独立行政法人日本原子力研究開発機構の
平成 21 年度の業務運営に関する計画
(年度計画)
(平成 21 年 4 月 1 日〜平成 22 年 3 月 31 日)
独立行政法人日本原子力研究開発機構 1目次
序文
はじめに
I.国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達
成するためとるべき措置 4
1.エネルギーの安定供給と地球環境問題の同時解決を目指した原子力シス
テムの研究開発 4
(1) 高速増殖炉サイクル技術の確立に向けた研究開発 4
1) 高速増殖炉サイクルの実用化研究開発 4
2) 高速増殖原型炉
「もんじゅ」
における研究開発 10
3) プルトニウム燃料製造技術開発 11
(2) 高レベル放射性廃棄物の処理・処分技術に関する研究開発 12
1) 地層処分研究開発 12
2) 深地層の科学的研究 13
(3) 原子力システムの新たな可能性を切り開くための研究開発 14
1) 分離・変換技術の研究開発 14
2) 高温ガス炉とこれによる水素製造技術の研究開発 16
3) 核融合エネルギーを取り出す技術システムの研究開発 16
(4) 民間事業の原子力事業を支援するための研究開発 192.量子ビームの利用のための研究開発 19
(1) 多様な量子ビーム施設・設備の戦略的整備とビーム技術開発 19
(2) 量子ビームを利用した先端的な測定・解析・加工技術の開発 21
(3) 量子ビームの実用段階での本格利用を目指した研究開発 22
3.原子力の研究、開発及び利用の安全の確保と核不拡散に関する政策に貢
献するための活動 23
(1) 安全研究とその成果の活用による原子力安全規制行政に対する技術的
支援 23
(2) 原子力防災等に対する技術的支援 27
(3) 核不拡散政策に関する支援活動 28
4.自らの原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理・処分に係る技術
開発 30 2(1) 原子力施設の廃止措置に必要な技術開発 30
(2) 放射性廃棄物の処理・処分に必要な技術開発 305.原子力の研究、
開発及び利用に係る共通的科学技術基盤の高度化 31
(1) 原子力基礎工学 31
(2) 先端基礎研究 366.放射性廃棄物の埋設処分 367.産学官との連携の強化と社会からの要請に対応するための活動 37
(1) 研究開発成果の普及とその活用の促進 37
(2) 施設・設備の外部利用の促進 38
(3) 特定先端大型研究施設の共用の促進 39
(4) 原子力分野の人材育成 39
(5) 原子力に関する情報の収集、
分析及び提供 40
(6) 産学官の連携による研究開発の推進 41
(7) 国際協力の推進 41
(8) 立地地域の産業界等との技術協力 42
(9) 社会や立地地域の信頼の確保に向けた取組 43
(10) 情報公開及び広聴・広報活動 44II.業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置 441.柔軟かつ効率的な組織運営 442.統合による融合相乗効果の発揮 453.産業界、
大学等、
関係機関との連携強化による効率化 454.業務・人員の合理化・効率化 455.評価による業務の効率的推進 46III.予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画 471.予算 472.収支計画 493.資金計画 504.財務内容の改善に関する事項 51IV.短期借入金の限度額 52V.重要な財産を譲渡し、
又は担保に供しようとするときはその計画 52VI.剰余金の使途 52 3VII.
その他の業務運営に関する事項 521.安全確保の徹底と信頼性の管理に関する事項 522.施設・設備に関する事項 53
3.放射性廃棄物の処理・処分及び原子力施設の廃止措置に関する事項 544.国際約束の誠実な履行 585.人事に関する計画 58 4序文
独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第31条第1項の規定に基づき、
独立行政法人日本原子力研究開発機構(以下「機構」という。
)の平成 21 年度の業
務運営に関する計画(以下「年度計画」という。)を次のとおり定める。
はじめに
機構は安全確保を大前提として、我が国のエネルギーの安定確保及び地球環
境問題の解決並びに新しい科学技術や産業の創出を目指した原子力の研究開発
を総合的、
計画的かつ効率的に行うとともに、
成果の普及等を行うことにより、
人類社会の福祉及び国民生活の水準向上に貢献する。
I.国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達
成するためとるべき措置1.エネルギーの安定供給と地球環境問題の同時解決を目指した原子力システム
の研究開発
(1) 高速増殖炉サイクル技術の確立に向けた研究開発
1) 高速増殖炉サイクルの実用化研究開発
高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究フェーズII最終報告書に対する
国の評価及び方針に基づき、
「高速増殖炉サイクル実用化研究開発」として、
「主概念」とされた「ナトリウム冷却高速増殖炉(MOX 燃料)、先進湿式法再
処理、簡素化ペレット法燃料製造」の組み合わせの実用化に向けた技術開発
に集中する。
1ナトリウム(Na)冷却高速増殖炉(MOX 燃料)
i 実証施設概念検討
電気出力 75 万 kW のプラント概念について、炉心設計、1・2 次主冷却系な
どの系統・機器設計、
熱流動解析、
安全評価及びプラント熱過渡評価を行う。
電気計装設備、燃料取扱設備などの系統・機器仕様の設定、プラントの運転 5制御性の確認を行う。また、建屋の配置を具体化する。
電気出力 50 万 kW のプラント概念について、炉心及び主冷却系の系統・機
器の設計を実施し、建屋の配置を具体化する。
ii 配管短縮のための高クロム鋼の開発
蒸気発生器(SG)用薄肉小口径長尺伝熱管、
二重伝熱管及び SG 管板用大型鍛
鋼品の試作、並びにこれらの試作材に対する性能を確認する。SG 用伝熱管内
外面鏡面研磨特性を確認する。薄肉大口径シームレス配管製作上の課題の解
決方策を提案する。また、高クロム鋼とステンレス鋼の異材溶接を含む溶接
継手に対する長時間試験を実施し、溶接継手強度評価モデルを提案する。
さらに、高クロム鋼を対象とした規格基準類(材料強度基準、高温構造設計
指針、漏えい先行型破損(LBB)評価指針)を整備するための材料試験データ及
び構造物試験データを取得するとともに、LBB 評価指針については規格化の
概略見通しを得る。
iii システム簡素化のための冷却系 2 ループ化
ホットレグ配管流力振動試験については、配管入口外乱(偏流)の影響を調
べる試験を実施しデータを取得する。コールドレグ配管流力振動試験につい
ては、可視化試験を実施する。超音波流量計について、平成 20 年度の水流
動試験で得られた流況と計測信号の相関性を整理し、流量算出のための信号
処理アルゴリズムを提示する。
iv 1 次冷却系簡素化のためのポンプ組込型中間熱交換器開発
前年度設計・製作した試験体を用いて要素試験を実施し、機器設計に必要
なデータを取得する。
具体的には、軸受開発水試験、ポンプ水力試験、伝熱管水中振動試験、伝
熱管群振動試験、ポンプリークフロー処理確認試験を実施する。
さらに、既存の 1/4 スケール試験体で、水力部をアンバランスディスクに
交換した振動試験、及び下部プレナム流動を可視化する改造を施し下部プレ
ナムガス巻き込み流動試験により機器設計に必要なデータを取得する。
v 原子炉容器のコンパクト化
ガス巻込み評価手法について、流動試験データによる検証、液面形状を考
慮した詳細解析手法の開発を行い、適用性を確認する。温度成層化現象につ
いて、
現象緩和策の評価及び評価手法の検証を行い、
実機適用性を確認する。 6高サイクル熱疲労について、試験と解析による温度変動緩和方策の評価及び
評価手法の検証を行う。また、高温構造設計評価技術の開発に関しては、
316FR 鋼を対象に、荷重設定法、非弾性解析法、強度評価法に関する解析及
び試験研究により、構造設計評価技術案を取りまとめる。316FR 大型リング
鍛鋼品製作に関し、成分規定等の製作性に係る技術的課題の解決策を検討す
る。高性能遮へい体の開発として、水素化ジルコニウム大型ペレットと水素
バリア付被覆管模擬試料の試作試験により性能データを取得する。破損燃料
位置検出系の開発として、解析と試験データより、スリット部のサンプリン
グ手法の実機適用性を評価する。大型炉向けに開発したセレクタバルブに関
する耐久試験を実施し、セレクタバルブ摺動部の耐久性を確認する。
vi システム簡素化のための燃料取扱系の開発
スリット付き炉上部機構に適用可能な燃料交換機の開発では、燃料交換機
アーム実規模試験装置を用いて試験を実施し、この試験結果に基づき実機燃
料交換機の構造検討を行い、当該構造の実機適用性を評価する。
燃料集合体を 2 体同時移送可能な Na ポットの開発では、
既解析モデルを用
いて実機ポット除熱量解析を行い、現設計の実機適用性を評価する。
vii 物量削減と工期短縮のための格納容器の SC 造化
鋼板コンクリート構造(SC 構造)の矩形格納容器については、鋼板パネル試
験などの SC 構造の特性を試験により把握する。また、引き続き鋼板挙動及
び SC 構造挙動について解析手法を整備する。SC 構造格納容器の技術指針骨
子案を検討する。
viii 高燃焼度化に対応した炉心燃料の開発
高燃焼度化に対応した炉心燃料の開発について、露国 BOR-60 で燃焼度 10
万 MWd/t(はじき出し損傷量 50dpa)まで照射した燃料ピンの照射後試験を実
施し、照射データを取得する。
また、MA 含有酸化物燃料の性能評価について、MA 含有 MOX 燃料(照射初期
挙動評価)の照射後試験を行い、照射データを取得する。
なお、計測線付き実験装置試料部との干渉による回転プラグ燃料交換機能
の一部阻害により運転を停止している「常陽」については、原因究明及び対
策案を策定し、干渉物の回収等に係る詳細設計を終了する 。
ix 配管 2 重化によるナトリウム漏洩対策と技術開発 7微少 Na 漏洩検出計の開発については、
検出要素を試作し検出器単体の漏え
い検知試験を実施し、
検出特性(検出感度、
信号信頼性)を評価するとともに、
検出システム仕様検討のためのエアロゾル濃度減衰特性を評価する。
x 直管 2 重伝熱管蒸気発生器の開発
Na/水反応評価技術については、伝熱管破損時(Na/水反応)の影響評価手法
整備のために、伝熱管ウェステージ等の現象解明に向けた要素試験データ取
得と評価モデル開発を行い、機構論的解析手法の高度化を図る。また、耐ウ
ェステージ性を向上させた蒸気発生器概念に係る要素研究により伝熱管の
実機適用性を評価する。
蒸気発生器の熱流動については、解析評価手法の整備と設計データ取得の
ため、水側の熱流動試験結果の評価及び Na 側の流動試験装置を製作し試験
に着手する。
xi 保守、補修性を考慮したプラント設計と技術開発
炉心支持スカート等の炉内構造物の検査を行う Na 中検査装置の開発、9Cr
鋼 2 重管蒸気発生器伝熱管の検査技術開発及び構造物の欠陥検査技術を開発
する。
Na 中の体積検査装置については、平成 20 年度に引き続き Na 中の搬送装置
の製作・組立と平成 20 年度に製作した Na 中の体積検査装置の性能を試験に
より確認する。また、平成 22 年度に実施予定の検査装置と搬送装置の組合
せ試験に用いる Na 試験槽の設計を完了し、製作に着手する。
伝熱管の検査技術については、2 重伝熱管に模擬欠陥を施した試験体の製
作、試験装置の製作を行い、平成 20 年度に改良した各種センサ(UT センサ、
ガイドウェーブセンサ、リモートフィールド渦電流(RF-ECT)センサ)を用い
た性能試験により実機適用性を評価する。また、スタブ溶接部の検査に用い
るセンサの試作を完了し、センサの試験に着手する。
構造物の欠陥検査技術の開発については、模擬欠陥を施した2重伝熱管試験
体の製作及び探傷装置の改良を行い、
マルチコイル型RF-ECTセンサと磁気セン
サを用いた欠陥検出性試験により実機用センサの仕様を決定する。
xii 受動的炉停止と自然循環による炉心冷却
受動的炉停止系の開発については、
実用炉 SASS への適用を想定した温度感
知合金開発のため、材料試験を行い、磁気特性データ等を取得する。 8自然循環による炉心冷却については、崩壊熱除去系のナトリウム試験を実
施し、熱流動特性を把握する。また、炉心熱流動の多次元性など自然循環の
特徴を考慮した炉心最高温度評価手法を構築する。
xiii 炉心損傷時の再臨界回避技術
仮想的な炉心損傷事故時における溶融燃料の炉心外への流出・冷却挙動に
着目し、炉容器内事象終息の見通しを得るため、EAGLE-2 計画において、引
き続き流出挙動に着目したデータを取得する。確率論的安全評価(PSA)につ
いては、免震装置を導入した高速増殖炉の地震時の損傷確率を評価し、耐震
設計改善方策具体化及び評価手法を詳細化する。機器・系統信頼性データベ
ース整備として、
「常陽」及び「もんじゅ」の主要な機器を対象に運転・故
障経験データを取得する。さらに、レベル 2PSA 評価手法整備として、炉心
損傷初期における再臨界の可能性がなくなった後の炉心物質再配置の評価
手法の開発と検証、及び炉心損傷の影響が原子炉容器の外へ拡大した場合を
扱う格納容器内事象の評価手法の開発と検証を行う。
xiv 大型炉の炉心耐震技術
燃料集合体を約 1/1.5 に縮小した模擬集合体を、
群体系(最大 37 体)に配置
した炉心体系モデル、及び列体系(最大 32 体)に配置したモデルを用いて群
振動試験を実施し、3 次元群振動挙動データを取得する。上記試験を対象と
する解析評価を行い、集合体間の衝突の影響に関する解析手法の妥当性を検
証する。
xv 実証試験計画立案
前年度実施した試験施設の設計成果を踏まえて、試験施設の建設及び装置
を製作に着手する。
2先進湿式法再処理
i 設計研究
先進湿式法による再処理実用施設について、
概念検討条件を検討し設定す
る。この条件に基づき、主にプロセス及び主要機器等についての概念を検討
する。
再処理実証施設に係る移行期サイクルの検討については、
将来の核燃料サ
イクル像の検討等を踏まえ、実証シナリオを検討する。 9ii 解体・せん断技術の開発
解体技術については工学規模の解体システム試験を実施し、
技術の信頼性
を確認するとともに解体操作の処理時間や切断工具寿命に関するデータを
取得する。
せん断技術については工学規模の燃料ピン束の移送試験及び短尺
せん断試験を実施し、技術の信頼性を確認する。さらに上記試験の成果を反
映して実用炉燃料集合体を対象とした解体システム及びせん断システムの
概念を検討する。
iii 高効率溶解技術の開発
溶解槽構造の高効率化検討のため、
模擬物質による溶解性及び移送性能に
関する試験を行うとともに小型工学規模ウラン試験装置を製作する。
さらに、
工学規模溶解装置における短尺せん断片の移送性能、
排出性能を試験により
確認する。
iv 晶析技術による効率的ウラン回収システムの開発
ホット基礎試験等を行い、
共存する元素のウラン晶析時の挙動データを取
得し、高ウラン回収率及び高除染係数を得るための晶析条件を検討する。ま
た、
回転キルン型晶析試験装置による運転性能把握試験を実施するとともに、
高濃度ウラン溶液を用いた移送試験を実施し、適用性を確認する。
v U、Pu、Np を一括回収する高効率抽出システムの開発
U-Pu-Np 一括回収プロセスのホット基礎試験を行い、プロセス条件最適化
に向けた各種元素の挙動等を把握する。また、遠心抽出器の中性子モニター
の検討や耐久性評価試験を行い、プロセスや抽出器の安定性等を評価する。
vi 抽出クロマト法による MA 回収技術の開発
RI 等を用いた基礎試験を実施するとともに、これまでに取得したデータ
を基に吸着材及び MA 回収フローシートを選定する。また、工学規模試験等
により MA 分離性能、安全性、計装制御性及び遠隔運転保守性にかかわる基
本性能を総合的に評価する。
vii 廃棄物低減化(廃液 2 極化)技術の開発
不純物共存下におけるソルトフリー溶媒洗浄性能を確認する。
viii 工学規模ホット試験施設
今後のホット試験施設での試験構想を検討する。 103簡素化ペレット法燃料製造
i 脱硝・転換・造粒一元処理技術の開発、ダイ潤滑成型技術及び焼結・O/M 調
整技術の開発
脱硝・転換・造粒一元処理技術の開発については、これまでに整備した小
規模 MOX 試験設備で造粒条件についての MOX 試験を開始する。
ダイ潤滑成型
技術及び焼結・O/M 調整技術開発については、小規模 MOX 試験設備を整備す
る。
これらの工程について、平成 22 年までに量産に適した方式を選定するた
めの評価検討を実施する。
また、
簡素化ペレット法の工学規模での実証に向けた燃料製造技術開発試
験を実施するとともに、
プルトニウム燃料第三開発室に設置する試験設備を
製作する。
ii 燃料基礎物性研究
熱伝導率、熱膨張率、拡散係数などを測定し、データベースを拡充する。
iii セル内遠隔設備開発
セル内遠隔保守設備の開発として、成型設備、ペレット検査設備、分析設
備及び保守用マニピュレーション設備のモックアップ試験機の整備を完了
する。これらの設備を用いた総合モックアップ試験を実施し、データを取り
まとめる。
4副概念
金属燃料開発については、国内初のウラン-プルトニウム-ジルコニウム
合金による金属燃料ピンの「常陽」照射に向けて、燃料ピン製造や使用前検
査等を行う。
金属電解法乾式再処理プロセスに関して、
実工程を模擬した Pu 試験及びコ
ールド試験により、プロセス運転に係るデータを取得する。
2) 高速増殖原型炉「もんじゅ」における研究開発
1プラント確認試験
プラント確認試験を着実に進め、終了するとともに、国の審議を受け策定
した
「長期停止プラント(高速増殖原型炉もんじゅ)の設備健全性確認計画書」 11に従い順次点検を行い、健全性を確認する。
2性能試験等
性能試験再開に向けた燃料交換を行う。発電プラントとしての信頼性の実
証等を目指した出力段階に応じた性能確認を行うため、試験要領書の作成等
の性能試験準備、原子炉起動前に必要な点検や起動前状態の確認等を行う。
また、
「もんじゅ」
耐震安全性評価結果に対する国の審査対応を行うとともに、
さらなる耐震安全性向上に向けた検討を行う。
3発電プラントの信頼性実証及びナトリウム取扱技術の確立
「もんじゅ」を中核とした高速増殖炉プラントの国際的な研究開発拠点の
構築を目指し、
「FBR プラント技術研究センター(仮称)」を設置する。
発電プラントとしての信頼性の実証を目指し、性能試験結果等の原型炉デ
ータに基づく高速増殖炉技術の総合評価(原型炉技術評価)の準備を開始する。
ナトリウム取扱技術確立に向けた研究開発として、ナトリウム純度管理技
術高度化の検討を開始し、また、供用期間中検査(ISI)を準備する。
3) プルトニウム燃料製造技術開発
1「もんじゅ」燃料製造技術開発
平成 18 年度に改定された新耐震指針への対応を取り入れたプルトニウム
燃料第三開発室等の加工事業許可申請に伴う許認可業務を進める。
また、
性能試験後に装荷する燃料の供給を可能とする技術の確立の一環と
して、
プルトニウム原料の調達のための輸送容器原型容器の安全性実証試験
を終了する。
上記に係る燃料供給計画を調整する。
2「常陽」燃料製造技術開発
製造済みの「常陽」第 2 次取替燃料、次回取替燃料製造用の部材及び原
料の保管管理を行う。
上記に係る燃料供給計画を調整する。 12(2) 高レベル放射性廃棄物の処理・処分技術に関する研究開発
地層処分研究開発と深地層の科学的研究の二つの領域において、他の研究
開発機関との共同研究などを活用しながら研究開発を進め、原子力発電環境
整備機構による処分事業と、国による安全規制の両面を支える技術を知識基
盤として整備する。また、中期目標期間における研究開発成果に基づき、包
括的な報告書と知識ベースとして取りまとめる。
1) 地層処分研究開発
1設計・安全評価の信頼性向上
処分場の設計や安全評価の信頼性を向上させるため、地層処分基盤研究施
設や地層処分放射化学研究施設等を活用して、人工バリア等の長期挙動や核
種の溶解・移行等に関するモデルの高度化、基礎データの拡充、データベー
スの開発を進め、オーバーパック・データベースを作成するとともに、緩衝
材に関する基本特性データの標準的測定方法を提案する。また、人工バリア
の現象論的収着・拡散モデルに適用する基本定数データベースの提示及び核
種移行データや微生物特性データの標準的測定方法の提案を行う。
深地層の研究施設等における実際の地質環境条件を踏まえて、現実的な処
分概念に柔軟に対応できる総合的性能評価手法を例示する。また、幌延深地
層研究所において、低アルカリ性セメントを用いた吹付けコンクリートの施
工試験を実施し、適用性を確認するとともに、実際の地質環境データを活用
して人工バリア周辺の熱-水-応力-化学連成挙動を評価するための解析手
法を整備する。なお、幌延深地層研究所では、人工バリアの工学技術に関す
る研究を通して、国が進める地層処分実規模設備整備事業に協力する。
2知識ベースの開発
地層処分の安全確保の考え方や評価に係る様々な論拠を、上記1及び下記
の「2) 深地層の科学的研究」で得られる成果に基づき、国内外の知見と合わ
せて体系化して、適切に管理・継承するための知識ベースを開発する。その
ため、平成 20 年度に試作した知識管理システムの全体管理機能を利用して、
地層処分の安全性に関する論証構造モデルと知識ベースを整備する。また、
機能を拡張・改良しつつ知識管理システムのプロトタイプを構築し、NUMO や 13安全規制機関などの試用に供していく。
2) 深地層の科学的研究
1深地層の研究施設における地質環境調査技術の整備
岐阜県瑞浪市と北海道幌延町の 2 つの深地層の研究施設計画について、坑
道掘削時の調査研究を進めつつ、地上からの調査技術やモデル化手法の妥当
性を評価し、
NUMO による精密調査や国による安全審査基本指針の策定などを
支える技術基盤として整備する。また、掘削した水平坑道については、実際
の深地層の体験や調査研究内容の公開等を通じて、地層処分に関する国民と
の相互理解を促進する場としての活用を図る。
瑞浪超深地層研究所については、中間深度を目指して 2 本の立坑の掘削を
進めながら、坑道壁面の連続的な地質観察等を実施して、花崗岩体の性状や
断層・割れ目の分布等を把握する。また、坑道の掘削による地下水への影響
を評価するため、坑道壁面の深度約 25m ごとに設置する湧水観測装置を用い
て、掘削の進展に伴う湧水量及び水質の経時変化を観測するとともに、地上
及び既設の水平坑道(深度 100m、200m、300m)から掘削したボーリング孔内の
地下水観測装置により、地下水の水圧及び水質の変化を継続的に観測する。
これらの各調査で得られる情報に基づき、地上からの調査研究で構築した地
質環境モデル(地質構造、岩盤力学、水理、地球化学)を確認し、地上からの
調査技術やモデル化手法の妥当性を評価する。
幌延深地層研究所については、深度 140m の水平坑道を完成するとともに、
中間深度を目指して東立坑の掘削を進めながら、坑道壁面の連続的な地質観
察等を実施して、
堆積岩層の性状や断層・割れ目の分布等を把握する。
また、
坑道掘削に伴う地質環境への影響を把握するため、坑道壁面の深度約 35m ご
とに設置する湧水観測装置や坑道から掘削するボーリング孔を用いた湧水
量・水質の観測、及び地上からのボーリング孔に設置した地下水観測装置や
遠隔監視システムによるモニタリングを行う。さらに、坑道周辺に発生する
掘削影響領域を把握するため、坑道から掘削するボーリング孔を用いて岩盤
や地下水の挙動を観測する。これらの各調査で得られる情報に基づき、地上
からの調査研究で構築した地質環境モデルを確認しつつ、地上からの調査技
術やモデル化手法の妥当性を評価する。加えて、塩水と淡水の境界領域にお 14ける地下水流動や水質分布等を把握するための調査技術の体系化を図る。
2深地層における工学技術の整備
坑道掘削に係る工学技術や影響評価手法の適用性を検討するため、瑞浪超
深地層研究所及び幌延深地層研究所において、坑道を掘削しながら岩盤の変
位・応力観測を実施し、上記1の調査・観測の結果ともあわせて、掘削の影
響や坑道設計・覆工技術等の妥当性を評価し、以深の掘削工事や対策工事の
最適化を図る。
また、瑞浪超深地層研究所においては、湧水の発生状況に応じて湧水抑制
対策(グラウチング)を実施し、その有効性を確認する。幌延深地層研究所に
おいても、
平成 20 年度までに実施した換気立坑近傍での先行ボーリング調査
の結果などに基づき、湧水抑制対策を実施し、その有効性を確認する。
3地質環境の長期安定性に関する研究
隆起・侵食/気候・海水準変動や断層活動の履歴を解明するための調
査技術及び火山・地熱活動に関連する地下深部のマグマ・高温流体等を
検出するための手法を整備するとともに、調査結果に基づいて地質環境
の将来変化を予測するためのモデルを開発する。
(3) 原子力システムの新たな可能性を切り開くための研究開発
1) 分離・変換技術の研究開発
1分離技術研究開発
マイナーアクチノイド/ランタニドの相互分離のための抽出クロマトグラ
フ法開発で、新規抽出剤含浸吸着剤の安定性を評価するとともに、カラム試
験により分離プロセス特性を評価する。また、3 級ピリジン樹脂による再処
理技術について模擬高レベル廃液による試験で特性を評価する。
発熱性核分裂生成物の吸着分離法について、有機吸着剤によるカラム吸着
試験を実施し、分離プロセス特性を評価する。また、模擬高レベル廃液によ
る試験でナノ分離剤担持複合吸着剤による発熱性核種の分離特性を評価する。
希少元素 FP 及び LLFP の模擬高レベル廃液条件下における電解分離特性と
水素製造触媒利用に関する基礎データを取得する。β核種を対象とする高度 15分析装置の製作・据付を完了する。
これらの成果をもとに、新しい分離プロセス概念を構築・提示する。
2核変換技術研究開発(共通技術開発)
MA 及び LLFP の核データ整備については、J-PARC 物質生命科学実験施設の
第 4 ビームライン(BL4)において核データ測定用中性子核反応測定装置を完
成させ、中性子捕獲断面積測定を可能にするとともに、高速中性子捕獲断面
積測定手法の適用範囲を拡大する。
LLFP 含有ターゲットについては、
LLFP 含有ターゲットの試作と被覆材との
共存性に関する基礎データを取得する。
核設計コードの整備については、最新の計算科学技術を用いて、解析効率
及び信頼性を向上した MA 燃焼解析システム開発を継続し、
既存の燃焼解析シ
ステムの計算機能を全て包含した新たな燃焼解析システムの開発を完了する。
ロシアのBFS高速臨界実験装置で行われたNp装荷臨界実験の解析評価の結
果を、核データの改良に反映する。
i 高速増殖炉システムに関する事柄
高速増殖炉サイクルを用いた方法については、
「常陽」を用いた MA サンプ
ル照射試験の解析結果を、核データの改良に反映する。また、高速増殖炉サ
イクルシステムを分離変換システムとして見た際の概念を構築・提示する。
ii 加速器駆動核変換システムに関する事柄
加速器駆動核変換システム(ADS)に関しては、
鋼材の腐食や照射効果を考慮
して被覆管及びビーム窓の健全性を評価するとともに、安全性に関する解析
検討を実施し、これまでの検討結果と総合して、成立性の高い核変換技術を
構築、提示する。
ADS 用燃料に関しては、
希釈材を含有した MA 窒化物燃料の熱拡散率等の熱
物性データを拡充するとともに、
分離した Cm を用いて物性データを取得する。
乾式処理プロセスに関しては、窒化物燃料の電解挙動に対する希釈材濃度
の影響を評価するとともに、電解回収物の再窒化粉末を原料として調製した
燃料ペレットの性状を明らかにする。これらにより ADS 燃料サイクルの技術 16的成立性を提示する。
2) 高温ガス炉とこれによる水素製造技術の研究開発
1高温ガス炉の技術基盤の確立を目指した研究開発
高温工学試験研究炉(HTTR)において、
高温試験運転モード(原子炉出口冷却
材温度約 950°C)で、運転日数が 50 日以上の連続運転を行い、高温ガス炉の
実用化に必要な HTTR の燃焼特性、ヘリウム純度管理、高温機器の性能、炉内
構造物等の健全性等に関するデータを取得・評価する。
HTTR 炉特性解析コードを検証・高精度化するため、モンテカルロ法により
算出した中性子拡散係数を拡散計算法に導入して炉特性を評価する。高温ガ
ス炉燃料、材料の研究では、高燃焼度化のための被覆層を厚くした改良燃料
の試作試験を完了する。また、耐熱セラミックス製構造物の開発のため異方
性を考慮した応力評価を完了する。
2核熱による水素製造の技術開発
i HTTR-IS システムの実現に向けて、システムの過渡時、事故時の代表事象
に関する安全解析評価を行い、システムの安全性が保たれることを示すこと
で、HTTR-IS システムにおける熱供給システムの設計を完了する。
ii 高温硫酸等の腐食性プロセス溶液を輸送する装置材料の耐食性データを取
得するとともに、硫酸ポンプ性能を確証して、30m3
/h 規模の水素製造技術の
確証を完了する。また、高効率化に向けてヨウ化水素分離の圧力依存性を明
らかにする。
iii 異常時に高温ガス炉と水素製造プラントを隔離する技術として、実用炉規
模の高温隔離弁の構造設計を完了する。
3) 核融合エネルギーを取り出す技術システムの研究開発
1国際熱核融合実験炉(ITER)計画
「イーター事業の共同による実施のためのイーター国際核融合エネルギー
機構の設立に関する協定(ITER 協定)」に基づき、ITER 計画における我が国
の国内機関として、
「ITER 国際核融合エネルギー機構(ITER 機構)」
を支援し、
平成 19 年度に調達を開始したトロイダル磁場コイルの超伝導素線、
撚線及び 17ジャケッティング用治具の製作を完了する。コイル巻線とコイル構造物の製
作設計を実施し、実機製作のための研究開発を開始するとともに、新たにコ
イル 0.85 個分の超伝導素線の製作に着手する。ITER 機構にリエゾンを派遣
して ITER 機構の行う設計作業を支援するとともに、
ダイバータ等の調達準備
作業を実施し、技術仕様の確定に反映する。また、ITER 計画に対する我が国
の人的貢献の窓口、
ITER 機構からの業務委託の連絡窓口としての役割を果た
す。
「核融合エネルギーの研究分野におけるより広範な取組を通じた活動の
共同による実施に関する日本国政府と欧州原子力共同体との間の協定(BA 協
定)」の各プロジェクトの作業計画に基づいて、実施機関としての活動を行
う。引き続き六ヶ所 BA サイトの研究施設の整備を進める。国際核融合エネ
ルギー研究センターに関する活動として、原型炉の概念設計検討に着手する
とともに、低放射化構造材料等に関する予備的な技術開発を実施する。核融
合計算機シミュレーションセンターの計算機選定に必要な検討課題を整理
する。国際核融合炉材料照射施設の工学実証・工学設計活動に関しては、設
計統合等の作業の支援を行うとともに、加速器関連機器、リチウム試験ルー
プ等の設計、製作等を行う。サテライトトカマク計画及びトカマク国内重点
化装置計画の合同計画として日本分担機器の詳細設計・試験・発注・製作を
行うとともに、再利用する機器・施設の維持・改修や JT-60 装置の解体準備
を行う。
ITER の燃焼プラズマ実現に向けた物理課題解決に必要な検討項目を整理
するとともに、国際トカマク物理活動や国際装置間比較実験に積極的に貢献
し、燃焼プラズマの制御指針を得る。
核融合エネルギーフォーラム活動等を通して、大学・研究機関・産業界間
の連携強化に努め、関連情報の提供、意見の集約、連携協力の調整等を促進
することにより、ITER 計画と BA 活動等に国内研究者等の意見などを適切に
反映するとともに、開発研究・技術開発と学術研究の相互補完的推進に貢献
する。
2炉心プラズマ研究開発及び核融合工学研究開発
JT-60 の実験データ解析を進めるとともに、国際装置間比較実験等の国際 18研究協力を積極的に展開し、
定常高ベータ化研究を推進する。
これらにより、
高ベータ安定性、
輸送特性、
ダイバータ熱・粒子制御特性等の評価を実施し、
JT-60SA 及び ITER における先進プラズマの定常化に必要な制御手法の研究開
発を進める。
炉心プラズマ制御技術の向上に資するため、コアプラズマ輸送モデルと周
辺プラズマ輸送モデルを統合する。また、大学等との相互の連携・協力を推
進し、人材の育成に貢献するため、炉心プラズマ研究に関する国内重点化装
置共同研究を実施する。
理論・シミュレーション研究では、安定性に関するプラズマ回転効果等
を解く数値解法を開発するとともに、ジャイロ運動論的ブラソフモデルに粒
子衝突効果を組み込んだトーラス配位乱流輸送コードを開発し、閉じ込め・
安定性制御のための理論的指針を取得する。
核融合工学研究開発としては、核融合エネルギー利用のため、真空技術、
先進超伝導技術、トリチウム安全工学、中性子工学、ビーム工学、高周波工
学等の核融合工学技術の高度化を進める。先進超伝導技術では、高温超伝導
線材を使用した小規模導体を試作し高磁場中で性能を評価する。炉システム
研究では、コンパクトな原型炉と整合し技術的成立性の高い固体増殖ブラン
ケットの構造概念を構築する。
増殖ブランケットの熱・流動・機械・核特性やトリチウム回収等に関する
工学規模の性能試験を実施して、ITER テスト・ブランケット・モジュールの
基本要件を明らかにする。テスト・ブランケット・モジュールの設計、製作
技術開発では、実規模大の第一壁と側壁を組み合わせたモックアップの試作
とその機械試験を実施して、製作手法及び設計手法の妥当性を評価する。核
特性研究では、核特性測定手法及びその評価手法の開発を進めて ITER テス
ト・ブランケット・モジュールへの適用性に見通しを得るとともに、3 次元
核解析を実施して設計に反映する。トリチウム回収技術開発では、トリチウ
ム計量システム設計を行うとともに、先進的トリチウム回収システム開発に
向けた基礎データを取得して設計に反映する。ブランケット機能材料開発で
は、先進的なトリチウム増殖材料の合成手法の検討を進め、高温使用時にお
ける材料の安定性に関するデータを取得するとともに、照射技術開発では、
照射済試験体の解体装置整備の検討を実施し、照射後試験計画の見通しを得 19る。
構造材料の研究開発では、低放射化フェライト鋼の重照射データ獲得を目
標とした中性子照射試験を実施し、引張挙動等の基本特性に関するデータを
取得するとともに、耐腐食特性に関する基礎データを蓄積して、原型炉への
適用可能性を評価する。
(4) 民間事業者の原子力事業を支援するための研究開発
1) 高燃焼度燃料再処理試験に係る許認可については、
東海再処理施設の耐震性
向上対策に係る許認可後に円滑に進めることが出来るよう関連手続を行うと
ともに、共同研究者である電気事業者との調整により、試験の実施時期等を
見直す。
2) 「ふげん」ウランープルトニウム混合酸化物(MOX)使用済燃料の再処理試験
に関し、
耐震性向上対策後の平成 22 年度から再開する試験計画の見直し・立
案を行う。
3) ガラス溶融炉内構造物の健全性確認等に関する技術の開発を進めるととも
に、取得したデータを取りまとめる。
低レベル廃棄物については、セメント固化評価試験及び硝酸塩を含む低放
射性の廃液の硝酸塩分解技術に係る試験を行い、採取したデータを取りまと
める。
2.量子ビームの利用のための研究開発
(1) 多様な量子ビーム施設・設備の戦略的整備とビーム技術開発
大強度陽子加速器施設(J-PARC)の運転管理では、リニアック、3GeV シンク
ロトロン及び物質・生命科学実験施設について供用運転を実施する。中性子
実験装置の施設供用を着実に推進するために、課題選定業務及び利用者支援
業務を行う。
さらに、ビーム性能向上のための試験を実施し、当初目標である陽子ビー
ム出力 1MW を目指して、加速器及び中性子源の高度化に係わる技術開発を行 20うとともに、
リニアックビームエネルギー増強にかかる機器整備を開始する。
安全関係では、ビーム出力増強に伴う各施設の使用に係る許認可を取得する
とともに施設の放射線安全管理にかかわる業務を実施する。
中性子利用実験装置 3 台(低エネルギー分光器、新材料解析装置、4 次元空
間中性子探査装置)の運転管理及び施設供用を行う。
パルス中性子磁気集光光
学システムの集光・偏極性能の評価に基づく広波長帯域での最適化研究、大
強度パルス中性子対応のシンチレーション検出器及び個別読み出し型 3He ガ
ス検出器の開発、高性能スーパーミラーの開発及び中性子輸送・収束デバイ
スへの応用を行い、J-PARC 中性子実験装置の開発に活用する。
中性子ビームの高強度化に向け、技術開発を行ってきた高性能減速材容器
及びスーパーミラーの仕様、配置等について取りまとめるとともに、冷中性
子ビームの強度を評価し、現状(JRR-3 において約 ×ばつ108
n/cm2
sec)の約 10 倍
の強度となることを確認する。また、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)時の線量
評価、線量測定等の効率化及び高精度化のため、リアルタイムモニターの特
性測定を行い実用化を図る。
荷電粒子・RI の利用技術開発では、サイクロトロンで加速した数百 MeV 級
重イオンのマイクロビームを用いた高速自動照準シングルイオンヒット技術
を、重イオンマイクロビーム細胞局部照射技術開発及び半導体耐放射線性評
価研究へ応用する。
光量子・放射光の利用技術開発では、ペタワットレーザーの最終増幅器段
において、
主パルスとプレパルスのコントラスト比 10 の 8 乗以上を達成する。
また、繰返し数 0.1Hz の高繰返し X 線レーザーの利用研究への応用を推進す
るとともに、更なる出力エネルギーの向上を図る。
250kV 電子銃において、前年度の性能試験で明らかになった課題点を改良
し、次世代放射光源に必要な性能を満たすことを確認する。アト秒パルスの
X線発生については、フライングミラー(光速飛翔鏡)を用いた短波長光発生
においてレーザー及びプラズマ条件を最適化して短波長化する。 21レーザー駆動陽子線の生体物質や、材料などへの照射効果を調べ、必要な
エネルギースペクトルの準単色化を行うとともに発生させた高エネルギー陽
子の有用性を検証する。
(2) 量子ビームを利用した先端的な測定・解析・加工技術の開発
生体高分子(タンパク質・核酸など)の機能発現機構解明への応用を目指し、
中性子をプローブとした構造・ダイナミクス解析データを取得する。解析対
象としては生体高分子だけでなく水和水との相互作用も視野に入れる。また
中性子ビームの効率的利用、精密測定に必要な結晶大型化や試料の重水素化
などの基盤技術を高度化する。さらにパルス中性子源(J-PARC)を活用した創
薬標的タンパク質の構造解析や、構造情報を生かした医薬品候補分子の創製
のための研究開発に着手する。
中性子偏極解析法をフラストレート系やマルチフェロイック系等のスピ
ン及び格子の相関に係る物性研究に適用するための開発を行う。また、パル
ス中性子を利用したナノ構造体の結晶 PDF 解析手法を高度化するとともに、
シリコンや炭素を母材としたナノ構造体を創製する。さらに、種々の温度・
圧力条件下における粉末中性子回折実験を可能にし、
電池材料、
強誘電性氷、
金属水素化物などについて、それらの構造及び微視的挙動を解析する。これ
らに加え、
定常中性子源(JRR-3)とパルス中性子源(J-PARC)を相補的に活用す
る中性子偏極解析法の高度化を目指して、白色中性子偏極デバイスの導入に
着手する。
中性子イメージング、中性子即発ガンマ線分析、中性子残留応力解析にお
ける技術開発を進め、イメージングにおいては空間分解能の向上、即発ガン
マ線分析においては位置分解能 1 mm 以内の三次元元素分析法を開発する。
また、中性子を利用した非破壊測定・解析技術の確立に向けた研究開発とし
て、放射光と中性子を用いた材料表面から内部に至る残留応力の三次元分布
測定法などを開発する。 22細胞の放射線応答解明のため、集束式重イオンマイクロビームを用いた細
胞局部照射技術を確立するとともに、重イオン照射によってヒト細胞に誘発
される DNA 損傷を解析する。また、イオンビーム育種技術高度化のため、各
植物及び微生物に対するイオンビーム照射方法の最適条件を明らかにすると
共に新品種の作出を試み、イオンビームによって誘発される大規模なゲノム
変異を解析する。さらに、カドミウム吸収能力の異なった植物品種開発のた
め、ポジトロンイメージング技術を用いて、カドミウム高吸収及び低吸収植
物・品種の吸収特性を解明する。
レーザープラズマX線顕微鏡の要素技術の開発として、生細胞の X 線瞬間
撮像を実現する光源一体型試料ホルダーの性能を評価し、生細胞の瞬時観察
への応用を図る。放射光及び X 線レーザーを相補的に用いた時間相関スペッ
クル計測法を確立するとともに、応用研究として、X 線干渉法による表面微
細構造ダイナミクスなどを観察する。
一酸化窒素、一酸化炭素、炭化水素などのガス分解反応における貴金属の
振る舞いを観察するとともに、
時分割 XAFS 法による触媒反応等のその場観察
法を確立する。
希土類金属水素化物の圧力誘起相分離に伴うドメイン構造の観察及びア
ルミニウムを合金化した新奇水素化物を合成するとともに、高温高圧下及び
低温高圧下の X 線回折実験による水素化物の相転移・反応過程の測定法を確
立する。高濃度金属イオン溶液において十分な抽出能力をもつ物質への改良
を実施するとともに、耐放射線性を検証し、実機試験に耐えうるフェナント
ロリンアミド(PTA)を合成する。時間分解蛍光 XAFS システムを開発し、アク
チノイド物質の抽出・分離反応過程の放射光時分割測定法を完成する。偏光
状態測定を含めた共鳴非弾性X線散乱法を確立し、これを用いて銅酸化物の
超伝導相に隣接して存在する電荷秩序相にある電子の励起状態を観測する。
(3) 量子ビームの実用段階での本格利用を目指した研究開発
高付加価値材料・素子の開発として、半導体デバイスの放射線劣化モデル
を構築する。10MGy の放射線耐性を有する炭化ケイ素(SiC)トランジスタを開 23発する。水素分離フィルターの製作に向け、水素と不純物の分離比が 10 対1
以上の SiC セラミック薄膜を開発する。また、開発した電解質膜を燃料電池
セルに組み込んだ際の発電性能評価結果を踏まえ、家庭用高耐久性燃料電池
膜を開発する。
環境浄化・保全に貢献するため、放射線橋かけ技術を利用して、産業応用
可能な生分解性高分子材料を開発する。また、小型電子加速器と触媒を組合
せた大気中有機汚染物質の捕集・無害化装置のシステムを設計し、キシレン
等の揮発性有機化合物の除去技術を確立する。
スパイラルスリットを用いた迅速応力分布測定システム、高温高圧水下の
応力測定法及び異種材料接合部の応力分布測定法を確立し、
放射光を用いた、
材料の表面から内部に至る残留応力の三次元分布測定法を確立させ、エンジ
ン等の機器の評価に応用する。
短パルスレーザーによる非熱加工技術を、次世代 FBR を含めた原子炉の保
守保全技術開発へ応用する。また、本技術の異分野応用を探るために、医療
機器開発に着手する。2、3-ジヒドロピランの 2 波長赤外多光子解離の実験に
より、酸素同位体の大量濃縮の可能性を検証する。同位体濃縮 SiF4 ガスを用
いた薄膜材料を創製し、その同位体比、結晶構造等を評価する。また、革新
的なレーザー同位体選択スキームについて、その実現可能性を理論的に検証
する。3.原子力の研究、
開発及び利用の安全の確保と核不拡散に関する政策に貢献す
るための活動
(1) 安全研究とその成果の活用による原子力安全規制行政に対する技術的支援
原子力安全委員会の定める「原子力の重点安全研究計画」等に沿って、機構
内の独立した組織である安全研究センターを中心に安全研究を実施し、中立
的な立場から安全基準や指針の整備等に貢献する。安全研究の成果を基に行
う規制支援の中立性・透明性を確保するため、外部の専門家・有識者で構成
される「安全研究審議会」において、安全研究の実施計画、成果及び安全規 24制への反映状況の評価を受ける。
1) 確率論的安全評価(PSA)手法の高度化・開発整備
核燃料施設の事故影響評価解析手法の整備のため代表的な事故事象の試解
析を行うとともに故障率データを拡充する。また、リスク情報の活用に資す
るため、核燃料施設の PSA 結果に基づき性能目標策定手順を提示する。
安全上重要な原子力事故・故障事例として、
事象報告システム(IRS)と国際
原子力事象評価尺度(INES)に平成 21 年に報告される事象について分析を進
めるとともに、
米国における平成 21 年の規制関連情報を収集し分析を行って、
その結果を関係機関に配付する。また、年度中に重要な事象が発生した場合
には、それを優先して適時に対応する。
2) 軽水炉燃料の高燃焼度化に対応した安全評価
高燃焼度ウラン及び MOX 燃料を対象とした事故時燃料挙動模擬実験などか
ら得たデータを基に、高燃焼度燃料に特有な現象についての知見を取りまと
めるとともに、安全評価手法の高度化を目的に事故時燃料挙動解析手法の高
精度化を行う。
また、軽水炉利用の高度化に対応した燃料の照射健全性を調べるため、材
料試験炉(JMTR)を用いた異常過渡試験を実施するために必要な照射試験装置
を製作・整備する。
3) 軽水炉利用の高度化に関する熱水力安全評価技術
安全余裕のより高精度な定量評価が可能な最適評価手法の開発に必要なデ
ータを取得するため、大型非定常試験装置(LSTF)を用いる国際研究協力
OECD/NEA ROSA-2 プロジェクトや核熱結合模擬実験装置(THYNC)などにより、
3 次元二相流や核熱の連成を含む炉心熱伝達に着目した試験を行う。また、
地震時の BWR 挙動評価のための3次元核熱連成解析手法を開発する。
さらに、
沸騰遷移後の炉心熱伝達(Post-BT)試験及び格納容器内ガス状ヨウ
素試験を行い最適評価手法の開発・検証に必要な試験データを取得する。
4) 材料劣化・高経年化対策技術に関する研究 25原子炉構造機器の溶接部等に対する破損確率評価のため確率論的破壊力学
(PFM)解析コードを整備するとともに、
地震時における健全性評価手法の高精
度化のため、経年劣化と地震荷重にかかわる試験・解析データを取得する。
原子炉圧力容器鋼の健全性評価法の高度化のため、照射脆化機構や破壊靱性
に関わる微視組織や機械的性質等のデータを取得する。また、軽水炉の高経
年化評価及び検査技術に資するため、経年変化研究を行う。さらに、軽水炉
の高経年化対応として、放射線場等における材料劣化に関するデータを取得
する。
炉内構造物の健全性評価の精度向上に必要な照射誘起応力腐食割れ
(IASCC)に関する照射後試験データベースの拡充とデータの実機適用性の検
証のため、
中性子照射したステンレス鋼の高温水中応力腐食割れ(SCC)き裂進
展試験データ等を取得・解析する。
軽水炉の長期利用に備えて、照射環境下でのステンレス鋼の応力腐食割れ
(SCC)の進展、
応力発生源及び原子炉圧力容器鋼の破壊靭性の変化を評価する
ため、JMTR の照射試験施設の整備を行う。
5) 核燃料サイクル施設の臨界安全性に関する研究
再処理施設の臨界事故等に関する実験データの蓄積と高精度の臨界安全評
価手法の整備のため、取得した臨界実験(STACY、TRACY)の解析評価を行い、
ベンチマークデータの整備や臨界事故解析手法の適用性評価を行う。
軽水炉における高燃焼度燃料や MOX 燃料の利用及び使用済燃料の輸送や中
間貯蔵の安全基準整備・安全審査に資するため、燃焼度クレジットを考慮し
た燃焼・臨界統合計算コードシステム及び臨界安全データベースを整備する。
6) 核燃料サイクル施設の事故時放射性物質の放出・移行特性
核燃料サイクル施設における火災事故時の安全性データを取得するための
試験を行い、
得られた知見をもとに火災・事故時の閉じ込め評価手法を整備・
提供する。
溶液燃料臨界事故時の硝酸水溶液からの放射性ヨウ素の放出特性を定量的
に把握するため、取得してきた放射線照射下での溶液からの放射性ヨウ素の
放出・移行特性データを基に、放射性ヨウ素の放出・移行評価モデルの検討 26を行う。
再処理施設の確率論的安全評価での重要な事故シナリオにおける放射性物
質の物理・化学挙動データを取得する実験を行う。
7) 高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する研究
確率論的長期安全評価手法については、重要な天然事象に係るシナリオ及
びモデル・コードの整備を行い、従前の人工バリアに係る整備と合わせて中
間的な取りまとめを行う。
TRU 廃棄物との併置処分に関しては、これまでの解析を踏まえ特有の重要
事項を指摘する。
評価手法の継続的高度化のために、地下水流動評価モデルの整備、緩衝材
機能評価用解析コードの整備、
放射性核種の地中移行挙動の現象解明を行う。
以上の安全評価手法整備で得られた知見等を踏まえ、指針等策定に資する
ための安全評価の基本的考え方などを提案する。
8) 低レベル放射性廃棄物の処分に関する研究
炉心構造物等の廃棄物や TRU 廃棄物を対象とした余裕深度処分、およびウ
ラン廃棄物の処分及びクリアランスに関して、原子力安全委員会における安
全規制の検討を支援するため、最新の知見・データに基づいた安全解析を実
施し、その知見を基に、必要に応じ安全評価手法を改良する。
9) 廃止措置に係る被ばく評価に関する研究
昨年度までに得られた、放射化および汚染機器切断時の放射性粉じんの環
境移行データを評価し、取りまとめる。
サイト解放(廃止措置の終了)の際の検認手法については、これまでの検討
結果を踏まえて、具体的なサイト解放検認手順、残存放射能の測定手法等を
提示する。また、核燃料サイクル施設にも対応できるサイト解放基準濃度計
算コードを完成する。
核燃料サイクル施設に関しては、廃止措置計画の審査のための技術情報を
取りまとめるとともに、被ばく評価コードを整備する。 2710) 関係行政機関への協力
安全基準、安全審査指針類の策定等に関し、原子力安全委員会や関係する
規制行政庁への科学的データの提供等を行う。また、原子力施設等の事故・
故障の原因究明のための調査等に関しても、関係行政機関等からの個々具体
的な要請に応じ、人的・技術的支援を行う。
(2) 原子力防災等に対する技術的支援
災害対策基本法第 2 条第 5 号及び武力攻撃事態対処法第 2 条第 6 号の規定
に基づく指定公共機関として、国及び地方公共団体の要請に応じた原子力災
害時の技術支援活動を実施する。
このため、原子力災害時等における人的・技術的支援を適切に果たす対応
能力の維持向上を目標に、自ら企画立案する訓練を行うほか、国、地方公共
団体等の計画する訓練に参加し、災害時の指定公共機関としての活動につい
て、関係機関との連携方法を明確にしていく。また、国、地方公共団体の行
う訓練の在り方について、防災対応能力の基盤強化の視点から提言を行う。
また、国、地方公共団体及びその他防災関係機関関係者の原子力災害対応
能力の維持向上に資するため、対象となる受講者の経験に応じた研修・訓練
の提案・実施及び関係地方公共団体への専門家派遣を通じて、人材育成及び
啓発活動を積極的に進める。
防災指針見直し等に資するため、PSA 手法を用いて短期及び長期防護対策
の技術的指標等の整備を行う。また、緊急時の意思決定プロセスにおける専
門家支援のための解析ツールを整備する。
我が国の原子力防災に資するため、国際機関による原子力緊急時訓練を含
めた原子力災害時対応の国内外情報を調査し、早期対応力強化に関する検討
及び応急対策後の対応力に関する検討結果を発信する。
また、国際原子力機関(IAEA)アジア原子力安全ネットワーク(ANSN)の原子
力防災に係る活動を通して、アジアメンバー国に対し、我が国の原子力防災
に係る経験等を提供する取組を行う。
さらに、韓国原子力研究所との研究協力取決めに基づき情報交換等の活動
を行う。 28(3) 核不拡散政策に関する支援活動
1) 核不拡散政策研究
国際的な核不拡散体制の強化に資するとともに、我が国の核不拡散政策立
案を支援していくため、技術的知見に基づく政策的な研究を行う。具体的に
は、従来実施してきた日本の核不拡散対応について整理・取りまとめを実施
し、その結果を外部に発信する。アジア地域の円滑な原子力平和利用に当た
り、より一層の信頼性・透明性向上を図るための具体的施策を整理する。ま
た、米国民主党新政権が誕生したことを踏まえ、米国の核不拡散政策が我が
国の核燃料サイクル政策に与えた影響について整理する。
また、核不拡散に関連した情報を収集し、データベースへの蓄積を図ると
ともに、収集した情報を分析し、関連機関との情報共有に努める。
より広い対象に向けては、核不拡散への広範な理解促進に資するため、イ
ンターネット等を利用して積極的な情報発信を行うとともに、国際フォーラ
ム等を 1 回以上開催する。
東京大学との共同研究契約に基づき、核不拡散政策研究分野において、関
連研究を東大グローバル COE と共同で進め、研究成果を外部に発信する。
2) 核不拡散技術開発
我が国の核物質管理技術の向上並びに国及び国際原子力機関(IAEA)を技術
的に支援するために、大洗、もんじゅ等の統合保障措置に関する協議に参加
し、必要に応じて支援を行う。
保障措置・計量管理技術を高度化するために、
米国エネルギー省(DOE)共研
年次調整(PCG)会合にて研究成果を報告する。
また、
次世代部門と連携して先
進的保障措置システムについての検討を行い、
2010 年以降の開発課題を取り
まとめる。
核拡散抵抗性研究においては、GENIV 等の活動に参画し、本枠組みを通じ
て得られた知見を基に核拡散抵抗性評価の研究及び核拡散抵抗性技術の研究
を進め、研究成果を外部発表する。国からの依頼に基づく極微量核物質同位
体比測定法の開発を通じて、
国及び IAEA からの保障措置環境試料の分析依頼
に対応する。
核物質防護措置強化の観点から外国との連携を取りつつ、侵入者監視シス 29テムの研究開発を実施し、成果を取りまとめる。また、将来の警備及び出入
管理システムの合理化方策検討に資するため、その評価手法について取りま
とめる。政府の要請を受けて H20 年度から開始したIAEAの核セキュリテ
ィの検討へ参画し、技術的見地から支援する。
上記 1)核不拡散政策研究におけると同様に、
東京大学との共同研究契約に
基づき、核不拡散技術研究及び本研究と核不拡散政策研究との融合分野にお
いて、関連研究を東大グローバル COE と共同で進め、研究成果を外部に発信
する。
3) 非核化支援
包括的核実験禁止条約(CTBT)国際検証システムの研究として、世界観測デ
ータの解析・評価を通じて、検証システムの開発及び性能向上に資する。ま
た、
観測所データの評価活動の一環である国際比較試験(PTE2009)に参加し極
微量放射性核種の解析評価結果を報告する。
ロシア余剰核兵器解体プルトニウム処分では、ロシアの燃料製造施設
(RIAR)改造作業支援についてレビューするとともに、PNC-316 被覆管をロシ
アの高速炉(BN600 及び BN800)に使用するための共同研究計画の検討を開始
する。バイパック燃料信頼性実証試験では、燃料照射及び照射後試験最終報
告書のレビューを行う。また、BN600 のハイブリッド化に関して、米露と協
議し、両国の合意を条件に、先行処分と高速炉による本格的処分支援方策案
作成に協力する。
4) CTBT 国際検証体制支援
関係行政機関の要請に基づき、放射性核種に関する CTBT 高崎監視観測所、
沖縄監視観測所及び東海公認実験施設を運用する。さらに、国内データセン
ターで収集している世界の観測所の測定データ及び国際データセンターで実
施している世界測定データの解析結果のデータベースへの蓄積を実施する。 304.
自らの原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理・処分に係る技術開発
合理的な廃止措置や放射性廃棄物の処理・処分に必要な技術開発について、
機構全体として総合的に進める。
(1) 原子力施設の廃止措置に必要な技術開発
1) 各施設における技術開発
ふげん発電所の廃止措置に必要な技術開発については、原子炉本体の解体
工法に関する基本手順を取りまとめる。
人形峠・製錬転換施設の廃止措置に係る技術開発については、設備解体に
伴う解体データを取得し、
廃止措置エンジニアリングシステムに反映させる。
再処理特別研究棟を用いた再処理施設に係る廃止措置技術の研究開発では、
コンクリートセル内に設置されている廃液タンクをその場で解体する工法の
妥当性確証試験のうち、セル内配管撤去データを取得する。
2) 廃止措置の費用低減を目指した技術開発
廃止措置統合エンジニアリングシステムの構築については、システムの運
用試験を行う。また、廃止措置に関する施設情報データ及び廃止措置関連情
報を収集し整理する。
原子力施設の解体において廃棄物管理に適用するクリアランスレベル検認
評価システムの開発に関しては、システムの運用試験を行う。 また、クリア
ランス実施中または予定の施設の放射能関連データを収集し整理する。
(2) 放射性廃棄物の処理・処分に必要な技術開発
廃棄体の放射能測定評価に係る簡易・迅速化技術の開発については、前年
度に作成した分析指針に基づき、これまで未検討の焼却灰試料等に簡易・迅
速法を適用するための試験を実施し、前年度に取りまとめた分析指針に反映
する。
廃棄体化処理技術の開発については、硝酸塩廃液の脱硝処理のための硝酸
分解試験を実施し、高性能触媒の開発に必要なデータを取得する。
除染技術については、放射性廃棄物からプルトニウムを取り除く超臨界二
酸化炭素除染技術の開発のため、二酸化プルトニウムの代替物である二酸化 31セリウムの溶解試験を実施し、技術開発に必要なデータを取得する。
また、有機物質の分解処理を目的とした水蒸気改質法の開発のため、有機
液体廃棄物の処理試験を実施し、今後の実廃棄物の連続処理に必要なデータ
を取得する。
廃棄物管理システムの開発については、廃棄物発生から処理処分までの履
歴を追跡できるシステムを整備する。また、放射能に係る廃棄物情報を整備
する。
研究施設等廃棄物については、放射能データの収集を行い、一部の主要発
生施設について被ばく上重要な核種を予備的に評価する。また、廃棄体性能
に係る物理的特性の項目のうち、一部の固化装置で当該年度に製作するセメ
ント固化体を対象に、一軸圧縮強度に係るデータ等を取得する。ウラン廃棄
物については、合理的な余裕深度処分方策に係る検討を行い、被ばく線量を
評価する。TRU 廃棄物の地層処分研究開発については、国の全体基本計画を
踏まえ、
処分システムの長期挙動等について、
必要なデータ収集を行いつつ、
評価モデルの高度化を行い、これを用いて解析する。
5.原子力の研究、開発及び利用に係る共通的科学技術基盤の高度化
(1) 原子力基礎工学
1) 核工学研究
これまでに開発した高精度炉物理解析コードシステム及び核設計誤差評価
システムについて新型炉の代表である低減速炉に対する総合評価を行い、そ
の適用性を確認する。
また、FCA を用いて、先進的な核設計技術開発に必要なベンチマーク実験
データを拡充する。
汎用評価済核データライブラリーJENDL-4 を完成する。
2) 炉工学研究
これまで開発してきた炉心内沸騰二相流解析コード ACE-3D を使って総合
解析を行い、機構論的熱設計手法の開発に目途をつける。また、これまでに
取得した稠密格子炉心及び FBR 蒸気発生器に係る熱流動試験データをデータ
ベースにまとめる。さらに、先進的核熱計測技術の開発として、3 次元熱流 32動計測技術の高性能化の検討に着手する。
3) 材料工学研究
新開発の耐照射性材料の使用限界を評価するために、照射下の水分解反応
による材料表面の腐食解析を行うとともに、実機の構造を考慮した腐食デー
タを取得する。
照射誘起応力腐食割れ(IASCC)機構の解明に必要な知見を取得するため、ガンマ線照射下腐食試験、過酸化水素注入条件でのき裂進展試験及び電気化学
測定試験を行い、放射線分解水質が腐食及び SCC 挙動に与える影響を提示す
る。また、粒界元素ミクロ分析等を行い、原子力用ステンレス鋼の応力腐食
割れ(SCC)の支配因子に関するデータを取得する。
さらに、
粒界特性に及ぼす
不純物や析出物等の影響に関するミクロスケールの検討を引き続き進めると
ともに、
本因子を考慮したメソ・マクロスケールシミュレーションを実施し、
SCC 支配因子を探索する。
材料への照射効果のうち金属系構造材料については、核融合炉、高速炉及
び軽水炉の炉内機器の健全性評価に重要な照射硬化材の構成式を検証するた
め、照射材の引張試験データを取得及び解析し、加えて照射下微細組織変化
モデル構築については、点欠陥集合体の成長挙動モデルの基盤を構築する。
再処理施設の主要機器材料の腐食と環境割れ予測モデルのために必要な環
境因子の影響評価データを取得する。また、電気防食の実用化のために必要
なデータ取得とモニタリング手法を提示する。
次世代再処理設備用の高耐食材料組成の最適化のため、再処理模擬環境で
の腐食データを取得する。
4) 核燃料・核化学工学研究
新規モノアミド抽出剤によるウラン前段高除染分離について、連続抽出試
験により分離プロセス特性を評価する。新規ジグリコールアミド系抽出剤に
よるアクチノイド一括分離について、模擬高レベル廃液を用いた試験により
分離プロセス特性を評価する。
MA/Ln 分離用の新規抽出剤として TPEN 類縁体
の抽出挙動を評価する。アクチノイドの新しい分離手法開発として、沈殿法
によるウラン-プルトニウム分離について試験し、分離プロセス特性を評価 33する。
酸化物燃料の熱物性の基礎としてプルトニウム、マイナーアクチノイドを
含有した酸化物の酸素ポテンシャルを測定する。また、燃料中のヘリウムの
拡散挙動を評価するとともに、α崩壊等でヘリウムの蓄積した酸化物の表面
状態を観察する。また、非定比組成のマイナーアクチノイド酸化物のX線吸
収スペクトル測定及び理論解析により、マイナーアクチノイドの原子価変化
と局所構造変化に関するデータを取得する。これらにより高プルトニウム富
化 MOX 燃料の照射挙動評価に資する。
5) 環境工学研究
東海地区を対象とした大気・陸域・海洋の包括的物質動態予測モデル・シ
ステムの基本版を完成する。環境微量物質の新規抽出・分離技術の開発や加
速器質量分析装置の利用等により 14C 等のデータを取得し、森林・河川・海
洋での物質移行の重要プロセスを解明する。物質吸脱着モデルと海水循環モ
デルを結合した日本海物質循環予測モデルを完成する。高度環境分析研究棟
(CLEAR)を利用して、
微量分析技術の開発のため、
プルトニウムを対象とする
10-15
g 領域の同位体比測定技術を確立する。また、これまでのウランのみを
含有した微粒子(直径 1μm 以下)分析に加え、
プルトニウムも混合したウラン
含有微粒子の検出法を開発する。
6) 放射線防護研究
小動物の中性子線量データを人体に外挿するシステムの開発、臨界事故時
線量計算システムの完成及び公開、新体内動態モデルに基づく積分放射能計
算法を設計する。核燃料サイクル関連核種に係る測定・評価技術の開発を行
う。
計画された全 10 エネルギー点の単色中性子校正場の構築、
高エネルギー
準単色中性子校正場の中性子束モニターの開発等の校正技術の開発を行う。
7) 放射線工学研究
ハドロンから電子・光子までの放射線の挙動を統一的に解析するため、
PHITS コードと電磁カスケードモンテカルロコード EGS を統合する。阻止能
の異なる種々の重イオンビームに対してエネルギー付与分布データを取得す 34るとともに、広帯域型中性子モニターのプロトタイプを製作する。
有害物質の処理データをもとに放射線技術の実効性を評価し、新規処理系
を提示する。高純度調製の触媒や二相系を用いて、放射線触媒反応での活性
種の移動・吸着過程を追跡する。ガラス固化体の線源としての有用性を評価
する。
8) シミュレーション工学研究
平成 20 年度までに高度化したグリッド技術(並列分散データ処理機能、並
列分散演算機能)を適用することでグリッド対応耐震性評価用仮想振動台を
構築し、HTTR の全体解析を実現する。
応力腐食割れにおけるき裂進展機構解明のため、結晶粒界の脆化元素効果
に対するミクロな計算、脆化元素の偏析効果に対するメゾ計算及びき裂の複
雑な進展のマクロな計算を組み合わせてマルチ・スケール亀裂進展シミュレ
ーションを行い、実験結果と比較する。
細粒化機構解明に貢献するため、マルチスケール・シミュレーションを通
して、転位ネットワーク形成から細粒化発生を再現し、粗大化バブル成長と
の関係を探査することで細粒化シナリオの検証を行う。
超伝導放射線応答デバイス開発に貢献するため、マルチスケール・シミュ
レーションコードによる結果を解析し、放射線応答の応答特性とデバイス機
能についての体系化を行う。
ゲノム情報解析用データベースから抽出した修復タンパク質と DNA との複
合体に対し、
動的構造シミュレーションを実行し、
修復タンパク質が損傷 DNA
をどのように認識するかを明らかにする。
種類・エネルギーの異なる重イオンの飛跡構造と DNA 損傷スペクトルの関
係に関する詳細解析を行う。クラスター損傷を構成する損傷の配置、個数の
組合せを変えて、修復酵素との結合機構の変化を明らかにする。
次世代ハードウェア技術による専用シミュレータ基盤技術の開発について
は、マイクロプロセッサによる基本動作手順の模擬確認及びスピン演算回路
の利用を仮想した場合の演算速度と消費電力の概略推定を行うことで、専用
シミュレータ中核部の基本設計を明らかにし、将来の超高速コンピューティ
ングニーズのうち実験支援等の分野で貢献できる有用性を示す。 35次期茨城地区スーパーコンピュータの導入計画に合わせ、遅滞なく調達手
続きを完遂し、運用に供する。また、セキュリティ対策強化やネットワーク
機器の老朽化対策を柱とするネットワーク最適化を進める。
9) 高速増殖炉サイクル工学研究
高速増殖炉サイクル技術の研究開発の多面的な可能性を探索し、またこの
活動を支える共通技術基盤を形成していく。
主要な実施内容は以下のとおり。
1基盤技術開発
炉心分野では、次世代炉心解析システム開発の第一フェーズを完了し、臨
界実験解析及び高速炉炉心核設計解析に適用する。
構造分野では、高温構造評価と耐震免震評価の両者の共通基盤となる構造
強度解析法の開発として、調査研究を実施する。
材料分野では、実証施設における炉容器や炉内構造物等の候補材料の溶接
部を対象に、磁気的手法の適用可能性を検討する。また、磁気変化に基づい
たクリープ疲労特性を評価する。
2高速増殖炉サイクルの新たな可能性を創出する技術開発
ナトリウム冷却材に関る固有の課題を解決して安全性、経済性等に優れた
新たな概念の提案を目指し、ナノ粒子を試作するとともに、水や酸素との反
応試験及び物性測定を実施し、ナノ粒子分散によるナトリウムの化学的活性
度抑制効果を評価する。
高速炉プラント技術の開発では、レーザーを用いた超高感度ナトリウム分
析技術の研究として、レーザー共鳴イオン化質量分析法(RIMS)によるナトリ
ウム検出装置を用いたナトリウム検出試験を完了する。
超臨界流体を用いた全アクチニド一括分離技術について、未照射 MOX 及び
使用済燃料を用いた超臨界直接抽出試験を実施するとともに、超臨界及び常
圧条件下でのウラン溶解抽出速度確認試験や全アクチニド超臨界直接抽出の
工学的成立性等を検討する。
効果的環境負荷低減策創出のための高性能 Am 含有酸化物燃料の研究とし
て、
合理的 MA リサイクル燃料システム開発の工学試験施設概念検討を完了す 36る。また、高濃度、高性能 Am 含有酸化物ペレット燃料の製造技術開発の一環
として、高濃度 Am 含有 MOX 試料調整及び熱伝導度測定を完了する。
3高速増殖炉の多目的利用に関する技術開発
高速増殖炉の多目的利用の可能性を広げるべく実施中の、高速増殖炉に適
したハイブリッド熱化学法による水素製造技術の基礎研究として、水素製造
のプロセス制御性確認試験を実施し、水素製造プラント設計に向けたプロセ
ス制御性評価を実施し、成果をまとめる。
4その他の高速増殖炉概念
その他の概念である水冷却炉に関する基礎研究として、プルトニウムの多
重リサイクル利用を実現可能なプルトニウム有効利用高転換型炉心の概念検
討をまとめる。
(2) 先端基礎研究
超重元素核科学やアクチノイド物質科学、極限物質制御科学、物質生命科
学の各分野の重要課題として、
「極限重原子核の殻構造と反応特性の解明」や「核化学的手法による超重元素の価電子状態の解明」、「アクチノイド化合物
の磁性・超伝導の研究」、「超極限環境下における固体の原子制御と新奇物質
の探索」、「高輝度陽電子ビームによる最表面超構造の動的過程の解明」、「強
相関超分子系の構築と階層間情報伝達機構の解明」、「刺激因子との相互作用
解析による生命応答ダイナミックスの解明」、「放射線作用基礎過程の研究」
の 8 つの研究を推進する。さらに、斬新な研究のアイデアを原子力機構外か
ら募集する黎明研究制度を実施する。
6.放射性廃棄物の埋設処分
独立行政法人日本原子力研究開発機構法
(平成 16 年法律第 155 号。
以下
「機
構法」という。
)第 17 条第 1 項第 5 号に規定する業務を、同法第 19 条に規定
する「埋設処分業務の実施に関する計画」に基づき、機構以外の発生者を含
めた関係者の協力を得て実施する。
・埋設施設の概念設計を行い、その結果等に基づき、早期に立地基準等の 37策定や埋設事業総費用の精緻な見積りを行う必要があることから、概念
設計の前提条件となる事項について調査し、取りまとめる。
・受託契約の準備等、埋設処分業務を推進するために必要な準備を行う。
7.産学官との連携の強化と社会からの要請に対応するための活動
(1) 研究開発成果の普及とその活用の促進
1) 研究情報の国内外における流通の促進及び研究成果の社会への還元
1成果を研究開発報告書類、学術雑誌等の査読付論文として年間 900 編以上公
開する。また、論文標題、抄録等の成果発表情報(和文・英文)をインターネ
ットで発信する。
機構における研究開発成果の創出・活用の促進を図るために、研究開発成
果の登録と発信に係る処理システムの充実・整備を継続する。日本原子力研
究所と核燃料サイクル開発機構の研究開発成果報告書類の全文電子化、デー
タベース化を進めるとともに、インターネットで発信する。
2広報及び情報公開活動においては、顔の見える研究開発機関を目指すため、
研究者、技術者の生の声を研究成果とあわせてインターネットホームページ
等で情報発信する。従来同様、大学公開講座、専門家講師派遣等、外部へ広
報講師を派遣する。
各種成果報告会を年間 20 回以上開催して情報発信及び成
果を PR する。アウトリーチ活動については、研究者、技術者が自ら講師とな
り、研究内容等を分かりやすく説明するサイエンスカフェ等を開催する。具
体的には、東海に続き敦賀等の拠点でも開催するなど、双方向コミュニケー
ションを組織的に推進する。
32つの深地層の研究施設を拠点とした国内外の研究機関や専門家との研究協
力を支援するとともに、研究坑道の公開等を通じて研究開発の重要性の理解
促進や成果普及を行う。幌延深地層研究センターにおける環境基盤整備とし
て、国内外の研究者との交流活動拠点及び国内外への情報発信の場とする施
設を建設し、運用を開始する。 382) 知的財産の権利化及び活用の促進
1新規に出願公開した特許等についてデータベース化し、機構のホームページ
上で公開する。権利化した特許等の管理では、維持管理に係る基準に従い、
効率的な管理を行う。
2機構の特許等に基づく幅広い実用化・製品化開発により研究成果の社会への
還元に努め、特許実施許諾契約を新規で 10 件以上締結する。
3) 民間核燃料サイクル事業への技術支援
1民間事業者からの要請に応じて、濃縮事業についてはカスケード試験、再処
理事業については操業運転、MOX 燃料加工事業については施設建設準備等、
民間事業者の事業進展に対応した技術者の派遣による人的支援、要員の受入
れによる養成訓練を行う。
高レベル廃液のガラス固化技術について、
民間事業者からの要請を受けて、
不溶解残渣に関する小型溶融炉を用いた試験や基礎物性調査に協力する。
プルトニウム燃料施設において、民間事業者からの要請を受けて、MOX 燃
料粉末調整に関する試験を行う。
これらのほか、要請を受けて、技術情報の提供、機構が所有する試験施設
等を活用した試験、トラブルシュート等の協力を行う。
2民間事業者の核燃料サイクル事業に関連して、(財)核物質管理センターから
の要請に応じ、核物質管理に関する技術について、技術者の派遣による人的
支援を行う。
(2) 施設・設備の外部利用の促進
機構が保有する施設・設備は、共同研究、受託研究、施設共用を通じ、外
部利用者から適正な根拠に基づく対価を得て広範な利用に供する。
施設共用では、年間で 1,000 件程度の利用を見込む。
機構内の施設共用に供する 17 施設を対象とした利用課題の定期募集を 2 回
実施する。また、利用者のニーズを踏まえた施設・設備の情報提供を行うと
ともに、利用者支援の向上に努め利用の拡大を図る。 39施設・設備の共用に当たっては、外部利用における透明性、公平性を確保
するため、
外部の専門家等を含む施設利用協議会を開催し、
共用施設の選定、
利用課題の選定及び利用時間の配分等について審議する。
成果非公開の利用においては、利用者の希望に応じて利用者の利益を害す
るおそれのある情報に対し、利用相談から利用支援まで関係する者の情報管
理を徹底する。
(3) 特定先端大型研究施設の共用の促進
J-PARC に関して、
特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律(平成 6
年法律第 78 号)第 5 条第 2 項に規定する業務を実施する。
具体的には、中性子線共用施設として、ダイナミクス解析装置及びナノ構
造解析装置の概念設計を終了させ、
機器製作と設置調整を開始する。さらに、階
層構造解析装置、物質構造解析装置の概念設計を行い、機器製作を開始する。
また、機構以外の者により設置される中性子線専用施設を利用した研究等
を行う者に対して、当該研究等に必要な中性子線の提供を行うとともに、安
全管理等に関して技術指導等を行う。このほか、中性子線専用施設を設置し
てこれを利用した研究等を行う者の募集及び選定、中性子線専用施設を利用
するために必要な情報や、研究等を通じて得られた成果の公開等を行う。
(4) 原子力分野の人材育成
1) 研修による人材育成
国内研修では、法定資格取得のための法定講習(第 1 種放射線取扱主任者、
第 3 種放射線取扱主任者)、原子炉工学、放射線利用、国家試験受験準備に関
する研修(「原子力・放射線技術士受験講習」、「核燃料取扱主任者受験講座」、「放射線取扱主任者受験講座」、「原子炉工学特別講座」
)及び職員向け研修(安
全教育、
原子力技術教育)を実施し、
研修者及び派遣元に対するアンケート調
査により年度平均で 60%以上から「有効であった」との評価を得る。
また、外部からのニーズに柔軟に対応して、官公庁からの要請に基づく原
子力安全管理者等の養成研修を随時開催する。
機構でこれまで継続・実施してきた経験、知見をもとに文部科学省からの
委託の競争契約に参加し、落札した場合は、海外の原子力分野の人材育成で 40は、近隣アジア諸国等の原子力関係者に対し、我が国に受け入れての研修及
び我が国からの講師を海外に派遣する研修を通じて原子力に関する交流を行
い、我が国の原子力施設の安全性の向上に反映させるとともに、同地域の原
子力関係者の技術及び知識の向上を図ることを目的とした「国際原子力安全
交流対策(講師育成)事業」を行う。
2) 大学との連携による人材育成
東京大学大学院原子力専攻及び原子力国際専攻での原子力教育への協力を
行う。
原子力専攻(専門職大学院)への実習では約 60 名の講師を派遣して実施
し、
講義・演習については約 50 名の客員教員及び非常勤講師等を派遣し原子
力教育に協力する。
連携大学院方式に基づく協力では、14 大学(大学院)及び 1 大学学部との協
定に基づき客員教員の派遣及び大学院学生の受入れなどの原子力人材育成事
業を実施する。5 大学が参加する大学連携ネットワークの遠隔教育システム
等により大学間の相互受講や機構施設を活用した学生への教育実習等を実施
する。
さらに、文科省・経産省の原子力人材育成プログラムの採択校が機構に求
める協力依頼に対し、協力事業を円滑に実施する。
(5) 原子力に関する情報の収集、分析及び提供
国内外の原子力情報のうち、機構が所有する科学技術情報、学術情報に関
する専門図書、
外国雑誌、
電子ジャーナル、
原子力レポートを収集・整理し、
これら所蔵資料の閲覧、貸出、複写による情報提供により研究開発を支援す
る。また、国立大学図書館などとの相互協力を行い機構図書館で所蔵しない
文献を迅速に入手し機構内の研究者へ提供するなどの向上を図る。
所蔵資料の目録情報を提供するためのデータベースを構築するとともに、
原子力レポート目録情報についてインターネットを介した外部への情報提供
を開始する。
国際原子力情報システム(INIS)計画に参加し国内の原子力情報を網羅的に
収集・編集し国際原子力機関(IAEA)に送付する(年間 5,000 件以上)。また、
INIS データベースの国内利用拡大のため、デモンストレーション/説明会 41(年間 4 回以上)を行う。
IAEA 等関連機関と連携し、原子力知識管理支援を実施する。また、国内の
原子力関連学協会の口頭発表情報を収集し、国内原子力関連会議口頭発表情
報データベース(NSIJ-OP)として提供する。
関係行政機関の原子力広報活動を支援するため、要請に基づき、原子力研
究開発全般について、産業界等へ幅広く情報を発信する。また、国外への情
報発信については国際部など関連部署と連携し積極的に情報を発信する。
原子力の開発利用動向、エネルギー・環境問題に関する情報等の原子力研
究開発及び利用戦略にかかわる情報について国内外の主要な情報源から継続
的に情報を収集するとともに、情報源の調査と拡充を図る。また、エネルギ
ー資源の長期的な利用可能量とコスト及びそれらが今後のエネルギー選択に
与える影響等に関する情報の収集・分析と提供を効率的かつ効果的に実施す
る。
(6) 産学官の連携による研究開発の推進
産業界との連携に関しては、我が国の原子力研究開発の中核機関としての
機能、
成果の利用促進機能を発揮するため、
産業界の協力を得て平成 17 年度
に発足した原子力エネルギー基盤連携センターのもとに設置した特別グルー
プの維持・新設、連携業務を着実に遂行する。
大学等との連携に関しては、先行基礎工学研究協力制度及び連携重点研究
制度を通じ、大学等の関係者の意見を反映させ、大学等の機構の研究への参
加や研究協力など多様な連携を推進する。
(7) 国際協力の推進
関係行政機関からの要請に基づき、国際原子力機関(IAEA)、経済協力開発機
構/原子力機関(OECD/NEA)、経済協力開発機構/エネルギー機関(OECD/IEA)、イ
ーター国際核融合エネルギー機構(ITER 機構)、原子力発電事業者協会(WANO)
等の活動に積極的に協力し、これら機関へ職員を派遣するとともに、諮問委員
会や専門家会合に専門家を引き続き参加させる。また、原子力平和利用、核不
拡散強化のための国際貢献に資するため、米国との核不拡散技術開発、ロシア
との解体核兵器余剰プルトニウム処分に関する共同研究等を引き続き実施す 42る。
平成 17 年度に設置した国際協力審査委員会等を活用しつつ、高速増殖炉サ
イクル、核融合、量子ビーム応用、高レベル放射性廃棄物の処理・処分、高温
ガス炉等の研究開発に関する二国間及び多国間の国際協力活動を進める。
二国間協力では、米国エネルギー省(DOE)、仏国原子力庁(CEA)、中国、カザ
フスタン等との協力を推進するとともに、オーストラリア、インド、上記以外
のアジア諸国等との国際協力の可能性を探る。
多国間協力では、国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)、第 4 世
代原子力システム(GEN-IV)に関する国際フォーラム(GIF)、国際熱核融合実験
炉(ITER)計画等に関して、国の方針に沿って、関係機関との連携を図りつつ推
進する。
特に、
GEN-IV では GIF の活動を通して、
ナトリウム冷却高速炉(SFR)、
超高温ガス炉(VHTR)等における協力を積極的に進める。
アジア原子力協力フォーラム(FNCA)等により施設の国際利用、
国際拠点化等
を通じアジア諸国・開発途上国に対する国際貢献を図るため、アジア諸国との
情報交換を進めるとともに、
その一環として原子力研究交流制度等に基づくア
ジア諸国からの研究者の受入れ・派遣について、国からの要請に協力する。
(8) 立地地域の産業界等との技術協力
1) 福井県の「エネルギー研究開発拠点化計画」を推進するため、地元企業や広
域連携大学等と一体となって地域産業の発展につながる研究開発を行う「プ
ラント技術産学共同開発センター(仮称)」の整備を目指し、整備計画を策定
し、設計に着手する。また、敦賀本部にレーザー共同研究所(仮称)を新たに
設置し、関西光科学研究所「レーザー技術利用推進室」と協働して、産業界
でのレーザーの利用を一層推進するとともに、地域産業界の技術やアイデア
を適用した共同研究の促進及び原子力機構の研究開発成果の公開、展開によ
る地域産業界の活性化に貢献するため、技術相談システムやインターネット
を活用したビジネスコーディネータを中心とした技術相談、技術交流、情報
提供サービス等を実施する。
また、原子力発電所の高経年化対策に関連した調査研究を関西電力(株)と
連携して行うため、
「ふげん」
に高度な分析機器などを設置したホットラボを
整備する。 43さらに、技量認定制度の効果的な運用のために技量認定制度協議会の一員
として協力するとともに、原子力関連業務従事者研修による産業界の原子力
人材育成のために FBR サイクル総合研修施設やふげんの提供、カリキュラム
の作成、講師の派遣等の協力を実施する。
敦賀地区での国際的な研究開発拠点の構築について、国際協力特別顧問を
はじめとする海外の専門家の協力を得て、海外からの研究者を5名以上受入
れるとともに、国際原子力機関の「高速炉システム国際会議(FR09)敦賀セッ
ション」を開催する。また、原子力交流制度や国際原子力講師育成事業等に
基づいてアジア諸国からの研究員・研修生を敦賀本部の施設に受け入れる。
2) 東濃地科学センターでは、東濃研究学園都市構想の中核的研究機関として、
本構想の関連機関である東濃地震科学研究所及び岐阜大学、名古屋大学等の
地域の研究機関や産業界との研究協力並びに情報交換を行うとともに、本構
想関連組織の主催行事を支援する等、連携を強化する。幌延深地層研究セン
ターでは、幌延地圏環境研究所や北海道大学、道立地質研究所等の道内研究
機関をはじめとして、国内外の研究機関との研究協力や情報交換を行う。
3) 平成 20 年度に引き続き、茨城県が進めているサイエンスフロンティア 21
構想のもとに、
茨城県が J-PARC に設置した中性子利用実験装置を活用した研
究活動、産業利用促進を支援する。これにより、地域産業の発展や研究成果
を活用した新産業・新事業の創出の促進、将来の科学技術を担う人材の育成
などに協力する。
(9) 社会や立地地域の信頼の確保に向けた取組
社会・立地地域との共生については、機構の事業に関する安心感・信頼感
を醸成するため、情報公開・公表の徹底等により国民や立地地域住民の信頼
を確保する。法令や立地地域との安全協定に基づく報告等を行い、あらゆる
機会を捉えて、安全確保への取組や故障・トラブルの対策等の情報を国民や
立地地域に発信する。また、国民の理解促進と一層の安心感を醸成するため
の情報公開を進め、
広聴・広報・対話活動を継続的に実施する。
具体的には、
対話集会、
モニター制度等の広聴活動を年間 50 回以上実施する。
相互の交流 44と理解を深めるための活動として、自治体が主催する原子力教育やスーパー
サイエンスハイスクール(SSH)、サイエンスパートナーシッププログラム
(SPP)による高等学校等への原子力教育に協力する。
また、コンプライアンス(法令、安全協定等の遵守、企業倫理の遵守)活動
のより一層の徹底を図るため、コンプライアンスに関する役職員等の責務や
コンプライアンス委員会の運営強化を図るため
「コンプライアンス推進規程」
を制定するほか、法務室によるメールマガジンの発行、コンプライアンス研
修の実施、コンプライアンス・ハンドブックの改定・配布、各拠点等による
コンプライアンス徹底のための取組を行う。
(10) 情報公開及び広聴・広報活動
機構が行う事業の概要や研究成果を分かりやすく要約し伝達することによ
り、業務の透明性の確保、国民の理解の増進、原子力全般に対する理解増進
を図る。具体的には、インターネットホームページの内容の充実を図り、年
間の平均月間アクセス数 50,000 回以上を確保する。
メールマガジンを2週間
に1回の頻度で定期的に発行し、国民やマスコミに最新の情報を提供する。
また、原子力全般に対するマスメディアの理解増進を図るため、プレスを対
象とした勉強会や見学会を積極的に実施する。機構を紹介する映像資料やパ
ンフレット等を一般の方々に分かりやすく作成する。
広報誌を年間 10 回以上
作成し、関係機関や地方自治体、マスコミや原子力産業界の主要企業に配布
する。
展示館及び科学館の運営については、
平成 19 年度に策定したアクションプ
ランに基づき平成 20 年度に実施した施策等の検討結果を踏まえ、
資源の選択
と集中を図る。具体的には他機関が企画する巡回展示を利用することや、機
構内の展示館等で作成した展示物を他の展示館で活用するなど利用効率の向
上を目指す。
II.業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置
1.柔軟かつ効率的な組織運営
総合的で中核的な原子力研究開発機関の役割を果たしていくために構築し 45た研究開発部門及び研究開発拠点を軸とした研究開発体制の平成 20 年度ま
での運用実績を踏まえ、原子力施設の安全を確保しつつ、組織・業務運営シ
ステムの効果的・合理的運用を図る。
事業の選択と限られた経営資源の集中投入による業務運営の効率化を図る
ため、理事長のリーダーシップの下で運用する経営管理サイクルを活用し、
事業の進捗管理、課題の把握と対策を行う。
また、機構の業務運営について外部から客観的・専門的かつ幅広い視点で
助言・提言を受けるため、経営顧問会議を開催し、経営の健全性、効率性、
透明性の確保に努める。
2.統合による融合相乗効果の発揮
管理部門の人員について、平成 20 年度に比べて 22 人以上削減する。
基礎・基盤研究からプロジェクト研究開発に至る幅広い専門分野の研究
者・技術者の有する経験や成果等充実した技術基盤を基に、研究開発を効率
的に行うため、
異なる研究開発拠点間等の組織を跨ぐ研究インフラの平成 20
年度の利用状況を踏まえ、インフラ整備状況等を周知し、研究インフラの更
なる活用を促進する。
実用化を目指したプロジェクト研究開発部署と基礎・基盤研究部署とのニ
ーズ・シーズの授受の平成 20 年度状況を踏まえ、
部門間の協議会などを活用
し部門間の連携を促進する。
3.産業界、大学等、関係機関との連携強化による効率化
効果的・効率的な研究開発を実施するため、研究課題の設定や研究内容に
関して、産業界、大学及び関係行政機関との意見交換を通して意見・ニーズ
を適切に反映するとともに、依頼された研究開発の実施に当たっては、適切
な費用等の負担を求める。
4.業務・人員の合理化・効率化
独立行政法人会計基準に基づく一般管理費(公租公課を除く。) について、
平成 16 年度に比べ 15%以上を削減する。その他の事業費 (新規・拡充事業及
び外部資金で実施する事業を除く。
) についても効率化を進め、
平成 20 年度 46に対し 1%以上削減する。また、新規・拡充事業及び外部資金で実施する事業
についても効率化を図る。
事業の見直し及び効率的運営並びに管理部門の更なる効率化を進め、職員
(任期の定めのない者)について、平成 20 年度に比べて 122 人以上削減する。
「行政改革の重要方針」(平成 17 年 12 月 24 日閣議決定)及び「簡素で効率
的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」(平成 18 年法律第
47 号)において削減対象とされた人件費については平成 17 年度に比して 4%
以上の削減を図る。なお、以下の常勤の職員(以下「総人件費改革の取組の削
減対象外となる任期付研究者等」という。)に係る人件費は、削減対象より除
く。
1国からの委託費及び補助金により雇用される任期付研究者
2運営費交付金により雇用される任期付研究者のうち、国策上重要な研
究課題(第三期科学技術基本計画(平成 18 年 3 月 28 日閣議決定)におい
て指定されている戦略重点科学技術をいう。)に従事する者及び若手研
究者(平成 17 年度末において 37 歳以下の研究者をいう。)
3競争的研究資金又は受託研究若しくは共同研究のための民間からの外
部資金により雇用される任期付職員
平成 18 年度に策定し、
年度ごとに改定した機構の業務効率化推進計画に則
り、各種の事務的業務に係る簡素化、迅速化方策を推進する。
また、現行の基幹業務システムを維持管理するとともに、次期基幹業務シ
ステムの整備を進める。電子政府推進計画により求められている組織横断的
な情報システムの管理(IT 統制)を進める。
機構内各組織の状況に合わせて、引き続き任期付任用制度の活用、国内外
の優れた研究者の招へいに取り組む。
5.評価による業務の効率的推進
機構で実施している研究開発の透明性を高めるとともに効率的に進める
観点から、研究開発課題の外部評価計画に基づき評価を行う。
評価結果は、インターネット等を通じて公表するとともに、研究開発の今
後の計画に反映する。 47III.予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画
1.予算
(単位:百万円) (単位:百万円) (単位:百万円)
一般勘定 電源利用勘定 埋設処分業務勘定
収入 収入 収入
運営費交付金 61,259 運営費交付金 107,853 他勘定より受入 8,710
施設整備費補助金 7,163 施設整備費補助金 3,224 受託等経費 13
特定先端大型研究施設整備費補助金 2,540 特定先端大型研究施設整備費補助金 0 その他の収入 129
国際熱核融合実験炉研究開発費補助金 8,669 国際熱核融合実験炉研究開発費補助金 0
受託等収入 405 受託等収入 732
その他の収入 995 その他の収入 1,260
廃棄物処理処分負担金 0 廃棄物処理処分負担金 10,000
計 81,032 計 123,069 計 8,852 支出 支出 支出
一般管理費 7,796 一般管理費 9,610 事業費 111
事業費 54,444 事業費 104,433 埋設処分積立金繰越 8,741
うち、埋設処分業務勘定へ繰入 1,311 うち、埋設処分業務勘定へ繰入 3,484
施設整備費補助金経費 7,163 施設整備費補助金経費 3,237
特定先端大型研究施設整備費補助金経費 2,540 特定先端大型研究施設整備費補助金経費 0
国際熱核融合実験炉研究開発費補助金経費 8,669 国際熱核融合実験炉研究開発費補助金経費 0
受託等経費 405 受託等経費 732
廃棄物処理処分負担金繰越 0 廃棄物処理処分負担金繰越 5,038
廃棄物処理事業経費繰越 14 廃棄物処理事業経費繰越 19
計 81,032 計 123,069 計 8,852 平成21年度予算
区別 区別 区別
[注1]各欄積算と合計欄の数字は四捨五入の関係で一致しないことがある。
[注2]受託経費
国からの受託経費を含む。
[注3]・「廃棄物処理処分負担金」の使途の種類は、電気事業者との再処理役務契
約(昭和 52 年契約から平成 6 年契約)に係る低レベル廃棄物の処理、保管
管理、輸送、処分に関する業務に限る。
・今年度における使用計画は、以下のとおりとする。
使用予定額:全体業務総費用 10,558 百万円のうち 4,962 百万円
1 廃棄物処理費:
使用予定額:491 百万円 合計 491 百万円
2廃棄物保管管理費:
使用予定額:1,919 百万円 合計 1,919 百万円
3廃棄物処分費
使用予定額:2,552 百万円 合計 2,552 百万円
・廃棄物処理処分負担金は次年度以降に繰り越す。 48[注4]
・一般勘定及び電源利用勘定の「その他の収入」には、機構法第 17 条第1
項に基づく受託研究、共同研究等契約で発生した放射性廃棄物の処理、貯
蔵及び処分のための費用が含まれる。また、それぞれ、過年度収入分 45
百万円、37 百万円が含まれていない。
・当該費用のうち処理及び貯蔵のための費用は、平成 22 年度以降に使用す
るため、次年度以降に繰り越す。
[注5]
・埋設処分業務勘定の「他勘定より受入」及び「受託等収入」には、一般勘
定及び電源利用勘定における過年度収入の未実施分が含まれる。・一般勘定及び電源利用勘定における過年度収入の未実施分は以下のとおり。
1埋設処分業務勘定の「他勘定より受入」分
一般勘定:1,292 百万円、電源利用勘定 2,623 百万円
2埋設処分業務勘定の「受託等収入」分
一般勘定: 9 百万円、電源利用勘定: 0.3 百万円 492.収支計画
(単位:百万円) (単位:百万円) (単位:百万円)
一般勘定 電源利用勘定 埋設処分業務勘定
費用の部 80,851 費用の部 133,181 費用の部 94
経常費用 80,851 経常費用 133,181 経常費用 94
事業費 55,575 事業費 92,304 事業費 74
うち、埋設処分業務勘定へ繰入 2,603 うち、埋設処分業務勘定へ繰入 6,107 一般管理費 5
一般管理費 7,765 一般管理費 9,600 受託等経費 13
受託等経費 405 受託等経費 732 減価償却費 1
減価償却費 17,106 減価償却費 30,544 財務費用 0
財務費用 0 財務費用 0 臨時損失 ―
臨時損失 ― 臨時損失 ―
純利益 8,741
総利益 8,741
収益の部 80,851 収益の部 133,181 収益の部 8,834
運営費交付金収益 56,850 運営費交付金収益 95,714 他勘定より受入 8,691
補助金収益 5,508 補助金収益 0 受託等収入 13
受託等収入 405 受託等収入 732 資産見返負債戻入 1
その他の収入 981 その他の収入 1,241 その他の収入 0
廃棄物処理処分負担金収益 0 廃棄物処理処分負担金収益 4,950 臨時利益 129
資産見返負債戻入 170,106 資産見返負債戻入 30,544
臨時利益 ― 臨時利益 ―
平成21年度収支計画
区別 区別 区別
[注1]各欄積算と合計欄の数字は四捨五入の関係で一致しないことがある。
[注2]・「廃棄物処理処分負担金」の使途の種類は、電気事業者との再処理役務契
約(昭和 52 年契約から平成 6 年契約)に係る低レベル廃棄物の処理、保管
管理、輸送、処分に関する業務に限る。
・今年度における使用計画は、以下のとおりとする。
使用予定額:全体業務総費用 10,558 百万円のうち 4,962 百万円
1 廃棄物処理費:
使用予定額:491 百万円 合計 491 百万円
2廃棄物保管管理費:
使用予定額:1,919 百万円 合計 1,919 百万円
3廃棄物処分費
使用予定額:2,552 百万円 合計 2,552 百万円
・廃棄物処理処分負担金は次年度以降に繰り越す。
[注3]
・一般勘定及び電源利用勘定の「その他の収入」には、機構法第 17 条第1
項に基づく受託研究、共同研究等契約で発生した放射性廃棄物の処理、貯
蔵及び処分のための費用が含まれる。
・当該費用のうち処理及び貯蔵のための費用は、平成 22 年度以降に使用す
るため、次年度以降に繰り越す。 503.資金計画
(単位:百万円) (単位:百万円) (単位:百万円)
一般勘定 電源利用勘定 埋設処分業務勘定
資金支出 82,369 資金支出 135,994 資金支出 8,852
業務活動による支出 72,607 業務活動による支出 117,411 業務活動による支出 92
うち、埋設処分業務勘定へ繰入 2,603 うち、埋設処分業務勘定へ繰入 6,107 投資活動による支出 19
投資活動による支出 9,703 投資活動による支出 3,224 次年度への繰越金 8,741
財務活動による支出 0 財務活動による支出 0
次年度への繰越金 59 次年度への繰越金 15,359 資金収入 82,369 資金収入 135,994 資金収入 8,852
業務活動による収入 71,328 業務活動による収入 119,844 業務活動による収入 8,723
運営費交付金による収入 61,259 運営費交付金による収入 107,853 他勘定より受入 8,710
補助金収入 8,669 補助金収入 0 受託等収入 13
受託等収入 405 受託等収入 732 その他の収入 0
その他の収入 995 その他の収入 1,260 投資活動による収入 129
廃棄物処理処分負担金 0 廃棄物処理処分負担金 10,000 財務活動による収入 0
投資活動による収入 9,703 投資活動による収入 3,224 前年度よりの繰越金 ―
施設整備費による収入 9,703 施設整備費による収入 3,224
その他の収入 0 その他の収入 0
財務活動による収入 0 財務活動による収入 0
前年度よりの繰越金 1,337 前年度よりの繰越金 12,925
平成21年度資金計画
区別 区別 区別
[注1]各欄積算と合計欄の数字は四捨五入の関係で一致しないことがある。
[注2]・「廃棄物処理処分負担金」の使途の種類は、電気事業者との再処理役務契
約(昭和 52 年契約から平成 6 年契約)に係る低レベル廃棄物の処理、保管
管理、輸送、処分に関する業務に限る。
・今年度における使用計画は、以下のとおりとする。
使用予定額:全体業務総費用 10,558 百万円のうち 4,962 百万円
1 廃棄物処理費:
使用予定額:491 百万円 合計 491 百万円
2廃棄物保管管理費:
使用予定額:1,919 百万円 合計 1,919 百万円
3廃棄物処分費
使用予定額:2,552 百万円 合計 2,552 百万円
・廃棄物処理処分負担金は次年度以降に繰り越す。
[注3]
・一般勘定及び電源利用勘定の「その他の収入」には、機構法第 17 条第1
項に基づく受託研究、共同研究等契約で発生した放射性廃棄物の処理、貯
蔵及び処分のための費用が含まれる。
・当該費用のうち処理及び貯蔵のための費用は、平成 22 年度以降に使用す
るため、次年度以降に繰り越す。 514.財務内容の改善に関する事項
(1) 自己収入の確保
外部資金として、多様な外部機関からの競争的資金をはじめとする資金の
導入を図るため、受託研究や共同研究の積極的な展開を進めるとともに、競
争的資金については平成 16 年度の実績に対し 40%以上増額させる。また、研
究開発以外の受託事業及び研修事業による収入、特許実施料収入、施設・設
備の共用による対価収入等の自己収入についても、一時的要因を除き、増加
に努める。さらに、自己収入について、平成 20 年度に策定した定量的な目標
の達成に努める。
(2) 固定的経費の節減
施設(中期目標期間中に新たに稼動を開始する施設を除く。)の維持管理費
について、安全確保を前提としつつ、平成 20 年度の実績に対し 1%以上削減
する。
(3) 調達コストの節減
独立行政法人整理合理化計画及び随意契約見直し計画等に基づき契約制度
の見直しを行うとともに、引き続き競争契約の拡大を進める。
平成 21 年度調達件数に係る競争契約実施率達成目標 52%以上
(随意契約割合:48%以下)
平成 21 年度調達額に係る競争契約実施率達成目標 50%以上
(随意契約割合:50%以下)
また、関連会社に関しても、引き続き競争契約の拡大を進めることとし、
平成 17 年度に策定した中期目標期間中における競争契約実施率を達成する。
平成 21 年度調達件数に係る競争契約実施率達成目標 70%以上
(随意契約割合:30%以下)
平成 21 年度調達額に係る競争契約実施率達成目標 50%以上
(随意契約割合:50%以下) 52IV.短期借入金の限度額
短期借入金の限度額は、330 億円とする。短期借入金が想定される事態とし
ては、運営費交付金の受入れに遅延等が生じた場合である。
V.重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときはその計画
なし
VI.剰余金の使途
機構の決算において剰余金が発生したときは、
・以下の重点研究開発業務への充当
1高速増殖原型炉「もんじゅ」における研究開発
2中性子科学研究・研究開発業務の推進の中で追加的に必要となる設備等の調達の使途に充てる。
VII.その他の業務運営に関する事項
1.安全確保の徹底と信頼性の管理に関する事項
法令遵守を大前提に安全確保を業務運営の最優先事項とすることを基本理
念とし、施設及び事業にかかわる原子力安全確保を徹底するため、安全管理
に関する基本事項を定め、自主保安活動を積極的に推進するとともに、安全
文化の醸成を図る。また、技術者倫理の醸成を図るため、機構行動基準の組
織内への更なる浸透を図る。
役職員にコンプライアンス(法令遵守、企業倫理)を徹底するために、経営
層、管理職及び一般職を対象とした事例研修等の教育を実施するとともに、
内部規程類の体系的な整理を進める。また、事故・トラブル発生時の通報連
絡に関する基準やマニュアルの有効性確認を行うとともに、教育・訓練を通
じて通報連絡に係る原則や意識の徹底を図る。さらに、経営層と現場の関係
強化を目的として、経営層の拠点における会議への参加、現場巡視等を通し
て、経営層と現場管理職の意思疎通を積極的に行い、内部統制を含めた業務
管理の充実を図る。
保障措置協定等の国際約束及び関連国内法を遵守し、原子力施設や核物質
について各研究開発拠点において実施される保障措置・計量管理報告に対す 53る横断的調整と総括を行い、優良事例と要改善事例の水平展開等を通じて、
平成 22 年度以降の適切な核物質管理に資する。原子炉等規制法、規則・指針
による強化された核物質防護の維持及び種々の核物質の輸送準備、計画の推
進について、
各研究開発拠点に対する横断的調整と総括を行い、
平成 22 年度
以降の適切な核物質の防護と輸送に資する。
平成 20 年度から開始した試験研
究炉の燃料の確保及び使用済燃料の処置方策に関する検討を進め、試験研究
炉の安定な運営に資する。
原子力災害時に適切に対応するため、
必要な人材の教育・訓練を実施する。
地域防災計画に基づく防災会議等へ委員を派遣し、地域とのネットワークに
よる情報交換、研究協力、人的交流等を行い、平常時から緊急時体制の充実
に努める。また、地方公共団体等が行う原子力防災訓練及び講習会等に積極
的に協力するとともに、必要な指導、教育を行う。
原子力安全に係る品質方針及び品質目標を定め、それに基づく業務の確実
な遂行を図る。原子力安全監査、マネジメントレビュー、品質月間行事等を
実施することにより継続的改善を図る。
機構における緊急時の通報・連絡及び情報共有が確実に実施できるように、
保安規定、原子力事業者防災業務計画書等に基づき、計画的に教育・訓練を
実施する。
緊急時対応システムについては必要に応じた改善を加えるとともに、平成
18 年度に策定した充実強化計画を順次具体化する。
環境配慮促進法に基づき、環境配慮活動に取り組むとともに、平成 20 年度
の環境報告書を作成し、公表する。
新耐震指針対応について、計画的に実施する。
2.施設・設備に関する事項
機能が類似・重複する施設・設備について、より重要な施設・設備への機
能の重点化、集約化を進めることとし、業務の遂行に必要な施設・設備につ
いては、更新・整備を重点的・計画的・効率的に実施する。
高速増殖原型炉「もんじゅ」の改造、幌延深地層研究センターの地上施設
の整備を継続する。
平成 23 年度の再稼働に向け、
材料試験炉(JMTR)の改修として、
二次冷却系 54統循環ポンプを更新するとともに、照射利用公募を開始する。合わせて、既
存 JMTR を維持管理する。
3.放射性廃棄物の処理・処分及び原子力施設の廃止措置に関する事項
原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理・処分を機構全体として計
画的、かつ合理的に進める。
(1) 放射性廃棄物の処理・処分に関する事項
1) 放射性廃棄物の処理
1低レベル放射性廃棄物の処理については、各研究開発拠点の既存施設にお
いて、契約によって外部事業者から受け入れたものも含め、安全を確保し
つつ、固体廃棄物の焼却、溶融、圧縮、液体廃棄物の固化等の減容、安定
化、廃棄体化処理を実施するとともに、貯蔵施設において放射性廃棄物の
保管管理を継続して行う。
・東海再処理施設において民間事業者との再処理役務契約に伴い発生した放
射性廃棄物は、東海再処理施設において、可燃性廃棄物の焼却、固体廃棄
物の貯蔵を行うとともに、低放射性廃液の減容・固化処理及び難燃性廃棄
物の焼却を行うための低放射性廃棄物処理技術開発施設については、試験
運転を行う。
・高減容処理施設については、解体分別保管棟のホット運転を継続する。減
容処理棟においては、前処理及び高圧圧縮装置のホット運転を継続すると
ともに、金属溶融設備のコールド試運転を継続し、逸脱事象への対応を含
む習熟度を上げていく。
・固体廃棄物減容処理施設については、廃棄物管理事業変更許可申請の安全
審査に対応するとともに、内装設備の製作設計に着手する。
・東海固体廃棄物廃棄体化施設については、基本設計を開始する。
2高レベル放射性廃棄物の管理については、ガラス固化体の貯蔵が円滑にで
きるように関係機関との調整等を継続する。
2) 放射性廃棄物の処分 55低レベル放射性廃棄物の処分については、浅地中処分相当(トレンチ処分
及びコンクリートピット処分)に関し、関係機関と協力を図りつつ、埋設施
設の概念検討、事業資金計画の検討、処分場立地の検討等を実施する。
余裕深度処分相当廃棄物については、合理的な処分方策について検討を
継続する 。また、地層処分相当廃棄物については、合理的な処分の実現に
向け、
関係者と協力する。
なお、
既存の極低レベル処分施設(トレンチ処分)
については、管理期間中の点検等を継続し、安定な状態を維持する。
(2) 原子力施設の廃止措置に関する事項
以下の各施設について、廃止を含む整理・合理化のために必要な措置を実
施する。
1使命を終えた施設の廃止措置
しろまる中期目標期間前に使命を終え、廃止措置又は廃止措置準備を進めていた施設・研究炉 2(JRR-2)...廃棄物の分類調査の評価を行うとともに、施設の維持管
理を行う。
・高温ガス炉臨界実験装置(VHTRC)...燃料の STACY 施設への移設を完了し、
解体を終了する。
・再処理特別研究棟...コンクリートセル内に設置されている廃液タンクの解
体、撤去をのうち、タンク周辺の配管等を撤去する。
・むつ地区燃料・廃棄物取扱棟...残存する原子炉施設の維持管理を行うとと
もに、大型廃棄体化処理・処分実施に向けた検討を行う。
・ウラン濃縮研究棟...維持管理を行う。
・同位体分離研究施設...廃止措置を終了する。
・液体処理場...維持管理を行う。
・圧縮処理装置...維持管理を行う。
・重水臨界実験装置(DCA)...原子炉建屋内設置の重水精製設備等の実験装置
の一部について、解体を行う。
・東濃鉱山...閉山措置の検討結果を取りまとめる。
・新型転換炉「ふげん」(注記)・・・タービン施設の一部を解体するとともに、
クリアランス検認のためのサンプル採取・核種分析を行う。 56・濃縮工学施設(注記)...施設・設備の具体的廃止措置方法の検討及び施設の維持
管理を行う。
・ウラン濃縮原型プラント(注記)...乾式除染の実施に向けた準備を進めるととも
に、具体的廃止措置方法の検討及び維持管理を行う。
・核燃料サイクル工学研究所ウラン濃縮施設(注記)...維持管理とともに、G 棟(H
棟含む)の廃止措置に着手する。
・製錬転換施設(注記)...設備解体を進めるとともに、設備解体に伴い発生する各
種解体物等のデータ取得及び施設の維持管理を行う。
・プルトニウム燃料第 2 開発室...運転・維持管理を行うとともに、廃止措置
に向けた準備を行う。
・ナトリウムループ施設...維持管理を行うとともに、廃止措置に向けた準備
として、汚染状況のデータを取得する。
・バックエンド技術建家(ダンプコンデンサー建家)...放射能濃度測定及び技
術開発場所として利用する。
しろまる中期目標期間中に使命を終え、廃止措置に着手する施設
・自由電子レーザー(FEL)...廃止に向けた手続きを進める。
しろまる中期目標期間終了後に廃止措置に着手するための準備を行う施設
・廃棄物安全試験施設(WASTEF)...年度内停止に向けて、運転・維持管理を行
う。
2老朽化により廃止する施設
しろまる中期目標期間中に、廃止措置に着手するための準備を行う施設
・該当施設なし
3類似・重複する機能を他の施設に集約重点化することにより廃止する施設
しろまる中期目標期間前に使命を終え、廃止措置又は廃止措置準備を進めていた施設・ホットラボ施設(照射後試験施設)...設備機器の解体を行う。 57しろまる中期目標期間中に廃止措置に着手する施設
・2 号電子加速器照射施設...解体に向け管理を行う。・バックエンド研究施設(BECKY)空気雰囲気セル 3 基...年度内停止に向けて、
運転・維持管理を行う。
・冶金特別研究棟...廃止措置を終了する。
・再処理試験室...廃止措置を終了する。
しろまる中期目標期間終了後に廃止措置に着手するための準備を行う施設
・プルトニウム研究 1 棟...運転・維持管理を行う。
4中期目標期間中に廃止措置の着手時期、事業計画の検討に着手する施設
・保障措置技術開発試験室施設(SGL)...維持管理を行うとともに、廃止措置
の着手時期、事業計画を検討する。
・ 東海再処理施設...運転・維持管理を行うとともに、事業計画を検討する。
・大型非定常試験装置(LSTF)...運転・維持管理を行うとともに、廃止措置の
着手時期、事業計画を検討する。
((注記)印の施設は、動燃改革により整理された事業に供された施設)
(廃止措置計画の認可が必要な施設については、
当該認可をもって廃止措置着
手とする。)
上記の他、人形峠周辺の捨石堆積場の維持管理、人形峠環境技術センター
内の鉱さい堆積場の跡措置工事の準備を進めるとともに、既存設備の解体撤
去を継続する。
原子力施設の廃止措置については、当該施設に係る外部利用者等のニーズ
を確認した上で、廃止後の機構の研究開発機能の在り方、国内外における代
替機能の確保、機能の他機関への移管、当該施設の利用者の意見等を踏まえ
て、具体的な原子力施設の廃止時期及び廃止方法の検討を行うものとし、こ
の具体的な方策の検討を進める。 584.国際約束の誠実な履行
機構の業務運営に当たっては、我が国が締結した原子力の研究、開発及び
利用に関する条約その他の国際約束の誠実な履行に努める。
5.人事に関する計画
(1) 国家施策に基づく重要プロジェクトの確実な遂行から創造性に富んだ基
礎・基盤研究までの幅広い業務を着実に遂行するため、機構内各組織の業務
運営状況等に合わせて、人員の再配置を実施する。
(2) 競争的で流動的な環境の創出による研究活動の活性化及び柔軟性と機動性
による研究の効果的推進を図るため、
任期付研究員等の採用活動を実施する。
(3) 機構が果たすべき多様なミッションの遂行に資する産学官との適切かつ効
果的な連携を図るため、大学、産業界等との人事交流や、機構内各組織の状
況や技術移転先の事業展開を踏まえた、技術移転にかかわる人的協力を実施
する。
(4) 組織の活性化、業務の効率的な実施のため、人事評価制度の運用を進める
とともに、計画的に評価者研修を実施する。
(5) 機構業務の効率的・効果的な遂行に資することを目的とし、職員の能力向
上を図り人材育成を体系的かつ計画的に推進するため、計画的に研修を実施
する。
(参考 1)・平成 20 年度末の職員(運営費交付金により職員給与を支給する任期の定め
のない者)見込数
4,078 名・平成 21 年度末の職員(運営費交付金により職員給与を支給する任期の定め
のない者)見込数
3,956 名
(参考 2)
平成 21 年度における
「行政改革の重要方針」
(平成 17 年 12 月 24 日閣議決
定)及び
「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法 59律」(平成 18 年法律第 47 号)において削減対象とされた人件費総額見込み
(総人件費改革の取組の削減対象外となる任期付研究者等に係る人件費を
除く。)
38,724 百万円
(参考 3)
(参考 2)において削減対象とされた人件費と総人件費改革の取組の削減対
象外となる任期付研究者等の人件費とを合わせた人件費総額見込み(国か
らの委託費、補助金、競争的研究資金及び民間資金の獲得状況等により増
減があり得る。)
40,326 百万円
以上

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /