果に反映させ、ピット、トレンチ及
び受入検査施設の各設備の簡素化等の合理化を図る検討に着手した。
項目別-81
【(中項目)I.8.】 8. 産学官との連携の強化と社会からの要請に対応するための活動
【(小項目)I.8.(1)】 (1) 研究開発成果の普及とその活用の促進 【評定】A【法人の達成すべき目標(計画)の概要】
・機構の研究開発成果の国内外における普及を促進するため、知的財産の取扱いに留意しつつ、発信する機構の研究開発成果の
質の向上を図りつつ、量を増大する。さらに、機構の研究開発成果の産業界における利用機会を拡充するため、産業界のニーズを
踏まえ、研究開発成果の知的財産化を促進するなどの取組を行う。
H22 H23 H25 H26A A実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.159〜164
【インプット指標】
(中期目標期間) H22 H23 H24 H25 H26
決算額(百万円) セ グ メ ン ト
「 国 内 外 と
の連携強化
と 社 会 か ら
の要請に対
応 す る 活
動 」 の 決 算
額 9,895 の
内数
10,408 の内数15,881 の内数従事人員数(人) 12 11 11
評価基準 実績 分析・評価
しろまる機構の研究開発成果の国内外における
普及の促進及び産業界における利用機
会の拡充のため、年度計画に基づき、研
究開発成果の情報等を積極的に発信す
るとともに、知的財産管理に係る実務に
ついての教育・研修を実施するなど、中
期計画達成に向けて当該年度に実施す
べきことを行ったか。(中期目標、中期
計画及び年度計画)
・平成 24 年度に取りまとめ、公開した研究開発成果は、学術雑誌への査
読付き論文 1,276 編、研究開発報告書類 201 件であった。成果発信を促
進するため、部門別・拠点別の研究開発成果発表状況を月 2 回の頻度で
取りまとめ、機構内に周知した。最新の研究開発成果を分かりやすく解説
した成果普及情報誌「未来を拓く原子力」を編集・刊行(英文版は
CD-ROM 版として刊行)した。平成 24 年度版は、東京電力福島第一原子
力発電所事故の対処に係る機構の研究開発成果を特集として取り上げ
(全体の 1/4)、国内外の関連機関等に配布するとともに、その全文をウェ
ブサイトより発信した。職員等が作成・発表した研究開発報告書類、外部
発表論文等の情報(標題、要旨、論文全文へのハイパーリンク等)を研究
開発成果データベースへ追加登録するとともに、ウェブサイトを通じて国内
外に発信した。
・学術誌に発表した論文数、引用数等について、トムソン・ロイター社の学
・中期計画達成に向けて、当該年度計画どおりに履行したと
認められる。
・幅広く活動していることは評価に値する。一方、知財で特許
等収入が14百万円はあまりにも少ない額であり、今後は
収入を増やす一層の努力が求められる。また、特許の申請
と維持について費用対効果を考えた整理が必要になる。海
外との共同研究や技術指導などで収入を増加する工夫も
求められる。
・知財収入はこの3年間減少しており、原子力基礎工学研究
や先端原子力科学研究等からの研究成果を生かすことが
できるよう、研究開発の出口戦略の再考が必要ではない
か。
・研究開発成果を見せる、透明性を高めるという観点の広報
項目別-82
術文献データベース Web of Science を使った分析について調査・検討を行
った。
・専門家による分析・評価を行い、その結果を踏まえた機構ウェブサイトに
ついてメインサイトのリニューアル作業を進め、従来から取り組んでいるツ
イッター、メールマガジン及び i モードページに加え、携帯端末(スマートフ
ォンなど)やタブレット端末にも対応させるなど、より幅広い層に対する情報
発信をするための改善を図った。また、研究開発成果を分かりやすく解説
する動画コンテンツを制作するための実施体制や手順を整備するととも
に、研究開発成果の中から動画コンテンツを制作し、掲載情報の充実を図
るなどの利用者の視点に立った改善を図った (平成 25 年度に機構ホーム
ページにて順次公開)。加えて、国内のみならず、世界的に関心の高い福
島における環境回復のための取組を分かりやすくまとめた「Topics 福島」
をホームページで公開し、国内外に対する情報発信の充実を図った。直接
対話による研究開発成果の普及に向けて、原子力分野以外も含めた理工
系の大学院生等を対象に第一線の研究者・技術者を「大学公開特別講
座」に講師として 19 回派遣し、延べ 640 名が受講した。また、「第 7 回原子
力機構報告会」(東京)を始めとして、「第 8 回東海フォーラム」、「第 7 回高
崎量子応用研究シンポジウム」、「第 13 回光量子科学研究シンポジウ
ム」、「幌延フォーラム2012」などの各種成果報告会について、合計90回で
延べ約 8,000 名が参加するなど、研究開発成果の積極的な普及に取り組
んだ。特に「第 7 回原子力機構報告会」では、東京電力福島第一原子力発
電所事故を踏まえ、環境回復に向けた取組と研究開発機関としての知見・
技術を活かし、今後に貢献が期待される研究開発の見通しについて報告
した。
・東濃地科学センター(東濃)及び幌延深地層研究センター(幌延)におい
ては、深地層での体験を通じて地層処分に関する国民との相互理解を促
進するため、深地層の研究施設の定期施設見学会(東濃 12 回、幌延 6
回)を開催するとともに、建設工事に支障のない範囲で可能な限り自治
体、地層処分関連の各機関、電力会社等の主要なステークホルダーの見
学希望を受け入れ、地層処分の仕組みや研究開発の状況を説明するとと
もに、地層処分に関する質問などに相手に応じて対応した。また、幌延の
「ゆめ地創館」には 6,892 人が訪れ、平成 19 年 6 月のオープン以来の累計
入場者数が 6 万 3 千人に達した。平成 24 年度から、事業の透明性確保に
主眼を置いた施設としての運営を図っている。深地層の科学的研究の体
験学習として、サマー・サイエンスキャンプ 2012 を開催し、施設見学や実
習を通して、深地層の科学的研究を紹介した。また、大学及びスーパーサ
イエンスハイスクール等の校外教育の受入れや地域の教育機関への講師
の派遣及び実習生等の受入れを行い、科学教育の支援や当該分野の研
究者育成に協力した。地層処分の安全確保の仕組みや地層処分技術の
信頼性向上に向けた研究開発の現状を国民に広く知ってもらうため、ウェ
戦略が乏しく、場当たり的な印象をうける。今後、どのように
研究開発過程と成果を「見せる」のか、検討が必要と考え
る。
項目別-83
ブサイトを活用して、報告書、データベース等の研究成果を公開するととも
に、地層処分に関する国内外の情報を提供した。東濃及び幌延では、深
地層の研究施設での研究成果、工事状況及び環境測定結果をウェブサイ
ト上で逐次公開し、事業の透明性の確保に努めた。深地層の研究施設計
画に対する地域の方々の信頼確保及び安心感醸成に向けた取組として、
関連自治体、地域の方々等を対象とした事業説明会の開催(及び研究所
の現状、研究成果等を説明した広報資料の配布を行った。これらの活動
の継続により、研究施設に対する地域の理解が深まり、研究開発業務が
円滑に推進できている。また、新たに、岐阜県先端科学技術体験センター
(サイエンスワールド)との共催で、小学生を対象とした地下水の水質分
析、岩石観察等を実施した。理解促進活動の実効性評価及び国民との相
互理解の手段として、見学者にアンケートを実施しており、アンケートの集
計結果や寄せられた意見に基づき、見学時の説明方法・資料の改善等を
行っている。その結果、東濃では、約 80%の方々から分かりやすいとの評
価を得ている。平成 24 年度においては、見学者の関心の高かった研究坑
道における湧水量、トンネル工事等の主な湧水事例との比較に関する説
明を追加した。施設見学による地層処分に関する理解度について、東濃
のアンケート結果では、地層処分を知らなかった方の場合、地下施設の見
学後に 74%の方が地層処分は必要と感じ、51%の方から地層処分につい
て安心したとの回答を得た。また、既に地層処分を知っていた方の場合
も、必要との回答が見学前の65%から76%へ向上し、安心したとの回答も
見学前の 35%から 53%へ向上した。幌延の施設見学後のアンケート結果
でも、高レベル放射性廃棄物の地層処分及び深地層の研究施設で実施し
ている調査・研究について、各々81%、87%と多くの方々から理解を示す
回答を得た。平成 24 年度は、地層処分研究開発等に対する国民からのニ
ーズ等を把握し、拠点における理解促進活動等をより一層効果的に実施
するため、地層処分研究開発部門、東濃及び幌延が連携し、見学者に対
するアンケート項目の見直しを行い、地層処分の安全性について不安に
感じること及び地層処分の研究を行う上での課題をより具体的に理解して
もらうための質問を追加した。また、東濃及び幌延に共通の質問を設ける
ことにより、幅広く意見を集約することができ、かつ、それぞれの研究施設
における見学者のデータの比較が容易にできるものとした。深地層の研究
施設等の見学及びアンケートによる見学者の感想や要望の把握は、地層
処分に対する疑問や不安を具体化し、国民の不安を払拭するための科学
的な解決策を見いだす上で極めて有効であることから、これらの活動は、
地層処分の安全性等に係る国民との相互理解の促進を図る上で重要な
役割を果たしているといえる。
・知的財産の管理に係る実務について、研究開発部門及び研究開発拠点
の担当者及び研究者・技術者等に対して教育及び研修をすることにより、
知財創出・活用意識啓発を図った。特許出願に当たっては、特許相談会を
項目別-84
東海地区で毎月開催するとともに、他地区の発明者とは TV 会議等を通じ
て随時、特許相談を受け付ける体制を整えた。発明者と面談を行い、特許
電子図書館(IPDL)等を利用した公知例調査結果を発明者に提供し、特許
防衛(不正使用等)及びコストベネフィットを一層意識して、特許性に加えて
産業界の実施可能性やその費用対効果を勘案しつつ、発明者と出願に値
するかなどの協議をして更に質の高い特許となるようにした。外国出願の
可否、審査請求の可否及び知的財産保有の必要性(権利の維持・放棄)に
ついても実施の可能性やその市場規模、また、長期プロジェクトに係る特
許では基本特許に準じた発明等を勘案し、年 2 回の「知的財産審査会」で
案件毎に優先順位を付けて審査し、効率的な管理を行った。なお、論文数
と特許出願数のバランスの観点から、平成 24 年度査読付き論文 1,276 編
の特許性(新規性、進歩性、産業利用可能性の 3 要件を満たし、かつ、
物、方法、物を生産する方法のいずれかに該当する発明)を調査した。約
30%(371 編)が特許出願の可能性が有るものの、残りは実験やシミュレー
ション等から得られた知見等を述べた基礎的研究成果で権利化に馴染ま
ないものと判断した。知的財産の創出・活用を促進するための取組として、
各拠点等の特許創出や技術移転などに関する情報交換を行うため、「成
果利用促進会議」を人形峠環境技術センター、核燃料サイクル工学研究
所の再処理技術開発センター、原子炉廃止措置研究開発センター、青森
研究開発センター、福島技術本部等との間で行った。また、広くて強い特
許群を形成してその利活用に資するため、各拠点等が保有する特許のポ
ートフォリオ分析を行い、当該技術分野での独占状態や、競合出願人の状
況等を把握するとともに関係部署とその情報を共有するようにした。その
中で、再処理技術開発センターの保有特許 40 件を分析した結果、ガラス
固化処理技術で比較的強い特許ポートフォリオを構築していることを確認
し、「ガラス液面検出」に係る特許を原子力関連企業に新たに実施許諾す
ることにより活用促進を図った。さらに、特許不正使用等に関して機構内
発明者からの積極的な情報提供を呼びかけた。実施許諾に至っていない
知的財産についても実施許諾等につながるよう、機構ホームページ「特
許・実用新案検索システム」に出願公開後の国内発明等を約 1,000 件(共
有発明等を含む)掲載するとともに、(独)科学技術振興機構ホームページ
「J-STORE」及び(独)工業所有権情報・研修館ホームページ「開放特許情
報データベース」に出願公開後の国内発明等をそれぞれ約 600 件掲載し
ている。知的財産の活用については、新たな実施許諾等契約件数として
年間 10 件以上を目標としており、平成 24 年度は新たに 22 件を締結し、実
施料収入は14 百万円であった。(平成22 年度新規10 件、収入21 百万円、
平成 23 年度 11 件、収入 19 百万円)。このうち 7 件が福島対応への活用
が期待され、特に、空間線量率測定とマッピングを同時に行える特許「ガン
マプロッターH」を日本放射線エンジニアリング(株)に実施許諾して製品化
した。
項目別-85
【(小項目)I.8.(3)】 (3)施設・設備の供用の促進 【評定】B【法人の達成すべき目標(計画)の概要】
・機構が保有する施設・設備を幅広い分野の多数の外部利用者に適正な対価を得て利用に供し、外部利用者の利便性の向上、
様々な分野の外部利用者が新しい利活用の方法を拓きやすい環境の確立に努める。
H22 H23 H25 H26A B実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.167〜169
【インプット指標】
(中期目標期間) H22 H23 H24 H25 H26
決算額(百万円) セ グ メ ン ト
「 国 内 外 と
の連携強化
と 社 会 か ら
の要請に対
応 す る 活
動 」 の 決 算
額 9,895 の
内数
10,408 の内数15,881 の内数従事人員数(人) 92 96 104
評価基準 実績 分析・評価
しろまる供用施設・設備産業界の有効利用のた
め、年度計画に基づき、利用者支援体制
充実し供用の促進を図るなど、中期計画
達成に向けて当該年度に実施すべきこ
とを行ったか。(中期目標、中期計画及
び年度計画)
・機構の保有する供用施設について、震災の影響等により供用ができなか
った JRR-3、JRR-4、JMTR 及び常陽の各原子炉施設を除き、料金表に基
づく対価を得て、大学、公的研究機関及び民間企業による利用に供した。
震災後停止中の JRR-3 は、平成 24 年 11 月、施設の健全性評価結果を
原子力規制委員会に報告し、その確認を待って運転再開を目指したが、
平成 24 年度中の運転再開の見通しが得られなかった。一方、上記の 4 つ
の原子炉施設以外の施設は、年間を通じておおむね順調に稼働し、予定
されていた利用課題の 90%以上が実施されて、利用者のニーズに応える
ことができた。平成 24 年度分の利用課題は 529 件(目標 670 件程度)であ
った。
・利用課題の定期公募は、平成 24 年 5 月及び 11 月の 2 回実施した。成果
公開の利用課題の審査に当たっては、透明性及び公平性を確保するた
め、産業界等外部の専門家を含む施設利用協議会専門部会を開催し、課
題の採否及び利用時間の配分等を審議した。
・機構の責任ではないところが大きいが、新規制導入の影響
で、本年度も原子炉の起動がかなわず、結果として、研究
者・照射利用の産業界に影響を与えた。研究者や産業界
からの利用ニーズに対応すべく、速やかに運転再開もしく
は、代替措置を講ずることが求められる。
・外部要因はあるが、年度目標を達成していないと判断され
る。
・供用利用における基本的な要件は、徹底的な施設・設備の
安全確保であり、体制に不安が残る。
項目別-86
・供用施設の利用者に対しては、安全教育や装置の運転等の役務提供、
実験データ解析等の技術指導を行って円滑な利用を支援するとともに、新
たに JRR-3 供用実験装置の利用手続をオンラインで行えるシステムを構
築して課題募集に使用するなど、施設の状況に応じた利便性向上のため
の取組を進めた。また、海外からの利用者向けに、供用施設の概要、利用
手続等の英文情報を新たにホームページに掲載し利便性の向上を図っ
た。
・産業界等の利用拡大を図るため、研究開発部門・研究開発拠点の研究
者・技術者等の協力を得て、機構内外のシンポジウム、学会、展示会、各
種イベント等の機会に、供用施設の特徴、利用分野及び利用成果を分か
りやすく説明するアウトリーチ活動を実施した。また、供用施設を利用して
得られた研究開発成果についてのプレス発表は計 10 件行われ、利用成
果の普及と施設の有用性のアピールにつながった。民間企業による供用
施設の利用件数は合計 188 件であった。新規の供用施設の検討に資する
ため、平成23年度までに行った利用者アンケートに加えて、主要施設の供
用の可能性・課題を把握するための機構内調査を進めた。
・JMTR について、東日本大震災で被災した施設の補修を完了するととも
に、東北地方太平洋沖地震により観測された地震動の一部が設計時に想
定した最大加速度を上回ったことから、規制当局(文部科学省)の指示によ
り、設備の詳細点検及び地震影響評価を実施した。その結果を規制当局
(文部科学省原子力規制室)に提出し、再稼働の準備を進めたが、規制当
局(原子力規制庁)による地震影響評価の確認が完了せず、平成 24 年度
に再稼働することはできなかった。照射利用申込みについては、随時受け
付けるとともに、JMTR 運営・利用委員会を開催し、平成 25 年度以降の照
射利用計画を策定した。また、JMTR 運営・利用委員会の下に「照射利用
ニーズ調査分科会」を設け、東京電力福島第一原子力発電所事故を踏ま
えた照射利用ニーズ拡大の検討を実施した。さらに、文部科学省の最先
端研究基盤事業の補助対象事業に選定された軽水炉実機水環境模擬照
射装置等の最先端照射設備整備を継続した。平成 24 年度の施設定期自
主検査を実施し、JMTR の維持管理を行った。JMTR における民間事業者
の利用ニーズに対応した照射利用拡大の一環として、核医学診断用モリ
ブデン(Mo)-99 の国産化技術開発に必要な三酸化モリブデン(MoO3)ペレッ
トの高密度製造技術の開発に成功し、Mo-99 の安定供給実現にめどを付
けた。
項目別-87
【(小項目)I.8.(4)】 (4) 特定先端大型研究施設の共用の促進 【評定】A【法人の達成すべき目標(計画)の概要】
・「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律」(平成 6 年法律第 78 号)第 5 条第 2 項に規定する業務(登録施設利用促進
機関が行う利用促進業務を除く。)を行うことにより、研究等の基盤の強化を図るとともに、研究等に係る機関及び研究者等の相互の
間の交流による研究者等の多様な知識の融合等を図り、科学技術の振興に寄与する。
H22 H23 H25 H26A A実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.170〜171
【インプット指標】
(中期目標期間) H22 H23 H24 H25 H26
決算額(百万円) セ グ メ ン ト
「 量 子 ビ ー
ムによる科
学技術競争
力向上と産
業利用に貢
献する研究
開 発 」 の 決
算額 9,541
の内数
18,583 の内数15,600 の内数従事人員数(人) 10 11 10
評価基準 実績 分析・評価
しろまる研究等の基盤の強化を図るとともに、研
究等に係る機関及び研究者等の相互の
間の交流による研究者等の多様な知識
の融合を図り、科学技術の振興に寄与す
るため、年度計画に基づき、J-PARC 中
性子線施設に関して特定先端大型研究
施設の共用の促進に向けた業務を実施
するなど、中期計画達成に向けて当該年
度に実施すべきことを行ったか。(中期
目標、中期計画及び年度計画)
・「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律」(平成 6 年法律第
78 号。以下「共用促進法」という。)で定められた中性子線共用施設の共用
を、年間を通して実施した。平成 24 年度の利用運転は、J-PARC 運用開
始後の最長である 8 サイクルを実施した。共用を促進し、J-PARC の国際
的な研究拠点に向けた研究環境の強化を図るため、国内外の中性子線
利用者のための研究環境整備として、実験準備室等を備えた「J-PARC 総
合研究基盤施設」の整備に着手し、設計を開始するための仕様のとりまと
めを行った。
・登録施設利用促進機関が、公正な課題選定及び利用者への効率的支
援を実施できるようにするための協力を以下のとおり実施した。
(1)登録施設利用促進機関による公正な課題選定が円滑に実施されるよ
う、高エネルギー加速器研究機構(KEK)と協力して情報提供等の支援
を実施し、連携協力を推進する「実務者連携会議」を実施して具体的な
・供用の促進が図られ、利用申請件数が過去最大になった
ことは評価できる。
・J-PARC の被ばく事故そのものは平成 25 年度に発生した
ものだが、平成 24 年度においても問題は潜在的に存在し
ていたと考えられ、中性子線共用施設の安全確保と一元的
な管理運営に問題があったと言わざるを得ず、十分な業務
管理体制になっていたか検証を求める。
・J-PARC における安全性の管理については、施設を利用す
る研究者への安全教育も徹底する必要がある。
項目別-88
連携協力課題や施策を協議した。そして、その内容の承認及び決定を
四半期ごとに開催される、「連携協力会議」(登録施設利用促進機関責
任者と J-PARC センター長が出席する会議体)により行った。
(2)課題選定に関する支援として、J-PARC センターが実施する物質・生命
科学実験施設利用委員会と、登録機関が実施する共用促進法に関わ
る課題の選定委員会を同時期に開催し、平成 24 年度後期分及び平成
25 年度前期分の課題審査に協力した。
・平成 23 年度に完成した、物質構造解析装置、階層構造解析装置、ダイ
ナミクス解析装置、ナノ構造解析装置に、移管された四次元空間中性子探
査装置を加えた 5 本のビームラインを中性子線共用施設として、管理運用
を行い、年間 8 サイクルの安定な中性子線の提供を行った。
・機構以外の者により設置される中性子線専用施設(茨城県材料構造解
析装置及び茨城県生命物質構造解析装置の 2 本のビームライン)を利用
した研究等を行う者に対する必要な中性子線については、年間 8 サイクル
の安定な中性子線の提供を行った。また、安全管理等に関する技術指導
等では、利用者の安全教育・安全指導、利用者が持ち込む実験試料の安
全性確認の実施等、登録機関と協力して一元的に実施し、利用者の安全
を確保した。
項目別-89
【(中項目)I.8.】 8. 産学官との連携の強化と社会からの要請に対応するための活動
【(小項目)I.8.(5)】 (5) 原子力分野の人材育成 【評定】A【法人の達成すべき目標(計画)の概要】
・国内外の原子力分野の人材育成、大学等の同分野の教育研究に寄与するため、大学等との間の連携協力を促進するとともに、研
修による人材育成機能の質的向上を図る。
H22 H23 H25 H26A A実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.172〜175
【インプット指標】
(中期目標期間) H22 H23 H24 H25 H26
決算額(百万円) セ グ メ ン ト
「 国 内 外 と
の連携強化
と 社 会 か ら
の要請に対
応 す る 活
動 」 の 決 算
額 9,895 の
内数
10,408 の内数15,881 の内数従事人員数(人) 22 22 21
評価基準 実績 分析・評価
しろまる国内外の原子力人材育成、大学等の教育
研究に寄与するため、年度計画に基づ
き、国内のニーズに対応した効果的な研
修を行うとともに大学における人材育
成への貢献や国際協力(国際研修事業推
進等)の拡大・強化を図るなど、中期計
画達成に向けて当該年度に実施すべき
ことを行ったか。
(中期目標、中期計画
及び年度計画)
(国内研修)
・機構外の技術者等向けの研修として、原子炉工学(2 回)、RI・放射線利
用(3 回)、国家試験受験準備(8 回) 並びに第 1 種及び第 3 種放射線取扱
主任者資格取得のための法定講習(14 回)を開催した。アンケートでは、外
部向けでは 92%、機構内職員向けでは 98%の受講者から「有効であった」と
の評価を得た。また、機構外からのニーズに応えるため、(独)原子力安全
基盤機構からの依頼に基づく随時研修(1 回)を実施した。これらの年度計
画外の研修を含めた全ての研修の総受講者数は、1,303 名(外部受講者
525 名、機構内受講者 778 名)であった。
さらに、東京電力福島第一原子力発電所事故対応として、資源エネルギ
ー庁からの要請に基づく放射線管理のための要員育成研修(2 回:51 名)
及び福島県からの要請に基づく除染業務講習会(15 回:約 4,400 名)等を
実施した。
・大変積極的に業務を実施しており、年度計画が適切に達
成されている。今後必要となる人材像をより明らかにする努
力とともに、原子力人材育成ネットワーク参加機関と連携
し、若い世代に原子力の魅力を示すような取組を行っていく
ことを期待したい。
・原子力専攻以外の理工系学生について、裾野強化が必要
である。また、海外人材の研修等については、対象国別の
重みが、国・産業界の方向と一致していることが重要であ
る。これらについて、着実に進めていくべき。
・講義、学習だけでなく教材のとりまとめ、利用も行っており、
高く評価したい。
・大学との連携については、大学等の教育機関とは違った機
項目別-90
国内研修について、平成 22 年度からホームページ上で受講申込みが
できるようシステム化を行い、その後も適宜改善を図る取組を継続してお
り、業務の効率化および利便性の向上に資している。また、妥当性、合理
性にも留意すべく、コストを踏まえた積算により、研修受講料金を 3 年ごと
に適宜見直している。
(大学との連携)
・大学連携ネットワーク活動を推進するとともに、各大学等との協定や協力
依頼等に基づき、講師派遣や学生の受入れ等を行い、連携協力を実施し
た。大学連携ネットワークに係る協力、遠隔教育システムによる共通講座
の実施、集中講座の実施、連携大学院方式による協力、東京大学大学院
原子力専攻・国際専攻への協力を実施した。
(国際研修)
・文部科学省からの受託事業「国際原子力安全交流対策(講師育成)事業」
として、インドネシア、タイ、ベトナム、バングラデシュ、カザフスタン、マレー
シア、フィリピン及びモンゴルの 8 か国から研修生(計 30 名)を受け入れ、5
回の講師育成研修を行った。受け入れた研修生のフォローアップとして、
我が国から専門家をモンゴル以外の 7 か国に派遣し、現地研修コースの
技術支援及び講師の自立化支援を実施した(現地研修コースの受講生総
数344名)。また、原子力技術安全セミナーとして原子炉プラント安全コース
(受講生総数:9 か国から 10 名)、原子力行政コース(受講生総数:8 か国か
ら 9 名)、原子力施設の立地コース(受講生総数:6 か国から 7 名) 及び平
成 24 年度より新たに放射線基礎と被ばく医療コース(受講生総数:8 か国
から 16 名)を開催した。原子力委員会が主催するアジア原子力協力フォー
ラム(FNCA)において、「人材養成プロジェクト」の日本側のプロジェクトリー
ダーを務め、アジア諸国原子力人材育成ニーズと既存の原子力人材育成
プログラムとのマッチングを行うアジア原子力教育訓練プログラム(ANTEP)
活動の推進に貢献した。
(人材育成に係る関係機関との連携協力)
・文部科学省の機関横断型公募事業「原子力人材育成ネットワークの構
築、整備及び運営」においては、国内外の関係機関への訪問調査・情報
収集等を実施し、原子力人材育成に係る連携協力関係を築いた上で、原
子力人材育成データベースを構築した。「原子力人材育成ネットワーク」に
おいては、一般社団法人日本原子力産業協会とともに事務局として活動
し、ネットワーク運営委員会、企画ワーキンググループなどの会合を開催
するとともに、ネットワーク活動報告会を開催し、ネットワーク参加機関の
情報共有に貢献するなど、我が国の原子力人材育成に係る中核的機関と
して「原子力人材育成ネットワーク」におけるハブ機能を果たすとともに、国
内外の関係機関との間の一層の連携協力体制の構築に向けた活動に取
り組むなど、リーダーシップを発揮した。
構の特長を活かした、研究現場での実習などによる人材育
成を強化することが適切と考える。
項目別-91
しろまる減少が懸念される原子力を志望する学
生・研究者・技術者の人材育成機能強化
を図る取り組みを行ったか。
(H23年度独
法評価結果関連)
(「平成 24 年度業務実績評価の具体的取組」
における指摘)
・関連業界、受講者等のニーズの変化を踏ま
えた取組を行っているか。
・資格取得割合、修了後の活動状況等、業務
の成果・効果が出ているか。
・業務の効率化について、教材作成作業等の
効率化、研修施設の有効活用、施設管理業
務の民間委託等の取組を行っているか。
・原子力を志望する学生の減少への対応として、機構の学生受入制度の
旅費支給の適用範囲を拡大し、機構での実習等に参加しやすくするため
の改善を図り、また、理工系学生に原子力の研究現場等を見て、関心を高
めてもらうことを目的とした原子力関連施設見学会を原子力人材育成ネッ
トワークとして企画した。
・H23 年度から経産省と協議して東電関連会社対象の「放射線管理要員
等育成研修」を開始し、また福島県からの要望に応じて「除染業務講習
会」を福島県内各地で年15 回実施しており、さらにはH24 年度は外部の要
望に応じ「第 3 種放射線取扱主任者講習」を出張して 4 回実施する等、関
連業界等外部のニーズに応じた取組を積極的に行っている。
・また、研修受講者からのアンケート等の要望にも適宜対応し、研修内容
の向上に反映する等取り組んでいる。
・原子炉主任技術者及び核燃料取扱主任者の国家試験の合格者の中
で、機構の研修講座や講義(東大原子力専攻)を受講した者の割合は8〜
9割であり、成果・効果が大であることを確認している。
・受講者は、民間企業(電力・メーカー等)や公務員など原子力に関連する
者が多く、受講後のアンケートによる有効性評価も 90%超である為、研修
内容が各人の業務遂行に効果的である。
・同じ企業等から多くの受講者が毎年継続的に機構の研修講座に参加し
ており、機構の人材育成機能に対する企業側の期待は大きい。
・業務の効率化については、H22 年度よりホームページ上で国内研修の受
講申込ができるようにシステム化し、その後適宜改良を加えており、受講
希望者への利便性の向上にも取り組んでいる。
・研修施設は概ね機構の施設を使用しており、国内研修の受講者の定員
充足率は9割以上であり、その他にも国際研修や学生実習等も行う為に、
施設の稼働率は高く、研修施設の有効利用は図られている。
・多くの教材については、専門性の観点から機構職員によって作成されて
おり、講師交替の際にも教材を共有化し、適宜改訂する等、教材作成作業
の効率化を図っている。
・原子力機構での実習等に学生が参加しやすくするために
学生受入制度の改善を図るなど、原子力を志望する学生の
減少への対応がなされている。
・福島県からの要望に応じて除染業務の講習会を実施する
など、外部の要望に応じた取組を行っている。
・原子力機構が実施する研修等について成果、効果を上げ
ている。
・業務の効率化に向けた取組が実施されている。
項目別-92
・受益者負担の妥当性・合理性があるか。 ・受講料金は実験用消耗品費、教材印刷費、施設使用関連、光熱水費等
から構成されており、受講者は実費用を支払うものである。また、研修の
受講料金は、3 年毎に改訂を行っている。
・多くの場合、受講者本人が支払うのではなく、企業側が負担している。こ
れは機構の研修受講による人材育成が企業の事業運営に有効である証
左である。
・受益者の負担について、妥当性・合理性があると認められ
る。
【(中項目)I.8.】 8. 産学官との連携の強化と社会からの要請に対応するための活動
【(小項目)I.8.(6)】 (6) 原子力に関する情報の収集、分析及び提供 【評定】A【法人の達成すべき目標(計画)の概要】
・知識・技術を体系的に管理し、継承・移転するため、国内外の原子力に関する情報を、産学官のニーズに適合した形で、収集、分析
し、提供する。また、関係行政機関の要請を受けて、関係行政機関の政策立案や広報活動を支援する。
H22 H23 H25 H26A A実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.176〜178
【インプット指標】
(中期目標期間) H22 H23 H24 H25 H26
決算額(百万円) セ グ メ ン ト
「 国 内 外 と
の連携強化
と 社 会 か ら
の要請に対
応 す る 活
動 」 の 決 算
額 9,895 の
内数
10,408 の内数15,881 の内数従事人員数(人) 14 9 8
評価基準 実績 分析・評価
しろまる科学技術及び原子力の研究開発活動を
支援するため、年度計画に基づき、国内
外の原子力科学技術に関する学術情報
を収集・整理・提供、国際原子力情報シ
ステム(INIS)データベースの利用促進
など、中期計画達成に向けて当該年度に
・国内外の原子力に関する学術情報の提供に当たり、購読希望調査等を
通じて利用者の意見を集約・反映した図書資料購入計画及び海外学術雑
誌購入計画を作成した。これらに基づき専門図書、海外学術雑誌、電子ジ
ャーナル、欧米の研究開発機関や IAEA が刊行する原子力レポート等を収
集・整理し、閲覧、貸出及び文献複写による情報提供を行った。国立情報
学研究所の大学図書館間文献複写相互利用システムへの参加や国立国
・既存の分野を越えた情報収集を精力的に行っており、評価
できる。
・法人としての収集すべき情報の種類、発信元等の情報の
整理をし、その上で戦略を練ることはされているか、決まっ
たところからの情報を整理するだけにとどまっていないの
か、目標が明確にされているのか、再度、問い直すことが
項目別-93
実施すべきことを行ったか。
(中期目標、
中期計画及び年度計画)
会図書館との文献貸借など外部図書館と連携し、機構で所蔵していない
文献を迅速に入手し利用者へ提供した。機構図書館所蔵資料の目録情報
発信システム(OPAC)に、新たに収集した図書資料等を入力するととも
に、原子力レポートを遡及入力し公開した。文献複写サービスを継続する
とともに、OPAC の検索結果から直接ウェブ上で依頼申請できるようシステ
ムを更新し、サービスの効率化を図った。国立国会図書館と総務省が開
発・公開し、東日本大震災に係る記録として関連する音声・動画、写真、ウ
ェブ情報等を包括的に検索できる「東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)」に
おいて、機構図書館 OPAC が横断検索可能となるよう国立国会図書館と
連携を図った。
・IAEA 国際原子力情報システム(INIS)計画については、国内で刊行された
学術雑誌、レポート、会議資料等から原子力安全、環境、放射線医学等の
分野に関する文献情報を収集・採択し、英文による書誌情報、抄録の作
成、索引語付与等の編集を行いIAEA に送付した。また、INISデータベース
の国内利用促進を図るため、原子力に関係する学会、大学及び民間企業
において計 7 回の INIS 利用説明会を実施した。INIS データベースの日本
語検索機能拡充のため、INIS シソーラス(検索用キーワード辞書)及び検
索マニュアル等の日本語翻訳を継続実施し、IAEA に送付してデータベー
スへの実装に貢献した。
・原子力の開発利用動向、エネルギー・環境問題に関する情報等の原子
力研究開発及び利用戦略に関わる情報については、国内外のマスコミ、
関係機関等から継続的に収集し、整理・分析を行った後、機構公開ホーム
ページへの掲載を通じて幅広く情報発信を行った。報告件数は 8 件(EU、
イギリス、ドイツ、ポーランドなどの原子力政策を含むエネルギー政策動
向、ウラン資源に関するレッドブック 2011 の概要、海外ウラン濃縮企業動
向など)で、当該情報へのアクセス数は平成 21 年度が約 21 万件、平成 22
年度が約 32 万件、平成 23 年度が約 56 万件、平成 24 年度が約 52 万件
であり、海外の原子力政策情報の普及に貢献した。また、これらの情報は
行政機関等(内閣官房、文部科学省、東京都等)からの個別の要請に応じ
て、必要な場合には個々のニーズに応じた分析を加えた上で迅速かつ的
確に情報提供又は個別説明を行った。
必要である。
・ひなぎくとの連携、IAEA への情報提供などの実績は評価
できる。学術情報の整理、発信に係る機構の知見を活か
し、産学官の原子力に関する研究開発をより支援する活動
を展開することを期待する。
・今後、社会のニーズ(検索エンジンとの整合性)を汲みつ
つ、業務を実施することを希望する。
・情報の分析について、データの収集ばかりではなく、収集し
たデータの分析・活用が重要である。
項目別-94
【(中項目)I.8.】 8.産学官との連携の強化と社会からの要請に対応するための活動
【(小項目)I.8.(7)】
【(小項目)I.8.(9)】
(7) 産学官の連携による研究開発の推進
(9) 立地地域の産業界等との技術協力 【評定】A【法人の達成すべき目標(計画)の概要】
・原子力の研究開発を効果的・効率的に実施し、その成果を社会に還元するため、産業界、大学等及び関係行政機関との強固な連
携関係を構築するとともに、そのニーズを的確に把握し研究開発に反映し、適正な負担を求め、共同研究等を効果的に行う。産業界
との連携に当たっては、実用段階の本格利用が見込まれるものについて積極的に実用化の促進を図る。また、軽水炉技術の高度化
については、機構の保有する技術的ポテンシャル及び施設・設備を効果的かつ効率的に活用し、関係行政機関等が行う改良軽水炉
技術開発に貢献する。大学等との連携に当たっては、大学等に対して研究機会を提供するために機構の保有する施設・設備を活用
し、大学等の教育研究に協力する。
・立地地域における技術交流活動を促進するため、共同研究や技術移転等を行うことにより、立地地域の企業、大学等との連携協力
を充実・強化する。
H22 H23 H25 H26A A実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.179〜182
業務実績報告書 p.187〜191
【インプット指標】
(中期目標期間) H22 H23 H24 H25 H26
決算額(百万円) セ グ メ ン ト
「 国 内 外 と
の連携強化
と 社 会 か ら
の要請に対
応 す る 活
動 」 の 決 算
額 9,895 の
内数
10,408 の内数15,881 の内数従事人員数(人) 38 34 35
評価基準 実績 分析・評価
しろまる原子力の研究開発を効果的・効率的に実
施し、その成果を社会に還元するため、
年度計画に基づき、大学等との研究協力
の推進、産業界との連携を効果的に行う
など、中期計画達成に向けて当該年度に
実施すべきことを行ったか。
(中期目標、
中期計画及び年度計画)
・産業界との連携のプラットフォーム機能として、原子力エネルギー基盤連
携センターに設置した既存の 7 特別グループによる研究活動を継続した。
平成 24 年度は、東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、鉄鋼製造
プロセスにおいて確立された溶融鉄と酸化物に対する反応と熱流動の連
成解析シミュレーション技術を活用して、過酷事故時の炉心溶融・溶け落
ち・デブリ凝固モデルの精度向上を目的とした材料溶融挙動評価特別グ
ループを新たに設置した。また、産学官が一体となって、原子炉のみなら
ず廃止措置及び廃棄物管理における水素安全評価・対策に適切に対応す
るための基盤技術の高度化を図ることを目的とした水素安全技術高度化
特別グループを設置した。一方、当初目標を達成した放射線作用下界面
・中期計画達成に向けて、当該年度計画どおりに履行したと
認められる。
・広い見地から、2つの研究坑道の活用をさらに進めていくこ
とを期待したい。
項目別-95
現象研究特別グループを廃止した。さらに加速器 RI 特別グループにおい
て医療用中性子利用 RI 生成技術開発製造事業化の検討を開始した。
・レーザー及び放射光利用技術について、ビジネスフェアや施設公開、設
備利用講習会・セミナーにおいて、施設供用制度及びその成果を紹介する
ことにより、地元等産業界への利用促進を働きかけた。
・大学等との連携に関しては、先行基礎工学研究協力制度、連携重点研
究制度及び大学との連携協力協定並びに各大学等との共同研究に基づ
き推進した。先行基礎研究協力制度では、第 2 期中期目標期間中の新規
採択課題数は計 21 件(平成 22 年度:9 件、平成 23 年度:6 件、平成 24 年
度:6 件)となっており、平成 24 年度は、3 年計画の 2 年目に当たる 4 件の
課題については中間評価を、終了する 10 件の課題については最終評価
を、外部委員が半数を占める委員会において行った。なお、本制度により
実施された研究課題に関連して、本中期目標期間中に、外部資金 8 件が
獲得された。平成 24 年度は、高速炉燃料の取扱設備における高ガンマ線
バックグランド下での高速中性子精密測定技術の開発及び放射性廃棄物
中における長寿命核種の高感度迅速分析法の開発の成果が、大学関係
者を過半数とする研究協力委員会において高い評価を得た。連携重点研
究制度では、第 2 期中期目標期間中の新規採択課題数は計 13 件(平成
22 年度:2 件、平成 23 年度:6 件、平成 24 年度:5 件)となっている。平成
24 年 8 月に開催した連携重点研究討論会では、「連携重点研究は福島の
復旧にどう貢献できるか」をテーマに討議を行い、平成 23 年度に採択した
福島支援課題 2 件の成果報告等がなされた。なお、本制度により実施され
た研究課題に関連して、本中期目標期間中に、外部資金 7 件が獲得され
た。大学等との包括的連携協力協定に基づく、連携協議会等を福井大
学、岡山大学、群馬大学、福島大学、福島高専及び核融合科学研究所と
開催した。これらにより得た大学の関係者の意見を反映し、大学の機構の
研究への参加や研究協力を拡大し、人材育成、共同研究等の推進に資し
た。相互の研究開発及び人材育成の充実等を図るため、平成 24 年 10
月、新たに長岡技術科学大学と包括的連携協定を締結した。
・機構の特許等を利用し企業との実用化共同研究開発を行う成果展開事
業として、震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故対応の 3 件(「分
散洗浄技術を活用した放射能汚染土壌除染装置の開発」、「光学式手法
を取り入れた水素ガス検知装置の実用化開発」及び「放射線汚染状況の
遠隔監視システムの開発」)と一般対応の 1 件(「ポリ乳酸製洋食器具の開
発」)の合計 4 件を実施し、水素ガス検知装置を除く 3 件について製品化を
行った。この結果、第2期中期目標期間中の製品化は、実施課題9 件に対
して合計 5 件となった。また、民間事業者の核燃料サイクル分野への技術
移転及び技術協力への対応として、民間事業者と締結している技術協力
協定に基づく運営会議設置の覚書を締結するとともに、技術情報の提供を
実施した。機構の真空技術、高感度質量分析などに関する特許を利活用
項目別-96
しろまる産学官の連携による研究開発の推進に
ついては、特に事故対応のための研究開
し、企業からの要請に応じて全て相手方負担により実用化開発を行う活動
では、平成 24 年度、共同研究収入、技術指導収入、特許収入及び特定寄
附を合わせて 4,479 千円(第 2 期中期目標期間中の合計 16,981 千円)の
外部収入を得た。主な実用化開発活動として、従来からの自動車分野な
どに加え、畜産分野においては茨城県産肉(牛・豚)のブランド化に向けた
香り測定、創薬分野においては製造医薬品の品質管理手法の確立など新
分野への展開も進めた。東京電力福島第一原子力発電所事故対応につ
いては、実用化開発チームの技術指導により、各企業等による1放射線
の高速・高感度・現場測定を可能とし、かつ機動性を備えた車載型放射線
測定器の実用化、2乾式減容化廃棄物処理のための真空技術を利用し
たアルミ溶湯除染技術の実用化検証をそれぞれ成功に導いた。特に2
は、茨城県が進めている伐採木の焼却時の除染技術に採用され、「木質
バイオマス利用を推進するための調査事業」として茨城県が国の競争的
資金(復興調整費)を獲得する上での決め手となる最重要技術となった。
・共同研究等研究協力の研究課題の設定に、大学、産業界等の意見及び
ニーズを反映して、効果的・効率的研究開発を実施するため、平成 24 年
度に各大学、研究開発型独立行政法人等との間で 335 件(平成 23 年度:
303 件)の共同研究契約を締結し、相互の研究能力及び施設・設備を補完
し合って、効果的な研究開発の進展に資した。産業界とは平成 24 年度に
各企業との間で 81 件、企業を含む複数機関との間で 103 件(成果展開事
業による共同研究 4 件を含む。)(平成 23 年度:企業 50 件、複数機関 87
件)の共同研究契約を締結し、機構の研究開発力と産業界の技術力を相
補的・総合的に活用することで産業界のニーズに効果的に対応した。
・産学官連携推進会議、環境放射能除染学会など 14 回の技術展示会等
において、震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故対応に係る成
果展開事業の紹介、その他開発製品(放射線グラフト重合法を利用した製
品等)の展示等を行い、ブース来場者への説明を行うとともに、成果展開
事業への応募に関する相談及び放射性廃棄物、除染等に関する技術相
談を行った。
・専門分野の技術相談については、関係部署間で連携を取り放射線照射
分野に係る技術アドバイス等、積極的な対応を行った。
・関係行政機関、民間事業者等からの要請に対応して、デブリ生成機構を
考慮した金属等の溶融模擬及び水素発生・挙動制御といった軽水炉安全
対策高度化技術に関する研究協力を、経済産業省資源エネルギー庁の
「平成 24 年度発電用原子炉等安全対策高度化技術基盤整備事業」から
の受託事業として実施した。
・東京電力福島第一原子力発電所事故対応については、機構の特許等を
利用し企業との実用化共同研究開発を行い、「分散洗浄技術を活用した
・研究開発の観点から見て、事故対応に積極的かつ連携し
て取り組んだといえる。
項目別-97
発に、積極的に関係者に働きかけなが
ら、連携して取り組んだか。
(H23 年度独
法評価結果関連)
しろまる立地地域の産業の活性化等に貢献する
ため、年度計画に基づき、立地地域の企
業、大学等との連携協力を図り、研究開
発の拠点化に協力するなど、中期計画達
成に向けて当該年度に実施すべきこと
を行ったか。
(中期目標、中期計画及び
年度計画)
放射能汚染土壌除染装置の開発」及び「放射線汚染状況の遠隔監視シス
テムの開発」の製品化を行った。また、実用化開発チームの技術指導によ
り、各企業等による1車載型放射線測定器の実用化、2真空技術を利用
したアルミ溶湯除染技術の実用化検証をそれぞれ成功に導いた。特に2
は、茨城県が進めている伐採木の焼却時の除染技術に採用され、「木質
バイオマス利用を推進するための調査事業」として茨城県が国の競争的
資金(復興調整費)を獲得する上での決め手となる最重要技術となった。
・福井県が進めるエネルギー研究開発拠点化計画への協力については、
平成 23 年 11 月のエネルギー研究開発拠点化推進会議において作成され
た「推進方針〈平成 24 年度〉」に基づき、以下の活動を実施した。
・平成 23 年 4 月に設置された「福井県国際原子力人材育成センター」
への協力については、職員 2 名の派遣や事業運営委員会委員として
の参画を行った。
・FBR プラント工学研究センターの「ナトリウム工学研究施設(旧仮称:プ
ラント実環境研究施設)」については、東京電力福島第一原子力発電
所事故を受けた原子力政策の議論や平成 23 年 11 月の提言型政策
仕分けの状況等を踏まえて計画を一旦中断していたが、平成 24 年 9
月の革新的エネルギー・環境政策の決定において、『「もんじゅ」につ
いては、国際的な協力の下で、高速増殖炉開発の成果の取りまとめ、
廃棄物の減容及び有害度の低減等を目指した研究を行う』との政策
が示されたことから、建屋の建設工事の契約を締結するとともに試験
設備の製作を再開した。平成 25 年度に建屋建設を行い、平成 26 年度
に運用開始となる予定である。
・「プラント技術産学共同開発センター(仮称)」の整備については、敦賀
市が進める敦賀市駅周辺開発整備計画と歩調を合わせて関係機関と
の調整を行っていたが、平成 25 年 2 月 25 日に敦賀市の整備計画の
変更が明らかとなった。このため、平成 24 年度に当該センターの概念
設計内容を大幅に変更することが必要となり、整備に向けた関係機関
との調整を実施した。平成 25 年度は、敦賀市の整備計画の変更を踏
まえ、プラント技術産学共同開発センター(仮称)の整備計画について
も見直しを行う。
・「プラント技術産学共同開発センター(仮称)」の一部として整備する産
業連携技術開発プラザ(仮称)においては、機構が抱える技術課題を
福井県内の企業と共同で解決を図る制度「技術課題解決促進事業」を
運用した。平成 24 年度においては、平成 24 年 5 月に開催した第 26
回オープンセミナーを利用して以下の課題 7 テーマについて福井県内
の企業を公募した結果、12 社からの応募があり、うち 9 社を採択して
実施した。
・計画は概ね達成されたと判断される。
項目別-98
1 狭隘部対応型把持装置の設計・試作(ふげん) 2 社
2 汚染拡大防止用養生シートの接着(溶着)方法の調査・試験
(ふげん) 2 社
3 高機能繊維を用いた紐編み型光ファイバーセンサーの試作と
耐性試験の実施(レーザー共同研究所) 1 社
4 伝熱管内壁肉盛り溶接用レーザートーチの試作(レーザー共
同研究所) 1 社
他 3 件 3 社
また、福井県の企業との成果展開事業については、実施件数が限ら
れた平成 24 年度においても 2 件(うち 1 件は、東日本震災対応)を実
施し、特に、福井市の企業と共同開発した「気象観測一体型放射線
測定装置」については、福島県内に 10 台(試作機 3 台は、汚染状況
重点調査区域(南相馬市)、製品 7 台は、除染特別地域(飯舘村、浪
江町、川俣町、富岡町、大熊町、川内村))設置しており、除染モデル
実証事業のフォローモニタリング及び福島長期環境動態研究等に活
用されている。さらに、地域企業から受けた技術相談について、(財)
若狭湾エネルギー研究センターの平成 24 年度嶺南地域新産業創出
モデル事業補助金(敦賀市1 社)、平成24年度ふくい未来技術創造ネ
ットワーク推進事業(FS)(福井市 1 社、鯖江市 1 社、越前市 1 社)等へ
の応募や研究開発について技術支援を実施した。同じくプラント技術
産学共同開発センター(仮称)に移転する計画のレーザー共同研究
所においては、レーザー技術の原子力施設への適用研究、産業応
用研究等を機構内外組織との研究協力を含めて継続し、「複合型光
ファイバー」の産業利用の一環として医療機器の開発に関する 11 件
の共同研究を含めて 25 件の共同研究等を実施した。
・広域連携大学拠点の形成への協力については、福井大学附属国際
原子力工学研究所との連携を進め、同研究所等に 13 名の客員教授
等を派遣するとともに、原子力施設の廃止措置に係る研究や放射線
照射効果に関する研究、レーザー技術を応用した研究等の共同研
究 15 件を実施した。
・幌延深地層研究センターにおける地域の研究機関との研究協力として
は、公益財団法人北海道科学技術総合振興センター幌延地圏環境研究
所との研究協力(研究交流会:平成 25 年 3 月)並びに北海道大学との間
での物質移行試験及び人工バリアとセメント材料との相互作用等に関す
る研究(研究報告会:平成 25 年 3 月)を実施した。
・東濃地科学センターにおける地域の研究機関との研究協力については、
東濃地震科学研究所との研究協力会議を開催し、瑞浪超深地層研究所
の研究坑道等における観測計画の調整を行うとともに、研究坑道内に設
置した傾斜計等による地震時の岩盤状態の変化等の観測を支援した。ま
た、岐阜大学とは、覚書に基づき研究協力協議会を開催し、情報交換及
項目別-99
び研究協力について検討した。その結果、機構職員を講師として岐阜大
学へ派遣し、「温暖湿潤気候地域における衛星リモートセンシングによる
地下水状態の把握」、「ウラン鉱床の存在状況から見た日本列島の地質
環境」及び「山地がどのように形成されてきたかを探る」という 3 つのテー
マで、地質環境特性や地質環境の長期安定性に関する集中講義を実施
した。立地地域の産業界への技術協力については、岐阜県多治見市主
催のビジネスフェアにブースを出展し、機構所有の知的財産等の紹介を
行った。
・5 月に立ち上がった東海村国際化事務連絡会に協力し、5 回会議に参加
し、J-PARC 利用者の外国人に生活環境改善のニーズを問うアンケート
を 2 回実施した。東海村環境協会に協力し、地元小学校にて、J-PARC
の外国人利用者による海外文化紹介を実施した。J-PARC 主催で一般に
も開放した J-PARC コロキウム(合同討論会)として、海外の著名研究者
の講演を 2 度開催した。また、一般の参加も可能な形で、英語によるキッ
クオフセミナーを開催し、最前線の研究から地元生活密着情報まで、
様々な内容の情報交流の場を継続して設けている。
・福井県が進めるエネルギー研究開発拠点化計画への協力として、福井
県における高経年化調査研究を推進し、ホットラボ(高経年化分析室)を
活用した原子炉施設高経年化研究を実施し、2 相ステンレス鋳鋼の熱時
効脆化の発生状況や、ふげんの SCC 対策技術の有効性が確認されるな
ど、計画どおりの成果を得た。また、福井大学附属国際原子力工学研究
所等への客員教授等の派遣を実施した。
項目別-100
【(中項目)I.8.】 8.産学官との連携の強化と社会からの要請に対応するための活動
【(小項目)I.8.(8)】 (8) 国際協力の推進 【評定】A【法人の達成すべき目標(計画)の概要】
・ 関係行政機関の要請を受けて、原子力の平和利用や核不拡散の分野において、国際原子力機関(IAEA)、経済協力開発機構/
原子力機関(OECD/NEA)等の国際機関の活動への協力、ITER 計画、第 4 世代原子力システムに関する国際フォーラム(GIF)、ア
ジア原子力協力フォーラム(FNCA)等の多国間及び二国間の国際協力を通じて、国際協力活動を積極的かつ効率的に実施する。
なお、国際協力に当たっては、国際社会における日本の状況を踏まえて戦略的に取り組むことが重要である。
H22 H23 H25 H26A A実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.183〜186
【インプット指標】
(中期目標期間) H22 H23 H24 H25 H26
決算額(百万円) セ グ メ ン ト
「 国 内 外 と
の連携強化
と 社 会 か ら
の要請に対
応 す る 活
動 」 の 決 算
額 9,895 の
内数
10,408 の内数15,881 の内数従事人員数(人) 18 17 17
評価基準 実績 分析・評価
しろまる我が国の国際競争力の向上、途上国への
貢献、効果的・ 効率的な研究開発の推
進等を図るため、年度計画に基づき、二
国間、多国間協力や、国際拠点化に向け
た環境整備アジア原子力協力フォーラ
ム等により、施設の国際利用、国際拠点
化等を通じ、原子力技術の世界的な発展
と安全性の向上などに寄与するなど、中
期計画達成に向けて当該年度に実施す
べきことを行ったか。
(中期目標、中期
計画及び年度計画)
(二国間・多国間国際協力)
・二国間協力では、米国エネルギー省(DOE)との包括取決め及び核不拡
散・保障措置取決め等に基づき協力を継続するとともに、フランス原子力・
代替エネルギー庁(CEA)とは、包括協定に基づき、高速炉、燃料サイク
ル、廃止措置、廃棄物管理等の分野での協力を継続し、東京で開催され
た総合コーディネーター会議において、協力の現状及び今後の計画を議
論し、高速炉に係る更なる協力や、東京電力福島第一原子力発電所事故
関連協力などを推進した。その他、ドイツの重イオン研究所との大強度陽
子加速器分野に関する協力取決め及びカールスルーエ工科大学との協
力取決めの締結並びにスウェーデンのスタズビックグループとの協力取決
め等の延長を行い、欧米諸国、中国及び韓国と、次世代原子力システム、
核融合、量子ビーム応用、先端基礎等幅広い分野での協力を推進した。
・中期計画達成に向けて、当該年度計画どおりに履行したと
認められるが、年度計画の内容が抽象的な部分があり、今
後はより具体的な取組計画の記述を期待する。
・国際協力にあたっては、日本の状況を踏まえた戦略的取
組について、そのビジョンが示されることを期待する。
・国際機関への職員の派遣は国際連携の目的を考慮した上
で行われている人事となっているか、国際機関等への専門
家の派遣は、国際的地位を確保できる状態で行われてい
るのか、大きな意味の人材育成プログラムと上記国際機関
等への派遣の計画とは整合性がとれているのか、再度検
証して欲しい。
・安全保障貿易管理に対して、包括許可取得に向けた条件
項目別-101
また、カザフスタン原子力技術安全センターとの高温ガス炉の安全研究協
力取決め及び国立カザフスタン大学との研究協力取決めの新規締結、カ
ザフスタン国立原子力センターとの設計研究協力に係る合意、インドネシ
ア原子力庁とのラジオアイソトープ研究開発協力の更新など、アジア諸国
への協力枠組みを強化した。
・多国間協力では、ITER 計画において日本は EU とともに中核的な役割を
果たしており、ITER 及び BA の機器製作に関する調達取決め等(新規締結
件数:ITER10 件、BA41 件)に基づき、ITER の国内機関及び BA の実施機
関としての活動を進めるとともに、カダラッシュ駐在者の支援を実施するな
ど、ITER 計画の進展に寄与した。また、日本を含む 12 か国と EU で進めて
いる新型炉開発協力のための第 4 世代原子力システムに関する国際フォ
ーラム(GIF)では、ナトリウム冷却高速炉(SFR)や超高温ガス炉(VHTR)
に関する共同研究を進展させた。特に、東京電力福島第一原子力発電所
事故関連では、英国国立原子力研究所との放射性廃棄物管理技術分野
における高放射線場の革新的受動放射線モニタリングに関する協力取決
め、米国パシフィックノースウェスト国立研究所との環境汚染の評価及び
浄化に係る共同研究の新たなタスク 3 件を追加する契約、東京電力福島
第一原子力発電所事故の解析等を目的とした経済協力開発機構/原子力
機関(OECD/NEA)プロジェクト協定等を締結し、国際協力を推進した。
(国際拠点化)
・国際拠点としての環境整備については、J-PARC 等、外国人研究者の受
入れが増大しているため、国際拠点化推進委員会を設置し、外国人上級
研究者も委員として参画して機構の国際化及び国際拠点化のための検討
を行い、資料・表示の英語化、宿舎・備品の改善等諸施策の水平展開を図
った。
(国際機関への協力)
・IAEA、OECD/NEA、ITER 等へ職員を長期派遣するとともに、国際機関の
諮問委員会、専門家会合等へ専門家を派遣し、これらの国際機関の運
営、国際協力の実施、査察等の評価、国際基準の作成等に貢献した。委
員会等には、各機関から機構の特定の専門家を指定した参加依頼も多
く、IAEA における原子力安全、原子力、核科学の分野の事務局長諮問委
員会、OECD/NEA の科学技術委員会(NSC)、放射性廃棄物管理委員会
(RWMC)等のハイレベルな委員会に代表委員を出すなど、機構は専門家
集団として国際的にも高い評価を得ている。
(アジア諸国等への協力)
を整えたことは評価できる。着実に実績を積まれるよう期待
する。
項目別-102
・アジア原子力協力フォーラム(FNCA)の各種委員会及びプロジェクトに専
門家が参加している。また、人材育成協力の進め方については、文部科
学省からの受託事業である国際原子力安全交流対策(講師育成)事業に
おける専門部会等での外部有識者の意見を踏まえつつ、機構内のアジア
人材育成合同会議等で原子力人材育成センター、機構内の関係する研究
開発部門、拠点、その他関係部署において情報を共有し、方針及び内容
の整合性を図った。
(安全保障貿易管理)
・安全保障貿易管理(輸出管理)については、これまでに取得した一般包
括役務取引許可に続き、特定包括役務取引許可及び特別一般包括輸出
許可の取得を目指して、イントラを活用し、海外出張者への注意喚起、ヒ
ヤリハット事例の掲載等により、機構内への輸出管理の周知・徹底を図
り、適切な輸出管理に努めた。この結果、経済産業省による遵守状況立ち
入り検査において、法令を遵守した輸出管理を適切に行っていることが認
められ、上述の包括許可取得に向けた条件が整った。
項目別-103
【(中項目)I.8.】 8. 産学官との連携の強化と社会からの要請に対応するための活動
【(小項目)I.8.(10)】 (10) 社会や立地地域の信頼の確保に向けた取組 【評定】A【法人の達成すべき目標(計画)の概要】
・機構に対する社会や立地地域からの信頼の確保に向け、情報公開・公表の徹底に取り組む。また、社会や立地地域との共生のた
め、広聴・広報活動を実施し、機構に対する国民理解増進のための取組を行う。なお、情報の取扱いに当たっては、核物質防護に関
する情報、知的財産の適切な取扱いに留意する。
H22 H23 H25 H26A A実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.192〜196
【インプット指標】
(中期目標期間) H22 H23 H24 H25 H26
決算額(百万円) セ グ メ ン ト
「 国 内 外 と
の連携強化
と 社 会 か ら
の要請に対
応 す る 活
動 」 の 決 算
額 9,895 の
内数
10,408 の内数15,881 の内数従事人員数(人) 15 13 13
評価基準 実績 分析・評価
しろまる社会や立地地域からの信頼の確保及び
それらとの共生のため、年度計画に基づ
き、情報公開・公表の徹底に取り組むと
ともに、広聴・広報・対話活動を実施す
るなど、中期計画達成に向けて当該年度
に実施すべきことを行ったか。(中期目
標、中期計画及び年度計画)
(情報公開・公表の徹底等)
・東京電力福島第一原子力発電所事故後急増した情報公開法に基づく開
示請求に対し、処理の進行管理を厳格に行い、遅滞のない情報公開に努
めた。また、インフォメーションコーナーを活用し、公共工事の入札・契約情
報などの適切な情報提供に努めた。さらに、機構の情報公開制度を適切
かつ円滑に運用するため、外部有識者などの第三者から成る情報公開委
員会(同検討部会含む)を計 3 回開催し、その意見を業務の改善に役立て
るとともに、情報公開窓口担当者を対象とした窓口対応研修や、新たに組
織単位の管理職を対象に、その適切な判断に資するため、具体的な事例
情報などを素材に用いた研修を実施し、制度への理解度の向上を図った。
また、機構の安全確保に対する取組状況、施設における事故・故障の情
報などに加え、主要な施設の運転状況などを「原子力機構週報」としてほ
・幅広い広報、広聴活動を実施し、中期計画達成に向けて、
当該年度計画どおりに履行したと認められる。
・業務の実施状況を受けた評価とその結果としての社会的
効果とが一致していないように思われる。その意味では、
国民的理解を得るための抜本的方策を再考する必要があ
る。
・基本姿勢の筆頭にある「全職員、一人一人が広報パーソン
という自覚を持ち活動」が実践できていたかは疑問。
・研究者・技術者の「安全」に対する意識が地元地域住民を
はじめとする一般国民の「安心」の感覚とずれていたこと
が、もんじゅ、J-PARCのトラブルの遠因にあると思われ
る。今後、社会や立地地域との信頼確保に向け、より国民
項目別-104
しろまる社会や立地地域の信頼確保に向けて、
東京電力福島第一原子力発電所事故や
原子力・エネルギー政策の見直しの議論
の方向性を踏まえながら、国民全体との
相互理解促進のため職員一丸となって
取り組みを行ったか。(H23年度独法評
価結果関連)
ぼ毎週作成し、各研究開発拠点が関係する報道機関への配布及び機構
ウェブサイトにおいて掲載することで情報提供に努めた。一方、取材など
の報道機関側からのアプローチを待つだけではなく、機構からの能動的な
情報(研究成果など)発信にも努め、平成 24 年度は科学担当の論説委員
懇談会を 1 回、記者勉強会を 9 回実施した。機構として、報道機関などを
通じて、より適切かつ効果的に情報発信を行うため、説明技術の基本を身
につける研修を役職員を対象として継続的に行い、平成 24 年度は 11 回、
延べ 78 名が受講した。なお、核物質防護に関する情報、他の研究開発機
関等の研究や発明の内容などについて、機構内の所掌組織にその都度
確認を取り、誤って情報を公表することがないように、適切な取扱いに留
意して行った。
(広聴・広報・対話活動の実施)
・社会や立地地域との共生を目指し、「一人ひとりが広報パーソン」という
自覚の下、職員が一丸となった「草の根活動」を基本に、広聴・広報・対
話活動を継続して行った。具体的には、情報の一方的な発信とならない
ように、対話による相手の立場を踏まえた双方向コミュニケーションによ
る広聴・広報を基本とし、82 回の対話活動を延べ 5,691 名の方々と行い、
立地地域の方々の考えや意見を踏まえた相互理解の促進に努めた。ま
た、機構の事業内容を広く知っていただくために、施設公開や施設見学
会を開催し、立地地域の方々を中心に 179 回で延べ約 15,000 名の参加
者を得た。
機構ウェブサイトについては、専門家による分析・評価を行い、その結
果を踏まえたメインサイトのリニューアル作業を進めた。具体的には、社
会のニーズに合った情報をより広く提供し、より多くの方々が求める情報
に速やかにアクセスできるためのナビゲート機能の改善や、画像・アイコ
ンの工夫などによる誘導性などの向上を図った。また、関係機関のホー
ムページの情報を適時収集するシステムを導入し、機構ウェブサイトか
ら、最新の主要な原子力関連情報の閲覧が可能となるよう、情報力をよ
り一層高める改良を行い、ウェブサイトを活用した情報発信力の強化に
努めた。さらに、従来から取り組んでいるツイッター、メールマガジン及び
i モードページに加え、携帯端末(スマートフォンなど)やタブレット端末に
も対応させることにより、より幅広い層のニーズに応えられるものとした。
広報誌などによる広報活動においては、東京電力福島第一原子力発
電所事故を受け、除染活動や放射性核種の環境中移動調査・研究など
目線での安全に対する意識改革を期待する。
・原子力・放射線に関する説明会のアンケート結果を見ると、
分かりやすさの観点からさらなる取組が期待される。平成2
5年度以降、改善を期待する。
・国民的な原子力批判は収まっておらず、今後はさらに積極
的な活動が求められる。
項目別-105
しろまる被災地や立地地域の住民との直接対話
活動を継続しながら、地域住民との信頼
関係を構築し、さらなる水平展開を図る
取り組みを行ったか。(H23年度独法評
価結果関連)
しろまる広報施設の必要性について厳格な精査
を行ったか。(提言型政策仕分け)
の福島における環境回復に向けた機構の取組や、放射線に関する情報
などの国民の関心の高い話題を中心に紹介することとし、専門家を対象
とした広報誌「JAEA ニュース」を 3 回、専門家以外の方を対象とした広報
誌「未来へげんき」を 4 回発行した。
次代を担う世代を中心とした科学技術への興味喚起と理解促進の観点
からの取組として、主に小中学生を対象とした放射線に関する歴史や科
学的な解説などをまとめた DVD を制作し、今後、学校関係者に試用いた
だく一方、展示会や出張授業などの機会において試用し、その効果を確
認していく予定である。
また、研究者、技術者自らが対話を行うアウトリーチ活動については、
639 回(延べ約 30,000 名)実施し、自治体や教育機関などとの連携強化
と信頼確保に努めた。具体的には、立地地域の小中学生、高校生などを
対象とした講演会、出張授業、実験教室などの開催(418 回、延べ 19,043
名)や、東海研究開発センター、那珂核融合研究所、関西光科学研究所
及び青森研究開発センターにおけるサイエンスカフェの開催、サイエンス
キャンプ(7 拠点、計 77 名参加)の受入れ、スーパーサイエンスハイスク
ール(SSH)における実験の場の提供や講師の派遣など幅広い取組を行
った。
・機構の研究者・技術者による「原子力・放射線に関する説明会」の開催
(93 件、7,491 名)については、全体の約 8 割が茨城県などの立地地域から
の依頼に基づく一方で、立地地域以外からの依頼にも、各研究開発拠点
などと連携して柔軟に対応し、広く国民との対話や相互理解の促進に取り
組んだ。説明会では、中心テーマの放射線の基礎知識や人体へ影響を及
ぼす仕組みに加え、新たに福島における機構の取組状況など、それぞれ
相手方の要望に応じ機構の専門家が丁寧に説明を行うとともに、その後
の質問のための時間を長く設定し、可能な限り全ての質問に答えることで
参加者との相互理解に努めた。なお、説明会において行ったアンケートの
結果では、不安の解消に役立ったなどの肯定的な回答が約 8 割であり、説
明会が効果的であったことが確認できた。
・展示施設(9 施設)については、平成 23 年度に引き続いて、整理合理化
の観点から廃止も含めた抜本的な見直しの検討を行い、必要性の厳格な
精査を行った。その結果を「見直し方針」として取りまとめ、8 月末に公表し
た。本見直し方針では、既に平成 23 年度で展示施設としての運営を停止
・機構の施設や地元への対応は実施されているが、国民レ
ベルへの水平展開は今後の課題と言える。
・広報施設の必要性について適切な審査が実施されたと判
断する。
項目別-106
した「テクノ交流館リコッティ(東海)」、「アトムワールド(東海)」、「アクアト
ム(敦賀)」、「エムシースクエア(敦賀)」及び「人形峠展示館(岡山)」の 5 施
設に加え、「ゆめ地創館(幌延)」についても、立地地域との約束に基づく事
業説明及び情報公開の場として用いることとし、展示施設としての運営を
停止することとした。また、残る 3 施設についても、運営の合理化努力を継
続することとした。
なお、展示施設全てを合わせると、これまで年間約 40 万人の入館者数が
あったものの、6 施設の運営を停止することで、約 30 万人の入館者減とな
ったが、出張授業などのアウトリーチ活動やサイエンスカフェの開催など、
研究者・技術者が自ら出向いて行う活動及びハード(展示施設)に依存し
ない活動に重点を移すことによって、これまでと同様に直接対話の機会を
多く設け、科学技術への興味の喚起や機構の事業への理解促進に努め
た。
項目別-107
【(大項目)II】 II 業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
【評定】C【(中項目)II.1.】 1.効率的、効果的なマネジメント体制の確立 【評定】C【法人の達成すべき目標(計画)の概要】
<柔軟かつ効率的な組織運営>理事長による強いリーダーシップの下、PDCA サイクルに基づく機構全体を俯瞰した戦略的な経営
が可能となるよう、理事長の経営を支える経営企画機能を強化し、柔軟かつ機動的な組織運営を図る。また、研究開発を効率的かつ
計画的に推進するため、責任の所在の明確化、研究開発拠点・部門間の有機的連携の強化を図る。
<内部統制・ガバナンスの強化>経営層による研究開発拠点・部門への関与の強化など、機構の業務及びそのマネジメントに関す
る内部統制・ガバナンスの強化を図るとともに、役職員等のコンプライアンス意識の向上を図る。
<人材・知識マネジメントの強化>機構に必要とされる優秀な人材を確保・育成するために、キャリアパスの設定や流動性の確保、
組織への貢献度に応じた処遇などの仕組みを整備する。, また、機構の研究開発成果の技術移転や若手研究者・技術者への継承・
能力向上に組織的、計画的に取り組む。
<研究組織間の連携による融合相乗効果の発揮>基礎・基盤研究からプロジェクト研究開発に至る幅広い専門分野の研究者・技術
者の有する経験、ノウハウ及び研究開発成果等を基にして、保有する研究インフラを効果的に活用し、研究開発を効率的に行う。
H22 H23 H25 H26A A実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.197〜208
評価基準 実績 分析・評価
しろまる効率的、効果的なマネジメント体制の確
立のため、年度計画に基づき、
・柔軟かつ機動的な組織運営を図り、
・リスク管理機能の強化及び、内部統制・
ガバナンス(重要な情報等の把握、ミッ
ションの周知徹底及びリスクの把握・対
応を含む)の強化の体制を整備し、
・人材・知識マネジメントの強化に組織的
に取組、
・保有する研究インフラを総合的に活用し
研究組織間の連携による融合相乗効果
を発揮し、
中期計画達成に向けて当該年度に実施
すべきことを行ったか。
(中期目標、中
期計画及び年度計画)、(H23 年度総務省
(柔軟かつ効率的な組織運営)
・原子力政策が不確定な状況下で、東京電力福島第一原子力発電所事故
後の機構に対するニーズの変化、つまり福島対応、原子力施設の安全確
保及び廃止措置分野への取組強化や、新たに放射性物質研究拠点施設
等整備事業への取組が求められる中、戦略性をもって組織を運営した。一
方で、「もんじゅ」の保守管理については、経営が現場の課題を十分把握
できず、保守管理要員の配置が十分でなかった。
・平成 23 年 3 月 11 日に発生した東北地方太平洋沖地震による東京電力
福島第一原子力発電所事故からの復旧対策及び復興に向けた取組への
貢献を重要事業と位置付け、我が国唯一の総合的原子力研究開発機関
としてその科学的技術的専門性を最大限活用して積極的に取り組んだ。
・政府による東京電力福島第一原子力発電所事故に係る炉の廃止措置に
必要な技術開発促進のための研究開発拠点設置構想について、機構は
必要な人材及び技術蓄積並びに研究開発能力を有する総合的研究開発
機関であるとして、経済産業大臣からの要請により研究開発拠点の諸施
・「もんじゅ」の保守管理に対して未点検を防ぐことがで
きなかったことを重く受け止める必要がある。
国の政策
が見えない中で、
高い士気を維持することが困難である
側面に配慮しつつ、今後は一層の PDCA の確実な実施を
期待する。
保守管理に関する未点検のニュースが国民に
与えたショックは非常に大きい。
・事故や点検ミスなどのトラブルが相次いで発生していること
を考えると、マネジメント体制は十分とは言えない。特に、
現場の実務者や技術者への対応が大きな課題となってい
る。企業で実施されている現場での安全管理に関するノウ
ハウを学ぶべきである。
・理事長によるトップマネジメントがないように見える。機構の
在り方、組織、トップの人材等について根本的な改革が必
要。やる気のある生え抜きの研究者やマネージャーがいる
のに、意欲喪失するような組織運営がなされているのでは
項目別-108
2次意見(内部統制))、(提言型政策仕分け)設の整備、維持管理等を行うこととなった。これを受けて、資源エネルギー
庁や東京電力(株)等との拠点整備計画の調整、東京電力福島第一原子
力発電所廃炉対策推進会議の指示による遠隔操作機器・装置の開発実
証試験施設の立地候補地点の調査及び経済産業省からの出資金受入手
続を行うとともに、平成25年4月に廃炉技術安全研究所を設置する検討を
行い、機構内の体制を整備した。
・平成 24 年度の業務運営については、従来業務を合理化・効率化して予
算を削減するとともに福島関連予算を拡大し、東京電力福島第一原子力
発電所事故に関連した廃止措置等に向けた研究開発及び環境汚染への
対処に係る研究開発への取組を強化した。また、機構が保有する原子力
施設の安全確保対策(高経年化対策、耐震強化対策、緊急安全対策等)
への重点化を行った。
・エネルギー政策・原子力政策については、東京電力福島第一原子力発
電所事故以降引き続き政府の見直しの議論が続いている。その議論を受
け、文部科学省の審議会「もんじゅ研究計画作業部会」において「もんじ
ゅ」等の研究開発計画について技術的な検討が実施されている。このよう
な現状や提言型政策仕分けの提言等も考慮して、「もんじゅ」については、
安全を確保するための維持管理、地震・津波に対する緊急安全対策、シビ
アアクシデント対策の検討、耐震の信頼性向上等の安全性の向上に重点
化した取組を実施し、経費の削減及び合理化を図った。しかし、「もんじゅ」
では「保全計画」で定められた約 3 万 9 千の機器のうち、9,847 点の機器に
ついて保安規程に定める「保全計画」を変更しないまま点検間隔の変更等
を行い、「保全計画」に定められた点検時期を超過する事態が発生した。
その根本原因分析の結果、保守管理要員の増員及び技術的チェック等に
専念する技術専門職が必要と判断され、平成 25 年 4 月 1 日付けの人事異
動で電気保修課の人員を20名から29名に増員するための準備を行った。
また、高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCT)についても、施設・設
備の維持管理、技術基盤の維持及び国際協力を活用した安全設計クライ
テリアの構築と関連する安全性向上対策検討といった取組に限って実施
し、研究開発費を大幅に縮減した。
(内部統制・ガバナンスの強化)
・内部統制・ガバナンスの強化の一環として、通常の経営管理 PDCA サイ
クルでの確認事項に加え、中期計画及び年度計画に基づいた事業運営に
係るリスク管理について改善を図った。具体的には、平成 24 年度監事監
査での指摘(すなわち、それぞれの組織は、1実情に即したリスクを具体
ないか。内側から当人たちが改革していくことを期待する。
・ガバナンスの形成、コンプライアンス(コンプライアンススタ
ンダードの作成からその遵守を含む。)、リスクマネジメント
等において不備が存在していた結果が「もんじゅ」の問題で
あるとの認識が必要。当該法人が原因としてあげている安
全に対する意識の欠落は、現場に存在しているのみではな
く、総合的なマネジメントの仕組みに取り込んでこなかった
ところに存在するのではないか。
早急に、資産管理、人事管理等放射線を扱うために必要と
される規制要素を取り込んだデータベースを完成させ、こ
れによるモニタリングが適時・適切に発揮できるマネジメン
ト体制を確立する必要があると思われる。この事故は国の
政策を変更させてしまうレベルの問題であるという認識が
必要である。
・もんじゅの保守管理は、不具合が顕在化した一例であり、
他にも顕在的にマネジメントの劣化が想定される。抜本的
な対策が必要である。
・リスク評価を踏まえた管理体制の再構築には、根本的な経
営体質の改善が不可避である。
・J-PARC については、施設の運用・運転を KEK と共同で行
っているが、果たして有機的に密接な連携が行われている
か疑問。今回の事故を生むベースとなっていたのではない
かと考えられる。混在する実験環境の中での安全確保と一
元的な管理運営ができていたのかについて検証を求める。
項目別-109
的に識別・評価し、2重要度に応じた対応を行い、3リスクを可能な限り軽
減させる取組が適切であったかを経営層に報告することにより、リスク管
理に係る PDCA サイクルを十分に機能させる。)を踏まえ、理事長ヒアリン
グに先立ち経営企画部と各組織との間で現状の取組における意見交換を
行ってリスク管理の取組方針について意識の共有と課題の明確化を図る
など、理事長ヒアリングを頂点とした経営管理サイクルを、より有効に機能
させるよう改善に努めた。
しかしながら、「高速増殖炉研究開発センター」のリスク管理において
は、平成24 年3 月の理事長ヒアリング時に報告された標準リスク分析表に
よると、「プロジェクト管理の不調」はリスクとして認識されていたものの、他
組織では記載のある「管理」面でのリスク分析がなされておらず、保守管
理不備問題が顕在化した後の平成 25 年 3 月の理事長ヒアリング時におい
て、「管理」の観点から「保守管理不備の原因となった職場実態の掌握不
足による統制の劣化」がリスク要因として報告された。このように、「もんじ
ゅ」ではリスク分析に基づくリスク管理が十分機能したとは認め難い。
・役職員のコンプライアンス徹底のため、職員等全員(機構業務に従事す
る者を含む。)に対しコンプライアンス通信を年間 13 回発行した。コンプラ
イアンスに関して、機構業務に密接に関わる事項やトピックスを中心に、ま
た、各組織の良好取組事例を紹介することにより、コンプライアンス活動の
普及に努めた。さらに、携帯用コンプライアンスカードを配布し、職員等の
個々のコンプライアンス意識の一層の定着化に努めた。しかしながら、「も
んじゅ」の保守管理上の不備に関しては、職員が保安規定に基づく保全計
画で求められる有効性評価をせずに、点検時期等の変更を行ったため、コ
ンプライアンス意識の維持・向上という観点から検証が必要となっている。
・職務の公正性や透明性を確保するために平成 21 年度に制定した「役職
員の再就職あっせん等の禁止について」及び「不公正取引行為報告・通報
規程」について、平成 24 年度も引き続き定年退職予定者への説明会等を
通じ、理解促進と意識向上を図った。
(人材・知識マネジメントの強化)
・機構の研究開発に不可欠な「人材の確保、育成及び活用」の基本方針と
なる「人材マネジメント実施計画」に基づき、各組織で必要となる人材及び
保存・継承が必要な知識管理の具体的な取組について、経営管理 PDCA
サイクルによるそれぞれの状況確認等を通して、人材・知識マネジメントを
確実に実施した。
・人材マネジメントについては、優秀な人材の確保、原子力界をリードする
項目別-110
しろまる東京電力福島第一原子力発電所事故後
の社会状況や原子力・エネルギー政策の
見直しの議論の方向性を踏まえながら、
引き続き、職員の高い士気・規律を維持
するための取り組みを行ったか。
(H23 年
度独法評価結果関連)
人材の育成、各人の能力を最大限に発揮させる人材の活用及び機構でこ
れまでに培った技術の確実な継承を図るため、平成 23 年度に策定した
「人材マネジメント実施計画」に基づき、各研究開発部門等と連携して、機
構内外との人材流動化の促進、キャリアパスを考慮した人事異動、新入職
員への実務教育の充実及びマネジメント研修の充実を図るとともに、新た
にリーダー研修を導入し、計画的に人材マネジメントの取組を進めた。
・知識マネジメントに関して、各組織で保存・継承が必要なデータや情報等
の知識を集約する知識ベースの構築に向け、各組織において保有する知
識・経験・ノウハウ等について、それぞれの組織の実情に応じた対応を継
続した。
(研究組織間の連携による融合相乗効果の発揮)
・機構の各部署で保有している分析機器等の研究インフラの有効活用を
図るため、保有部署以外の利用に供することができる機器リストを更新し、
さらに平成 23 年度末に実施したアンケート結果をイントラネットに掲載して
機構内に周知し活用を進めた。組織間の連携・融合を促進する観点で、平
成 24 年度は、若手人材育成だけでなく、機構内の異なる部門、異なる拠
点及び同一拠点内の部門・拠点の連携した研究シーズの発掘を目的に、
経営企画部、先端基礎研究センター及び財務部が協力して、寄付金を財
源とする「機構内競争的研究資金制度」を新たに設けて機構内公募を実
施した。(平成 25 年 4 月末に 14 件の連携課題の採択を決定)
・機構では、経営理念(ミッション、スローガン、基本方針及び行動基準)を
制定し、職場での掲示、イントラネットへの掲載及び人事研修における職
員周知とともに、経営層の意識を職員に伝達し、これらの浸透向上に努め
てきている。また、役員による全国の拠点巡視の際には、職員を集めての
訓示や職員との意見交換を実施し、経営層による経営理念の伝達や職員
との直接のコミュニケーションにより、職員の高い士気・規律の維持に努め
た。
また、職員全般の士気の高揚及び業務の活性化に資することを目的とし、
職務に関する有益かつ顕著な業績又は社会的に高く評価された実績を挙
げた職員等を顕彰しており、平成 24 年度は表彰委員会により研究開発功
績賞、創意工夫功労賞等に計 40 件を選定し、平成 24 年 10 月に理事長か
ら表彰を行った。
・原子力安全を確保するため、役員巡視や意見交換会など
を通して、必要な予算の確保も含めて現場の悩みや問題
点を吸い上げ解決することを期待する。
項目別-111
しろまる平成 25 年度の業務運営について、エネ
ルギー・原子力政策の議論を見据えつ
つ、原子力の安全確保等の観点から必要
な取組の実施に向けて、合理的、効率的
となるよう実施計画等を策定したか。
(提言型政策仕分け)、(国会版仕分け)
・平成 25 年度業務運営計画について、平成 24 年度に以下のとおり策定し
た。平成 25 年度は、平成 24 年度に引き続き、中期計画において優先的に
実施すべき重要事業と位置付けられた東京電力福島第一原子力発電所
事故からの復旧対策及び復興に向けた取組へ貢献するため、我が国唯一
の総合的原子力研究開発機関としてその科学的・技術的専門性を最大限
活用して積極的に取り組むこととしている。高速増殖炉サイクル技術の研
究開発実施計画については、政府の原子力政策及びエネルギー政策が
見直されるまでの間、「もんじゅ」の安全対策、施設・設備の安全確保の観
点からの維持管理及び安全性向上対策に重点化して効率的に実施する。
特に、保守管理上の不備への対応は、機構としての最優先事項として取り
組む。
・業務の実績を評価し、その結果を業務の改善等に反映させる経営管理
PDCA サイクルの運用を実施しており、研究開発部門及び拠点ごとに設定
した平成 24 年度実施計画に対して、10 月に上期実施状況を、年度末に年
度全体の実施結果と平成 25 年度実施計画を、理事長自らが各組織長か
らヒアリングを行い、各組織の業務課題の把握と解決に向けた方針の指
示等を行うとともに、その中で重要なものについては適時報告を求めるな
ど、きめ細かいチェック機能が働くような工夫を行った。また、これら定期的
な機会以外にも、理事長が直接現場職員から業務上の課題を聴き解決に
向けた指示を適宜行った。しかしながら「もんじゅ」の保守管理上の不備に
おいては、根本原因分析の結果、「経営層と現場とのコミュニケーションが
不十分」とされるなど、理事長を始めとする経営層が保守管理に係る課題
の把握ができず未点検を防ぐことができなかったことから、経営管理として
の PDCA が十分有効に機能したとは認め難い。
・理事長のリーダーシップの下、理事会議において経営方針を明確化し、
役員巡視など双方向の意思疎通を行うことで、機構ミッションの周知徹底
並びに経営層による重要な情報等の把握及び共有を図り、経営層による
経営企画機能強化の取組を継続した。
・大型プロジェクトである高速増殖炉サイクル関連技術開発、ITER/BA 及
び J-PARC については、理事長を委員長とする推進委員会等を開催し、事
業の進捗状況、解決すべき課題等を報告させ、今後の推進方針の明確
化、経営リスクの管理等を行った。
項目別-112
【法人の長のマネジメント】
(リーダーシップを発揮できる環境整備)
・ 法人の長がリーダーシップを発揮できる環
境は整備され、実質的に機能しているか。
(法人のミッションの役職員への周知徹底)
・ 法人の長は、組織にとって重要な情報等に
ついて適時的確に把握するとともに、法人
のミッション等を役職員に周知徹底してい
るか。
【リーダーシップを発揮できる環境の整備状況と機能状況】
・平成 22 年度に理事会議規程の審議事項及び報告事項の種別等を見直
して以降、各組織が理事会議に附議する基準及び理事会議における附議
内容の位置づけが明確になり、経営層が各組織の状況を的確に把握でき
るようになった。また、理事長のリーダーシップの下、理事会議において経
営方針を明確化し、役員巡視など双方向の意思疎通を行うことで、機構ミ
ッションの周知徹底、並びに経営層による重要な情報等の把握及び共有
を図り、経営層による経営企画機能強化の取組を継続した。平成 24 年度
は、理事会議を 35 回開催し、経営上の重要事項について審議した。
・研究開発部門長及び研究開発拠点長に責任と権限を持たせ、効果的・
合理的な業務運営を継続した。研究開発部門や拠点等における各組織独
自の会議に加え、東海研究開発センターや敦賀本部等の研究開発拠点で
は、拠点長、当該拠点の研究開発施設長、関連する研究開発部門長や部
長等が参加する拡大会議を適宜(週 1 回〜月 1 回程度)開催した。また、
福島対応、試験研究炉の再稼働、バックエンド等のトピックスについて、関
係する拠点長、部門長、施設長等が参加する会議を随時開催した。これら
の会議の中で、課題解決に向けた目標設定や達成度の評価等を行うこと
によって、各組織の PDCA サイクルを通じた業務運営を行った。また、これ
ら会議体に各組織の担当理事が参加して機構全体の横断的視点から意
見することにより、組織間の有機的連携確保を図った。
【組織にとって重要な情報等についての把握状況】
【役職員に対するミッションの周知状況及びミッションを役職員により深く浸
透させる取組状況*】・業務の実績を評価し、その結果を業務の改善等に反映させる経営管理
PDCAサイクルの運用を実施しており、研究開発部門・拠点ごとに設定した
平成 24 年度実施計画に対して、10 月に上期実施状況を、年度末に年度
全体の実施結果と平成 25 年度実施計画について、理事長自らが各組織
長からヒアリングを行い、各組織の業務課題の把握と解決に向けた方針
の指示等を行うとともに、その中で重要なものについては適時報告を求め
るなど、きめ細かいチェック機能が働くような工夫を行った。また、毎週開
催される役員会議等の会議体を通じ、或いは各組織の担当理事等からの
報告により、各組織の業務の進捗や抱える課題についての情報を把握す
るとともに、理事長が直接現場職員から業務上の課題を聴き解決に向け
た指示を適宜行った。一方、機構外部の情勢については、経営企画部が
・事故や点検ミスなどのトラブルが相次いで発生していること
を考えると、理事長によるトップマネジメントがうまく機能し
ていないように見える。機構の在り方、組織、トップの人材
等について根本的な改革が必要である。
・事故や点検ミスなどのトラブルが相次いで発生していること
を考えると、マネジメント体制は十分とは言えない。
項目別-113
(組織全体で取り組むべき重要な課題(リス
ク)の把握・対応等)
・ 法人の長は、法人の規模や業種等の特性
を考慮した上で、法人のミッション達成を阻
害する課題(リスク)のうち、組織全体として
取り組むべき重要なリスクの把握・対応を
行っているか。
理事長の経営スタッフとして、国、自治体、電力事業者等、機構の事業に
関係する外部組織の動向について、随時開催される委員会等への参加・
傍聴や関係者との打合せを通じて情報を収集し、適宜経営層に報告した。
機構のミッションである中期目標、中期計画及び年度計画について、イン
トラネットへの掲載を行うとともに、業務連絡書による連絡で各組織内での
周知徹底を図っている。また、経営企画部と各組織との間で密接な連携を
取りつつ、中期計画の内容を十分に理解した上で翌年度の計画を作成し、
また独法評価のための資料作成時や理事長ヒアリングの機会に中期計画
や年度計画をレビューすることにより、各組織への浸透を図っている。
特に平成 24 年度は、理事長ヒアリングにおいて未達成見込み事項や政
策見直し遅延による影響に着目するとともに、各組織で抽出した重要リス
ク及びその取組状況・課題等について重点的に報告させ、事業の進捗管
理並びに課題の把握及び対策をより実情に即した形で行えるようにした
(「(2)内部統制・ガバナンスの強化」の節で詳述)。
【組織全体で取り組むべき重要な課題(リスク)の把握*
状況】
【組織全体で取り組むべき重要な課題(リスク)に対する対応*
状況】
・内部統制・ガバナンスの強化の一環として、通常の経営管理 PDCA サイ
クルでの確認事項に加え、中期計画及び年度計画に基づいた事業運営に
係るリスク管理について改善を図った。具体的には、平成 24 年度監事監
査での指摘(すなわち、それぞれの組織は、1実情に即したリスクを具体
的に識別・評価し、2重要度に応じた対応を行い、3リスクを可能な限り軽
減させる取組が適切であったかを経営層に報告することにより、リスク管
理に係る PDCA サイクルを十分に機能させる。)を踏まえ、理事長ヒアリン
グに先立ち経営企画部と各組織との間で現状の取組における意見交換を
行ってリスク管理の取組方針について意識の共有と課題の明確化を図る
など、理事長ヒアリングを頂点とした経営管理サイクルを、より有効に機能
させるよう改善に努めた。
しかしながら、「高速増殖炉研究開発センター」のリスク管理においては、
平成 24 年 3 月の理事長ヒアリング時に報告された標準リスク分析表によ
ると、「プロジェクト管理の不調」はリスクとして認識されていたものの、他
組織では記載のある「管理」面でのリスク分析がなされておらず、保守管
理不備問題が顕在化した後の平成 25 年 3 月の理事長ヒアリング時におい
て、「管理」の観点から「保守管理不備の原因となった職場実態の掌握不
足による統制の劣化」がリスク要因として報告された。このように、「もんじ
・リスク分析やそれに基づくリスク管理が不十分であったと判
断する。
・リスク評価を踏まえた管理体制の再構築には、根本的な経
営体質の改善が不可避である。
項目別-114
・ その際、中期目標・計画の未達成項目(業
務)についての未達成要因の把握・分析・
対応等に着目しているか。
(内部統制の現状把握・課題対応計画の作成)・ 法人の長は、内部統制の現状を的確に把
握した上で、リスクを洗い出し、その対応計
画を作成・実行しているか。
ゅ」ではリスク分析に基づくリスク管理が十分機能したとは認め難い。
【未達成項目(業務)についての未達成要因の把握・分析・対応状況】
・平成 24 年度は、理事長ヒアリングにおいて中期目標・計画の未達成が想
定される事項(材料試験炉 JMTR の再稼働等)や政策見直し遅延による影
響に着目するとともに、各組織で抽出した重要リスク及びその取組状況・
課題等について重点的に報告させ、事業の進捗管理並びに課題の把握を
行い、試験研究炉の再稼働を早期に実現するよう炉を保有する拠点間で
情報共有して対応方針の整合を図る等の対応を行った。
【内部統制のリスクの把握状況】
【内部統制のリスクが有る場合、その対応計画の作成・実行状況】
・内部統制・ガバナンスの強化の一環として、通常の経営管理 PDCA サイ
クルでの確認事項に加え、中期計画及び年度計画に基づいた事業運営に
係るリスク管理について改善を図った。具体的には、平成 24 年度監事監
査での指摘(すなわち、それぞれの組織は、1実情に即したリスクを具体
的に識別・評価し、2重要度に応じた対応を行い、3リスクを可能な限り軽
減させる取組が適切であったかを経営層に報告することにより、リスク管
理に係る PDCA サイクルを十分に機能させる。)を踏まえ、理事長ヒアリン
グに先立ち経営企画部と各組織との間で現状の取組における意見交換を
行ってリスク管理の取組方針について意識の共有と課題の明確化を図る
など、理事長ヒアリングを頂点とした経営管理サイクルを、より有効に機能
させるよう改善に努めた。
・役職員のコンプライアンス徹底のため、職員等全員(機構業務に従事す
る者を含む。)に対しコンプライアンス通信を年間 13 回発行した。コンプラ
イアンスに関して、機構業務に密接に関わる事項やトピックスを中心に、ま
た、各組織の良好取組事例を紹介することにより、コンプライアンス活動の
普及に努めた。さらに、携帯用コンプライアンスカードを配布し、職員等の
個々のコンプライアンス意識の一層の定着化に努めた。
・職務の公正性や透明性を確保するために平成 21 年度に制定した「役職
員の再就職あっせん等の禁止について」及び「不公正取引行為報告・通報
規程」について、平成 24 年度も引き続き定年退職予定者への説明会等を
通じ、理解促進と意識向上を図った。
・中期目標・計画の未達成項目については、取組状況・課題
の報告やそれらの拠点間における情報共有により、要因把
握・分析のための体制を敷いていることが認められる。未
達成項目の要因の中には、外的な要因もあるが、機構とし
ての、要因把握・分析のためのより一層の自己努力が期待
される。
・リスク分析やそれに基づくリスク管理が不十分であったと判
断する。
・リスク評価を踏まえた管理体制の再構築には、根本的な経
営体質の改善が不可避である。
項目別-115
【監事監査】
・ 監事監査において、法人の長のマネジメン
トについて留意しているか。
・ 監事監査において把握した改善点等につ
いて、必要に応じ、法人の長、関係役員に
対し報告しているか。その改善事項に対す
るその後の対応状況は適切か。
【監事監査における法人の長のマネジメントに関する監査状況】
・法人の長のマネジメントに関する監査として、理事会議、理事長ヒアリン
グ、理事長マネジメントレビュー等の主要な会議に出席し、重要事項が審
議されていることを確認した。また、内部統制上のリスクの一つであるコン
プライアンス活動に取組んでいることを確認するとともに、重要なリスクの
把握・対応の観点から各拠点及び部門におけるリスクの識別、評価及び
対応の状況について監査を実施した。監査結果においては、重要リスクと
は何かの認識が十分でない事例、及び実際に重要リスクに対応するため
に「どのように取り組むのか、またその結果を今後どう活かしていくか」とい
う PDCA サイクルが機能していない事例を指摘した。
【監事監査における改善点等の法人の長、関係役員に対する報告状況】
・ 毎年度、理事長に対し、重点監査事項等を定めた監事監査計画を通知
し、監査を実施。
・ 翌年度の 6 月末に、監査の結果及びこれに基づく意見を理事長に提
出。なお、監査期間中においても適宜、実施状況を報告。また、関係役員
に対しても必要に応じ適宜情報提供。
【監事監査における改善事項への対応状況】
・理事長は、監査の結果及びこれに基づく意見に対し、検討結果及び講じ
た改善措置を書面にて監事へ通知。また、監事は、当該措置等について、
翌年度にフォローアップ監査を実施し、その実効性を確認した。
・監事監査が適切に実施されたと判断される。今後、監査結
果を踏まえ、具体的に踏み込んだ分析・対応が期待される。
項目別-116
【(中項目)II.2】
【(中項目)VII.2.】
2.業務の合理化・効率化
2.施設及び設備に関する計画
【評定】A【法人の達成すべき目標(計画)の概要】
<経費の合理化・効率化>機構の行う業務について既存事業の効率化及び事業の見直しを進め、一般管理費について、平成 21 年
度に比べ中期目標期間中にその 15%以上を削減するほか、その他の事業費について、中期目標期間中にその 5%以上を削減す
る。青山分室については廃止に向けて検討を行うとともに、近接している東海分室と阿漕ヶ浦分室については、中期目標期間内に売
却を含めてその在り方について抜本的に見直す。
<人件費の合理化・効率化>人員の効率的配置を行い、平成 22 年度までに平成 17 年度に比べ人件費の 5%以上の削減を図ると
ともに、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針 2006」に基づき、人件費改革の取組を平成 23 年度まで継続する。
<契約の適正化>
機構の締結する契約については、核不拡散、核物質防護、原子力災害防止等の観点から真にやむを得ないものを除き、原則として
一般競争入札等によることとし、透明性、公平性を確保しつつ、公正な手続きにより行い、経費の削減に努める。
<情報技術の活用>
情報セキュリティを確保しつつ、情報技術及び情報システムを用いた業務の効率化やシステムの最適化を図る。
・機能が類似または重複する施設・設備について、より重要な施設・設備への機能の重点化、集約化を進める。業務の遂行に必要な
施設・設備については、重点的かつ効率的に、更新及び整備を実施する。
H22 H23 H25 H26A A実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.209〜222
業務実績報告書 p.262〜267
評価基準 実績 分析・評価
しろまる業務の合理化・効率化のため、年度計画
に基づき、
・一般管理費、その他の事業費の削減を図
るとともに、分室(厚生施設)の廃止のた
めの準備行為等を行い、
・給与水準の適正化に取り組み、
・機構の締結する契約については、原則と
して一般競争入札等によることとし透明
性、公平性を確保した公正な手続きを行
って、競争入札の仕組みの改善など、契
約の適正化に努め、
・主要な収入項目についてそれぞれの定
量的な目標を定め自己収入の確保を図
り、
・情報技術基盤の強化や業務・システム
(経費の合理化・効率化)
・独立行政法人会計基準に基づく一般管理費(公租公課を除く。)について
は、平成 21 年度(2009 年度)に比べ 13.0%削減した。その他の事業費(国
際原子力人材育成ネットワーク、核セキュリティ、福島関連基盤研究及び
外部資金のうち廃棄物処理処分負担金等で実施した事業を除く。)につい
ても合理化を進め、平成 21 年度(2009 年度)に対して 20.1%削減した。
・独立行政法人整理合理化計画(平成 19 年 12 月 24 日閣議決定)への対
応として、分室については、平成 24 年度末をもって廃止等の措置が終了し
た。
(人件費の合理化・効率化)
・役職員の給与水準適正化について適切に公表するとともに、労働組合と
の協議を経て、期末手当の引下げ等を継続的に実施した。
・給与水準の適正化の観点から、期末手当の引下げ(0.08 月)を行い国家
公務員の支給月数を下回る水準とした。また、国家公務員の臨時特例措
置に準じた給与減額措置を平成 24 年 7 月から実施した(国家公務員は 4
・中期計画達成に向けて、
当該年度計画どおりに履行した
と認められる。
項目別-117
の最適化に務め情報技術の活用を図り、
中期計画達成に向けて当該年度に実施
すべきことを行ったか。(中期目標、中期
計画及び年度計画)、(提言型政策仕分け)月から実施)。その結果、平成 24 年度ラスパイレス指数(事務・技術職に
係る対国家公務員年齢勘案指数)は 115.2 となった。
・今後も、社会一般の情勢に適合したものとなるように、類似する民間企業
の給与水準を注視しつつ、給与水準の適正化や職員の年齢構成の改善
等に継続的に取り組むとともに、機構の給与水準の妥当性について、国民
の理解が得られるよう努めていく。
(契約の適正化)
・機構の締結する契約については、競争性のある契約の更なる拡大を目
指し、形だけの一般競争入札とならないように配慮しつつ、核不拡散、核
物質防護、原子力災害防止等の観点から真にやむを得ないものを除き、
原則として一般競争入札等とする取組を継続した。
・一般競争入札等の契約業務においては、原子力研究開発において安全
確保及び品質確保のための必要な条件を仕様書に記載するとともに、競
争性及び透明性を確保すべく過度の入札条件を禁止し、複数の業者が入
札に参加できるよう入札条件を見直すなどの取組を継続した。これらが適
切に担保されているかについては、専門的知見を有する技術系職員を含
む機構職員を委員として契約方式の妥当性等の事前確認を行う契約審査
委員会において、少額随意契約基準額を超える全ての案件について厳格
に点検・検証を行い、確認した。
・平成 24 年度には一者応札率が 32%となり、年度計画目標である 50%以下
(平成 23 年度 36%)を達成した。
・更なる応札業者の参入拡大を図るべく、電子入札の適用拡大及び競争
参加資格者の拡大(約 4,500 社⇒約 73,000 社に増加)を行った。平成 23
年度から導入した電子入札については、平成 25 年 1 月以降、それまでの
本部における政府調達案件から、本部における少額随意契約基準額超の
全契約案件へ適用を拡大した。競争参加資格者については、平成 24 年 4
月から国が認めている競争参加資格者も機構の競争参加資格者とするこ
ととした。なお、平成 23 年度の本部における政府調達案件を紙入札で実
施した場合と平成 24 年度の本部における政府調達案件を電子入札で実
施した場合を比較すると、平均応札者数で、紙入札 1.94 者に対し、電子
入札は、2.37 者であり、参入拡大の効果が確認できた。
・従来、国同様に随意契約を行っていた少額随意契約基準額以下の案件
について、より競争性等を高めるため、電子メールを利用した機構独自の
参入公募型競争入札システムを構築し、平成 24 年 10 月から導入した。契
約実績は、874 件、451,114 千円であった。なお、平均応札者は 2.37 者で
・契約も随意契約が減少し、適正化が進んでいることが認め
られる。
項目別-118
あり、競争性等が高められたことを確認できた。
・経費節減の観点から、文部科学省所管の研究開発 8 法人と連携し、調達
方式のベストプラクティスを抽出した、研究開発 8 法人で調達する市場性
の低い研究機器等に係る「納入実績データベース」の構築を継続し、適正
価格での契約に資するべく各法人及び機構全拠点の契約担当課で情報
の共有化を図った。
・一般競争入札導入に係る品質及び安全確保のため、契約請求元による
厳正な技術審査を行い、機構業務に支障が出ないよう取り組んだ。
(自己収入の確保)
・共同研究収入は 3.15 億円(目標額 1.1 億円)、競争的資金の獲得額は
11.19 億円(目標額 20 億円)、共同利用施設収入は 1.32 億円(目標額 5.81
億円)、寄附金は 2.92 億円(目標額 1.29 億円)であった。科学研究費補助
金の間接費獲得額は 2.19 億円(目標額 1.46 億円)、受託収入の獲得額は
237.31億円(目標額123億円)、研修授業料収入は0.68億円(目標額は0.52
億円)であった。これら獲得額に加え、これ以外の自己収入と合わせて、平
成 24 年度の自己収入は 295.14 億円となり、中期目標期間 5 年間の合計
目標額 1,021 億円の 28%を獲得したことになり、これは 5 年間の目標額の
66%に相当する。
(情報技術の活用等)
・スーパーコンピュータについては、安定運用と効率的利用の推進に努
め、年間を通して 90%以上という高い利用率を維持した。また、次期スーパ
ーコンピュータの政府調達手続に着手し、資料提供招請を実施した。業
務・システム最適化については、ネットワーク最適化計画に基づき、主要
情報システム(財務・契約系情報システム、公開 Web 等)のデータをバック
アップするシステムを関西光科学研究所(木津地区)に設置し運用を開始
するとともに、障害箇所の特定を支援するシステムの本格運用を開始し
た。
・環境基本方針、環境目標及び環境年度計画を基に環境配慮活動とし
て、可能な施設については給排気設備の休日停止、冷暖房温度の適正
化、昼休みの消灯等の省エネルギー活動を推進するとともに、平成 24 年
度末には活動結果を踏まえ平成 25 年度環境基本方針等を策定した。ま
た、環境配慮促進法に基づき、機構の平成 23 年度における環境配慮活動
をまとめた「環境報告書 2012」を作成し、平成 24 年 9 月に公表した。エネ
ルギーの使用の合理化に関する法律等の法令に基づく平成 23 年度の報
告書や届出の提出及び環境に関する教育を実施した。
項目別-119
しろまる職員宿舎について、宿舎戸数等の見直し
に取り組んだか。(事務・事業見直し)、
(H23 年度総務省2次意見(保有資産の見
直し))
しろまる保有資産について保有することの妥当性を
これまで同様に確認しながら、不要資産に
ついては処分または国庫返納に向けた取
組み等を行ったか。 (事務・事業見直し)、
(H23 年度総務省2次意見(保有資産の見
直し))
しろまる運営費交付金の積算内訳や積算根拠、前
年度の執行額を明示し、多額の予算を執
行していることの説明責任を果たしたか。
(提言型政策仕分け)
・宿舎については、平成 24 年度に 152 戸廃止し、529 戸の廃止計画中 494
戸の廃止が完了した。残り 35 戸についても、順次廃止のための準備行為
を行った。さらに、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(平
成 22 年 12 月 7 日閣議決定)に基づく「独立行政法人の職員宿舎の見直し
計画」(平成 24 年 4 月 3 日行革実行本部決定)により決定された「独立行
政法人の職員宿舎の見直しに関する実施計画」(平成 24 年 12 月 14 日行
政改革担当大臣決定)について、戸数削減の要請に対応すべく計画策定
に着手した。また、これら以外の福利厚生施設についても利用状況を詳細
に分析し、必要性の検証に着手した。
・機構の保有する資産について、平成 24 年度の物品検査時に資産の有効
活用の調査を実施し、その資産の保有目的や利用状況を確認した。
・独立行政法人整理合理化計画において売却等方針を決定又は検討する
とされた宿舎跡地、那珂核融合研究所未利用地(西地区)、青山分室及び
夏海分室については、文部科学省及び経済産業省と協議した結果、売却
収入により国及び民間出資者に資産を返納することとし、平成 25 年 1 月に
不要財産の処分に係る申請を行い、3 月末に認可された。
・業務の合理化・効率化に係る取組を進めた上で、運営費交付金の積算
内訳や積算根拠、前年度の執行額を明示することへの対応として、事項ご
と、勘定区分ごとの平成 23 年度の執行実績(運営費交付金)及び平成 25
年度概算要求内容について機構のホームページで公表し、多額の予算を
執行していることの説明責任を果たすよう努力した。
【一般管理費の削減状況】
(単位:千円)
23 年度実績 24 年度実績 削減割合
一般管理費 3,190,504 2,818,263 -
人件費(管理系) 4,652,456 4,806,589 -
合計 7,842,960 7,624,852 13.0%
・独立行政法人会計基準に基づく一般管理費(公租公課を除く。)について
は、平成 21 年度(2009 年度)に比べ 13.0%削減した。
・宿舎戸数の削減が着実に進んでいる。
・必要な取組が実施されている。
・説明責任を果たすよう努めている。
項目別-120
【給与水準】
・ 給与水準の高い理由及び講ずる措置(法
人の設定する目標水準を含む)が、国民に
対して納得の得られるものとなっている
か。
・ 法人の給与水準自体が社会的な理解の得
られる水準となっているか。
・ 国の財政支出割合の大きい法人及び累積
欠損金のある法人について、国の財政支
出規模や累積欠損の状況を踏まえた給与
水準の適切性に関して検証されているか。
【事業費の削減状況】
(単位:千円)
23 年度実績 24 年度実績 削減割合
業務経費 98,219,750 81,741,918 -
人件費(事業系) 42,684,194 41,934,578 -
合計 140,903,941 123,676,496 20.1%
・その他の事業費(国際原子力人材育成ネットワーク、核セキュリティ、福
島関連基盤研究及び外部資金のうち廃棄物処理処分負担金等で実施し
た事業を除く。)についても合理化を進め、平成 21 年度(2009 年度)に対し
て 20.1%削減した。
【ラスパイレス指数(平成 24 年度実績)】
・機構においては、給与水準の適正化の観点から、期末手当の引下げ
(0.08 月)を行い国家公務員の支給月数を下回る水準とした。また、国家公
務員の臨時特例措置に準じた給与減額措置を平成 24 年 7 月から実施し
た(国家公務員は 4 月から実施)。その結果、平成 24 年度ラスパイレス指
数(事務・技術職に係る対国家公務員年齢勘案指数)は 115.2 となった。
・国家公務員に比べ、機構の給与水準が高い理由は以下のとおりである。
1 機構は、我が国のエネルギー政策及び科学技術政策上極めて重要な
原子力の総合研究開発機関であり、基礎研究からプロジェクト研究開発に
至るまで多岐にわたる研究開発成果を挙げていくためには、優秀な人材を
確保できるように、職員の給与水準を設定する必要がある。原子力研究開
発の拠点が都市部に立地することが困難な状況下で、大都市に立地し先
端的な技術開発を進める他分野の研究機関や電力会社等の民間企業と
競って有為な人材を確保、維持及び育成していくため、民間企業等との比
較において競争可能な初任給を設定していること
2 職員減少に伴い、積極的に原子力施設の管理等に関する業務に関し
可能な範囲でアウトソーシングを図っているが、そのような状況においても
原子力固有の高い安全性を確保するには、職員をこれらの業務の管理監
督に従事させる必要があるため、高年齢の階層において管理監督的職務
に従事する職員の比率が高くなっていること
3 機構ではプロジェクト型の研究開発体制を採用している部門等があり、
各プロジェクトにおいて同様の職責を担わせ一体性を持って業務を遂行す
・給与水準の適正化に努めているが、今後も、社会一般の
情勢に適合したものとなるように、改善に努め、機構の給与
水準の妥当性について、国民の理解が得られるよう取り組
んでいくことを期待する。
項目別-121
【諸手当・法定外福利費】
・ 法人の福利厚生費について、法人の事務・
事業の公共性、業務運営の効率性及び国
民の信頼確保の観点から、必要な見直し
が行われているか。
る観点から、国家公務員とは異なり、機構全体として研究・技術・事務の各
職種の職員に対して、統一の本給表を採用する必要があること
・厚生労働省の賃金構造基本統計調査に基づき、原子力の開発に関わ
り、採用において競合したり、機構との間で人事交流を行ったりしている電
気業や、関連する化学工業及び鉄鋼業についてラスパイレス指数を試算・
比較した場合、機構の給与水準は高いとは言えない。
・電気業(企業規模 1,000 人以上)の給与水準を 100 とした場合の機構の
給与水準 90.2
・ガス業(企業規模 1,000 人以上)の給与水準を 100 とした場合の機構の
給与水準 84.7
・化学工業(企業規模 1,000 人以上)の給与水準を 100 とした場合の機構
の給与水準 91.6
・公開されているデータを基に、民間の主な競合企業の学部卒の初
任給を以下のとおり比較した場合、機構の学部卒の初任給は高いとは言
えない。
原子力機構 192,100 円
【電 力】中部電力(株)204,000 円、東北電力(株) 193,000 円
【企業】(株)東芝、(株)日立製作所 205,500 円、
三菱マテリアル(株)206,000 円
【研究所】一般財団法人電力中央研究所 202,000 円
・今後も、社会一般の情勢に適合したものとなるように、類似する民間企業
の給与水準を注視しつつ、給与水準の適正化や職員の年齢構成の改善
等に継続的に取り組むとともに、機構の給与水準の妥当性について、国民
の理解が得られるよう努めていく。
【福利厚生費の見直し状況】
・諸手当については、国に準じて必要な見直しを行ってきており、国と同等
の手当としている。
・法定外福利費(福利厚生管理・運営費用等)の支出については、透明性、
適正水準等に留意しながら必要な見直しを行ってきたが、引き続き福利厚
生施策の見直しを図り、効率的な運用に努めていく。なお、レクリエーショ
ン経費については支出を行っていない。
・必要な見直しが行われてきている。
項目別-122
【会費】
・法人の目的・事業に照らし、会費を支出しな
ければならない必要性が真にあるか(特に、
長期間にわたって継続してきたもの、多額の
もの)。
・会費の支出に見合った便宜が与えられてい
るか、また、金額・口座・種別等が必要最低
限のものとなっているか(複数の事業所から
同一の公益法人等に対して支出されている
会費については集約できないか)。
・監事は、会費の支出について、本見直し方
針の趣旨を踏まえ十分な精査を行っている
か。
・公益法人等に対し会費(年 10 万円未満のも
のを除く。)を支出した場合には、四半期ごと
に支出先、名目・趣旨、支出金額等の事項を
公表しているか。
【会費の見直し状況】
・公益法人等への会費については、厳格に内容を精査した上で1 法人当た
り原則 1 口かつ 20 万円を上限として支出した。この結果、国所管の公益法
人等への会費支出については、平成 23 年度 79 法人 85 百万円から 平
成 24 年度 50 法人 3.5 百万円となった。なお、会費の支出対象は、学会な
ど入会しなければ当該団体が主催する会議等に参加できず、最新の技術
情報等が得られなくなるものに限定している。団体への加入については、
機構の規定(「団体への加入について(24 総(通達)第 5 号、平成 24 年 6
月 29 日付)において加入基準を定めており、それを満たした団体のみに加
入の手続きを行うこととしている。
・団体への加入については、機構の規定(「団体への加入について(24 総
(通達)第 5 号)により加入基準を定めており、加入によって機構の業務の
効率化、質の向上に資すること等の条件を満たすこととしている。また、同
規定で、金額・口数・種別等を記載する翌事業年度の加入計画表を作成
の上、必要性等を精査し、会費の支出を行うこととしている。
・監事監査において、「独立行政法人が支出する会費の見直しについて」
(平成 24 年 3 月 23 日行政改革実行本部決定)に基づき、当該支出につい
て、見直しが行われていることを確認している。
・公益法人等への会費については、厳格に内容を精査した上で1 法人当た
り原則 1 口かつ 20 万円を上限として支出し、会費(年 10 万円未満のもの
を除く。)を支出した場合には、会費の支出先、目的及び金額について四
半期ごとにホームページにて公表した。
・公益法人等への会費の支出については、必要な見直しが
進められている。
・公益法人への会費については、適切に公表を行っている。
評価基準 実績 分析・評価
【契約の競争性、透明性の確保】
・ 契約方式等、契約に係る規程類
について、整備内容や運用は適
切か。
・ 契約事務手続に係る執行体制や
審査体制について、整備・執行等
は適切か。
【契約に係る規程類の整備及び運用状況】
・「契約に係る規程類の見直し」については、機構が保有する不動産を一般競争入札において売却す
るに当たり、最低売却価格を定めるため契約事務規程を改正し、参入公募型競争入札システムの導
入等に伴う契約実務マニュアル及び契約請求マニュアルの改定及び見直しを実施した。
【執行体制】
・契約に係る規程類を整備するほか、契約手続きを、より適正に、より効率的に進められるよう契約の
適正化に向けた取組及び契約請求に係る留意事項等を記載した「契約請求マニュアル」を整備し、機
構内に周知している。また、契約担当者向けに「契約実務マニュアル」を整備するとともに、契約実務
・必要なマニュアルの改訂及び見直しに努
めている。
項目別-123
研修等を実施している。
一般競争入札の契約手続き
市場調査のため、仕様書意見招請のための官報公告((注記))⇒契約審査⇒入札公告(14 日又は 50
日((注記)))⇒入札仕様の技術審査⇒開札⇒契約締結⇒契約監視委員会における点検
((注記))政府調達案件
【審査体制】
・「契約事務に係る執行体制」については、平成 17 年 10 月 3 日に設置した契約審査委員会におい
て、契約方式の妥当性等の事前確認を行う体制の強化を図った。具体的には、少額随意契約基準額
を超える全ての案件について、専門的知見を有する技術系職員を含む機構職員を委員とする契約審
査委員会において、契約方式の妥当性等の事前確認を行い、厳格に点検・検証を行った。
【契約監視委員会の審議状況】
・契約監視委員会において、競争性のない随意契約理由の妥当性並びに一般競争入札等であっても
一者応札・応募となった契約及び複数応札・応募であっても応札・応募全てが関係法人となった契約
の妥当性について平成 24 年 8 月、11 月、平成 25 年 1 月及び 3 月に点検を受け、その妥当性が確認
され、結果を機構ホームページに公表した。
・機構の締結する契約については、競争性のある契約の更なる拡大を目指し、形だけの一般競争入
札とならないように配慮しつつ、核不拡散、核物質防護、原子力災害防止等の観点から真にやむを得
ないものを除き、原則として一般競争入札等とする取組を継続した(平成 24 年度の競争性のある契
約の件数割合は、95.3%(平成 23 年度 93%)となった。)。一般競争入札等の契約業務においては、
原子力研究開発において安全確保及び品質確保のための必要な条件を仕様書に記載するとともに、
競争性及び透明性を確保すべく過度の入札条件を禁止し、複数の業者が入札に参加できるよう入札
条件を見直すなどの取組を継続した。これらが適切に担保されているかについては、専門的知見を有
する技術系職員を含む機構職員を委員として契約方式の妥当性等の事前確認を行う契約審査委員
会において、少額随意契約基準額を超える全ての案件について厳格に点検・検証を行い、確認した。
・契約事務に係る執行体制について、体制
強化に努めている。
項目別-124
【随意契約等見直し計画】
・ 「随意契約等見直し計画」の実
施・進捗状況や目標達成に向け
た具体的取組状況は適切か。
【個々の契約の競争性、透明性の
確保】
・ 再委託の必要性等について、契
約の競争性、透明性の確保の観
点から適切か。
【随意契約等見直し計画の実績と具体的取組】
1平成 20 年度実績 2見直し計画
(H22 年 4 月公表)
3平成 24 年度実績 2と3の比較増減
(見直し計画の進捗状況)
件数 金額
(千円)
件数 金額
(千円)
件数 金額
(千円)
件数 金額
(千円)
競争性のある
契約
4,672 98,080,368 5,852 137,704,366 4,439 132,408,685 しろさんかく1,413 しろさんかく5,295,681
競 争 入札3,010 67,847,439 5,147 127,940,260 3,512 95,029,622 しろさんかく1,635 しろさんかく32,910,638
企 画 競
争 、 公
募等
1,662 30,232,930 705 9,764,106 927 37,379,063 222 27,614,957
競争性のない
随意契約
1,587 49,564,546 407 9,940,548 221 10,325,741 しろさんかく186 385,193
合計
6,259 147,644,914 6,259 147,644,914 4,660 142,734,426 しろさんかく1,599 しろさんかく4,910,488
・少額随意契約基準額を超える契約について、契約締結後に契約相手方等の契約情報を機構ホー
ムページで公表することにより、競争性及び透明性の確保を図った。また、競争性のない随意契約に
ついて、競争性及び透明性のある契約方式への移行を計画的に進めた。
【原因、改善方策】
・核不拡散、核物質防護、原子力災害防止等の観点から真にやむを得ないものを除き、原則一般競
争入札等とする取組を継続し、件数においては目標(6.5%)を達成(4.7%)した。一方、金額において
は目標(6.7%)を上回って(7.2%)いるが、平成 23 年度に比べて減少している。
【再委託の有無と適切性】
・平成 21 年度に契約条項の見直しを行い、「全部又は主たる部分の再委託を完全に禁止」することと
した。
・平成 24 年度においても、再委託についての届出の実施状況を、機構独自に実態調査を実施し、適
正に届出が行われていることを確認した。
・随意契約について、必要な見直しに努め
ている。
・再委託について、実態調査を行うなど、必
要な取組が実施されている。
項目別-125
・ 一般競争入札等における一者応
札・応募の状況はどうか。その原
因について適切に検証されてい
るか。また検証結果を踏まえた改
善方策は妥当か。
【一者応札・応募の状況】
1 平成 20 年度実績 2平成 24 年度実績 1と2の比較増減
件数 金額
(千円)
件数 金額
(千円)
件数 金額
(千円)
競争性のある契約 4,672 98,080,368 4,439 132,408,685 しろさんかく233 34,328,317
うち、一者応札・応募
となった契約
2,536 47,215,747 1,433 27,718,322 しろさんかく1,103 しろさんかく19,497,425
一般競争契約 2,604 57,901,022 3,495 94,001,618 891 36,100,596
指名競争契約 406 9,946,417 17 1,028,004 しろさんかく389 しろさんかく8,918,413
企画競争 25 98,850 14 66,115 しろさんかく11 しろさんかく32,735
公募 873 11,405,274 303 7,845,594 しろさんかく570 しろさんかく3,559,680
不落随意契約 764 18,728,806 610 29,467,355 しろさんかく154 10,738,549
【原因、改善方策】
【一般競争入札における制限的な応札条件の有無と適切性】
・機構の締結する契約については、競争性のある契約の更なる拡大を目指し、形だけの一般競争入
札とならないように配慮しつつ、核不拡散、核物質防護、原子力災害防止等の観点から真にやむを得
ないものを除き、原則として一般競争入札等とする取組を継続した(平成 24 年度の競争性のある契
約の件数割合は、95.3%(平成 23 年度 93%)となった。)。一般競争入札等の契約業務においては、
原子力研究開発において安全確保及び品質確保のための必要な条件を仕様書に記載するとともに、
競争性及び透明性を確保すべく過度の入札条件を禁止し、複数の業者が入札に参加できるよう入札
条件を見直すなどの取組を継続した。これらが適切に担保されているかについては、専門的知見を有
する技術系職員を含む機構職員を委員として契約方式の妥当性等の事前確認を行う契約審査委員
会において、少額随意契約基準額を超える全ての案件について厳格に点検・検証を行い、確認した。
・一般競争入札における一者応札については、機構が発注する業務には高度な技術及び専門性を必
要とするものが多く、また、研究開発分野においてはリスクを伴うため、受注可能な企業数は限られた
ものとなってしまうとともに、既存施設の保守等や平成 23 年度等から引き続き実施する案件について
は、互換性も必要となることから、削減が難しい面があると考えられるが、契約業務の透明性及び公
正性を高めるため、競争性のある契約への移行努力を行っている。
これらの取組を行うことにより、平成 24 年度には一者応札率が 32%となり、年度計画目標である
50%以下(平成 23 年度 36%)を達成した。
・一者応札については、年度計画目標を達
成していると認められる。契約業務の透
明性及び公正性を高めるため、競争性の
ある契約への移行のためのさらなる努力
を期待する。
項目別-126
【関連法人】
・ 法人の特定の業務を独占的に受
託している関連法人について、当
該法人と関連法人との関係が具
体的に明らかにされているか。
・ 当該関連法人との業務委託の妥
当性についての評価が行われて
いるか。
・ 関連法人に対する出資、出えん、
負担金等( 以下「 出資等」 とい
う。)について、法人の政策目的
を踏まえた出資等の必要性の評
価が行われているか。
【関連法人の有無】
・関連法人として、独立行政法人会計基準に定める関連公益法人等に該当する 6 法人が存在する。
【当該法人との関係】
【当該法人に対する業務委託の必要性、契約金額の妥当性】
・関連法人(独立行政法人会計基準に定める特定関連会社、関連会社及び関連公益法人)との契約
に関しては、核不拡散、核物質防護、原子力災害防止等の観点から真にやむを得ないもの及び法律
で定められているもの以外は競争性のない契約は行わないこととして、取り組んできた結果、平成 23
年度に引き続き平成 24 年度についても、全て競争契約または公募等の競争性のある契約となってい
る。
【委託先の収支に占める再委託費の割合】
・関連法人との契約 59 件のうち、再委託した契約は 1 件であり、委託先の収支に占める再委託費の
割合は 8%であり、これについても適正に手続きが実施されていた。
【当該法人への出資等の必要性】
・関連法人に対する出資等はない。
・関連法人との契約については、透明性及
び公正性が保たれるようさらなる努力を期
待する。
評価基準 実績 分析・評価
【実物資産】
(保有資産全般の見直し)
・ 実物資産について、保有の必要性、資産
規模の適切性、有効活用の可能性等の観
点からの法人における見直し状況及び結
果は適切か。
【実物資産の保有状況】
1 実物資産の名称と内容、規模
2 保有の必要性(法人の任務・設置目的との整合性、任務を遂行する手
段としての有用性・有効性等)
主要なものは以下のとおり。
・原子力科学研究所:敷地面積 約 213 万m2
原子力科学研究所は、研究用原子炉、加速器、放射性物質を安全に取り
扱える施設など貴重な研究施設を有し、これらを有効に利用した研究を実
施できる重要な研究開発拠点である。
・核燃料サイクル工学研究所:敷地面積 約 107 万m2
・機構が保有している実物資産について、分室の廃止、宿舎
の削減等、保有資産の見直しに努めている。
項目別-127
・ 見直しの結果、処分等又は有効活用を行
うものとなった場合は、その法人の取組状
況や進捗状況等は適切か。
・ 「勧告の方向性」や「独立行政法人の事
務・事業の見直しの基本方針」、「独立行政
法人の職員宿舎の見直し計画」、「独立行
政法人の職員宿舎の見直しに関する実施
核燃料サイクル工学研究所は、使用済燃料の再処理、プルトニウム
(MOX 燃料)、次世代サイクル技術、放射性廃棄物の処理・処分技術の研
究開発など、核燃料サイクルに関する幅広い研究開発を行う重要な研究
開発拠点である。
・大洗研究開発センター:敷地面積 約 153 万m2
大洗研究開発センターは、次世代原子力システムの研究開発、原子力に
よる水素社会の実現に貢献する研究開発、照射試験研究による社会貢献
などを行う重要な研究開発拠点である。
・高速増殖炉研究開発センター:敷地面積 約 107 万m2
高速増殖炉研究開発センターは、発電プラントとしての信頼性実証とナトリ
ウム取扱技術の確立を通じた研究開発成果によって、実際の原子炉以外
で実施する革新的な技術の研究開発成果の信頼性を示す役割等がある
重要な研究開発拠点である。
3 有効活用の可能性等の多寡
・保有の必要性、資産規模の適切性、有効活用の可能性の観点から法人
における見直しの結果、各資産について有効活用が図られている。
4 見直し状況及びその結果
5 処分又は有効活用等の取組状況/進捗状況
6 政府方針等により、処分等することとされた実物資産についての処分
等の取組状況/進捗状況
7基本方針において既に個別に講ずべきとされた施設等以外の建物、土
地等の資産の利用実態の把握状況や利用実態を踏まえた保有の必要
性等の検証状況
8見直し実施計画で廃止等の方針が明らかにされている宿舎以外の宿舎
及び職員の福利厚生を目的とした施設について、法人の自主的な保有
の見直し及び有効活用の取組状況
・独立行政法人整理合理化計画(平成 19 年 12 月 24 日閣議決定)への対
応として、分室については、平成 24 年度末をもって廃止等の措置が完了
した。宿舎については、平成 24 年度に 152 戸廃止し、529 戸の廃止計画
中 494 戸の廃止が完了した。残り 35 戸についても、順次廃止のための準
備行為を行った。 なお、独立行政法人整理合理化計画において売却等方
針を決定又は検討するとされた宿舎跡地、那珂核融合研究所未利用地
(西地区)、青山分室及び夏海分室については、文部科学省及び経済産業
・政府方針等における指摘事項について対応しており、実物
資産の見直しに努めている。
項目別-128
計画」等の政府方針を踏まえて、宿舎戸
数、使用料の見直し、廃止等とされた実物
資産について、法人の見直しが適時適切
に実施されているか(取組状況や進捗状況
等は適切か)。
(資産の運用・管理)
・ 実物資産について、利用状況が把握され、
必要性等が検証されているか。
・ 実物資産の管理の効率化及び自己収入の
向上に係る法人の取組は適切か。
省と協議した結果、売却収入により国及び民間出資者に資産を返納する
こととし、平成 25 年 1 月に不要財産の処分に係る申請を行い、3 月末に認
可された。 さらに、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(平
成 22 年 12 月 7 日閣議決定)に基づく「独立行政法人の職員宿舎の見直
し計画」(平成 24 年 4 月 3 日行革実行本部決定)により決定された「独立
行政法人の職員宿舎の見直しに関する実施計画」(平成 24 年 12 月 14 日
行政改革担当大臣決定)について、戸数削減の要請に対応すべく計画策
定に着手した。また、これら以外の福利厚生施設についても利用状況を詳
細に分析し、必要性の検証に着手した。
9 実物資産の管理の効率化及び自己収入の向上に係る法人の取組
・機構の保有する資産について、平成 24 年度の物品検査時に資産の有効
活用の調査を実施し、その資産の保有目的や利用状況を確認した。また、
中期計画に基づく廃止措置対象施設等については、減損会計を適用した
会計処理を行い、資産が適正に管理・運用されていることを確認した。
また、主要な収入項目について、それぞれ定量的な目標を定め、自己
収入の確保を図っており、「II.2.(3)自己収入の確保について」の項記
載のとおりである。
・機構の保有する資産について、有効活用の調査や利用状
況の確認がなされている。
評価基準 実績 分析・評価
しろまる業務の効率的な推進に資するため、施
設・設備の廃止も含め、
その在り方及び
必要性について継続的に見直すととも
に、年度計画に基づき、
重点化された業
務の遂行に必要な施設・設備について、
効率的な更新及び整備、
東日本大震災に
より被害を受けた施設の復旧など、
中期
計画達成に向けて当該年度に実施すべ
きことを行ったか。
(中期目標、中期計
画及び年度計画)、(提言型政策仕分け)
【施設及び設備に関する計画】
・ 施設及び設備に関する計画は有るか。有
る場合は、当該計画の進捗は順調か。
【施設及び設備に関する計画の有無及びその進捗状況】
・提言型事業仕分けの提言への対応として、施設の稼働率、被災状況、除
染・廃炉に関する研究開発への活用等を考慮して研究施設の稼働の必要
性を精査した。その結果、被災した JRR-4 の利用を一旦休止することと
し、それによる JRR-4 予算の削減を平成 25 年度予算に反映した。
・高速増殖原型炉「もんじゅ」の研究開発に関連する施設・設備、BA 関連
施設、ITER 関連施設、J-PARC 関連施設、量子ビーム応用研究環境及び
固体廃棄物減容処理施設についてそれぞれ整備を進めた。また、東日本
大震災により被害を受けた施設等については、以下のとおり復旧を行っ
た。原子力科学研究所では、JRR-3、NSRR 等の施設について、施設周り
の地盤沈下により損傷した機器類、ひび割れた建家壁、排気筒の補修等
を行い、復旧を進めた。大洗研究開発センターでは、JMTR 原子炉建家及
び附属建屋、排気塔のコンクリートひび割れ補修を行い、復旧を完了させ
るとともに、HTTR 原子炉建家のコンクリートひび割れ補修を進めた。核燃
料サイクル工学研究所では、被災した構内主要道路の補修を進め、応用
・中期計画達成に向けて、
当該年度計画どおりに履行した
と認められる。
項目別-129
試験棟の亀裂した壁と破損したブレスの補修及び実規模開発試験室の破
損した外壁とシャッターの補修等の復旧を進めた。J-PARC センターでは、
平成 23 年度内の必要最低限の復旧による利用運転再開に引き続き、平
成 24 年度は利用運転を行いつつリニアック棟及び 3GeV シンクロトロン棟
周辺道路の復旧、リニアック加速器の給排水設備復旧等を行い、復旧を
完了した。那珂核融合研究所では、ITER 関連機器である超伝導コイル
試験装置のマグネット等の修復を進めるとともに建家の被災度判定調査
の結果を踏まえ、第一工学試験棟及びその他関連建家のひび割れた壁
や付属する空調機等の補修を行い、復旧を完了した。さらに、老朽化した
大洗研究開発センターにおける気象観測塔、高崎量子応用研究所におけ
る量子ビーム応用研究管理棟等の整備を開始した。
項目別-130
【(中項目)II.3】 3.評価による業務の効率的推進 【評定】A【法人の達成すべき目標(計画)の概要】
・事業の全般について、社会的ニーズ、費用対効果、経済的波及効果を勘案した事前評価から事後評価に至る体系的かつ効率的な
外部有識者による評価を実施することにより、各事業の妥当性を評価するとともに、評価結果は、国民に分かりやすく提供し、業務運
営に的確に反映する。
H22 H23 H25 H26A A実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.223〜225
評価基準 実績 分析・評価
しろまる評価結果等の活用による業務の効率的推
進を図るため、年度計画に基づき、各事業
の妥当性を評価するとともに、評価結果を
公表、業務運営に反映するなど、中期計画
達成に向けて当該年度に実施すべきことを
行ったか。(中期目標、中期計画及び年度
計画)
・研究開発の進展等を踏まえ、機構で実施している研究開発について、透
明性を高めるとともに効率的に進める観点から、「国の研究開発評価に
関する大綱的指針」(平成 24 年 12 月 6 日内閣総理大臣決定)を踏まえ、
外部評価計画に基づき、外部の専門家や有識者で構成する各研究開
発・評価委員会による評価を計画的に実施した。
・平成 24 年度は、東京電力福島第一原子力発電所事故への対処のため
に行っている「福島環境回復に関する技術等の研究開発」(オフサイト)の
課題について、新たに福島環境研究開発・評価委員会を設置し、これに
より平成 23 年度以前から設置されている 9 の研究開発・評価委員会と合
わせて 10 の研究開発・評価委員会とし、外部評価委員会の適切な整備
に努めた。
・評価制度を業務の活性化や効率的推進につなげるために、各研究開
発・評価委員会における評価については、理事長からの諮問に基づき実
施し、委員長から答申されている。また、指摘された事項等については、
担当組織において対応方針を検討しそれを評価結果に含め、理事懇談
会の場において経営層に報告している。
・平成 24 年 4 月に実施された先端基礎研究・評価委員会による中間評価
の結果は 7 月に理事長に答申され、平成 24 年 8 月に理事懇談会におい
てそれに対する措置が報告された後、機構ホームページにて公表した。
平成 24 年度中に実施した他の研究開発課題の中間評価結果について
も、福島環境研究開発・評価委員会、安全研究・評価委員会及び原子力
基礎工学研究・評価委員会が年度内に中間評価結果の答申を行うなど、
ホームページでの公表に向けての準備を進めた。
・中期計画達成に向けて、当該年度計画どおりに履行したと
認められる。
・適正に外部評価がされている。
項目別-131
【(大項目)III】
【(中項目)VII.6.】
III 予算(人件費の見積りを含む)、収支計画及び資金計画
6.中期目標の期間を超える債務負担
【評定】A【法人の達成すべき目標(計画)の概要】
・固定経費の節減等による予算の効率的な執行、競争的資金や受託収入等の自己収入の増加等に努め、より健全な財務内容の実
現を図る。
H22 H23 H25 H26A A実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.226〜241
業務実績報告書 p.283〜285
評価基準 実績 分析・評価
しろまる予算は適切かつ効率的に執行されたか。
(中期目標、中期計画及び年度計画)
しろまる22 年度まで及び 23 年度における敷金・保
証金の返戻金等について、将来にわたり
機構の業務を確実に実施する上で必要が
なくなったことの機関決定を行い、当該不
要財産の国庫納付に係る認可申請を提出
し、国庫納付したか。(会計検査院指摘)
・当機構設立時に承継した資産を構成する一部である、未収金計上した消費税還付金、供託金の返
還金、敷金・保証金の解約に伴う返戻金などの資本金見合いの現金預金のうち、設立時から平成 22
年度末までの分約 6 億円及び平成 23 年度分約 5.5 百万円について不要財産と認定し、独立行政法人
通則法第 46 条の 2 第 1 項(不要財産に係る国庫納付等)に基づく政府出資等に係る不要財産の国庫
納付の認可申請及び同法第 46 条の 3 第 1 項(不要財産に係る民間等出資の払戻し)に基づく民間等
出資に係る不要財産の払戻請求の催告の認可申請を平成 24 年 7 月 17 日及び同年 9 月 11 日に行
い、同年 12 月 6 日に主務大臣の認可を受け、同年 12 月 21 日に国庫納付を行った。
・予算について適切に執行し、未
執行部分についても適切な対
応をしているものと判断される。
・不要財産の払戻し請求が行わ
れ、国庫納付がなされたものと
判断できる。
項目別-132
【収入】 【平成 24 年度収入状況】
収入 予算額 決算額 差引増減額 備考
運営費交付金 147,501 147,501 0
施設整備費補助金 23,669 15,652 しろさんかく8,017 (注記)1
設備整備費補助金 8,725 0 しろさんかく8,725 (注記)1
国際熱核融合実験炉研究開発費補助金 15,517 16,510 993 (注記)2
国際熱核融合実験炉計画関連研究開発費補
助金
1,860 1,860 0
特定先端大型研究施設整備費補助金 2,115 40 しろさんかく2,075 (注記)1
特定先端大型研究施設運営費等補助金 7,941 7,821 しろさんかく120 (注記)1
核セキュリティ強化等推進事業費補助金 966 966 0
最先端研究開発戦略的強化費補助金 2,272 2,365 93 (注記)2
原子力災害環境修復技術早期確立事業費補
助金
0 1,279 1,279 (注記)2
その他の補助金 0 165 165
受託等収入 1,392 26,729 25,337 (注記)3
その他の収入 2,152 2,747 595
廃棄物処理処分負担金 9,400 9,639 239
政府出資金 85,000 85,000 0
計 308,511 318,276 9,765
前年度よりの繰越金(廃棄物処理処分負担
金繰越)
24,051 24,782 731
前年度よりの繰越金(廃棄物処理事業経費
繰越)
3,005 3,016 11
前年度よりの繰越金(埋設処分積立金) 16,840 16,961 120
【主な増減理由】
(注記)1 次年度への補助事業の繰越等による減
(注記)2 前年度よりの補助事業の繰越等による増
(注記)3 受託事業等の増
項目別-133
【支出】 【平成 24 年度支出状況】
支出 予算額 決算額 差引増減額 備考
一般管理費 15,051 13,981 しろさんかく1,070
(公租公課を除く一般管理費) 7,562 7,586 24
うち、人件費(管理系) 4,748 4,807 58
うち、物件費 2,813 2,779 しろさんかく34
うち、公租公課 7,490 6,396 しろさんかく1,094
事業費 141,990 136,032 しろさんかく5,958
うち、人件費(事業系) 40,671 42,099 1,428
うち、物件費 100,687 93,778 しろさんかく6,909
うち、埋設処分業務経費 631 154 しろさんかく477
施設整備費補助金経費 21,468 13,313 しろさんかく8,155 (注記)1
東日本大震災復興施設整備費補助金経費 2,329 2,324 しろさんかく4
設備整備費補助金経費 8,725 0 しろさんかく8,725 (注記)1
国際熱核融合実験炉研究開発費補助金経費 15,517 16,402 885 (注記)2
東日本大震災復興国際熱核融合実験炉計画
関連研究開発費補助金経費
1,860 1,816 しろさんかく45
特定先端大型研究施設整備費補助金経費 2,115 40 しろさんかく2,075 (注記)1
特定先端大型研究施設運営費等補助金経費 7,941 7,793 しろさんかく149 (注記)1
核セキュリティ強化等推進事業費補助金経費 532 485 しろさんかく48
東日本大震災復興核セキュリティ強化等推進
事業費補助金経費
434 405 しろさんかく30
最先端研究開発戦略的強化費補助金経費 2,272 2,341 69 (注記)2
原子力災害環境修復技術早期確立事業費補
助金経費
0 1,258 1,258 (注記)2
その他の補助金経費 0 151 151
受託等経費 1,389 24,795 23,406 (注記)3
計 221,624 221,136 しろさんかく488
廃棄物処理処分負担金繰越 29,499 30,688 1,189
廃棄物処理事業経費繰越 2,895 2,747 しろさんかく148
埋設処分積立金繰越 18,391 18,767 376
放射性物質研究拠点等整備事業経費繰越 80,000 85,000 5,000
【主な増減理由】
(注記)1 次年度への補助事業の繰越等による減
(注記)2 前年度よりの補助事業の繰越等による増
(注記)3 受託事業等の増
項目別-134
【収支計画】
【平成 24 年度収支計画】
区分 計画額 実績額 差引増減額
費用の部
経常費用
事業費
一般管理費
受託等経費
減価償却費
財務費用
雑損
臨時損失計171,074
154,799
4,345
1,389
10,541
171,074
181,917
138,668
4,028
27,840
11,381111118
8,412
190,558
しろさんかく10,843
16,131317しろさんかく26,451
しろさんかく840
しろさんかく111
しろさんかく118
しろさんかく8,412
しろさんかく19,484
収益の部
運営費交付金収益
補助金収益
受託等収入
その他の収入
資産見返負債戻入
臨時利益計131,643
22,996
1,389
6,055
10,541
172,625
,128,013
12,703
28,214
6,275
8,567
8,412
192,184
3,630
10,293
しろさんかく26,825
しろさんかく220
1,974
しろさんかく8,412
しろさんかく19,559
純利益
法人税、住民税及び事業税
前中期目標期間繰越積立金取崩額
目的積立金取崩額
総利益
1,550---1,550
1,62662259
1,823
しろさんかく76
しろさんかく62
しろさんかく259
しろさんかく273
【主な増減理由】
・差額の主因は、東京電力福島第一原子力発電所事故に関連する受託事業等の増によるものであ
り、受託事業が当初見込を上回ったため、受託等経費と受託等収入が増加したということである。また
東日本大震災の影響により、臨時損失が増加し、同時に見合いの臨時利益も増加した。
項目別-135
【資金計画】
【財務状況】
(当期総利益(又は当期総損失))
・ 当期総利益(又は当期総損失)の発生要
因が明らかにされているか。
・ また、当期総利益(又は当期総損失)の発
生要因は法人の業務運営に問題等がある
ことによるものか。
【平成 24 年度資金計画】
区分 計画額 実績額 差引増減額
資金支出
業務活動による支出
投資活動による支出
財務活動による支出
翌年度への繰越金計資金収入
業務活動による収入
運営費交付金による収入
受託等収入
その他の収入
投資活動による収入
施設整備費による収入
その他の収入
財務活動による収入
政府出資収入
前年度よりの繰越金計165,661
57,5130112,393
335,567
197,727
147,501
1,389
48,838
25,784
25,784085,000
85,000
27,056
335,567
182,182
156,486
2,984
148,630
490,283
216,211
147,501
25,394
43,316
122,676
15,592
107,084
85,000
85,000
66,397
490,283
しろさんかく16,521
しろさんかく98,973
しろさんかく2,984
しろさんかく36,237
しろさんかく154,716
しろさんかく18,4840しろさんかく24,005
5,522
しろさんかく96,892
10,192
しろさんかく107,08400
しろさんかく39,341
しろさんかく154,716
【主な増減理由】
・差額の主因は受託事業等の増、受託事業が当初見込みを上回ったため、業務活動による支出及び
収入が増加したということ、及び資金運用の増、定期預金、有価証券による資金運用を行ったため、投
資活動による支出及び収入が増加したということである。
【当期総利益(当期総損失)】
一般勘定 350 百万円
電源利用勘定 しろさんかく344 百万円
埋設処分業務勘定 1,817 百万
【当期総利益(又は当期総損失)の発生要因】
・平成24 年度決算において、一般勘定で350 百万円の当期総利益が計上されているが、これは、国庫
補助金収入を財源として流動資産を取得したこと等により、収益と費用の計上時期にズレが生じたこと
によるものである。 電源利用勘定で 344 百万円の当期総損失が計上されているが、これは、旧法人
・当期総利益また当期総損失に
つき、その発生要因について、
理由が明らかにされている。
・業務運営上の問題から生じた
ものとは言えない差額であると
認められる。
項目別-136
(利益剰余金(又は繰越欠損金))
・ 利益剰余金が計上されている場合、国民
生活及び社会経済の安定等の公共上の見
地から実施されることが必要な業務を遂行
するという法人の性格に照らし過大な利益
となっていないか。
・ 繰越欠損金が計上されている場合、その
解消計画は妥当か。
(注記)解消計画がない場合
・ 当該計画が策定されていない場合、未策
定の理由の妥当性について検証が行われ
ているか。さらに、当該計画に従い解消が
進んでいるか。
(運営費交付金債務)
・ 当該年度に交付された運営費交付金の当
該年度における未執行率が高い場合、運
営費交付金が未執行となっている理由が
明らかにされているか。
・ 運営費交付金債務(運営費交付金の未執
行)と業務運営との関係についての分析が
行われているか。
から承継した流動資産が費用化された場合、独立行政法人会計基準上、欠損金が生じる仕組みとな
っていることによるものであり、業務運営上の問題が生じているものではない。埋設処分業務勘定で
1,817 百万円の当期総利益が計上されているが、これは、機構法第 21 条第 5 項に基づき、翌事業年
度以降の埋設処分業務等の財源に充てなければならないものである。
【利益剰余金】
一般勘定 3,240 百万円
電源利用勘定 しろさんかく243 百万円
埋設処分業務勘定 18,771 百万円
・平成 24 年度決算における一般勘定では、前中期目標期間から繰り越した積立金 2,039 百万円につ
いて、前中期目標期間において自己財源で取得した固定資産の減価償却費相当額等 214 百万円の
取崩しを行った結果、当該積立金残高 977 百万円に、平成 23 年度からの積立金 1,912 百万円及び
当期総利益 350 百万円を加え、3,240 百万円の利益剰余金が生じた。これは収益と費用の計上時期
のズレによるものであり、現金を伴う利益ではないため、中期計画に定める剰余金の使途に充てるこ
とができない。電源利用勘定では、前中期目標期間から繰り越した積立金 4,871 百万円について、前
中期目標期間において自己財源で取得した固定資産の減価償却費相当額等 45 百万円の取崩しを行
った結果、当該積立金残高 1,456 百万円から、平成 23 年度からの繰越欠損金 1,355 百万円及び当
期総損失 344 百万円を差し引き、しろさんかく243 百万円の利益剰余金が生じた。これは収益と費用の計上時
期のズレによるものであり、現金を伴う利益ではない。埋設処分業務勘定では、日本原子力研究開発
機構法第 21 条第 5 項積立金 16,954 百万円に、1,817 百万円の当期総利益を加え、18,771 百万円
の利益剰余金が計上されているが、これは、機構法第 21 条第 5 項に基づき、翌事業年度以降の埋
設処分業務等の財源に充てなければならないものであるため、中期計画に定める剰余金の使途に充
てることができない。
【運営費交付金債務の未執行率(%)と未執行の理由】
【業務運営に与える影響の分析】
・一般勘定における運営費交付金債務の未執行率は約 6.4%である。この期末残の主な要因は、原子
力施設等の安全対策、研究開発施設・設備整備のための財源を未契約繰越としたこと等による。電源
利用勘定における運営費交付金債務の未執行率は約 10.9%である。この期末残高の主な要因は、計
画外で必要になった設備等の機能強化、設備の更新、及び、効率的な予算執行を目的とした複数年
度契約等により契約済繰越が発生したこと、並びに、耐震及び高経年化対策等への対応のために留
保した財源を未契約繰越としたことによる。未契約繰越の次年度における執行については、計画に従
って、耐震及び高経年化対応項目等を速やかに実施していくこととする。
・一般勘定における利益剰余金
について、収益と費用の計上時
期のずれによるものであり、現
金を伴う利益ではないというこ
とが認められる。
・電源利用勘定における、マイナ
スの利益剰余金(繰越欠損金)
についても、上記同様、計上時
期のずれによるものであり、現
金を伴うものではないと認めら
れる。
・埋設処分繰越金における、利
益剰余金については、機構法
に基づく、翌事業年度以降の埋
設処分業務等の財源にあてる
べきものであることが認められ
る。
・運営費交付金の未執行率につ
き、その未執行の理由が明らか
にされており、運営費交付金債
務と業務運営との関係につい
ての分析もなされている。
項目別-137
(溜まり金)
・ いわゆる溜まり金の精査において、運営費
交付金債務と欠損金等との相殺状況に着
目した洗い出しが行われているか。
【溜まり金の精査の状況】
【溜まり金の国庫納付の状況】
i)運営費交付金以外の財源で手当てすべき欠損金と運営費交付金債務が相殺されているもの
当期は中期目標期間最終年度ではないため、運営費交付金債務の収益化は、運営費交付金を原
資として発生した費用に対応する額のみであり、該当する項目はない。
ii)当期総利益が資産評価損等キャッシュ・フローを伴わない費用と相殺されているもの
当期総利益は、固定資産除却損等キャッシュ・フローを伴わない費用と、キャッシュ・フローを伴わな
い会計処理上の利益を相殺したものが表示されている。したがって、当期総利益の中に、いわゆる溜
まり金は存在しない。
・いわゆる溜まり金の精査におい
て、運営費交付金債務と欠損
金等との相殺状況に着目した
洗い出しが行われ、いわゆる溜
まり金が存在しないということが
確認できる。
評価基準 実績 分析・評価
【金融資産】
(保有資産全般の見直し)
・ 金融資産について、保有の必要性、事務・
事業の目的及び内容に照らした資産規模
は適切か。
・ 資産の売却や国庫納付等を行うものとなっ
た場合は、その法人の取組状況や進捗状
況等は適切か。
【金融資産の保有状況】
1 金融資産の名称と内容、規模
・機構は、平成 24 年度末における金融資産として投資有価証券 38,965 百万円を保有している。
2 保有の必要性(事業目的を遂行する手段としての有用性・有効性)
・投資有価証券は、廃棄物処理処分負担金(低レベル放射性廃棄物の処理・保管管理・輸送・処分を
機構が実施することに関して、その費用の一部を電気事業者から受け入れる負担金)の運用による
20,858 百万円、埋設処分業務積立金(研究機関、大学、医療機関、民間企業等において発生する低レ
ベル放射性廃棄物の処分事業に係る費用を毎年度の事業に合わせて予算措置した場合、他の研究
開発に支障を来す可能性があることや費用を次世代に先送りしないことを前提に、将来における費用
負担を平準化することを目的とした積立金)の運用による 18,108 百万円であり、いずれも日本国債を保
有している。これらの事業は数十年にわたることから、資金の一部を運用し当該費用に運用益を充当
するものである。
3 資産の売却や国庫納付等を行うものとなった金融資産の有無
・当機構設立時に承継した資産を構成する一部である、未収金計上した消費税還付金、供託金の返
還金、敷金・保証金の解約に伴う返戻金などの資本金見合いの現金預金のうち、設立時から平成 22
年度末までの分 599 百万円及び平成 23 年度分 6 百万円について、国庫納付等を行った。
4 金融資産の売却や国庫納付等の取組状況/進捗状況
・当機構設立時に承継した資産を構成する一部である、未収金計上した消費税還付金、供託金の返
還金、敷金・保証金の解約に伴う返戻金などの資本金見合いの現金預金のうち、設立時から平成 22
年度末までの分約 599 百万円及び平成 23 年度分 6 百万円について不要財産と認定し、独立行政法
人通則法第 46 条の 2 第 1 項(不要財産に係る国庫納付等)に基づく政府出資等に係る不要財産の国
・保有する金融資産について、事
務・事業の目的・内容に加え、そ
の保有の必要性にかんがみて
も、その資産規模が適切であ
る。
・当該国庫納付については、法
人の取組状況や進捗状況につ
き、適切である。
項目別-138
(資産の運用・管理)
・ 資金の運用状況は適切か。
・ 資金の運用体制の整備状況は適切か。
・ 資金の性格、運用方針等の設定主体及び
規定内容を踏まえて、法人の責任が十分
に分析されているか。
(債権の管理等)
・ 貸付金、未収金等の債権について、回収
計画が策定されているか。回収計画が策
定されていない場合、その理由は妥当か。
庫納付の認可申請及び同法第 46 条の 3 第 1 項(不要財産に係る民間等出資の払戻し)に基づく民間
等出資に係る不要財産の払戻請求の催告の認可申請を平成 24 年 7 月 17 日及び同年 9 月 11 日に
行い、同年 12 月 6 日に主務大臣の認可を受けた後、同年 12 月 21 日に国庫納付、平成 25 年 3 月 8
日に民間等出資者への払戻しを行った。
【資金運用の実績】
・廃棄物処理処分負担金及び埋設処分業務積立金については、機構の資金運用方針に基づき日本
国債及び大口定期預金により資金運用を行い、廃棄物処理処分負担金で 232 百万円、埋設処分業務
積立金で 83 百万円の利息を計上した。
【資金運用の基本的方針(具体的な投資行動の意志決定主体、運用に係る主務大臣・法人・運用委託
先間の責任分担の考え方等)の有無とその内容】
・資金運用については、資金等取扱規則及び財務部通達において、運用方法、運用候補の選定等を
定めている。
・長期運用が可能な廃棄物処理処分負担金及び埋設処分業務積立金の資金運用に関しては、理事
長達により別途外部有識者を交えた資金運用委員会を設置し、資金運用方針を定めている。資金運
用方針では、安全性・流動性の確保等運用の基本的考え方や資金運用計画の策定について定めて
いる。
【資産構成及び運用実績を評価するための基準の有無とその内容】
・毎年度外部有識者を交えた資金運用委員会において 運用実績を報告し、了承を得ている。
【資金の運用体制の整備状況】
・廃棄物処理処分負担金及び埋設処分業務積立金については基本方針に基づき財務部が作成した
資金運用計画(案)を資金運用委員会に諮った後、理事会議の承認を得ることとなっている。
【資金の運用に関する法人の責任の分析状況】
・外部有識者を交えた資金運用委員会において審議することにより、資金運用に係る客観性、信頼性
及び透明性を確保している。
【貸付金・未収金等の債券と回収の実績】
・平成 23 年度末の未収金として 7,350 百万円を計上したが、全額回収済みである。
・資金の運用について、適切な
基本的方針について定められて
おり、計上されているとおり、運
用状況は適切である。
・資金の運用体制の整備状況は
適切である。
・外部有識者を交えた資金運用
委員会における審議を行うこと
により、法人の責任が十分に分
析されている。
・平成 23 年度末の未収金は、全
額回収済みであり、貸付金、未
収金等の債権について、現在対
象案件がないことが確認できた。
項目別-139
・ 回収計画の実施状況は適切か。i)貸倒
懸念債権・破産更生債権等の金額やその
貸付金等残高に占める割合が増加してい
る場合、ii)計画と実績に差がある場合の
要因分析が行われているか。
・ 回収状況等を踏まえ回収計画の見直しの
必要性等の検討が行われているか。
しろまる中期目標期間を超える債務負担は、施設・
設備の整備等が中期目標期間を超える場
合で、合理的と判断されるものについて行
われているか。(中期目標、中期計画及び
年度計画)
【中期目標期間を超える債務負担】
・ 中期目標期間を超える債務負担は有る
か。有る場合は、その理由は適切か。
【回収計画の有無とその内容(無い場合は、その理由)】
・資金等取扱規則により納入期限までに払込みをしない債務者に対して、その払込みを督促し、収入
の確保を図ることとしているが、平成 24 年度末現在対象案件がないため、個別の回収計画はない。
【中期目標期間を超える債務負担とその理由】
・研究開発を行う施設・設備の整備等が中期目標期間を超える場合について、当該債務負担行為の
必要性及び資金計画への影響を勘案し合理的と判断される以下の事業を行った。
1 幌延深地層研究計画地下研究施設整備(第 II 期)等事業
PFI 事業として平成 22 年度に契約を締結し開始した「幌延深地層研究計画地下研究施設整備(第
II 期)等事業」を計画どおり着実に進めた。
2 JRR-3 取替用燃料体(第 21、22 及び 23 次)の製作
JRR-3 の継続的な運転には定期的な燃料交換が必要である。JRR-3 取替用燃料体の製作期間
は、ウラン取得から完成体までに 3 か年を要するため、計画的に製作する必要がある。当初計画
では平成 25 年度中に終了する予定であったが、震災等の影響により JRR-3 運転計画を見直し、
平成 23 及び 24 年度予算の一部を平成 25〜27 年度に繰り延べることとなったため契約変更を行
い、中期目標期間を超える債務負担となった。
3 JMTR 燃料要素(第 LR3 次、LR4 次及び第 LR5 次)の製作・輸送
材料試験炉(JMTR)の継続的な運転には定期的な燃料交換が必要である。JMTR 取替用燃料体
の製作期間は、ウラン取得から完成体までに 3 か年を要するため、計画的に製作する必要があ
る。当初計画では平成 26 年度中に終了する予定であったが、震災等の影響により JMTR 運転計
画を見直し、平成 25、26 年度予算の一部を平成 26〜28 年度に繰り延べることとなったため契約
変更を行い、中期目標期間を超える債務負担となった。
4 固体廃棄物減容処理施設の整備
固体廃棄物減容処理施設の整備については、大洗研究開発センターの放射性廃棄物の貯蔵対
策のため、当該施設を建設するものである。建設に長期間が必要であり、また、東日本大震災の
影響もあり、耐震設計変更を反映し建設を進めることから、中期目標期間を超える債務負担となっ
た。
・中期目標期間を超える債務負
担に関し、その必要性と資金計
画への影響を判断し、必要なも
のについては、その合理的な理
由とともに、判断し実行されて
おり、適切である。
項目別-140
【積立金の使途】
・ 積立金の支出は有るか。有る場合は、その
使途は中期計画と整合しているか。
5 ITER トロイダル磁場(TF)コイルの製作
ITER 機構との調達取決めにおける製作合理化と試作を実施する第 2 段階が完了したことから、平
成 24 年度から第 3 段階としての TF コイル第 1 号機の調達活動を開始したものである。TF コイル
製作用の装置を製作し、その後大型の精密機器である TF コイルの製作に 4 年を要するため、中
期目標期間を超える債務負担となった。
6 サルタン試験装置の運転及びサンプル製造に関する取決め
本取決めは、超伝導導体の調達に関して、製作過程においてローザンヌ工科大学の有する性能
評価試験装置(サルタン試験装置)を用いた認証試験を実施するために、ITER 機構との間で締結
したものである。本事業は、ITER 計画に基づき実施するものであるが、超伝導導体の調達を担当
する全 6 極間で試験計画 285 を調整しながら遂行する必要があり、その調整の結果、試験期間を
4 年間とする取決めが締結されたため、中期目標期間を超える債務負担となった。
・上記内容については、平成 25 年 2 月 8 日の機構部会において報告し、中期計画に基づき着実に業
務を実施した。
【積立金の支出の有無及びその使途】
・平成 24 年度決算における一般勘定では、前中期目標期間から繰り越した積立金 2,039 百万円につ
いて、前中期目標期間において自己財源で取得した固定資産の減価償却費相当額等 214 百万円の
取崩しを行った結果、当該積立金残高 977 百万円に、平成 23 年度からの積立金 1,912 百万円及び当
期総利益 350 百万円を加え、3,240 百万円の利益剰余金が生じた。これは収益と費用の計上時期のズ
レによるものであり、現金を伴う利益ではないため、中期計画に定める剰余金の使途に充てることがで
きない。 電源利用勘定では、前中期目標期間から繰り越した積立金 4,871 百万円について、前中期
目標期間において自己財源で取得した固定資産の減価償却費相当額等 45 百万円の取崩しを行った
結果、当該積立金残高 1,456 百万円から、平成 23 年度からの繰越欠損金 1,355 百万円及び当期総損
失 344 百万円を差し引き、しろさんかく243 百万円の利益剰余金が生じた。これは収益と費用の計上時期のズレ
によるものであり、現金を伴う利益ではない。埋設処分業務勘定では、日本原子力研究開発機構法第
21 条第 5 項積立金 16,954 百万円に、1,817 百万円の当期総利益を加え、18,771 百万円の利益剰余
金が計上されているが、これは、機構法第 21 条第 5 項に基づき、翌事業年度以降の埋設処分業務
等の財源に充てなければならないものであるため、中期計画に定める剰余金の使途に充てることがで
きない。
・各勘定において、固定資産の
減価償却費相当額等のため、
積立金の取り崩しが行われて
いる。その結果の利益剰余金
につき、中期計画に定める剰余
金の使途との関わりについて整
理ができている。
項目別-141
【(大項目)V】 V 重要な財産を処分し、又は担保に供しようとするときは、その計画 【評定】A【概要】
現行の中期計画上に記載無し。
H22 H23 H25 H26- -実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.242
評価基準 実績 分析・評価
・重要な財産の処分に関する計画は有るか。
ある場合は、計画に沿って順調に処分に向
けた手続きが進められているか。
【重要な財産の処分に関する計画の有無及びその進捗状況】
・茨城県から道路拡幅事業に係る東海研究開発センター用地の譲渡の要
請を受け、検討した結果、対象用地が道路沿いの一部であり、業務運営
上の影響も限られることから、平成 24 年 7 月に重要財産の処分に係る申
請を行い、認可を受け、県と譲渡契約を締結した。
・財産の処分の手続きは,適正に行われている。
【(大項目)VII】 VII その他の業務運営に関する事項
【評定】C【(中項目)VII.1.】 1.安全確保及び核物質等の適切な管理の徹底に関する事項
【法人の達成すべき目標(計画)の概要】
・業務の実施においては、法令遵守を大前提に、安全確保を業務運営の最優先事項として、施設及び事業に関わる安全確保を徹底
する。また、核物質の管理に当たっては、国際約束及び関連国内法令を遵守して適切な管理を行うとともに、核物質防護を強化す
る。
H22 H23 H25 H26A A実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.244〜261
評価基準 実績 分析・評価
しろまる安全確保及び核物質防護のため、年度計
画に基づき、施設及び事業に係る原子力
安全確保を徹底するとともに核物質等の適
切な管理を行うなど、中期計画達成に向け
て当該年度に実施すべきことを行ったか。
(中期目標、中期計画及び年度計画)
(安全確保)
・機構の基本方針のトップに「安全確保の徹底」を掲げ、平成 24 年度の原
子力安全に係る品質方針、安全衛生管理基本方針及び安全衛生管理基
本方針に基づく活動施策(以下「安全衛生活動施策」という。)に基づき、
安全活動を実施した。
・各拠点においては、具体的な品質目標等に基づく活動及び自主保安活
動の一環として、全国安全週間(平成 24 年 7 月)、全国労働衛生週間(平
・保安規定に基づく教育・訓練等を職員(協力会社社員も含
む)に対して実施し、事故・トラブルの防止に努めていると
認められ、安全確保・改善の取組は着実に実施されている
と評価する。しかし、もんじゅにおける保守管理上の不備が
発生したことから、原子力安全確保の徹底が不十分であっ
たこと、また原子炉等規制法に基づく措置命令等を受けた
ことから、安全にかかわる法令等の順守及び安全文化の
項目別-142
成 24 年 10 月)、品質月間(平成 24 年 11 月)、年末年始無災害運動(平成
24 年 12 月〜平成 25 年 1 月)等の活動や日常業務を通じて安全活動を
展開した。
・平成 24 年度の各拠点における安全活動実施状況及び機構内で発生し
た主な事故・トラブルの傾向と対策並びに法令報告事象等の根本原因分
析(RCA)からの提言を踏まえて、平成 25 年度の原子力安全に係る品質
方針、安全衛生管理基本方針及び安全衛生活動施策を策定した。
・平成 25 年度の安全活動の基本方針は、平成 24 年度の基本方針を継承
することとし、「もんじゅ」における保守管理上の不備への対応は、平成 25
年度の安全統括部長が定める活動施策及び各拠点の活動計画で具体
化することとした。
・各拠点において保安規定等に基づく教育訓練を着実に実施した。安全統
括部においては、保安規定に基づく役員教育(保安活動(平成 24 年 8 月
27 日)及び危機管理(11 月 12 日))を実施した。また、自主保安活動の一
環で、安全活動に係る共通・基礎的な教育として、品質マネジメントシス
テム(QMS)を行う要員(内部監査員等)の育成教育(18 回 252 名参加)、
RCA を行う要員の育成教育(2 回 46 名参加)、危機管理教育(9 回 620
名参加)、リスクアセスメント研修(5 拠点 82 名参加)及び化学物質管理者
教育(9 拠点 128 名参加)について教育訓練を各拠点において実施し、協
力会社員等を含めた知識の習得及び向上を図り、安全技能の向上を図
った。
・負傷事象等の労働災害については、安全統括部が発生した拠点から情
報を入手し、同種事象の未然防止のため、各拠点への情報共有を実施し
た。
・平成 24 年度の安全衛生管理基本方針の一つである「リスクを考えた保
安活動に努める。」に基づく安全衛生活動施策として、「施設、設備等の
習熟とリスクアセスメントの推進」並びに「基本動作(5S(整理・整頓・清
潔・清掃・習慣)を含む。)の徹底及び KY(危険予知)・TBM(ツールボック
スミーティング)の活用」を定め、協力会社員等を含めて、リスクアセスメ
ントや TBM の実施等に取り組んだ。
・安全活動として、3H(初めて、変更、久しぶり)の確認、3 現主義(現場で
現物を見て現実を認識して対応)によるリスクアセスメント等を実施し、事
故・トラブルの再発防止に努めている。
・職員等(協力会社員等を含む。)の安全意識の向上を目的に、自主保安
活動として、原子力科学研究所等の 8 拠点において安全体感教育(火災
醸成ができなかった。現時点での安全文化再徹底と、醸成
のためのたゆまぬ活動を求める。
・多くの施設が老朽化していく中で、安全管理にはさらなる注
意が必要であり、負のレガシーを廃止措置の中で考えなく
てはいけない。安全文化は重要であるが、安全確保の基礎
である必要経費と人材の確保を無視してはいけない。
・もんじゅの例をもとに考えると、機構全体において、「過去
事例を基にした再発防止」「安全文化の醸成」が的確に行
われていると判断することは難しい。
・全ての安全基準を網羅したデータベースを構築し、適時・適
切にデータ相互間のマッチングを自動化できるシステムに
より、安全確保ができている状態であるかを常時判定可能
な状態とする仕組みの構築が必要ではないか。
・根本原因究明をもとにして、「もんじゅ」のプロジェクトだけで
なく、機構全体の活動を着実に進ませるためのトップマネジ
メントの再構築が求められる。
項目別-143
危険、高所危険、感電危険、巻き込まれ危険等)を実施し、職員等に危険
を体感させることでヒューマンエラーの防止に取り組んだ。
・原子力災害及び事故・トラブルに適切に対応するため、各拠点において
総合訓練を行うなど、計画的に教育・訓練を実施した。危機管理教育で
は、「福島原発事故の教訓と現代の危機管理(特殊災害(核物質、生物
剤、化学剤及び放射性物質の災害)対処から見た課題)」をテーマとした
危機管理講演会を原子力科学研究所、核燃料サイクル工学研究所等 9
拠点で開催した。また、全拠点において原子力事業者防災業務計画、保
安規定、事故対策規則等に基づく総合訓練を行った。このうち9 拠点に他
の拠点等から選出した訓練モニタ員及び外部専門家を派遣し、訓練実施
状況の評価及び原子力災害対応等の継続的な改善状況を確認した。
・原子力事業者防災業務計画に基づく防災訓練では、平成 24 年 9 月の原
子力災害対策特別措置法(以下「原災法」という。)の改正に伴い、実施
結果の報告が求められるようになった。原子力規制委員会において原子
力発電所を対象とした「原子力事業者訓練の評価ガイドライン」が検討さ
れており、この評価ガイドラインを参考とした報告が必要となるものと想定
される。これらを踏まえ、平成 24 年度は高速増殖炉研究開発センター、
原子力科学研究所及び大洗研究開発センターにおいて、原災法第 15 条
(原子力緊急事態)に相当する事象等を取り入れた訓練を実施し、平成
25 年度以降の訓練に反映する内容等を確認するとともに、平成 25 年度
に実施結果の報告をすることとした。
・原子力事業者における原子力防災対策の強化のため、平成 25 年度以
降整備予定である原子力事業所内情報等伝送設備(ERSS)及び緊急時
通信設備の設置に向けた調整を実施した。
・原子力災害用遠隔機材(ロボット等)の整備については、核燃料サイクル
工学研究所の福島技術開発特別チームが所掌していた要員、機材等を
安全統括部保安管理課に新設した遠隔機材チームに移管し、対応を開
始した。
・緊急時対応設備として、機構内 TV 会議システム、音声会議システム、緊
急時招集システム、緊急地震速報、緊急時情報通信システム等の継続
運用を行った。
(核物質等の適切な管理)
・計量管理・保障措置については、保障措置協定や二国間原子力協力協
定の適用を受ける核物質等の計量管理や施設の情報を取りまとめて国
に報告した。
項目別-144
・「保障措置委員会」及び「計量管理責任者会議」を適宜開催(前者は平成
24 年 6 月、後者は平成 24 年 7 月、12 月に開催)するとともに、本部と関
係拠点が連携して計量管理業務の実施状況調査を実施(平成 25 年 2 月
〜3 月)し、調査結果の業務への反映等、継続的な業務の改善を図った。
・ 国・IAEA との保障措置に関する協議(ワーキング・グループ会合、プレ
ナリー会合、日・IAEA 合同委員会)に参画し、統合保障措置の円滑な対
応のための調整・支援を実施した。
・機構の各施設における分離プルトニウム管理情報を国に提供した。本情
報は国により「我が国のプルトニウム管理情報」として取りまとめの上、公
表された。
・原子力科学研究所、核燃料サイクル工学研究所、大洗研究開発センター
及び原子炉廃止措置研究開発センター等が計画する輸送に際して、核
物質管理科学技術推進部が輸送及び輸送の許認可に関する技術的な
助言を行うことで、円滑に当該輸送業務を実施した。
・使用済燃料等多目的運搬船「開栄丸」利用について、平成25 年度からの
電気事業者の参入に伴う輸送計画に関する電気事業者等との協議を実
施した(9 回)。
・ 平 成 23 年 1 月 に 発 行 さ れ た IAEA の 核 物 質 防 護 勧 告 文 書
(INFCIRC/225/Rev.5)の国内法への取り入れを考慮した核物質輸送時の
セキュリティの検討を実施するとともに、国が設置した、海上輸送におけ
る核物質防護に関する検討会及び放射性物質等の自動車運搬に係る諸
問題の技術動向調査委員会に参画し、機構の知見を踏まえた助言等を
行い、国内法への取り入れの検討を支援した。
・試験研究炉(JMTR, JRR-3 等)の使用済燃料の対米返還輸送に関し、高
濃縮ウラン使用済燃料等の返還に係る機構-米国エネルギー省(DOE)と
の契約の変更及び DCA(重水臨界実験装置)の高濃縮ウラン使用済燃
料返還に係る新たな契約について DOE と協議した。
・核不拡散の目的で進められている米国の「外国研究炉使用済燃料受入
プログラム(FRRSNF AP:Foreign Research Reactor Spent Nuclear Fuel
Acceptance Program)」の更なる延長及び同受入プログラムに含まれない
核物質や放射性物質の潜在的リスクの縮小等を目的とした Global
Nuclear Cleanout Coalition(GNCC)会合に参画し、2019 年以降の低濃縮
ウラン使用済燃料返還に向けた米国への働きかけを行った。
・国の要請により、核物質防護や放射性物質のセキュリティに関する新勧
告対応検討委員会、核物質防護訓練に必要な知識・技能向上等に向け
項目別-145
しろまる過去に発生したトラブル事象の再発防止に
ついて、必要な措置を的確に実施し、原因
究明、再発防止対策等を行ったか。(H23
年度独法評価結果関連)
た提案に関する委員会及び放射性物質のセキュリティに関する調査委員
会に参画し、専門家の立場から技術的な助言等を行い、国を支援した。
・平成 23 年 1 月に発行された INFCIRC/225/Rev.5 等に基づき、平成 24
年 3 月に改正された核物質防護関係省令に対応するため、中央核物質
防護委員会の下に規則改正対応分科会を設けて、合理的・効果的な防
護措置となるよう技術的及び予算的な観点からの検討を行った。また、核
物質防護規定を変更し、核物質防護措置を強化するとともに、核セキュリ
ティ文化の醸成及び関係法令等の遵守に関する活動方針及び施策を策
定し、平成 24 年 10 月より機構の事業方針に追加して活動を展開した。ま
た、年度末において、これらの活動結果を取り纏め、評価し、機構内で共
有した。
・平成 24 年度に実施した RCA について、主な組織要因及びその対策並び
にそれらを踏まえた機構内での水平展開の状況を以下に示す。
・高速増殖原型炉「もんじゅ」炉内中継装置の落下による変形(拡充)(平
成 22 年度発生)
以下に得られた主な教訓(組織要因)と高速増殖炉研究開発センターに
おいて具体的な行動計画として実施中の再発防止対策の内容を示す。
各拠点には実情に応じて予防処置の検討を行うよう水平展開を実施し
た。
・「設計当時、基本事項は規定していたが、具体的に実行していくための
体制・手順を定めた仕組みがなく、不備な状態が改善されなかった。」:
安全上重要な機器に影響を与える設備を管理要領で明確にし、設計管
理が行われる仕組みに改善する。また、設計の基本機能要求を満足し
ていることを判断できる審査方法を充実する。
・「設置者として設備を維持、管理する上で必要な設計、製作に対する審
査能力を向上させる努力が不足していた。」:設計の基本機能要求を満
たしていることを判断できる力量を明確にする。また、設計審査を行え
る教育訓練プログラムを定めて教育を実施する。
・「設計段階と同じように製作メーカーに頼り、自分たちで課題を発見し、
解決する姿勢が不足していた。」:平成23 年1 月から安全管理強化のア
クションプランを定め、管理職が現場に出向いて安全最優先の意識を
高揚することを実施してきた。さらに、過去のトラブル事例を学ぶ研修等
を実施し、製作メーカーを過度に信頼する傾向から、自ら課題を発見し
解決する組織風土を継続して醸成する。
・トラブル再発防止に向けた種々の取組を継続的に実施して
いることは評価できる。一方、保守管理の不備は、過去、電
気事業者において、大きな問題となっていたものである。機
構において発生した事案ではなかったものの、これらの教
訓を学ぶなど、再発防止に向けた取組が不十分であったこ
とは明らかである。
項目別-146
しろまる安全確保の文化が浸透しているかについ
ての測定などを行って、安全確保に対する
取り組みが改善されたか。(第1期中期目
・再処理施設主排気筒ダクトの貫通孔の確認(平成 23 年度発生)
以下に得られた主な教訓(組織要因)と核燃料サイクル工学研究所再処
理技術開発センター(再処理センター)及び安全統括部で実施した対策
の内容を示す。各拠点には同種事象の再発防止のため水平展開を実施
した。
・「排気ダクトの点検要領等を作成、改訂する際、その妥当性を確認する
仕組みが明確でなかった。」:再処理センターは、マニュアル等の制定
及び改訂時に必要な要求事項を明確にし、その内容が適切に反映され
ていることの確認方法の改善を実施した。
・「点検要領等において、点検結果に伴って補修計画を作成するプロセス
が明確でなかった。」:再処理センターは、点検結果を受けた補修計画
を明確にし、管理される仕組みの改善を実施した。
・「水平展開実施結果の有効性及び処置計画のフォローアップが実施要
領で明確でなかった。」:安全統括部は、水平展開の実施内容及び実施
結果の有効性の評価について明確にし、確実なフォローアップを実施す
ることとした。
・再処理施設分離精製工場における高放射性廃液貯槽の換気ブロワの一
時停止(平成 23 年度発生)
以下に得られた主な教訓(組織要因)と再処理センターで検討中の具体
的な再発防止対策の内容を示す。各拠点には実情に応じて教訓を参考
にするよう情報を共有しており、再発防止対策が具体化された段階で必
要な水平展開を実施する。
・「重要度の高い設備に係る部品類の故障時における影響に対する検討
が十分に行われず、部品レベルの管理基準が整備されていなかっ
た。」:安全上重要な設備等における部品類の故障時のプラントへの影
響を考慮した部品レベルの管理基準を整備し、計画的な予防保全を実
施する。
・「電源供給用制御系の多重化に係る検討の機会を複数回に亘って逸し
た。」:規制要求基準や国際基準等の変更時に、自主的に必要なチェッ
クが実施されるように、最新知見の反映化が実行可能な仕組みを構築
する。
・法令等の遵守活動及び安全文化の醸成活動を、原子炉等規制法に基づ
き「もんじゅ」、「ふげん」、加工施設、再処理施設、廃棄物埋設施設及び
廃棄物管理施設において展開した。また、上記施設以外についても、機
・安全管理への現場力を強化していく対策が求められる。
・保守管理の不備を見る限り、もんじゅにおいては、安全確
保の文化が浸透しているとは言えない状況であると判断さ
項目別-147
標期間全体留意事項), 構の自主保安活動として、「原子力施設における法令等の遵守活動規
程」及び「原子力施設における安全文化の醸成活動規程」に基づき活動
を展開した。これらの活動に当たっては、理事長が原子力施設における
法令等の遵守に係る活動方針及び原子力施設における安全文化の醸成
に係る活動方針を定め、これらに基づき安全統括部長が立案した原子力
施設における法令等の遵守に係る活動方針に基づく活動施策(法令遵守
活動施策)及び原子力施設における安全文化の醸成に係る活動方針に
基づく活動施策(安全文化活動施策)を理事長が確認し、各拠点に周知
した。各拠点長は、活動方針等に基づく活動計画を策定し、「事故・トラブ
ル等の情報に基づく改善指示等の水平展開」、「役員巡視等による経営
層と現場との双方向コミュニケーションによる相互理解の促進」などの活
動を実施した。
・法令等の遵守活動及び安全文化の醸成活動の実施状況を把握するた
め、原子力安全・保安院の「規制当局が事業者の安全文化・組織風土の
劣化防止に係る取組を評価するガイドライン」に示される安全文化要素
の 14 項目に沿った内容について各拠点において聞き取り調査を行った。
調査においては、活動の実施状況を確認するとともに、平成 23 年度の調
査での指摘事項(教育記録の不備)のフォロー(適切に教育が実施され
記録されていることを確認)及び良好事例の抽出(各部課室内で意見交
換を行い、所幹部との双方向のコミュニケーションに現場の意見が上が
るよう工夫した等)を実施した。
・平成 24 年度の各拠点における活動実績、意識調査及び聞き取り調査の
結果、法令報告事象等の RCA からの提言を踏まえて立案した平成 25 年
度の法令遵守活動施策及び安全文化活動施策について、平成 25 年 3 月
7 日に理事長がレビューを行い、その内容を確認し、活動方針とともに策
定した。
・平成 24 年度末の理事長のレビューにおいて、平成 25 年度の活動方針
は、平成 24 年度の活動方針を継承することとし、「もんじゅ」における保守
管理上の不備への対応は、平成 25 年度の安全統括部長が立案する活
動施策及び各拠点の活動計画で具体化することとした。安全文化の醸成
については、以上に示す取組を実施してきた。しかしながら、「もんじゅ」に
おいて保守管理上の不備が発生し、原子炉等規制法に基づく措置命令
等を受けるに至っており、安全に係る法令等の遵守及び安全文化の醸成
の推進は不十分であった。
れる。
項目別-148
【(中項目)VII.3.】 3.放射性廃棄物の処理及び処分並びに原子力施設の廃止措置に関する計画 【評定】A【法人の達成すべき目標(計画)の概要】
・保有する原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理処分は、原子力の研究、開発及び利用を進める上で極めて重要な業務
であり、計画的、安全かつ合理的にこれを実施し、原子力施設の設置者及び放射性廃棄物の発生者としての責務を果たす。そのた
め、平成 23 年度(2011 年度)までに、外部有識者の意見を聴取するなど客観性を確保しつつ、安全を前提とした合理的・効率的な
中長期計画を作成し、これを実施する。
H22 H23 H25 H26S B実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.268〜277
評価基準 実績 分析・評価
しろまる原子力の研究、開発及び利用を円滑に進
めるため、年度計画に基づき、原子炉施設
の廃止措置及び放射性廃棄物の処理処分
を計画的かつ合理的に進めるなど、中期
計画達成に向けて当該年度に実施すべき
ことを行ったか。(中期目標、中期計画及び
年度計画)
・「原子力施設の廃止措置、放射性廃棄物の処理処分に関する中長期計
画」に沿って計画的かつ合理的に進めるため、これまで課題ごとに参加
者を固定して設置していた関係部署間の調整・検討のための既存会議体
を、課題対応方針の意思決定、対応方針の具体化調整及び個別課題の
具体的対応に係る細部検討の 3 階層の会議体に整理するとともに、参加
者を課題に応じて変更可能な運営体系に再構築した。これにより、更なる
バックエンド対策の推進に向けた処理から処分までの全体を俯瞰した検
討体制の強化が図られ、平成 24 年度においては本枠組みの下、年度計
画及び平成 23 年度に策定した「原子力施設の廃止措置、放射性廃棄物
の処理処分に関する中長期計画」の着実な推進に貢献するとともに、バ
ックエンド対策に係る課題の優先順位、役割分担等を明確化するなど重
点化に向けた議論を進めている。
(放射性廃棄物の処理処分に関する計画)
・原子力科学研究所を始めとする各拠点における低レベル放射性廃棄物
の管理については、外部からの受入れも含め安全を確保しつつ、計画的
に廃棄物の保管及び処理を行うとともに、クリアランスに向けた取組を進
めている。また、必要な廃棄物処理設備の整備を進めるとともに、処分に
向けた検討を実施した。
・高減容処理施設については、大型廃棄物の解体分別を含めた前処理及
び高圧圧縮により、200L ドラム缶換算で約 600 本の減容処理を行った。
また、金属溶融設備及び焼却・溶融設備については、維持管理を行っ
た。埋設処分に向けた廃棄体性能及び放射能濃度に係る廃棄体確認デ
ータの整備については、アスファルト固化用濃縮廃液試料の核種分析を
・中期計画達成に向けて、当該年度計画どおりに履行したと
認められる。
・OWTF のスケジュールも見直し、年度計画は達成したと評
価できる。
・高レベル放射性廃棄物の処分コスト算定要素を早期に明
らかにし、施設のライフサイクルコスト(建設から資産除去
債務を含めたコスト)を算定し、コスト議論に対する適切な
情報を提供する必要がある。その後で、当該コストをどの程
度削減できるかによって、社会的アウトカムの算出も可能と
なるので、その後の便益の享受者とコスト負担者の関係に
関する整理にも重要な判断要素を提供することになると思
われる。東日本大震災対応は、上記事態を喫緊の課題とし
ており、その成果を早急に示すべき時ではないか。
・外部要因による計画の見直しにより、当初の LWTF 等の計
画とのずれが出てきており、実態に即した中期計画の修正
が必要である。
項目別-149
実施するとともに、セメント固化体及びアスファルト固化体について、確認
データの調査を進めた。
・低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)については、低放射性濃縮
廃液中に含まれる硝酸根を分解処理した際に発生する廃液のセメント固
化処理条件を確認するため、固化処理条件(材料配合比等)と固化体の
物性(圧縮強度、膨張量、浸透液 pH)等の処分適合性に関するデータ取
得を実施した。また、硝酸根分解装置を設置するために必要な設備の処
理能力、遮へい条件、LWTF の許容荷重等、技術情報の整理を実施し
た。
・固体廃棄物減容処理施設(OWTF)の建設については、東日本大震災を受
けて、廃棄物管理事業としての地震時の状態監視の観点から、内装設備
関係の耐震性を向上させる設計及びその設計を反映した建家内配置を
見直すこととし、平成24年度は、耐震性向上設計と配置の見直しを行うと
ともに、耐震設計が影響しない内装設備機器(放射線遮へい窓等)につ
いて、設工認認可を得て製作を開始した。なお、平成 23 年度の評価結果
「今後は、スケジュールを見直して、着実に履行していくことを求める。」を
受け、建設スケジュールを見直し、着工時期については平成 25 年度第 2
四半期、竣工時期については平成 28 年度とする全体工程のめどを立て
た。第 2 期中期計画である期間内の施設の建設完了及び運転開始は不
可能となるが、今後は見直した全体工程に沿って着実な建設を進めてい
く。
・東海固体廃棄物廃棄体化施設(TWTF)の設計については、可燃・難燃物
の焼却設備を対象に、内装設備に係る詳細設計及び建家の実施設計を
開始した。
・ふげん廃棄体化処理設備については、廃棄体処理に必要な設備のうち、
減容安定化処理装置の導入に向けた設計検討を継続し、平成 24 年度は
本体部の設計検討を実施した。
・高レベル放射性廃棄物の管理については、ガラス固化体の貯蔵方策に
ついて整理・検討を継続的に実施した。
・余裕深度処分相当廃棄物への対応としては、合理的な処分を目指し、関
係機関との調整を実施している。地層処分相当廃棄物への対応として
は、処分実施主体である原子力発電環境整備機構(NUMO)などの関係
機関と、合理的な地層処分に向けた課題の検討などを実施した。
(原子力施設の廃止措置に関する計画)
・廃止措置については安全を前提に計画的に実施している。
項目別-150
廃止措置を継続する施設
(研究炉 2(JRR-2)、再処理特別研究棟、ホットラボ施設(照射後試験施
設)、東海地区ウラン濃縮施設、重水臨界実験装置(DCA)、新型転換
炉「ふげん」、濃縮工学施設、ウラン濃縮原型プラント、製錬転換施設、
夜次鉱さいたい積場、原子力第 1 船(むつ)原子炉施設
中期目標期間中に廃止措置に着手する施設
(ウラン濃縮研究棟、液体処理場、プルトニウム燃料第二開発室、B
棟、ナトリウムループ施設、東濃鉱山)
中期目標期間中に廃止措置を終了する施設
(保障措置技術開発試験室施設(SGL)、モックアップ試験室建家、FP
利用実験棟(RI 利用開発棟)
中期目標期間終了以降に廃止措置に着手する施設
(圧縮処理装置、汚染除去場、A 棟及び旧廃棄物処理建家)
中期目標期間中に廃止措置の着手時期及び事業計画の検討を継続する
施設
(東海再処理施設)
平成 24 年度においては、中期計画に定める施設以外に、新たに廃止措
置を検討する施設はなかった。
【(大項目)VII.5.】 5.人事に関する計画 【評定】B【法人の達成すべき目標(計画)の概要】
・職員の能力と実績を適切かつ厳格に評価し、その結果を処遇に反映させるとともに、適材適所の人事配置を行い、職員の能力の向
上を図る。また、競争的で流動的な研究開発環境の創出を図るために任期付研究員等の活用を促進する。 H22 H23 H25 H26A A実績報告書等 参照箇所
業務実績報告書 p.280〜282
評価基準 実績 分析・評価
しろまる研究開発等の効率的な推進等を図るた
め、年度計画に基づき、若手研究者等の活
用や卓越した研究者等の確保、研究開発等
に係る機構内外との人材交流を促進するとと
(研究開発環境の活性化)
・東京電力福島第一原子力発電所事故への対応及び近年の定年退職者
数増加に伴う原子力施設等に係る技術継承や安全確保等に配慮しなが
ら、機構の将来を担う若手・中堅研究者等の確保に向け、110 名の職員
・大きな改革を行った結果が示されていない。
・産業界との人事交流が十分であるとは見えない。もんじゅ
を初めとした組織の人材配置に一つの原因があった可能
性がある。こうした点において、安全管理の観点からも改善
項目別-151
もに、組織横断的かつ弾力的な人材配置を
実施するなど、中期計画達成に向けて当該
年度に実施すべきことを行ったか。(中期目
標、中期計画及び年度計画)
(任期の定めのない者)採用に取り組んだ。また、東日本大震災被災者等
への配慮の観点から、被災地の高校生 4 名を採用した。さらに、優秀な研
究業績を挙げた 15 名の任期制研究者についてテニュア採用(任期の定め
のない者として採用)を行うとともに、その他任期制研究者に対しては、任
期終了後の進路等について適切なケアを実施した。
(人事交流)
・産業界等との連携、技術協力(人的交流等)及び人材育成の観点から、約
310 名の機構職員について他機関に派遣するとともに、機構外から約 720
名の専門的知識・経験を有する人材や原子力人材育成のための学生等
の積極的な受入れを行った。
(人材配置)
・各部門・拠点における人的資源や業務の状況を確認しながら、組織横断
的かつ弾力的な人員の再配置を実施した。特に、福島技術本部の体制強
化や国からの福島支援に係る要請等に対しては、平成 23 年度に引き続
き、各部門等と迅速な調整を行い、機構大で人員の再配置を行った。
(キャリアパス、マネジメント研修)
・組織運営に係る管理、判断能力及び研究開発能力の向上を図る観点か
ら、国への派遣を通じた原子力行政に関わる経験、経営企画部など機構
内中核組織での経験及び安全統括部などで原子力災害時の危機管理対
応も含めた安全管理等の専門的な実務経験を積ませるなどのキャリアパ
スも考慮した適材適所の人材配置を行った。また、適切な判断力と迅速な
行動力の養成に資するという観点から、「マネジメント実践研修」(課長級
対象)、「マネジメント基礎研修」(課長代理級対象)及び「マネジメント導入
研修」(係長級対象)を継続的に実施するとともに、係長級を対象に、将来
リーダー候補と目される者を選抜し、リーダーシップやマネジメント能力の
向上に資する「リーダー研修」を新たに導入した。
・さらに、女性の採用・登用について、平成 22 年に策定した男女共同参画
推進目標に掲げる「女性職員の採用促進」、「女性職員のキャリア育成」等
の目標に基づき、優秀な女性職員の確保に向けた取組を継続的かつ積極
的に実施するとともに、女性職員の自律的なキャリア形成力向上に係る策
(メンター制度等)を継続的に実施している。
(人事評価制度)
・組織の活性化及び業務の効率的な実施のため、「機構ミッションの達
成」、「人材の育成」及び「適正な処遇」を目的として、各職員の目標設定、
目標の達成度合い及び成果に応じた人事評価を実施し、評価結果を処遇
が必要であると考える。
・東海—敦賀間の人事交流をより積極的に行ってもらいた
い。特に現場において、敦賀では度重なる「もんじゅ」関連
事故等の影響によりモチベーションの低下が懸念される。
今回の点検漏れ等の責任については、機構側は全機構の
問題として捉えて対処していくことを強く希望する。
項目別-152
しろまる減少が懸念される原子力を志望する学生・
研究者・技術者の人材育成機能強化を図る
取組を行ったか。(H23 年度独法評価結果関連)【人事に関する計画】
・ 人事に関する計画は有るか。有る場合は、
当該計画の進捗は順調か。
・ 人事管理は適切に行われているか。
に適切に反映した。また、人材育成の観点から、被評価者への評価結果
のフィードバックにおいて、今後の職員個々人の更なる高い目標の設定や
長所を伸ばすための指導、助言等を行った。
・原子力を志望する若者が減少している現状を踏まえ、優秀な人材確保の
観点から、国内外への採用情報の発信、選考日程の前倒し、採用手法の
更なる見直し(新卒理系採用において研究職・技術職を区分せず一括募
集を推進)等を図った。また、人材育成機能の充実・強化により機構の研
究開発力を向上させ、優秀な人材の確保に資するため、新入職員への実
務教育の充実(将来的に福島関連分野に関わる新卒技術職に対し、基礎
的学力、専門的知識及び技術等実務研修を積ませる観点から原子力基
礎工学研究部門へ配属)、原子力留学の強化(福島復興支援関連テーマ
に特化した留学)等を実施した。競争的で流動的な環境の創出による研究
活動の活性化等の観点から、各部門・拠点と連携しながら、各部門・拠点
における人的資源や研究開発の状況等に留意しつつ、任期制研究者 99
名の受入れを行った。国内外の大学教授等を客員研究員として積極的に
招へいし(94 名)、卓越した研究者による機構の若手研究者等への研究指
導を通じて研究開発能力の向上や研究開発環境の活性化を図った。
【人事に関する計画の有無及びその進捗状況】
・職員(任期の定めのない者)については、3,922 人(平成 23 年度末)から
30 人削減し、3,892 人(平成 24 年度末)とした。
・東京電力福島第一原子力発電所事故への対応及び近年の定年退職者
数増加に伴う原子力施設等に係る技術継承や安全確保等に配慮しなが
ら、機構の将来を担う若手・中堅研究者等の確保に向け、110 名の職員
(任期の定めのない者)採用に取り組んだ。また、東日本大震災被災者等
への配慮の観点から、被災地の高校生 4 名を採用した。さらに、優秀な研
究業績を挙げた 15 名の任期制研究者についてテニュア採用(任期の定め
のない者として採用)を行うとともに、その他任期制研究者に対しては、任
期終了後の進路等について適切なケアを実施した。
・競争的で流動的な環境の創出による研究活動の活性化等の観点から、
各部門・拠点と連携しながら、各部門・拠点における人的資源や研究開発
の状況等に留意しつつ、任期制研究者 99 名の受入れを行った。国内外の
大学教授等を客員研究員として積極的に招へいし(94 名)、卓越した研究
・採用手法の見直しや実務教育の充実など優秀な人材の確
保・育成に向けて取り組んでいる。
・機構内拠点間にまたがる人事計画が機能しているか疑問
である。
項目別-153
者による機構の若手研究者等への研究指導を通じて研究開発能力の向
上や研究開発環境の活性化を図った。
・安全統括部などで原子力災害時の危機管理対応も含めた安全管理等の
専門的な実務経験を積ませるなどのキャリアパスも考慮した適材適所の
人材配置を行った。

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