1 月の主な作業予定
≪地層研ニュースに関するご意見・ご要望および施設見学会の連絡先≫
【瑞浪超深地層研究所】
【正馬様用地】
1 地表からのボーリング孔(4孔)を用いた地下水の水圧・水質観測
2 表層水理定数観測(地下水位の観測)12345678
<ボーリング孔を用いた地下水の観測>
だいやまーく地表(5孔)
だいやまーく深度200m,300m,400m予備ステージ(各1孔)
だいやまーく深度300m研究アクセス坑道(2孔)
(電力中央研究所との共同研究)
だいやまーく深度300mボーリング横坑(換気立坑側5孔)
(電力中央研究所との共同研究)
だいやまーく深度300m研究アクセス坑道(1孔)
(産業技術総合研究所との共同研究)
だいやまーく深度500m研究アクセス北坑道(9孔)
だいやまーく深度200mボーリング横坑
(主立坑側1孔、換気立坑側1孔)
だいやまーく深度300mボーリング横坑
(換気立坑側3孔)
だいやまーく深度300m研究アクセス坑道(1孔)
だいやまーく深度500m研究アクセス南坑道(1孔)
だいやまーく深度500m研究アクセス南坑道(3孔)
(電力中央研究所との共同研究)
地下水の水圧・水質観測 地下水の水圧観測
0572-66-2244(代表)
0572-68-7717
tono-ck@jaea.go.jp(ご意見・ご要望)
tono-kengaku@jaea.go.jp(施設見学会)
【連絡先:東濃地科学センター 総務・共生課 まで】
表層水理定数観測(地下水位・土壌水分の観測)
狭間川における流量観測及び研究所周辺井戸での水位観測
研究坑道の排出水等の環境管理測定
研究坑道の湧水に含まれるふっ素、ほう素を排水処理設備で除去後に排水
研究坑道内におけるボーリング孔を用いた試験・観測(電力中央研究所との共同研究)
研究坑道内における傾斜計を用いた岩盤の変位計測、重力計測及び応力計測(東濃地震科学研
究所との研究協力)
研究坑道内におけるニュートリノ捕捉用原子核乾板の保管(名古屋大学への施設貸与)
坑内外設備の維持管理
「おもしろ科学館 2017 in みずなみ」への出展
11月18・19日、瑞浪市民体育館にて経済産業省中部経済産業局及び瑞浪
市の主催による「おもしろ科学館2017inみずなみ」が開催されました。
例年通り、東濃地科学センターもブースを設け、偏光顕微鏡による岩石観
察などの体験型展示を行うとともに、瑞浪超深地層研究所の見学ツアーを実
施しました。2日間で約700名の方が当センターのブースを訪れました。
瑞浪超深地層研究所の地下を体験しよう!
瑞浪超深地層研究所では、地下深部を体験できる施設見学会を開催します。
参加をご希望の方は事前申込が必要となりますので、1月22日(月)までに住所、氏名、電
話番号を左記の連絡先までお知らせください。また、申込み多数の場合は締切り前に受付を終
了させていただくこともありまので、ご了承ください。
【日 時】平成30年1月27日(土)9:30〜12:00
【内 容】深度500mステージ
【対 象】小学校4年生以上
工事現場での安全の確保のため、小学生の方は 4 年生以上で保護者同伴でお願
いします。また入坑の際は、安全装備( つなぎ服・反射ベスト・ヘルメット・
安全長靴・軍手・坑内 PHS など)を着用して頂きます。工事中の現場ですので、
狭くて急な階段等もあります。階段の昇降等が困難な方など自立歩行に支障のあ
る方や高所、
閉所恐怖症の方などは研究坑道に入坑できない場合がありますので、
事前にご確認をお願いいたします。なお、
深度500mの研究坑道の見学の際には、
約90段(ビル8階建相当の高さ)のらせん階段があり、昇降は体力的にも大き
な負担となりますので、十分にご検討の上お申し込みください。また、飲酒され
ている方、妊娠中の方、体調がすぐれない方はご遠慮いただいております。
予約後であっても工事や現場の状況により入坑できなくなる場合がありますの
で、予めご了承下さい。
らせん階段
(約90段 ビル8階建相当)
サイエンスカフェの開催
11月11日、瑞浪市地域交流センター
「ときわ」おいて、昨年度に引き続きサ
イエンスカフェを開催しました。
サイエンスカフェは、話題提供者と参
加者、また、参加者間でコミュニケーシ
ョンをとることで、カフェのような雰囲
気の中で気軽に科学を語り合うことを目
的としています。今回は、「地下を旅す
る地下水のなぞ」をテーマとして、地下
水とは何か、地下水の流れるメカニズム
などを紹介しながら、楽しく和やかな雰
囲気で進められました。
スポット
ニュース
《東濃地科学センターHP》
偏光顕微鏡による岩石観察 瑞浪超深地層研究所 見学ツアー
サイエンスカフェの参加者
地層研ニュース
-2017/12 月号 -
vol.189
国立研究開発法人
日本原子力研究開発機構
東濃地科学センター
だいやまーく塩化物イオンについては、
「排水基準」や「環境基準」などの法的な規制はありませんが、
濃度の高い水を稲作に長期間使用した場合には、稲の発育に影響が出るという研究事例
があります。千葉県農業試験場の論文・文献などでは、稲は塩化物イオン濃度が
500mg/L 以下の水を使用していれば、被害が発生する可能性が少ないことから、
「安
全基準」として 300 〜 500mg/L が記されています。
研究所からの排出水等には天然由来の塩化物イオンが含まれています。狭間川の下流
域においては、河川水を稲作に利用していることから、上記の「安全基準」にもとづき、
明世小前取水口における河川水濃度として月平均 300mg/L 以下を目安に管理していま
す。なお、月平均 300mg/L を超える、又は超えると予想される場合には直ちに耕作者
の方々にお知らせします。また、これが長期間に及ぶと予想される場合は、500mg/L
を超える前までに「専用設備」による処理などの必要な対策を講じます。
(注記)1
(注記)2
(注記)3
(注記)4
(注記)5
(注記)6
(注記)7
(注記)8
測定結果 (9 月 12 日〜 12 月末日 )
花木の森散策路における
空間放射線線量率
(注記)6
3 ヶ月の集積空間放射線線量から算出
参考値 (9 月 12,13 日〜 12 月末日 )
測定中
周辺地域の空間放射線線量率と同等
測定中
河川水や湧水は、環境基本法に定められた基準を参考値として自主管理を行っています。また、測定結果については、放流先河川の状態の把握や排水処理設備の運転の参考としています。
立坑の湧水の値は、排水処理設備でふっ素・ほう素を除去する前の値です。排水処理後は狭間川へ排水します。
狭間川上流は排出水が流れない場所での採水のため、測定値は狭間川そのものの水の値となります。
掘削土の溶出量は、土壌汚染対策法に定められた基準を参考値として自主管理を行っています。測定結果の評価については、参考値と比較し参考値を超えないことを確認しています。
掘削土の測定は、検定(測定)用の水溶液の中に掘削土を入れて溶け出した物質の量を測定します。この水の中に溶け出した物質の量のことを溶出量といいます。
空間放射線線量率は、花木の森散策路の空間放射線線量と比較するため、周辺地域の空間放射線線量率(機構が瑞浪・土岐市内の 12 地点で測定)を参考値としています。また、測定結果
の評価については、周辺地域の空間放射線線量率と比較し、その最大値を超えないことを確認しています。
「検出されないこと」とは、測定項目ごとに定められた検定(測定)方法で測定した結果が当該検定方法の定量限界を下回ることを表します。
NDとは測定値が検出できないほど微量か、またはゼロであることを表します。測定結果のカッコ内の数値は検出限界値を表します。
【採取日:週 2 回】 (単位:mg/L)
工事排出水
明世小学校前
取水口
立坑の湧水
狭間川上流
測定項目
1.4 〜 1.6
(1.4)
250 〜 320
(280)
260 〜 300
(270)
46 〜 100(70)測定場所
塩化物イオン濃度
(注記)
( )内は月平均
の値を示す
有効数字2桁
3桁目は切り捨て((7.01 未満
0.0003 未満
ND(0.1 未満 )(注記)8
ND(0.1 未満 )(注記)8
0.005 未満
0.02 未満
0.005 未満
0.0005 未満
ND(0.0005 未満)(注記)8
ND(0.0005 未満)(注記)8
0.001 未満
0.0005 未満
0.0002 未満
0.002 未満
0.0004 未満
0.0005 未満
0.0006 未満
0.002 未満
0.004 未満
0.0002 未満
0.0006 未満
0.0003 未満
0.002 未満
0.001 未満
0.002 未満0.180.520.570.005 未満0.18水素イオン濃度
浮遊物質量
カドミウム
全シアン
有機燐化合物
有機燐鉛六価クロム
砒素
総水銀
アルキル水銀PCBトリクロロエチレン
テトラクロロエチレン
四塩化炭素
クロロエチレン
ジクロロメタン
1,2-ジクロロエタン
1,1,1-トリクロロエタン
1,1,2-トリクロロエタン
1,1-ジクロロエチレン
シス-1,2-ジクロロエチレン
1,2-ジクロロエチレン
1,3-ジクロロプロペン
チウラム
シマジン
チオベンカルブ
ベンゼン
セレン
ふっ素
ほう素
塩化物イオン
1,4- ジオキサン
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
アンモニア、
アンモニウム化合物、亜硝酸
化合物及び硝酸化合物
6.5 〜 8.5
25 以下
0.003 以下
検出されないこと(注記)7
検出されないこと(注記)7
0.01 以下
0.05 以下
0.01 以下
0.0005 以下
検出されないこと(注記)7
検出されないこと(注記)7
0.01 以下
0.01 以下
0.002 以下
0.02 以下
0.004 以下
1 以下
0.006 以下
0.1 以下
0.04 以下
0.002 以下
0.006 以下
0.003 以下
0.02 以下
0.01 以下
0.01 以下
10 以下
0.8 以下
1 以下
0.05 以下-7.320.0003 未満
ND(0.1 未満 )(注記)8
0.005 未満
0.02 未満
0.005 未満
0.0005 未満
ND(0.0005 未満)(注記)8
ND(0.0005 未満)(注記)8
0.001 未満
0.0005 未満
0.0002 未満
0.002 未満
0.0004 未満
0.0005 未満
0.0006 未満
0.002 未満
0.004 未満
0.0002 未満
0.0006 未満
0.0003 未満
0.002 未満
0.001 未満
0.002 未満0.300.250.240.005 未満
測定項目 管理目標値 工事排出水 狭間川下流7.01
0.0003 未満
ND(0.1 未満 )(注記)8
0.005 未満
0.02 未満
0.005 未満
0.0005 未満
ND(0.0005 未満)(注記)8
ND(0.0005 未満)(注記)8
0.001 未満
0.0005 未満
0.0002 未満
0.002 未満
0.0004 未満
0.0005 未満
0.0006 未満
0.002 未満
0.004 未満
0.0002 未満
0.0006 未満
0.0003 未満
0.002 未満
0.001 未満
0.002 未満0.420.08 未満
0.02 未満
0.005 未満
狭間川上流8.60.0003 未満
ND(0.1 未満 )(注記)8
0.005 未満
0.02 未満
0.005 未満
0.0005 未満
ND(0.0005 未満)(注記)8
ND(0.0005 未満)(注記)8
0.001 未満
0.0005 未満
0.0002 未満
0.0002 未満
0.002 未満
0.0004 未満
0.0005 未満
0.0006 未満
0.002 未満
0.004 未満
0.0002 未満
0.0006 未満
0.0003 未満
0.002 未満
0.001 未満
0.002 未満
0.0888.41.32900.005 未満
立坑の湧水
(注記)3
(注記)2—0.003 以下
検出されないこと(注記)7
0.01 以下
0.05 以下
0.01 以下
0.0005 以下
検出されないこと(注記)7
検出されないこと(注記)7
0.01 以下
0.01 以下
0.002 以下
0.002 以下
0.02 以下
0.004 以下
1 以下
0.006 以下
0.1 以下
0.04 以下
0.04 以下
0.002 以下
0.006 以下
0.003 以下
0.02 以下
0.01 以下
0.01 以下
10 以下
0.8 以下
1 以下—0.05 以下
参考値
(注記)1
【採取日:排出水、河川水、湧水(平成 29 年 11 月 2 日)
】 【単位:mg/L(水素イオン濃度は pH)】掘削土の
溶出量 ( 主立坑 )
掘削土の
溶出量 ( 換気立坑 )
(注記)5 (注記)5
0.01 以下
検出されないこと(注記)7
検出されないこと(注記)7
0.01 以下
0.05 以下
0.01 以下
0.0005 以下
検出されないこと(注記)7
検出されないこと(注記)7
0.03 以下
0.01 以下
0.002 以下
0.002 以下
0.02 以下
0.004 以下
1 以下
0.006 以下
0.1 以下
0.04 以下
0.002 以下
0.006 以下
0.003 以下
0.02 以下
0.01 以下
0.01 以下
0.8 以下
1 以下
0.05 以下
参考値
(注記)4
(別名塩化ビニル又は塩化ビニルモノマー)換気立坑の掘削作業を行っていないため掘削土の測定はありません主立坑の掘削作業を行っていないため掘削土の測定はありませんMizunamiUndergroundResearchLaboratory
MIU 地下深部の世界に 挑戦!
地下深部は宇宙・深海底に次ぐ第三のフロンティア
物質を閉じ込める微小空隙を確認
研究レポート No.4
もぐら博士
石橋 正祐紀
いしばし まさゆき
研究計画調整グループ
研究員(理学博士)
出身地:茨城県
専門:地質学
花崗岩の主要構成鉱物である斜長石に地層処分の安全確保の基本地層が持つ物質の閉じ込め能力 高レベル放射性廃棄物の地層処分の基本は、物質を閉じ込めるという地層が本来持つ機能を利用し、地下深くの安定した場所に廃棄物を埋設することにより、数万年以上にわたり人間の生活環境から隔離することです。そのため、地層を構成する岩石の閉じ込め能力を知ることは、地層処分の安全を評価する上で重要な研究課題です。花崗岩の物質の閉じ込め能力 花崗岩などの硬い岩石の場合、 地下水に溶け込んでいる物質の移動経路としては、肉眼で見える大きさの割れ目 に加え、顕微鏡を使わないと見えない微小な空隙が考えられます。地下水に溶け込んでいる物質が割れ目を移動する際は、割れ目から周辺の岩盤に発達する微小空隙の中に広がることが知られています。これをマトリクス拡散と呼び、地層が物質を閉じ込める重要な現象の一つです。これまでの研究により、熱水や地下水との反応で変質した部分に微小空隙が多く見られ、物質の閉じ込め能力が高いことが示されています。しかし、変質部分は岩体のごく一部であり、大部分は変質の少ない部分(健岩部)からなります。そこで本研究では、花崗岩の健岩部における物質の閉じ込め能力を調べました。物質の拡散試験及び顕微鏡観察の結果 本研究では、瑞浪超深地層研究所の深度300m及び500mの研究坑道から花 崗岩の健岩部の試料 ( 岩石ブロック試料とボーリングコア試 料)を採取し (図1)、物質の拡散試験及び顕微鏡を用いた詳細ないます。また、研究対象の土岐花崗岩は、肉眼では変質が認められない健岩部でも、熱水作用による斜長石の粘土鉱物化が認められています。 これらのことから、斜長石中の微小空隙は、地下深部でマグマが冷えて花崗岩体ができる際に生じる熱水により斜長石が変質を受け(これを初生的変質と呼びます)、結晶内部のカルシウム成分に富む部分が溶け出してできたと考えられます。 今後の研究の展開 本研究によって、花崗岩の健岩部でも、 初生的変質により斜長石の中に微小空隙 が発達し、物質を閉じ込める機能が期待できることを明らかにしました。これは、地層処分の安全性を議論する上で重要な知見と言えます。 このような花崗岩の初生的変質は、国内の他の花崗岩にも認められていることから、斜長石中の微小空隙の存在が日本の花崗岩の特徴であるのかを確認するため、現在、国内外の花崗岩を対象に研究を進めています。観察を行い、マトリクス拡散に寄与するような微小空隙の存在やその特徴について検討しました。 岩石ブロック試料を用いた拡散試験の結果 、花崗岩の健岩部においても、マトリク ス拡散が起きることが確認されました (図2A・B)。また、拡散した物質(蛍光染料 )は、 花崗岩の主要な構成鉱物の一つである斜長石に選択的に分布 することが分かりました (図2C) 。一方、 ボーリングコアから採取した試料を顕微鏡で詳細に観察した結果 、全ての試料で斜長石の中に微小空隙が特に多く観察され (図2D)、この斜長石中の微小空隙がマトリクス拡散の経路をなしていることが分かりました。斜長石中の微小空隙の成因 それでは、どのように斜長石中の微小空隙が生まれたのでしょうか。図3は、微小空隙の電子顕微鏡写真です。微小空隙の表面には、溶けてできたような凹凸が見られます。一般に斜長石は、結晶の内部ほどカルシウム成分が多く、カルシウム成分が多いほど溶けやすいことが実験で確かめられ
日本原子力研究開発機構・東濃地科学センターの石橋正祐紀研究員、笹尾英嗣主任研究員、
濱克宏主任研究員らの研究チームは、瑞浪超深地層研究所の深度 300mと 500mの研究坑道
において採取した花崗岩試料を使った各種試験の結果、花崗岩の主要構成鉱物の1つである
斜長石に物質を閉じ込める機能が期待できる微小空隙があることを日本で初めて確認しました。
★この研究成果は学術雑誌に掲載されたとともに、平成 28 年 8 月にプレス発表しました。
図1 花崗岩試料の採取場所
瑞浪超深地層研究所
深度500mステージ
深度300mステージ
岩石ブロック試料
ボーリングコア試料
10μm
蛍光染料の溶液
1.0 mm
斜長石
斜長石の中の微小空隙(黄緑部分)D図2 花崗岩の岩石ブロックを用いた拡散試験の結果
(A〜C)
及びボーリングコア試料の顕微鏡観察結果(D) 図3 斜長石中の微小空隙の電子顕微鏡写真

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /