メディアのブランド力で拓く、これからのコミュニケーション
経済の血液と呼ばれる金融―。血流は大動脈のメガバンクから、毛細血管にあたる地域金融機関まで、全身をくまなく巡る。まさに、その循環に沿うように全国各地に根を張り、情報発信とコミュニケーションの働きをもって支える「日本金融通信社」がある。いま、同社は、金融業界の誰もが知る『ニッキン』が培ってきたブランド力を活かして、新たなメディアのかたちを目指している。常務取締役企画人事部長・椿和之氏※(注記) 、企画人事部調査役・大里賢太氏に、自社メディアの現在と企業として見据える先を伺った。(取材:2023年11月21日) ※(注記)23年12月4日現在、常務取締役取材局長
-読者の横顔からは、専門紙であり、かつ全国紙でもある貴紙の輪郭がはっきりと見えてきますね。
現在、本紙発行部数5万8千部のうち、地方銀行と第二地方銀行が39%、信用金庫と信用組合が44%を占め、地域金融機関4業態だけで8割強に達しています。その他には、大手行や証券、保険、官庁・自治体、一般企業に加えて、ITベンダーなどの顔も覗きます。そのため、紙面では、総合ニュースに続き、銀行、信金・信組・労金などの業態別に動向を紹介しています。
読者を個人と法人に分類すると、その割合は7対3になります。個人読者の大半は金融機関本部や営業店などに勤める方々です。一般的に法人購読が多いとされる専門紙の中で、自宅購読者の比率が高いことが本紙の特徴です。
-金融機関の中でも職位を問わず、多くの読者を抱えていらっしゃることが紙面から伝わってきます。
[画像:Mr_Tsubaki]ひとつのテーマ・課題を分析し、その解決に挑む金融機関に焦点を当てる企画「実像」を2年前にスタートしました。「ノルマ廃止の試練 脱”やらされ感”が生む現場力」など、時々のテーマをしっかりと深掘りした記事は、読者モニターやPVを見ても反響を呼んでいます。
少し息をついて読んでいただける随筆コーナー「東西ペンリレー」は、本紙の前身『金融通信』から続く名物企画で、こちらも好評です。金融機関トップや経営層に、日々思うことや体験談を寄稿してもらい、次の筆者を指名してもらうリレー方式で、約70年にわたり続いています。経営層にファンが多いことも手伝って、直近23年11月17日号で第3654回のバトンがつながり、社内からは「ギネスに申請してみよう」などと声が上がるほどです。
その他、金融機関の第一線の成功事例などを詳報するコーナー「営業店」のほか、金融法務などの学びや預かり資産の相談業務に役立つページも、現場で働く皆さまから評価を得ています。
-多様なコンテンツを生み出し、かつ届ける力の源泉はどこにあるのでしょうか。
当社には、編集専担記者とは別に、「求める・集める・作る・売る」のサイクルを一人で担う業務記者がおり、総勢70人を、本社と全国11支社局に配置しています。取材はもとより、商品・サービスの案内・提案までを個人の工夫やチームで行い、とても大きな力になっています。
例えば、金融機関の人事部様を通じ、行職員教育の一環として、本紙活用法のワークショップを開催しています。切り抜きなどの情報整理術を習得してもらい、なおかつ半年間実践してもらった上で、その振り返りまでお手伝いしています。地道な活動は、読者獲得の種まきとなるだけではなく、「何かあったらニッキンに相談してみよう」と、当社を身近な存在に感じてくださるきっかけにもなります。
金融機関からの日常的な問い合わせも、当社との距離感を表しているのではないでしょうか。その内容は、情報が集まる新聞社ならではの知見やデータを求める声など多岐にわたり、周年イベント開催の相談を受けることさえあります。頼りにされていることを実感させてくれるだけではなく、新たなサービスを探る糸口にもなっています。
-2万人への読者アンケートなどをもとに開始されたデジタルサービスは順調に成長しているそうですね。
[画像:Mr_Osato]21年10月、デジタルサービスの第一歩として、本紙購読者向けの追加サービス「ニッキンONLINE」を開始し、当社は週刊発行の本紙とともに、毎日発信する機能を併せ持つことになりました。直近の有料会員登録数は約2万2000、本紙発行部数に対するサービス登録率は34%に達しました。課題は山積していますが、サービス開始2年余りで登録率を3割超に引き上げることができたのは、編集・制作部門のリーダーシップと努力、編集専担記者と業務記者の奮闘、事務・管理部門のバックアップのおかげです。無料会員まで含めると、会員総数は3万5000に上ります。
23年10月時点の月間PVは77万6000。アクセス数などの詳細なデータは「読者ニーズ」を考える上で示唆に富むものばかりです。会員向けアプリを通じて得られるコアユーザーのニーズも汲み取りながら、しっかりと読者に寄り添っていきます。
-本年4月に法人向けコンテンツとして実装された「ニッキンONLINEプレミアム」も、利用者目線が十二分に反映されていますね。
「金融機関の課題解決」をコンセプトに置き、企画部門や営業推進部門の方々の参考情報や、営業店での顧客支援に有用な情報を発信しています。戦略策定に必須の新聞記事検索や金融関連計数、スキルアップにつながる各種コラム等も提供し、金融機関の会見動画はテキスト付きで配信するなど、ユーザーの利便性を少しでも高める工夫をしています。また、産業動向記事では、不動産や建設、観光、食品等の専門紙各社と連携して業界動向を厳選配信し、顧客対応にお役立ていただいています。今後、さらにサービスを拡充していきます。
-金融業界の「課題解決」を目指す姿勢は、展示会などのコミュニケーションでも一貫していますね。
金融国際情報技術展(FIT展)は、2000年に当社45周年事業として開始しました。IT(情報技術)という言葉が一般化し、金融機関の業務で活用されはじめた頃です。それまでの事務・業務処理を中心とした展示会と一線を画し、業務改革を軸に据えて開催しました。02年以降は毎年開催しており、来場者数は累計31万人に上ります。出展社にとっては、課題解決に向けた自社の取り組みを多くの金融機関に直接アピールする場になるため、本展に合わせ、満を持してソリューションを発表くださる様子も多く見受けられます。
また、金融業界関係者と出展社を“つなぐ”役割を、展示会終了後もオンラインで継続するため、金融ITサイト「digital FIT」を開始し、セミナー配信など各種コンテンツを用意しています。金融機関はセキュリティの観点から、職員のWebアクセスを制限しています。しかし、ホワイトリストに登録されている当社のサイトなら課題解決策を持つ企業をきちんと橋渡しできます。こうしたサービスに踏み出せたのも、業界内の信頼があってこそと有難く感じています。[画像:FIT2023.JPG]
-金融機関の信頼が厚い貴社だからこそ担える役割が、沢山あるのではないでしょうか。
金融業界における本紙の知名度の高さは財産であり、信頼されるメディアであることは何よりの強みです。ただ、現在、地域では、少子高齢化や地場産業の衰退などが進み、金融機関は深刻な課題と向き合っています。全国各地の金融機関とつながりを持つ当社だからこそ、金融機関と様々な支援機関を“つなぐ”ことで、課題解決のお役に立ちたいと考えています。国や大学、全国の様々な支援機関、あるいは専門紙各社の皆さまとも知恵を出し合いながら、地域の未来を支えていきます。
すでに、経済活性化を目指す国の政策普及支援では、地域金融機関との橋渡しを始めています。また、信頼をベースにした事業のひとつに金融機関の経営データ分析ビジネスがあります。これもデジタル化を進めることで付加価値の高いサービスに移行していく計画です。
当社は25年に迎える設立70周年に向けて改革プログラムを策定し「金融を主体とするプラットフォーマー」になることを目標に掲げています。改革はまだまだ道半ばですが、これからも着実に歩みを進めていきます。
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