東濃地科学センター
Tono Geoscience Center
〈東濃地域鳥瞰図〉
乗鞍岳
御嶽山 木曽駒ケ岳
笠置山
木曽川
屏風山
土岐川
恵那山
土岐地球年代学研究所
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
核燃料・バックエンド研究開発部門
東濃地科学センター
https://www.jaea.go.jp/04/tono/index.html
2023.2
東濃地科学センターの施設
土岐川
日吉川
土岐市
瑞浪市
3加速器棟
瑞浪用地
東海環状自動車道
Tokai-Kanjo EXPWY
市境界(土岐市 / 瑞浪市)
4総合管理棟
1研究棟
土岐地球年代学研究所
2機器分析棟
国道19ROUTE
国道21ROUTE
正馬様用地
瑞浪地科学研究館
だいやまーく地質環境の長期安定性に係る調査技術開発や長期予測・
影響評価モデル開発
だいやまーく高精度質量分析装置による年代法等の技術開発
1研究棟
2機器分析棟
3加速器棟
4総合管理棟 だいやまーく岩石や水に含まれる金属元素や陰イオン等の分析
だいやまーく測定試料の調製
だいやまーく光/熱ルミネッセンス(OSL/TL)年代法等の技術開発
だいやまーく火山ガラスや鉱物の微小領域の主成分・微量成分の定量
だいやまーく加速器質量分析装置(AMS)による年代法等の技術開発
国道19ROUTE
(2022 年 2 月撮影)
2023.2
東濃地科学センターでは、
地層科学研究を進めています。
地層処分
とは
日本では、原子力
発電所で使い終えた
燃料を、再利用でき
る燃え残ったウラン
や新しくできた燃料
として使えるプルト
ニウム、それ以外の
残存物である高レベ
ル放射性廃棄物に分
けて、資源の有効活
用を行うこととして
います。これを『核
燃料サイクル』と言
います。
高レベル放射性廃棄物からは最
初強い放射線が発生します。放射
線は年月が経つと減っていきます
が、それでも長い間発生します。
そこで人間に影響がないように
処分する必要があります。世界中
でさまざまな方法が考えられまし
たが、最も技術的に実現性が高い
ことから『地層処分』が選ばれて
おり、日本では法律により、地下
300m以深に埋めて処分することが
決められています。
ウラン鉱山
原子力
発電
再処理
核燃料
サイクル
使用済燃料
ガラス固化体
(高レベル放射性廃棄物)
ウラン
プルトニウム
燃料加工
中間貯蔵
地層処分
東濃地科学センターでは、深地層の科学的研究(『地層科学研究』)を実施して
います。地層科学研究は、原子力発電に伴って発生する高レベル放射性廃棄物の地層処
分技術に関する研究開発のうち、地下深部における地質環境の特性や長期の安定性等に
ついて研究するものです。
出典:原子力発電環境整備機構
地層処分施設のイメージ図
地上施設
地下施設
2020.4???くろまる
くろまる
人工的に閉じこめる
対策と
地下深い地層が持っ
ている閉じこめる能
力で防ぎます。
地層処分を安全に実施するために、地下について
様々な角度から研究を行っています。
石油・石炭
などを掘っていて、
処分した廃棄物に
近づいてしまわ
ないの?
地下に
処分した廃棄物が
地下水に溶け出して
わたしたちの近く
までこないの?
火山や
地震などで地下に
処分した廃棄物が
地表近くに
持ち上げられたり
しないの?
火山や地震な
どの自然現象の
影響を
受けない場所を
選びます。
地下資源の
ない場所を
選びます。12
緩衝材(粘土)
オーバーパック
(金属製の容器)
東濃地科学センターで進める
地層科学研究
地質環境の長期安定性に関する研究
地層処分の
安全確保の
考え方
ガラス固化体
(高レベル放射性廃棄物)
気候・海水準変動
隆起・沈降 / 侵食・堆積
火山・熱水活動
地震活動・断層運動
処分施設
2023.2
土岐地球年代学研究所
土岐地球年代学研究所では、高レベル放射性廃棄物の最終処分事業や国の安全規制に必要と
なる科学的知見や調査・評価技術を提供するため、「地質環境の長期安定性に関する研究」を
進めています。
《土岐地球年代学研究所の役割》
土岐地球年代学研究所では、既存の原子力施設の安全対策の更なる向上に貢献するため、
地球科学に関する新たな知見の創出と中〜長期の自然災害のリスクの予測・評価に係る研究
開発を進めています。
地質環境の長期安定性に関する研究
3年代測定技術の開発
最先端の機器分析装置による放射年代測定技術を含めた編年技術の高度化
1調査技術の開発・体系化
過去の自然事象の記録や現在の状況を
調査するための体系的な技術の整備
2長期予測・影響評価モデルの開発
将来の自然現象に伴う地質環境の変化を
予測・評価するための手法の整備
地層処分システムの性能
が著しく損なわれないよう
長期にわたって安定な
地質環境を選定
(サイト選定)
想定される自然現象の変
動を見込んで処分施設を
適切に設計・施工および
長期的な安全性を評価
(工学的対策・安全評価)
考慮すべきわが国の
地質環境の特徴
環太平洋変動帯に位置
噴火・地震など地殻変動が活発
・生活環境との離間距離の短縮
(接近シナリオ)
例)マグマの貫入→廃棄体の地表放出
・自然現象による地下水の変化
(地下水シナリオ)
例)地殻変動→山地形成→流速増大
対 策
地層処分の長期的な
安全性への影響
人工バリア
岩盤
天然バリア
地球科学に係る統合的な研究拠点の創成
地層処分をはじめとする原子力の安全対策の基盤となる地球科学
に係る最新の知見の創出と中〜長期的な地質リスクの予測・評価
科学的・技術的知見
原子力施設の耐震安全性 地層処分の安全性 災害要因となる自然現象の理解
土岐地球年代学研究所
Toki Geochronology Research Laboratory
調査技術の
開発・体系化
年代測定技術の
開発
長期予測・影響
評価モデルの開発
最先端の機器分析装置を用いた年代測定技術の高度化
および年代測定手法の標準化
機構内連携・協力
研究委託
研究委託
研究成果
研究成果共同研究大学・研究機関民間事業者国・規制機関
機構内関係部署
2023.2
地質環境の長期安定性に関する研究
東濃地科学センターで進める地層科学研究
MT 法電磁探査により推定された青野山単成火山群(島根県〜山口県)
の地下の二次元比抵抗構造。
「部分溶融域」がマグマの分布域を示す。
浅発地震
MT 観測点
第四紀火山
(原子力機構・電中研(2020))距離(km)
自然の地磁気
と地電流(比
抵抗)を観測
して地下深部
の構造を探査
する方法
(原子力機構・電中研(2022)) 調査技術の開発・体系化は、処分地の選定において必要とされる情報(データ)を取得
するための技術基盤を整備することを目的としています。
地震や断層運動、火山・火成活動、隆起・侵食等の自然現象による変動の程度や範囲に
ついて調査するための手法の開発を進めています。
1調査技術の開発・体系化
〇断層の活動性に係る調査技術
(断層充填物質の化学成分による活断層と非活断層の判別技術の開発)
〇地殻構造の高空間分解能イメージング技術
(地下構造やマグマ、深部流体を検出する技術の開発)
しかく MT法電磁探査:
断層充填物質の化学成分の統計解析
結果が既往研究で既に得ている結果
と一致したことから、活断層か非活
断層かの判別手法の一つとして有効
であることがわかりました。
断層活動性の信頼度ABCDEF
明らかに活断層
明らかに非活断層
既往研究による
部分
溶融域01020304050
0 10 20 30 40 50 60 70
低い
高い
(電気が流れにくい)
(電気が流れやすい)比抵抗深さ(km)
北 南
-6 -3 0 3 6
度数20151050判別得点
判別得点
統計解析結果が示す
非活断層領域
統計解析結果が示す
活断層領域
「A:明らかに活断層」
は活断層の側に
判別されている
「F:明らかに非活断層」
は非活断層の側に
判別されている
【化学成分の統計解析結果】
2023.2
地質環境の長期安定性に関する研究
東濃地科学センターで進める地層科学研究
地層処分システムの将来数万年以上にわたる安全評価を行う際には、自然現象を発端と
する様々な地質環境への影響に係るシナリオが検討されます。
長期予測・影響評価モデルの開発は、これらのシナリオの発生可能性や地質環境の変動
幅を予測結果に内在する不確実性を含めて示すための手法の整備を目的としています。
2長期予測・影響評価モデルの開発
〇「時間スケールに応じた地圏環境変動の予測技術」
(地形・地質学的情報に基づく隆起・侵食の調査・評価技術の高度化)
数十万年間の隆起沈降速度分布
(原子力機構・電中研(2021))
2023.2
地質環境の長期安定性に関する研究
東濃地科学センターで進める地層科学研究
3年代測定技術の開発
地質環境の長期安定性に関する研究で対象となる断層運動や火山・火成活動などの様々な
自然現象、そして幅広い対象年代範囲を網羅するため、各種質量分析装置等を備え、年代測
定技術の整備や編年技術の開発・高度化を行っています。例えば、堆積物中の植物片から炭
素を抽出し、その同位体(12C,13C,14
C:同じ元素の中で重さ(中性子数)の異なるもの)を加速
器質量分析装置を用いて分析することで、地層の堆積年代を求めることができます。また、
レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて、火成活動等によって生じ
るジルコンなどの鉱物の年代測定(例えば U-Pb 法)を行うことで、マグマの冷却過程の解
明や後背地(堆積物の供給源地)の推定に関する情報などが得られます。
<年代測定技術の開発状況>UPbUUUUUPbPbPbUUU Uどれくらい変わったかを分析することで何年経過したかが分かる
時間経過
ウラン(U)- 鉛(Pb)法による年代測定
時間の経過により鉱物中でUがPbに変わる性質を利用
火成活動によりマグマ中で
晶出するジルコン
現在
鉱物
晶出時
レーザーアブレーション
誘導結合プラズマ質量分析装置
レーザーアブレーション装置
(Photon-machines; AnalyteG2)
誘導結合プラズマ質量分析装置
(Thermo Scientific; Neptune-Plus)
レーザー照射により細粒化(エアロゾル)した
岩石・鉱物試料を質量分析装置で分析
(National Electrostatics Corp.; 15SDH-2)
年代測定において分析対象となる核種14C10Be26Al 36Cl129l加速器
気体試料用イオン源
固体試料用イオン源
ファラデーカップ検出器
重イオン検出器
分析電磁石
逐次入射システム
加速器質量分析装置(JAEA-AMS-TONO-5MV)
対象施設
加速器質量分析装置
(ペレトロン年代測定装置)
希ガス質量分析装置
四重極型質量分析装置
光ルミネッセンス測定装置
電子スピン共鳴装置
高精度希ガス質量分析装置
電子プローブマイクロアナライザ
レーザーアブレーション誘導
結合プラズマ質量分析装置
年代測定法
14C法
10Be法
26Al法
36Cl法
129I法
K-Ar法
(U-Th)/He法
OSL法
ESR法
希ガス法
CHIME法
U-Pb法
適用できる年代範囲(年前)
10億 1億 1千万 100万 10万 1万 1千 主な反映先 対象物質
実用化への
スケジュール
断層運動
侵食速度
侵食速度
地下水年代
地下水年代
断層運動
断層運動
侵食速度
隆起速度
断層運動
地下水年代
後背地解析
後背地解析
断層運動 炭酸塩鉱物
地下水,有機物
石英
地下水
地下水
石英
自生雲母粘土鉱物
アパタイト,ジルコン
石英
長石
石英
地下水
モナザイト,ジルコン
ジルコン
実用化済
実用化済
実用化済
実用化済
実用化済
実用化済
実用化済
実用化済
実用化済
実用化済
開発中
実用化済
実用化済
開発中
アパタイト,ジルコン 実用化済
侵食速度
FT法
フィッショントラック自動計測装置
炭酸塩鉱物 実用化済
技術開発の対象年代範囲
2023.2
超深地層研究所計画
2019(R1)
年度
2020(R2)
年度
2022(R4)〜2025(R7)
年度
2026(R8)
年度
2027(R9)
年度
超深地層
研究所計画に
基づく研究
坑道埋め戻し
地上施設撤去
基礎
コンクリート等
撤去
地下水の環境
モニタリング調査
研究所周辺の
環境影響調査
(準備工事)
2021(R3)
年度
土地賃貸借期間の終了(2022年1月)
(整地)
モニタリングシステムの有効性確認
(実証研究)
(注記)地上観測孔を利用した坑道周辺の地下水の水圧・水質測定については、研究所設置当初から継続しています。
瑞浪超深地層研究所 地上施設解体前(2009年5月) 地上施設解体後(2022年2月)
防音ハウス
(主立坑)↓コンクリートプラント
↓ 管理棟 / 車庫棟↓巻上機室
(主立坑)↓受変電設備
非常用発電設備↑排水処理設備↑防音ハウス
(換気立坑)↑作業員詰所
巻上機室
(換気立坑)↓ 2002年より瑞浪超深地層研究所で行ってきた研究開発は、2015年度以降、必須の課題に重
点を置いた研究開発を進め、十分な研究成果を上げることができたことから、2019年度をも
って超深地層研究所計画における研究開発を終了しました。また、瑞浪超深地層研究所用地
の坑道の埋め戻し及び地上施設の撤去は、土地賃貸借期間の終了(2022年1月16日)までに
完了しています。
2022年1月17日以降は、「令和2年度以降の超深地層研究所計画」に基づき、改めて瑞浪市
からお借りした市有地(瑞浪用地)において、地下水の状態を確認するための環境モニタリ
ング調査を5年間程度実施した後、地上施設の基礎の撤去及び整地作業を2027年度末までに完
了する予定です。なお、研究開発当初より実施している河川水等の水質分析及び用地周辺の
騒音・振動測定は、用地内の作業が終了するまで継続します。
2023.2
瑞浪用地
地上及び坑内観測孔を利用した地下水の環境モニタリング調査
地上及び坑内観測孔を利用した地下水の環境モニタリング調査
<地下水の環境モニタリング調査における観測孔位置図>
<坑内観測孔の位置図>
水圧(水位)観測ボーリング孔
水圧(水位)観測ボーリング孔(傾斜孔)
水質観測ボーリング孔
用地境界線
MSB-2
MSB-4
MSB-1
MSB-3
05ME06
MIZ-1
坑道埋め戻しに伴う地下水の回復状況及び埋め戻し後の環境影響の有無を確認するた
め、地下水の環境モニタリング調査を行っています。
地下水の環境モニタリング調査は坑道埋め戻し期間中から実施しており、埋め戻し完
了後5年間程度を目途に地上及び坑内観測孔を用いた地下水の水圧や水質の観測を継続
します。
坑内観測孔を用いた地下水
の水圧・水質観測は、地下
で得られた水圧データ及び
地下水を地上で回収できる
モニタリングシステムで実
施しています。
光ファイバー
採水チューブ
水圧観測地点
水質観測地点
深度100m
深度200m
深度300m
深度400m
深度500m
換気立坑
主立坑
0 20 40 60 80 100m
2023.2
東濃鉱山
情報発信・アウトリーチ活動
櫓設備
澱物処理室
坑水処理施設
捨石集積場
鉱山管理棟 巻揚機室
<施設解体撤去前の状況>
東濃鉱山では、1972年よりウラン鉱床の形態や鉱石の分布状況を明らかにする目的で坑道
を掘削し、1986年から地層科学研究の場として、主に堆積岩を対象に岩盤中の物質移動に
関する研究等を実施しました。
2004年度から閉山措置に関する検討を開始し、2010年度からは閉山措置に着手しまし
た。2014年度には3本の立坑を含む調査坑道の充填作業を完了し、2015年度及び2016年度
には主要な地上施設の撤去と捨石集積場等の最終的な措置を実施しました。坑道充填後5
年間を目途に実施した法令以外の自主的な周辺環境のモニタリングも異常がないことが
確認できたことから、外部専門家の確認のもと、2019年度をもって終了しました。現在
は、用地内に保管している東濃鉱山産以外の鉱石等の有効利用に向けた措置方法の検討
を進めています。
<施設解体撤去後の状況>
捨石集積場
機構成果報告書
学術雑誌への論文投稿
施設見学会(加速器棟)
情報発信
地域イベント等への出展
サイエンスカフェの開催
アウトリーチ活動の推進
2023.2
東濃地科学センターへのアクセス
しかくアクセス方法
[鉄道]JR中央本線・土岐市駅 ⇒ 市民バス「美濃焼団地線」約15分 ⇒「次月峠」バス停下車
[道路]中央自動車道・土岐IC ⇒ 出口を左折 ⇒ 国道21号を美濃加茂方面へ約5分
しかくお問い合わせ
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
核 燃 料 ・ バ ッ ク エ ン ド 研 究 開 発 部 門
東濃地科学センター 土岐地球年代学研究所
〒509-5102 岐阜県土岐市泉町定林寺959-31 TEL:0572-53-0211
至岐阜
至瀬戸
至美濃加茂
至名古屋
至恵那
道の駅
可児ッテ
道の駅
志野・織部
土岐市役所
鬼岩国定公園GS土岐IC
土岐JCT
多治見IC
瑞浪IC
JR中央本線
土岐市駅
中 央 自 動 車 道
大富
次月峠
可児御嵩IC
小牧JCT土岐南
多治見IC
土岐プレミアム
アウトレットN名神高速道路東名高速道路
ポリテクセンター
岐阜東海環状自動車道
五斗蒔スマートIC
(ETC車のみ利用できます)
東濃地科学センター
土岐地球年代学研究所
(注記)土岐ICより車で約5分
ぎふワールド・
ローズガーデン

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