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鉱山跡措置技術委員会
核燃料サイクル開発機構 人形峠環境技術センターシリーズ
人形峠のウラン鉱山を知るウラ
ン鉱山の
これからウラ
ン鉱山の
これから
核燃料サイクル開発機構
人形峠環境技術センター
〒708‐0698 岡山県苫田郡上齋原村1550番地
TEL.0868-44-2211 FAX.0868-44-2502
http://www.jnc.go.jp/zningyo 21
人形峠周辺のウラン鉱山は、
昭和30年代から昭和62年頃までの活動の時代、
その後の管理の時代を経て、
跡措置
(復旧)
の時代に入っています。
くろまるS30年〜S45年頃
探鉱・坑道採鉱・製錬
くろまるS52年〜S62年頃
露天採掘・ヒープリーチング
昭和30年〜昭和62年 昭和63年〜現在まで そして、
これから活動の時代管理の時代跡措置の時代
人形峠ウラ
ン鉱山3つの時代
ウラン鉱山の3つの時代
跡措置計画は以下のステップを踏み、
進められます。
跡措置を進めるに当たり、
まず大切なことは、
現状の鉱山施設が、
環境に影響がないよう、
鉱山
の法律や基準に従って、
安全に管理されていることです。
跡措置計画を進めるためのステップ
現状管理
どのように跡措置を進めるべきか、
技術的な観点から検討が行われています。
日本でウラン鉱山の跡措置が本格的に行われるのはこの人形峠の取り組みが最初です。そこで、
基本的な考えをつくるとき次のような例や基準などが参考となりました。
くろまる海外におけるウラン鉱山の措置はいくつか
の国で経験があります。また、
国内において
も金属鉱山の措置例が、
鉱さいの安定化な
どで参考となります。
くろまる国際的な基準と考え方や放射性廃棄物の処
理処分の考え方などが、
長期に及ぶ放射線
管理の考え方などで参考となります。
そして現状の管理や基本的な考え方をベ
ースに、
どのように復旧すべきかイメージ
を描きます。そのイメージで長期間にわた
って安全が担保できるかどうか、
まずは今
ある情報をもとにシミュレーションによっ
て確かめてみます。
イメージした措置方法を、
措置の環境や対象物に応じてさらに具
体化し、
安全を確かなものにするために、
周りの環境や対象物の
特徴を調べます。また、
措置に用いる材料や工法について、
室内
や屋外の試験
(実証試験)
を通じて確かめていきます。そこで得
られた情報やデータは、
安全性を確かめるシミュレーションに使
われ、
措置の方法や設計に反映されます。
St e p 1
跡措置の
基本的な考え方の
骨組みをつくる
St e p 2
措置イメージの
具体化のための
調査や試験
措置イメージを
描く
調査や試験などで得られた成果による設計をもとに、さらに地
域のみなさんの考えを踏まえて、地域の特徴に応じた跡措置が
実施されます。
St e p 3
跡措置の実施
跡措置計画は工事の終了とともに次の段階に進みます。工事に
よる影響が落ち着いたかどうか、
環境に影響はないかといったこ
とをモニタリングによって確かめます。
そして、
その後は措置した場所の履歴がわかるような手立てによ
って、
問題がないようにしておくことが重要となります。
St e p 4
跡措置実施後の
モニタリングなど
,,,,,,,,,,,,,,
,,,,,,,,,,,,,,
,,,,,,,,,,,,,,
,,,,,,,,,,,,,,
yyyyyyyyyyyyyy
yyyyyyyyyyyyyy
yyyyyyyyyyyyyy
yyyyyyyyyyyyyy
鉱さい
花崗岩
しかく措置前,,,,,,,,,,,,,,,,,, yyyyyyyyyyyyyyyyyyしかく措置後 43
国際的な基準などから
現状の維持管理から
ウラン鉱山の施設は、
鉱山保安法に基づき、
屋外で管
理されているところがほとんどです。
跡措置を進める
上で重要な管理の基本として放射線管理の考えがあり
ます。
敷地境界の外側におけ
る放射線の線量目標は、
周辺から影響
(バック
グ ランド )を 除 い て
1mSv/年以下で管
理されています。
ICRPの勧告
対策を講じる必要のない
レベルとして、
1mSv/年を
介入免除レベルとしています。 これは、
一般公衆の被ばく線量
限度にもあたります。
IAEAのウラン鉱山の
措置などの基準
ICRPの勧告をベースに、
諸外国から出された
措置のあり方をまとめて
基準案を示しています。
原子力委員会専門部会報告
核燃料施設等から発生する
ウラン廃棄物の処理処分の
考え方がICPRの勧告も踏まえて
示されています。
海外の事例などから
敷地境界
(柵等)
で管理
措置を進めると
措置対象からの影響がどこでも1mSv/年を下回るように
跡措置を進めるにあたり重要なことは、
現状の安全な維持管理のあり方に加えて、
跡措置をどのように考え、
どのよ
うに進めるかという
「基本的な考え方」
を定めることです。まずウラン鉱山の跡措置では、
他の金属鉱山の場合と異
なり、
ウランやラジウムなどによる放射線を防護する考えが重要になります。そこで、
すでに措置が進められている
海外の事例や、
そのような事例も踏まえて検討されている国際的な基準などの考えが参考となります。
フランス、
ドイツ、
カナダ、
オース
トラリア、
そしてアメリカなど海外のウラン鉱山には跡措置事例が数多くあり
ます。
これらの事例が日本のウラン鉱山の跡措置の参考となります。
跡措置の基本的な考え方の骨組みをつくるStep1
カナダの場合
世界最大のウラン生産国のカナダも、
1990年代に入り
多くのウラン鉱山が操業停止になりました。1996年に
閉鎖されたスタンレイ鉱山をはじめとするエリオッ
ト湖
周辺での鉱山跡措置計画は北アメリカでも最大規模の
跡措置作業の一つになっています。
捨石が措置の対象となる例は
全体の1/3程度で、
もっぱ
ら硫黄や砒素などの有害化
学物質が多いのが理由です。
多くは、
下の写真のように覆土、植栽が行われていますが、
なかには、
鉱さいの埋戻しの材
料や道路の敷石に再利用される例もあります。また、アメリカのように捨石が、
措置の対象となっていない国も
あります。
フランスの場合
日本に最も国情が似ているフランスでも過去50年間で、
合計200ヶ所の鉱山が稼動していました。それらのう
ち3/4は1万m2
以上の広い範囲で活動していましたが、
一つを除くすべての鉱山は既に閉鎖され、
残り一つも閉
鎖される予定となっています。
鉱さいたい積場の圧密や遮水措置な
どの工夫や管理の合理化の考え方な
ど、
多くのことが参考になります。
スタンレイ鉱山・跡措置前 スタンレイ鉱山・跡措置後
シャン
トルーブ鉱山・操業中 シャン
トルーブ鉱山・跡措置後
捨石の例
鉱さいについては、
ほとんどが
措置されています。その多く
は自らの重みで水分が抜け
密度を増す圧密や、
覆土、植栽の組み合せですが、
なかには、
湖の底に沈めることで空気と触れないようにし、
酸化し
て有害物質が溶け出ないようにする工夫をしているカ
ナダやフランスの例があります。当然、
もとあった土の
中に戻して覆土する方法にも同様の効果があります。
鉱さいの例
国内金属鉱山の
事例も参考に
鉱さいたい積場の措置例(レカルピエール鉱山) 65
しかくイメージするためのベース くろまる現在も安全に掘り出した場所の周辺で屋外で管理されている。
くろまる天然の状態と同じように放射能が高くなることはない。
くろまる海外でも整形・覆土・植栽が一般的な措置である。
措置イメージを描く
措置のイメージ
整形、
覆土、
植栽を基本にした措置で、
長期間にわたって放射線の影響を防ぐことができるか? 放射性廃棄物処分の
安全評価
(シミュレーション)
の方法を用いて検討してみました。
いま分かっている数値や仮に決めた地下水の量や
速さといった条件を使って被ばく量を試算してみま
した。その結果、
現在考えている方法で安全が担保
できる見通しが得られました。イメージした措置の安全性をみてみる,,,,,,,,,,,,yyyyyyyyyyyy,,,,,,,,yyyyyyyy,,yy,,,,,,,,,,,,,,,,,,yy,,,,,,,,,,yy,,,,,,,,,現状タイプ
覆土・埋設タイプ 地下ピッ
ト埋設タイプ
整形覆土充填材
タイプ 立坑タイプ トンネル斜坑タイプ
しかくイメージをより確かなものに
するために
くろまる構造の安定性は保たれるか?
くろまるたい積物からの溶出量の低減するため、
たい積物への浸透水を抑え、
また、
たい積物から浸透した水の動きを抑えられるか?
くろまるたい積物からのウランやラジウムの溶出および流出を抑えられるか?
くろまる地表からの放射線を遮へいし、
また地表からのラ
ドンの発散を抑えら
れるか? など
,,,,,,,
,,,,,,,
,,,,,,,
,,,,,,,
,,,,,,,
yyyyyyy
yyyyyyy
yyyyyyy
yyyyyyy
yyyyyyy,,,yyy
整形、
覆土、
植栽による
対策を基本に
アメリカでの鉱さいの
覆土概念,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,yyyyyyyyyyyyyyyyyyyyy,,,,,,,,,,,,,,,,,,yyyyyyyyyyyyyyyyyy
,,,,,,,,
,,,,,,,,
ウランなど溶出
鉱さい等ラドン
ラン
ドバリア
排水層
遮水層
植物進入バリア
植物成長層
客土層
植栽 ラ
ドンガス
雨水
浸透水
浸透水
直接γ線の被ばくが1mSv/年以下を担保できるように覆土厚を設定しました。
措置対象物からの被ばくの影響が考えられる経路を検討しました。,,,,,,,,,,,,yyyyyyyyyyyy,,,,,,,,,, yyyyyyyyyy捨石
ラン
ドバリア
排水層
遮水層2m捨石の
場合3m鉱さいの
場合
覆土の厚み
(検討例)
,,,,,,
,,,,,,
yyyyyy
yyyyyy
経路1
経路4
経路5
経路6
経路7
経路2、
3 ,,,,,,,,yyyyyyyy1mSv/年
(単位:mSv/年)
0.0010.010.11捨石の場合
(注記)丸付き数字は経路の番号
鉱さいの場合,,,,,,,,,,,,yyyyyyyyyyyy ,,,,,,,,,,,,yyyyyyyyyyy
y 鉱さい
捨石の場合 鉱さいの場合
ラン
ドバリア
排水層
遮水層ラドンガスラドンガス12345 67計12345 67計
措置の実施までには、
この他にも、
長期的
な対象地域の安定性や各種の基礎的な
データの取得といった現地調査や実証試
験を通して行うものや、ラドンによる被ば
く線量を評価するシミュレーション技術な
どについてひとつひとつの課題を解決し
ていく必要があります。87
イメージした措置方法を、
措置の環境や対象物に応じて具体的に設計しさらに安全を確かなものにしていくために、
たくさんの技術的な課題を解決していく必要があります。周りの環境や対象物の特徴などを調べるのもそのひとつ
で、
次の3つのステージで行います。
現地調査
実際に措置する周りの環境や、措置する対象物について現地調査します。ここでは、
その場でしか得られない水やウランなどの動きに関する情報や、土木工学的なデー
タを取得します。
基礎試験
室内における試験で、
ここでは措置する際に重要になる対象物や、
バリア材料などの
特徴や遮水性、
溶出率などの必要なデータをカラム試験や分析によって取得します。
中規模試験
現地調査や基礎試験の結果などをもとに試験条件を決め、
実際の措置の規模に近いス
ケールの設備で、
覆土の条件などについて試験します。
この試験では設備の有効利用
の観点から、
露天採掘した鉱石の選鉱のためのヒープリーチング施設のコンクリー
ト製
ピッ
トを役立てる考えです。
措置イメージの具体化のための調査や実証試験
Step2
しかく現地調査では コア
(岩石試料)や地下水等の採取
物理探査や地表
からの調査
ボーリング
調査
ボーリング孔を使ったり物理探査
などによって調査します。
しかく基礎試験では,,,,yyyy
試験水
浸出水
試料充填カラム
(捨石、
覆土材等)
雨水や土壌水を模擬した試
験水を、
岩石試料や覆土材、
バリア材を詰めたカラムに
注ぎ、
溶出率等を確かめま
す。その他、
試料の力学的な
特徴等について調べます。
しかく中規模試験では
中規模試験では、
次のようなことを確認します。・実際に安全に措置が行えること。・覆土の厚さや材料が、
放射線の遮へいやラ
ドンの封じ込めに十分機能すること。・覆土による遮水性や透水性等が十分発揮されること。・ウランやラジウムなどの浸透水への溶け出しを抑える機能が十分機能すること。
中規模試験では、
既存のコンクリー
トピッ
トを使って3年から5年かけて試験を行う考えです。
コンクリー
トピッ
トの大
きさは、
1つが約300m3
(約15m
(長さ)×ばつ約7m
(幅)×ばつ約4.5m
(深さ))で、
3つのピッ
トを使います。試験によって
はさらに区切ってより多くの条件での試験を行うこともあります。
|,,,yyy,,,yyy,,,,,,yyyyyy,,,yyy,,yyz| ,,,,,,yyyy ,,,,,,,,yyyyyy,,yy,
模擬浸透水
試料 ベン
トナイ
ト等 骨炭等 グリ石等
覆土材やバリア材の機能につ
いても、
組み合わせを変えたり
厚みを変えるなどしてさまざ
まなデータを取得します。
,,,,,,,,,,,
yyyyyyyyyyy
,,,,,,,,,
,,,,,,,,,
,,,,,,,,,
,,,,,,,,,
yyyyyyyyy
yyyyyyyyy
yyyyyyyyy
yyyyyyyyy
植栽層
(真砂土)
上部排水層
(砂レキ)ラドンバリア層
(粘土)
措置対象物
シャワー
モニタリング
(水収支)
モニタリング
(流速、
水位、
水圧) 109
現地調査や実証試験、
安全評価技術などに関
する技術課題への対応成果は、
跡措置の合理
化に役立つとともに設計および実施に反映さ
れます。
跡措置の実施
Step3
跡措置の工事が終了した後は、
工事の影響が収まり措置が実際に有効、
かつ安全に機能しているか確認するための
モニタリングが必要です。そしてこのモニタリングの結果によって措置が完了となるものと考えています。現段階で
は以下のように考えています。
跡措置実施後のモニタリングなど
Step4
措置概念の構築
実証試験 現地調査
データベース構築 安全評価技術
技術課題の解決
措置の実施
措置の詳細設計
解析・評価
しかく捨石たい積場
現地での措置を基本に、
整形、
覆土、
植栽等を実施。方
面捨石たい積場の措置が最優先。その他のたい積場に
ついても早期完了が目標。z|
しかく鉱さいたい積場
鉱さいたい積場への流入水を低減し、
かつ坑廃水処理
を合理化。鉱さいの固定化のための
ドライアップ後、整形、
覆土、
植栽等を実施。
しかく施設設備の解体物
解体し、
リサイクル処理もしくは
鉱業廃棄物として措置。
洗浄
ブラスト水、
砂等
再利用
鉱業廃棄物
しかく露天採掘場跡地
モニタリング頻度を軽減するなどし管理を継続。
(措置
前例として),,yyzzz,yzz||
公園化
標識 土地使用制限
遠隔監視技術
モニタリング技術
管理システム
措置の実施
工事終了
モニタリング
確認
モニタリング終了
(措置の完了)
能動的な管理 受動的な管理
永続的な賠償義務(例:
鉱業法109条)
長期的な
緩やかな管理
1mSv/y
↑工事終了
↑境界柵撤去
↑20〜30年後頃措置完了
↓200〜300年後頃
時間
線量
水質等
制度的管理
長期間にわたるモニタリング技術やその後の緩やか
な管理の考え方を構築しておく必要があります。
措置完了後の利用方法については、
記念公園化や運
動公園などを視野に入れ、
土地所有者および周辺自
治体と協議しながら決めていくことが必要です。

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