参考資料2
1:25,000 活断層図作成(全国活断層帯情報整備)について
1.1:25,000 活断層図とは
平成7 年1 月の阪神・淡路大震災を契機に、政府の地震調査研究推進施策の一環として、内陸地震の長
期評価に必要不可欠な情報である活断層の詳細な位置情報を電子地形図25000 上に表した図です。
2.施策の位置付け
本施策は、政府の地震調査研究推進本部により令和元年5 月に策定された「地震調査研究の推進につい
て-地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策(第3 期)-」及
び科学技術・学術審議会により平成31 年1 月に建議された「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研
究計画(第2 次)の推進について」において調査の必要性が明確に位置付けられています。また、防災基
本計画(昭和38 年6 月策定、令和5 年5 月修正)においても、活断層等に関する広報資料の作成、提供等
に努めるものとされています。
3.活断層の定義と図の主な内容
この図における「活断層」とは、最近数十万年間に概ね千年から数万年の周期で繰り返し動いてきた跡
が地形に現れており、今後も活動を繰り返すと考えられるものをいい、赤の実線で表示しています。この
うち、活動の痕跡が侵食や人工的な要因等によって改変されているために、その位置が明確には特定でき
ない区間は赤の破線で、最新の活動時以後の地層で覆われ、変位を示す地形が直接現れていない区間は赤
の点線で表示しています。
また、活断層の位置のほか、活断層の評価に関連する段丘地形・沖積低地・地すべり地形など、数十万
年前から現在に形成された主な地形を併せて表示しています。
4.調査方法
この調査は、空中写真や精細な標高データから作成した立体画像を用いた判読によって活断層を抽出
し、併せて既存の調査結果も参考にして、活断層の詳細な位置やずれの方向などを表したものです。
図1 空中写真判読
地図を作成するために撮影された2 枚の空中写真を、実体鏡で立体的に見ながら変位地形を探します。そ
の変位地形の中から断層による変位地形を抽出し、今後も活動を繰り返す可能性があるかなどを検討して活
断層であるかどうかを判定します。
空中写真の中央の市街地を北西-南東方向に走る崖(図1のA-B)が活断層であり、段差を形成してい
ます。形成年代の異なる複数の段丘面(Sg、Tb、Sk、Sh)を切り、上下及び左横ずれ変位を示しているこ
とから活断層と判定された例です。
活撓曲
5.1:25,000 活断層図から把握できることの限界
この調査では、それぞれの活断層が過去にいつ動いたのかは調べていません。従って、それぞれの活断
層が次にいつ動くかは、この図からはわかりません。また、それぞれの活断層が動いた時の影響も調べて
いないためわかりません。
1:25,000 活断層図で緑色に示されている地域(扇状地・沖積錐、沖積低地及び埋立地・干拓地)は、川
が運んできた土砂などによって最近数千年間に形成された土地です。この地域では今回の調査で確認でき
なかった未知の活断層が埋もれている可能性も残されています。
6.1:25,000 活断層図の公開状況
全国で230 面(令和5 年9 月27 日現在)の図を国土地理院のウェブページから公開しています。
活断層図(都市圏活断層図)整備一覧のウェブページ
( https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/inspection.html )
7.用語の説明
・横 ず れ:活断層の相対的な水平方向の変位の向き。断層線に向かって手前側に立った時、向こう側が
右にずれた状態のものを右横ずれ断層、左にずれた状態のものを左横ずれ断層と呼ぶ。
1:25,000 活断層図(以下「本図」という)では、変位の向きを赤い矢印で表示。
・縦 ず れ:断層の上下方向の変位の向き。本図では、相対的に低下している側に短線を表示。
・活 褶 曲
しゅうきょく
:現在も続いている地殻変動により生じている波状地形。本図では、凸部また凹部を連ねた線
で図示。波状地形の凸部を背斜、凹部を向斜と呼ぶ。
・活 撓 曲
とうきょく
:活断層のうち、変位が柔らかい地層内で拡散し、地表には段差ではなくたわみとして表れた
もの。本図では、たわみの範囲及び傾斜方向を示す。
・雁 行
が ん こ う
:複数の断層が片仮名の「ミ」の字、あるいは「杉」の字のつくりの形に配列すること。前者
を右雁行、後者を左雁行と呼ぶ。
活褶曲(背斜) 活褶曲(向斜)
縦ずれ断層(逆断層)
縦ずれ断層(正断層)
上盤
下盤 上盤 下盤
右横ずれ断層 左横ずれ断層

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /