スライド 1


わが国における原子力の
長期的役割
平成18年 1月12日
経営企画部戦略調査室
佐藤 治
戦略調査セミナー
報告(2)
研究会資料06-2 目 次
1.日本のエネルギー需給シナリオの比較
2.原子力ビジョン分析の前提条件
3.原子力標準ケースの概要
4.原子力規模の異なるケース間の比較
記号 実施機関等 報告書等(年) 時間範囲
NRE 総合資源エネルギー
調査会需給部会
2030年のエネルギー需給展
望(2005)
2030年まで
ISEP 市民エネルギー調査
会(ISEP)
持続可能なエネルギー社会を
目指して-エネルギー・環境・
経済問題への未来シナリオ-
(2004)
2030年まで
JAERI 日本原子力研究所
ビジョン分析
(原産・原子炉開発利
用委員会ビジョンWG
での検討)
我が国の長期エネルギー需給
シナリオに関する検討
JAERI-Research 2005-012
(2005)
2050年まで
1.日本のエネルギー需給シナリオの比較
1-1 エネルギー需給シナリオの検討事例1 0123456
2000 2010 2020 2030 2040 2050
1-2 一次エネルギー供給量とCO2排出量
億トン(石油換算)/年年ABCAB
C ISEP
JAERINRENREシナリオ(一部のみ表示)
経済成長High
レファレンス
経済成長Low
省エネ進展00.511.522.533.542000 2010 2020 2030 2040 2050年JAERI
(注)NRE及びISEPのデータは、
38.72GJ/KL、EJ=23.88Mトンで
石油換算。AB
C ISEPNRE億トン(炭素換算)/年
一次エネルギー供給量 CO2排出量
A〜C2 0123456
1990年
2000年
レファレンス
省エネ進展
原子力大
経済成長高
経済成長低ABCABC
その他
原子力
天然ガス
石炭
石油等
1-3 一次エネルギー供給構成
億トン(石油換算)
2030年
ISEP JAERINRE3 00.20.40.60.81
1.2 1990年
2000年
レファレンス
省エネ進展
原子力大
経済成長高
経済成長低ABCABC
その他
水力
石油等LNG石炭
原子力
1-4 発電電力量と電源構成
兆kWh
2030年
ISEP JAERINRE4
くろまる 分析手法
・MARKALモデル
くろまる 対象期間
・1990年〜2050年
(2000年までのエネルギー
需給はエネルギーバランス
表(日本エネ研)に基づく。)
くろまる 長期割引率
・年率3%
くろまる 基本単位
・エネルギー量: PJ, EJ(真発熱量)
・コストと価格 : 円(1995年基準)
・2000年以降の換算レート: 110円/米国$
くろまる エネルギーサービス需要
・経済成長率・人口・世帯数・産業構造変化等により決定
くろまる CO2排出量の計量方法と範囲
・エネルギーの入手段階(輸入、国内採掘)で計量し、化学原料等を控除
・廃棄物の燃焼、セメント製造業での石灰焼成による排出を含める
しろまる 国際エネルギー機関(IEA)で共同開発した汎用の
最適化分析モデル(日本モデルは原研が構築)
しろまる 将来のエネルギーサービス需要、エネルギー利用
可能量、二酸化炭素排出量などの制約条件を満
足しながら、エネルギー需給の総コストが最小とな
るようにエネルギーの供給、変換、利用を最適化
するモデル
2-1 分析の概要と基本的な前提条件
PJ : Peta Joule (1015 Joule)
EJ : Exa Joule (1018 Joule)
(1 cal = 4.186 Jouleで換算)
真発熱量: 燃料中に含まれる水分の蒸発
潜熱が回収されないと想定した
場合の燃料発熱量
2.原子力ビジョン分析の前提条件5 204060801001201401601970 1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050
指数 (2000年 = 100)
2-2 社会経済の長期指標GDPGDP/人
総人口
注: 1. 総人口の将来値は人口問題研究所「日本の推
計人口」 (平成9年1月)の中位推計による。
2. GDP実績値は平成7年基準(出典:EDMCエネ
ルギー・経済統計要覧2002)。
2000年 2010年 2030年 2050年
人口 (百万) 127 128 117 101
GDP伸び率 1.2% 0.6% 0%
GDP (兆円) 536 604 680 680
GDP/人 (万円) 421 473 581 677年6
*1 国際輸送の排出を含めて制約 (2010年のCO2排出量(除国際輸送)は1990年水準に抑制)
*2 原子力熱利用は2020年に実用化することを想定
*3 ケースBでは、1自然エネルギー利用可能規模拡大、2CO2回収・投棄が可能と想定
2-3 エネルギー需給シナリオの定義
CO2排出量 原子力発電 原子力熱利用A(標準)
2050年:
2010年値の
60%に抑制
2030年〜: 70 GWe 2050年: 10 GWtB(フェーズアウト)
2010年以降新設なし
(2005年までに建設の炉
は耐用年数40年で廃止)
なしC(原子力拡大)
2050年: 90 GWe 2050年: 20 GWt
条件 *2*3*1
ケース7 0204060801001990 2000 2010 2020 2030 2040 2050AGW年2-4 原子力エネルギー利用規模の仮定BC
原子力発電
(GWe)
熱利用炉
(GWt)AC907020108 億トンCO202468101214
1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050
2010年には総排出量
(除国際輸送)を1990
年水準に制約
(注)実績、制約値ともに国際輸送からの排出を含めて表示している
2-5 CO2排出量に対する制約年実績
2050年には総排出量
(含国際輸送)を2010
年水準の60%に制約
CO2排出量の
上限制約値9 012345678
2000 2020 2040012342000 2020 2040
億トン(炭素換算)
億トン(石油換算)
1 一次エネルギー消費量 2 二酸化炭素排出量年年A1A2A3BC1C2BC1, C2
A1, A2, A3
2-6 IIASA-WEC世界エネルギー需給シナリオ
におけるOECD太平洋地域
(注)IIASA-WECの分析は1993〜1995
年に実施されたため、2000年値は
シナリオによって変動している。
A1, A2, A3: 高成長シナリオ
B: 中庸シナリオ
C1, C2: エコロジーシナリオ10 00.511.522.533.54
1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050
億トン(石油換算)年地域熱供給
黒液・太陽熱等
石炭等
電 力
石油等
ガ ス
水 素31 %11 %2 %2 %25 %23 %
2050年
構成比6 %3-1 最終エネルギー消費量と構成
3. 原子力標準ケースの概要11 00.20.40.60.811990 2000 2010 2020 2030 2040 2050
3-2 輸送部門のエネルギー消費量年メタノール
ガスFCV
ガソリン
電力
重 油
ジェット油
軽 油
水 素
億トン(石油換算)12 024681012
1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050
3-3 発電電力量と電源別構成
1000億kWh年水 力
自然エネルギー
原子力
石 油
天然ガス
石 炭15 %48 %10 %4 %
2050年
構成比21 %3 %13 0123456
1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 年
自然エネルギー
原子力
石 油
天然ガス
一般炭
原料炭
3-4 一次エネルギー供給量と構成14 %25 %2 %7 %31 %21 %
2050年
構成比
億トン(石油換算)14 00.511.522.533.54 黒液・太陽等
熱供給
石油等
ガス
電 力
石炭等
4-1 最終エネルギー消費量
水素1.4%24%10%13%52%0.3%26%20%45%6%31%24%24%11%27%24%39%7%31%24%22%11%26%20%44%6%31%25%23%11%7%6%6%2000年 2025年
A B C A B C
2050年
4. 原子力規模の異なるケース間の比較
億トン(石油換算)15 024681012
その他
原子力
石油他
天 然
ガ ス
石 炭
1000億kWh
水 力
4-2 発電電力量と電源別構成9%6%51%10%19%10%19%11%50%10%60%8%1.0%10%31%16%23%19%8%11%23%11%64%6%46%10%27%15%48%10%21%6%5%(注)自家発電を含む
2000年 2025年
A B C A B C
2050年16 4-3 一次エネルギー供給量0123456自然エネルギー
原子力
石 油
天然ガス
一般炭
原料炭6%13%10%9%13%51%5%22%39%17%9%8%36%34%8%20%54%18%20%39%21%9%8%8%25%21%31%14%7%7%11%33%21%23%11%7%5%億トン(石油換算)
2000年 2025年
A B C A B C
2050年17 00.511.522.533.544.55
原料炭
石油製品
原 油
一般炭
6300万t
4900万kl
2.52億kl
5300万t
7900万t
9800万kl
5200万t
4000万t
1.35億t
8300万kl
5100万t
4-4 化石燃料の輸入量
8500万kl
8400万t
4300万t
3400万t
2300万kl
7700万kl
4100万t
1800万kl
9500万t
8400万t
8300万t
4100万t
1700万kl
天然ガス
7200万t
1.85億t
1.25億kl
1.10億kl
1.24億kl
5200万t
2200万t
2800万t
1.08億t
2000年 2025年
A B C A B C
2050年
億トン(石油換算)18 010203040
石油改質
夜間電力
4-5 水素の製造と消費
天然ガス
改質(自燃)010203040天然ガス
改質(核熱)
製 造
消 費
石油精製 乗用車
トラック
バス
航空
メタノール
原料
2000年 2025年
A B C A B C
2050年
百万トン(石油換算)19 CH4 (直接燃焼) 1203 1.
0.74CH4 + 1.48H2O 0.74CO2 + 2.96H2 847 0.26
0.26CH4
CH4 + 2H2O CO2 + 4H2 1144 〜0.
高温核熱
製品発熱量
( kJ (HHV) )
CO2排出量
( mol )
316 kJ
CH4 + H2O CO + 3H2 (メタン改質反応)
CO + H2O CO2 + H2 (COシフト反応)
CH4 + 2H2O CO2 + 4H2 ΔH = 253 kJ/mol (HHV)
だいやまーくメタン改質は水の分解を伴う
だいやまーくメタン1モルの利用方法の比較
4-5(参) 天然ガスの改質について
改質用熱源
改質用熱源
回収・固定
回収・固定20(注)改質用熱源のエネルギー利用
効率を80%と想定した。95%70% 02468101214
1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050ABC億トンCO2
4-6 CO2排出量の推移年総排出量
発電・熱供給施設21 01234
1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050
億トンCO2/年
大気放出分年4-7 CO2の回収・投棄量(原子力フェーズアウトケース)
回収・投棄分
発電・熱供給施設
からの総排出量22 4-8 エネルギー供給コスト
兆円/年
2000年 2025年 2050年0510152025
A B C A B C
石油・石炭等LNG
燃料転換
燃料配送
火力発電
原子力発電
自然エネル
ギー発電
熱電併給
その他
核熱水素
CO2回収投棄設備の建設費・運転費燃料輸入費(注)建設費は年
経費化した23 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
回収投棄設備費
核熱水素設備費
その他設備費
発電等設備費合計
熱電併給設備費
自然エネ発電設備費
原子力発電設備費
火力発電設備費
送配設備費
転換設備費
燃料輸入費合計
天然ガス輸入費
石油他輸入費
総年間費用(B-A)
シナリオA
シナリオB
B - A (フェーズアウトによる増加)
4-9 2050年のエネルギー供給コストの比較
(建設費を年経費化)
(兆円)24 4-10 まとめと考察
くろまる2050年のエネルギー需給のポイント
・供給サイド :原子力と天然ガス-競争的ではなく補完的役割
再生可能エネルギーは補助的役割
・需要サイド :電気+ガス〜水素-コスト低減と安定的生産技術
・インフラ整備 :核燃料サイクル+天然ガスPL〜水素ネットワーク
・要素技術開発 :原子力発電・サイクル/核熱利用/燃料電池
くろまる原子力エネルギー利用の意義
・輸入化石燃料への依存度の軽減-自立性・安定性の向上
・低コストで二酸化炭素の大幅な削減が可能
くろまる原子力エネルギー利用の拡大に向けて
・受容性の向上:安全利用の実績+技術的信頼性の維持・向上
・核燃料サイクルの確立:短期〜長期のプルトニウム利用戦略
・核熱利用システム開発:ガス炉+水素製造技術25 A1 総合資源エネ調需給部会(NRE)の需給シナリオ
1 ケース設定と考え方
ケース
レファレンス 経済社会や人口構造、マーケット等がこれまでの趨勢で推移
エネルギー技術進展ケース
省エネ進展 省エネ機器、新技術、ヒートポンプや分散型エネルギーが進展
新エネ進展 2030年に再生可能新エネルギーのシェアが10%に
原子力ケース
原子力High 2030年までに原子力発電所17基新設(レファレンス10基)
原子力Low 2030年までに原子力発電所8基新設
外的マクロ要因ケース
経済成長High レファレンス比で+0.4%ポイント(2020〜30年に年率1.6%)
経済成長Low レファレンス比で-0.8%ポイント(2020〜30年に年率0.4%)
原油価格High 2010〜30年の価格35$/bbl(レファレンスでは21〜29$/bbl)
原油価格High+
LNG formula改訂
2030年のLNG価格18.09$/bblOE (レファレンスでは
23.20$/bblOE、原油価格Highでは24.50 $/bblOE)
原油価格Low 2010〜30年の価格15ドル/bbl
補足資料26 2 レファレンスケースの主な前提条件
年度 1990 2000 2010 2020 2030
人口(千人) 123,311 126,926 127,473 124,107 117,580
世帯数(万) 4,116 4,742 5,108 5,121 4,967
年度 2000 2010 2020 2030
原油価格($/bbl、実質) 28 21 25 29
LNG価格($/t、実質) 252 179 202 208
一般炭価格($/t、実質) 35 39 41 44
年度 1990 2000 2010 2020 2030
鉱工業生産指数 101 100 110 123 130
業務床面積(百万m2) 1,285 1,656 1,865 2,026 2,063
旅客輸送量(10億人km) 1,296 1,420 1,532 1,638 1,670
貨物輸送量(10億トンkm) 547 578 553 550 530
だいやまーく輸入燃料価格
だいやまーく人口と世帯数
だいやまーく経済活動指標
実質成長率 2010/2003:2.0%, 2020/2010:1.7%, 2030/2020:1.2%27 A2 市民エネ調(ISEP)による需給シナリオ
1 シナリオ設定と考え方
シナリオ 考え方
A「ゆでガエル」 現状延長で経済・環境破綻
B「いきカエル」 <環境大国ニッポン>
今日の社会経済の仕組みのもとで環境と経済の達成を目指す
C「きりカエル」 <スローライフ・ニッポン>
社会経済パラダイムの転換を先取りした「とき」の豊かな社会020406080100120140
1990年 2000年 A B A B C
2030年
2010年
2000年=100
人口GDP28
2 主な前提条件
年度 1990 2000 2010 2030
人口(万人) 12,361 12,693 12,753 11,763
世帯数(万) 4,180 4,802 5,014 4,902
年度 1990 2000 2010 2030
A B A B C
鉱工業生産指数 96 100 116 118 138 149
業務床面積(百万m2) 1,286 1,655 1,840 1,844 1,996 2,034 1,230
旅客輸送量(10億人km) 1,296 1,420 1,577 1,584 1,781 1,836 1,039
貨物輸送量(10億トンkm) 547 578 618 634 648 646 389
だいやまーく輸入燃料価格
だいやまーく人口と世帯数
だいやまーく経済活動指標
実質成長率 2010/2000=1.4%, 2030/2020= A: 0.6%, B: 0.9%, C: -2.6%
年度 1990 2000 2010 2030
A B A B C
原油価格($/bbl、実質) 23 28 29 29 35 35 36
(注記)斜字は1995年値29 指数 指数 指数
くろまる国内総生産 兆円 536 680 127 680 127 680 127
(一人当り) 万円 421 677 161 677 161 677 161
くろまる一次エネルギー 億トンOE 5.5 4.5 81 4.4 79 4.6 84
(一人当り) トンOE 4.3 4.5 103 4.3 100 4.6 106
石油輸入量 億KL 3.01 1.00 33 0.96 32 1.08 36
天然ガス輸入量 億トン 0.53 1.09 204 1.85 347 0.84 157
化石燃料比率 % 82.0 60.8 81.8 56.5
原子力比率 % 12.5 25.3 0.0 32.7
くろまる総発電電力量 兆kWh 1.02 1.14 111 1.14 111 1.18 115
(一人当り) 千kWh 8.1 11.4 140 11.4 140 11.7 145
火力発電比率 % 58.8 26.9 66.3 21.5
原子力比率 % 30.7 48.4 0.0 60.3
くろまる最終エネルギー 億トンOE 3.8 3.3 86 3.3 86 3.3 86
(一人当り) トンOE 3 3 108 3 108 3 108
電力比率 % 23.7 31.1 0 30.6 0 31.0 0
くろまるCO2排出量 億トン 13.0 7.2 55 7.2 55 7.2 55
(一人当り) トン 10.3 7.2 69 7.2 69 7.2 69
くろまるエネルギー供給コスト 兆円 20.3 21.9 108 25.7 127 21.1 104
対GDP比率 % 3.8 3.2 3.8 3.1
燃料輸入コスト 兆円 6.4 7.0 110 9.2 144 6.6 103
(注)指数は2000年値を100とした場合の2050年値を示す。
2050年
A B C
2000年
指 標
A3 原子力ビジョン分析
主要指標(2050年値)のケース間比較30

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