ありたい姿の実現に向けたマテリアリティ
ホシザキグループは、存在意義(パーパス)の実現のため、5ヵ年経営ビジョンにおいて中長期的な事業環境の変化
をにらんでリスクと機会を想定し、
「長期的にありたい姿」を描いています。その達成のために重要なことは、グロー
バルな潮流(社会課題)をつかんで、経営資本から未来起点の発想法によりマテリアリティ(重要課題)を特定し、そ
れらを解決することであると考えています。
2022年にホシザキグループは幅広い社員とともに、さまざまな社会課題を議論・検討し、社外視点として社外取締
役の意見も踏まえて、6つのマテリアリティを抽出・特定しました。それらが貢献するSDGs目標との関連も合わせて、
取締役会での評価と承認をおこない、
「気候変動への対応」
「社員の働きがいの向上」のマテリアリティにKPI(重要業
績指標)を設定しました。
2023年は投資家や株主とのエンゲージメントも考慮しつつ、マテリアリティの達成をより可視化するため、サステ
ナビリティ委員会での議論を経て、残りのマテリアリティに対するKPIを取締役会で評価、承認しました。
目指すべき姿(アウトカム)に向かうべくマテリアリティのKPIを定めて、これをホシザキグループの社員すべてが
共有し、実行することで、中長期的な価値創造につなげていきます。今後は中長期的な事業環境の変化やステークホル
ダー皆様とのエンゲージメントなども踏まえて、マテリアリティのブラッシュアップをおこなってまいります。
マテリアリティ抽出・特定プロセス
マテリアリティマップと長期的にありたい姿の関連性
ホシザキグループのマテリアリティにおける特徴は、社会に関するものが多いことです。ホシザキグループを取り巻
く事業環境は、ここ数年の新型コロナウイルス感染症や資源価格高騰、サプライチェーンの混乱は沈静化しつつありま
すが、ロシア・ウクライナ紛争など地政学リスク、米中関係に見られる経済のブロック化など、世界的に大きな転換期
を迎えています。マテリアリティ解決の前提となる社会課題への対応が遅れて、方向性を誤ることになれば、企業価値
の向上を果たすのは困難が予想されます。
「長期的にありたい姿」の実現のためには、経済価値向上を果たすのはもちろんのこと、社会・環境価値の向上も必
要となります。企業価値向上には、
ホシザキのサステナビリティと社会のサステナビリティを戦略として同期化させる、
SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の実現が欠かせません。特に、多様な価値観を共有し、活力あ
る職場風土づくりをすることは、社員の働きがいの向上につながるだけでなく、人的資本の活用を図る上で不可欠な要
素と考えています。
マテリアリティにおけるSXはホシザキのサステナビリティにつながる「新たな顧客価値の創造」
「安心・安全な食環
境づくりへの新たな提案」
「社員の働きがいの向上」
「経営基盤の強化」
に加えて、
社会のサステナビリティにつながる
「気
候変動への対応」
「持続可能なサプライチェーンマネジメント」を同期化する戦略をとります。各マテリアリティにKPI
マテリアリティKPI設定の考え方、選定プロセス、決定・承認について
を定めて可視化することにより、これを実現する社内の仕組み作りが必要です。
例えば、製品開発の戦略では環境配慮型製品などの取り組みを通して温室効果ガスや消費電力、有害物質の削減など
を達成することは、直接的にはマテリアリティの「気候変動への対応」の解決につながりますが、さらには「新たな顧
客価値の創造」や「社員の働きがいの向上」などのマテリアリティの解決にもつながります。こういった取り組みを通
して長期的にありたい姿の1つである、「『食』に関わるお客様および社会の課題を、製品・サービスの提供を通して解
決することで、地球の未来に貢献する」ことを目指します。
マテリアリティ分析
ホシザキの経営上の重要度ステークホルダーの重要度
当社グループおよびステークホルダーにとって
重要な社会課題をもとに6つのマテリアリティを特定
気候変動への対応
持続可能なサプライチェーンマネジメント
新たな顧客価値の創造
安心・安全な食環境づくりへの新たな提案
社員の働きがいの向上
経営基盤の強化
Step 1
重要課題の
候補テーマ抽出
競合企業、業界・専門家レビュー、データ分析により候補となるテーマを
抽出
Step 2
重要度の評価と
マッピング
ホシザキ軸の評価
(内部資料分析、
経営陣ヒアリング、
社内ワークショップ)
とステークホルダー軸の評価でマッピング
Step 3 妥当性の検証 社外取締役との議論を通じ、社外視点を取り入れ妥当性を検証
Step 4 社内の承認、特定
候補テーマの中でも特に優先的に取り組むべき課題を特定、取締役会での
議論を経て承認 Step 1
5ヵ年経営ビジョンや事業戦略等との関係〜存在意義や長期ビジョンも考慮
◦経済価値、社会・環境価値との両軸向上を目指す5ヵ年経営ビジョンにおいて実施する各施策はマテリ
アリティと連動させる
◦各マテリアリティの機会およびリスクを考慮し、事業戦略とマッチングさせる
Step 2
KPIとする指標〜各種の施策に基づいて、KPI候補を選定
◦Step 1を考慮した上で、KPI候補を挙げたのち、将来における企業価値やモニタリングの面などから総
合的なKPIを各マテリアリティで複数個抽出する
◦他のKPI候補も社内KPIとして目標設定をおこない、管理を別途検討する
Step 3
外部のアドバイス〜客観的な外部目線の導入
◦上記のプロセスを経た各KPI案について、外部の意見も参考とする
Step 4
サステナビリティ委員会での承認〜取締役会での承認
◦サステナビリティ委員会にて、KPI案の妥当性を確認する
◦取締役会での議論を経て、KPIを承認
はじめに
ホシザキの価値観と
目指す姿
目指す姿の達成に
向けた実行戦略
サステナビリティへの
取り組み
価値創造の基盤 データ・会社情報
25 26
ホシザキ株式会社 統合報告書2023
マテリアリティとサステナビリティの関係、貢献するSDGsゴール、KPI
ありたい姿の実現に向けたマテリアリティ
サステナビリティ活動とマテリアリティ達成の時間軸
ホシザキグループのサステナビリティ活動の方向性
ホシザキグループは現在までに、機会・リスクを整理の上全てのマテリアリティにKPIを設定しましたが、その後も
時間軸を意識して活動を進めていきます。短期的には、
社内への浸透と情報の集約を図り、
既存活動
(=5ヵ年経営ビジョ
ン、長期にありたい姿など)をベースとしたサステナビリティの浸透をおこないます。また、国内だけでなく海外も含
んだ活動にしていきます。中期的には、多くのKPIで目標の実現時期を2025年や2026年に設定し、その実現に向け、
非財務のマテリアリティを意識した経営計画の策定と合わせて、事業戦略の実効性を高めていきます。長期的には、事
業戦略とサステナビリティ経営の一体化を図り、企業価値の向上につなげるべく一連の活動を加速させていきます。
サステナビリティ経営に向けたあるべき姿を見据えつつ、存在意義(パーパス)の達成に向けた
重点課題として抽出されたマテリアリティを軸に、活動の段階的な進化を目指す
社内への浸透、
情報の集約
経営活動との一体化
短期 長期
•マテリアリティの機会・
リスク
の整理、
およびKPIの設定
•既存活動をベースとしサステ
ナビリティ浸透を中心に活動
•マテリアリティの機会および
リスクに対する実行計画策定
および実行
•マテリアリティを意識した経
営計画の作成プロセスへシ
フト
•マテリアリティから抽出された
事業機会、
リスクを経営戦略
に織り込み、
事業戦略との一
体化を図る
•あるべきサステナビリティ経
営への進化
詳細はp.56
詳細はp.61
詳細はp.59
詳細はp.60
詳細はp.63
詳細はp.71
気候変動への対応
マテリアリティ ありたい姿との関連性 貢献する SDGsゴール KPI 目標値・年
持続可能なサプライチェーン
マネジメント
新たな顧客価値の創造
安心・安全な食環境づくりへの
新たな提案
社員の働きがいの向上
経営基盤の強化社会のサステナビリティホシザキのサステナビリティ
世界的な気候変動問題に対し、
快適
な食環境の提供
(ビジネス)
を通じて、
環境課題解決に貢献
環境や人権に配慮したサプライチェー
ンにより、
廃棄物を最小限に抑え、健康で安全な労働条件を促進
お客様を取り巻く環境変化を迅速に
キャッチし、
変化へ柔軟に対応したモ
ノづく
り、
サービスビジネスを創造
多様化する食環境の変化に対して、安全、
安心な製品やサービスを提供し、
人々の豊かな暮らしに貢献
すべての社員が多様な価値観を共有
し、
互いに尊重しあい、
誇りを持って
働く、
活力あふれる職場風土への進化
脱炭素社会の実現に向け、
事業活動からの二酸
化炭素排出量削減
CO2 排 出 量
(スコー プ 1&2(注記))2014 年 度 比 50% 削 減
(2030年)
(注記)ホシザキ本社工場および島根工場
1環境保全
(廃棄物等)、人権・労働
(安全)
等を
含むサステナビリティに関する調達先調査
2取組成果向上のための調達先との持続的なコ
ミュニケーション
今後拡大を目指す、
多様な飲食外市場のお客様
への貢献
全国を網羅する拠点数の強みを生かした製品保
守、
サービスコール対応を通じたお客様への安全、
安心の提供
女性管理職の育成と次期女性管理職候補の育成
確保
1コンプライアンス経営の基盤強化
2社員への網羅的なコンプライアンス教育の継続1調査質問票を策定
(2023年)
重要取引先様回答回収率
95%以上
(2026年)
(ホシザキ)
2工場方針説明会への重要取引先様出席率95%以上
(2026年)
(ホシザキ)
飲食外売上高1,000億円
(2026年)
(国内)
サービス売上高522億円
(2026年)
(国内)
女性管理職
(課長相当職以上)
50名、
女性役職者
(係長相
当職以上)
300名
(2025年)
(国内)
1重大なコンプライアンス違反なし
(グローバル)
2社員全員へのコンプライアンス教育実施
(グローバル)
コーポレートガバナンスの強化および
徹底したコンプライアンス遵守により、
社会から信頼される経営の実践
はじめに
ホシザキの価値観と
目指す姿
目指す姿の達成に
向けた実行戦略
サステナビリティへの
取り組み
価値創造の基盤 データ・会社情報
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ホシザキ株式会社 統合報告書2023

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