国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の
平成 29 年度の業務運営に関する計画
(年度計画)
(平成 29 年 4 月 1 日〜平成 30 年 3 月 31 日)
平成 29 年 4 月 1 日制定
平成 30 年 3 月 12 日変更
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 1目次
序文................................................................. 4
前文................................................................. 4
I.安全を最優先とした業務運営に関する目標を達成するためとるべき措置. 5
1.安全確保に関する事項 ......................................... 5
2.核セキュリティ等に関する事項.................................. 6
II.研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する目標を達成する
ためとるべき措置................................................. 7
1.東京電力福島第一原子力発電所事故の対処に係る研究開発.......... 7
(1) 廃止措置等に向けた研究開発................................ 8
(2) 環境回復に係る研究開発.................................... 9
(3) 研究開発基盤の構築........................................ 9
2.原子力安全規制行政等への技術的支援及びそのための安全研究 .... 10
(1) 原子力安全規制行政への技術的支援及びそのための安全研究 .. 10
(2) 原子力防災等に対する技術的支援 .......................... 12
3. 原子力の安全性向上のための研究開発等及び核不拡散・核セキュリティ
に資する活動 ................................................ 13
(1) 原子力の安全性向上のための研究開発等 .................... 13
(2) 核不拡散・核セキュリティに資する活動 .................... 14
4.原子力の基礎基盤研究と人材育成............................... 16
(1) 原子力を支える基礎基盤研究、先端原子力科学研究及び中性子利
用研究等の推進........................................... 16
(2) 高温ガス炉とこれによる熱利用技術の研究開発 .............. 19
(3) 特定先端大型研究施設の共用の促進 ........................ 20
(4) 原子力人材の育成と供用施設の利用促進 .................... 20
5.高速炉の研究開発 ............................................ 22
(1) 「もんじゅ」廃止措置に向けた取組 ........................ 22
(2) 高速炉の実証技術の確立に向けた研究開発と研究開発の成果の最
大化を目指した国際的な戦略立案.......................... 22
6.核燃料サイクルに係る再処理、燃料製造及び放射性廃棄物の処理処分 2に関する研究開発等 .......................................... 24
(1) 使用済燃料の再処理、燃料製造に関する技術開発 ............ 24
(2) 放射性廃棄物の減容化・有害度低減の研究開発 .............. 25
(3) 高レベル放射性廃棄物の処分技術等に関する研究開発 ........ 27
(4) 原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理処分の計画的遂行
と技術開発.............................................. 29
7.産学官との連携強化と社会からの信頼の確保のための活動 ........ 31
(1) イノベーション創出に向けた取組 .......................... 31
(2) 民間の原子力事業者の核燃料サイクル事業への支援 .......... 33
(3) 国際協力の推進 .......................................... 33
(4) 社会や立地地域の信頼の確保に向けた取組 .................. 34
III.業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置.......... 35
1.業務の合理化・効率化......................................... 35
(1) 経費の合理化・効率化 .................................... 35
(2) 人件費管理の適正化 ...................................... 36
(3) 契約の適正化 ............................................ 36
(4) 情報技術の活用等 ........................................ 36
IV.財務内容の改善に関する目標を達成するためとるべき措置............ 37
1.予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画........... 37
(1) 予算 .................................................... 37
(2) 収支計画 ................................................ 39
(3) 資金計画 ................................................ 41
2.短期借入金の限度額........................................... 423.不要財産又は不要財産となることが見込まれる財産がある場合には、当該財産の処分に関する計画 .................................... 424.前号に規定する財産以外の重要な財産を譲渡し、
又は担保に供しようと
するときは、その計画 ........................................ 43
5.剰余金の使途................................................. 43
V.その他業務運営に関する重要事項.................................. 43
1.効果的、効率的なマネジメント体制の確立 ...................... 43
(1) 効果的、効率的な組織運営 ................................ 43 3(2) 内部統制の強化 .......................................... 44
(3) 研究組織間の連携、研究開発評価等による研究開発成果の最大化 45
(4) 業務改革の推進 .......................................... 46
2.施設・設備に関する計画 ...................................... 46
3.国際約束の誠実な履行に関する事項 ............................ 47
4.人事に関する計画 ............................................ 47 4序文
独立行政法人通則法
(平成十一年法律第百三号)
第 35 条の 8 において準用
する同第 31 条第 1 項の規定に基づき、
国立研究開発法人日本原子力研究開発
機構(以下「機構」という。
) の平成 29 年度(2017 年度)の業務運営に関す
る計画(以下「年度計画」という。
)を次のとおり定める。
前文
平成 29 年度は、前年度に引き続き、中長期計画に従って、
「東京電力福島
第一原子力発電所事故への対処」、「原子力の安全性向上」、「原子力基礎基盤
研究と人材育成」、「高速炉の研究開発」
及び
「核燃料サイクルに係る再処理、
燃料製造及び放射性廃棄物の処理処分に関する研究開発等」に重点化して取
り組む。
研究開発の実施に当たっては、国立研究開発法人として、自らの研究開発
成果の最大化を図るとともに、我が国全体の研究開発成果の最大化等に貢献
する。なお、原子力機構改革の一環として核融合研究開発及び量子ビーム応
用研究の一部を分離し、国立研究開発法人放射線医学総合研究所へ統合して
平成 28 年 4 月より新たに国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
(以下
「量子科学技術研究開発機構」
という。)として業務が開始されたことを踏ま
え、引き続き、量子科学技術研究開発機構との密接な相互連携協力を図り、
分離された研究開発業務の実施に支障を来すことのないよう配慮する。
また、
高速増殖原型炉「もんじゅ」
(以下「もんじゅ」という。
)については、「『も
んじゅ』
の取扱いに関する政府方針」
(平成 28 年 12 月原子力関係閣僚会議決
定。
(以下「もんじゅ方針」という。))に基づき、安全かつ着実な廃止措置の
実施への対応を進める。さらに、東海再処理施設については、原子力規制委
員会からの指示に基づき平成 28 年度に提出した東海再処理施設の廃止に向
けた計画、高放射性廃液の貯蔵に係るリスク低減計画、高放射性廃液のガラ
ス固化処理の短縮計画を着実に実施するための取組を進める。
業務の実施に当たっては、安全を最優先とするとともに、将来にわたって
原子力に係る研究開発機能を維持・発展させるため、
平成 28 年度に策定した
施設中長期計画に基づき、既存施設の集約化・重点化、廃止措置及び放射性
廃棄物の処理処分並びに原子力施設の新規制基準への対応・高経年化対策・ 5耐震化等の安全確保を計画的に進める。また、これらの取組を着実に進める
ための組織を柔軟に見直していく等、経営機能の継続的な改善に取り組む。
I.安全を最優先とした業務運営に関する目標を達成するためとるべき措置
1.安全確保に関する事項
安全確保を業務運営の最優先事項とし、
自ら保有する原子力施設が潜在的
に危険な物質を取り扱うとの認識に立ち、
法令遵守はもとより、
安全管理に
関する基本事項を定めるとともに、
自主保安活動を積極的に推進し、
廃止措
置に移行する「もんじゅ」
・東海再処理施設を含む施設及び事業に関わる原
子力安全確保を徹底する。
上記方針にのっとり、以下の取組を実施する。
1 理事長が定める原子力安全に係る品質方針、安全文化の醸成及び法令
等の遵守に係る活動方針、安全衛生管理基本方針、環境基本方針に基
づき、
各拠点において安全確保に関する活動計画を定めて活動すると
ともに、理事長によるマネジメントレビュー等を通じて、その継続的
改善を図る。
2 原子力安全監査等を適切に実施し、品質マネジメントシステムの確実
な運用と継続的な改善を図る。
3 安全文化醸成活動に当たっては、職員一人一人が、安全について常に
学ぶ心、改善する心、問いかける心を持って、安全文化の醸成に不断
に取り組み、職員の安全意識向上を図る活動を不断に継続し、安全文
化の定着を目指す。その際、原子力に関する研究開発機関として、多
様な施設や拠点の特徴を踏まえた活動に努める。
4 機構の安全文化の状態を把握するため、安全文化に関するモニタリン
グを実施し、その結果を踏まえ必要な対策を講ずる。
5 現場における安全向上に資する情報に関し、迅速かつ組織的に情報共
有を図り、
効果的な改善につなげる現場レベルでの仕組みを継続的に
改善する。また、現場における保守管理、緊急時対応等の仕組みや手 6順を実効性の観点から継続的に改善する。
6 機構内外の事故・トラブル情報や良好事例を収集し、実効的な水平展
開により、事故・トラブルの再発防止を図る。また、過去の事故・ト
ラブルを踏まえた再発防止対策等について、
定期的にその効果を検証
し必要な見直しを行う。
7 新規制基準対応の状況及び課題を把握するとともに、課題の解決、審
査等を円滑に進める。
8 施設の高経年化を踏まえた効果的な保守管理活動を展開するととも
に、施設・設備の安全確保上の優先度を踏まえ、高経年化対策を進め
る。また、緊急に必要となる安全対策について、機動的な資源配分を
行う。
9 事故・トラブル時の緊急時対応を的確に行うため、TV 会議システム等
による機構内の情報共有機能及び機構外への情報提供機能の健全性
を維持するとともに、必要に応じた改善を行う。また、防災訓練等に
おいて、事故・トラブル対応能力の向上を図るとともに、情報共有・
提供機能の実効性を検証する。事故・トラブル情報について、関係機
関への通報基準や公表基準を継続的に見直し、
迅速かつ分かりやすい
情報提供に努める。
10 上記の取組状況を踏まえ、機構内の安全を統括する各部署の機能を定
期的に評価し、継続的に強化を図る。
2.核セキュリティ等に関する事項
核物質防護規定変更認可申請、
核物質防護規定遵守状況調査の重点的な実
施に加えて、平成 29 年度から再処理施設、
「もんじゅ」及び新型転換炉「ふ
げん」
(以下「ふげん」という。
)に導入される個人の信頼性確認制度(試験
研究炉及び核燃料物質使用施設に対しても今後導入が予定されている)
への
対応など、核物質防護に係る業務を行い、核物質防護の強化を図る。e-ラー
ニング等の機会を通じて核セキュリティ文化醸成活動を行いつつ、
アンケー
ト調査を通じて定着状況を把握して核セキュリティ文化醸成活動の継続的
改善を行う。
保障措置・計量管理業務の適切な実施及び計量管理報告業務を行う。
また、 7計量管理業務の水準及び品質の維持・向上を図る。
統合保障措置に適切に対
応する。
核物質の管理に係る原子力委員会、
国会等からの情報提供要請に対
応する。
試験研究炉用燃料の調達及び使用済燃料の米国への輸送について、
米国エ
ネルギー省(DOE)や関係部門等との調整を行う。許認可等、核物質の輸送
に係る業務を適切に実施する。
II.研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する目標を達成する
ためとるべき措置
1.東京電力福島第一原子力発電所事故の対処に係る研究開発
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉、汚染水対策、環境回復等、世界に
も前例のない困難な課題の解決に取り組む。
課題の解決に当たっては、
機構
が有する人的資源や研究施設を最大限活用しながら、
エネルギー基本計画等
の国の方針や社会のニーズ等を踏まえ、
機構でなければ実施することができ
ないものに重点化を図る。東京電力福島第一原子力発電所 1〜4 号機の廃止
措置等に向けた研究開発及び福島再生・復興に向けた環境汚染への対処に係
る研究開発を確実に実施するとともに、
国の方針を踏まえつつ研究資源を集
中的に投入するなど、研究開発基盤を強化する。
また、
機構の総合力を最大限発揮し、
研究開発の方向性の転換に柔軟に対
応できるよう、各事業部門等の組織・人員・施設を柔軟かつ効果的・効率的
に再編・活用する。
さらに、産学官連携、外国の研究機関等との国際協力を進めるとともに、
中長期的な研究開発及び関連する活動等を担う人材の育成等を行う。
これら
を通じて得られる技術や知見については世界と共有し、
各国の原子力施設に
おける安全性の向上等に貢献していく。
これらの取組については、
国の政策や社会のニーズを踏まえつつ、
具体的
な工程のもと、
個々の研究開発ごとの成果内容、
東京電力福島第一原子力発
電所の廃止措置等への提供・活用方法を具体化し、
関係機関と連携して進め
るとともに、
諸外国における廃止措置等に関する研究開発成果、
廃止措置等 8の進捗状況、政府や原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)及び東京電力
株式会社の関係機関との役割分担等を踏まえ、
研究開発の重点化・中止等に
ついて随時見直していく。
なお、実施に当たっては外部資金の獲得に努める。
(1) 廃止措置等に向けた研究開発
燃料デブリの取り出しに向け、事故により燃料から放出された放射性物
質の配管等への付着メカニズムに関する知見の取得を継続する。現場状況
に即した燃料デブリの発熱・冷却評価のために、解析手法の妥当性確認及
び改良を継続する。燃料デブリの取り出しを想定した線量評価手法を構築
する。また、燃料デブリ中の核物質量の評価・測定技術開発については、
光ファイバーとレーザーを組み合わせた測定技術の開発を進めるとともに、
計量管理等に向けた各測定技術の適用範囲の評価結果を取りまとめる。
放射性廃棄物の処理処分に向け、処分の安全性評価の信頼性向上に係る
開発、人工バリア材、廃棄体性能及び分析・測定技術の高度化開発並びに
放射性廃棄物の保管等に関する安全管理技術の開発を継続する。
事故進展シナリオの解明に向け、事故時の燃料集合体挙動評価のための
データ取得と解析コード改良を進める。圧力容器の破損箇所や破損時刻を
推定するための手法及び格納容器の健全性評価に係るデータの整備を進め
る。
遠隔操作技術開発に向け、施設利用の高度化に資する標準試験法、ロボ
ット開発に活用するロボットシミュレータ及び施設利用に係る遠隔基盤技
術の開発等を引き続き進める。また、高線量率環境下での遠隔技術を用い
た放射線計測及び放射線画像の解析手法の開発整備を進める。
これら研究開発で得られた成果を国内外に積極的に発信することにより、
東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置等の安全かつ確実な実施及び原
子力施設の安全性向上にも貢献する。さらに、専門的知見や技術情報の提
供等により、NDF 等における廃炉戦略の策定、研究開発の企画・推進等を
支援する。
廃炉国際共同研究センターは、廃炉研究の基礎基盤から応用までを総括
するため、原子力機構の各研究拠点を活用し、
「東京電力(株)福島第一原 9子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」
(平成 27 年 6 月廃
炉・汚染水対策関係閣僚等会議)や社会のニーズを踏まえた研究プログラ
ムを展開する。また、国内研究機関とともに設置した廃炉基盤研究プラッ
トフォームを通じた基盤研究の推進及び福島リサーチカンファレンスの開
催等により国内外の研究者が集結する場を構築する。
(2) 環境回復に係る研究開発
環境汚染への対処に係る研究開発を確実に実施し、それらの成果の公表
及び自治体への技術提供を通じて住民の帰還や産業の再生化、住民生活の
安全・安心の確保に貢献する。
環境動態研究として、関係機関と連携して、森林や河川、海洋等、環境
中の放射性セシウムの移動挙動やその将来予測に必要となる現地調査とシ
ミュレーションによる解析技術の整備を行うとともに、これらを踏まえた
包括的評価システムの構築を継続する。
環境モニタリング・マッピング技術開発として、環境試料中の極微量放
射性物質の分析法の高度化を図る。また、上空、地上及び水中における遠
隔測定技術の高精度化を図り、民間等への技術移転を進めるとともに、他
の研究への活用を進める。
除染等で発生する土壌及び廃棄物の減容や再生利用技術並びに処分の具
体化に必要な調査研究・解析を継続する。
福島県環境創造センターの中長期取組方針及び調査研究計画に従い、環
境回復に向けた取組を継続する。
(3) 研究開発基盤の構築
遠隔操作機器・装置の開発実証施設(以下「楢葉遠隔技術開発センター」
という。)については、
利用促進計画に基づく活動により施設利用の拡大を
図る。
また、施設利用の高度化に資する標準試験法、遠隔操作機器の操縦技術
の向上等を図る仮想空間訓練システム及びロボットの開発・改造に活用す
るロボットシミュレータの開発・整備を引き続き進める。仮想空間訓練シ
ステムについては、進捗に応じて各号機のデータ整備を進めるなどシステ 10ムの機能拡充を図り、本格運用を開始する。
放射性物質の分析・研究施設については、分析手法の合理化に係る研究
開発を進めながら、第 1 期施設のうち第 1 棟の建設工事を実施するととも
に、施設管理棟の建設を進め運用を開始する。第 2 期施設については、詳
細設計を進める。
「東京電力株式会社福島第一原子力発電所の廃止措置等研究開発の加速
プラン」
(平成 26 年 6 月 20 日文部科学省)を着実に進めるため、廃炉国際
共同研究センターの新たな拠点として、
国際共同研究棟の運用を開始する。
2.原子力安全規制行政等への技術的支援及びそのための安全研究
機構は、
原子力安全規制行政及び原子力防災等への技術的支援を求められ
ている。
これらの技術的支援に係る業務を行うための組織を原子力施設の管
理組織から区分するとともに、研究資源の継続的な維持・増強に努め、同組
織の技術的能力を向上させる。
また、
機構内に設置した外部有識者から成る
規制支援審議会において、
当該業務の実効性、
中立性及び透明性を確保する
ための方策の妥当性やその実施状況について審議を受け、
同審議会の意見を
尊重して業務を実施する。
(1) 原子力安全規制行政への技術的支援及びそのための安全研究
原子力安全規制行政への技術的支援のため、
「今後推進すべき安全研究の
分野及びその実施方針」
(平成 28 年 7 月原子力規制委員会)等で示された
研究分野や時期等に沿って、同委員会からの技術的課題の提示、要請等を
受けて、原子力安全の確保に関する事項(国際約束に基づく保障措置の実
施のための規制その他の原子力の平和利用の確保のための規制に関する事
項も含む。)について、
東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓や最新の
技術的知見を踏まえた安全研究を行うとともに、科学的合理的な規制基準
類の整備、原子力施設の安全性に関する確認等に貢献する。
実施に当たっては外部資金の獲得に努める。
また、同委員会の要請を受け、原子力施設等の事故・故障の原因の究明
等、安全の確保に貢献する。 111) 安全研究
事故時の原子炉及び格納容器における熱流動に関して、新たに完成し
た高圧熱流動ループと既設大型装置(CIGMA、
LSTF)及び個別効果装置を用
いた実験研究、並びに、解析手法の高度化を行い、原子力規制庁による
国産システムコードの開発等に資する技術基盤を整備する。原子炉燃料
を対象とした事故模擬実験等による事故条件下での燃料の破損限界や燃
料被覆管の脆化等に係るデータの取得及び解析評価ツールの整備を継続
するとともに、事故条件下での燃料挙動評価に必要な試験装置の製作等
を進める。照射脆化に関する微細組織分析等を行うとともに、原子炉建
屋及び機器・配管の健全性評価手法の高度化を継続する。
再処理施設におけるシビアアクシデント評価に資するため、高レベル
濃縮廃液蒸発乾固時の揮発性 Ru の放出・移行挙動及び乾固物の基礎的な
物性データを取得するとともにモデル化を継続する。火災事故時安全研
究については、高性能粒子エア(HEPA)フィルタの目詰まりによる差圧
上昇挙動のモデル化を進めるとともにグローブボックス材料の熱分解挙
動データの取得を開始する。臨界事故解析については、沸騰に至る事象
での核分裂数等の評価手法の高精度化を行う。また、東京電力福島第一
原子力発電所の廃止措置時の臨界安全評価のため、様々な燃焼度の燃料
デブリの基礎臨界特性データの整備、臨界リスク評価手法の整備、及び
これらのデータ・手法の検証実験を行うための STACY 更新を継続する。
シビアアクシデント時におけるソースターム評価手法及び格納容器内
溶融炉心冷却性評価手法の整備を継続するとともに、プラント状態の推
移等を考慮した動的リスク評価手法の開発を進める。また、レベル 3 確
率論的事故影響評価コード(OSCAAR)の防護措置モデル改良のための調
査を進めるとともに、緊急時被ばく状況及び現存被ばく状況下における
放射線被ばく評価モデル等の開発を継続する。
東京電力福島第一原子力発電所事故汚染物再利用に向けた放射能濃度
の確認等、炉内廃棄物等処分の安全評価、処分地への熱水影響の推定及
び原子力施設の廃止措置終了時の残留放射能評価のための手法整備を進
める。
保障措置環境試料中を対象に、レーザーラマン分光法により、微小ウ 12ラン粒子の化学状態を効率的に調べるための分析法の高度化を進める。
東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓等を踏まえ、原子力施設に
脅威をもたらす可能性のある外部事象に関して、リスク評価を行うため
の技術的基盤の強化を進める。
これらの研究により、原子力安全規制行政への技術的支援に必要な基
盤を確保・維持し、得られた成果を積極的に発信するとともに技術的な
提案を行うことによって、科学的合理的な規制基準類の整備及び原子力
施設の安全性確認等に貢献するとともに、原子力の安全性向上及び原子
力に対する信頼性の向上に寄与する。
研究の実施に当たっては、原子力規制庁等との共同研究及び OECD/NEA
や二国間協力の枠組みを利用して、協力研究や情報交換を行う。また、
当該業務の中立性及び透明性を確保しつつ機構の各部門等の人員・ホッ
ト施設等を活用するとともに、
原子力規制庁から外来研究員を受け入れ、
研究を通じて人材の育成に貢献する。
2) 関係行政機関等への協力
規制基準類に関し、
科学的データの提供等を行い、
整備等に貢献する。
また、原子力施設等の事故・故障の原因究明のための調査等に関して、
規制行政機関等からの具体的な要請に応じ、人的・技術的支援を行う。
さらに、規制活動や研究活動に資するよう、規制情報の収集・分析を行
う。
(2) 原子力防災等に対する技術的支援
災害対策基本法等に基づく指定公共機関として、原子力災害時等(武力
攻撃事態等含む。)には緊急時モニタリングなどの人的・技術的支援を実施
し、国、地方公共団体等による住民防護活動に貢献する。海外で発生した
事故については、国際原子力機関(IAEA)主催の緊急時対応援助ネットワ
ーク(RANET)を通じ、国や国内関係機関と一体となって支援を行う。
東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた原子力防災体制等
の見直しが行われ、実効的な原子力防災活動体制の整備・強化が求められ
ている状況にあることを踏まえつつ、原子力緊急時支援・研修センターは 13機構の専門性を活かして以下の業務を実施する。
国、地方公共団体の原子力防災体制の構築を支援する。機構内の担当部
署と連携し、事故影響評価モデルなどの手法を用いた支援を行う。また、
航空機モニタリングについてバックグラウンド測定等の支援を行う。
国、地方公共団体及び関係機関の原子力防災関係者並びに機構従業員に
対して研修・訓練を実施し、原子力防災に係る人材育成を図る。国際人材
育成に関しては、IAEA アジア原子力安全ネットワーク(ANSN)および同緊
急時対応能力研修センター(CBC)に参加し IAEA が行う人材育成活動に協
力するほか、アジア諸国など各国からの要請に基づく研修・訓練を企画・
実施する。
国、
地方公共団体等が実施する原子力防災訓練等に企画段階から関わり、
立地地域の特性を踏まえた実効性ある防災対策の構築に資する。
原子力災害時等の実行性を高めるため、原子力防災制度やその運用につ
いて、海外関係機関との情報交換を含めた調査・研究を行い、最新情報を
自らおよび関係機関の防災業務の強化に反映させる。3.原子力の安全性向上のための研究開発等及び核不拡散・核セキュリティに
資する活動
(1) 原子力の安全性向上のための研究開発等
軽水炉の安全性向上や原子力施設の長期的な信頼性向上に資するため、
以下を実施する。原子炉内 3 次元熱流動挙動評価手法に対し、圧力容器内
全体の熱流動挙動解析を可能とするための大規模解析機能を導入する。フィルタードベント機器の除染性能評価手法構築の一環として、
ベンチュリ
ースクラバー形状の圧力への影響に関するデータやセシウムのエアロゾ
ル移行データを取得する。事故耐性燃料被覆管材料のうち、改良ステンレ
ス鋼についての高温酸化挙動データを取得する。
廃止措置における原子炉
構造材料の燃焼放射化計算のための新規ソルバーに必要となる放射化計
算用データの拡充を行う。
事故進展シナリオの解明に向け、事故時の燃料集合体挙動評価のための
データ取得と解析コード改良を進める。圧力容器の破損箇所や破損時刻を 14推定するための手法及び格納容器の健全性評価に係るデータの整備を進め
る。
(2) 核不拡散・核セキュリティに資する活動
1) 技術開発
米国及び欧州の関係研究機関との協力のもと、核鑑識に係る技術の高
度化開発を実施し、国際比較試験等に参加することにより技術力を確認
する。また、将来の核鑑識運用に向けデータベースの拡充を行う。これ
らの成果は国内外の会議や学会で報告するとともに、研究成果の最大化
への取り組みとして、
「国際シンポジウム」を開催して議論を行う。
福島溶融燃料の保障措置・計量管理に適用可能な核燃料物質測定技術
開発を継続し適用性を評価し、成果について国内外の会議や学会で報告
する。
また、
福島溶融燃料の計量管理手法の検討や技術開発に係る調整、
取りまとめを行い関係機関に報告する。
使用済燃料の直接処分に係る保障措置・核セキュリティ技術開発を継
続し、これまでの成果(4 年分)を含めて報告書にまとめる。
国内や欧州・米国の研究機関と連携し、核物質の測定・検知技術及び
核物質の監視に関する技術開発を着実に進め、成果は国内外の会議や学
会で報告する。
機構と DOE、
欧州委員会/共同研究センター等海外機関との協力を継続
し、新規案件等により研究協力を拡充する。
第4世代原子力システム国際フォーラム(GIF)核拡散抵抗性・核物質
防護作業部会(PRPP WG)の国際的枠組みへの参画を通じて、核拡散抵抗
性評価手法に関する国際的な貢献を行うともに、次世代核燃料サイクル
等を対象とした核拡散抵抗性の解析結果を評価する。核セキュリティに
係る核物質魅力度評価に関する研究について、米国と調整を開始する。
2) 政策研究
核不拡散・核セキュリティに係る国際動向等を踏まえ、技術的知見に
基づき、核不拡散、核セキュリティの推進方策に関する研究を取りまと 15め、学会等で報告する。また、これら研究内容については外部有識者か
ら構成される委員会等で議論しつつ進める。
国内外の核不拡散・核セキュリティに関する情報、特に米国新政権の
政策に係る情報を収集及び整理するとともに、情報集「核不拡散動向」
を半期毎に改定し、関係行政機関へ情報提供を継続する。
3) 能力構築支援
アジア等の原子力新興国を対象に原子力の平和利用推進の観点から核
不拡散・核セキュリティに係る能力構築を支援するため、核不拡散・核
セキュリティ確保の重要性を啓蒙する。このため、セミナー及びワーク
ショップを対象国等のニーズも考慮しながら計画的に実施してキャパシ
ティ・ビルディングを支援する。トレーニングカリキュラムを充実する
ため、核不拡散や核セキュリティの全体を包括するものに加え、核セキ
ュリティ分野では内部脅威者、コンピュータセキュリティ、核セキュリ
ティ文化、大規模イベントでの核セキュリティ等、引き続き、最新の動
向を踏まえたテーマを取り入れていく。
また、
平成 28 年度のフォローア
ップの結果をカリキュラム開発に反映する。核物質防護実習フィールド
では侵入場所を特定できる侵入検知システムの導入等、施設の充実を図
る。事業実施に当たっては国内関係機関との連携を密にするとともに、
IAEA 等の国際機関や米国や欧州等との国際的な協力を積極的に推進する4) 包括的核実験禁止条約(CTBT)に係る国際検証体制への貢献
CTBT 国際監視制度施設(高崎、沖縄、東海)の暫定運用を着実に実施す
るとともに、CTBTO に運用報告を行いレビューを受ける。また、放射性核
種に係る検証技術開発では、国内データセンター(NDC)の暫定運用を通
して得られる科学的知見に基づき、核実験監視解析プログラムの改良及
び高度化を継続し、成果を報告書にまとめる。
核実験の実施あるいは疑わしい事象の検知に際しては、NDC の解析評
価結果を国等へ適時に報告する。また、国及び CTBTO からの要請に応じ
て、希ガス測定に協力する。 165) 理解増進・国際貢献のための取組
核不拡散・核セキュリティ分野の国内外への情報発信を促進するため、
機構ホームページやメールマガジン等による情報発信を継続するととも
に、国際フォーラムを開催し、その結果を機構ホームページ等で発信す
る。また、有識者からなる核不拡散科学技術フォーラム(会議)を開催
し助言を得て活動に反映する。
核不拡散・核セキュリティに係る国際的議論(「日米核セキュリティ
作業グループ
(NSWG)」や
「核テロリズムに対抗するためのグローバル・
イニシアティブ
(GICNT)」、
「核軍縮検証国際パートナーシップ
(IPNDV)」など)への参画や、IAEA 専門家会合への参加や研究協力を実施する。ま
た、国からの要請に基づき、核軍縮に関わる我が国の取組に技術的な支
援を行う。
「日本における IAEA 保障措置技術支援(JASPAS)」
の取組を継続すると
ともに、ASTOR(直接処分の保障措置技術の検討のため、IAEA とその加盟
国との情報交換を目的とした専門家グループ)会合を支援する。
核不拡散機微技術の管理については定期的に委員会を開催し、管理状
況を確認し、従業員の教育を行い、核不拡散機微技術の管理に努める。
4.原子力の基礎基盤研究と人材育成
(1) 原子力を支える基礎基盤研究、先端原子力科学研究及び中性子利用研究
等の推進
1) 原子力基礎基盤研究
原子力科学技術基盤の根幹をなす核工学・炉工学、燃料・材料工学、
原子力化学、
環境・放射線科学及び計算科学技術分野の研究を実施する。
核工学・炉工学研究では、
核変換技術開発等に必要な基盤技術として、
マイナーアクチノイド(MA)核種のうち、Am-241 及び Am-243 の中性子
核データを整備する。
また、
核燃料物質等の非破壊測定技術開発として、
実用化に向けた低コスト化のための簡素化した検出器バンクの設計を行
う。核特性解析用コードの燃焼・崩壊熱計算の機能を拡張する。 17燃料・材料工学研究では、原子力施設の経年劣化対策のために、ナノ
組織解析等による応力腐食割れ発生挙動及び電気化学試験による溶液中
のイオン等の腐食への影響に関するデータ取得を行う。また、窒化物燃
料に関する基盤研究として、重イオン照射やα線自己照射損傷等の窒化
物燃料内の物理的挙動に関するデータを取得する。
原子力化学研究では、放射性物質の環境中移行挙動解析のためのコロ
イド生成等の反応速度データの取得を継続し、解析に着手する。MA 分離
メカニズムの解明のため、化学シミュレーション手法を溶媒抽出分離法
に適用する。
長寿命核種の定量分析のため平成 28 年度に開発した少量試
料分析用材料の実試料による実証試験を行う。
環境・放射線科学研究では、環境中核種分布・移行評価技術高度化の
ために、高分解能大気拡散モデルへ様々な空気中濃度・沈着分布に対応
した線量計算機能を組み込む。様々な条件下での公衆の線量計算のため
に、Particle and Heavy Ion Transport Code System(PHITS)に体格や
姿勢の異なる人体モデルを取り込む技術を開発する。事故時の迅速な対
応のため、核種同定システムの測定系を試作し、波高スペクトルの測定
性能を評価する。
計算科学技術研究では、シビアアクシデント時の炉内複雑現象解析に
向け、
平成 28 年度に取得したミクロレベルの物性値を用いて、
界面を対
象としたメゾスケールモデル解析を実施し、界面凝固物等の機械的特性
に関するデータを取得する。また、エクサスケール流体解析に向け、省
通信型反復行列解法を複雑流体解析に組み込んで適用性を評価するとと
もに、In-Situ 可視化システムをエクサスケール計算機の構成(メニー
コア)向けに拡張する。
研究開発の実施に当たっては、機構内での連携を強化するとともに、
産業界や大学との連携に取り組む。
2) 先端原子力科学研究
アクチノイド先端基礎科学の分野では、アクチノイド元素のイオン化
エネルギーや重核の核分裂収率曲線を測定し、重元素の電子構造や重核
の殻構造に関する研究を発展させる。
また J-PARC で得られる原子核実験 18データや中性子及びミュオン実験での物性データを理論的に考察する理
論物理研究ネットワーク Theoretical Physics Institute (TPI)をもと
に J-PARC との更なる研究連携を図る。
環境中でのアクチノイド元素の挙
動を解明するため、有機物・無機物複合界面での重元素の化学挙動研究
に取り組む。
原子力先端材料科学分野では、アクチノイド化合物の新奇物性機能の
探索を目指して、
ウラン薄膜を含むウラン系材料の物性研究に取り組む。
また、エネルギー変換材料の開発に向けて、スピンを用いた効率的なエ
ネルギー発生を目指した研究に取り組む。ナノ構造材料の研究では、耐
放射線機器材料の開発に向けて、
J-PARC における超低速ミュオンの開発
や陽電子の利用等により、表面・界面構造の研究に取り組む。
先端原子力科学研究の国際協力を強力に推進するため、また研究者間
の交流や新規な先端的テーマの発掘のため、黎明研究制度を活用し、さ
らなる国際化に向けた研究環境の整備に取り組む。
3) 中性子利用研究等
J-PARC の施設性能向上を目指し、高出力・安定運転に不可欠な水銀容
器狭隘流路における損傷形態に関する検討を実施する。また、機器の開
発や高度化に不可欠な、中性子検出器等の開発を進め、中性子実験装置
を有効に活用した高性能機能性材料、高機能構造材料等の先導的応用研
究に対応する。
極限環境下中性子利用技術や中性子応力測定技術の高度化を継続する
とともに、物質のマクロな機能性発現と局所的なランダム構造との相関
を解明する研究や、中性子を用いた鉄筋コンクリートの曲げ付着挙動解
明のための研究に着手する。アクチノイド基礎科学研究では、マイナー
アクチノイド選択的配位子設計に資する電子状態・構造解析やウラン化
合物の物性評価のための詳細な電子状態解析を進める。土壌廃棄物に対
する熱処理及び塩析法の高度化による汚染土壌減容化と再生利用に関す
るメカニズムの解明や水素再結合触媒の高度化研究を実施する。
実施に当たっては、科学的意義や出口を意識した社会的にニーズの高
い研究開発に取り組み、機構内の研究センター・研究拠点間の協働を促 19進し、国内外の大学、研究機関、産業界等との連携を積極的に図る。こ
うした連携協力を軸として、科学技術イノベーション創出を目指す国の
公募事業への参画も目指す。
(2) 高温ガス炉とこれによる熱利用技術の研究開発
1) 高温ガス炉技術研究開発
高温工学試験研究炉(HTTR)については、安全の確保を最優先とした
上で再稼働するまでの間における維持管理経費の削減に努め、速やかな
再稼働に向けて新規制基準への適合性確認の審査対応を適切に実施する。
実用高温ガス炉システムの安全基準の整備に向けて、機構の作成する安
全指針の原案として、安全要件を達成するために原子炉冷却設備及び格
納施設の安全設計において評価すべき設計事項を定める。また、高温ガ
ス炉燃料について、更なる高充填率化による燃料要素の性能向上を図る
とともに、被覆粒子の FP 保持能力に関する解析評価手法の開発を行う。
さらに、
ヘリウムガスタービン軸封システムの基本設計を行うとともに、
性能確認に向けた要素試験計画を定める。
2) 熱利用技術研究開発
熱化学水素製造法である IS プロセスによる連続水素製造試験装置に
ついて、反応工程における工学的課題に対する定量的な評価を行うとと
もに、HI 溶液の漏えい対策を行う。また、IS プロセス材料としてのセラ
ミックスの強度データにおける体積効果のデータを取得する。さらに、
実用水素製造システムの経済性向上に有効な研究課題として、
IS プロセ
ス硫酸分解器の最適化を図る技術等、民間企業の知見も取り入れながら
技術概念を検討する。
ガスタービンへの核分裂生成物の沈着低減技術について、長期拡散試
験を行い、拡散試験結果に基づき候補合金の適用性を評価する。
3) 人材育成
HTTR を活用した人材育成として、HTTR に研究者等を受け入れ、HTTR 20の燃焼解析等を実施し、高温ガス炉に関する知識を習得させる。
4) 産業界との連携
国や産業界との協議を継続し、高温ガス炉の意義、位置付け、高温ガ
ス炉の研究開発ロードマップなどについて検討を進める。また、国際協
力及び国際展開を着実に進める。
(3) 特定先端大型研究施設の共用の促進
1MW 出力運転の定常化に向けてターゲット容器の改良を進めるとともに、
90%以上の稼働率達成を目指す。
登録施設利用促進機関、高エネルギー加速器研究機構等と連携協力を深
めながら、利用者への便宜供与を図る。また、中性子線利用に係わる技術
供与を行う。さらに、J-PARC 研究棟を中核にして、新たな先進的研究の萌
芽となる、幅広い研究分野の研究者間の相互交流を促進する。
また、安全管理マネジメントの強化を継続し、より安全かつ安定な施設
の運転を行う。
(4) 原子力人材の育成と供用施設の利用促進
民間や大学等では整備が困難な試験研究炉や放射性物質の取扱施設につ
いて、
機構において施設の安定的な運転及び性能の維持・強化を図るため、
特に、JRR-3 等、震災後停止している施設の速やかな再稼働に向け、原子
力規制庁及び原子力規制委員会に対して新規制基準への適合性確認の審査
対応を適切に実施する。
我が国の原子力の基盤強化に貢献し得る人材の育成、
国内産業界、
大学、
官庁等のニーズに対応した人材の研修による育成、国内外で活躍できる人
材の育成及び関係行政機関からの要請等に基づいた原子力人材の育成を行
う。
1) 研究開発人材の確保と育成
人材育成に関連する機構の諸制度の強化と連携を目的として体系化し
た育成プログラムに基づき、機構の特徴ある施設や研究活動の場を活用 21した人材育成を進める。放射性廃棄物の減容化・有害度低減の研究開発
等に資する基礎基盤研究を育成テーマとして、被育成者の受入れを継続
する。
2) 原子力人材の育成
国内研修では、原子炉工学等に関する研修及び法定資格取得講習を実
施するとともに、外部からのニーズに対応して、随時研修を実施する。
大学等との連携協力では、大学連携ネットワーク活動として連携協力推
進協議会で承認された活動計画に基づき、遠隔教育システム等を活用し
た連携教育カリキュラム等を実施するとともに、東京大学大学院原子力
専攻、連携協定締結大学等に対する客員教員等の派遣及び大学等からの
学生の受入れを実施することにより連携を推進する。行政機関からの要
請に応じて、アジア諸国等を対象とした国際研修事業を推進するととも
に、原子力人材育成ネットワーク活動を推進し、国内外の原子力人材育
成関係機関との連携協力により、国内研修及び大学等との連携とあわせ
て、国内外の原子力分野の人材育成に貢献する。
3) 供用施設の利用促進
国内外の産業界、大学等外部機関への供用施設の利用促進を図ること
で原子力人材の育成と研究開発成果の創出に貢献する。また、供用施設
のうち、震災の影響により運転を停止しているものを除き、定期的な利
用課題募集、随時の利用受付により供用の促進を図る。
大学及び産業界からの供用施設の利用を促進するため、外部の学識経
験者を交えた施設利用協議会及び各専門部会を開催し、利用ニーズを把
握する。供用施設の利用時間の配分、利用課題の選定・採択等に際して
は、施設利用協議会等の意見・助言を反映することで、施設利用に係る
透明性と公平性を確保する。
外部の利用に対応するため、
ホームページ等を通じて供用施設の概要、
利用方法等を分かりやすく発信するとともに、外部での説明会などアウ
トリーチ活動を実施する。利用者に対しては、安全・保安に関する教育
や利用者からの相談対応などの利用者支援を行う。 225.高速炉の研究開発
(1) 「もんじゅ」廃止措置に向けた取組
安全かつ着実な廃止措置の実施に向けて必要な準備を進める。具体的に
は、以下の事項を実施する。
・廃止措置に関する基本的な計画について、平成 29 年 4 月を目途に策
定し、
廃止措置を推進する体制を整備するとともに、
廃止措置計画の
認可申請に向けた準備を行う。・廃止措置に関する基本的な計画の策定から約 5 年半で炉心から燃料池
への燃料の取出し作業を終了することを目指し、
必要な準備を進める。
・地元をはじめとする国民に対して、安全確保を第一として進める「も
んじゅ」の廃止措置に関する取組について説明する。
(2) 高速炉の実証技術の確立に向けた研究開発と研究開発の成果の最大化を
目指した国際的な戦略立案
高速炉の実証技術の確立に向けた研究開発と研究開発の成果の最大化を
目指した国際的な戦略立案について、平成 29 年度(2017 年度)は以下の
研究開発等を実施する。
1) 高速炉の実証技術の確立に向けた研究開発
高速炉の実証技術の確立に向けた研究開発の実施に当たっては、
「もん
じゅ」
、高速実験炉「常陽」
(以下「常陽」という。
)等の研究開発の成果
を活用するとともに、
日仏 ASTRID 協力、
米国との民生用原子力エネルギ
ーに関する研究開発協力、及びカザフスタン共和国国立原子力センター
との溶融炉心挙動に関する試験研究協力(EAGLE-3 試験)等の二国間協
力、並びに GIF 等の多国間協力の枠組みを活用し効率的に進める。
「常陽」
については、
新規制基準への適合性確認対応を進める。
また、
プラントの安全確保を最優先として保全計画に基づく保全活動を実施す
るとともに、第 15 回定期検査を継続する。 23混合酸化物(MOX)燃料の供給については、プルトニウム燃料第三開発
室の新規制基準への適合に向け、所要の許認可対応等を行う。
我が国の高速炉の実証技術の開発に資するため、我が国の高速炉の実
証技術の開発に資するため、
「仏国次世代炉計画及びナトリウム高速炉の
協力に関する実施取決め」
(平成 26 年 8 月締結)に従い、日仏 ASTRID
協力を通じて、基本設計段階の設計及び高速炉技術についての日仏共同
研究開発、並びに今後の日仏協力の政策判断に資する技術情報を得る。
シビアアクシデントの防止と影響緩和に関して、既設試験施設を活用
したシビアアクシデント対策試験として、水流動試験装置(PHEASANT)
を用いた試験を継続するとともに、ナトリウム試験装置(PLANDTL)を用
いた流動試験を開始する。また、冷却系機器開
発試験施設(AtheNa)を活用した大型ナトリウム試験の立案を日仏
ASTRID 協力等、国際協力の枠組みを利用して進める。さらに、カザフス
タン共和国国立原子力センターとの EAGLE-3 試験については、炉外・炉
内試験を実施するとともに、これまでに得られた知見に基づく安全評価
手法整備を推進する。
高速炉用構造材料に対する高温長時間材料特性データの取得試験及び
構造物試験等を継続するとともに、革新技術開発を支える基盤技術とし
て、機構論に基づく高速炉プラントシミュレーションシステムの開発を
進める。これらの研究開発を米国との民生用原子力エネルギーに関する
研究開発協力等を活用して進める。
高速炉研究開発の国際的な戦略立案に資するため、GIF や日仏 ASTRID
協力実施における技術的な国際交渉や既設炉の技術分析・調査等を行い、
これらの活動を通して、国際会議の議長等を担い会議を主導できる人材
の育成を進める。
2) 研究開発の成果の最大化を目指した国際的な戦略立案と政策立案等へ
の貢献
各国の高速炉の研究開発状況や政策動向等について継続的に調査を行
い、これを踏まえて、国際協力戦略の検討を進める。
また、平成 28 年 12 月に原子力関係閣僚会議で決定された「高速炉開 24発の方針」に基づき、今後 10 年程度の開発作業を特定する「戦略ロード
マップ」の策定に貢献する。一方、我が国の高速炉技術・人材の維持・
発展を図るため、大学や研究機関等と連携して取り組む高速炉の技術基
盤を支える研究開発を通じて人材育成を進める。
3) 高速炉安全設計基準の国際標準化の主導
高速炉の安全設計基準の国際標準化に向けて、GIF において、我が国
の主導により、炉心系、冷却系及び格納系の系統別ガイドラインの具体
化と合意案の策定を進めるとともに、
平成 27 年度までに構築した安全ア
プローチに関わる安全設計ガイドライン
(SDG)
への関連機関のレビュー
への対応、それを踏まえた SDG の改定を図る。また、国内外で必要な関
連基準等の整備活動を行う。
これらの活動を通じて IAEA などさらなる多
国間での共通理解促進を図る。6.核燃料サイクルに係る再処理、
燃料製造及び放射性廃棄物の処理処分に関
する研究開発等
(1) 使用済燃料の再処理、燃料製造に関する技術開発
1) 再処理技術開発
ガラス固化技術の高度化に係る研究開発として、溶融炉の安定運転に
影響を及ぼす白金族元素の挙動解明に資するため、ガラス固化技術開発
施設
(TVF)
の新型溶融炉の炉底形状及び温度分布を模擬した小型体系で
の試験を継続し、溶融ガラス中の白金族粒子沈降に関する評価を実施す
るとともに、新型溶融炉の詳細設計を進める。
使用済 MOX 燃料の再処理技術開発については、ウラン・プルトニウム
の共抽出技術であるコプロセッシング法を対象に、遠心抽出器試験装置
を用いた抽出特性評価試験を実施する。関連して、コプロセッシング法
への適用を考慮した遠心抽出器構造を具体化するための性能データを取
得する。さらに、清澄性能の向上を図るため、フィルタ清澄装置の性能
データを取得するとともに、スラッジの基本的性状を高レベル放射性物 25質研究施設(CPF)で調査する。また、将来の再処理プラント概念の検討
については、MA 回収建屋を追設した場合の影響等について評価する。
2) MOX 燃料製造技術開発
高速炉用 MOX 燃料製造技術開発として、ペレット製造プロセスの高度
化のための技術開発、簡素化ペレット法の要素技術開発及び乾式リサイ
クル技術の開発に係る基盤データを継続して取得するとともに、燃料製
造施設の安全な維持管理を通じて、自動化した燃料製造設備の信頼性及
び保守性の向上に資するデータを継続して取得する。
3) 東海再処理施設
東海再処理施設の廃止措置に向け、
平成 29 年度上期に廃止措置計画の
認可申請を行う。
高レベル放射性廃液の貯蔵に係るリスク低減を図るため、新規制基準
を踏まえた安全性向上対策として可搬型設備の拡充等を進める。
ガラス固化技術開発施設(TVF)において、高レベル放射性廃液のガラ
ス固化処理を進め、高レベル放射性廃液の中長期目標期間当初保有量に
対し約 1 割を処理する。またガラス固化体保管能力増強に係る設計検討
を進める。
低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)については、施設のコール
ド試験やセメント混練試験を継続するとともに、焼却設備の改良やセメ
ント固化・硝酸根分解設備の整備に向けた詳細設計を進める。また、高
放射性固体廃棄物貯蔵庫(HASWS)については、廃棄物の遠隔取出し装置
に係る基本設計等を実施する。
リサイクル機器試験施設(RETF)の利活用方策については、施設の利
活用方策に係る検討を継続する。
(2) 放射性廃棄物の減容化・有害度低減の研究開発
1) MA の分離変換のための共通基盤技術の研究開発
放射性廃棄物の減容化・有害度低減に寄与する MA の分離技術開発につ 26いては、研究開発基盤として不可欠な設備・装置類を適切に維持管理す
るとともに、MA の吸着溶離特性データを CPF 等で取得し、分離フローシ
ートの検討を行う。また、国際協力を活用し、分離分野における米国や
仏国との協力内容の具体化を図る。
MA 抽出分離プロセスについて、実廃液試験を継続するとともに、抽出
剤の放射線分解の影響を評価するための基礎データを取得する。MA 窒化
物燃料の性能・ふるまいの理解に必要な特性データ取得を継続するとと
もに、照射試験を目指したセル内機器の基本設計を行う。
酸化物燃料の基礎特性のデータを取得し、MA 含有燃料の物性データベ
ースを拡充し、機構論的物性モデルの構築を進める。
放射性廃棄物の減容化・有害度低減に寄与する MA 含有燃料については、
プルトニウム燃料第一開発室等において以下の研究開発を進める。ペレ
ット製造技術については、新しい焼結技術や、製造条件の最適化に関す
る基礎データ取得を行う。製造設備・機器については、高速炉及び ADS
用 MA 含有燃料の遠隔簡素化製造設備の開発のために、
燃料製造設備の概
念検討を継続する。また、日米協力では、MOX に加え、MOX と同じ蛍石構
造を有する酸化セリウム(CeO2)などに関する基礎研究を通して MA 含有
MOX 燃料の基礎特性を体系的に評価するとともに、三次元照射挙動解析
コードのための挙動モデルの開発を進める。
2) 高速炉を用いた核変換技術の研究開発
放射性廃棄物の減容化・有害度低減に寄与する MA 含有 MOX 燃料の照射
試験、長寿命被覆管及び長寿命ラッパ管、炉心等に関する以下の研究開
発を進める。
・照射後試験技術として、X線 CT 等を用いた照射済燃料密度等の 3
次元解析技術の開発を進める。
また、
照射試験用 MA 含有 MOX 燃料の
製造設備の機能確認を実施するとともに、製造性に関する基盤デー
タを取得する。
・均質性を高める改良製造手法(完全プレアロイ法)で製造した長寿
命被覆管の候補材である ODS 鋼および長寿命ラッパ管の候補材であ 27る PNC-FMS について、長期を要する高温・長時間強度データの取得
を継続実施し(最大熱時効時間:4.5 万時間)、材料強度基準策定に
向けたデータ拡充を進める。
・Pu 及び MA を高速炉で柔軟かつ効果的に利用するための研究開発と
して、国内外の入手可能な実験データを用いた炉心設計手法の検
証・妥当性評価、Pu・MA 燃焼炉心の設計研究及びリサイクル特性の
評価、他研究機関との協力を活用した高速炉の可能性追求を実施す
る。
・MA 含有 MOX 燃料の「常陽」での照射試験に向けて、燃料設計手法の
検討を進める。
3) 加速器駆動システム(ADS)を用いた核変換技術の研究開発
ADS ターゲット試験施設について、鉛ビスマスモックアップループ等
を用いビーム入射による入熱と除熱を模擬した運転を実施する。また、
同施設の技術課題解決の見通しについて外部委員会の評価を受ける。核
変換物理実験施設について、
施設安全性検討に必要なデータを取得する。
ADS の概念検討に反映させるための未臨界度測定実験データ及び核種
生成断面積データを取得するとともに、核データ検証用実験結果の評価
を進める。ターゲット窓材選定のための候補材の高温 Pb-Bi 中特性デー
タの取得及び Pb-Bi 中の腐食特性検討用酸素センサの長期使用時におい
ても測定精度を確保できる構造の検討を実施する。
MA 燃料乾式処理につ
いて、データ取得試験の結果を踏まえて、コールド工学機器試験装置仕
様の検討結果をとりまとめる。
(3) 高レベル放射性廃棄物の処分技術等に関する研究開発
1) 深地層の研究施設計画
岐阜県瑞浪市及び北海道幌延町の2つの深地層の研究施設計画につい
ては、
改革の基本的方向を踏まえて設定した計画を外部機関との協力も
図りながら進めることで、研究坑道を利用して地質環境を調査・評価す
る技術や深地層における工学技術の信頼性を確認し、
原子力発電環境整 28備機構(NUMO)による精密調査、国による安全審査基本指針の策定等を
支える技術基盤を整備する。
超深地層研究所計画については、
深度500mまでの研究坑道を利用し、
地下坑道における工学的対策技術の開発に係るセメントの地質環境へ
の影響を調査する試験を継続する。
物質移動モデル化技術の開発に係る
現場調査として、深度 500m の研究坑道における原位置トレーサー試験
を継続するとともに、深度 300m の研究坑道における既設ボーリング孔
周辺で実施したトレーサー試験の事後調査を実施する。
坑道埋め戻し技
術の開発については、再冠水試験として地下水水圧・水質等のモニタリ
ングの結果を踏まえた冠水坑道内の地下水の排水と試験後の地質環境
の状態変化を把握するための調査試験を実施する。また、研究坑道の一
部を利用した埋め戻し試験の設計検討を継続するとともに、
地上からの
モニタリングの実施に向けた検討を行う。
これらの基盤情報として必要
な地質環境データを取得するとともに、
地質環境調査技術やモデル化手
法の妥当性等の評価を継続する。
幌延深地層研究計画については、深度 350m までの研究坑道を利用し
て、
実際の地質環境における人工バリアの適用性確認に係る人工バリア
性能確認試験、オーバーパック腐食試験、割れ目帯を対象とした物質移
行試験を継続する。また、処分概念オプションの実証における搬送定
置・回収技術に関する試験の準備を継続する。さらに、地殻変動に対す
る堆積岩の緩衝能力の定量化に向けた水圧擾乱試験を継続する。
これら
の基盤情報として必要な地質環境データを取得するとともに、
地質環境
の調査技術やモデル化手法の妥当性等の評価を継続する。
2) 地質環境の長期安定性に関する研究
地質環境変動モデルの高度化に向けて時間スケールに応じた地質環
境変動の予測技術の開発を継続していく。また、土岐地球年代学研究所
で保有する分析装置等を活用しつつ、上載地層法(年代既知の地層の変
位状況等による評価手法)の適用が困難な断層の活動性を調査・評価す
るための手法等の開発を継続する。U-Pb 法、He 法、129
I 法等の年代測定
技術については、測定条件の最適化及び測定技術の高度化を図る。 293) 高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発
地層処分基盤研究施設及び地層処分放射化学研究施設を活用し、
処分
システムの設計・施工技術や安全評価のためのデータを取得するととも
に、
幌延深地層研究計画での坑道を利用した試験や両深地層の研究施設
計画で取得される地質環境データ等も活用して、
モデル化技術等の検証
と適用性の確認等を進める。また、それらと連携して、処分システムの
安全評価手法の適用性確認や、
ニアフィールド長期挙動及び核種移行に
係るモデル並びにデータベースの先端化に向けた研究開発を継続する。
4) 使用済燃料の直接処分研究開発
地質環境や使用済燃料の特性の多様性を考慮に入れた処分施設の設
計検討や閉じ込め性能に関する評価検討等の拡充と系統的整理を進め
る。
5) 研究開発の進捗状況の確認と情報発信
研究開発の進捗に関する情報発信をウェブサイトも活用して進める
とともに、深地層の研究施設の見学・体験等を通じて、地層処分に関す
る国民との相互理解の促進に努める。
1)〜4)の研究開発の進捗状況等、
上記の見学・体験等の実績について、
外部専門家による評価等により確認する。
(4) 原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理処分の計画的遂行と技術
開発
原子力施設の廃止措置、施設の運転や廃止措置に伴って発生する廃棄物
の処理処分については、効率的に実施するため、有識者の意見を踏まえた
コスト低減のための検討を進める。
1) 原子力施設の廃止措置
原子力施設の廃止措置に関しては、廃棄物の廃棄体化、処分場への廃
棄体搬出等、廃棄物の処理から処分に至る施設・設備の整備状況を勘案 30するとともに、安全確保を大前提に、内在するリスクレベルや経済性を
考慮し、平成 28 年度に策定した施設中長期計画に従って廃止措置作業
を実施する。
プルトニウム燃料第二開発室において、設備の解体を継続する。
「ふげん」施設の廃止措置を進める。また、解体撤去物のクリアラン
ス認可に向けた審査の対応を終了し、運用を開始する。
「ふげん」
使用済燃料の処理や輸送に係る課題に対する検討を継続す
る。
廃止措置に着手しているホットラボ、
液体処理場及び再処理特別研究
棟の維持管理を行う。また、JRR-4 及び TRACY については、廃止措置に
向けて準備を進め、TCA については、廃止措置計画の認可申請に向けた
準備を進める。
JMTR 等については、廃止措置に向けて準備を開始する。廃止措置中の
重水臨界実験装置(DCA)については、原子炉本体等の解体撤去を継続す
る。旧廃棄物処理建家は、建屋の再利用に係る検討を継続する。
濃縮工学施設については、設備の解体・撤去を継続するとともにウラ
ン廃棄物発生量の最小化のために遠心機部品のクリアランス確認を継続
する。ウラン濃縮原型プラントについては、設備の解体・撤去に向けた
検討を行う。製錬転換施設では、廃止措置を継続する。
2) 放射性廃棄物の処理処分
低レベル放射性廃棄物については、発生量低減に努めるとともに、契
約によって外部事業者から受け入れるものの処理も含め、
安全を確保し
つつ、廃棄物の保管管理、減容及び安定化に係る処理を行う。
また、放射性廃棄物処理場について、新規制基準への対応を行う。高
減容処理施設においては、
大型廃棄物の解体分別を含めた前処理及び高
圧圧縮による減容化を継続する。
固体廃棄物減容処理施設(OWTF)については建設を継続する。
廃棄体製作に向けて、
拠点の品質保証体制の構築に関する検討及び放
射能濃度評価の合理化に関する検討を行うとともに、
廃棄物管理システ
ムへの廃棄物データの蓄積を行う。 31埋設事業については、立地手順等を踏まえて、国と一体となった立地
活動を進めるため埋設事業に係る工程の検討を継続する。また、輸送及
び処理に関する技術的事項の調整として廃棄体化処理方法等に関する検
討を行うとともに、廃棄体等の特性を踏まえた上での具体的な埋設施
設・設備、線量評価手法及び環境調査手法等、許可申請のための検討を
行う。
3) 廃止措置・放射性廃棄物の処理処分に係る技術開発
有害物質を含む放射性廃棄物等の固定化技術に係る国内外の技術情
報の調査を行う。
原子炉解体準備に向けて、
原子炉構造材からの試料採取を実証すると
ともに、
高放射線量雰囲気下における気中でのレーザー切断遠隔制御技
術、位置決め技術等を実証する。
ウラン廃棄物に対するクリアランス測定技術の開発を継続する。
ウラン廃棄物の処理処分技術を確立できるよう、安全性や合理性を考
慮した環境研究及びウラン廃棄物工学研究を行う。
7.産学官との連携強化と社会からの信頼の確保のための活動
国立研究開発法人として機構が業務を実施するに当たっては、
研究成果の
最大化を図り、その成果を広く国民・社会に還元するとともに、イノベーシ
ョン創出につなげることが求められている。
このため、
第 5 期科学技術基本
計画等を踏まえ、
イノベーション創出等に向けた産学官との連携強化、
民間
の原子力事業者への核燃料サイクル技術支援、
国際的な協力・貢献等の取組
により社会への成果の還元を図るとともに、
広報・アウトリーチ活動の強化
により社会からの理解増進と信頼確保に取り組む。
なお、
情報の取扱いに当
たっては、核物質防護に関する情報及び知的財産の適切な扱いに留意する。
(1) イノベーション創出に向けた取組
研究成果の最大化を図り、成果を広く国民・社会に還元するとともに、
イノベーション創出につなげるため、イノベーション等創出に向けた戦略
の着実な展開を図る。機構内の各事業において、イノベーション創出を意 32識した取組、部門横断的な取組を事業計画に反映するとともに、社会のニ
ーズと研究開発成果・シーズの「橋渡し」を行う。
産業界、大学等と緊密な連携を図る観点から、連携協力協定、連携重点
研究、共同研究等の制度を活用した多様な研究協力を推進し、研究開発を
支援する。
知的財産ポリシーに基づき、創出された知的財産について、その意義や
費用対効果を勘案し、また、原子力に関する基本技術や産業界等が活用す
る可能性の高い技術を精選した上で権利化の要否を図るとともに、保有特
許の見直しも継続する。さらに、技術交流会等の場において機構が保有し
ている特許等の知的財産やそれを活用した実用化事例の紹介等を行うなど、
産学官等への技術移転等、機構の研究開発成果の外部利用の拡大を図る。
また、技術交流会等の場で得られた産業界等のニーズを各部門組織に展開
するとともに、知的財産の権利化や活用に係る機構内啓蒙活動を行い、研
究開発を支援する。
機構の研究開発成果を取りまとめ、研究開発報告書類及び成果普及情報
誌として刊行し、その全文を国内外に発信する。職員等が学術雑誌や国際
会議等の場で発表した論文等の情報を取りまとめ、国内外に発信する。研
究開発成果の発表状況を部署別に「見える化」して情報共有を図り、成果
管理・成果分析に資する。
研究開発成果の幅広い活用とオープンサイエンス化を推進するため、研
究開発報告書類に収録される研究データの機械可読形式での公開を進める
とともに、新たに海外成果情報ポータルサイト(米国 OAIster)とのデー
タ連携を開始する。
機構が公表した学術論文、保有特許等の知的財産、研究施設等の情報を
一体的に管理・発信するシステムの構築を計画的に進め、その運用を開始
する。
また、機構が開発・整備した解析コード、データベース等についても、
体系的な整理と周知を行う。
国内外の原子力科学技術に関する学術情報を収集・整理・提供し、それ
らを所蔵資料目録データベースとして発信する。特に、東京電力福島第一
原子力発電所事故に関する研究成果やインターネット情報等を関係機関と 33の連携により効率的に収集・拡充を図り、アーカイブとして国内外に発信
するとともに、国内外関係機関が運営するアーカイブ等との連携を進め、
発信力拡大に取り組む。また、機構におけるアーカイブ構築と運用等の取
組、利用方法等を積極的に紹介し、アーカイブの利活用促進と事故対応に
係る研究開発を支援する。
また、原子力情報の国際的共有化と海外への成果普及を図る観点から、
国内の原子力に関する研究開発成果等の情報を、国際機関を含め幅広く国
内外に提供する。
関係行政機関の要請を受けて政策立案等の活動を支援する。
(2) 民間の原子力事業者の核燃料サイクル事業への支援
民間の原子力事業者からの要請に応じ MOX 燃料に係る技術支援として、
技術者の派遣及び研修生の受入・教育を始め、機構が所有する試験施設等
を活用した試験等を行う。
高レベル廃液のガラス固化技術については、民間事業者からの要請を受
けて、モックアップ設備を用いた試験に協力するほか、試験施設等を活用
した試験、トラブルシュート等の協力を行う。
(3) 国際協力の推進
機構が国際協力を実施するに当たっての指針として策定した国際戦略に
基づき、東京電力福島第一発電所事故対応を始めとする各研究分野におい
て、諸外国の英知の活用による研究開発成果の最大化を図るとともに、我
が国の原子力技術や経験等を国内のみならず世界で活用していくため、国
外の研究機関や国際機関と、個々の協力内容に応じた適切な枠組みや取決
めの締結など、二国間、多国間の多様な国際協力を推進する。
また国際戦略に基づく国際協力推進の一環として、海外の研究開発機関
等との協力のアピール、当該国における人的ネットワークの構築・拡大、
新たな協力の可能性の模索等を目的として、海外事務所が所在する国にお
いて原子力研究開発に関するシンポジウム等を開催する。また、米国や仏
国の新政権の原子力政策等、海外の動向をタイムリーに収集し、これらの
動向が機構業務に与える影響等について分析する。 34関係行政機関の要請に基づき、国際的な基準作り等に参加するため国際
機関の委員会に専門家を派遣する。また、海外の研究者等の受け入れを積
極的に行う。
国際協力の活性化に伴い、リスク管理として重要となる輸出管理を確実
に行うため、各研究拠点等からの相談に応じるとともに、輸出管理を行っ
た全拠点等に対し内部監査を行う。また、教育研修や e-ラーニングを通し
て啓蒙活動を継続するとともに、的確な該非判定を励行する。
(4) 社会や立地地域の信頼の確保に向けた取組
社会や立地地域の信頼の確保に向けて、情報の発信に当たっては、機構
の研究開発の取組のほか、原子力施設の安全に関する情報などを含めた国
民の関心の高い分野を中心に積極的に公開し透明性を確保するとともに、
広聴・広報・対話活動については研究開発成果の社会還元の観点を考慮し
て実施する。これらの活動を実施する際には、原子力が有する技術的及び
社会的な課題を学際的な観点から整理し、立地地域を中心にリスクコミュ
ニケーションにも取り組む。さらに、多様なステークホルダー及び国民目
線を常に念頭に、外部の専門家による委員会の定期的な開催等により、第
三者からの助言を受け、取組に反映していくものとする。
1) 積極的な情報の提供・公開と透明性の確保
常時から機構事業の進捗状況、研究開発の成果、施設の状況、安全確
保への取組や故障・トラブルの対策等に関して積極的な情報の提供・公
開を実施する。その際、原子力が有するリスクや科学的知見、データ等
に基づいた正確かつ客観的な情報を含めて、
機構ホームページや広報誌、
さらには動画コンテンツ等を通じて受け手が容易にかつ正しく理解でき
るよう情報の知識化を進める。この知識化に当たってはソーシャル・ネ
ットワーキング・サービスを積極的に活用する等の取組により、これら
の情報へのアクセス性を向上させる。また、国際協力の推進等も視野に
入れ、機構ホームページの英文による情報発信に努める。
報道機関を介した国民への情報発信活動においても、
定期的な発表(週報)も含めたプレス対応、及び施設見学会・説明会や取材対応等を適時 35適切に実施する。また、職員に対する発表技術向上のための研修を実施
し、正確かつ分かりやすい情報発信に努める。
法令に基づく情報公開制度の運用については厳格に取り組む。
2) 広聴・広報及び対話活動等の実施による理解促進
研究施設の一般公開や見学会のほか、報告会の開催や外部展示への出
展などの理解促進活動を立地地域に限らず、効率的かつ効果的に実施す
る。また、研究開発機関としてのポテンシャルを活かし、サイエンスカ
フェや理数科教育支援活動である出張授業や実験教室など、研究者等の
顔が見えるアウトリーチ活動を積極的に実施する。さらに、学協会等の
外部機関と連携し、原子力が有するリスクとその技術的、社会的な課題
を整理・発信するとともに、機構が行う研究開発の意義とリスクについ
て、安全確保の取組状況も含めたリスクコミュニケーション活動を実施
する。
これらの活動の実施にあたり、国民との直接対話を通じて様々な意見
を直接的に伺える有効な場として、アンケートやレビュー等を通じて受
け手の反応を把握し、分析の結果を今後の広聴・広報及び対話活動に反
映していく。
III.業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置
1.業務の合理化・効率化
(1) 経費の合理化・効率化
一般管理費(公租公課を除く。
)について、平成 26 年度(2014 年度)に
比べ、その 9%以上を削減する。その他の事業費(各種法令の定め等により
発生する義務的経費、外部資金で実施する事業費等を除く。
)について、平
成 26 年度(2014 年度)に比べ、その 3%以上を削減する。また、新たな業
務の追加又は業務の拡充を行う場合には、当該業務についても同様の効率
化を図る。 36幌延深地層研究計画に係る研究坑道の整備等においては、平成 22 年度
(2010 年度)に契約締結した、平成 31 年(2019 年)3 月までの期間の民
間活力導入による PFI 事業を継続実施する。
公益法人等への会費の支出については厳格に内容を精査し、会費の支出
先、目的及び金額をホームページに公表する。
(2) 人件費管理の適正化
適切な人材の確保においては必要に応じて弾力的な給与を設定し国民の
納得が得られる説明を行う一方で、事務・技術職員の給与水準の適正化に
計画的に取り組み、人件費の抑制及び削減を図る。
(3) 契約の適正化
「独立行政法人における調達等合理化の取組の推進について」
(平成 27
年 5 月 25 日総務大臣決定)
に基づき策定した調達等合理化計画に定めた評
価指標等を達成するため、一般競争入札等については過度な入札条件を見
直すなど応札者に分かりやすい仕様書の作成、公告期間の十分な確保等を
行うなどの取組を継続する。また、特命クライテリアを確実に運用するた
め契約審査委員会により研究開発業務の特性を考慮した合理的な契約方式
の選定等を行う。加えて、一般競争入札等において、複数者が応札してい
る契約案件のうち、落札率が 100 パーセントなど、高落札率となっている
契約案件について原因の分析・検討を行うとともに調達等合理化計画の実
施状況を含む入札及び契約の適正な実施について契約監視委員会において
実施状況の点検を受け、結果をホームページにて公表する。
また、
「契約方法等の改善に関する中間とりまとめ」
(平成 28 年 7 月 5
日公表)での提言を踏まえ、契約の競争性、透明性及び公平性の更なる確
保に努める。契約事務の効率化のため、同様の内容の調達案件については
一括調達を行うなどの取組を継続する。
(4) 情報技術の活用等
業務の効率化については、情報技術を活用し、経費節減、事務の効率化
及び合理化の取組を継続する。 37情報セキュリティについては、インターネット接続部での対策等を継続
するとともに更なる多重防御を図り対策を強化する。スーパーコンピュー
タ等の安定運用を推進するとともに、財務・契約系情報システムの更新に
向けて新システムの仕様を策定する。
IV.財務内容の改善に関する目標を達成するためにとるべき措置
共同研究収入、競争的研究資金、受託収入、施設利用料収入等の自己収入
の増加等に努め、より健全な財務内容の実現を図る。また、運営費交付金の
債務残高についても勘案しつつ予算を計画的に執行する。
1.予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画
(1) 予算
平成 29 年度予算
【一般勘定】 単位:百万円
東京電力福島
第一原子力発
電所事故の対
処に係る研究
開発
原子力安全規
制行政等への
技術的支援及
びそのための
安全研究
原子力の安全
性向上のため
の研究開発等
及び核不拡
散・核セキュリ
ティに資する
活動
原子力の基礎
基盤研究と人
材育成
高速炉の研究
開発
核燃料サイク
ルに係る再処
理、燃料製造
及び放射性廃
棄物の処理処
分に関する研
究開発等
産学官との連
携強化と社会
からの信頼の
確保のための
活動
法人共通 計
収入
運営費交付金 7,636 2,894 952 19,344 5,752 1,868 2,343 40,790
施設整備費補助金 257 3 1,269 846 2,376
設備整備補助金 329 21 6 918 365 4 1,643
特定先端大型研究施設運営費等補助金 10,237 10,237
核セキュリティ強化等推進事業費補助金 503 503
核変換技術研究開発費補助金 170 170
受託等収入 83 405 7 59 2 10 565
その他の収入 102 99 45 406 202 112 55 1,021
前年度よりの繰越金(廃棄物処理事業経費繰越) 1,635 1,635
前年度からの繰越金(放射性物質研究拠点施設等整備事業経費繰越) 65,651 65,651
計 74,059 3,418 1,516 32,233 8,972 1,994 2,398 124,591
支出
一般管理費 2,398 2,398
事業費 15,954 2,993 997 19,750 6,252 1,980 47,927
うち、埋設処分業務勘定へ繰入 494 494
施設整備費補助金経費 257 3 1,269 846 2,376
設備整備補助金経費 329 21 6 918 365 4 1,643
特定先端大型研究施設運営費等補助金経費 10,237 10,237
核セキュリティ強化等推進事業費補助金経費 503 503
核変換技術研究開発費補助金経費 170 170
受託等経費 83 405 7 59 2 10 565
廃棄物処理事業経費繰越 1,337 1,337
放射性物質研究拠点施設等整備事業経費繰越 57,434 57,434
計 74,059 3,418 1,516 32,233 8,972 1,994 2,398 124,591 38〔注1〕各欄積算と合計欄の数字は四捨五入の関係で一致しないことがあ
る。
〔注2〕受託等経費には国からの受託経費を含む。
〔注3〕
1 「廃棄物処理処分負担金」の使途の種類は、電気事業者との再処
理役務契約
(昭和 52 年契約から平成 6 年契約)
に係る低レベル廃棄
物の処理、保管管理、輸送、処分に関する業務に限る。
2 今年度における使用計画は、以下のとおりとする。
使用予定額:全体業務総費用 9,604 百万円のうち、7,260 百万円
・廃棄物処理費:
使用予定額: 合計 987 百万円
・廃棄物保管管理費
使用予定額: 合計 4,194 百万円
・廃棄物処分費
使用予定額: 合計 2,079 百万円
3 廃棄物処理処分負担金は次期中長期目標期間に繰り越す。 39〔注4〕
1 一般勘定及び電源利用勘定の「その他の収入」には、国立研究開
発法人日本原子力研究開発機構法
(平成 16 年法律第 155 号。
以下
「機
構法」という。
)第 17 条第 1 項に基づく受託研究、共同研究等契約
で発生した放射性廃棄物の処理、貯蔵及び処分のための費用が含ま
れる。
2 当該費用のうち処理及び貯蔵のための費用の一部は、
平成 29 年度
(2017 年度)以降に使用するため、次年度以降に繰り越す。
(2) 収支計画
平成 29 年度収支計画 40〔注1〕各欄積算と合計欄の数字は四捨五入の関係で一致しないことがある。
〔注2〕
1 「廃棄物処理処分負担金」の使途の種類は、電気事業者との再処
理役務契約
(昭和 52 年契約から平成 6 年契約)
に係る低レベル廃棄
物の処理、保管管理、輸送、処分に関する業務に限る。
2 今年度における使用計画は、以下のとおりとする。
使用予定額:全体業務総費用 9,604 百万円のうち、7,260 百万円
・廃棄物処理費:
使用予定額: 合計 987 百万円
・廃棄物保管管理費
使用予定額: 合計 4,194 百万円
・廃棄物処分費
使用予定額: 合計 2,079 百万円
3 廃棄物処理処分負担金は次期中長期目標期間に繰り越す。
〔注3〕
1 一般勘定及び電源利用勘定の「その他の収入」には、機構法第
17 条第 1 項に基づく受託研究、共同研究等契約で発生した放射性廃
棄物の処理、貯蔵及び処分のための費用が含まれる。
2 当該費用のうち処理及び貯蔵のための費用の一部は、平成 29 年度
(2017 年度)以降に使用するため、次年度以降に繰り越す。 41(3) 資金計画
平成 29 年度資金計画
〔注1〕各欄積算と合計欄の数字は四捨五入の関係で一致しないことがあ
る。 42〔注2〕
1 「廃棄物処理処分負担金」の使途の種類は、電気事業者との再処
理役務契約
(昭和 52 年契約から平成 6 年契約)
に係る低レベル廃棄
物の処理、保管管理、輸送、処分に関する業務に限る。
2 今年度における使用計画は、以下のとおりとする。
使用予定額:全体業務総費用 9,604 百万円のうち、7,260 百万円
・廃棄物処理費:
使用予定額: 合計 987 百万円
・廃棄物保管管理費
使用予定額: 合計 4,194 百万円
・廃棄物処分費
使用予定額: 合計 2,079 百万円
3 廃棄物処理処分負担金は次期中長期目標期間に繰り越す。
〔注3〕
1 一般勘定及び電源利用勘定の「その他の収入」には、機構法第 17
条第 1 項に基づく受託研究、共同研究等契約で発生した放射性廃棄
物の処理、貯蔵及び処分のための費用が含まれる。
2 当該費用のうち処理及び貯蔵のための費用の一部は、
平成 29 年度
(2017 年度)以降に使用するため、次年度以降に繰り越す。
2.短期借入金の限度額
短期借入金の限度額は、350 億円とする。短期借入金が想定される事態と
しては、運営費交付金の受入れに遅延等が生じた場合である。3.不要財産又は不要財産となることが見込まれる財産がある場合には、
当該
財産の処分に関する計画
不要財産の譲渡収入による国庫納付について主務大臣の認可を受け、
政府
出資等に係る不要財産の譲渡に相当するものとして定められたもののうち、
譲渡に至っていない物件について、引き続き譲渡に向けた手続を進める。
また、
保有する資産の適正かつ効率的な運用を図るため、
不要財産に係る
調査を実施し、
不動産の処分及び利活用については、
不動産利活用検討会議 43を開催し機構内で統一的に検討を図る。
なお、
将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がなくなったと認めら
れた資産については、
独立行政法人通則法に則り、
当該資産の処分に向けた
手続きを進める。4.前号に規定する財産以外の重要な財産を譲渡し、
又は担保に供しようとす
るときは、その計画
茨城県が実施する国道 245 号線の拡幅整備事業に伴い、原子力科学研究
所用地の一部について、敷地境界構築物の移設等を行った後、茨城県に引
渡す。
5.剰余金の使途
機構の決算において剰余金が発生したときは、
・以下の業務への充当
1 原子力施設の安全確保対策
2 原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理に必要な費用
・研究開発業務の推進の中で追加的に必要となる設備等の調達の使途に
充てる。
V.その他業務運営に関する重要事項
1.効果的、効率的なマネジメント体制の確立
(1) 効果的、効率的な組織運営
多様な研究開発活動を総合的に実施する原子力研究開発機関として、理
事長の強いリーダーシップの下、安全を最優先とした上で研究開発成果の
最大化を図るため、経営戦略の企画・立案、安全確保活動、バックエンド
対策等の統括などの経営支援機能を強化し、迅速かつ的確な意思決定と機
動的・弾力的な経営資源配分を行う。また、主要事業ごとに設置した部門
においては、部門長に相応の責任と権限を付与することにより、理事長の 44経営方針の徹底と合理的な統治を可能にするとともに、部門内のガバナン
ス及び連携強化による機動的な業務運営を行う。なお、部門制導入に伴う
弊害の除去と、メリットの最大化に向け組織及び業務フローの見直しを不
断に行う。
業務遂行に当たっては、
機構、
部門の各レベルにおいて、
自ら定めた
「ミ
ッション・ビジョン・ストラテジー」の実現に向けて定量的な実施計画を
策定するとともに、適切な経営管理サイクルを構築・実施することにより
実施計画の進捗を管理し、業務の質を継続的に改善する。また、理事長、
副理事長及び理事は、現場職員との直接対話等に努め、経営方針を職員に
周知するとともに、現場の課題を適時、的確に把握し、適切に対処する。
さらに、外部からの助言及び提言に基づいて健全かつ効果的、効率的な事
業運営を図るとともに、事業運営の透明性を確保する。なお、原子力安全
規制行政及び原子力防災等への技術的支援に係る業務については、機構内
に設置した外部有識者から成る規制支援審議会の意見を尊重して、当該業
務の実効性、中立性及び透明性を確保する。
機構改革計画に盛り込まれた組織・業務運営に関する様々な自己改革へ
の取組については、形骸化しないよう経営管理サイクルにおいて継続的に
検証する。
(2) 内部統制の強化
理事長のガバナンスが有効に機能し、理事長のガバナンスが有効に機能
し、内部統制のとれた組織運営とするため、以下の取組を進める。
コンプライアンス推進を含めた一元的なリスクマネジメント活動として
は、リスクマネジメント基本方針の下、リスクを組織横断的に俯瞰した上
で経営リスクへの的確な対応を図りつつ、
各階層での PDCA サイクルを基本
とした活動の定着を図る。また、研修・啓発活動を通じて、組織の構成員
全体が業務遂行における問題の所在を認識・共有化し、組織を挙げて対応
するための意識醸成を推進する。
監査においては、原子力安全の視点を加えた内部の業務監査体制を強化
するとともに、監事監査の体制整備を図るなど、各組織が行う業務に対す
る効果的なモニタリング及び適切な評価を行い、業務是正・改善へとつな 45げていく。
また、研究開発活動等における不正行為及び研究費の不正使用の防止に
向けた取組としては、
e-ラーニング及び研修といった教育・啓発を通じて
各人の規範意識を維持、向上させるとともに、監査において各人へのヒア
リングを行い不正の防止を図る。
(3) 研究組織間の連携、研究開発評価等による研究開発成果の最大化
1) 研究組織間の連携等による研究開発成果の最大化
分野横断的、組織横断的な取組が必要な機構内外の研究開発ニーズや
課題等に対して、理事長、部門長等が機動的に研究テーマを設定し又は
チームを組織するなど、機構全体としての研究成果の最大化につながる
取組を強化する。また、職員の自主的な組織横断的取組を積極的に支援
する措置を講ずる。
また、機構内の研究インフラについて組織を超えて有効活用を図るた
めのデータベースを充実させる。
さらに、若手の研究者・技術者への継承・能力向上等に資するため、
各部署において効果的な知識マネジメント活動を実施するとともに、良
好事例について機構内で水平展開を進める。
加えて、分離された研究開発業務の円滑な実施とともに、更なる研究
開発成果の創出に資するため、量子科学技術研究開発機構との密接な相
互連携協力を推進する。
2) 評価による業務の効果的、効率的推進
「国の研究開発評価に関する大綱的指針」を踏まえ、各研究開発・評
価委員会による研究開発課題の評価結果、意見等をとりまとめ、評価の
適正かつ厳正な実施に資する。
また、
「独立行政法人の評価に関する指針」
(以下「総務大臣指針」と
いう。
)等に基づき、平成 28 年度に実施した研究開発・評価委員会によ
る研究開発課題の評価結果、意見等を、機構の自己評価に適切に活用す
るとともに、次年度の研究計画や研究マネジメント、予算・人材等の資 46源配分に適切に反映させ、研究開発成果の最大化を図る。
平成 28 年度に係る業務の実績に関する自己評価については、通則法、
総務大臣指針等を踏まえて、原則、第 3 期中長期目標の項目を評価単位
とする項目別評価及び機構の総合評価を行い、取りまとめた自己評価書
を平成 29 年 6 月 30 日までに主務大臣に提出するとともに、公表する。
なお、自己評価書の作成等においては合理的な運用を図り、評価業務
の負担軽減に努める。
自己評価結果については、研究計画や資源配分等に適切に反映させ、
機構の研究開発に係る業務や事業の PDCA サイクルの円滑な回転を行う。
さらに、適正かつ厳格な評価に資するために、機構の研究開発機関と
しての客観的な業績となる論文や特許等のアウトプットに関するデータ
を関係部署と協力して整備する。
(4) 業務改革の推進
より一層の業務効率化を目指し、業務改革の更なる定着を図るため、業
務改革推進委員会において業務改善・効率化推進計画を策定し、同計画に
基づく活動を中心に、業務の改善・効率化及び業務の質の向上を目的とし
た自主的・継続的な取組を推進する。
また、現場の声を吸い上げる仕組みである職員等からの業務改善・効率
化提案制度について、職員全員参加型のボトムアップの仕組みを導入し、
より一層の定着化と活性化を図りつつ、業務改革の取り組みを推進する。
2.施設・設備に関する計画
展示施設としての機能を有する大洗わくわく科学館については、
他法人等
に移管する方向で調整を行う。
むつ科学技術館については、
効率的に運営を
行う。また、保有資産について、機構が保有する必要性について検証方法等
を検討する。
既存施設の集約化・重点化については、機構改革計画に基づき平成 26 年
(2014 年)に実施した「研究施設の重点化・集約化に関する検討」により
決定した今後の取組方針及び施設中長期計画に基づき着実に研究施設の重
点・集約化を進める。実施に当たっては、今後の機構の事業展開に対応して 47毎年度の状況を踏まえて見直しを図り継続的に取り組む。
業務の遂行に必要な施設・設備については、
重点的かつ効率的に更新及び
整備を実施するとともに、
耐震化対応及び新規制基準対応を計画的かつ適切
に進める。
役割を終えて使用していない施設・設備については施設中長期計画に基づ
き廃止措置を進める。
3.国際約束の誠実な履行に関する事項
機構の業務運営に当たっては、
我が国が締結した原子力の研究、
開発及び
利用に関する条約その他の国際約束について、
他国の状況を踏まえつつ誠実
に履行する。
4.人事に関する計画
研究開発成果の最大化と効率的な業務遂行を図るため、
目指すべき人材像、
採用及び育成の方針等を盛り込んだ人事に関する計画を策定し、
以下につい
て実施する。
1 流動的な研究環境や卓越した研究者の登用を可能とする環境を整備
し、国内外の優れた研究者を確保する。
2 大学・研究機関等との人事交流による原子力人材育成に貢献するとと
もに、国際的に活躍できる人材の輩出を目指し、海外の大学・研究機
関での研究機会や国際機関への派遣を充実させる。
3 研究開発の進展や各組織における業務遂行状況等に応じた組織横断
的かつ弾力的な人材配置を実施する。
また、
組織運営に必要な研究開発能力や組織管理能力の向上を図るた
め、キャリアパスにも考慮した適材適所への人材配置を実施する。
4 業務上必要な知識及び技能の習得並びに組織のマネジメント能力向
上のため、
教育研修制度を充実させるとともに、
再雇用制度を効果的
に活用し、技術伝承等に取り組む。
また、
女性職員の確保及び活用を図る観点から、
男女共同参画に積極
的に取り組むとともに、ワークライフバランスの充実に取り組む。 485 人事評価制度等を適切に運用し、
役職員の能力と実績を適切かつ厳格
に評価しその結果を個々人の処遇へ反映させることにより、
モチベー
ション及び資質の向上を図るとともに責任を明確化させる。

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