各種調査によれば、自民党総裁選は小泉進次郎元環境相が失速する一方、高市早苗経済安保相が猛追している。当初、優勢とみられた小泉氏の勢いが衰えたのは、なぜか。
選挙戦が進むにつれて、「小泉氏の危うさ」が意識されたためだろう。
例えば、「解雇規制の見直し(緩和)」である。労働者が移動しやすくなれば、労働力は高賃金を求めて低い生産性の産業から、高い生産性の産業に移り、ひいては経済全体の生産性も高まる、という話だ。
これは、「聖域なき構造改革」を掲げた父親の小泉純一郎元首相が、政権担当時に盛んに議論された。だが、その後は労働市場の流動化が進んだ。2019年のOECD(経済協力開発機構)の調査で、日本は加盟37カ国中、12番目に「解雇しやすい国」になっている。
今では、あえて政治課題に掲げるテーマではなくなったのだ。むしろ、これ以上、規制緩和を進めれば、労働者の不利益になる可能性が高い。
「選択的夫婦別姓の法制化」も同じである。22年の内閣府調査で「同性を維持した方がよい」と「旧姓の通称使用を制度化すべきだ」が7割に達した。小泉氏の主張は国民の意向に反している。
解雇規制については、後で主張をトーンダウンさせたが、小泉陣営の勉強不足が如実に表れてしまった。