2 月の主な作業予定
≪地層研ニュースに関するご意見・ご要望および施設見学会の連絡先≫
【瑞浪超深地層研究所】
【正馬様用地】
1 地表からのボーリング孔(4孔)を用いた地下水の水圧・水質観測
2 表層水理定数観測(地下水位の観測)12345678
<ボーリング孔を用いた地下水の観測>
だいやまーく地表(5孔)
だいやまーく深度200m,300m,400m予備ステージ(各1孔)
だいやまーく深度300m研究アクセス坑道(2孔)
(電力中央研究所との共同研究)
だいやまーく深度300mボーリング横坑(換気立坑側5孔)
(電力中央研究所との共同研究)
だいやまーく深度300m研究アクセス坑道(1孔)
(産業技術総合研究所との共同研究)
だいやまーく深度500m研究アクセス北坑道(9孔)
だいやまーく深度200mボーリング横坑
(主立坑側1孔、換気立坑側1孔)
だいやまーく深度300mボーリング横坑
(換気立坑側3孔)
だいやまーく深度300m研究アクセス坑道(1孔)
だいやまーく深度500m研究アクセス南坑道(1孔)
だいやまーく深度500m研究アクセス南坑道(3孔)
(電力中央研究所との共同研究)
地下水の水圧・水質観測 地下水の水圧観測
0572-66-2244(代表)
0572-68-7717
tono-ck@jaea.go.jp(ご意見・ご要望)
tono-kengaku@jaea.go.jp(施設見学会)
【連絡先:東濃地科学センター 総務・共生課 まで】
表層水理定数観測(地下水位・土壌水分の観測)
狭間川における流量観測及び研究所周辺井戸での水位観測
研究坑道の排出水等の環境管理測定
研究坑道の湧水に含まれるふっ素、ほう素を排水処理設備で除去後に排水
研究坑道内におけるボーリング孔を用いた試験・観測(電力中央研究所との共同研究)
研究坑道内における傾斜計を用いた岩盤の変位計測、重力計測及び応力計測(東濃地震科学研
究所との研究協力)
研究坑道内におけるニュートリノ捕捉用原子核乾板の保管(名古屋大学への施設貸与)
坑内外設備の維持管理
第 20 回 AMS シンポジウムを開催
瑞浪超深地層研究所の地下を体験しよう!
瑞浪超深地層研究所では、地下深部を体験できる施設見学会を開催します。
参加をご希望の方は事前申込が必要となりますので、2月19日(月)までに住所、氏名、電
話番号を左記の連絡先までお知らせください。また、申込み多数の場合は締切り前に受付を終
了させていただくこともありまので、ご了承ください。
【日 時】平成30年2月24日(土)9:30〜12:00
【内 容】深度500mステージ
【対 象】小学校4年生以上
工事現場での安全の確保のため、小学生の方は 4 年生以上で保護者同伴でお願
いします。また入坑の際は、安全装備( つなぎ服・反射ベスト・ヘルメット・
安全長靴・軍手・坑内 PHS など)を着用して頂きます。工事中の現場ですので、
狭くて急な階段等もあります。階段の昇降等が困難な方など自立歩行に支障のあ
る方や高所、
閉所恐怖症の方などは研究坑道に入坑できない場合がありますので、
事前にご確認をお願いいたします。なお、
深度500mの研究坑道の見学の際には、
約90段(ビル8階建相当の高さ)のらせん階段があり、昇降は体力的にも大き
な負担となりますので、十分にご検討の上お申し込みください。また、飲酒され
ている方、妊娠中の方、体調がすぐれない方はご遠慮いただいております。
予約後であっても工事や現場の状況により入坑できなくなる場合がありますの
で、予めご了承下さい。
らせん階段
(約90段 ビル8階建相当)
スポット
ニュース
《東濃地科学センターHP》
-2018/1 月号 -
vol.190
国立研究開発法人
日本原子力研究開発機構
東濃地科学センター
12月14日、15日に地質試料の年代測定等に用いられている加速器質量分
析法(注記)(AMS)に関する研究会、「第20回AMSシンポジウム」を開催しま
した。
今回でシンポジウムが20回目を迎えたことから、従来の施設報告や技術開
発に加え、20周年記念講演が行われ、AMS研究の将来やAMSの応用研究な
ど活発な議論が交わされました。また、東濃地科学センターの加速器質量分析
装置が導入後20年を迎えたことから、「JAEA-AMS-TONOの20年のあゆ
み」と題して発表を行いました。終了後には、土岐地球年代学研究所の分析装
置をご見学いただき、盛況のうちに幕を閉じることができました。
自然界で極微量に生成されている放射性同位体
(ベリリウム10、炭素14、アルミニウム26、
ヨウ素129等)は、時間とともにその量が減少
していきます。地下水や土壌に含まれている放射
性同位体の濃度を測定することにより、それらが
生成された年代を推定することができます。
加速器質量分析法は、放射性同位体を測定する
代表的な手法の一つです。
東濃地科学センターでは、平成9年に加速器質
量分析装置を導入し、深地層の科学的研究として
地下水の滞留年代や地層の形成年代など、年代を
推定する技術の開発を進めています。
東濃地科学センターの加速器質量分析装置
(ペレトロン年代測定装置)
(注記)【加速器質量分析法について】
AMSシンポジウム会場 土岐地球年代学研究所の見学
だいやまーく塩化物イオンについては、
「排水基準」や「環境基準」などの法的な規制はありませんが、
濃度の高い水を稲作に長期間使用した場合には、稲の発育に影響が出るという研究事例
があります。千葉県農業試験場の論文・文献などでは、稲は塩化物イオン濃度が
500mg/L 以下の水を使用していれば、被害が発生する可能性が少ないことから、
「安
全基準」として 300 〜 500mg/L が記されています。
研究所からの排出水等には天然由来の塩化物イオンが含まれています。狭間川の下流
域においては、河川水を稲作に利用していることから、上記の「安全基準」にもとづき、
明世小前取水口における河川水濃度として月平均 300mg/L 以下を目安に管理していま
す。なお、月平均 300mg/L を超える、又は超えると予想される場合には直ちに耕作者
の方々にお知らせします。また、これが長期間に及ぶと予想される場合は、500mg/L
を超える前までに「専用設備」による処理などの必要な対策を講じます。
(注記)1
(注記)2
(注記)3
(注記)4
(注記)5
(注記)6
(注記)7
(注記)8
測定結果 (9 月 12 日〜 12 月 12 日 )
花木の森散策路における
空間放射線線量率
(注記)6
3 ヶ月の集積空間放射線線量から算出
参考値 (9 月 12,13 日〜 12 月 12,13 日 )
0.07 〜 0.12μSv/h
周辺地域の空間放射線線量率と同等
0.08μSv/h
河川水や湧水は、環境基本法に定められた基準を参考値として自主管理を行っています。また、測定結果については、放流先河川の状態の把握や排水処理設備の運転の参考としています。
立坑の湧水の値は、排水処理設備でふっ素・ほう素を除去する前の値です。排水処理後は狭間川へ排水します。
狭間川上流は排出水が流れない場所での採水のため、測定値は狭間川そのものの水の値となります。
掘削土の溶出量は、土壌汚染対策法に定められた基準を参考値として自主管理を行っています。測定結果の評価については、参考値と比較し参考値を超えないことを確認しています。
掘削土の測定は、検定(測定)用の水溶液の中に掘削土を入れて溶け出した物質の量を測定します。この水の中に溶け出した物質の量のことを溶出量といいます。
空間放射線線量率は、花木の森散策路の空間放射線線量と比較するため、周辺地域の空間放射線線量率(機構が瑞浪・土岐市内の 12 地点で測定)を参考値としています。また、測定結果
の評価については、周辺地域の空間放射線線量率と比較し、その最大値を超えないことを確認しています。
「検出されないこと」とは、測定項目ごとに定められた検定(測定)方法で測定した結果が当該検定方法の定量限界を下回ることを表します。
NDとは測定値が検出できないほど微量か、またはゼロであることを表します。測定結果のカッコ内の数値は検出限界値を表します。
【採取日:週 2 回】 (単位:mg/L)
工事排出水
明世小学校前
取水口
立坑の湧水
狭間川上流
測定項目
1.3 〜 1.9
(1.5)
280 〜 300
(280)
260 〜 290
(270)
48 〜 140
(100)
測定場所
塩化物イオン濃度
(注記)
( )内は月平均
の値を示す
有効数字2桁
3桁目は切り捨て((7.11
0.0003 未満
ND(0.1 未満 )(注記)8
ND(0.1 未満 )(注記)8
0.005 未満
0.02 未満
0.005 未満
0.0005 未満
ND(0.0005 未満)(注記)8
ND(0.0005 未満)(注記)8
0.001 未満
0.0005 未満
0.0002 未満
0.002 未満
0.0004 未満
0.0005 未満
0.0006 未満
0.002 未満
0.004 未満
0.0002 未満
0.0006 未満
0.0003 未満
0.002 未満
0.001 未満
0.002 未満0.170.490.400.005 未満0.17水素イオン濃度
浮遊物質量
カドミウム
全シアン
有機燐化合物
有機燐鉛六価クロム
砒素
総水銀
アルキル水銀PCBトリクロロエチレン
テトラクロロエチレン
四塩化炭素
クロロエチレン
ジクロロメタン
1,2-ジクロロエタン
1,1,1-トリクロロエタン
1,1,2-トリクロロエタン
1,1-ジクロロエチレン
シス-1,2-ジクロロエチレン
1,2-ジクロロエチレン
1,3-ジクロロプロペン
チウラム
シマジン
チオベンカルブ
ベンゼン
セレン
ふっ素
ほう素
塩化物イオン
1,4- ジオキサン
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
アンモニア、
アンモニウム化合物、亜硝酸
化合物及び硝酸化合物
6.5 〜 8.5
25 以下
0.003 以下
検出されないこと(注記)7
検出されないこと(注記)7
0.01 以下
0.05 以下
0.01 以下
0.0005 以下
検出されないこと(注記)7
検出されないこと(注記)7
0.01 以下
0.01 以下
0.002 以下
0.02 以下
0.004 以下
1 以下
0.006 以下
0.1 以下
0.04 以下
0.002 以下
0.006 以下
0.003 以下
0.02 以下
0.01 以下
0.01 以下
10 以下
0.8 以下
1 以下
0.05 以下-7.2
1 未満
0.0003 未満
ND(0.1 未満 )(注記)8
0.005 未満
0.02 未満
0.005 未満
0.0005 未満
ND(0.0005 未満)(注記)8
ND(0.0005 未満)(注記)8
0.001 未満
0.0005 未満
0.0002 未満
0.002 未満
0.0004 未満
0.0005 未満
0.0006 未満
0.002 未満
0.004 未満
0.0002 未満
0.0006 未満
0.0003 未満
0.002 未満
0.001 未満
0.002 未満0.190.370.270.005 未満
測定項目 管理目標値 工事排出水 狭間川下流7.11 未満
0.0003 未満
ND(0.1 未満 )(注記)8
0.005 未満
0.02 未満
0.005 未満
0.0005 未満
ND(0.0005 未満)(注記)8
ND(0.0005 未満)(注記)8
0.001 未満
0.0005 未満
0.0002 未満
0.002 未満
0.0004 未満
0.0005 未満
0.0006 未満
0.002 未満
0.004 未満
0.0002 未満
0.0006 未満
0.0003 未満
0.002 未満
0.001 未満
0.002 未満0.200.08 未満
0.02 未満
0.005 未満
狭間川上流8.50.0003 未満
ND(0.1 未満 )(注記)8
0.005 未満
0.02 未満
0.005 未満
0.0005 未満
ND(0.0005 未満)(注記)8
ND(0.0005 未満)(注記)8
0.001 未満
0.0005 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.002 未満
0.0004 未満
0.0005 未満
0.0006 未満
0.002 未満
0.004 未満
0.0002 未満
0.0006 未満
0.0003 未満
0.002 未満
0.001 未満
0.002 未満
0.0868.81.42900.005 未満
立坑の湧水
(注記)3
(注記)2—0.003 以下
検出されないこと(注記)7
0.01 以下
0.05 以下
0.01 以下
0.0005 以下
検出されないこと(注記)7
検出されないこと(注記)7
0.01 以下
0.01 以下
0.002 以下
0.002 以下
0.02 以下
0.004 以下
1 以下
0.006 以下
0.1 以下
0.04 以下
0.04 以下
0.002 以下
0.006 以下
0.003 以下
0.02 以下
0.01 以下
0.01 以下
10 以下
0.8 以下
1 以下—0.05 以下
参考値
(注記)1
【採取日:排出水、河川水、湧水(平成 29 年 12 月 7 日)
】 【単位:mg/L(水素イオン濃度は pH)】掘削土の
溶出量 ( 主立坑 )
掘削土の
溶出量 ( 換気立坑 )
(注記)5 (注記)5
0.01 以下
検出されないこと(注記)7
検出されないこと(注記)7
0.01 以下
0.05 以下
0.01 以下
0.0005 以下
検出されないこと(注記)7
検出されないこと(注記)7
0.03 以下
0.01 以下
0.002 以下
0.002 以下
0.02 以下
0.004 以下
1 以下
0.006 以下
0.1 以下
0.04 以下
0.002 以下
0.006 以下
0.003 以下
0.02 以下
0.01 以下
0.01 以下
0.8 以下
1 以下
0.05 以下
参考値
(注記)4
(別名塩化ビニル又は塩化ビニルモノマー)換気立坑の掘削作業を行っていないため掘削土の測定はありません主立坑の掘削作業を行っていないため掘削土の測定はありませんMizunamiUndergroundResearchLaboratory
MIU 地下深部の世界に 挑戦!
地下深部は宇宙・深海底に次ぐ第三のフロンティア
物質の移動を抑える現象を発見
研究レポート No.5
もぐら博士
岩月 輝希
いわつき てるき
結晶質岩地質環境
研究グループ
グループリーダー
(理学博士)
出身地:愛知県
専門:地球化学
閉鎖された坑道内において世界初の試み・坑道を水没させて坑道閉鎖後の物質移動特性を調べる 高レベル放射性廃棄物の地層処分では、最終的に処分場の坑道を全て埋め戻すことから、安全評価では、物質の閉じ込め能力に関わる坑道閉鎖後の地下水の流れや水質、元素の挙動などの物質の移動特性が重要となります。 本研究では、坑道閉鎖後の物質の移動特性に係る現象を解明するため、瑞浪超深地層研究所の深度500mに建設された冠水坑道(図1)の入口に止水壁を設置して閉鎖し、周辺の地下水によって水没させた後、約1年間にわたり、冠水坑道内の地下水に含まれる天然の希土類元素の濃度を測定しました。このような坑道を閉鎖して水没させた状態で物質の移動特性を観察する試験は、世界で初めての試みです。 なお、希土類元素は、レアアースとも呼ばれ、電子機器などの様々な産業分野で利用されています。また、高レベル放射性廃棄物に含まれる放射性元素と化学的性質が似ているため、自然界における物質移動の研究に利用されています。炭酸塩鉱物の微細粒子や吹付け コンクリート表面の炭酸塩鉱物が希土類元素の移動を抑制 観察の結果、希土類元素は、地下水に溶けた状態と0・1μm〜数百μmの微細な粒子に付着した状態で存在しており、閉鎖・水没した冠水坑道内の地下水中の希土類元素の濃度は時間とともに低下していることが明らかになりました(図2)。この希土類元素の濃度低下は、地下水中に溶けている希土類元素が坑道壁面の吹付コンクリートに沈着したり、微細粒子に付着した希土類元素が粒子同士で凝集して沈殿することにより、その分が地下水から取り除かれることで起きると考えられます(図3)。このことは、坑道を閉鎖した場合、坑道内では希土類元素が移動しにくい環境が形成されることを示しています。地層処分の安全性にとって重要な研究成果として国際学術誌に発表 以上の科学的知見は、実際の地下深部の坑道閉鎖環境で長期にわたって観測を行うことで得られた世界初の成果であり、高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全性にとって重要な、坑道閉鎖後の物質の閉じ込め能力を示すものです。なお、本研究成果は、日本の地下研究施設で得られた重要な研究成果として、国際学術誌「Applied
Geochemistry, 2017, 82巻」に掲載されました。 日本原子力研究開発機構・東濃地科学センターの岩月輝希主任研究員らの研究チームは、瑞浪超深地層
研究所の深度 500m の研究坑道の一部を閉鎖し、意図的に坑道を水没させて、坑道閉鎖時の地質環境の
回復現象を捉える世界初の試験を平成 28 年 1 月に開始しました。その結果、高レベル放射性廃棄物に
含まれる放射性元素と化学的な性質が似ている天然の元素(希土類元素)の冠水坑道内における濃度が
本来の地下水中の濃度に比べて明らかに低下していることを発見し、そのメカニズムを明らかにしました。
★この研究成果は国際学術誌に掲載されたとともに、平成 29 年 7 月にプレス発表しました。
再冠水試験の凝集
炭酸塩鉱物から成る
微小粒子の凝集
冠水坑道
(長さ 45m, 幅 5.0m, 高さ 4.5m)051015LaCePrNdSmEuGdTbDyHoErTmYbLu051015051015LaCePrNdSmEuGdTbDyHoErTmYbLu
冠水坑道 (2016年2月4日)
冠水坑道 (2016年4月14日)
冠水坑道 (2016年6月28日)00
図1 試験の実施場所
止水壁
図2 冠水坑道内の地下水中の
希土類元素の濃度変化
図3 冠水坑道内の希土類元素の固定メカニズム
瑞浪超深地層研究所
深度300mステージ 深度500mステージ時間と共に濃度が減少
希土類元素の濃度
(ng/L)
:希土類元素

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