地殻応力の増大に応じて,地下水圧が変化したり,地下水の動きが変わったりすることが考えられ,
これらは,地下水位の変動や,わずかな地下水温の変化として捉えることが可能です.
また,地下水や温泉に溶存しているガス成分や,
これらから遊離して出てくるガス成分についても変化が予想されます.
このような,地震の発生に関連する地下水位(自噴井の場合は湧水量),水温,ラドン濃度などの連続観測は,
主に産総研(旧地質調査所)や大学のグループにより,全国の約60地点で実施されています.
=== 図11.3 我が国における地下水観測施設の分布(2013年3月現在,地震調査研究推進本部調べ) ===
我が国における地下水観測施設の分布
図11.3は,
我が国において定常的な地下水観測がなされている観測施設の分布を示しており,
その内訳は産総研が東海・南海地方を中心に51点,国立大学が10点の計61点となっています.
このほか,地方自治体や民間においても,各種の取り組みがなされています。
一方,断層面の亀裂を通じて地下深部から水素やヘリウム等のガスが放出されている場合があり, 野外における地球化学的調査によって,これらの活構造を見出す努力も続けられています.